【解決手段】レンズ駆動装置12は、レンズを支持するためのレンズ支持体20と、前記レンズ支持体20の周囲を囲む枠体22と、前記枠体22に対して前記レンズ支持体20を前記レンズの光軸方向と直交する方向に移動自在に支持する支持機構38と、を有し、前記支持機構38は、支持部44,48及び案内部46,50を有し、前記支持部44,48及び前記案内部46,50は、前記レンズの光軸方向と直交する方向に延びており、前記レンズの光軸方向の断面において、前記支持部44,48が前記案内部46,50の少なくとも2点で接触する。
前記支持機構は、前記レンズの光軸方向の一方に設けられた第1支持機構と、前記レンズの光軸方向の他方に設けられた第2支持機構とから構成され、前記第1支持機構は、第1支持部及び第1案内部とを有し、前記第2支持機構は、前記第2支持部及び第2案内部を有し、前記第1支持部と前記第1案内部とは、前記レンズの光軸方向と直交する一方向に延び、前記第2支持部と前記第2案内部とは、前記レンズの光軸方向と直交し、且つ前記第1支持部及び第1案内部と直交する方向に延びている請求項1記載のレンズ駆動装置。
前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向においては、前記支持部が前記案内部の少なくとも一部で線接触する請求項1又は2記載のレンズ駆動装置。
前記光軸方向支持機構は、前記第2枠体に設けられた第2枠体側支持部と、前記第1枠体に設けられた第1枠体側案内部とを有し、前記第2枠体側支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する方向の断面において、前記第2枠体側支持部が前記第1枠体側案内部の少なくとも2点で接触する請求項7記載のレンズ駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1においては、レンズを支持するためのレンズ支持体と、このレンズ支持体の周囲に設けられた枠体とを有し、レンズ支持体を枠体に対してレンズの光軸方向とは直交する方向に移動自在に支持するため、複数のボールが用いられている。また、従来のレンズ駆動装置は、磁石と、この磁石に対向して磁性部材が設けられ、磁石と磁性部材との間の吸引力により、ボールをレンズ支持体と枠体との間に挟むようにしてある。
【0005】
しかしながら、例えば落下等により、磁石と磁性部材との間の吸引力以上の力がかかると、レンズ支持体がボールから離れ、その後再びレンズ支持体がボールに当たり、ボールが点接触する枠体は衝撃を受け、ボールが当たった部分が凹んだり、亀裂が生じたりし、レンズ支持体のスムーズな移動が確保できなくなるおそれがあるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、レンズ支持体のスムーズな移動を確保することができるレンズ駆動装置、カメラ装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの態様はレンズ駆動装置であり、このレンズ駆動装置は、レンズを支持するためのレンズ支持体と、前記レンズ支持体の周囲を囲む枠体と、前記枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向と直交する方向に移動自在に支持する支持機構と、を有し、前記支持機構は、支持部及び案内部を有し、前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向に延びており、前記レンズの光軸方向の断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触する。
【0008】
好適には、前記支持機構は、前記レンズの光軸方向の一方に設けられた第1支持機構と、前記レンズの光軸方向の他方に設けられた第2支持機構とから構成され、前記第1支持機構は、第1支持部及び第1案内部とを有し、前記第2支持機構は、前記第2支持部及び第2案内部を有し、前記第1支持部と前記第1案内部とは、前記レンズの光軸方向と直交する一方向に延び、前記第2支持部と前記第2案内部とは、前記レンズの光軸方向と直交し、且つ前記第1支持部及び第1案内部と直交する方向に延びている。
【0009】
また、好適には、前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向においては、少なくとも一部で面接触する。
【0010】
また、好適には、前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向においては、前記支持部が前記案内部の少なくとも一部で線接触する。
【0011】
また、好適には、前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向においては、前記支持部が前記案内部の3か所で線接触する。
【0012】
