特開2019-76429(P2019-76429A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-76429(P2019-76429A)
(43)【公開日】2019年5月23日
(54)【発明の名称】ゲーム機
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/00 20060101AFI20190426BHJP
【FI】
   A63F9/00 512A
   A63F9/00 508G
   A63F9/00 508H
   A63F9/00 512B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-205945(P2017-205945)
(22)【出願日】2017年10月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須堯 雅司
(57)【要約】
【課題】遊戯媒体が払い出されたことを実感できつつ、遊戯媒体の再投入を容易に行えるゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機は、ユーザによって遊戯媒体が投入される投入口と、投入された遊戯媒体が載置される載置面、およびこの載置面に載置された遊戯媒体を落下部に向けて押し出す可動板を備えるプレイフィールド部11と、落下部に落下した遊戯媒体をユーザに供与する供与部と、供与部により供与された遊戯媒体をプレイフィールド部外に払い出す払出部と、払出部により払い出された遊戯媒体を貯留する貯留部と、払出部により払い出された遊戯媒体を、投入口に搬送する第1誘導経路および貯留部に搬送する第2誘導経路と、払出部から払い出された遊戯媒体を、第1誘導経路に搬送するかまたは第2誘導経路に搬送するかを切り換え可能な切換部と、を備え、第1誘導経路によって搬送された遊戯媒体はユーザが手を触れることなく投入口に投入される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって遊戯媒体が投入される投入口と、
投入された前記遊戯媒体が載置される載置面、およびこの載置面に載置された前記遊戯媒体を落下部に向けて押し出す可動板を備えるプレイフィールド部と、
前記落下部に落下した前記遊戯媒体をユーザに供与する供与部と、
前記供与部により供与された前記遊戯媒体を前記プレイフィールド部外に払い出す払出部と、
前記払出部により払い出された前記遊戯媒体を貯留する貯留部と、
前記払出部により払い出された前記遊戯媒体を、前記投入口に搬送する第1誘導経路および前記貯留部に搬送する第2誘導経路と、
前記払出部から払い出された前記遊戯媒体を、前記第1誘導経路に搬送するかまたは前記第2誘導経路に搬送するかを切り換え可能な切換部と、を備え、
前記第1誘導経路によって搬送された前記遊戯媒体は前記ユーザが手を触れることなく前記投入口に投入される、ゲーム機。
【請求項2】
前記筐体上に設けられた表示部をさらに備え、
前記第1誘導経路および前記第2誘導経路は前記表示部の周囲に設けられる、請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記第1誘導経路は視認可能なカバー部を有する請求項1または2に記載のゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム機に関し、特に、ゲームの進行に応じて遊戯媒体が払い出されるゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のゲーム機として、たとえば、特許文献1に示すメダルプッシャーゲーム機が知られている。この特許文献1のメダルプッシャーゲーム装置は、払出口から払い出された遊戯媒体を貯留するメダル貯留部、および、メダル貯留部からメダル投入口へ遊戯媒体を移動可能にする通路を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3527722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のメダルプッシャーゲーム装置では、払い出された遊戯媒体は、払出口からメダル貯留部に貯留される。ユーザは、このような遊戯媒体を見ることで、遊戯媒体が払い出されたことを実感することができる。
【0005】
