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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-76635(P2019-76635A)
(43)【公開日】2019年5月23日
(54)【発明の名称】ゲームプログラム及びゲームシステム
(51)【国際特許分類】
   A63F 13/56 20140101AFI20190426BHJP
   A63F 13/80 20140101ALI20190426BHJP
   A63F 13/525 20140101ALI20190426BHJP
   A63F 13/573 20140101ALI20190426BHJP
【FI】
   A63F13/56
   A63F13/80 Z
   A63F13/525
   A63F13/573
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-207587(P2017-207587)
(22)【出願日】2017年10月26日
(11)【特許番号】特許第6509302号(P6509302)
(45)【特許公報発行日】2019年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000129149
【氏名又は名称】株式会社カプコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 晃史
(57)【要約】
【課題】ユーザが操作するキャラクタによる投擲を直感的な操作によって実現すると共に、投擲が行われる際にユーザに与える違和感を低減する。
【解決手段】ゲームプログラムは、コンピュータを、キャラクタが行動する仮想空間を生成する仮想空間生成手段、ユーザの操作に応じて仮想カメラの視線方向を上下方向に変更する視線方向変更手段、及び、ユーザの操作に応じて、キャラクタに投げられた投擲オブジェクトがキャラクタから所定の距離だけ離れた到達点に到達するように、キャラクタによる投擲オブジェクトの投擲を実行する投擲手段、として機能させ、投擲手段は、投擲オブジェクトの投擲時におけるキャラクタの投擲モーションを視線方向に応じて決定するモーション決定手段、及び、キャラクタに投げられた投擲オブジェクトの到達点に到達するまでの軌道を、投擲モーションに応じて決定する軌道決定手段、を含む。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想カメラで撮影した仮想空間をゲーム画面として表示する表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部とを備えるコンピュータと、を備えたゲームシステムにおいて、前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、
前記コンピュータを、
キャラクタが行動する前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、
ユーザの操作に応じて前記仮想カメラの視線方向を上下方向に変更する視線方向変更手段、及び、
ユーザの操作に応じて、前記キャラクタに投げられた投擲オブジェクトが前記キャラクタから所定の距離だけ離れた到達点に到達するように、前記キャラクタによる前記投擲オブジェクトの投擲を実行する投擲手段、
として機能させ、
前記投擲手段は、前記投擲オブジェクトの投擲時における前記キャラクタの投擲モーションを前記視線方向に応じて決定するモーション決定手段、及び、
前記キャラクタに投げられた前記投擲オブジェクトの前記到達点に到達するまでの軌道を、前記投擲モーションに応じて決定する軌道決定手段、を含み、
前記モーション決定手段は、
前記視線方向が前記仮想カメラから延びる基準方向よりも上方に向けられる場合、前記投擲モーションを、前記キャラクタが上手投げにより前記投擲オブジェクトを投げるモーションに決定し、
前記視線方向が前記基準方向よりも下方に向けられる場合、前記キャラクタが下手投げにより前記投擲オブジェクトを投げるモーションに決定する、ゲームプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータを、
前記キャラクタの姿勢を変更する姿勢変更手段、として機能させ、
前記モーション決定手段は、前記キャラクタの姿勢に応じて、前記仮想空間における水平面に対する前記基準方向の角度を変更する、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、
