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特開2019-81697誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-81697(P2019-81697A)
(43)【公開日】2019年5月30日
(54)【発明の名称】誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタ
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/468 20060101AFI20190510BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20190510BHJP
【FI】
   C04B35/468
   H01G4/30 201L
   H01G4/30 515
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2019-2283(P2019-2283)
(22)【出願日】2019年1月10日
(62)【分割の表示】特願2015-208215(P2015-208215)の分割
【原出願日】2015年10月22日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0012910
(32)【優先日】2015年1月27日
(33)【優先権主張国】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】パク、ユン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーン、セオク ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャン ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ソン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ノー ホーン
(72)【発明者】
【氏名】ジョ、ソー キョン
【テーマコード(参考)】
5E001
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AE02
5E001AE03
5E082AB03
5E082FF05
5E082FG04
5E082FG26
(57)【要約】
【課題】本発明は、誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタに関する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、母材主成分及び副成分を含み、上記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、上記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす誘電体磁器組成物を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材主成分及び副成分を含み、
前記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、
前記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす、誘電体磁器組成物。
【請求項2】
前記母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項3】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分、及び
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分の少なくとも一つ以上を含む、請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項4】
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項3に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項5】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項1から4のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項6】
前記副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項1から5のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項7】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項1から6のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物から形成された、誘電体材料。
【請求項9】
誘電体層を有し、内部電極が交互に積層されたセラミック本体と、
前記セラミック本体の外部面に形成され、前記内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、
母材主成分及び副成分を含む誘電体磁器組成物で形成され、
前記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、前記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分、及び