しかしながら、払い出された遊戯媒体をゲーム機に再投入してプレイを継続しようとする場合、ユーザは、メダル貯留部からメダル投入口へ通路を介して遊戯媒体を移動させる必要がある。このため、払い出された遊戯媒体の再投入に手間がかかってしまう。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、遊戯媒体が払い出されたことを実感できつつ、払い出された遊戯媒体の再投入を容易に行うことができるゲーム機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様に係るゲーム機は、ユーザによって遊戯媒体が投入される投入口と、投入された前記遊戯媒体が載置される載置面、およびこの載置面に載置された前記遊戯媒体を落下部に向けて押し出す可動板を備えるプレイフィールド部と、前記落下部に落下した前記遊戯媒体をユーザに供与する供与部と、前記供与部により供与された前記遊戯媒体を前記プレイフィールド部外に払い出す払出部と、前記払出部により払い出された前記遊戯媒体を貯留する貯留部と、前記払出部により払い出された前記遊戯媒体を、前記投入口に搬送する第1誘導経路および前記貯留部に搬送する第2誘導経路と、前記払出部から払い出された前記遊戯媒体を、前記第1誘導経路に搬送するかまたは前記第2誘導経路に搬送するかを切り換え可能な切換部と、を備え、前記第1誘導経路によって搬送された前記遊戯媒体は前記ユーザが手を触れることなく前記投入口に投入される。
【0008】
この構成によれば、切換部により第1誘導経路に切り換えることにより、払出部から払い出された遊戯媒体は第1誘導経路を通り投入口に投入される。このため、ユーザは、払い出された遊戯媒体を受取口から手に取って投入口へ投入せずに、遊戯媒体をゲーム機に再投入してプレイを容易に継続することができる。
【0009】
また、切換部により第1誘導経路に切り換えられた場合、ユーザは第1誘導経路を通る遊戯媒体を手に取ることがない。ただし、ユーザは、筐体の外に視認可能に設けられた第1誘導経路を移動する遊戯媒体を見て、払出部から払い出された遊戯媒体を実感することができる。
【0010】
このゲーム機は、前記筐体上に設けられた表示部をさらに備え、前記第1誘導経路および前記第2誘導経路は前記表示部の周囲に設けられていてもよい。この構成によれば、ユーザが表示部を見ている間も、表示部の近傍に設けられた各誘導経路を通る遊戯媒体がユーザの目に入り易いため、ユーザは払い出された遊戯媒体を容易に確認することができる。
【0011】
このゲーム機は、前記第1誘導経路は視認可能なカバー部を有していてもよい。この構成によれば、ユーザはカバー部を通して第1誘導経路を移動する遊戯媒体を見ることができる。また、カバー部によって、遊戯媒体が第1誘導経路から外れることなく移動することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上に説明した構成を有し、遊戯媒体が払い出されたことを実感できつつ、払い出された遊戯媒体の再投入を容易に行うことができるゲーム機を提供することができるという効果を奏する。
【0013】
本発明の上記目的、他の目的、特徴、および利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係るゲーム機を示す斜視図である。
図2図1の切換部により第1誘導経路に切り換えられたゲーム機を示す斜視図である。
図3】本発明の実施の形態2に係るゲーム機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態に係るゲーム機100について説明する。なお、ゲーム機100は、ユーザが遊戯媒体10としてのメダルを用いてプレイするものである。
【0016】
<ゲーム機の構成>
まず、ゲーム機100の構成について、図1および図2を参照して説明する。図1に示すように、ゲーム機100は筐体20を備え、筐体20は上部筐体21、中央筐体22および下部筐体23を有している。中央筐体22には、載置面24および可動板25がプレイフィールド部11として設けられ、さらに落下部26および側溝29が備えられている。
【0017】
載置面24は、遊戯媒体10が載置される面であって、中央筐体22の上面に固定的な領域として設けられている。可動板25は、板状を成して載置面24の後方に配置され、その上面に遊戯媒体10が載せられると共に、載置面24と同一面上を前後方向へ往復移動する。つまり、可動板25が後方へ移動すると上部筐体21の下部の隙間へ入るように後退し、前方へ移動すると上部筐体21の下部の隙間からその外側へ出るように進出する。そして、この可動板25が上部筐体21の下部の隙間へ入る際に、可動板25上に載置された遊戯媒体10は、上部筐体21の下部前面に当たって可動板25から前方へ落下する。また、可動板25は、前方へ移動することにより、載置面24上の遊戯媒体10を前方へ押し出す。