前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備えた、ゲームシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの操作に応じて仮想空間内のキャラクタが動作するゲームを実現するゲームプログラム及びゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの操作に応じて、仮想空間内のキャラクタを移動させたり所定の動作を行わせたりするゲームが存在する。例えばユーザの操作に応じて、キャラクタに投擲可能なオブジェクト(以下、「投擲オブジェクト」と称する。)を投げさせるゲームがある。例えば、特許文献1には、この種のゲームとして、タッチスクリーンを有するモバイル機器でプレイされ、ユーザがタッチスクリーンをスワイプ操作することにより、仮想空間内のキャラクタが敵に投擲オブジェクトを投げつけるゲームが開示されている。
【0003】
より具体的に説明すると、このゲームでは、ユーザがタッチスクリーン上で投擲オブジェクトを横切って指をスワイプすることによって、仮想空間内のキャラクタにより敵に対して投擲オブジェクトが投げつけられる。そのときの投擲オブジェクトの軌道は、タッチスクリーンに対するスワイプの長さなどにより決定される。これにより、特許文献1のゲームは、投げられた投擲オブジェクトの軌道を、ユーザがスワイプ操作によって直感的に決定できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−144239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のゲームには、ユーザが操作するキャラクタが投擲オブジェクトを投げる場合に、当該キャラクタの投擲モーションがゲーム画面上の映像を通じてユーザに視認されるゲームもある。そのようなゲームの場合は、仮に特許文献1のようにして投擲軌道のみが変えられたとしても、軌道の変化に対してキャラクタの投擲動作が整合せず、ユーザに違和感を生じさせてしまう。
【0006】
そこで本発明は、ユーザが操作するキャラクタによる投擲を直感的な操作によって実現すると共に、投擲が行われる際にユーザに与える違和感を低減することができるゲームプログラム及びゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係るゲームプログラムは、仮想カメラで撮影した仮想空間をゲーム画面として表示する表示部と、ユーザによる操作を受け付ける操作部とを備えるコンピュータと、を備えたゲームシステムにおいて、前記コンピュータに実行させるゲームプログラムであって、前記コンピュータを、キャラクタが行動する前記仮想空間を生成する仮想空間生成手段、ユーザの操作に応じて前記仮想カメラの視線方向を上下方向に変更する視線方向変更手段、及び、ユーザの操作に応じて、前記キャラクタに投げられた投擲オブジェクトが前記キャラクタから所定の距離だけ離れた到達点に到達するように、前記キャラクタによる前記投擲オブジェクトの投擲を実行する投擲手段、として機能させ、前記投擲手段は、前記投擲オブジェクトの投擲時における前記キャラクタの投擲モーションを前記視線方向に応じて決定するモーション決定手段、及び、前記キャラクタに投げられた前記投擲オブジェクトの前記到達点に到達するまでの軌道を、前記投擲モーションに応じて決定する軌道決定手段、を含み、前記モーション決定手段は、前記視線方向が前記仮想カメラから延びる基準方向よりも上方に向けられる場合、前記投擲モーションを、前記キャラクタが上手投げにより前記投擲オブジェクトを投げるモーションに決定し、前記視線方向が前記基準方向よりも下方に向けられる場合、前記キャラクタが下手投げにより前記投擲オブジェクトを投げるモーションに決定する。
【0008】
上記のゲームプログラムによれば、上投げを選択する場合には仮想カメラの視線方向を上方に向け、下投げを選択する場合には仮想カメラの視線方向を下方に向けるという直感的な操作により、キャラクタの投擲モーションを使い分けることができる。さらに、投擲モーションに応じて投擲オブジェクトの軌道が決定されるため、ユーザ操作により変更された視線方向と、キャラクタの投擲モーションと、投擲オブジェクトの軌道とが整合する。このため、投擲が行われる際にユーザに与える違和感を低減することができる。
【0009】
