【実施例】
【0057】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下、「部」及び「%」とあるのは特に断らない限り質量基準である。
【0058】
<顔料分散剤の調製>
(実施例1)
水100部に、塩化シアヌル14.8部、4’−アミノアセトアニリド12部、及び酢酸9.6部を加え、0〜10℃で1時間反応させた。N,N−ジメチルアミノプロピルアミン24.5部を加えて70〜80℃で2時間反応させた後、濃塩酸33部をさらに加えた。90〜100℃で1時間反応させて脱アセチル化した後、0〜10℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム6部を加えてジアゾ化してジアゾニウム塩の溶液を得た。一方、N−(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド30.5部及び水酸化ナトリウム26部をメタノール800部に溶解させて溶液を調製した。調製した溶液にジアゾニウム塩の溶液を加え、20〜30℃で5時間カップリング反応させた。ろ過及び水洗した後、乾燥して、下記式(A)で表される青紫色の顔料分散剤(A)49部を得た。
【0059】
【0060】
MALDI(マトリックス支援レーザー脱離イオン化法)を用いた質量分析により、分子量780.94のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィー(MODEL860−CO(日本分光社製)、カラム:YMCPack Pro C18(ワイエムシー社製))を使用して測定した純度は91%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0061】
(実施例2)
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン24.5部に代えて、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン31部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(B)で表される青紫色の顔料分散剤(B)53部を得た。
【0062】
【0063】
MALDIを用いた質量分析により、分子量837.05のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は91%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0064】
(実施例3)
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン24.5部に代えて、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン45部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(C)で表される青紫色の顔料分散剤(C)61部を得た。
【0065】
【0066】
MALDIを用いた質量分析により、分子量949.27のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は92%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0067】
(実施例4)
N−(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド30.5部に代えて、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド31.7部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(D)で表される青紫色の顔料分散剤(D)51部を得た。
【0068】
【0069】
MALDIを用いた質量分析により、分子量794.97のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は93%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0070】
(実施例5)
N−(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド30.5部に代えて、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド31.7部を用いたこと、及びN,N−ジメチルアミノプロピルアミン24.5部に代えて、N,N−ジエチルアミノプロピルアミン31部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(E)で表される青紫色の顔料分散剤(E)55部を得た。
【0071】
【0072】
MALDIを用いた質量分析により、分子量851.08のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は94%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0073】
(実施例6)
N−(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド30.5部に代えて、N−(2−メチル−4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシ−11H−ベンゾ[a]カルバゾール−3−カルボアミド31.7部を用いたこと、及びN,N−ジメチルアミノプロピルアミン24.5部に代えて、N,N−ジブチルアミノプロピルアミン45部を用いたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、下記式(F)で表される青紫色の顔料分散剤(F)62部を得た。
【0074】
【0075】