【0018】
側溝29は、載置面24の側方に配置された窪みであり、落下部26は、載置面24の前方に配置された窪みである。可動板25により載置面24から押し出された遊戯媒体10の一部は、側溝29に落下して回収され、残りの遊戯媒体10は落下部26に落下する。
【0019】
筐体20の上部筐体21には、供給部30および移行部40が備えられている。供給部30は、可動板25の上面に遊戯媒体10を供給するものであって、上部筐体21の前面の左右部分に配置されている。供給部30は、たとえば、上下方向に延びるレール31、レール31の上端に設けられる供給口32、および、レール31に沿って遊戯媒体10を上方へ運ぶ供給機構33を有している。移行部40は、供給部30から供給された遊戯媒体10を可動板25の上面へ移行させる壁面であって、上部筐体21の前面において左右の供給部30の間に設けられる。移行部40には、突起など、移動する遊戯媒体10の方向を変える方向転換部41が設けられている。
【0020】
筐体20は、その一部に、載置面24、可動板25および供給部30が視認可能な透明カバー27を有している。透明カバー27は載置面24よりも前方に配置されている。ユーザは、筐体20の外から透明カバー27を通して載置面24等を見ることができる。
【0021】
筐体20の下部筐体23には長方形状の表示部28が設けられている。表示部28は、たとえば、タッチパネル式のディスプレイであって、筐体20上に配置されている。ディスプレイには、ゲーム等の内容に関する画像が表示される。ユーザは、タッチパネルに触れることによって、その接触位置や接触位置の変化に基づいてゲーム機100を操作できる。
【0022】
また、筐体20の下部筐体23には、投入口50、払出部51、受取部52、第1誘導経路60、第2誘導経路70および切換部53が設けられている。投入口50は、筐体20内の載置面24に遊戯媒体10を投入する開口である。たとえば、投入口50は、筐体20の表面に上方を向いて開口しており、表示部28の右側前方など表示部28の近傍に配置されている。投入口50は、前後方向の寸法が遊戯媒体10の直径よりも小さく厚みよりも大きく、左右方向の寸法が遊戯媒体10の直径よりも大きく形成されている。投入口50は筐体20内の移送部(図示せず)により供給部30へ繋がっており、投入口50から投入された遊戯媒体10は移送部を介して供給部30へ送られる。
【0023】
払出部51は、ゲームの進行に応じて可動板25により押し出された遊戯媒体10が筐体20のプレイフィールド部11外へ払い出される部分であって、たとえば、筐体20の開口(払出口)によって形成されている。たとえば、払出部51は、筐体20の窪みに設けられており、窪みの側面に左側を向いて開口する。払出部51は、前後方向の寸法が遊戯媒体10の直径よりも小さく厚みよりも大きく、上下方向の寸法が遊戯媒体10の直径よりも大きく形成されている。従って、遊戯媒体10(メダル)は、その主面を前後方向へ向けた姿勢で払出部51から払い出される。また、払出部51は、表示部28の右側後方など、表示部28の近傍に配置されている。払出部51は、筐体20内の供与部55により落下部26へ繋がっており、落下部26に落下した遊戯媒体10は供与部55を介して払出部51へ送られる。このため、供与部55は、落下部26に落下した遊戯媒体10をユーザに供与する。
【0024】
受取部52は、払出部51から払い出された遊戯媒体10をユーザが受け取り可能に貯留される貯留部であって、たとえば、表示部28の左側前方など、表示部28の近傍に配置されている。たとえば、受取部52は、筐体20に設けられた窪みであって、遊戯媒体10を入れる容器を載せて置くことができる。
【0025】
第1誘導経路60は、払出部51と投入口50とを繋ぎ、払出部51から払い出された遊戯媒体10を投入口50へ誘導するための通路である。第1誘導経路60は、筐体20の上部に設けられており、筐体20外から視認可能である。このため、第1誘導経路60は、筐体20上に露出していてもよいし、または第1誘導経路60を視認可能な透明なカバー部62で覆われていてもよい。なお、このカバー部62によって、遊戯媒体10は第1誘導経路60から外れることなく第1誘導経路60に沿って移動することができる。
【0026】
第1誘導経路60は、払出部51から投入口50へ前後方向に直線状に延び、払出部51よりも下方に投入口50が配置されるように下り傾斜になっている。この傾斜は、たとえば、遊戯媒体10が一方の主面を下にした状態で、自重により滑り下りられる程度に傾く。第1誘導経路60は、第1可動部および第1固定部分61を有している。第1可動部は切換部53に設けられ、これについては後述する。