上記のゲームプログラムは、前記コンピュータを、前記キャラクタの姿勢を変更する姿勢変更手段、として機能させ、前記モーション決定手段は、前記キャラクタの姿勢に応じて、前記仮想空間における水平面に対する前記基準方向の角度を変更してもよい。このゲームプログラムによれば、キャラクタの姿勢に応じて投擲モーションを判定するための基準方向の角度を変更するため、キャラクタの姿勢に適したキャラクタの投擲動作を表現することができる。これにより、キャラクタの投擲にリアリティをもたせることができる。
【0010】
また、本発明に係るゲームシステムは、上記のゲームプログラムを記憶したプログラム記憶部と、前記プログラム記憶部に記憶されたプログラムを実行するコンピュータとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ユーザが操作するキャラクタによる投擲を直感的な操作によって実現すると共に、投擲が行われる際にユーザに与える違和感を低減することができるゲームプログラム及びゲームシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係るゲームシステムのハードウェア構成を示すブロック図である。
図2図1に示すゲーム装置の機能的な構成を示すブロック図である。
図3】キャラクタの視線方向を変更可能な範囲とキャラクタの姿勢について説明するための図である。
図4】キャラクタが投擲オブジェクトを投擲する際のゲーム画面の例を示す図である。
図5】キャラクタに投げられた投擲オブジェクトの軌道の例を示す図である。
図6】投擲処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係るゲームプログラムおよびゲームシステムについて、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
[ハードウェア構成]
図1は、ゲームシステム1のハードウェア構成を示すブロック図である。ゲームシステム1は、ゲーム装置2及びサーバ装置3を備えている。ゲーム装置2は、他のゲーム装置2及びサーバ装置3との間で、インターネット又はLANなどの通信ネットワークNWを介して互いに通信可能である。このゲーム装置2は、その動作を制御するコンピュータであるCPU10を備え、このCPU10にはバス11を介して、ディスクドライブ12、メモリカードスロット13、記憶部(プログラム記憶部)を成すHDD14及びROM15、並びにRAM16が接続されている。
【0015】
ディスクドライブ12には、DVD−ROM等のディスク型記録媒体30が装填可能である。該ディスク型記録媒体30には、本実施の形態に係るゲームプログラム30a及びゲームデータ30bが記録されている。このゲームデータ30bには、各キャラクタや仮想空間の形成に必要なデータ、及び、ゲーム中で再生されるサウンドデータなど、本ゲームの進行に必要な各種のデータが含まれる。また、メモリカードスロット13にはカード型記録媒体31が装填でき、ゲームの途中経過等のプレイ状況を示すセーブデータを、CPU10からの指示に応じて記録可能である。
【0016】
HDD14はゲーム装置2が内蔵する大容量記録媒体であって、ディスク型記録媒体30から読み込んだゲームプログラム30a及びゲームデータ30b、更にはセーブデータ等を記録する。ROM15は、マスクROM又はPROMなどの半導体メモリであり、ゲーム装置2を起動する起動プログラムや、ディスク型記録媒体30が装填されたときの動作を制御するプログラムなどを記録している。RAM16は、DRAM又はSRAMなどから成り、CPU10が実行すべきゲームプログラム30aや、その実行の際に必要になるゲームデータ30bなどを、ゲームのプレイ状況に応じてディスク型記録媒体30又はHDD14から読み込んで一時的に記録する。
【0017】
また、CPU10には更に、バス11を介してグラフィック処理部17、オーディオ合成部20、無線通信制御部23、及びネットワークインタフェース26が接続されている。
【0018】
このうちグラフィック処理部17は、CPU10の指示に従って仮想ゲーム空間や各キャラクタ等を含むゲーム画像を描画する。すなわち、仮想空間中に設定した仮想カメラの位置、向き、ズーム率(画角)等を調整し、仮想空間を撮影する。そして、撮影した画像をレンダリング処理し、表示用の二次元のゲーム画像を生成する。また、グラフィック処理部17には、ビデオ変換部18を介して外部のディスプレイ(表示部)19が接続されている。グラフィック処理部17にて描画されたゲーム画像は、ビデオ変換部18において動画形式に変換され、このディスプレイ19にて表示される。
