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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-81732(P2019-81732A)
(43)【公開日】2019年5月30日
(54)【発明の名称】冷却効果を有する組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/34 20060101AFI20190510BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20190510BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20190510BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20190510BHJP
【FI】
   A61K8/34
   A61K8/63
   A61K8/73
   A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2017-210240(P2017-210240)
(22)【出願日】2017年10月31日
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼崎 友美
(72)【発明者】
【氏名】小池 徹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC172
4C083AC212
4C083AC342
4C083AC352
4C083AC372
4C083AC532
4C083AC662
4C083AC852
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD251
4C083AD252
4C083AD352
4C083AD531
4C083AD532
4C083AD662
4C083BB46
4C083CC02
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できる組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、 (a)少なくとも1種の吸熱物質と、(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物とを含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物に関する。本発明による組成物は、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物。
【請求項2】
(a)吸熱物質が、糖アルコールから選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
(a)吸熱物質が、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、アラビトール、ペンタエリスリトール、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物中の(a)吸熱物質の量が、組成物の総質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
(b)化合物が、メントールのエステル及びエーテル、好ましくはカルボキシレート及びグリセリルエーテル、より好ましくはメントキシプロパンジオールから選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
組成物中の(b)化合物の量が、組成物の総質量に対して0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
(c)化合物が、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの混合物、好ましくはβ-シクロデキストリンから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物中の(c)化合物の量が、組成物の総質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
(d)水を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物中の(d)水の量が、組成物の総質量に対して10質量%〜80質量%、好ましくは20質量%〜70質量%、より好ましくは30質量%〜60質量%である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
(e)少なくとも1種の油を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
(f)少なくとも1種のUVフィルター、好ましくは有機UVフィルターを更に含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
エマルションの形態、好ましくはO/Wエマルションの形態である、請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法であって、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、美容方法。
【請求項15】
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
の組合せの、組成物中における使用であって、組成物が、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できるようにするための、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の成分の組合せを含む組成物、特に皮膚のための化粧用組成物、及びそれを使用する美容方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱、又は高温の感覚は、例えばメイクアップを崩れさせ得る汗及び皮脂の生成を引き起こすので、美の敵の1つである。したがって、冷却効果を有する化粧料を提供するいくつかの提案がなされている。
【0003】
提案のうちの1つは、冷却感覚を引き起こすことができるメントール等の化学物質を含むことである。この化学物質は、即時的冷却効果を提供できる。しかし、冷却効果は、長時間持続しない。
【0004】
したがって、即時的冷却効果だけでなく、長時間持続冷却効果を提供できる化粧料が必要とされている。
【0005】
また、例えば、化粧料による初期の冷却効果が、長時間の後に失われた後、化粧料の使用者が汗をかくときに、再冷却効果を提供できる化粧料も必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】USP 5240975
【特許文献2】EP-669,323
【特許文献3】米国特許第2,463,264号明細書
【特許文献4】米国特許第5,237,071号
【特許文献5】米国特許第5,166,355号
【特許文献6】GB-2,303,549
【特許文献7】DE-197,26,184
【特許文献8】EP-893,119
【特許文献9】WO 93/04665
【特許文献10】DE-19855649
【特許文献11】米国特許第2,528,378号
【特許文献12】米国特許第2,781,354号
【特許文献13】米国特許第4,874,554号
【特許文献14】米国特許第4,137,180号
【特許文献15】US-A-5364633
【特許文献16】US-A-5411744
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press社
【非特許文献2】Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27〜32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmetics
【非特許文献3】ASTM規格445付属書C
【非特許文献4】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁
【非特許文献5】CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年
【非特許文献6】CTFA dictionary、第3版、1982年
【非特許文献7】CTFA dictionary、第5版、1993年
【非特許文献8】CTFA、1997年
【非特許文献9】「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991年、116〜178頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む、組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物によって達成できる。
【0010】
(a)吸熱物質は、糖アルコールから選択することができる。
【0011】
(a)吸熱物質は、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、アラビトール、ペンタエリスリトール、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0012】
本発明による組成物中の(a)吸熱物質の量は、組成物の総質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%であることができる。
【0013】
(b)化合物は、メントールのエステル及びエーテル、好ましくはカルボキシレート及びグリセリルエーテル、より好ましくはメントキシプロパンジオールから選択することができる。
【0014】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.001〜20質量%、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜1質量%であることができる。
【0015】
(c)化合物は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの混合物、好ましくはβ-シクロデキストリンから選択することができる。
【0016】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは1〜10質量%であることができる。
【0017】
本発明による組成物は、(d)水を更に含んでいてもよい。
【0018】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して10質量%〜80質量%、好ましくは20質量%〜70質量%、より好ましくは30質量%〜60質量%の範囲であることができる。
【0019】
本発明による組成物は、(e)少なくとも1種の油を更に含んでいてもよい。
【0020】
本発明による組成物は、(f)少なくとも1種のUVフィルター、好ましくは有機UVフィルターを更に含んでいてもよい。
【0021】
本発明による組成物は、エマルションの形態、好ましくはO/Wエマルションの形態であってもよい。
【0022】
本発明はまた、ケラチン物質、好ましくは皮膚のための美容方法であって、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む、方法に関する。
【0023】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
の組合せの、組成物中における使用であって、組成物が、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できるようにするための、使用にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
鋭意検討の結果、本発明者は、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できる組成物、好ましくは化粧用組成物、より好ましくは皮膚化粧用組成物を提供することが可能であることを発見した。
【0025】
したがって、本発明による組成物は、
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
を含む。
【0026】