また、好適には、前記レンズ支持体に設けられた磁石と、前記枠体に設けられ、前記磁石に対向する磁性部材と、を有する。
【0013】
また、本発明の他の態様のレンズ駆動装置は、レンズを支持するためのレンズ支持体と、前記レンズ支持体の周囲を囲む第1枠体と、前記第1枠体に対して前記レンズ支持体を前記レンズの光軸方向と直交する方向に移動自在に支持する直交方向支持機構と、前記第1枠体を囲む第2枠体と、前記レンズ支持体及び前記第1枠体を前記レンズの光軸方向に移動自在に支持する光軸方向支持機構と、を有し、前記直交方向支持機構は、支持部及び案内部を有し、前記支持部及び前記案内部は、前記レンズの光軸方向と直交する方向に延びており、前記レンズの光軸方向の断面において、前記支持部が前記案内部の少なくとも2点で接触する。
【0014】
また、好適には、前記光軸方向支持機構は、前記第2枠体に設けられた第2枠体側支持部と、前記第1枠体に設けられた第1枠体側案内部とを有し、前記第2枠体側支持部は、前記レンズの光軸方向に延びており、前記レンズの光軸方向と直交する方向の断面において、前記第2枠体側支持部が前記第1枠体側案内部の少なくとも2点で接触する。
【0015】
本発明の他の態様はカメラ装置であり、このカメラ装置は、前記レンズ駆動装置と、前記レンズ支持体に支持されたレンズとを有する。
【0016】
本発明の他の態様は電子機器であり、この電子機器は、前記カメラ装置を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、支持部及び案内部がレンズの光軸方向と直交する方向に延びており、レンズの光軸方向の断面において、支持部が案内部の少なくとも2点で接触するようにしたので、レンズの光軸方向のレンズ支持体又は枠体に受ける衝撃を少なくし、レンズ支持体のスムーズな移動を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
図1乃至
図10は、本発明の第1実施形態が示されている。
図1は、本発明の第1実施形態に係るカメラ装置10を示す。カメラ装置10は、レンズ駆動装置12と、このレンズ駆動装置12に装着されたレンズ14とを有する。
【0021】
レンズ駆動装置12は、固定体16と、この固定体16に対して移動自在に支持された移動体18とを有する。移動体18は、
図2及び
図3に示すように、レンズ支持体20と、このレンズ支持体20を囲む第1枠体22とを有する。レンズ支持体20及び第1枠体22は、上方から見た外形がほぼ四角形状となっている。
なお、この明細書においては、便宜上、レンズ14の光軸方向をZ方向、光軸方向と直交する方向をX方向、並びにZ方向及びX方向と直交する方向をY方向と称する。また、光軸の被写体側を上側、その反対側で図示しない画像センサが配置される側を下側と称する。
【0022】
レンズ支持体20には、該レンズ支持体20の内側にはZ方向から見て円形のレンズ取付け用孔24が形成され、このレンズ取付け用孔24にレンズ14が取り付けられている。
【0023】
第1枠体22は、第1移動体プレート26、第2移動体プレート28及び第1カバー30とから構成されている。レンズ支持体20、第1移動体プレート26及び第2移動体プレート28は、例えば液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックから作られている。また、第1カバー30は、例えば金属から作られている。第1移動体プレート26、第2移動体プレート28及び第1カバー30には、それぞれ光を通過させるための開口32,34,36が形成されている。開口32,34,36はそれぞれ略円形に形成されている。
【0024】
第1枠体22は、レンズ支持体20をY方向及びX方向に移動自在に支持している。即ち、第1枠体22は、直交方向支持機構38を有し、この直交方向支持機構38を介してレンズ支持体20をXY方向に移動自在であるようにしてある。
【0025】
直交方向支持機構38は、Z方向に隔てて第1支持機構40と第2支持機構42とから構成されている。第1支持機構40は、Z方向下方に設けられ、
図6及び
図7にも示すように、第1移動体プレート26の下面に突出して形成された第1支持部44と、第2移動体プレート28の上面に凹むように形成された第1案内部46とから構成され、該第1支持部44が第1案内部46に嵌っている。第1支持部44と第1案内部46とは、X方向に延びており、第1移動体プレート26及び第2移動体プレート28の4つの角部近傍に形成されている。X方向に延びる第1支持部44と第1案内部46とがY方向には移動を規制するように嵌っているので、第1移動体プレート26は、第2移動体プレート28に対してX方向のみ移動自在であるようになっている。第1支持部44及び第1案内部46は、Y方向に沿ってZ方向で切った断面(
図7参照)において、3つの直交する線で囲まれており、X方向においては、3つの平面(対向する側面及び下面)で面接触している。
