(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-79601(P2019-79601A)
(43)【公開日】2019年5月23日
(54)【発明の名称】電源接続用コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20190426BHJP
H01R 4/48 20060101ALI20190426BHJP
【FI】
H01R13/52
H01R4/48 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-203064(P2017-203064)
(22)【出願日】2017年10月20日
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 厚
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋洋
(72)【発明者】
【氏名】高木 哲也
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE10
5E087EE11
5E087FF27
5E087GG22
5E087LL02
5E087LL03
5E087LL04
5E087LL17
5E087MM05
5E087MM08
5E087PP02
5E087RR12
5E087RR25
(57)【要約】
【課題】ケーブルの接続性及び防水性に優れた電源接続用コネクタの提供を目的とする。
【解決手段】ケーブルの芯線を挿入接続するためのターミナルと、前記ターミナルを収容したハウジングと、前記ハウジングに装着した防水部材とを備え、前記防水部材は一方に前記ハウジングに装着するハウジング止水部を有し、他方に前記ケーブルの被覆部外周を止水するケーブル止水部と前記ケーブルを保護するための電線管外周を止水する電線管止水部とを有していることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルの芯線を挿入接続するためのターミナルと、
前記ターミナルを収容したハウジングと、前記ハウジングに装着した防水部材とを備え、
前記防水部材は一方に前記ハウジングに装着するハウジング止水部を有し、他方に前記ケーブルの被覆部外周を止水するケーブル止水部と前記ケーブルを保護するための電線管外周を止水する電線管止水部とを有していることを特徴とする電源接続用コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、開閉可能なカバー部材を有し、前記カバー部材を閉じると接続されたケーブルと電線管とを固定するものであることを特徴とする請求項1記載の電源接続用コネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは前記ケーブルの芯線が前記ターミナルに接続されたことを確認するための確認窓を有し、
前記カバー部材を閉じると前記確認窓を塞ぐものであることを特徴とする請求項2記載の電源接続用コネクタ。
【請求項4】
前記ケーブルは複数の単線からなり、
前記ターミナルは前記単線の本数に合せて複数個有し、
前記各ターミナルは弾性部材を有し、当該弾性部材とターミナルとの間に各単線の芯線を差し込むものであり、
前記弾性部材は前記芯線の抜止部と押え部とを有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電源接続用コネクタ。
【請求項5】
前記防水部材の内側であって前記ハウジングに対してスライド可能な開放部材を有し、前記開放部材は前記複数のターミナルに設けたそれぞれの弾性部材の抜止部を押し上げる複数のプッシャー部を有し、
前記防水部材の外側から前記開放部材を押圧すると前記複数のプッシャー部が各々抜止部を開放状態に切り換えることで複数の芯線を同時に取り外すことが可能であることを特徴とする請求項4記載の電源接続用コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源接続用に用いられるコネクタに関し、特にケーブルの接続構造及びその防水構造に係る。
【背景技術】
【0002】
例えば太陽光発電システムにおいて、ソーラーパネルから得られた直流電力を交流電力に変換するのに、パワーコンディショナーが用いられている。
このような電源機器を接続するのに、ケーブルが使用されている。
従来は、ケーブルに丸型端子を工具で圧着後に機器の筐体の扉を開け、端子台にネジ締めを行い、結線をしていた。
また、ケーブルを保護するための電線管をつなぎ、防水施工も必要であったために、現場での結線作業が大変であり、高所作業になる場合にはさらに大変であった。
【0003】
本出願人は、例えば特許文献1及び2等にてケーブル接続作業性,接続信頼性に優れたコネクタを提案している。
本発明は、さらに防水性を付加したコネクタに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−91970号公報
【特許文献2】特開2016−201262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ケーブルの接続性及び防水性に優れた電源接続用コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電源接続用コネクタは、ケーブルの芯線を挿入接続するためのターミナルと、前記ターミナルを収容したハウジングと、前記ハウジングに装着した防水部材とを備え、前記防水部材は一方に前記ハウジングに装着するハウジング止水部を有し、他方に前記ケーブルの被覆部外周を止水するケーブル止水部と前記ケーブルを保護するための電線管外周を止水する電線管止水部とを有していることを特徴とする。
