【解決手段】空気調和装置は、熱媒体が循環する循環配管と、前記熱媒体と第1熱交換対象流体とを熱交換させる第1の熱交換器と、前記熱媒体と第2熱交換対象流体とを熱交換させる第2の熱交換器と、前記熱媒体を吐出可能な第1ポートと第2ポートとを有し、前記熱媒体の循環量を調整する駆動元の動力により前記熱媒体を吐出するポートが定まる圧縮機ユニットと、前記圧縮機ユニットを駆動する駆動部と、前記熱媒体を膨張させる膨張弁と、を備え、前記循環配管には、前記第1の熱交換器、前記圧縮機ユニット、前記第2の熱交換器、及び前記膨張弁が順に配置され、前記圧縮機ユニットは、前記熱媒体を前記第1の熱交換器に向けて吐出する第1モードと、前記熱媒体を前記第2の熱交換器に向けて吐出する第2モードとのうちから選択されたモードで機能する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る空気調和装置の構成図である。
図1に示す空気調和装置1は、空調される室内に設置される室内機2と、室外に設置される室外機3と、熱媒体が循環する循環配管10と、を備える。室内機2と室外機3との間には循環配管10が跨るよう配置され、これにより室内機2と室外機3とが接続されている。
【0014】
室内機2は、熱交換器21(第1の熱交換器)を備える。熱交換器21は、循環配管10を循環する熱媒体と室内機2が設置される室内における内気(第1熱交換対象流体に対応)とを熱交換させる。
【0015】
室外機3は、圧縮機ユニット31と、熱交換器32(第2の熱交換器)と、切換弁33と、膨張弁34と、インバータ36とを備える。
【0016】
熱交換器32は、熱媒体と室外機3が設置される室外における外気(第2熱交換対象流体)とを熱交換させる。
【0017】
圧縮機ユニット31は、モーター31Mと、コンプレッサ31Cとを備える。モーター31Mは、図示を省略する配線から電力を供給されるようになっている。例えば、モーター31Mは、所謂PMモーターであってもよい。コンプレッサ31Cは、例えばロータリー型の圧縮機である。コンプレッサ31Cの駆動軸が、モーター31Mの駆動軸に機械的に連結される。コンプレッサ31Cは、モーター31Mによって駆動される。コンプレッサ31Cは、熱媒体を所望の圧力に圧縮して吐出することができる。コンプレッサ31Cは、駆動量の調整により熱媒体を単に循環させるように吐出することもできる。モーター31Mがコンプレッサ31Cを駆動することにより、圧縮機ユニット31は、熱媒体を循環させることができる。モーター31Mは、その駆動量に応じてコンプレッサ31Cが吐出する熱媒体の循環量を調整可能である。つまり、圧縮機ユニット31は、熱媒体を吐出可能な第1ポートと第2ポートとを有するものであり、熱媒体の循環量を調整するモーター31Mの動力により熱媒体を吐出するポートが定まる。
【0018】
膨張弁34は、熱媒体を膨張させて冷却する。なお、この膨張弁34は、圧力調整をすることなく、熱媒体の流量を調整するものとして機能することも可能である。
【0019】
インバータ36は、モーター31Mの駆動量を調整して、コンプレッサ31Cによる熱媒体の循環方向と流量とを調整する。これによりモーター31Mは、インバータ36によりその回転方向、回転速度が制御される。つまり、圧縮機ユニット31は、インバータ36の制御によって、熱媒体の吐出方向と、熱媒体の流量とが調整される。コンプレッサ31Cは、熱媒体を所望の圧力に圧縮して吐出することができる。コンプレッサ31Cは、熱媒体を所望の圧力に圧縮して吐出することができる。
【0020】
循環配管10には、熱交換器21、圧縮機ユニット31、熱交換器32、切換弁33及び膨張弁34が、この記載の順に配置されて、例えば、この順に熱媒体を循環させる冷凍サイクルが形成されている。
【0021】
さらに、室内機2においては、熱交換器21を送風するファン等を制御したり、内気の温度を検知したりするコントローラ4が設けられている。また、
図1における図示を省略するが、室外機3には、熱交換器32で生じた熱を冷却及び排出するためのファン37(
図2)が設けられる。
【0022】
この圧縮機ユニット31が熱媒体の吐出方向を切り換えることによって、熱媒体の循環方向が切換えられ、圧縮機ユニット31から熱交換器21に熱媒体が供給される「暖房運転モード(第1モード)」と、圧縮機ユニット31から熱交換器32に熱媒体が供給される「冷房運転モード(第2モード)」と、を切換えることが可能である。