【0026】
第2支持機構42は、Z方向上方に設けられ、
図6及び
図7にも示すように、第1移動プレート28の上面に突出して形成された第2支持部48と、レンズ支持体20の下面に凹むように形成された第2案内部50とから構成され、該第2支持部48が第2案内部50に嵌っている。第2支持部48と第2案内部50とは、Y方向に延びており、レンズ支持体20及び第1移動体プレート26の4つの角部近傍に形成されている。Y方向に延びる第2支持部48と第2案内部50とがX方向には移動を規制するように嵌っているので、レンズ支持体20は、第1移動体プレート26に対してY方向のみ移動自在であるようになっている。第2支持部48及び第2案内部50は、X方向に沿ってZ方向で切った断面(
図6参照)において、3つの直交する線で囲まれており、X方向においては、3つの平面(対向する側面及び上面)で面接触している。
【0027】
第1カバー30の四隅には、取付け部52がZ方向の下方へ延びるように設けられている。この取付け部52には、四角形状の取付け孔54が形成されている。また、第2移動体プレート28の四隅には、被取付け部56が側方に突出するように形成されている。この被取付け部56に取付け孔54が嵌り、第1カバー30が第2移動体プレート28に固定されている。この第1カバー30の下面とレンズ支持体20の上面との間は、
図6及び
図7に示すように、公差等で生じる誤差を含んだ必要最小限度の隙間となっており、レンズ支持体20又は第1移動体プレート26の第2移動体プレート28に対するZ方向の移動を規制する。
【0028】
レンズ支持体20の外側には、X方向2面とY方向1面に第1磁石58が固定されている。X方向2面の第1磁石58,58は、X方向にS極とN極が形成されている。また、Y方向1面の第1磁石58はY方向にS極とN極が形成されている。
【0029】
また、第2移動体プレート28の下面でX方向2面には、磁性体からなる第1磁性部材60,60が設けられている。この第1磁性部材60,60は、X方向2面の第1磁石58,58に第2移動体プレート28を挟んでZ方向で対向しており、第1磁石58,58との間には吸引力が生じる。このため、レンズ支持体20と第1移動体プレート26とは、第2移動体プレート28を挟んで吸引され、第1支持部44と第1案内部46及び第2支持部48と第2案内部50とのZ方向での接触を保つようになっている。
【0030】
また、第2移動体プレート28には、Y方向において、第1磁石58が設けられている面とは反対側の外面に第2磁石62が固定されている。この第2磁石62は、Z方向に2分割され、それぞれY方向にS極とN極が形成され、その極性が上下で逆になるように形成されている。
【0031】
次に固定体16と移動体18との関係について説明する。
図1に戻り、固定体16は、第2枠体64を有する。この第2枠体64は、移動体16の第1枠体22の周囲を囲んでいる。この第2枠体64は、ベース66と、第2カバー68とを有する。ベース66及び第2カバー68はそれぞれ樹脂又は非磁性の金属から構成され、上方から見て方形状であり、ベース66の外側に第2カバー68が嵌め込まれて第2枠体64が構成されている。また、ベース66及び第2カバー68には、光を通過させ、或いはレンズ14を挿入するための通孔70,72が形成されている。
【0032】
また、
図4に示すように、ベース66の4つの側面にはそれぞれ開口部74が形成されている。この開口部74を囲むようにフレキシブルプリント基板76がベース66の外側を囲むように配置されている。即ち、
図4及び
図5に示すように、フレキシブルプリント基板76は、ベース66の外形を囲むように四角形状に折り曲げられ、その下部において、Y方向に第1端子部78、及びこの第1端子部78に対向して第2端子部80が形成されている。第1端子部78を介して後述する第1コイル82への通電が制御され、第2端子部80を介して後述する第2コイル84への通電が制御されるが、これに限るものではない。
【0033】
フレキシブルプリント基板76の内側には、X方向2面とY方向1面に第1コイル82が固定されている。また、フレキシブルプリント基板76の内側のY方向他面には第2コイル84が固定されている。さらにフレキブルブルプリント基板76の内側にあって、X方向の一つの第1コイル82の中側にX方向位置検知素子86が配置され、Y方向の第1コイル82の中側にY方向位置検知素子88が配置され、さらに第2コイル84の側方にZ方向位置検知素子90が配置されている。
なお、X方向2面に設けられた第1コイル82,82は、電気的に直列接続されている。
【0034】
第1コイル82、X方向位置検知素子86及びY方向位置検知素子88は、開口部74を介してベース66の内側に臨み、それぞれが第1磁石58に対向している。同様に、第2コイル84及びZ方向位置検知素子90は、開口部74を介してベース66の内側に臨み、第2磁石62に対向している。
【0035】
また、