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分の少なくとも一つ以上を含む、請求項9または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項11に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項9から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項9から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項9から14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X8R温度特性及び信頼性が保証される誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタに関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタ、インダクタ、圧電素子、バリスタ、またはサーミスタなどのセラミック材料を用いる電子部品は、セラミック材料からなるセラミック本体と、本体の内部に形成された内部電極と、上記内部電極と接続されるようにセラミック本体の表面に設置された外部電極と、を備える。
【0003】
セラミック電子部品の積層セラミックキャパシタは、積層された複数の誘電体層と、一誘電体層を介して対向配置される内部電極と、上記内部電極と電気的に接続された外部電極と、を含む。
【0004】
一般に、積層セラミックキャパシタは、内部電極用ペーストと誘電体層用ペーストをシート法や印刷法などによって積層し、同時焼成して製造される。
【0005】
従来の積層セラミック高容量キャパシタなどに用いられる誘電体材料は、チタン酸バリウム(BaTiO)に基づいた強誘電体材料で、常温で高誘電率を有するとともに、損失率(Dissipation Factor)が比較的小さく、絶縁抵抗特性に優れるという特徴がある。
【0006】
しかし、上記チタン酸バリウム(BaTiO)に基づいた誘電体材料は、150℃までの容量温度特性であるX8R特性を満たせず、信頼性の保証に問題があるという実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第1999−0075846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施例の目的は、X8R温度特性及び信頼性が保証される新たな誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態は、BaTiOと(Na1−y)NbOを含む母材主成分が適用された誘電体磁器組成物を提供し、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0である。
【0010】
本発明の他の実施形態は、誘電体層を有し、第1及び第2内部電極が交互に積層されたセラミック本体と、上記セラミック本体の外部面に形成され、上記第1及び第2内部電極と電気的に連結される第1及び第2外部電極と、を含み、上記誘電体層は、上記誘電体組成物で形成される積層セラミックキャパシタを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によると、X8R温度特性を満たし、良好な高温耐電圧特性を具現できる誘電体磁器組成物、誘電体材料、及びこれを含む積層セラミックキャパシタを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図である。
図2図1のA−A'に沿って切り取った積層セラミックキャパシタを示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0014】
本発明は、誘電体磁器組成物に関し、誘電体磁器組成物を含む電子部品は、キャパシタ、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、またはサーミスタなどがあるが、以下では誘電体磁器組成物、及び電子部品の一例としての積層セラミックキャパシタについて説明する。
【0015】
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は、母材主成分及び副成分を含み、上記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、上記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす。
【0016】
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は、EIA(Electronic Industries Association)の規格で明示したX5R(−55℃〜85℃)、X7R(−55℃〜125℃)、及びX8R(−55℃〜150℃)の特性を満たすことができる。
【0017】
本発明の一実施形態によると、母材主成分粉末のキュリー温度が上昇し、高温部の誘電率が平坦になるという特性が実現されて、X8R温度特性及び良好な高温信頼性の特性を実現することができる。
【0018】
本発明の一実施形態によると、ニッケル(Ni)を内部電極として使用し、1300℃以下で上記ニッケル(Ni)が酸化しない還元雰囲気において焼成できる誘電体磁器組成物を提供する。
【0019】
また、本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物を焼結して形成された誘電体材料、及び上記誘電体磁器組成物を用いた積層セラミックキャパシタを提供する。
【0020】
本発明の一実施形態による積層セラミックキャパシタは、上記温度特性を満たすとともに、優れた信頼性を実現することができる。
【0021】
本発明の一実施形態によると、BaTiOと(Na,K)NbOを適正比率で混合するか、またはBaTiOと(Na,K)NbOの固溶体を形成し、副成分を少量添加して焼結体を製作すると、誘電率が1500以上で、絶縁抵抗に優れ、X8R温度特性を実現することができる。
【0022】
高温温度特性(X8R特性)を満たすために、BaTiOにCaZrO及び過量の希土類元素を添加する場合、上記高温温度特性が実現されても、母材そのもののキュリー温度が125℃であるため、高温静電容量の変化率(temperature coefficient of capacitance、TCC)特性の改善には限界がある。
【0023】
しかし、本発明の一実施形態のように、母材としてキュリー温度が高いBaTiO−(Na,K)NbOの固溶体を適用する場合、CaZrOまたは過量の希土類元素を添加しなくても、X8R特性を実現することができ、従来のBaTiOの母材を適用した場合に比べて良好な高温部のTCC特性を実現することができる。