【0019】
オーディオ合成部20は、CPU10の指示に従って、ゲームデータ30bに含まれるデジタル形式のサウンドデータを再生及び合成する。また、オーディオ合成部20にはオーディオ変換部21を介して外部のスピーカ22が接続されている。従って、オーディオ合成部20にて再生及び合成されたサウンドデータは、オーディオ変換部21にてアナログ形式にデコードされ、スピーカ22から外部へ出力される。その結果、本ゲームをプレイしているユーザは、再生されたサウンドを聴取することができる。
【0020】
無線通信制御部23は、2.4GHz帯の無線通信モジュールを有し、ゲーム装置2に付属するコントローラ24との間で無線により接続され、データの送受信が可能となっている。ユーザは、このコントローラ24に設けられたボタン等の操作部を操作することにより、ゲーム装置2へ信号を入力することができ、ディスプレイ19に表示されるキャラクタの動作を制御する。
【0021】
ネットワークインタフェース26は、インターネット又はLANなどの通信ネットワークNWに対してゲーム装置2を接続するものであり、他のゲーム装置2及びサーバ装置3との間で通信可能である。そして、ゲーム装置2を、通信ネットワークNWを介して他のゲーム装置2と接続し、互いにデータを送受信することにより、同一の仮想空間内で同期して複数のキャラクタを表示させることができる。従って、複数人が共同してゲームを進行させるマルチプレイが可能になっている。
【0022】
[ゲーム装置の機能的構成]
図2は、ゲームシステム1が備えるゲーム装置2の機能的な構成を示すブロック図である。ゲーム装置2は、本発明のゲームプログラム30aを実行することで、仮想空間生成手段41、視線方向変更手段42、姿勢変更手段43、及び投擲手段44として機能する。なお、このような各機能は、ハード的には図1に示すCPU10,HDD14,ROM15,RAM16,グラフィック処理部17,ビデオ変換部18、オーディオ合成部20、オーディオ変換部21、無線通信制御部23等から構成されている。
【0023】
仮想空間生成手段41は、所定の広がりを有する三次元の仮想空間を生成する。この仮想空間には、コントローラ24の操作によりユーザが直接的にその行動を制御することのできるプレイヤキャラクタが存在している。以下の説明では、プレイヤキャラクタを単に「キャラクタ」と称する。
【0024】
また、仮想空間には、当該仮想空間を撮像するための仮想カメラが配置される。仮想カメラで撮影された画像は、ゲーム画面としてディスプレイ19に表示される。仮想カメラの位置は、仮想空間内を移動するキャラクタに追従して変更される。本実施形態では、キャラクタの視点(一人称視点)での映像がディスプレイ19に表示されるよう、仮想カメラがキャラクタに追従する。即ち、キャラクタの頭部に仮想空間を撮像するための仮想カメラが配置される。キャラクタが仮想空間内を移動すると、仮想カメラもそれに応じて移動する。
【0025】
視線方向変更手段42は、コントローラ24に対するユーザの操作に応じて、キャラクタ及び仮想カメラの双方の視線方向を上下左右に変更する。
【0026】
姿勢変更手段43は、コントローラ24に対するユーザの操作に応じて、キャラクタの姿勢を変更する。本実施形態では、姿勢変更手段43は、キャラクタの姿勢を、足を伸ばした状態で立った姿勢である第1姿勢と、足を曲げて腰を低くした姿勢である第2姿勢との間で変更する。第1姿勢にあるキャラクタの頭部の高さは、第2姿勢にあるキャラクタの頭部の高さより高い。
【0027】
図3は、仮想カメラ52の視線方向Gを上下方向に変更可能な範囲とキャラクタ51の姿勢について説明するための図である。図3(A)は、第1姿勢にあるキャラクタ51を側方から見た模式図であり、図3(B)は、第2姿勢にあるキャラクタ51を側方から見た模式図である。なお、図3(A)及び図3(B)において、キャラクタ51の頭部に配置される仮想カメラ52を破線で示す。
【0028】
ユーザの操作により仮想カメラ52の視線方向Gを上下方向に変更できる範囲(以下、「変更可能範囲」と称する。)は、予め規定されている。本実施形態では、変更可能範囲は、水平面PHに対する仮想カメラ52の視線方向Gのなす角θが、下記の式(1)を満たす範囲である。
θMIN<θ<θMAX ・・・(1)