本発明による組成物は、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できる。3つの冷却効果の全てが十分である。
【0027】
「冷却効果」という用語は、本明細書において、冷却感覚だけでなく、本発明による組成物が塗付された対象物、例えばケラチン物質、好ましくは皮膚の、実際の温度低下も意味する。
【0028】
「再冷却」という用語は、本明細書において、本発明による組成物が、対象物に塗布される場合、対象物、例えばケラチン物質、好ましくは皮膚での初期の冷却効果が失われた後であっても、例えば汗をかく、又は水若しくは湿潤条件で濡れることによって、水が対象物に供給されると、冷却効果が再度発揮されることを意味する。
【0029】
本発明による組成物によって提供される冷却効果は、即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果の全てを考慮して、成分(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか1つが含まれていない組成物によって提供される冷却効果よりも優れ得る。例えば、本発明による組成物によって提供される3つの冷却効果のうちの1つが、成分(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか1つの含まれていない組成物によって提供される冷却効果と同じ、又は同様の場合であっても、前者によって提供される3つの冷却効果のうちの他の2つは、後者によって提供される他の2つの冷却効果と比較して、向上させる又は改善することができる。また、本発明による組成物によって提供される3つの冷却効果のうちの2つが、成分(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか1つの含まれていない組成物によって提供される冷却効果と同じ、又は同様の場合であっても、前者によって提供される3つの冷却効果のうちの他の1つは、後者によって提供される他の1つの冷却効果と比較して、向上させる又は改善することができる。
【0030】
更に、本発明による組成物によって提供される冷却効果は、即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果の全てを考慮して、成分(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか1つが含まれていない組成物によって提供される冷却効果と比較して、好ましくは相乗的に、向上させる又は改善することができる。
【0031】
以下では、本発明による組成物を詳細に説明する。
【0032】
[吸熱物質]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(a)吸熱物質を含む。2種以上の(a)吸熱物質を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0033】
(a)吸熱物質は、本明細書において、吸熱反応を引き起こすことができる物質を意味する。
【0034】
(a)吸熱物質は、室温及び大気圧で、粉末、ペースト、又は液体の形態であってもよい。
【0035】
(a)吸熱物質のタイプに制限はない。したがって、吸熱反応を引き起こすことができる限り、任意の有機及び無機化合物を、(a)吸熱物質として使用することができる。
【0036】
(a)吸熱物質の例には、無機塩、例えば塩化ナトリウム及び塩化カリウム、窒素含有化合物、例えば尿素、並びに糖アルコールが含まれる。
【0037】
(a)吸熱物質は、糖アルコールから選択されることが好ましい場合がある。
【0038】
「糖アルコール」という用語は、本明細書において、糖の潜在的なケトン又はアルデヒド基をアルコール基に還元することによって得られる化合物を意味する。したがって、糖アルコールは、いくつかのアルコール官能基を有する。
【0039】
「糖」という用語は、本明細書において、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含有する、酸素含有炭化水素系化合物を意味する。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であってもよい。
【0040】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フルクトース、マルトース、マンノース、アラビノース、キシロース、トレハロース及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0041】
したがって、挙げることができる好適な糖アルコールの例には、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、アラビトール、ペンタエリスリトール、及びそれらの混合物が含まれる。
【0042】
本発明による組成物中の(a)吸熱物質の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上であることができる。
【0043】
その一方で、本発明による組成物中の(a)吸熱物質の量は、組成物の総質量に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であることができる。
【0044】
本発明による組成物中の(a)吸熱物質の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%、更により好ましくは2質量%〜5質量%の範囲であることができる。
【0045】
[メントール及びその誘導体]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(b)メントール及びその誘導体から選択される化合物を含む。2種以上の(b)化合物を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0046】
メントールとして、1-メントール又はdl-メントールを使用することができる。
【0047】
メントールの誘導体は、エステル及びエーテルであってもよい。
【0048】
メントールのエステルは、メントール及び一価カルボン酸のモノエステル、例えばメンチルアセテート及びメンチルピロリドンカルボキシレート;メントール及び一価ヒドロキシカルボン酸のモノエステル、例えばメンチルラクテート及びメンチルヒドロキシブチレート;メントール及び二価カルボン酸のモノエステル、例えばモノメンチルスクシネート及びモノメンチルグルタレート;メントール及び二価カルボン酸のジエステル、例えばジメンチルスクシネート及びジメンチルグルタレート;メンチルエチルアミドオキサレート;並びにそれらの混合物であってもよい。
【0049】
メントールのエーテルは、メントール及びグリセロールのモノエーテル、例えばメンチルグリセリルエーテル(メントキシプロパンジオール);メントール及びグルコースのモノエーテル、例えばメンチルグルコシド;並びにそれらの混合物であってもよい。
【0050】
(b)化合物は、メントールのエステル及びエーテル、好ましくはカルボキシレート及びグリセリルエーテル、より好ましくはメントキシプロパンジオールから選択することができる。
【0051】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更により好ましくは0.3質量%以上であることができる。
【0052】
その一方で、本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは1質量%以下、更により好ましくは0.7質量%以下であることができる。
【0053】
本発明による組成物中の(b)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.001質量%〜20質量%、好ましくは0.01質量%〜10質量%、より好ましくは0.1質量%〜1質量%、更により好ましくは0.3質量%〜0.7質量%の範囲であることができる。
【0054】
[シクロデキストリン及びその誘導体]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される化合物を含む。2種以上の(c)化合物を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
任意のタイプのシクロデキストリン及びその誘導体を、(c)化合物として使用することができる。使用できるシクロデキストリンは、例えば、次式のオリゴ糖から選択することができる:
【0056】
【化1】
【0057】
(式中、xは、4(α-シクロデキストリンに対応する)、5(β-シクロデキストリンに対応する)及び6(γ-シクロデキストリンに対応する)から選択される)。
【0058】
したがって、(c)化合物は、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリン及びそれらの混合物から選択することができる。
【0059】
一実施形態では、シクロデキストリンは、β-シクロデキストリン及びγ-シクロデキストリン、好ましくはβ-シクロデキストリンから選択することができる。
【0060】
例えば、WACKER社によりCAVAMAX W7 PHARMAの名称で販売されているβ-シクロデキストリン、及びWACKER社によりCAVAMAX W8の名称で販売されているγ-シクロデキストリンを使用することができる。別の実施形態では、シクロデキストリンの誘導体は、例えば、メチルシクロデキストリン、例えばWACKER社によりCAVASOL W7の名称で販売されているメチル-β-シクロデキストリンから選択することができる。
【0061】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更により好ましくは2質量%以上であることができる。
【0062】
その一方で、本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して30質量%以下、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更により好ましくは5質量%以下であることができる。
【0063】
本発明による組成物中の(c)化合物の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%〜30質量%、好ましくは0.1質量%〜20質量%、より好ましくは1質量%〜10質量%、更により好ましくは2質量%〜5質量%の範囲であることができる。
【0064】
[水]
本発明による組成物は、(d)水を更に含んでいてもよい。
【0065】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更により好ましくは40質量%以上であることができる。
【0066】
その一方で、本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して80質量%以下、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更により好ましくは50質量%以下であることができる。
【0067】
本発明による組成物中の(d)水の量は、組成物の総質量に対して10質量%〜80質量%、好ましくは20質量%〜70質量%、より好ましくは30質量%〜60質量%、更により好ましくは40質量%〜50質量%の範囲であることができる。
【0068】
[油]
本発明による組成物は、少なくとも1種の(e)油を更に含んでいてもよい。2種以上の(e)油を使用する場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
本明細書において、「油」は、大気圧(760mmHg)下室温(25℃)で、通常は液体又はペーストの形態である脂肪性化合物又は物質を意味する。油としては、化粧品において一般に使用されるものを、単独で又はそれらを組み合わせて使用することができる。これらの油は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0070】
(e)油は、非極性油、例えば炭化水素油、シリコーン油等;極性油、例えば植物若しくは動物油及びエステル油若しくはエーテル油;又はそれらの混合物であることができる。
【0071】
(e)油は、植物又は動物起源の油、合成油、シリコーン油、炭化水素油、及び脂肪アルコールからなる群から選択することができる。
【0072】