MALDIを用いた質量分析により、分子量963.29のピークが検出された。また、高速液体クロマトグラフィーを使用して測定した純度は93%であった。用いた原材料、質量分析の結果、及び高速液体クロマトグラフィーの結果から、目的とする構造の化合物が得られたことを確認した。
【0076】
<黒色顔料分散液の調製>
(実施例7)
[黒色顔料の微細化粉末の調製]
加圧蓋を装着したニーダーに、黒色顔料(黒色アゾ顔料、商品名「クロモファインブラックA1103」、大日精化工業社製)100部、塩化ナトリウム粉末500部、及びジエチレングリコール50部を仕込んだ。均一に湿潤された塊ができるまで予備混合した後、加圧蓋を閉じ、圧力6kg/cm
2で押さえ込みながら、92〜98℃となるように温度管理しながら内容物を2時間混練及び摩砕した。得られた摩砕物を80℃に加温した水3,000部に入れ、1時間撹拌した後、ろ過及び水洗して塩化ナトリウムとジエチレングリコールを除去し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキにノニオン性界面活性剤(顔料に対して200%の量)を添加するとともに水で希釈した後、超音波分散処理して顔料分散液を調製した。粒度測定機器(商品名「ModelN−4」、コールター社製)を使用して測定した顔料分散液中の微粒子の平均粒子径は、約90nmであった。プレスケーキを乾燥及び粉砕して、黒色顔料の微細化粉末を得た。
【0077】
[黒色顔料分散液の調製]
黒色顔料の微細化粉末25部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1.5部、ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体(モル比:60/20/20、重量平均分子量30,000)10部、酸性の高分子顔料分散剤(商品名「DISPERBYK−110」、ビックケミー社製、固形分52%)5部、及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート65部を混合した。プレミキシングした後、横型ビーズミルを用いて分散処理し、黒色顔料分散液(実施例7)を得た。
【0078】
(実施例8〜12)
顔料分散剤(A)に代えて顔料分散剤(B)〜(F)を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(実施例8〜12)を得た。
【0079】
(比較例1)
顔料分散剤(A)を用いなかったこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(比較例1)を得た。
【0080】
(比較例2)
顔料分散剤(A)に代えて、特許文献7に記載のジ(4−メチル−ピペリジノ−1−スルホニル)銅フタロシアニン(顔料分散剤(G))を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして黒色顔料分散液(比較例2)を得た。
【0081】
<評価>
得られた各黒色顔料分散液について、(1)流動性(貯蔵安定性)、(2)展色面のグロス、及び(3)塗膜中の異物を評価した。評価方法を以下に示す。また、評価結果を表1に示す。
【0082】
(1)流動性(貯蔵安定性)
E型粘度計を使用し、調製直後(初期)と、25℃で1ヶ月間放置した後(放置後)の黒色顔料分散液の粘度(mPa・s)を測定した。測定条件は、温度:室温(25℃)、ローターの回転数:6rpmとした。そして、「放置後粘度/初期粘度(%)」を算出し、以下に示す評価基準にしたがって「貯蔵安定性」を評価した。
○:「放置後粘度/初期粘度」が110%以下
×:「放置後粘度/初期粘度」が110%超
【0083】
(2)展色面のグロス
バーコーター(巻線の太さ0.45mm)を使用して黒色顔料分散液をポリプロピレンフィルムに展色し、展色面を形成した。形成された展色面のグロスを目視により観察するとともに、グロスメーターを使用して観察し、以下に示す評価基準にしたがって「展色面のグロス」を評価した。なお、展色面のグロスが高いものほど良好であると判定することができる。
◎:非常に良好
○:良好
×:不良
【0084】
(3)塗膜中の異物
スピンナーを使用して黒色顔料分散液をガラス基板に塗布した。90℃で2分間乾燥後、230℃で30分間加熱して塗膜を形成した。顕微鏡(200倍)を使用して形成された塗膜の表面(塗布面)を観察して異物の有無を確認し、以下に示す評価基準にしたがって「塗膜中の異物」を評価した。
◎:異物なし
○:わずかに異物あり
×:異物あり
【0085】
【0086】
<CFのBMパターンの形成及び評価>
(実施例13)
(1)感光性黒色レジストインクの調製
実施例7で得た黒色顔料分散液40部、アクリル化アクリルポリオール感光性樹脂60%プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート溶液5部、トリメチロールプロパントリアクリレート2部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3部、光重合開始剤(エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、商品名「イルガキュアOXE02」、BASF社製)1部、及びプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート51部を配合した。高速撹拌機を用いて均一になるように十分撹拌した後、孔径3μmのフィルターでろ過して、感光性黒色レジストインクを調製した。
【0087】
(2)黒色塗膜(レジスト膜)の評価
スピンコーターを用いて感光性黒色レジストインクをガラス基板上に塗布した。60℃で予備乾燥した後、プリベークした。超高圧水銀灯を用いて400mJ/cmの光量で露光した後、230℃で30分間ポストベークして、厚さ2μmの黒色塗膜を形成した。形成した黒色塗膜の可視光領域の長波長側から670nm付近までの光の透過率は20%以下であり、780nmの光の透過率は82%に達し、その後、なだらかに上昇して平衡状態となった。特に、580〜625nm付近の光の透過率は極めて低く、5%以下であった。また、形成した黒色塗膜の体積抵抗率は10