【0027】
第1固定部分61は、筐体20の表面よりも下方へ窪み、延伸方向に直交する断面が弧形状であって、左右方向の幅が遊戯媒体10の直径よりも大きく形成されている。第1誘導経路60は、表示部28の近傍に配置され、表示部28の右辺に沿って平行に延びている。
【0028】
第2誘導経路70は、払出部51と受取部52とを繋ぎ、払出部51から払い出された遊戯媒体10を受取部52へ誘導するための通路である。第2誘導経路70は、筐体20の上部に設けられており、筐体20外から視認可能である。このため、第2誘導経路70は、筐体20上に露出していてもよいし、または第2誘導経路70を視認可能な透明なカバー部78で覆われていてもよい。なお、このカバー部78によって、遊戯媒体10は第2誘導経路70から外れることなく第2誘導経路70に沿って移動することができる。
【0029】
第2誘導経路70は、払出部51よりも下方に受取部52が配置されるように連続的に下り傾斜になっている。第2誘導経路70は、表示部28の近傍に配置され、たとえば、上流経路71、下流経路72、および前面部73を有する。上流経路71および下流経路72は互いに連続し、これらは平面視でL字状に設けられている。
【0030】
上流経路71は、表示部28の上辺に沿うようにして、払出部51から左側へ直線状に延びている。この上流経路71は後面部74および底面部75を有し、これらは側面視でL字状に配されている。後面部74は、前後方向に直交する壁面であり、払出部51の開口面に対し垂直に設けられる。
【0031】
底面部75は、第2可動部および第2固定部分77を有している。第2可動部は切換部53に設けられ、これについては後述する。第2固定部分77は、後面部74よりも前方に配置され、後面部74に直交する壁面であり、払出部51の開口面に対し垂直に設けられる。第2固定部分77の前後方向の寸法は、遊戯媒体10の厚みよりも少し大きく遊戯媒体10の直径よりも小さく形成されている。底面部75は、遊戯媒体10が初速なしでも転動する程度の傾斜を有する。
【0032】
下流経路72は、その上流端が上流経路71の下流端に接続されており、かつ、上流経路71と直交して配設されている。下流経路72は、筐体20の上面を下方へ窪ませて形成されており、左右方向の幅が遊戯媒体10の直径よりも大きく形成されている。下流経路72は、表示部28の近傍に配置され、表示部28の左辺に沿って平行に、前後方向へ直線状に延びている。下流経路72は、たとえば、遊戯媒体10が一方の主面を下にした状態で、自重により滑り下りられる程度に傾く。
【0033】
前面部73は、上流経路71の後面部74に平行であって、底面部75の前側に配置され、払出部51から左側へ延びる。たとえば、前面部73は左右方向に長寸の矩形状であって、左右方向の寸法は第1誘導経路60の左右方向の寸法と等しく、上下方向の寸法は遊戯媒体10の半径よりも大きく直径よりも小さい。このため、払出部51から払い出された遊戯媒体10は、前面部73および後面部74によって表裏の主面が支持されながら、これらの間で底面部75上を転動するようにして移動する。
【0034】
また、たとえば、前面部73は、第1誘導経路60に連通する開口部76を有している。前面部73は、開口部76によって第1誘導経路60を跨ぐように第1誘導経路60に直交して配置されている。開口部76は、左右方向の寸法が遊戯媒体10の直径よりも大きく、上下方向の寸法が遊戯媒体10の厚みよりも大きい。このため、払出部51から払い出された遊戯媒体10は、開口部76を通過可能であって、開口部76を介して第1誘導経路60を移動することができる。
【0035】
切換部53は、払出部51から払い出された遊戯媒体10の誘導経路として、第1誘導経路60と第2誘導経路70とを切り換え可能である。たとえば、切換部53は、払出部51と第1誘導経路60の第1固定部分61および第2誘導経路70の第2固定部分77との間に設けられており、直方体形状である。切換部53の前後方向の幅は、底面部75の寸法と等しく、遊戯媒体10の厚みよりも少し大きく遊戯媒体10の直径よりも小さく形成されている。切換部53の左右方向の寸法は、第1誘導経路60の寸法と等しく、遊戯媒体10の直径よりも大きく形成されている。
【0036】
切換部53は、上下動可能である。切換部53の上下動は、ユーザにより手動で行われてもよいし、筐体20に設けられたスイッチなどの入力部をユーザが操作することにより機械的に行われてもよい。切換部53が下降すると、切換部53の上面は第1可動部として機能し、遊戯媒体10の経路として第1誘導経路60が選択される。一方、切換部53が上昇すると、切換部53の上面は第2可動部として機能し、遊戯媒体10の経路として第2誘導経路70が選択される。このように、第1誘導経路60と第2誘導経路70との間での誘導経路の切り換えは、切換部53が上下動することによって実現される。