植物油の例としては、例えば、アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、コーン油、ミンク油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、アーモンド油、アブラナ種子油、ゴマ油、ダイズ油、ピーナッツ油、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0073】
動物油の例としては、例えば、スクワレン及びスクワランを挙げることができる。
【0074】
合成油の例としては、アルカン油、例えばイソドデカン及びイソヘキサデカン、エステル油、エーテル油、並びに人工トリグリセリドを挙げることができる。
【0075】
エステル油は、好ましくは、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族一酸又は多酸と、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC1〜C26脂肪族モノアルコール又はポリアルコールとの液体エステルであり、エステルの炭素原子の総数は、10以上である。
【0076】
好ましくは、モノアルコールのエステルの場合、本発明のエステルが由来するアルコール及び酸の中で少なくとも1つは分枝状である。
【0077】
一酸とモノアルコールとのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリルを挙げることができる。
【0078】
C4〜C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1〜C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸、又はトリカルボン酸と非糖C4〜C26ジヒドロキシ、トリヒドロキシ、テトラヒドロキシ、又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルも使用することができる。
【0079】
とりわけ、セバシン酸ジエチル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソステアリル、マレイン酸ビス(2-エチルヘキシル)、クエン酸トリイソプロピル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソステアリル、トリ乳酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、クエン酸トリオクチルドデシル、クエン酸トリオレイル、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジイソノナン酸ジエチレングリコールを挙げることができる。
【0080】
エステル油としては、C6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを使用することができる。「糖」という用語は、アルデヒド又はケトン官能基の有無にかかわらず、いくつかのアルコール官能基を含有し、少なくとも4個の炭素原子を含む、酸素含有炭化水素系化合物を意味することが想起される。これらの糖は、単糖、オリゴ糖、又は多糖であることができる。
【0081】
挙げることができる好適な糖の例には、スクロース(又はサッカロース)、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース、及びラクトース、並びにそれらの誘導体、とりわけアルキル誘導体、例えばメチル誘導体、例としてメチルグルコースが含まれる。
【0082】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、先に記載した糖と、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6〜C30、好ましくはC12〜C22脂肪酸とのエステル又はエステルの混合物を含む群から選択することができる。それらが不飽和である場合、これらの化合物は、1から3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有することができる。
【0083】
この変形形態によるエステルはまた、モノエステル、ジエステル、トリエステル、テトラエステル、及びポリエステル、並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0084】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、及びアラキドン酸エステル、又はそれらの混合物、例えば、とりわけオレオパルミチン酸、オレオステアリン酸、及びパルミトステアリン酸の混合エステル、並びにテトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチルであってもよい。
【0085】
より特定すると、モノエステル及びジエステル、とりわけスクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノオレイン酸エステル又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステルが使用される。
【0086】
挙げることができる例は、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOの名称で販売されている製品であり、これは、ジオレイン酸メチルグルコースである。
【0087】
好ましいエステル油の例としては、例えば、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、ヘキサン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸エチル、オクタン酸セチル、オクタン酸オクチルドデシル、ネオペンタン酸イソデシル、プロピオン酸ミリスチル、2-エチルヘキサン酸2-エチルヘキシル、オクタン酸2-エチルヘキシル、カプリル酸/カプリン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、炭酸ジカプリリル、ラウロイルサルコシンイソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸エチルヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、ラウリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸イソデシル、トリ(2-エチルヘキサン酸)グリセリル、テトラ(2-エチルヘキサン酸)ペンタエリスリチル、コハク酸2-エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0088】
人工トリグリセリドの例としては、例えば、カプリルカプリリルグリセリド、トリミリスチン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリリノレン酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリン酸/カプリル酸)グリセリル、及びトリ(カプリン酸/カプリル酸/リノレン酸)グリセリルを挙げることができる。
【0089】
シリコーン油の例としては、例えば、直鎖状オルガノポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等;環状オルガノポリシロキサン、例えばシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等;及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0090】
好ましくは、シリコーン油は、液体ポリジアルキルシロキサン、とりわけ液体ポリジメチルシロキサン(PDMS)、及び少なくとも1個のアリール基を含む液体ポリオルガノシロキサンから選択される。
【0091】
これらのシリコーン油はまた、有機変性されていてもよい。本発明に従って使用することができる有機変性シリコーンは、上記に定義したシリコーン油であり、それらの構造中に、炭化水素系基を介して結合している1個又は複数の有機官能基を含む。
【0092】
オルガノポリシロキサンは、Walter Noll著、Chemistry and Technology of Silicones(1968年)、Academic Press社においてより詳細に定義されている。それらは、揮発性であっても不揮発性であってもよい。
【0093】
それらが揮発性である場合、シリコーンは、より特定すると、60℃から260℃の間の沸点を有するものから選択され、更に特定すると、以下のものから選択される:
(i)3から7個、好ましくは4から5個のケイ素原子を含む環状ポリジアルキルシロキサン。これらは、例えば、特にUnion Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7207の名称で、又はRhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V2の名称で販売されているオクタメチルシクロテトラシロキサン、Union Carbide社によってVolatile Silicone(登録商標)7158の名称で、Rhodia社によってSilbione(登録商標)70045 V5の名称で販売されているデカメチルシクロペンタシロキサン、及びMomentive Performance Materials社によってSilsoft 1217の名称で販売されているドデカメチルシクロペンタシロキサン、並びにそれらの混合物である。以下の式のジメチルシロキサン/メチルアルキルシロキサン等のタイプのシクロコポリマー、例えばUnion Carbide社によって販売されているSilicone Volatile(登録商標)FZ 3109も挙げることができる:
【0094】
【化2】
【0095】
環状ポリジアルキルシロキサンと有機ケイ素化合物との混合物、例えばオクタメチルシクロテトラシロキサン及びテトラトリメチルシリルペンタエリスリトール(50/50)の混合物、並びにオクタメチルシクロテトラシロキサン及びオキシ-1,1'-ビス(2,2,2',2',3,3'-ヘキサトリメチルシリルオキシ)ネオペンタンの混合物も挙げることができる;並びに
(ii)2から9個のケイ素原子を含有し、25℃で5×10-6m2/s以下の粘度を有する直鎖状の揮発性ポリジアルキルシロキサン。例は、特にトーレ・シリコーン株式会社によってSH 200の名称で販売されているデカメチルテトラシロキサンである。このカテゴリーに属するシリコーンはまた、Cosmetics and Toiletries、第91巻、76年1月、27〜32頁、Todd & Byers、Volatile Silicone Fluids for Cosmeticsに公表された論文に記載されている。シリコーンの粘度は、ASTM規格445付属書Cに従って25℃で測定される。
【0096】
不揮発性ポリジアルキルシロキサンも使用することができる。これらの不揮発性シリコーンは、より特定すると、ポリジアルキルシロキサンから選択され、その中では、主として、トリメチルシリル末端基を含有するポリジメチルシロキサンを挙げることができる。
【0097】
これらのポリジアルキルシロキサンの中では、非限定的に、以下の市販製品を挙げることができる:
- Rhodia社によって販売されている47及び70047シリーズのSilbione(登録商標)油又はMirasil(登録商標)油、例として油70047 V 500000、
- Rhodia社によって販売されているMirasil(登録商標)シリーズの油、
- Dow Corning社製の200シリーズの油、例えば60000mm2/sの粘度を有するDC200、並びに
- General Electric社製のViscasil(登録商標)油及びGeneral Electric社製のSFシリーズのある種の油(SF 96、SF 18)。
【0098】
ジメチコノール(CTFA)の名称で知られているジメチルシラノール末端基を含有するポリジメチルシロキサン、例えばRhodia社製の48シリーズの油も挙げることができる。
【0099】
アリール基を含有するシリコーンの中では、ポリジアリールシロキサン、とりわけポリジフェニルシロキサン及びポリアルキルアリールシロキサン、例えばフェニルシリコーン油を挙げることができる。
【0100】
フェニルシリコーン油は、以下の式
【0101】
【化3】
【0102】
[式中、
R1からR10は、互いに独立して、飽和又は不飽和の、直鎖状、環状又は分枝状のC1〜C30炭化水素系基、好ましくはC1〜C12炭化水素系基、より好ましくはC1〜C6炭化水素系基、特にメチル、エチル、プロピル、又はブチル基であり、