【0024】
したがって、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物を適用した積層セラミックキャパシタの場合は、高温温度特性(X8R特性)を満たし、良好な高温静電容量の変化率(temperature coefficient of capacitance、TCC)特性を実現することができる。
【0025】
また、本発明の一実施形態によると、副成分の含量を調節することにより、高温信頼性、誘電率及び焼結性が実現され、高温温度特性(X8R特性)を満たす誘電体磁器組成物を提供することができる。
【0026】
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は、母材主成分及び副成分を含み、上記副成分は第1〜第3副成分を含むことができる。
【0027】
以下、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物の各成分をより具体的に説明する。
【0028】
a)母材主成分
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は母材主成分を含む。
【0029】
本発明の一実施形態によると、上記母材主成分は、BaTiOで示される第1母材主成分及び(Na1−y)NbOで示される第2母材主成分を含む。
【0030】
上記第1母材主成分と第2母材主成分は、混合されるか、または固溶体で形成されることができる。
【0031】
上記母材主成分は粉末形態で含まれることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、上記第1母材主成分のモル比を1−x、第2母材主成分のモル比をxと規定するとき、xは0.005≦x≦0.5を満たす。
【0033】
上記第1母材主成分と第2母材主成分を含む母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5を満たす。
【0034】
本発明の一実施形態によると、yは0.3≦y≦1.0を満たす。
【0035】
yが1.0である場合、第2母材主成分はKNbOであることができる。
【0036】
本発明の一実施形態によると、上記xが0.005≦x≦0.5の範囲を満たすことにより、良好な誘電率、高温部(150℃)のTCC、高温耐電圧、及びX8R温度特性を実現することができる。
【0037】
また、上記yが0.3≦y≦1.0を満たすことにより、誘電率及び高温耐電圧特性を実現することができる。
【0038】
上記母材主成分粉末の平均粒径は、特に制限されないが、1000nm以下であることができる。
【0039】
b)第1副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、第1副成分として、Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnからなる群より選択される一つ以上の元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩の一つ以上を含むことができる。
【0040】
上記第1副成分は、上記母材主成分((1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbO)100モル部に対して0.1〜5.0モル部含まれることができる。
【0041】
上記第1副成分の含量は、酸化物または炭酸塩のような添加形態を区分せず、第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。
【0042】
例えば、上記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの少なくとも一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、上記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であることができる。
【0043】
上記第1副成分の含量、及び後述する第2及び第3副成分の含量は、母材主成分100モル部に対する相対的な量であり、特に各副成分が含む金属または准金属(Si)のモル部と定義することができる。上記金属または准金属のモル部は、イオン状態の金属または准金属のモル部を含むことができる。
【0044】
上記第1副成分の含量が母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である場合、誘電率及びTCC特性が確保され、高温耐電圧特性が良好な誘電体磁器組成物を提供することができる。
【0045】
上記第1副成分の含量が0.1モル部未満である場合、常温比抵抗値が低くなる可能性があり、5.0モル部を超過すると、誘電率及び常温比抵抗値が減少するという現象が発生するおそれがある。
【0046】
本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部の含量を有する第1副成分を含むことができる。これにより、誘電率、高温耐電圧、及びTCC特性を具現することができる。
【0047】
c)第2副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、第2副成分として、SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含むことができる。
【0048】
上記第2副成分は、上記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部含まれることができる。
【0049】
上記第2副成分の含量は、酸化物またはガラスのような添加形態を区分せず、第2副成分に含まれたSi元素の含量を基準にすることができる。
【0050】
例えば、上記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、上記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であることができる。
【0051】
上記第2副成分の含量が誘電体磁器組成物の母材主成分100モル部に対して0.1モル部未満である場合は焼結性が低下する可能性があり、5.0モル部を超過すると高温耐電圧特性が低くなるという問題があり得るため好ましくない。