【0037】
誘導経路の切り換えについて、より具体的に説明する。切換部53が上昇した状態では、切換部53の上面は、上流経路71の底面部75のうち第2固定部分77と面一になる。これにより、切換部53の上面と第2固定部分77とが連結され、上流経路71が全長にわたって形成される。この上流経路71は、払出部51から左側へ連続的に直線状に延び、その下流端にて下流経路72と接続する。このため、払出部51から受取部52へは、連続する上流経路71および下流経路72により繋がる。
【0038】
一方、図2に示すように、切換部53が下降した状態では、切換部53の上面は第2固定部分77よりも下方に位置し、切換部53と第2固定部分77との間に段差ができる。この段差によって、払出部51から払い出された遊戯媒体10の第2固定部分77への移動が妨げられる。
【0039】
また、下降した状態の切換部53の上面は、第1誘導経路60の第1固定部分61の上方近傍に位置する。これにより、切換部53と第1固定部分61とが連結され、第1誘導経路60が全長にわたって形成される。このため、払出部51から投入口50へは、第1誘導経路60により繋がる。
【0040】
ゲーム機100は、制御部80をさらに備える。制御部80は、CPUなどの演算部(図示せず)と、ROMおよびRAMなどの記憶部(図示せず)とを備える。記憶部にはゲーム機100が機能するために必要なプログラム、および該プログラムを実行する際に参照する各種データなどが記憶されている。演算部はこのプログラムを記憶部から読み出して実行することにより、制御部80は各部の動作を制御する。なお、制御部80は、集中制御する単独の制御装置によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置によって構成されていてもよい。
【0041】
<ゲーム機の運転方法>
次に、ゲーム機100の運転方法について図1および図2を参照して説明する。図1に示すように、ユーザが投入口50から筐体20の中へ遊戯媒体10を投入すると、遊戯媒体10は投入口50から移送部により供給部30へ送られる。供給部30において、遊戯媒体10はレール31に沿って上方へ供給機構33により運ばれ、レール31の上端の供給口32から移行部40へ落下する。移行部40では、遊戯媒体10は方向転換部41により方向が変えられながら、下方へ移動していき、可動板25または載置面24に落下する。
【0042】
可動板25上の遊戯媒体10は、可動板25が上部筐体21の下方へ移動した際に上部筐体21に当たり、可動板25から載置面24へ落下する。載置面24上の遊戯媒体10は、前方へ移動する可動板25により落下部26へ押し出される。そして、遊戯媒体10は落下部26から供与部55により払出部51へ送られ、払出部51から筐体20の外へ排出される。
【0043】
ここで、ユーザの操作によって切換部53が上昇位置にあると、払出部51から払い出された遊戯媒体10は、切換部53と第2誘導経路70の第2固定部分77とにより形成された上流経路71を移動する。この際、払出部51から払い出された遊戯媒体10は、上流経路71の後面部74および前面部73に支えられながら、環状の外周面が上流経路71の底面部75に接するように回転しながら移動する。
【0044】
そして、遊戯媒体10が上流経路71の端に達すると、遊戯媒体10は、円形状の主面を下にして倒れ、上流経路71から下流経路72へ移行する。遊戯媒体10は、下り勾配の下流経路72を滑り落ち、第2経路部分から受取部52へ落下する。この際、受取部52に容器が置かれていたら、遊戯媒体10は容器の中に収容される。
【0045】
一方、図2に示すように、ユーザによって切換部53が下降位置にあると、払出部51から払い出された遊戯媒体10は、切換部53と第2誘導経路70の第2固定部分77との間の段差に当たる。そして、遊戯媒体10は、切換部53および第1固定部分61により形成された第1誘導経路60を移動する。この際、遊戯媒体10は、払出部51と段差と間の前方に設けられた前面部73の開口部76を通過し、下り勾配の第1誘導経路60を滑り落ちる。そして、投入口50に達した遊戯媒体10は投入口50に投入される。
【0046】
このように、払い出された遊戯媒体10の経路を第1誘導経路60と第2誘導経路70との間で切換部53により簡単に切り換える。これにより、ユーザは、払い出された遊戯媒体10の受け取りと投入口50への投入とを簡単に選択することができる。
【0047】