m、n、p、及びqは、互いに独立して、0以上900以下、好ましくは0以上500以下、より好ましくは0以上100以下の整数であり、
ただし、和n+m+qは、0以外であることを条件とする]
のフェニルシリコーンから選択することができる。
【0103】
挙げることができる例には、以下の名称で販売されている製品が含まれる:
- Rhodia社製の70641シリーズのSilbione(登録商標)油、
- Rhodia社製のRhodorsil(登録商標)70633及び763シリーズの油、
- Dow Corning社製の油Dow Corning 556 Cosmetic Grade Fluid、
- Bayer社製のPKシリーズのシリコーン、例えば製品PK20、
- General Electric社製のSFシリーズのある種の油、例えばSF 1023、SF 1154、SF 1250、及びSF 1265。
【0104】
フェニルシリコーン油としては、フェニルトリメチコン(上記の式中、R1からR10は、メチルであり、p、q、及びn=0であり、m=1である)が好ましい。
【0105】
有機変性された液体シリコーンは、とりわけ、ポリエチレンオキシ及び/又はポリプロピレンオキシ基を含有してもよい。したがって、信越化学工業株式会社によって提案されているシリコーンKF-6017、並びにUnion Carbide社製の油Silwet(登録商標)L722及びL77を挙げることができる。
【0106】
炭化水素油は、以下のものから選択することができる:
- 直鎖状又は分枝状の、場合により環状のC6〜C16低級アルカン。挙げることができる例には、ヘキサン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、及びイソパラフィン、例としてイソヘキサデカン、イソドデカン、及びイソデカンが含まれる;並びに
- 16個超の炭素原子を含有する直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えば流動パラフィン、流動ワセリン、ポリデセン及び水添ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、並びにスクワラン。
【0107】
炭化水素油の好ましい例としては、例えば、直鎖状又は分枝状の炭化水素、例えばイソヘキサデカン、イソドデカン、スクワラン、鉱油(例えば、流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン又はペトロラタム、ナフタレン等;水添ポリイソブテン、イソエイコサン、及びデセン/ブテンコポリマー;並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0108】
脂肪アルコールにおける「脂肪」という用語は、比較的多数の炭素原子を含むことを意味する。したがって、4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは12個以上の炭素原子を有するアルコールは、脂肪アルコールの範囲内に包含される。脂肪アルコールは、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪アルコールは、直鎖状であっても分枝状であってもよい。
【0109】
脂肪アルコールは、構造R-OH[式中、Rは、4から40個の炭素原子、好ましくは6から30個の炭素原子、より好ましくは12から20個の炭素原子を含有する飽和及び不飽和の、直鎖状及び分枝状の基から選択される]を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、Rは、C12〜C20アルキル及びC12〜C20アルケニル基から選択することができる。Rは、少なくとも1個のヒドロキシル基で置換されていてもいなくてもよい。
【0110】
脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、パルミトレイルアルコール、アラキドニルアルコール、エルシルアルコール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0111】
脂肪アルコールは、飽和脂肪アルコールであることが好ましい。
【0112】
したがって、脂肪アルコールは、直鎖又は分枝状の、飽和又は不飽和のC6〜C30アルコール、好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C6〜C30アルコール、より好ましくは直鎖又は分枝状の、飽和C12〜C20アルコールから選択することができる。
【0113】
「飽和脂肪アルコール」という用語は、本明細書において、長い脂肪族飽和炭素鎖を有するアルコールを意味する。飽和脂肪アルコールは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C6〜C30脂肪アルコールから選択されることが好ましい。直鎖状又は分枝状の、飽和C6〜C30脂肪アルコールの中では、好ましくは、直鎖状又は分枝状の、飽和C12〜C20脂肪アルコールを使用することができる。より好ましくは、任意の直鎖状又は分枝状の、飽和C16〜C20脂肪アルコールを使用することができる。更に好ましくは、分枝状のC16〜C20脂肪アルコールを使用することができる。
【0114】
飽和脂肪アルコールの例としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ウンデシレニルアルコール、ミリスチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、又はそれらの混合物(例えば、セテアリルアルコール)及びベヘニルアルコールを、飽和脂肪アルコールとして使用することができる。
【0115】
少なくとも1つの実施形態によれば、本発明による組成物中で使用される脂肪アルコールは、好ましくは、セチルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、及びそれらの混合物から選択される。
【0116】
(e)油は、炭化水素油、エステル油、シリコーン油、及びそれらの混合物から選択されることが好ましい。
【0117】
本発明による組成物中の(e)油の量は、組成物の総質量に対して0.01質量%から25質量%、好ましくは0.1質量%から20質量%、より好ましくは1質量%から15質量%、更に好ましくは5質量%から15質量%の範囲であることができる。
【0118】
[UVフィルター]
本発明の組成物は、少なくとも1種のUVフィルターを含んでいてもよい。
【0119】
UVフィルターのタイプに制限はない。2種以上のタイプのUVフィルターを、本発明の組成物中で使用してもよい。したがって、単一のタイプのUVフィルター、又は異なるタイプのUVフィルターの組合せを使用することができる。
【0120】
UVフィルターは、無機UVフィルター、有機UVフィルター、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0121】
本発明による組成物は、(f)UVフィルターを、組成物の総質量に対して1質量%〜30質量%の範囲、好ましくは3質量%〜25質量%の範囲、より好ましくは5質量%〜20質量%の範囲、更により好ましくは7質量%〜15質量%の範囲の量で含むことができる。
【0122】
(有機UVフィルター)
本発明による組成物は、少なくとも1種の有機UVフィルターを含んでいてもよい。2種以上の有機UVフィルターを使用する場合、これらは同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であってもよい。
【0123】
本発明に使用する有機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において活性を有するものであってもよい。有機UVフィルターは、親水性及び/又は親油性であってもよく、好ましくは親油性であってもよい。
【0124】
有機UVフィルターは、固体であっても液体であってもよい。用語「固体」及び「液体」は、それぞれ、1気圧下の25℃で固体及び液体を意味する。
【0125】
有機UVフィルターは、アントラニル化合物;ジベンゾイルメタン化合物;ケイ皮酸化合物(cinnamic compound);サリチル酸化合物;カンファー化合物;ベンゾフェノン化合物;β,β-ジフェニルアクリレート化合物;トリアジン化合物;ベンゾトリアゾール化合物;ベンザルマロネート化合物;ベンゾイミダゾール化合物;イミダゾリン化合物;ビス-ベンゾアゾリル化合物;p-アミノ安息香酸(PABA)化合物;メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物;ベンゾオキサゾール化合物;遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン;α-アルキルスチレン由来ダイマー;4,4-ジアリールブタジエン化合物;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0126】
有機UVフィルターの例としては、下記にそのINCI名で示すもの、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0127】
- アントラニル化合物:Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan MA」の商標で市販されているメンチルアントラニレート。
- ジベンゾイルメタン化合物:特にHoffmann-La Roche社によって「Parsol 1789」の商標で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン;及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
- ケイ皮化合物:特にHoffmann-La Roche社によって「Parsol MCX」の商標で市販されているエチルヘキシルメトキシシンナメート;イソプロピルメトキシシンナメート;イソプロポキシメトキシシンナメート;Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているイソアミルメトキシシンナメート;シノキセート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);DEAメトキシシンナメート;ジイソプロピルメチルシンナメート;及びグリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
- サリチル酸化合物:Rona/EM Industries社によって「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサレート(ホモメンチルサリチレート);Haarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているエチルヘキシルサリチレート;グリコールサリチレート;ブチルオクチルサリチレート;フェニルサリチレート;Scher社によって「Dipsal」の商標で市販されているジプロピレングリコールサリチレート;及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているTEAサリチレート。
- カンファー化合物、特にベンジリデンカンファー誘導体:Chimex社によって「Mexoryl SD」の商標で製造されている3-ベンジリデンカンファー;Merck社によって「Eusolex 6300」の商標で市販されている4-メチルベンジリデンカンファー;Chimex社によって「Mexoryl SL」の商標で製造されているベンジリデンカンファースルホン酸;Chimex社によって「Mexoryl SO」の商標で製造されているカンファーベンザルコニウムメトスルフェート;Chimex社によって「Mexoryl SX」の商標で製造されているテレフタリリデンジカンファースルホン酸;及びChimex社によって「Mexoryl SW」の商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー。