ここでターミナルは、接続相手となるコネクタと電気接続される部分であり、ソケットターミナルとプラグターミナルのどちらであってもよい。
【0007】
本発明において、ハウジングは、開閉可能なカバー部材を有し、前記カバー部材を閉じると接続されたケーブルと電線管とを固定するものであるのが好ましく、ハウジングは前記ケーブルの芯線が前記ターミナルに接続されたことを確認するための確認窓を有し、前記カバー部材を閉じると前記確認窓を塞ぐものであるのが好ましい。
これにより、ハウジングに装着した防水部材のケーブル止水部にケーブルを挿入し、このケーブルの芯線をターミナルに挿入接続したことを確認窓から確認した後に、電線管の端部を防水部材の電線管止水部に挿入し、カバー部材を閉じることで、結線作業が完了することになる。
【0008】
本発明において、ケーブルは複数の単線からなり、前記ターミナルは前記単線の本数に合せて複数個有し、前記各ターミナルは弾性部材を有し、当該弾性部材とターミナルとの間に各単線の芯線を差し込むものであり、前記弾性部材は前記芯線の抜止部と押え部とを有していてもよい。
電源用ケーブルとしては、2極,3極,4極等、多極となるものが多い。
そこで本発明は、ハウジングにケーブルの単線の本数に合せて、複数のターミナルを設けてもよく、それぞれのターミナルに芯線を側部からターミナルに向けて押圧する弾性部材を取り付けるとともに、この弾性部材に芯線の抜止部と押え部とを設けてもよい。
これにより、芯線の接続信頼性が向上する。
【0009】
本発明は、防水部材の内側であって前記ハウジングに対してスライド可能な開放部材を有し、前記開放部材は前記複数のターミナルに設けたそれぞれの弾性部材の抜止部を押し上げる複数のプッシャー部を有し、前記防水部材の外側から前記開放部材を押圧すると前記複数のプッシャー部が各々抜止部を開放状態に切り換えることで複数の芯線を同時に取り外すことが可能であるようにすることもできる。
ここで、防水部材の外側から開放部材を押圧するとは、防水部材はゴム等の弾性材から製作され、防水部材の内側に配設した開放部材をこの防水部材を介して、その外側から押し込むことをいう。
これにより、開放部材がハウジングに沿ってスライドし押し込まれることで、それぞれのターミナルに設けられている芯線の抜止部が開放部材に設けられた複数のプッシャー部にて同時に開放状態に切り替わる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電源接続用コネクタは、ケーブルの芯線をハウジング内に収容したターミナルに向けて挿入するだけで、結線と防水部材による防水ができる。
また、ケーブルを保護するための電線管の外周も同時に防水可能である。
【0011】
ハウジングに複数のターミナルを収容し、防水部材にケーブルの単線毎にケーブル止水部を設けることで、多極ケーブルを同時に挿入接続したり、同時に取り外すことも可能であり、現地での作業性に優れ、コネクタの構造もシンプルである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係るコネクタをソケットに適用した例を示し、(a)はケーブルの接続前、(b)は接続後を示す。
【
図2】
図1のA−A線断面図に相当し、(a)はケーブルの接続前、(b)は接続後を示す。
【
図3】コネクタの部品構成例を示し、コネクタの嵌合面から見た斜視図である。
【
図4】コネクタの部品構成をケーブルの挿入側から見た斜視図である。
【
図5】(a)はハウジング,(b)は防水部材をハウジングに装着した状態を示す。
【
図6】(a),(b)は
図5(b)のB−B線断面図に相当し、(a)は開放部材が後退している状態、(b)は開放部材が押し込まれ、第1弾性部材の抜止部を開放状態に切り換えた状態を示す。(c),(d)は
図5(b)のC−C線断面図を縮小して表示した。
【
図7】(a)はターミナルとケーブルとの位置関係を示し、(b),(c)はターミナルと開放部材の位置関係を示す。(d)は開放部材の斜視図である。
【
図9】筐体に取り付けたプラグに本発明に係るソケットコネクタを接続する例を示し、(a)は接続前、(b)は接続後を示す。
【
図10】プラグの構造例を示し、(a)はケーブル前から見た斜視図、(b)は嵌合面側から見た斜視図を示す。
【
図11】(a)〜(c)はプラグターミナルとソケットターミナルの接続関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るコネクタは、プラグにもソケットにも適用できるが、以下ソケットに適用した例で説明する。
【0014】
図1に、ハウジング11に取り付けた第1カバー部材12及び第2カバー部材13が開いた状態の外観を示し、
図2にそのA−A線断面図を示す。
図3,
図4には、部品の構成例を示す。
接続するケーブル1の極数に制限はなく、本実施例は4本の単線2a〜2dからなる4極タイプを示す。
図3,4に示すように、樹脂材等の絶縁材からなるハウジング11に、略田字形状に4ヶ所のターミナル収容部11cを形成し、それぞれに
図2に示すように金属製からなるターミナル15を配設してある。
【0015】
ハウジング11の後方側(ケーブル接続側)には筒状の装着部11aを有し、この部分にゴム製の防水部材14の一方に設けた、筒形状からなるハウジング止水部14aを弾性密着状態に装着してある。
防水部材14の他方には、4本の単線2a〜2dに対応して、横断面略円錐台状のケーブル止水部14cを田字形状に設けてある。
ケーブル止水部14cは縦断面が円孔形状であり、ターミナル側が縮径した円錐台状になっているので、ケーブルの芯線被覆部を挿入するだけで密着止水される。