また、第1誘導経路60および第2誘導経路70はユーザに視認可能に設けられている。このため、たとえ、ユーザが払い出された遊戯媒体10を受け取らずに第1誘導経路60によりそのまま投入口50へ投入しても、第1誘導経路60を移動する遊戯媒体10を見ることで、遊戯媒体10が払い出されたことを実感することができる。
【0048】
しかも、第1誘導経路60および第2誘導経路70が表示部28の近傍に配置されている。このため、ユーザが、表示部28を見ている際にも、この近傍の第1誘導経路60または第2誘導経路70を通る遊戯媒体10に気付くことができる。
【0049】
さらに、遊戯媒体10が払出部51から第1誘導経路60を通り投入口50に直接、投入される。これにより、ユーザは、払出部51から払い出された遊戯媒体10を手に触れずにゲーム機100をプレイすることができる。
【0050】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係るゲーム機100について図3を参照して説明する。ゲーム機100は、第1誘導経路60に設けられ、且つ、第1誘導経路60を通過する遊戯媒体10を検出する検出部90をさらに備えている。検出部90は、遊戯媒体10の通過を検知するチャッカであってもよいし、照射した赤外線の遊戯媒体10からの反射光を受光するセンサなどであってもよい。検出部90は、遊戯媒体10の通過を検出した信号を制御部80へ出力する。
【0051】
制御部80は、検出部90から出力された検出信号に応じて、特典をユーザに付与する。特典としては、たとえば、表示部28を用いたゲームの実行、および、遊戯媒体10の払出数の増加などが挙げられる。たとえば、ゲームとしては、入賞により遊戯媒体10の払い出す抽選、双六およびアクションゲームなどのゲームなどが挙げられる。
【0052】
この抽選では、たとえば、遊戯媒体10の通過を検出するごとに、制御部80は、ルーレット抽選を開始し、この内容を表示部28に表示する。そして、ルーレットに当選すれば、制御部80は、その当選内容に応じて遊戯媒体10をユーザに付与する。
【0053】
双六では、たとえば、遊戯媒体10の通過を検出するごとに、制御部80は、スゴロクのサイコロが振られる(サイコロ抽選)を実行し、この内容を表示部28に表示する。そして、制御部80は、サイコロ抽選の出目に応じて、双六を進行させ、その進行に応じて遊戯媒体10をユーザに付与する。
【0054】
アクションゲームでは、たとえば、遊戯媒体10の通過を検出するごとに、制御部80は、表示部28において、プレイヤキャラクタが敵キャラクタに攻撃を行う。そして、制御部80は、敵の体力を0にするなどの所定条件を満たせば、遊戯媒体10をユーザに付与する。
【0055】
特典が付与された際、たとえば、障壁部91が用いられる。障壁部91は、板状体であって、載置面24と側溝29との間に設けられ、上下動する。通常、障壁部91は、上面が載置面24と同じまたはそれよりも低くなるように配置されている。これにより、載置面24上の遊戯媒体10は可動板25により押されて、その一部の遊戯媒体10が側溝29に落下して回収される。
【0056】
これに対し、特典が付与された場合、所定時間の間、障壁部91は、上面が載置面24よりも上方になるように上昇し、載置面24と側溝29との間において前後方向に延びる。これにより、可動板25により押された遊戯媒体10は、側溝29に落下して回収されずに、障壁部91に沿って落下部26へ導かれて落下する。このため、落下部26に落下した遊戯媒体10は払出部51へ導かれることにより、払出部51から払い出される遊戯媒体10が増加する。
【0057】
このように、制御部80は、払出部51から第1誘導経路60を介して投入口50へ直接、移される遊戯媒体10を検出部90が検出することにより、特典を付与する。このため、ユーザは特典の付与を期待して、遊戯媒体10の経路を第1誘導経路60に切り換える。この結果、第1誘導経路60を介して投入口50へ投入される遊戯媒体10が増え、ゲーム機100のプレイ数を増加することができる。
【0058】
(その他の実施の形態)
上記実施の形態では、ゲーム機100は検出部90を備えていたが、検出部90に代えて検出部92を備えていてもよいし、検出部90と共に検出部92を備えていてもよい。検出部92は、第2誘導経路70に設けられており、第2誘導経路70を通過する遊戯媒体10を検出し、遊戯媒体10を検出した信号を制御部80へ出力する。
【0059】