- ベンゾフェノン化合物:BASF社によって「Uvinul 400」の商標で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul D50」の商標で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASF社によって「Uvinul M40」の商標で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASF社によって「Uvinul MS40」の商標で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム);Norquay社によって「Helisorb 11」の商標で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamid社によって「Spectra-Sorb UV-24」の商標で市販されているベンゾフェノン-8;BASF社によって「Uvinul DS-49」の商標で市販されているベンゾフェノン-9(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸二ナトリウム);ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(BASF社によるUVINUL A+)。
- β,β-ジフェニルアクリレート化合物:特にBASF社によって「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASF社によって「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
- トリアジン化合物:Sigma 3V社によって「Uvasorb HEB」の商標で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、Ciba Geigy社によって「TINOSORB S」の商標で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、及びBASF社によって「UVINUL T150」の商標で市販されているエチルヘキシルトリアゾン。
- ベンゾトリアゾール化合物、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:分枝状及び直鎖状の2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール、及びUSP 5240975に記載のもの。
- ベンザルマロネート化合物:ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、及びベンザルマロネート官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRoche社によって「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
- ベンゾイミダゾール化合物、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体。特にMerck社によって「Eusolex 232」の商標で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimer社によって「Neo Heliopan AP」の商標で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
- イミダゾリン化合物:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
- ビス-ベンゾアゾリル化合物:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号明細書に記載の誘導体。
- パラアミノ安息香酸誘導体:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ペンチルジメチルPABA、特にISP社によって「Escalol 507」の商標で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、及びBASF社によって「Uvinul P25」の商標で市販されているPEG-25 PABA。
- メチレンビス-(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)化合物、例えばFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/200」の商標で固体形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-フェノール]、BASF社によって「Tinosorb M」の商標で、又はFairmount Chemical社によって「Mixxim BB/100」の商標で水性分散体中の微粉化形態で市販されている2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、並びに米国特許第5,237,071号、及び同第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載されている誘導体、並びに
下記に示すような、Rhodia Chimie社によって「Silatrizole」の商標で、又はL'Oreal社によって「Mexoryl XL」の商標で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン。
【0128】
【化4】
【0129】
- ベンゾオキサゾール化合物:Sigma 3V社によって「Uvasorb K2A」の商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
- 遮蔽性ポリマー及び遮蔽性シリコーン:WO 93/04665に記載のシリコーン。
- α-アルキルスチレン由来ダイマー:DE-19855649に記載のダイマー。
- 4,4-ジアリールブタジエン化合物:1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0130】
有機UVフィルターは、以下からなる群から選択されることが好ましい:
ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エチルヘキシルメトキシシンナメート、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、1,1'-(1,4-ピペラジンジイル)ビス[1-[2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]フェニル]-メタノン、4-メチルベンジリデンカンファー、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4'-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4-ビス-(n-ブチル4'-アミノベンザルマロネート)-6-[(3-{1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリルオキシ]ジシロキサニル}プロピル)アミノ]-s-トリアジン、2,4,6-トリス-(ジフェニル)-トリアジン、2,4,6-トリス-(ターフェニル)-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、ジネオペンチル4'-メトキシベンザルマロネート、1,1-ジカルボキシ(2,2'-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート及びそれらの混合物。
【0131】
(無機紫外線フィルター)
本発明による組成物は、無機紫外線フィルターを含んでいてもよい。本発明に使用する無機UVフィルターは、UV-A及び/又はUV-B領域において活性を有するものであってもよい。
【0132】
無機UVフィルターは一般的に、金属酸化物、好ましくは、酸化チタン、酸化亜鉛、若しくは酸化鉄、又はそれらの混合物から選択され、より特定すると、二酸化チタン(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化亜鉛及びそれらの混合物から選択される。特に好ましくは、無機UV遮蔽剤は、TiO2である。
【0133】
これらの金属酸化物は、概して200nm未満の平均一次粒径を有する粒子の形態であってもよい。有利には、使用する金属酸化物粒子は、0.15μm以下の平均一次粒径を有する。
【0134】
また、これらの金属酸化物は、概して0.2μm未満の平均厚さを有する層、好ましくは多層の形態であってもよい。
【0135】
本発明による無機UVフィルターは、好ましくは、5nm超及び200nm未満の平均一次粒径を有する。本発明の特に好ましい一実施形態によれば、この粒径は、好ましくは10nm〜150nmの範囲である。
【0136】
本発明の一実施形態によれば、無機UVフィルターは、酸化チタンをベースとするナノ顔料であってもよい。
【0137】
無機UVフィルターは、被覆されていても、被覆されていなくてもよい。
【0138】
被覆無機UVフィルターは、化学的、電子的、メカノケミカル及び/又は機械的性質の1種又はそれ以上の表面処理を受けた顔料であって、この表面処理は、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に記載されている化合物、例えば、アミノ酸、ビーズワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン又はアルミニウムアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物又はヘキサメタリン酸ナトリウムを用いてなされる。
【0139】
好ましくは、無機UVフィルターは、被覆又は非被覆二酸化チタンから選択することができる。
【0140】
[界面活性剤]
本発明による組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を更に含んでいてもよい。2種以上の界面活性剤を使用できる。したがって、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0141】
任意の界面活性剤を、本発明のために使用することができる。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及び非イオン性界面活性剤からなる群から選択することができる。2種以上の界面活性剤を組み合わせて使用することができる。したがって、単一のタイプの界面活性剤、又は異なるタイプの界面活性剤の組合せを使用することができる。
【0142】
本発明の一実施形態によれば、界面活性剤の量は、本発明による方法で使用される組成物の総質量に対して0.01〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%の範囲であることができる。
【0143】
(i)アニオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上のアニオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0144】
アニオン性界面活性剤は、(C6〜C30)アルキルスルフェート、(C6〜C30)アルキルエーテルスルフェート、(C6〜C30)アルキルアミドエーテルスルフェート、アルキルアリールポリエーテルスルフェート、モノグリセリドスルフェート;(C6〜C30)アルキルスルホネート、(C6〜C30)アルキルアミドスルホネート、(C6〜C30)アルキルアリールスルホネート、α-オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート;(C6〜C30)アルキルホスフェート;(C6〜C30)アルキルスルホスクシネート、(C6〜C30)アルキルエーテルスルホスクシネート、(C6〜C30)アルキルアミドスルホスクシネート;(C6〜C30)アルキルスルホアセテート;(C6〜C24)アシルサルコシネート;(C6〜C24)アシルグルタメート;(C6〜C30)アルキルポリグリコシドカルボン酸エーテル;(C6〜C30)アルキルポリグリコシドスルホスクシネート;(C6〜C30)アルキルスルホスクシナメート;(C6〜C24)アシルイセチオネート;N-(C6〜C24)アシルタウレート;C6〜C30脂肪酸塩;ヤシ油酸塩又は水添ヤシ油酸塩;(C8〜C20)アシルラクチレート;(C6〜C30)アルキル-D-ガラクトシドウロン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルエーテルカルボン酸塩;ポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルアリールエーテルカルボン酸塩;及びポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルアミドエーテルカルボン酸塩;並びに対応する酸の形態からなる群から選択されることが好ましい。