【0023】
例えば、
図1に示すように圧縮機ユニット31のコンプレッサ31Cは、循環配管10を経て熱交換器21と熱交換器32とに接続される。コンプレッサ31Cの第1ポートが、循環配管10を経て熱交換器21に固定的に接続され、第2ポートが、循環配管10を経て熱交換器32に固定的に接続されている。つまり、熱交換器21と圧縮機ユニット31と熱交換器32の間の循環配管10の接続関係は、運転モードによらず固定されている。このように接続されていれば、コンプレッサ31Cが第1ポートから熱媒体を吐出する運転モードが暖房運転モードになる。また、コンプレッサ31Cが第2ポートから熱媒体を吐出する運転モードが冷房運転モード又は間接外気冷房運転モードになる。間接外気冷房運転モードについては後述する。
【0024】
まず、冷房運転モードと暖房運転モードとについて説明する。
図2は、第1の実施形態に係る空気調和装置の冷房運転モードにおける熱媒体の流れを説明するための図である。
図3は、第1の実施形態に係る空気調和装置の暖房運転モードにおける熱媒体の流れを説明するための図である。具体的には、
図2に示す矢印に参照されるように、圧縮機ユニット31からの熱媒体が熱交換器32側に流れるようにする「冷房運転モード」と、
図3に示す矢印に参照されるように、圧縮機ユニット31からの熱媒体が熱交換器21側に流れるようにする「暖房運転モード」との運転状態に合わせて、循環配管10の冷媒の流れを切換えることが可能となっている。圧縮機ユニット31は、熱媒体を熱交換器21に向けて吐出する暖房運転モードと、熱媒体を熱交換器32に向けて吐出する冷房運転モードとのうちから選択されたモードで機能する。
【0025】
なお、上記の冷房運転モードでは、例えば、膨張弁34で膨張させて冷却した熱媒体(低温低圧の液体)を、熱交換器21に供給し、ここで熱媒体に内気の熱を吸熱させて低温低圧の気体にする。この後、圧縮機ユニット31が熱媒体を圧縮して加熱して高温高圧の気体にして、熱交換器32で熱媒体を放熱させて高温高圧の液体にするサイクルが行われる。
【0026】
また、上記の暖房運転モードでは、例えば、圧縮機ユニット31で圧縮して加熱した熱媒体(高温高圧の気体)を、熱交換器21に供給し、ここで熱媒体を放熱させて高温高圧の液体にする。この後、膨張弁34で熱媒体を膨張させて冷却して低温低圧の液体にして、熱交換器32で熱媒体に外気の熱を吸熱させて低温低圧の気体にするサイクルが行われる。
【0027】
実施形態の循環配管10には、冷房運転モードと暖房運転モードの運転状態の切換用の四方弁が設けられていないが、上記の通り圧縮機ユニット31が熱媒体の吐出方向を切換えることにより、循環配管10内の熱媒体の循環方向が切換わる。
【0028】
次に、間接外気冷房運転モードについて説明する。
図4は、第1の実施形態に係る空気調和装置の間接外気冷房運転モードにおける熱媒体の流れを説明するための図である。圧縮機ユニット31は、
図4に示す矢印に参照されるように、例えば、熱媒体を循環配管10中に循環させる「間接外気冷房運転モード」の運転状態に切換えることができる。「間接外気冷房運転モード」の運転状態の圧縮機ユニット31は、熱媒体の流量を調整して、それを循環させる。
【0029】
「間接外気冷房運転モード」の運転状態では、迂回配管11が利用される。迂回配管11は、膨張弁34を挟んで、その上流側と下流側の循環配管10を跨ぐように繋ぎ、膨張弁34を迂回するように設けられている。例えば、熱交換器32と膨張弁34との間に切換弁33が設けられている。切換弁33は、例えば、3方弁である。切換弁33は、熱交換器32側からの熱媒体を、循環配管10を経由して膨張弁34の上流側に供給する第1方路と、迂回配管11を経由して膨張弁34の下流側に供給する第2方路とを切換える。「間接外気冷房運転モード」の運転状態では、切換弁33は、第2方路に切り替えられる。
【0030】
この間接外気冷房運転モードでは、膨張弁34を利用しないため、循環配管10内で熱媒体の圧力差が生じにくい。間接外気冷房運転モードでは、迂回配管11を介して熱媒体が熱交換器21に供給され、ここで熱媒体に内気の熱を吸熱させる。この後、熱媒体は、圧縮機ユニット31によって所定の流量で循環されて、熱交換器32に供給される。熱交換器32では、熱媒体が放熱される。間接外気冷房運転モードでは、上記のように、熱媒体を循環させるサイクルが行われる。