14Ω・cm以上であり、高絶縁性の塗膜であることがわかった。
【0088】
(3)BMパターンの形成
スピンコーターを用いて感光性黒色レジストインクをガラス基板上に塗布した後、80℃で10分間プリベークして、厚さ2μmの黒色塗膜を形成した。超高圧水銀灯を使用し、BMパターンのネガのフォトマスクパターンを介して100mJ/cmの光量で露光した。アルカリ現像液で現像した後、水洗及び乾燥してBMパターン(BM膜)を形成した。形成したBM膜は高絶縁性の塗膜であることから、例えば、スペーサーの代わり液晶層の厚みを保持するBM膜として用いることができ、IPS方式やCOA方式などの液晶を構築することができる。また、長波長領域までの可視光を十分に吸収するため、LEDバックライトを採用したLCDパネルのBMとして好適に使用することができる。
【0089】
(4)赤色、緑色、青色、黄色、及び紫色の各顔料分散液の調製
クロモファインブラックA1103に代えて、PR254(ジケトピロロピロールレッド顔料)、PR177(アントラキノン系レッド顔料)、PG36(銅フタロシアニングリーン顔料)、PB15:6(ε型銅フタロシアニンブルー顔料)、PY185(黄色顔料)、及びPV23(ジオキサジンバイオレット顔料)をそれぞれ用いるとともに、スルホン基を有する公知の顔料誘導体を用いたこと以外は、前述の実施例7と同様にして各色の顔料分散液を調製した。
【0090】
(5)各色の感光性レジストインクの調製
PR254を用いた顔料分散液と、PR177を用いた顔料分散液とを、8:2の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性赤色レジストインクを調製した。
【0091】
また、PG36を用いた顔料分散液と、PY185を用いた顔料分散液とを、6:4の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性緑色レジストインクを調製した。
【0092】
さらに、PB15:6を用いた顔料分散液と、PV23を用いた顔料分散液とを、8:2の比で配合して配合物を得た。黒色顔料分散液に代えて得られた配合物を用いたこと以外は、前述の感光性黒色レジストインクの場合と同様にして、感光性青色レジストインクを調製した。
【0093】
(6)CFのRGB画素の形成
BMが形成されたガラス基板をスピンコーターにセットした。調製した感光性赤色レジストインクをガラス基板上にスピンコートした後、80℃で10分間プリベークした。超高圧水銀灯を備えたプロキシミティー露光機を使用し、モザイク状のパターンを有するフォトマスクを介して100mJ/cm
2の光量で露光した。専用現像液及び専用リンスを用いて現像及び洗浄した後、乾燥して、モザイク状の赤色のパターンをガラス基板上に形成した。感光性赤色レジストインクに代えて、感光性緑色レジストインク及び感光性青色レジストインクをそれぞれ用いたこと以外は上記と同様にして、モザイク状の緑色のパターン及び青色のパターンを形成した。これにより、BM及びRGB画素が形成されたCFを得た。得られたCFは優れたCF特性を示すものであった。
【0094】
<グラビア印刷インキの調製及び評価>
(実施例14)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末10.5部、実施例1で得た顔料分散剤(A)0.5部、及びイソシアネート末端ポリエステルをジアミンで鎖長延長したポリウレタン樹脂の40%メチルエチルケトン:トルエン(1:3)混合溶媒溶液30部を混合した。カチオン性ポリマー分散剤2部、トリレンジイソシアネートを用いて得たポリカルボジイミド化合物の40%トルエン溶液2.5部、及びメチルエチルケトン:トルエン:イソプロピルアルコール(50:30:20)混合溶媒54.5部を加えた後、高速撹拌機を使用して十分に混合した。ガラスビーズを分散メディアとする横型連続媒体分散機を使用して顔料を分散させて、黒色のグラビア印刷インキを調製した。グラビア印刷機を使用して、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、及びポリプロピレンフィルムに調製したグラビア印刷インキを付与して印刷し、黒色フィルムを得た。得られた黒色フィルムは、いずれも可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過することが可能なものであった。
【0095】
<ポリカーボネート樹脂成形板の製造及び評価>
(実施例15)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末20部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1部、及びポリカーボネート樹脂粉末80部を、ヘンシェルミキサーを使用して十分混合した。次いで、二軸押出機を使用して混合及び混練し、黒色顔料を20%含有するマスターバッチを得た。得られたマスターバッチ2部及びポリカーボネート樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、二軸押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色のポリカーボネート樹脂成形板(黒色プレート)を得た。得られた黒色プレートは可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過するものであり、赤外線透過フィルターなどの用途に使用可能なものであった。
【0096】
<アクリル樹脂成形板の製造及び評価>