【0145】
少なくとも1つの実施形態では、アニオン性界面活性剤は、塩、例えばアルカリ金属、例としてナトリウムの塩;アルカリ土類金属、例としてマグネシウムの塩;アンモニウム塩;アミン塩;及びアミノアルコール塩の形態である。条件に応じて、それらはまた、酸の形態であってもよい。
【0146】
アニオン性界面活性剤は、(C6〜C30)アルキル硫酸塩、(C6〜C30)アルキルエーテルスルフェート又は塩化されている若しくは塩化されていないポリオキシアルキレン化(C6〜C30)アルキルエーテルカルボン酸から選択されることがより好ましい。
【0147】
(ii)両性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種の両性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上の両性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0148】
両性又は双性イオン性界面活性剤は、例えば(非限定的な一覧)、アミン誘導体、例えば脂肪族の第二級又は第三級アミン、及び場合により四級化されているアミン誘導体であることができ、その脂肪族基は、8から22個の炭素原子を含み、且つ少なくとも1個の水可溶化アニオン性基(例えば、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート、ホスフェート、又はホスホネート)を含有する、直鎖状又は分枝状の鎖である。
【0149】
両性界面活性剤は、好ましくは、ベタイン及びアミドアミンカルボキシル化誘導体からなる群から選択することができる。
【0150】
両性界面活性剤は、ベタイン型界面活性剤から選択されることが好ましい。
【0151】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン、アルキルアミドアルキルベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、及びアルキルアミドアルキルスルホベタイン、特に(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルベタイン、スルホベタイン、及び(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタインからなる群から選択される。一実施形態では、ベタイン型の両性界面活性剤は、(C8〜C24)アルキルベタイン、(C8〜C24)アルキルアミド(C1〜C8)アルキルスルホベタイン、スルホベタイン、及びホスホベタインから選択される。
【0152】
挙げることができる非限定的な例には、単独の又は混合物としての、ココベタイン、ラウリルベタイン、セチルベタイン、ココ/オレアミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、パルミタミドプロピルベタイン、ステアラミドプロピルベタイン、コカミドエチルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、オレアミドプロピルヒドロキシスルタイン、ココヒドロキシスルタイン、ラウリルヒドロキシスルタイン、及びココスルタインの名称で、CTFA International Cosmetic Ingredient Dictionary & Handbook、第15版、2014年において分類されている化合物が含まれる。
【0153】
ベタイン型両性界面活性剤は、好ましくは、アルキルベタイン及びアルキルアミドアルキルベタイン、特にココベタイン及びコカミドプロピルベタインである。
【0154】
アミドアミンカルボキシル化誘導体の中では、Miranolの名称で販売されている、米国特許第2,528,378号及び第2,781,354号に記載され、アンホカルボキシグリシネート及びアンホカルボキシプロピオネートの名称でCTFA dictionary、第3版、1982年において分類されている(それらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる)製品を挙げることができ、以下のそれぞれの構造を有する:
R1-CONHCH2CH2-N+(R2)(R3)(CH2COO-) M+ X- (B1)
[式中、
R1は、加水分解ヤシ油中に存在する酸R1-COOHのアルキル基、ヘプチル、ノニル又はウンデシル基を示し、
R2は、β-ヒドロキシエチル基を示し、
R3は、カルボキシメチル基を示し、
M+は、ナトリウム等のアルカリ金属に由来するカチオン性イオン;アンモニウムイオン;又は有機アミンに由来するイオンを示し、
X-は、有機又は無機のアニオン性イオン、例えばハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、アルキル(C1〜C4)硫酸イオン、アルキル(C1〜C4)-又はアルキル(C1〜C4)アリール-スルホン酸イオン、特にメチル硫酸イオン及びエチル硫酸イオンを示すか、或いはM+及びX-は、存在しない];
R1'-CONHCH2CH2-N(B)(C) (B2)
[式中、
R1'は、ヤシ油若しくは加水分解アマニ油中に存在する酸R1'-COOHのアルキル基、C7、C9、C11若しくはC13アルキル基等のアルキル基、C17アルキル基及びそのイソ型、又は不飽和C17基を示し、
Bは、-CH2CH2OX'を表し、
Cは、-(CH2)z-Y'を表し、z=1又は2であり、
X'は、-CH2-COOH基、-CH2-COOZ'、-CH2CH2-COOH、-CH2CH2-COOZ'又は水素原子を示し、
Y'は、-COOH、-COOZ'、-CH2-CHOH-SO3Z'、-CH2-CHOH-SO3H基又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z'基を示し、
Z'は、ナトリウム等のアルカリ若しくはアルカリ土類金属のイオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを表す];
及び
Ra''-NH-CH(Y'')-(CH2)n-C(O)-NH-(CH2)n'-N(Rd)(Re) (B'2)
[式中、
Y''は、-C(O)OH、-C(O)OZ''、-CH2-CH(OH)-SO3H又は-CH2-CH(OH)-SO3-Z''を示し、ここで、Z''は、ナトリウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属に由来するカチオン性イオン、有機アミンに由来するイオン、又はアンモニウムイオンを示し、
Rd及びReは、C1〜C4アルキル又はC1〜C4ヒドロキシアルキル基を示し、
Ra''は、酸由来のC10〜C30アルキル基又はアルケニル基を示し、
n及びn'は、独立して、1から3の整数を示す]。
【0155】
式B1及びB2を有する両性界面活性剤は、(C8〜C24)-アルキルアンホモノアセテート、(C8〜C24)アルキルアンホジアセテート、(C8〜C24)アルキルアンホモノプロピオネート、及び(C8〜C24)アルキルアンホジプロピオネートから選択されることが好ましい。
【0156】
これらの化合物は、ココアンホジ酢酸二ナトリウム、ラウロアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリルアンホジ酢酸二ナトリウム、カプリロアンホジ酢酸二ナトリウム、ココアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホプロピオン酸二ナトリウム、カプリルアンホジプロピオン酸二ナトリウム、カプリロアンホジプロピオン酸二ナトリウム、ラウロアンホジプロピオン酸、及びココアンホジプロピオン酸の名称で、CTFA dictionary、第5版、1993年において分類されている。
【0157】
例として、Rhodia Chimie社によってMiranol(登録商標)C2M濃縮物の商品名で販売されているココアンホジアセテートを挙げることができる。
【0158】
式(B'2)の化合物の中では、CHIMEX社によってCHIMEXANE HBの呼称で市販されているジエチルアミノプロピルココアスパルトアミドナトリウム(CTFA)を挙げることができる。
【0159】
(iii)カチオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種のカチオン性界面活性剤を含んでいてもよい。2種以上のカチオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0160】
カチオン性界面活性剤は、場合によりポリオキシアルキレン化されている第一級、第二級又は第三級脂肪アミン塩、第四級アンモニウム塩、及びそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0161】
挙げることができる第四級アンモニウム塩の例には、以下のものが含まれるがこれらに限定されない:
下記の一般式(B3)のもの:
【0162】
【化5】
【0163】
[式中、
R1、R2、R3、及びR4は、同一であっても異なっていてもよく、1から30個の炭素原子を含み、酸素、窒素、硫黄、及びハロゲン等のヘテロ原子を場合により含む直鎖状及び分枝状の脂肪族基であって、例えば、アルキル、アルコキシ、C2〜C6ポリオキシアルキレン、アルキルアミド、(C12〜C22)アルキルアミド(C2〜C6)アルキル、(C12〜C22)アルキルアセテート、及びヒドロキシアルキル基から選択することができる、脂肪族基;並びに芳香族基、例えばアリール及びアルキルアリールから選択され、X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、(C2〜C6)アルキル硫酸イオン、及びアルキル-又はアルキルアリール-スルホン酸イオンから選択される];
イミダゾリンの第四級アンモニウム塩、例として下記の式(B4)のもの:
【0164】
【化6】
【0165】
[式中、
R5は、8から30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基、例えば牛脂又はヤシの脂肪酸誘導体から選択され、
R6は、水素、C1〜C4アルキル基、並びに8から30個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基から選択され、
R7は、C1〜C4アルキル基から選択され、
R8は、水素及びC1〜C4アルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、アルキル硫酸イオン、アルキルスルホン酸イオン、及びアルキルアリールスルホン酸イオンから選択される。一実施形態では、R5及びR6は、例えば、12から21個の炭素原子を含むアルケニル及びアルキル基から選択される基の混合物、例えば牛脂の脂肪酸誘導体であり、R7は、メチルであり、R8は、水素である。そのような製品の例には、Witco社によって「Rewoquat(登録商標)」W75、W90、W75PG及びW75HPGの名称で販売されているクオタニウム-27(CTFA、1997年)及びクオタニウム-83(CTFA、1997年)が含まれるがこれらに限定されない];
式(B5)のジ又はトリ第四級アンモニウム塩:
【0166】
【化7】
【0167】
[式中、
R9は、16から30個の炭素原子を含む脂肪族基から選択され、
R10は、水素、又は1から4個の炭素原子を含むアルキル基、又は-(CH2)3 (R16a)(R17a)(R18a)N+X--基から選択され、
R11、R12、R13、R14、R16a、R17a、及びR18aは、同一であっても異なっていてもよく、水素、及び1から4個の炭素原子を含むアルキル基から選択され、
X-は、ハロゲン化物イオン、酢酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、エチル硫酸イオン、及びメチル硫酸イオンから選択される]
そのようなジ第四級アンモニウム塩の一例は、FINETEX社のFINQUAT CT-P(クオタニウム-89)又はFINQUAT CT(クオタニウム-75)である;
及び
少なくとも1個のエステル官能基を含む第四級アンモニウム塩、例えば下記の式(B6)のもの:
【0168】
【化8】
【0169】
[式中、