図1に示すように、フレキシブルプリント基板76の外側には、磁性体からなる第2磁性部材92が設けられている。この第2磁性部材92は、フレキシブルプリント基板76及び第2コイル84を挟んで第2磁石62に対向している。第2磁性部材92は、第2磁石62からの磁束が流れ、第2磁石62と第2磁性部材92との間には吸引力が生じる。このため、移動体18は、固定体16のY方向に吸引力が作用するようになっている。
【0036】
図1及び
図8乃至
図10に示すように、移動体18は、固定体16に対して光軸方向支持機構94によりZ方向に移動自在であるように支持されている。光軸方向支持機構94は、第2枠体64に設けられた第3支持部96と第4支持部98、及び移動体18に設けられた第3案内部100と第4案内部102とから構成されている。第3支持部96と第3案内部100が組み合わされ、第4支持部98と第4案内部102が組み合わされる。
【0037】
第3支持部96及び第4支持部98は、例えばセラミック、金属又は樹脂から成り、この実施形態にあっては、Z方向へ延びる円柱として構成されている。また、第3支持部96及び第4支持部98は、ベース66の第2磁石62側の側面内側にあって、X方向に隔ててそれぞれベース66の角部近傍に設けられている。
なお、第3支持部96及び第4支持部98は、XY方向断面において、円形としたが、円形の一部であってもよいし、円形以外に楕円や多角形状であってもよい。
【0038】
即ち、
図1及び
図8乃至
図10に示すように、ベース66の通孔70の周囲には底面部104が形成され、この底面部104の内側に円筒状の溝として形成された下側固定部106,106が両側に設けられ、この下側固定部106,106に第3支持部96及び第4支持部98の下端が挿入固定されている。また、前述した第2磁性部材92の上端はX方向両端でY方向に折り曲げられて上側固定部108,108が形成され、この上側固定部108,108に形成された挿入孔110,110に第3支持部96及び第4支持部98の上端が挿入固定されて、第3支持部96及び第4支持部98が第2枠体64に固定されている。この実施形態においては、第2磁性部材92が第3支持部96及び第4支持部98の支持機能を兼ねており、別体に支持する部品を設ける場合と比較して部品点数を少なくすることができ、また第3支持部96及び第4支持部98を安定して支持することができる。
【0039】
第3案内部100は、
図8及び
図9に示すように、Z方向に隔てられた第1接触部112と第2接触部114を有する。この実施形態においては、第1接触部112と第2接触部114は円形の孔として形成され、第3支持部96の外面とは、第3支持部96のXY方向の断面において、360度周方向に接触するようになっている。
【0040】
第4案内部102は、
図8及び
図10に示すように、XY方向の断面において、Y方向で対向する2つの壁面から構成されている。この第4案内部102は、両側の壁面が第4支持部98側へ曲面状に突出する突出部116,116が形成されている。この突出部116,116の中央が第4支持部98に接触する第3接触部118となっており、この第3接触部118が第4支持部98にY方向2点で接触し、摩擦抵抗を小さくしてある。
【0041】
上記構成において、Z方向の磁束が介在するX方向2面の第1磁石58,58と対向している第1コイル82,82に通電すると、第1コイル82,82にはY方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則により第1コイル82,82にはX方向へのローレンツ力が作用する。第1コイル82,82はベース66に固定されているので、第1磁石58,58に働くその反作用がレンズ支持体20及び第1移動体プレート26に対する駆動力となってレンズ支持体20及び第1移動体プレート26は、第1支持機構40に支持されながらX方向へ移動する。
【0042】
ここで、
図6に示すように、X方向の駆動力をFxとすると、
Fx>μx1(Nx1+Wx1)+μx2(Nx2+Wx2)
とすることでレンズ支持体20及び第2移動体プレート28をX方向へ駆動することができる。
ここで、μx1,μx2はそれぞれ第1支持部44と第1案内部46との間の摩擦係数、Wx1,Wx2はそれぞれ第1支持部44に係る荷重、Nx1,Nx2は第1磁石58,58と第1磁性部材60,60との間の吸引力により第1支持部44に係る力である。また、
N+Wx=(Nx1+Wx1)+(Nx2+Wx2)であり、Fxは次のように表すことができる。
Fx=μx(N+Wx)
ただし、μxはμx1,μx2の平均値である。
【0043】
また、Z方向の磁束が介在するY方向の第1磁石58に対向する第1コイル82に通電すると、第1コイル82にはX方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則により第1コイル82にはY方向へのローレンツ力が作用する。第1コイル82はベース66に固定されているので、第1磁石58に働くその反作用がレンズ支持体20に対する駆動力となってレンズ支持体20は、第2支持機構42に支持されながらY方向へ移動する。