【0031】
圧縮機ユニット31のインバータ36は、例えば建造物の管理室等の室外機3の外に配置されるコントローラ4とネットワークを介して接続されている。コントローラ4は、インバータ36を介してモーター31Mを制御する。なお、モーター31Mの制御は、手動で行うことができる構成としてもよい。
【0032】
コントローラ4は、インバータ36の他に、ネットワーク等(不図示)を介して切換弁33に接続されている。コントローラ4は、切換弁33の切換制御を行う。コントローラ4は、その外部に操作器(不図示)が設けられていてもよい。例えば、操作器は、温度センサ(不図示)をその内部に備えていてもよい。そのような操作器は、室内機2が配置されている室内に設けられていることにより、上記の温度センサによって室温を検出可能である。コントローラ4は、操作器の操作、検出された室温等を操作器から受け付けて、室内機2のファン(不図示)の駆動を調整したり、圧縮機ユニット31を制御したりすることも可能となっている。
【0033】
次に、
図5を参照して、実施形態に係る空気調和装置1の作用について説明する。
図5は、実施形態に係る空気調和装置1の作用を説明するための図である。
【0034】
実施形態に係る空気調和装置1は、コントローラ4の制御により上記の通り複数の運転状態における運転を可能にする。上記の通り、空気調和装置1は、暖房運転モードと冷房運転モードの少なくとも2つの運転モードでの運転を適宜設定することができる。空気調和装置1は、さらに、設定により、間接外気冷房運転モードを含めた運転を設定してもよい。
【0035】
コントローラ4は、上記の各運転モードにおいて基準とされる室温(室温設定温度)及び各運転モードの温度制御の閾値を、操作器の操作等により設定することができる。なお、各運転モードの制御の閾値は、予め定められていてもよく、室温設定温度に基づいて設定されてもよい。
【0036】
(暖房運転モード)
例えば、暖房運転モードでは、室温の温度制御のための閾値を摂氏10度にする。この設定による暖房運転モードでは、コントローラ4は、室温が摂氏10度以下の場合に、暖房運転を実施して、室温が摂氏10度を超える場合に、暖房運転を中断する。暖房運転モードの温度制御の閾値は、通年一定であってもよい。
【0037】
なお、室内の発熱量が比較的多い環境に適用する場合には、外気温が摂氏10度以下、且つ、室温が摂氏10度以下の場合に、暖房運転を実施するようにして、外気温又は室温が摂氏10度を超えているときに暖房運転を中断してもよい。
【0038】
(冷房運転モード)
例えば、冷房運転モードでは、室温の温度制御のための閾値を摂氏27度にする。この設定による暖房運転モードでは、コントローラ4は、室温が摂氏27度以上の場合に、冷房運転を実施する。冷房運転モードの温度制御の閾値は、通年一定にしてもよい。
【0039】
(間接外気冷房運転モード)
上記の冷房運転モードを適用する一部の範囲等で、間接外気冷房運転モードを適用してもよい。間接外気冷房運転モードについては、季節により外気温が異なることから、複数の室温設定温度を設定できるようにするとよい。例えば、間接外気冷房運転モードの室温設定温度を摂氏20度と摂氏26度とにする場合を例示する。
【0040】
例えば、間接外気冷房運転モードの室温設定温度を摂氏26度に設定する場合には、コントローラ4は、外気温が摂氏23度以下、且つ、室温が27度以上であることを識別する。上記の条件が満たされる場合には、コントローラ4は、冷房運転モードに代えて、間接外気冷房運転モードにする。これにより、比較的外気温が低い状況にある場合に、外気の冷気を利用して室温を調整することができる。
【0041】
なお、間接外気冷房運転モードの運転状態を選択可能にしている場合には、間接外気冷房運転モードの運転状態と冷房運転モードの運転状態の間で状態遷移が生じる。この状態遷移の条件として、外気温度に依存するヒステリシスを設定してもよい。例えば、間接外気冷房運転モードの運転状態から冷房運転モードの運転状態に遷移させる場合には、外気温が摂氏26度以上になったことを条件にする。冷房運転モードの運転状態から間接外気冷房運転モードの運転状態に遷移させる場合には、外気温が摂氏23度以下になったことを条件にする。