R22は、C1〜C6アルキル基及びC1〜C6ヒドロキシアルキル及びジヒドロキシアルキル基から選択され、
R23は、
下記の基:
【0170】
【化9】
【0171】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1〜C22炭化水素系基R27、並びに水素から選択され、
R25は、
下記の基:
【0172】
【化10】
【0173】
、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC1〜C6炭化水素系基R29、並びに水素から選択され、
R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC7〜C21炭化水素系基から選択され、
r、s、及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2から6の範囲の整数から選択され、
r1及びt1のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1であり、r2+r1=2r及びt1+t2=2tであり、
yは、1から10の範囲の整数から選択され、
x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0から10の範囲の整数から選択され、
X-は、単体及び錯体の、有機及び無機のアニオンから選択され、ただし、和x+y+zは、1から15の範囲であり、xが0である場合、R23は、R27を示し、zが0である場合、R25は、R29を示すことを条件とする。R22は、直鎖状及び分枝状のアルキル基から選択することができる。一実施形態では、R22は、直鎖状のアルキル基から選択される。別の実施形態では、R22は、メチル、エチル、ヒドロキシエチル、及びジヒドロキシプロピル基、例えばメチル及びエチル基から選択される。一実施形態では、和x+y+zは、1から10の範囲である。R23が炭化水素系基R27である場合、これは、長鎖であり12から22個の炭素原子を含んでいてもよく、又は短鎖であり1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。R25が炭化水素系基R29である場合、これは、例えば、1から3個の炭素原子を含んでいてもよい。非限定的な例として、一実施形態では、R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11〜C21炭化水素系基、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC11〜C21アルキル及びアルケニル基から選択される。別の実施形態では、x及びzは、同一であっても異なっていてもよく、0又は1である。一実施形態では、yは、1に等しい。別の実施形態では、r、s、及びtは、同一であっても異なっていてもよく、2又は3に等しく、例えば2に等しい。アニオンX-は、例えば、ハロゲン化物イオン、例えば塩化物イオン、臭化物イオン及びヨウ化物イオン;並びにC1〜C4アルキル硫酸イオン、例えばメチル硫酸イオンから選択することができる。しかしながら、メタンスルホン酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、トシル酸イオン、有機酸に由来するアニオン、例えば酢酸イオン及び乳酸イオン、並びにエステル官能基を含むアンモニウムに適合する全ての他のアニオンは、本発明に従って使用することができるアニオンの他の非限定的な例である。一実施形態では、アニオンX-は、塩化物イオン及びメチル硫酸イオンから選択される]。
【0174】
別の実施形態では、式(B6)のアンモニウム塩[式中、
R22は、メチル及びエチル基から選択され、
x及びyは、1に等しく、
zは、0又は1に等しく、
r、s、及びtは、2に等しく、
R23は、
下記の基:
【0175】
【化11】
【0176】
、メチル、エチル、及びC14〜C22炭化水素系基、水素から選択され、
R25は、
下記の基:
【0177】
【化12】
【0178】
、及び水素から選択され、
R24、R26、及びR28は、同一であっても異なっていてもよく、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13〜C17炭化水素系基、例えば、直鎖状及び分枝状の、飽和及び不飽和のC13〜C17アルキル及びアルケニル基から選択される]を使用することができる。
【0179】
一実施形態では、炭化水素系基は、直鎖状である。
【0180】
挙げることができる式(B6)の化合物の非限定的な例には、ジアシルオキシエチル-ジメチルアンモニウム、ジアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ジヒドロキシエチル-メチルアンモニウム、トリアシルオキシエチル-メチルアンモニウム、モノアシルオキシエチル-ヒドロキシエチル-ジメチル-アンモニウムの、塩、例えば塩化物及びメチル硫酸塩、並びにそれらの混合物が含まれる。一実施形態では、アシル基は、14から18個の炭素原子を含んでいてもよく、例えば、植物油、例としてパーム油及びヒマワリ油に由来してもよい。化合物がいくつかのアシル基を含む場合、これらの基は、同一であっても異なっていてもよい。
【0181】
これらの生成物は、例えば、場合によりオキシアルキレン化されているトリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルキルジエタノールアミン、又はアルキルジイソプロパノールアミンを、脂肪酸に又は植物若しくは動物起源の脂肪酸の混合物に、直接エステル化することによって、又はそれらのメチルエステルをエステル交換することによって得ることができる。このエステル化に続いて、ハロゲン化アルキル、例えばハロゲン化メチル及びハロゲン化エチル;硫酸ジアルキル、例えば硫酸ジメチル及び硫酸ジエチル;メタンスルホン酸メチル;パラ-トルエンスルホン酸メチル;グリコールクロロヒドリン;並びにグリセロールクロロヒドリンから選択されるアルキル化剤を使用して四級化してもよい。
【0182】
そのような化合物は、例えば、Cognis社によってDehyquart(登録商標)の名称で、Stepan社によってStepanquat(登録商標)の名称で、Ceca社によってNoxamium(登録商標)の名称で、及びRewo-Goldschmidt社によって「Rewoquat(登録商標)WE 18」の名称で販売されている。
【0183】
本発明による組成物中で使用することができるアンモニウム塩の他の非限定的な例には、米国特許第4,874,554号及び第4,137,180号に記載されている少なくとも1個のエステル官能基を含むアンモニウム塩が含まれる。
【0184】
本発明による組成物中で使用することができる上述の第四級アンモニウム塩の中には、式(I)に相当するもの、例えば、塩化テトラアルキルアンモニウム、例として塩化ジアルキルジメチルアンモニウム及び塩化アルキルトリメチルアンモニウム(そのアルキル基は、約12から22個の炭素原子を含む)、例えば塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化ベンジルジメチルステアリルアンモニウム;塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム;並びにVan Dyk社によって「Ceraphyl(登録商標)70」の名称で販売されている塩化ステアラミドプロピルジメチル(酢酸ミリスチル)アンモニウムが含まれるがこれらに限定されない。
【0185】
一実施形態によれば、本発明による組成物中で使用することができるカチオン性界面活性剤は、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、クオタニウム-83、クオタニウム-87、クオタニウム-22、塩化ベヘニルアミドプロピル-2,3-ジヒドロキシプロピルジメチルアンモニウム、塩化パルミチルアミドプロピルトリメチルアンモニウム、及びステアラミドプロピルジメチルアミンから選択される。
【0186】
(iv)非イオン性界面活性剤
組成物は、少なくとも1種の非イオン性界面活性剤を含む。2種以上の非イオン性界面活性剤を組み合わせて使用してもよい。
【0187】
非イオン性界面活性剤は、それら自体で周知の化合物である(例えば、この点に関しては、「Handbook of Surfactants」、M. R. Porter著、Blackie & Son出版社(Glasgow及びLondon)、1991年、116〜178頁を参照されたい)。したがって、それらは、例えば、アルコール、α-ジオール、アルキルフェノール、及び脂肪酸のエステルから選択することができ、これらの化合物は、エトキシル化、プロポキシル化、又はグリセロール化されており、例えば8から30個の炭素原子を含む少なくとも1つの脂肪鎖を有し、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド基の数が2から50の範囲であり、グリセロール基の数が1から30の範囲であることが可能である。マルトース誘導体も挙げることができる。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのコポリマー;エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドと、脂肪アルコールとの縮合物;例えば2から30molのエチレンオキシドを含むポリエトキシル化脂肪アミド;例えば1.5から5個、例えば1.5から4個のグリセロール基を含むポリグリセロール化脂肪アミド;2から30molのエチレンオキシドを含むソルビタンのエトキシル化脂肪酸エステル;植物起源のエトキシル化油;スクロースの脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールの脂肪酸エステル;グリセロール(C6〜C24)アルキルポリグリコシドのポリエトキシル化脂肪酸モノ又はジエステル;N-(C6〜C24)アルキルグルカミン誘導体;アミンオキシド、例えば(C10〜C14)アルキルアミンオキシド又はN-(C10〜C14)アシルアミノプロピルモルホリンオキシド;シリコーン界面活性剤;並びにそれらの混合物も非限定的に挙げることができる。
【0188】
非イオン性界面活性剤は、好ましくは、モノオキシアルキレン化、ポリオキシアルキレン化、モノグリセロール化、又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤から選択することができる。オキシアルキレン単位は、より特定すると、オキシエチレン若しくはオキシプロピレン単位、又はそれらの組合せであり、好ましくはオキシエチレン単位である。
【0189】
挙げることができるモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤の例には、単独の又は混合物としての、以下のものが含まれる:
モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化(C8〜C24)アルキルフェノール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8〜C30アルコール、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化C8〜C30アミド、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とポリアルキレングリコールとのエステル、
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状のC8〜C30酸とソルビトールとのモノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化エステル、
飽和又は不飽和の、モノオキシアルキレン化又はポリオキシアルキレン化植物油、
とりわけ、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドの縮合物。
【0190】
界面活性剤は、好ましくは、1から100の間、最も好ましくは2から50の間のモル数のエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを含有する。本発明の実施形態の1つによれば、ポリオキシアルキレン化非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン化脂肪アルコール(脂肪アルコールのポリエチレングリコールエーテル)及びポリオキシエチレン化脂肪エステル(脂肪酸のポリエチレングリコールエステル)から選択される。