【0044】
ここで、
図6に示すように、Y方向の駆動力をFyとすると、
Fy>μy1(Ny1+Wy1)+μy2(Ny2+Wy2)
とすることでレンズ支持体20をY方向へ駆動することができる。
ここで、μy1,μy2はそれぞれ第2支持部48と第2案内部50との間の摩擦係数、Wy1,Wy2はそれぞれ第2支持部48に係る荷重、Ny1,Ny2は第1磁石58と第1磁性部材60との間の吸引力により第2支持部48に係る力である。また、N+Wy=(Ny1+Wx1)+(Ny2+Wy2)であり、Fyは次のように表すことができる。
Fy=μy(N+Wy)
ただし、μyはμy1,μy2の平均値である。
【0045】
X方向又はY方向いずれかにレンズ支持体20が移動した後に第1コイル82への通電を中止すると、第1磁石58,58と第1磁性部材60,60との間の吸引力及び第1支持部44と第1案内部46、及び第2支持部48と第2案内部50の摩擦により、レンズ支持体20は通電を中止した位置に止まる。
【0046】
ここで、カメラ装置10が例えば−Y方向に衝撃を受けたとする。−Y方向の衝撃を受けると、レンズ支持体20及び第1移動体プレート26は、第1磁石58,58と第1磁性部材60,60との間の吸引力に抗して+Y方向に移動しようとする。しかしながら、レンズ支持体20及び第1プレート26は、第1支持機構40によりY方向の移動を規制するように支持されているので、外部から衝撃を受けても離れず、ほとんど移動しない。衝撃を受けた後、レンズ支持体20及び第1プレート26は、第1磁石58,58と第1磁性部材60,60とによる吸引力により−Y方向へ戻ろうとする力が働く。ここでもレンズ支持体20及び第1移動体プレート26は、第1支持部44と第1案内部46が接触を維持し、外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。X方向の衝撃に対しては、第1支持部44と第1案内部46が接触を維持したまま、第1支持機構40に案内されてレンズ支持体20が第1移動体プレート26に対して移動するのみである。また、Z方向の衝撃に対しても、第1支持部44と第1案内部46は接触を維持しやすいが、仮に離れたとしても戻ってきたときの衝撃を面で受け止めるので、ダメージが小さく、レンズ支持体20のスムーズな移動を確保することができる。第2支持機構42も同様に作用する。
【0047】
また、第1支持機構40及び第2支持機構42においては、第1支持部44と第1案内部46及び第2支持部48と第2案内部50がそれぞれX方向、Y方向に嵌り合い、独立した支持機構となっているので、XY方向に対して同時に駆動しても回転方向への力が作用せず、レンズ支持体20が回転方向へ振動するのを防止することができる。
【0048】
次に、Y方向の磁束が介在する第2磁石62と第2磁性部材92の間に配置されている第2コイル84に通電すると、第2コイル84にはX方向の電流が流れ、フレミングの左手の法則により第2コイル84にはZ方向へのローレンツ力が作用する。第2コイル84はベース66に固定されているので、第2磁石62に働くその反作用が移動体18に対する駆動力となって移動体18は、光軸方向支持機構94に支持されながらZ方向へ移動する。
【0049】
ここで、Z方向の駆動力をFzとすると、駆動力Fzは、
Fz>(μz3×Nz3+μz4×Nz4)+W
とすることで移動体18をZ方向へ駆動することができる。
ここで、Nz:第2磁石62による吸引力(Nz=Nz3+Nz4) 、μz3:第3支持部96と第3案内部100との摩擦係数、μz4:第4支持部98と第4案内部102との摩擦係数、W:移動体18の総重量とする。
【0050】
移動体18がZ方向に移動した後に第2コイル84への通電を中止すると、第2磁石62と第2磁性部材92との間の吸引力及び第3支持部96と第3案内部100、及び第4支持部98と第4案内部102の摩擦により、移動体18は通電を中止した位置に止まる。
【0051】
ここで、カメラ装置10が例えば−Y方向に衝撃を受けたとする。−Y方向の衝撃を受けると、移動体18は、第2磁石62と第2磁性部材92との間の吸引力に抗して+Y方向に移動しようとする。しかしながら、移動体18は、第3案内部100及び第4案内部102が第3支持部96及び第4支持部98がY方向での接触を維持するので、外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。衝撃を受けた後、移動体18は、第2磁石62と第2磁性部材92とによる吸引力により−Y方向へ戻ろうとする力が働く。ここでも移動体18は、第3案内部100及び第4案内部102が第3支持部96及び第4支持部98がY方向での接触を維持するので、外部から衝撃を受けてもほとんど移動しない。