【0042】
なお、暖房運転モードと、冷房運転モードと、上記の室温設定温度を摂氏26度に設定した間接外気冷房運転モードの何れかの条件を満たさない場合には、コントローラ4は、圧縮機ユニット31を運転停止状態にする。上記の場合、少なくとも、室内温度が摂氏10度から摂氏26度までの間にある場合には、圧縮機ユニット31は運転停止状態になる。
【0043】
上記の状態遷移を実現するためのコントローラ4の制御について説明を補足する。
上記の室温設定温度を摂氏26度に設定した間接外気冷房運転モードで運転している状態から、外気温が摂氏23度以下であり、且つ、室温が27度未満になった場合には、コントローラ4は、冷却が不要な状態にあると判定し、効率を高めるために、圧縮機ユニット31を運転停止状態にする。
【0044】
なお、上記の室温設定温度を摂氏26度に設定した間接外気冷房運転モードで運転している状態から、外気温が摂氏23度を超える状況になり、且つ、室温が27度を超えている場合には、冷却が必要な状態にあるが、運転モードの切換頻度を低減するために、コントローラ4は、間接外気冷房運転モードを継続する。その後、外気温が摂氏26度を超える状況になった場合に、コントローラ4は、冷房運転モードに切り替える。
【0045】
また、上記の室温設定温度を摂氏26度に設定した間接外気冷房運転モードに代えて、例えば、間接外気冷房運転モードの室温設定温度を摂氏20度に設定する場合には、コントローラ4は、外気温が摂氏15度以下、且つ、室温が22度以上であることを識別する。上記の条件が満たされる場合には、コントローラ4は、冷房運転モード又は圧縮機ユニット31の運転停止状態に代えて、間接外気冷房運転モードにする。これにより、比較的外気温が低い状況にある場合に、外気の冷気を利用して室温を調整することができる。
【0046】
なお、暖房運転モードと、冷房運転モードと、上記の室温設定温度を摂氏20度に設定した間接外気冷房運転モードの何れかの条件を満たさない場合には、コントローラ4は、圧縮機ユニット31を運転停止状態にする。
【0047】
なお、上記の室温設定温度を摂氏20度に設定した間接外気冷房運転モードで運転している状態から、外気温が摂氏15度以下であり、且つ、室温が22度未満になった場合には、コントローラ4は、冷却が不要な状態にあると判定し、効率を高めるために、圧縮機ユニット31を運転停止状態にする。
【0048】
なお、上記の室温設定温度を摂氏20度に設定した間接外気冷房運転モードで運転している状態から、外気温が摂氏15度を超える状況になり、且つ、室温が27度未満である場合には、コントローラ4は、冷却が不要な状態にあると判定し、効率を高めるために、圧縮機ユニット31を運転停止状態にする。
【0049】
なお、上記の室温設定温度を摂氏20度に設定した間接外気冷房運転モードで運転している状態から、外気温が摂氏15度を超える状況になり、且つ、室温が27度を超えている場合には、コントローラ4は、冷却が必要な状態にあると判定するが、状態遷移を保留する。その後、外気温が摂氏26度を超える状況になった場合に、コントローラ4は、冷房運転モードに切り替える。
【0050】
(間接外気冷房運転モード時の制御条件)
間接外気冷房運転モード時の制御条件を、下記のように決定してもよい。例えば、関連する変数を下記のように定義する。外気温度を摂氏a度(a℃)、室内温度を摂氏b度(b℃)、室内設定温度を摂氏c度(c℃)、空調機吹き出し温度を摂氏d度(d℃)、空調機吹き出し量を毎時e立方メートル(e(m
3/h))とする。
【0051】
コントローラ4は、冷房時の室内設定温度を摂氏c度に定め、その室内設定温度(c℃)以下になるように運転する。コントローラ4は、外気温度(a℃)と室内温度(b℃)の温度差Δtが判定閾値(x℃)以上になる場合に、所定の条件で運転するようにインバータ36を制御する。上記の所定の条件とは、例えば、所望の空調機吹き出し温度(d℃)で、所望の空調機吹き出し量(e(m
3/h))を確保できるような熱媒体搬送速度と熱媒体搬送流量とを確保できることである。実施形態のインバータ36は、インバータ制御によりモーター31Mの回転数を調整して、所望の熱媒体搬送速度と熱媒体搬送流量とを確保するように制御する。
【0052】
(間接外気冷房運転について)