本明細書では、水平面PHに対する仮想カメラ52の視線方向Gのなす角θについて、水平面PHに対して視線方向Gが上側に傾斜するときをプラスの角度、下側に傾斜するときをマイナスの角度で示すこととする。視線方向Gを示す角度θは、水平面PHを基準に設定しなくてもよい。また、後述の角度θcや角度αについても同様に規定する。本実施形態では、例えばθMAX=45°、θMIN=−45°に規定される。
【0029】
姿勢変更手段43がキャラクタ51の姿勢を第1姿勢と第2姿勢との間で変更すると、仮想カメラ52はキャラクタ51の頭部に追従して、仮想カメラ52の位置(より詳細には、仮想空間Sにおけるキャラクタ51の接地面54からの仮想カメラ52の高さ)が変更される。なお、本実施形態では、キャラクタ51が第1姿勢にある場合と第2姿勢にある場合とで、視線方向Gの変更可能範囲は同じであるが、互いに異なってもよい。
【0030】
投擲手段44は、ユーザの操作に応じてキャラクタ51による投擲オブジェクトの投擲を実行する。投擲オブジェクトは、特に限定されず、キャラクタ51が投げられるものであればよい。例えば投擲オブジェクトは、グレネードなど、キャラクタ51が所有する投擲可能なアイテムである。投擲手段44は、モーション決定手段45及び軌道決定手段46を含む。
【0031】
モーション決定手段45は、投擲オブジェクトの投擲時におけるキャラクタ51の投擲モーションを視線方向Gに応じて決定する。具体的には、図3(A)及び図3(B)に示すように、それぞれ、キャラクタ51の姿勢に応じて、仮想カメラ52からその前方に延びる基準方向PA,PBが規定される。モーション決定手段45は、視線方向Gが仮想カメラ52から延びる基準方向PA又はPBよりも上方に向けられる場合、投擲モーションを、キャラクタ51が上手投げにより投擲オブジェクトを投げるモーションに決定する。また、モーション決定手段45は、視線方向Gが基準方向PA又はPBより下方に向けられる場合、キャラクタ51が下手投げにより投擲オブジェクトを投げるモーションに決定する。
【0032】
図4は、キャラクタ51が投擲オブジェクト53を投擲する際にディスプレイ19に表示されるゲーム画面の例を示す図である。図4(A)には、キャラクタ51が上手投げで投擲オブジェクト53を投擲する際のゲーム画面が示され、図4(B)には、キャラクタ51が下手投げで投擲オブジェクト53を投擲する際のゲーム画面が示される。上述したように、本実施形態では、キャラクタ51の視点での映像がゲーム画面として表示されるため、ゲーム画面にはキャラクタの全体像は表示されない。このため、キャラクタ51が投擲オブジェクト53を投擲する際のゲーム画面には、キャラクタの腕が映し出される。ユーザには、ゲーム画面上に表示されたキャラクタ51の腕の動きや位置などにより、キャラクタ51の投擲モーションが上手投げか下手投げかが知覚される。
【0033】
図3に戻って、モーション決定手段45は、キャラクタ51の姿勢に応じて、仮想空間Sにおける水平面PHに対する基準方向の角度を変更する。本実施形態では、図3(A)に示すように、キャラクタ51が第1姿勢にある場合の基準方向PAは、水平面PHに対して下方に所定の角度|θc|(例えば10°)だけ傾斜する。他方、図3(B)に示すように、キャラクタ51が第2姿勢にある場合の基準方向PBは、水平面PHに平行である。
【0034】
軌道決定手段46は、キャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53の軌道を決定する。図5(A)及び図5(B)に、第1姿勢をとるキャラクタ51が投げた投擲オブジェクト53の軌道の例を示す。軌道決定手段46による投擲オブジェクト53の軌道の決定方法について、図5(A)及び図5(B)を参照しながら説明する。
【0035】
図5(A)では、仮想カメラ52の視線方向Gが基準方向PAより上方に向けられている。このため、キャラクタ51の投擲モーションは上手投げである。また、図5(B)では、仮想カメラ52の視線方向Gが基準方向PAより下方に向けられている。このため、キャラクタ51の投擲モーションは下手投げである。
【0036】
本実施形態では、キャラクタ51によって投げられた投擲オブジェクト53の目標到達地点は、視線方向Gによらず一定である。具体的には、投擲手段44は、キャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53がキャラクタ51から所定の距離Lだけ前方に離れた到達点55に到達するように、キャラクタ51による投擲オブジェクト53の投擲を実行する。キャラクタ51から到達点55までの到達距離Lは、キャラクタ51が投擲オブジェクト53を上投げで投げる場合と下投げで投げる場合とで同じである。なお、本実施形態において、到達点55は、水平な接地面54でキャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53が、当該接地面54に最初に接触する地点である。