【0052】
ここで、第3案内部100又は第4案内部102に微小変形が起こったとしても、第3支持部96及び第4支持部98がZ方向に延びている形状となっているので、第3支持部96及び第4支持部98には、局部的ではなくZ方向に沿って連続的な力が作用することになるので、移動体18の往復動作等での急激な動作変化が起きない。従って、レンズ支持体20のスムーズな移動を確保することができる。
【0053】
なお、移動体18は、Y方向側に設けられた光軸方向支持機構94に支持されており、また、移動体18には第1磁石58等が設けられて重いため、Z方向下方へ垂れ下がるようなモーメントが生じる。しかしながら、光軸方向支持機構94は、Z方向に延びる第3支持部96及び第4支持部98に支持されているので、従来のようなボールで支持するものと比較して、上記の垂れ下がりを少なくすることができる。
【0054】
図11及び
図12は、本発明の第2実施形態を示す。
【0055】
この第2実施形態は、前述した第1実施形態と比較すると、第1支持機構40及び第2支持機構42の構造が異なる。
【0056】
即ち、第1支持機構40において、第1支持部44は、下面側が円弧状に突出するように形成されている。このため、
図11に示すZ方向断面では第1支持部44及び第1案内部46の側面が線接触、底面が点接触となっている。X方向においては、側面が平面で接触し、底面が線接触となっている。また、第2支持部48は、上面側が円弧状に突出するように形成されている。このため、
図12に示すZ方向断面では第2支持部48及び第2案内部50の側面が線接触、底面が点接触となっている。X方向においては、側面が平面で接触し、底面が線接触となっている。
【0057】
このように、第1機構40及び第2機構42においては、X方向において面及び線で第1支持部44と第1案内部46及び第2支持部48と第2案内部50とが接触しているので、第1実施形態と比較して摩擦力を少なくすることができる。
なお、第1実施形態と同様な部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図13及び
図14は、本発明の第3実施形態を示す。
【0059】
この第3実施形態は、前述した第1及び第2実施形態と比較すると、第1支持機構40及び第2支持機構42の構造が異なる。
【0060】
即ち、第1支持機構40において、第1支持部44は、下面及び側面側が円弧状に突出するように形成されている。このため、
図13に示すZ方向断面では第1支持部44及び第1案内部46の側面及び底面が点接触となっている。X方向においては、側面及び底面の3点で線接触となっている。また、第2支持部48は、上面及び側面側が円弧状に突出するように形成されている。このため、
図14に示すZ方向断面では第2支持部48及び第2案内部50の側面及び底面が点接触となっている。X方向においては、側面及び底面の3点で線接触となっている。本第3実施形態では、Z方向断面で、両側面を点接触としたが、一方の側面のみを点接触としてもよい。
【0061】
このように、第1機構40及び第2機構42においては、X方向において3点で第1支持部44と第1案内部46及び第2支持部48と第2案内部50とが接触しているので、第2実施形態と比較してさらに摩擦力を少なくすることができる。
なお、第1及び第2実施形態と同様な部分については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
図15は、本発明の第4実施形態を示す。
【0063】
この第4実施形態においては、第1支持部44は直線状の側面を有するが、第1案内部46が曲面状に突出した形となっている。このため、第1支持部44と第1案内部46とは、XY方向断面で点接触するようになっている。
【0064】
図16は、本発明の第5実施形態を示す。
【0065】
この第5実施形態においては、第1案内部46は直線状の側面を有するが、第1支持部44が曲面状に突出した形となっている。このため、第1支持部44と第1案内部46とは、XY方向断面で点接触するようになっている。
【0066】
なお、上記実施形態の説明にあっては、凸状に形成された部分を支持部とし、凹状に形成された部分を案内部としたが、逆に凸状部分を案内部、凹状部分を支持部としてもよい。また、第1〜第5実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
なお、第1磁石58と第1コイル82、及び第2磁石62と第2コイル84は位置をそれぞれ入れ替えて配置してもよい。その場合、他の部材は適宜最適になるように再度配置される。また、このレンズ駆動装置12はフォーカス調整機能及び手振れ補正機能を有するものであるが、さらにズーム機能を有するもの等に適用することができる。また、この明細書では、カメラ装置10に用いられるレンズ駆動装置12について説明したが、本発明は、他の装置にも適用することができる。