空気調和装置1は、間接外気冷房運転時に、例えば、インバータ36がモーター31Mの駆動量を調整して、モーター31Mを駆動する。これにより、空気調和装置1は、圧縮機ユニット31を、熱媒体の吐出量(流量)を調整する冷媒液搬送ポンプとして使用することが可能になる。
【0053】
空気調和装置1は、モーター31Mの回転数を所望の範囲内に設定することにより、熱媒体の流量調整を行う。これにより、圧縮機ユニット31を比較的低回転速度で運転することを可能にする。熱媒体は、熱搬送媒体として用いられ、外気温を有効に利活用することを可能にする。
【0054】
上記の実施形態によれば、熱媒体が循環する循環配管10と、熱媒体と室内の空気とを熱交換させる熱交換器21と、熱媒体と外気とを熱交換させる熱交換器32と、駆動量に応じて熱媒体の循環量を調整可能な圧縮機ユニット31と、圧縮機ユニット31を駆動するモーター31Mと、熱媒体を膨張させる膨張弁34と、を備える。循環配管10には、熱交換器21、圧縮機ユニット31、熱交換器32、及び膨張弁34が、記載の順に配置されている。圧縮機ユニット31は、熱媒体を熱交換器21に向けて吐出する暖房運転モード(第1モード)と、熱媒体を熱交換器32に向けて吐出する冷房運転モード(第2モード)とのうちから選択されたモードで機能する。これにより、簡易な構造で冷却運転と暖房運転を切換えることができる。
【0055】
また、モーター31Mは、圧縮機ユニット31によって熱媒体の循環量を調整することにより、消費電力を押さえつつ必要な運転状態を維持することができる。
【0056】
また、空気調和装置1は、膨張弁34を迂回して熱媒体を循環可能にする迂回配管11と、熱媒体を循環配管10と迂回配管11の何れかに流す切換弁33と、を備える。圧縮機ユニット31は、所定の条件を満たす場合に、迂回配管11を経て熱媒体を循環させるようにしてもよい。
【0057】
また、モーター31Mは、供給される電力に基づいて回転方向が決定される回転子を有している。圧縮機ユニット31は、モーター31Mの回転子の回転に連動する回転体を含むものであってよい。このような圧縮機ユニット31は、モーター31Mの回転方向により、回転体の回転方向が切り換えることができる。
【0058】
<第2の実施形態>
次に本発明の第2の実施形態について
図6を用いて説明する。
図6は、実施形態に係る空気調和装置の構成図である。
【0059】
空気調和装置1は、室内機2と、室外機3Aと、循環配管10と、を備える。
【0060】
室外機3Aは、圧縮機ユニット31と、熱交換器32と、切換弁33と、膨張弁34と、オイルセパレータ35−1と、オイルセパレータ35−2と、インバータ36とを備える。
なお、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一符号で示し説明は省略する。
【0061】
ところで、圧縮機ユニット31が備えるコンプレッサ31Cは、回転体等の可動部をその内部に含む。その可動部には、その摩擦抵抗を軽減させるための潤滑油が供給されている。この潤滑油は、熱媒体の循環に伴って、熱媒体と共に循環配管10内を循環する。潤滑油が循環配管10内で堆積すること等を抑制するために、その潤滑油が適当な位置での回収されるように潤滑油回収手段としてのオイルセパレータ35−1とオイルセパレータ35−2が配置されている。
【0062】
オイルセパレータ35−1は、圧縮機ユニット31から熱交換器32経て膨張弁34に至るまでの循環配管10に配置され、熱媒体に混入する潤滑油を分離して、分離した潤滑油を、油回収管路12を経て圧縮機ユニット31に戻すことを可能にする。
図6に示すオイルセパレータ35−1の配置は一例であり、これに制限されず、熱交換器32から膨張弁34までの間、或いは、熱交換器32から切換弁33までの間であってもよい。
【0063】
オイルセパレータ35−2は、圧縮機ユニット31から熱交換器21経て膨張弁34に至るまでの循環配管10に配置され、熱媒体に混入する潤滑油を分離して、分離した潤滑油を、油回収管路12を経て圧縮機ユニット31に戻すことを可能にする。
図6に示すオイルセパレータ35−2の配置は一例であり、これに制限されず、熱交換器21から膨張弁34までの間、或いは、熱交換器21から循環配管10と迂回系路11との分岐点までの間であってもよい。なお、施工性を高めるためには、オイルセパレータ35−2は、室外機3Aに配置することが望ましい。