【0052】
d)第3副成分
本発明の一実施形態によると、上記誘電体磁器組成物は、Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の金属、及びこれらの塩からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含むことができる。
【0053】
上記第3副成分は、上記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部含まれることができる。
【0054】
上記第3副成分の含量は、金属または塩のような添加形態を区分せず、第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの少なくとも一つ以上の元素の含量を基準にすることができる。
【0055】
例えば、上記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの少なくとも一つ以上の元素の含量の総和は、上記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部であることができる。
【0056】
上記第3副成分に含まれる金属の塩は、特に限定されず、例えば、酸化物(oxide)、炭酸化物(carbonate)、塩化物(chloride)、アセテート(acetate)、アルコキシド(alkoxide)及び窒化物(nitride)からなる群より選択される1種以上である。
【0057】
上記第3副成分は、本発明の一実施形態において、誘電体磁器組成物が適用された積層セラミックキャパシタの信頼性の低下を防ぐ役割をする。
【0058】
上記第3副成分の含量が上記母材主成分100モル部に対して0.2モル部未満である場合、高温信頼性の改善効果が大きく現れない可能性があり、上記第3副成分の含量が上記母材主成分100モル部に対して5.0モル部を超過すると、高温信頼性が低くなり、焼成温度が高くなるという問題が発生するおそれがある。
【0059】
図1は本発明の他の実施形態による積層セラミックキャパシタを示す概略的な斜視図であり、図2図1のA−A'に沿って切り取った積層セラミックキャパシタを示す概略的な断面図である。
【0060】
図1及び図2を参照すると、本発明の他の実施例による積層セラミックキャパシタ100は、誘電体層111を有し、内部電極121、122が交互に積層されたセラミック本体110を有する。セラミック本体110の両端部には、セラミック本体110の内部に交互に配置された第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ導通する第1及び第2外部電極131、132が形成されることができる。
【0061】
セラミック本体110の形状は、特に制限されず、一般に、六面体形状であることができる。また、その寸法にも特に制限はなく、その用途によって適切な寸法にすることができ、例えば、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)であることができる。
【0062】
誘電体層111の厚さはキャパシタの容量設計に応じて任意に変更することができるが、本発明の一実施例において焼成後の誘電体層の厚さは1層当り0.1μm以上であることが好ましい。
【0063】
誘電体層の厚さが薄すぎると、一層内に存在する結晶粒の数が少なくて信頼性に悪影響を及ぼすため、誘電体層の厚さは0.1μm以上であることができる。
【0064】
第1及び第2内部電極121、122は、各端面がセラミック本体110の対向する両端部にそれぞれ露出するように積層されることができる。
【0065】
第1及び第2外部電極131、132は、セラミック本体110の両端部に形成され、第1及び第2内部電極121、122の露出端面と電気的に連結されてキャパシタ回路を構成する。
【0066】
第1及び第2内部電極121、122に含有される導電性材料は、特に限定されないが、ニッケル(Ni)を用いることが好ましい。
【0067】
第1及び第2内部電極121、122の厚さは、用途などに応じて適切に決定することができ、特に制限されないが、例えば、0.1〜5μmまたは0.1〜2.5μmであることができる。
【0068】
第1及び第2外部電極131、132に含有される導電性材料は、特に限定されないが、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、またはこれらの合金を用いることができる。
【0069】
セラミック本体110を構成する誘電体層111は、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物を含むことができる。
【0070】
セラミック本体110を構成する誘電体層111は、本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物を焼結して形成されることができる。
【0071】
その他、上記誘電体磁器組成物に対する具体的な説明は、上述の本発明の一実施形態による誘電体磁器組成物の特徴と同一であるためここでは省略する。
【0072】
以下、実験例を通じて本発明をより詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのもので、本発明の範囲が実験例によって限定されるものではない。
【0073】
<実験例>
(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示される母材主成分粉末は、固相法を適用して製造した。
【0074】
出発原料は、BaCO、TiO、NaO、KO、Nbであり、表1に明示された組成比に応じてこれらをエタノールに分散及び混合させた。この混合されたパウダーを空気中950〜1050℃の範囲でか焼して平均粒子サイズ300nm程度の母材主成分粉末を製作した。
【0075】
製造された母材主成分粉末に副成分添加剤としてMnO及びSiOパウダーを表1及び表3に明示された組成比に応じて添加した後、母材主成分及び副成分が含まれた原料粉末に、ジルコニアボールを混合/分散媒介として使用し、エタノール/トルエンと分散剤及びバインダーを混合した後、20時間ボールミリングした。
【0076】