制御部80は、検出部92から出力された検出信号に応じて、特典をユーザに付与する。この特典としては、上記と同様に、たとえば、ゲームの実行、および、遊戯媒体10の払出数の増加などが挙げられる。検出部90に検出された場合の特典と、検出部92に検出された場合の特定とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。特典が異なっている場合、特典のバラエティが増えるため、ゲーム機100の興趣性が向上する。
【0060】
上記全実施の形態において、ゲーム機100のプレイフィールド部11に検出部25aをさらに備えていてもよい。検出部25aは、たとえば、可動板25の端面に設けられ、可動板25から載置面24に落下する遊戯媒体10を検出するチャッカ等が用いられる。検出部25aは遊戯媒体10を検出すると、検出信号を制御部80へ出力する。
【0061】
制御部80は、検出部25aから出力された検出信号に応じて、特典付与の有無を切り換えてもよい。たとえば、制御部80は、特典付与が無の状態で検出部25aの検出信号を取得すると、特典付与が有に切り替えて、検出部90、92からの検出信号に応じて特典をユーザに付与する。一方、制御部80は、特典付与が有の状態で検出部25aの検出信号を取得すると、特典付与が無に切り替える。この場合、制御部80は、検出部90、92からの検出信号を取得しても、特典をユーザに付与しない。
【0062】
また、制御部80は、検出部25aから出力された検出信号に応じて、切換部53を制御してもよい。これにより、制御部80は、検出部25aの検出信号を取得すると、切換部53は、払出部51から払い出された遊戯媒体10の誘導経路として、第1誘導経路60と第2誘導経路70とを切り換える。
【0063】
上記全実施の形態において、制御部80は、表示部28に表示されるゲームの進行に応じて、特典付与の有無を切り換えてもよいし、切換部53により第1誘導経路60と第2誘導経路70とを切り換えてもよい。これらの切り換えは上記と同様である
上記全実施の形態では、載置面24および可動板25によりプレイフィールド部11が構成されていた。ただし、プレイフィールド部11は、投入口50からの遊戯媒体10の投入に応じてゲームが進行するものであれば、これに限定されない。
【0064】
上記全実施の形態では、第1誘導経路60を直線状に形成し、第2誘導経路70をL字状に形成したが、第1誘導経路60および第2誘導経路70の形状はこれに限定されない。たとえば、投入口50の位置に受取部52が設けられ、第2誘導経路70が直線状に形成されていてもよい。また、払出部51に対向するように投入口50を配置し、第2誘導経路70の上流経路71を第1誘導経路60として用いてもよい。これにより、環状の外周面が第1誘導経路60の底部に接するように遊戯媒体10が回転しながら投入口50から投入口50へ移動するため、遊戯媒体10が投入口50にスムーズに入ることができる。
【0065】
上記全実施の形態では、第1誘導経路60および第2誘導経路70の両方が表示部28の近傍に配置されていた。ただし、第1誘導経路60および第2誘導経路70の少なくともいずれか一方が表示部28の近傍に配置されていれば、第1誘導経路60および第2誘導経路70の配置はこれに限定されない。
【0066】
上記全実施の形態では、第1誘導経路60を滑り落ちた遊戯媒体10が投入口50に直接、投入された。これに対し、投入口50の近傍に貯留部54が設けられており、第1誘導経路60を滑り落ちた遊戯媒体10が貯留部54に貯留されてもよい。たとえば、貯留部54は、半円筒状の窪みから成り、投入口50を挟んで第1誘導経路60とは反対側(手前側)に形成されていてもよい。この場合、投入口50は、第1誘導経路60と貯留部54との境界部分に形成される。このため、貯留部54から投入口50までの遠い距離、遊戯媒体10を移動させる手間は省くことができ、また、遊戯媒体10に触れる機会を減らずことができる。
【0067】
また、上記全実施の形態は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせてもよい。上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施の形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明のゲーム機は、遊戯媒体が払い出されたことを実感できつつ、払い出された遊戯媒体の再投入を容易に行うことができるゲーム機等として有用である。
【符号の説明】
【0069】
10 :遊戯媒体
11 :プレイフィールド部
24 :載置面
25 :可動板
26 :落下部
28 :表示部
50 :投入口
51 :払出部
52 :受取部(貯留部)
60 :第1誘導経路
70 :第2誘導経路
53 :切換部
55 :供与部
100 :ゲーム機
図1
図2
図3