【0064】
圧縮機ユニット31は、前述の圧縮機ユニット31と同様の構成備えることの他、オイルセパレータ35−1とオイルセパレータ35−2により分離された潤滑油を、回収して、潤滑油を貯めているコンプレッサ31Cに戻すように形成されている。
【0065】
図6に示すオイルセパレータ35−1とオイルセパレータ35−2は、コンプレッサ31Cから膨張弁34までの循環配管10に配置されている。なお、オイルセパレータ35−1等は、独立して構成されていてもよく、コンプレッサ31C、気液分離器、アキュムレータ、熱交換器等に組み込まれていてもよい。
【0066】
なお、本実施形態の場合、熱媒体が循環配管10内を流れる方向は、双方向であり、その向きは切換えにより設定される。コンプレッサ31Cから膨張弁34までの循環配管10に潤滑油回収手段を配置する位置も、それに合わせてコンプレッサ31Cから膨張弁34までの双方の経路の循環配管10に設けている。実施形態では、循環配管10において、コンプレッサ31Cから膨張弁34までの第1の経路の循環配管10に、オイルセパレータ35−1が配置され、第2の経路の循環配管10に、オイルセパレータ35−2が配置されている。このように、コンプレッサ31Cが双方向に熱媒体を循環させる場合であっても、コンプレッサ31Cの下流側にオイルセパレータ35−1とオイルセパレータ35−2の何れかが配置されており、潤滑油の回収が可能である。
【0067】
これにより、実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することの他、熱媒体に混入する潤滑油を適宜回収することができる。
【0068】
(第2の実施形態の変形例)
第2の実施形態では、2つのオイルセパレータ(潤滑油回収手段)を、コンプレッサ31Cを挟んで配置する事例について説明した。これに代えて、明示的な潤滑油回収手段を1つにする場合について例示する。
【0069】
本来単方向(以下、順方向という。)に熱媒体を吐出する用途に適したコンプレッサ31Cでは、コンプレッサ31C内部に潤滑油回収手段を備えているものが有る。この潤滑油回収手段が有効に機能する場合は、順方向に熱媒体を吐出するときである。このようなコンプレッサ31Cでは、熱媒体を逆方向に循環させた場合の潤滑油の回収性能が十分ではないことが有る。そこで、上記のようなコンプレッサ31Cを用いる場合には、熱媒体を逆方向に循環させている状態で、コンプレッサ31Cより下流側の循環配管10に、潤滑油回収手段としてのオイルセパレータ35−2を配置するとよい。
【0070】
上記の変形例によれば、コンプレッサ31C内で回収しきれずに、熱媒体に混入して吐出された潤滑油を、コンプレッサ31Cより下流側に配置されたオイルセパレータ35−2により、それを分離することができる。
【0071】
少なくとも上記の実施形態によれば、熱媒体が循環する循環配管と、前記熱媒体と第1熱交換対象流体とを熱交換させる第1の熱交換器と、前記熱媒体と第2熱交換対象流体とを熱交換させる第2の熱交換器と、前記熱媒体を吐出可能な第1ポートと第2ポートとを有し、前記熱媒体の循環量を調整する駆動元の動力により前記熱媒体を吐出するポートが定まる圧縮機ユニットと、前記圧縮機ユニットを駆動する駆動部と、前記熱媒体を膨張させる膨張弁と、を備え、前記循環配管には、前記第1の熱交換器、前記圧縮機ユニット、前記第2の熱交換器、及び前記膨張弁が順に配置され、前記圧縮機ユニットは、前記熱媒体を前記第1の熱交換器に向けて吐出する第1モードと、前記熱媒体を前記第2の熱交換器に向けて吐出する第2モードとのうちから選択されたモードで機能することにより、簡易な構造で温度を調整するための運転モードを切換えることができる。
【0072】
以上で、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、その
要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
(1)本発明の実施形態に係る空気調和装置は、熱媒体が循環する循環配管と、前記熱媒体と第1熱交換対象流体とを熱交換させる第1の熱交換器と、前記熱媒体と第2熱交換対象流体とを熱交換させる第2の熱交換器と、