製造されたスラリーは、ドクターブレード方式のコータを用いて10μmの厚さで成形シートを製造した。成形シートにNiの内部電極を印刷した。上下カバーは、カバー用シートを25層積層して製作し、21層の印刷された活性シートを加圧及び積層してバー(bar)を製作した。圧着バーは切断機を用いて3216サイズ(長さ×幅×厚さが約3.2mm×1.6mm×1.6mm)の電子部品に切断した。製作完了した3216サイズの電子部品をか焼した後、還元雰囲気(0.1%H/99.9%N、HO/H/N雰囲気)において1200〜1350℃の温度で2時間焼成してから、1000℃で窒素(N)雰囲気において再酸化を3時間実施して熱処理した。
【0077】
焼成された電子部品に対してCuペーストでターミネーション工程及び電極焼成を経て外部電極を完成した。
【0078】
上記のように完成されたプロトタイプ積層セラミックキャパシタ(proto−type MLCC)のサンプルに対して容量、DF、絶縁抵抗、TCC、高温150℃における電圧ステップ(step)の増加による抵抗劣化挙動などを評価した。
【0079】
積層セラミックキャパシタ(MLCC)の常温静電容量及び誘電損失は、LCRメーター(LCR meter)を用いて1kHz、AC 0.2V/μmの条件において容量を測定した。静電容量及び積層セラミックキャパシタ(MLCC)の誘電体の厚さ、内部電極の面積、積層数から積層セラミックキャパシタ(MLCC)の誘電体の誘電率を計算した。
【0080】
常温絶縁抵抗(IR)は、サンプルを10個ずつ取ってDC 10V/μmが印加された状態で60秒経過後に測定した。
【0081】
温度による静電容量の変化は−55℃〜150℃の温度範囲において測定された。
【0082】
高温IR昇圧実験は150℃で電圧段階を5V/μmずつ増加させながら、抵抗劣化挙動を測定した。但し、各段階の時間は10分で、5秒の間隔で抵抗値を測定した。
【0083】
高温IR昇圧実験から高温耐電圧を導出した。これは、焼成後の厚さ7μmの20層の誘電体を有する3216サイズの電子部品において150℃で電圧ステップ(voltage step)dc5V/μmを10分間印加し、この電圧ステップ(step)を引き続き増加させて測定したとき、IRが10Ω以上に耐える電圧を意味する。
【0084】
下記表1及び表3は実験例の組成表であり、表2及び表4は表1及び表3に明示された組成に該当するプロトタイプ積層セラミックキャパシタ(Proto−type MLCC)の特性を示す。
【0085】
【表1】
【0086】
【表2】
【0087】
表1のサンプル1〜12は、第2母材主成分(Na1−y)NbOにおいてy=0.5であり、第1副成分のMnO及び第2副成分のSiOの含量が母材主成分(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbO(以下、BT−NKN)100molに対してそれぞれ0.5mol及び0.5molであるとき、第1母材主成分BaTiO(以下、BT)の含量1−x及び第2母材主成分(Na1−y)NbO(以下、NKN)の含量xの変化による実験例を示し、表2のサンプル1〜12はこれらに該当するサンプルの特性を示す。xの含量が0(サンプル1)から0.6(サンプル12)に次第に増加するにつれて誘電率は次第に減少するようになり、xが0である場合は、(サンプル1)の誘電率が3156と非常に高いが、TCC(150℃)が−35.2%と±15%のX8R規格を外れるという問題があり、xが0.6と非常に大きい場合(サンプル12)は、常温誘電率が1500未満と非常に低くなるという問題がある。サンプル2〜11の場合、常温誘電率1500以上、高温耐電圧50V/μm以上、TCC(150℃)≦±15%のX8R温度特性を満たすため、適正なxは0.005≦x≦0.5であることが確認できる。
【0088】
表1及び表2のサンプル13〜19は、第2母材主成分(Na1−y)NbOにおいてy=0.5及び母材主成分内の第2母材主成分の含量x=0.05であり、第2副成分SiOの含量が母材主成分(BT−NKN)に対して0.5molであるとき、第1副成分MnOの含量変化によるプロトタイプの特性を示す。Mnの含量が0である場合(サンプル13)、常温比抵抗値が8.480E7ohm−cmと非常に低く、Mnの含量が0.1(サンプル14)以上からは1E11ohm−cm以上の絶縁特性が具現されることが確認できる。Mnの含量が増加するにつれて誘電率及び常温比抵抗は引き続き減少し、Mnの含量が7molと過量の場合(サンプル19)は、誘電率が1365と1500未満になり、常温比抵抗が1E11ohm−cm未満になるという問題が発生する。サンプル14〜18の場合、誘電率、高温耐電圧、TCC特性が本発明の目標特性を満たすため、Mnの適正含量は母材主成分100モル部に対して0.1〜5モル部であるとみなすことができる。
【0089】
表1及び表2のサンプル20〜25は、第2母材主成分(Na1−y)NbOにおいてy=0.5及び母材主成分内の第2母材主成分の含量x=0.05であり、第1副成分MnOの含量が母材主成分(BT−NKN)に対して0.5molであるとき、第2副成分SiOの含量変化によるプロトタイプの特性を示す。SiOの含量が0である場合(サンプル20)、適正な焼成温度が1300℃程度と焼成温度が高く、SiOが添加される場合(サンプル21〜24)、焼結性が改善されるという効果がある。SiOの含量が7molと過量である場合(サンプル25)、焼結性の改善効果がほとんどなくなり、高温耐電圧特性が50V/μm未満と悪くなる。したがって、サンプル20〜25の結果から、誘電率、高温耐電圧、TCC特性、及び焼結性を考慮したとき、好ましいSiの含量は母材主成分100モル部に対して0.1〜5モル部であることができる。
【0090】
表1及び表2のサンプル26〜29は、母材主成分内の第2母材主成分(Na1−y)NbOの含量x=0.05であり、第1副成分MnO及び第2副成分SiOの含量が母材主成分(BT−NKN)100molに対してそれぞれ0.5mol及び0.5molであるとき、第2母材主成分(Na1−y)NbOにおいてKの含量y及びNaの含量1−yによるプロトタイプの特性を示す。第2母材主成分(Na1−y)NbOにおいてy=0.5を基準にy=0.3(サンプル27)、y=0.2(サンプル26)と減少するにつれて、誘電率が減少し、高温耐電圧特性が悪くなり、y=0.2(サンプル26)の場合は、高温耐電圧特性が50V/μm未満であるという問題が発生する。y=0.5を基準にy=0.7(サンプル28)、y=1.0(サンプル29)に増加するにつれて、誘電率及び高温耐電圧特性が多少低くなるものの、誘電率、高温耐電圧、TCC特性が本発明の目標特性を満たす。したがって、サンプル26〜29の結果から、誘電率、高温耐電圧、常温比抵抗値を考慮したとき、好ましいKの含量yの範囲は0.3≦y≦1.0であることができる。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