(実施例16)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末20部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1部、及びアクリル樹脂(ポリメチルメタクリレート)粉末80部を、ヘンシェルミキサーを使用して十分混合した。次いで、二軸押出混練機を使用して混合及び混練し、黒色顔料を20%含有するマスターバッチを得た。得られたマスターバッチ2部及びアクリル樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色のアクリル樹脂成形板(黒色プレート)を得た。得られた黒色プレートは可視光を遮蔽するとともに、近赤外線を十分に透過するものであり、赤外線透過フィルターなどの用途に使用可能なものであった。
【0097】
<ポリウレタンコーティング剤の調製及び評価>
(実施例17)
(1)ポリウレタンコーティング剤(液)の調製
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末40部、実施例1で得た顔料分散剤(A)2部、及びアジピン酸エステル系可塑剤60部を、三本ロール混練機を使用して十分混練し、黒色顔料の可塑剤分散ペースト(黒色顔料トナー)を得た。また、酸化チタン白色顔料60部及びアジピン酸エステル系可塑剤40部を、三本ロール混練機を使用して十分混練し、白色顔料の可塑剤分散ペースト(白色顔料トナー)を得た。一方、カルボキシ基を有するポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンのメチルエチルケトン分散液(固形分:30%)100部、ポリエーテルポリオール・ジフェニルメタンジイソシアネート系ポリウレタンのメチルエチルケトン溶液(固形分:50%)5部、及びポリカルボジイミド系架橋剤(固形分:20%)2.5部を十分混合して混合物を得た。得られた混合物に黒色顔料トナー1部及び白色顔料トナー6部を添加した後、十分混合して、灰色(グレー)のポリウレタンコーティング液を調製した。
【0098】
また、黒色顔料トナーを用いず、白色顔料トナーのみを用いたこと以外は上記と同様にして、白色のポリウレタンコーティング液を調製した。さらに、白色顔料トナーを用いず、黒色顔料トナーのみを用いたこと以外は上記と同様にして、黒色のポリウレタンコーティング液を調製した。
【0099】
(2)評価
ナイロン織布テント地の表面に調製したグレーのポリウレタンコーティング液を約200g/m
2となるように塗布した後、乾燥して、グレーの加工織布を作製した。作製した加工織布は直射日光の熱線を反射するものであり、昇温を防ぐテントなどの用途に使用することができた。また、調製した白色のポリウレタンコーティング液を下地塗布した後、調製した黒色のポリウレタンコーティング液をトップコートして、二層構造を有するポリウレタン合成皮革を得た。得られた合成皮革は熱線を反射するものであり、自動車の内装などの用途に使用することができた。
【0100】
<原液着色繊維の製造及び評価>
(実施例18)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末50部、実施例1で得た顔料分散剤(A)2.5部、及び滑剤(エチレンビスステアリン酸アミド粉末)50部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合し、顔料分50%の粉末着色剤(ドライカラー)を得た。得られたドライカラー1部及びポリプロピレン樹脂ペレット99部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、ベント式40m/m押出機を使用して混練し、0.5%黒色顔料を0.5%含有する樹脂ペレットを得た。熔融紡糸機を使用して得られた樹脂ペレットを紡糸し、顔料分散性に優れた繊度10デニールの鮮明な黒色のポリプロピレン繊維(原液着色繊維)を得た。得られた原液着色繊維を用いて作製した織布は直射日光の熱線を反射することが可能なものであり、昇温を避ける日傘やカーテンなどの用途に使用することができた。
【0101】
<樹脂成形品の製造及び評価>
(実施例19)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末5部、実施例1で得た顔料分散剤(A)0.1部、酸化チタン白色顔料20部、及びポリエチレン樹脂粉末75部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合し、ドライカラーを得た。得られたドライカラー1部及びポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂ペレット100部を、ヘンシェルミキサーを使用して混合した後、押出機を使用して混練し、黒色の樹脂ペレットを得た。インラインスクリュー射出成型機を使用して得られた樹脂ペレットを成形し、顔料分散性に優れた黒色の樹脂成形板を得た。得られた樹脂成形板は直射日光の熱線を反射することが可能なものであり、昇温を避ける樹脂成形品として使用することができた。
【0102】
<織布用捺染糊の製造及び評価>
(実施例20)
実施例7で得た黒色顔料の微細化粉末25部を含むプレスケーキ71部、実施例1で得た顔料分散剤(A)1.5部、ノニオン系顔料分散剤10部、消泡剤1部、及び水18部を十分に予備混合した。次いで、ガラスビーズを分散メディアとする横型連続媒体分散機を使用して顔料を分散させて、黒色顔料の高濃度分散液(黒色カラーベース)を調製した。調製した黒色カラーベース20部、反応性アクリル酸アルキルエステルラテックス(固形分40%)25部、消泡剤0.5部、分散剤1部、水中油滴型乳化用分散安定剤3部、ミネラルターペン38部、及び水12.5部を、ホモジナイザー(強力乳化分散機)を使用して乳化分散させ、水中油滴型の黒色エマルジョンペーストを得た。得られた黒色エマルジョンペーストにカルボジイミド系の架橋剤(固形分40%)2部を添加して十分に混合し、黒色捺染糊を得た。ポリエステル−綿混紡布上に得られた黒色捺染糊を全面プリントした後、120℃で15分間キュアーして黒色の無地捺染布を得た。得られた無地捺染布は熱線を反射することが可能なものであった。