【0037】
軌道決定手段46は、キャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53の到達点55に到達するまでの軌道Tを、キャラクタ51の投擲モーションに応じて決定する。具体的には、記憶部に、キャラクタ51が上手投げで投げる場合と下手投げで投げる場合のそれぞれについて、キャラクタ51に投げられてから到達点55に到達するまでの投擲オブジェクト53の軌道情報が記憶されている。軌道決定手段46は、キャラクタ51の投擲モーションに応じて、上手投げ用の軌道情報を用いるか、下手投げ用の軌道情報を用いるかを決定する。
【0038】
例えば、上手投げ用の軌道情報には、キャラクタ51が投擲オブジェクト53を上手投げで投げる場合における、投擲オブジェクト53が手から離れるリリース点の高さH1、リリース時の初速度ベクトルV1、その大きさ|V1|、及びリリース時の水平面PHに対する投擲オブジェクト53の飛翔角度α1の1つ又は複数が含まれてもよい。下手投げ用の軌道情報には、キャラクタ51が投擲オブジェクト53を下手投げで投げる場合における、投擲オブジェクト53が手から離れるリリース点の高さH2、リリース時の初速度ベクトルV2、その大きさ|V2|、及びリリース時の水平面PHに対する投擲オブジェクト53の飛翔角度α2の1つ又は複数が含まれてもよい。
【0039】
なお、上手投げ用の軌道情報と下手投げ用の軌道情報に含まれるこれらパラメータの1つ又は複数は、同じ値であってもよい。例えば、上手投げの場合の初速度ベクトルV1の大きさ|V1|と、下手投げの場合の初速度ベクトルV2の大きさ|V2|とは同じであってもよい。例えば、上手投げの場合のリリース点の高さH1と下手投げの場合のリリース点の高さH2は同じであってもよい。
【0040】
投擲手段44により実行される投擲処理について、図6を参照しながら説明する。図6は、投擲処理の流れを示すフローチャートである。
【0041】
投擲処理は、コントローラ24に対する投擲処理を実行するためのユーザの操作によって開始される。投擲処理では、まず投擲手段44は、キャラクタ51の姿勢に関する姿勢情報を取得する(ステップS1)。具体的には、投擲手段44は、キャラクタ51が第1姿勢にあるか第2姿勢にあるかに関する情報を取得する。
【0042】
次に、投擲手段44は、仮想カメラ52の視線方向Gに関する視線方向情報を取得する(ステップS2)。具体的には、投擲手段44は、水平面PHに対してキャラクタ51の視線方向Gのなす角θを取得する。
【0043】
これら姿勢情報及び視線方向情報を取得した後、モーション決定手段45は、姿勢情報に応じた基準方向の角度を取得する。そして、モーション決定手段45は、取得した基準方向より視線方向Gが上方に向けられているか否かを判定する(ステップS3)。キャラクタ51の視線方向Gが上方に向けられていると判定した場合(ステップS3:Yes)、モーション決定手段45は、投擲モーションを上手投げに決定する(ステップS4)。キャラクタ51の視線方向Gが上方に向けられていないと判定した場合(ステップS3:No)、モーション決定手段45は、投擲モーションを下手投げに決定する(ステップS5)。
【0044】
例えば、モーション決定手段45は、キャラクタ51が第1姿勢にあると判定すると、第1姿勢に対応する基準方向PAの水平面PHに対する角度θc(例えば−10°)を取得する。その後、当該角度θcより視線方向Gの水平面PHに対する角度θが大きいか否かを判定し、角度θが角度θcより大きい場合には投擲モーションを上手投げに決定する。
【0045】
ステップS4及びS5で投擲モーションを決定した後、軌道決定手段46は、キャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53の到達点55に到達するまでの軌道Tを、投擲モーションに応じて決定する(ステップS6)。
【0046】
投擲手段44は、モーション決定手段45が決定した投擲モーション、及び軌道決定手段46が決定した投擲オブジェクト53の軌道Tに基づき、キャラクタ51の投擲を実行する(ステップS7)。
【0047】