表3及び表4のサンプル30は母材主成分(BT−NKN)100molに対して第3副成分のYの含量が0であるとき、サンプル31〜37は第3副成分のYの含量が母材主成分(BT−NKN)100molに対して0.1〜3.0molであるとき(Yの含量は母材主成分100molに対して0.2〜6.0mol)、プロトタイプの特性を示す。
【0094】
Yの含量が母材主成分100molに対して5molを超過すると(サンプル37)、高温信頼性が50V/μm未満と低くなり、焼成温度が高くなるという問題が確認された。
【0095】
表3及び表4のサンプル38〜44は、母材主成分(BT−NKN)100molに対して第3副成分のDy含量が0.1〜3.0molであるとき(Dyの含量は母材主成分100molに対して0.2〜6.0mol)、プロトタイプの特性を示す。Yと同様に、Dyを添加することにより高温信頼性が改善される。
【0096】
Dyの含量が母材主成分100molに対して5molを超過すると(サンプル44)、高温信頼性が低くなり、焼成温度が高くなるという問題が確認された。
【0097】
表3及び表4のサンプル45〜47は、第3副成分のYとDyを母材主成分(BT−NKN)100molに対してそれぞれ0.25mol、0.75mol、1.25molずつ(Y及びDyの含量は母材主成分100molに対してそれぞれ0.5mol、1.5mol、2.5mol)を投入したプロトタイプの特性を示す。Y、Dyを単独で添加したものと類似した傾向を示し、これらも目標特性を満たす。但し、添加量が増加するほど焼成温度がさらに高くなることが確認された。したがって、高温信頼性及び焼成温度への効果を考慮するとき、第3副成分の元素の含量は母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部であることができる。
【0098】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。
【符号の説明】
【0099】
100 積層セラミックキャパシタ
110 セラミック本体
111 誘電体層
121、122 第1及び第2内部電極
131、132 第1及び第2外部電極
図1
図2
【手続補正書】
【提出日】2019年1月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末形状の母材主成分及び副成分を含み、
前記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、
前記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.4、yは0.3≦y≦1.0を満たす、誘電体磁器組成物。
【請求項2】
前記母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項3】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項4】
前記副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項5】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項6】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、及び
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分の少なくとも一つ以上を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項7】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分をさらに含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項6に記載の誘電体磁器組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物が焼結されて形成された、誘電体材料。
【請求項9】
誘電体層を有し、内部電極が交互に積層されたセラミック本体と、
前記セラミック本体の外部面に形成され、前記内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含み、
前記誘電体層は、
粉末形状の母材主成分及び副成分を含む誘電体磁器組成物が焼結されて形成され、
前記母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、前記母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.4、yは0.3≦y≦1.0を満たす、積層セラミックキャパシタ。
【請求項10】
前記母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項11】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項12】
前記副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項13】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項14】
前記副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、及び
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分の少なくとも一つ以上を含み、
前記第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