また、4つのケーブル止水部14cの周囲を囲むように配設した、円筒状の電線管止水部14bを有する。
図2に示すように、ケーブル1の4本の単線の芯線3a〜3dをターミナル15に差し込み、電線管4の端部を防水部材14の電線管止水部14bの内側に差し込む。
ケーブルの芯線3a〜3dをそれぞれターミナルに挿入する際には、例えば
図4に示すようにハウジング11の上下にそれぞれ確認窓11dを有し、この窓からターミナル15に芯線が接続されたことを確認することができる。
図3,4に示すように、ハウジング11の両側にカバー部材の取付部11bを形成してあり、この取付部11bに設けた枢着部111bに断面略コ字形状の第1カバー部材12と、第2カバー部材13とをそのヒンジ部12b,13bを介して枢着してある。
第1及び第2カバー部材12,13は、同一形状にした例になっているとともに、半円状の固定部12a,13aを有している。
これにより、一対のカバー部材12,13を相互に閉じると、固定部12a,13aがPF管からなる電線管4の外周溝部であって、防水部材14の電線管止水部14bの近くにはまり、防水部材14の抜け止めとして作用するとともに、ケーブル及び電線管を固定する。
また、一対のカバー部材12,13が確認窓11dを塞ぐ。
第1,第2カバー部材12,13の開放側端部は、ハウジング取付部11bに設けた係止爪部211bに係止固定される。
【0016】
本実施例に用いたターミナル15の構造例を
図8に示す。
銅製等の導電材からなり、ベース部15aの両側から断面略コ字形状に立設した側壁部15b,15bを有する。
ターミナル15のケーブル接続側には、第1弾性部材16を取り付けてある。
コネクタの嵌合面側には、溝形状のソケット部15cを形成し、このソケット部15cに例えば、
図11に示したプラグ端子37a,37bを差し込み、接続するようになっている。
そこで、ターミナル15の嵌合面側には、第2弾性部材17を取り付けた例になっている。
第1弾性部材16及び第2弾性部材17は、それぞれベース部の両側に係止片部16c,17cを有し、ターミナル側の係止爪部15dにて係止固定される。
第1弾性部材16は、芯線の挿入方向に対して鋭角になるように折り曲げた抜止部16aと、接触部を山形に折り曲げた押え部16bを有する。
また、挿入される芯線が見やすいように、開口部16dを有する。
第2弾性部材17は、プラグターミナルに弾性接触し、プラグターミナルをソケット部15cの溝対向端部に向けて押圧する押圧部17aを山形形状に有する。
第2弾性部材17には、ハウジングにランス係止するランス17bを有している。
【0017】
図2に示すように、ターミナル15に向けて挿入されたケーブルの芯線3a〜3dは、抜止部16aにて抜け止めされ、押え部16bにてターミナル15のベース部15aの内側に押圧されるので、接続信頼性が高い。
【0018】
本発明においては
図3,4に示すように、防水部材14のハウジング止水部14aの内側であって、ハウジング11に対してスライド可能に取り付けた開放部材20を有する。
開放部材20は、
図5(a)に示すように樹脂材からなり、押圧面部21から各単線の挿入孔11gに沿って、4つのプッシャー部22を立設してある。
また、開放部材20は
図5及び
図6(c),(d)に示すように、上下にスライド爪部23,23を有し、ハウジング11のスライド溝部11hに沿ってスライド可能であるとともに、ハウジングからの脱落を防止している。
防水部材14の外側であって、電線管止水部14bの内側に押圧ポイント14dを有する。
図6(a),(b)に示すように、この押圧ポイント14dをハウジング11に向けて押圧すると、その内側に配置した開放部材20が押し込まれ、4つのプッシャー部22がそれぞれのターミナルの抜止部16aを押し上げ、開放状態に切り換える。
これにより、4本の単線を同時に取り外すことができる。
【0019】
本実施例は、ソケット型のコネクタになっており、
図9に示したプラグコネクタ30と嵌合接続する例になっている。
プラグコネクタ30は、電源機器の筐体5に取り付けてあり、
図10に示すように仕切壁34にて4ヶ所のプラグ収容部32を形成し、内側に上側の相対的に短いプラグターミナル37aと下側の長いプラグターミナル37bを配置してある。
これにより、上段側と下段側のターミナル37a,37bに電源機器内側のケーブル6の芯線6aをねじ止め6bしやすくなっている。
プラグコネクタ30は、筐体5への取付部36を有するとともに嵌合凹部31を有し、本実施例のソケットコネクタ10のハウジング11のリング状の溝部11fに装着したOリング18とで、嵌合シール接続される。
この際に、ソケットコネクタ10のロック爪11eと、プラグコネクタ30のロック孔35とが係合する。
また、プラグコネクタ30の嵌合面にフィンガーテスト対応の保護片部33を有し、
図3に示すようにターミナル収容部11cの開口部には同じく、フィンガーテスト対応の保護カバー19を取り付けた例になっている。
プラグターミナル37a,37bは、
図11に示すようにターミナル15のソケット部15cに差し込まれる例になっている。
【符号の説明】
【0020】
1 ケーブル
2a 単線
3a 芯線
4 電線管
10 コネクタ(ソケット)
11 ハウジング
11a 装着部
11c ターミナル収容部
11d 確認窓
12 第1カバー部材
12a 固定部
13 第2カバー部材
13a 固定部
13b ヒンジ部
14 防水部材
14a ハウジング止水部
14b 電線管止水部
14c ケーブル止水部
15 ターミナル
16 第1弾性部材
16a 抜止部
16b 押え部
17 第2弾性部材
20 開放部材
22 プッシャー部