以上に示したように、本実施形態に係るゲームシステム1では、上投げを選択する場合には仮想カメラ52の視線方向Gを上方に向け、下投げを選択する場合には仮想カメラ52の視線方向Gを下方に向けるという直感的な操作により、キャラクタ51の投擲時の動作を使い分けることができる。さらに、投擲モーションに応じて投擲オブジェクト53の軌道Tが決定されるため、ユーザ操作により変更された視線方向Gと、キャラクタ51の投擲モーションと、投擲オブジェクト53の軌道Tとが整合する。このため、投擲が行われる際にユーザに与える違和感を低減することができる。
【0048】
また、本実施形態では、キャラクタ51の姿勢に応じて投擲モーションを判定するための基準方向の角度θcを変更するため、キャラクタ51の姿勢に適したキャラクタ51の投擲動作を表現することができる。これにより、キャラクタ51の投擲にリアリティをもたせることができる。
【0049】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態では、キャラクタ51の視点での映像がディスプレイ19に表示される一人称視点のゲームが説明されたが、本発明は、三人称視点のゲームにも適用可能である。例えば、仮想カメラ52をキャラクタ51の後方などに配置して、キャラクタ51が仮想空間S内を移動するときに、仮想カメラ52もそれに応じて移動させてもよい。また、本発明を三人称視点のゲームに適用する場合、視線方向変更手段42は、ユーザの操作に応じて仮想カメラ52の視線方向Gを変更すればよく、キャラクタ51の視線方向については変更しなくてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、視線方向変更手段42が、コントローラ24に対するユーザの操作に応じて、仮想カメラ52の視線方向Gを上下左右に変更したが、少なくても仮想カメラ52の視線方向Gを上下方向に変更すればよく、左右方向に変更しなくてもよい。
【0052】
また、ゲームシステム1は、ディスプレイ19の代わりに、ユーザの頭の傾きを検出する検出部を有し、且つユーザの頭に装着されるヘッドマウントディスプレイを含んでもよい。この場合、仮想カメラ52の視線方向Gの変更をユーザから受け付ける操作部は、コントローラ24ではなく、ヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、姿勢変更手段43が、キャラクタ51の姿勢を、第1姿勢と第2姿勢との間で変更したが、例えばキャラクタ51が腹這いになった姿勢など、第1姿勢及び第2姿勢以外のキャラクタ51の姿勢も用意して、変更できるようにしてもよい。
【0054】
また、軌道決定手段46による投擲オブジェクト53の軌道の決定方法は、上記実施形態で説明された方法に限定されず、投擲モーションに応じて決定するいかなる方法であってもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、モーション決定手段45が、キャラクタ51の姿勢に応じて、仮想空間Sにおける水平面PHに対する基準方向の角度を変更したが、本発明はこれに限定されない。即ち、キャラクタ51が第1姿勢にある場合の基準方向PAの水平面PHに対する傾斜角は、キャラクタ51が第2姿勢にある場合の基準方向PBの水平面PHに対する傾斜角と同じでもよい。また、ゲーム装置2は、姿勢変更手段43として機能しなくてもよい。例えば、キャラクタ51は、投擲オブジェクト53を投擲する際に常に第1姿勢で投擲してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、到達点55は、投げられた投擲オブジェクト53が接地面54に最初に接触する地点であったが、例えば到達点55は、水平な所定の接地面54でキャラクタ51に投げられた投擲オブジェクト53が、当該接地面54に接触して転がった後に最終的に止まる地点であってもよい。
【0057】
また、キャラクタ51から到達点55までの到達距離Lは、キャラクタ51が第1姿勢をとる場合と第2姿勢をとる場合で同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、キャラクタ51が第2姿勢をとる場合の到達距離は、キャラクタ51が第1姿勢をとる場合の到達距離より短くてもよい。
【符号の説明】
【0058】
41 :仮想空間生成手段
42 :視線方向変更手段
43 :姿勢変更手段
44 :投擲手段
45 :モーション決定手段
46 :軌道決定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6