前記第2副成分に含まれたSi元素の含量は、前記母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、請求項9に記載の積層セラミックキャパシタ。
【請求項15】
前記副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分をさらに含み、
前記第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、前記母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、請求項14に記載の積層セラミックキャパシタ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0098】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有するものには明らかである。以下、本発明の実施形態の例を項目として示す。
[項目1]
母材主成分及び副成分を含み、
母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、
母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす、誘電体磁器組成物。
[項目2]
母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、項目1に記載の誘電体磁器組成物。
[項目3]
副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分、及び
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分の少なくとも一つ以上を含む、項目1または2に記載の誘電体磁器組成物。
[項目4]
第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
第2副成分に含まれたSi元素の含量は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、項目3に記載の誘電体磁器組成物。
[項目5]
副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、項目1から4のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
[項目6]
副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
第2副成分に含まれたSi元素の含量は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、項目1から5のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
[項目7]
副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、項目1から6のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物。
[項目8]
項目1から7のいずれか一項に記載の誘電体磁器組成物から形成された、誘電体材料。
[項目9]
誘電体層を有し、内部電極が交互に積層されたセラミック本体と、
セラミック本体の外部面に形成され、内部電極と電気的に連結される外部電極と、を含み、
誘電体層は、
母材主成分及び副成分を含む誘電体磁器組成物で形成され、
母材主成分は、BaTiOを含む第1母材主成分及び(Na1−y)NbOを含む第2母材主成分を含み、母材主成分を(1−x)BaTiO−x(Na1−y)NbOで示すとき、xは0.005≦x≦0.5、yは0.3≦y≦1.0を満たす、積層セラミックキャパシタ。
[項目10]
母材主成分はBaTiOと(Na1−y)NbOの固溶体である、項目9に記載の積層セラミックキャパシタ。
[項目11]
副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分、及び
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分の少なくとも一つ以上を含む、項目9または10に記載の積層セラミックキャパシタ。
[項目12]
第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
第2副成分に含まれたSi元素の含量は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部であり、
第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、項目11に記載の積層セラミックキャパシタ。
[項目13]
副成分は、
Mn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上を含む原子価可変アクセプタ元素、これらの酸化物、及びこれらの炭酸塩からなる群より選択される一つ以上を含む第1副成分を含み、
第1副成分に含まれたMn、V、Cr、Fe、Ni、Co、Cu及びZnの一つ以上の原子価可変アクセプタ元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、項目9から12のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
[項目14]
副成分は、
SiO及びSi元素を含むガラスからなる群より選択される一つ以上を含む第2副成分を含み、
第2副成分に含まれたSi元素の含量は、母材主成分100モル部に対して0.1〜5.0モル部である、項目9から13のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。
[項目15]
副成分は、
Y、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の酸化物からなる群より選択される一つ以上を含む第3副成分を含み、
第3副成分に含まれたY、Dy、Sm、Gd、Ho、Er及びYbの一つ以上の元素の含量の総和は、母材主成分100モル部に対して0.2〜5.0モル部である、項目9から14のいずれか一項に記載の積層セラミックキャパシタ。