【0191】
挙げることができるポリオキシエチレン化飽和脂肪アルコール(又はC8〜C30アルコール)の例には、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ9から50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると10から12個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはラウレス-10からラウレス-12);ベヘニルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ9から50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはベヘネス-9からベヘネス-50);セテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)のエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテアレス-10からセテアレス-30);セチルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはセテス-10からセテス-30);ステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から30個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはステアレス-10からステアレス-30);イソステアリルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ10から50個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはイソステアレス-10からイソステアレス-50);並びにそれらの混合物が含まれる。
【0192】
挙げることができるポリオキシエチレン化不飽和脂肪アルコール(又はC8〜C30アルコール)の例には、オレイルアルコールのエチレンオキシド付加物、とりわけ2から50個のオキシエチレン単位を含有するもの、より特定すると10から40個のオキシエチレン単位を含有するもの(CTFA名としてはオレス-10からオレス-40);及びそれらの混合物が含まれる。
【0193】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化非イオン性界面活性剤の例としては、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールが好ましくは使用される。
【0194】
特に、モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40アルコールは、以下の式に相当する:
RO-[CH2-CH(CH2OH)-O]m-H又はRO-[CH(CH2OH)-CH2O]m-H
[式中、Rは、直鎖状又は分枝状のC8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキル又はアルケニル基を表し、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]。
【0195】
本発明との関連で好適な化合物の例としては、4molのグリセロールを含有するラウリルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4ラウリルエーテル)、1.5molのグリセロールを含有するラウリルアルコール、4molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-4オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するオレイルアルコール(INCI名:ポリグリセリル-2オレイルエーテル)、2molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するセテアリルアルコール、6molのグリセロールを含有するオレオセチルアルコール、及び6molのグリセロールを含有するオクタデカノールを挙げることができる。
【0196】
アルコールは、mの値が統計値を表すのと同様に、アルコールの混合物を表す場合があり、これは、市販製品において、いくつかの種のポリグリセロール化脂肪アルコールが混合物の形態で共存しうることを意味する。
【0197】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化アルコールの中では、1molのグリセロールを含有するC8/C10アルコール、1molのグリセロールを含有するC10/C12アルコール、及び1.5molのグリセロールを含有するC12アルコールを使用することが好ましい。
【0198】
モノグリセロール化又はポリグリセロール化C8〜C40脂肪エステルは、以下の式
R'O-[CH2-CH(CH2OR''')-O]m-R''又はR'O-[CH(CH2OR''')-CH2O]m-R''
[式中、R'、R''、及びR'''のそれぞれは、独立して、水素原子、又は直鎖状若しくは分枝状のC8〜C40、好ましくはC8〜C30アルキル-CO-若しくはアルケニル-CO-基を表し、ただし、R'、R''、及びR'''の少なくとも1つは、水素原子ではないことを条件とし、mは、1から30、好ましくは1.5から10の範囲の数を表す]
に相当しうる。
【0199】
挙げることができるポリオキシエチレン化脂肪エステルの例には、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸又はベヘン酸のエステルのエチレンオキシド付加物、及びそれらの混合物、とりわけ9から100個のオキシエチレン単位を含有するもの、例えばラウリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ラウリン酸PEG-9からラウリン酸PEG-50);パルミチン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:パルミチン酸PEG-9からパルミチン酸PEG-50);ステアリン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ステアリン酸PEG-9からステアリン酸PEG-50);パルミトステアリン酸PEG-9からPEG-50;ベヘン酸PEG-9からPEG-50(CTFA名:ベヘン酸PEG-9からベヘン酸PEG-50);モノステアリン酸ポリエチレングリコール100 EO(CTFA名:ステアリン酸PEG-100);及びそれらの混合物が含まれる。
【0200】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、ポリオールと、例えば8から24個の炭素原子、好ましくは12から22個の炭素原子を含有する飽和又は不飽和鎖を有する脂肪酸とのエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体、例えばC8〜C24、好ましくはC12〜C22脂肪酸のグリセリルエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8〜C24、好ましくはC12〜C22脂肪酸のソルビトールエステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;C8〜C24、好ましくはC12〜C22脂肪酸の糖(スクロース、マルトース、グルコース、フルクトース、及び/又はアルキルグリコース)エステル、及び好ましくは10から200個、より好ましくは10から100個のオキシアルキレン単位を含有するそれらのポリオキシアルキレン化誘導体;脂肪アルコールのエーテル;糖及びC8〜C24、好ましくはC12〜C22脂肪アルコールのエーテル;並びにそれらの混合物から選択することができる。
【0201】
脂肪酸のグリセリルエステルとしては、ステアリン酸グリセリル(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸グリセリル)(CTFA名:ステアリン酸グリセリル)、ラウリン酸グリセリル又はリシノレイン酸グリセリル、並びにそれらの混合物を列挙することができ、それらのポリオキシアルキレン化誘導体としては、脂肪酸とポリオキシアルキレン化グリセロールとのモノ-、ジ-、又はトリエステル(脂肪酸とグリセロールのポリアルキレングリコールエーテルとのモノ-、ジ-、又はトリエステル)、好ましくはステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)ポリオキシエチレン化グリセリル、例えばステアリン酸(モノ-、ジ-、及び/又はトリステアリン酸)PEG-20グリセリルを列挙することができる。
【0202】
これらの界面活性剤の混合物、例えばUniqema社によってARLACEL 165の名称で市販されている、ステアリン酸グリセリル及びステアリン酸PEG-100を含有する製品、並びにGoldschmidt社によってTEGINの名称で市販されている、ステアリン酸グリセリル(モノ-及びジステアリン酸グリセリル)及びステアリン酸カリウムを含有する製品(CTFA名:ステアリン酸グリセリルSE)等も使用することができる。
【0203】
C8〜C24脂肪酸のソルビトールエステル及びそれらのポリオキシアルキレン化誘導体は、パルミチン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、並びに例えば20から100 EOを含有する脂肪酸及びアルコキシル化ソルビタンのエステル、例えばICI社によってSpan 60の名称で販売されているモノステアリン酸ソルビタン(CTFA名:ステアリン酸ソルビタン)、ICI社によってSpan 40の名称で販売されているモノパルミチン酸ソルビタン(CTFA名:パルミチン酸ソルビタン)、及びICI社によってTween 65の名称で販売されているトリステアリン酸ソルビタン20 EO(CTFA名:ポリソルベート65)、トリオレイン酸ポリエチレンソルビタン(ポリソルベート85)、又はUniqema社によってTween 20若しくはTween 60の商品名で市販されている化合物等から選択することができる。
【0204】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエステルとしては、パルミチン酸グルコース、セスキステアリン酸アルキルグルコース、例えばセスキステアリン酸メチルグルコース、パルミチン酸アルキルグルコース、例えばパルミチン酸メチルグルコース又はパルミチン酸エチルグルコース、メチルグルコシド脂肪エステル、メチルグルコシド及びオレイン酸のジエステル(CTFA名:ジオレイン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸の混合物の混合エステル(CTFA名:ジオレイン酸/ヒドロキシステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のエステル(CTFA名:イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びラウリン酸のエステル(CTFA名:ラウリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びイソステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキ-イソステアリン酸メチルグルコース)、メチルグルコシド及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物(CTFA名:セスキステアリン酸メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucate SSの名称で市販されている製品、並びにそれらの混合物を列挙することができる。
【0205】
脂肪酸及びグルコース又はアルキルグルコースのエトキシル化エーテルとしては、例えば、脂肪酸及びメチルグルコースのエトキシル化エーテル、特に約20モルのエチレンオキシドを有するメチルグルコース及びステアリン酸のジエステルのポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:ジステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、例えばAMERCHOL社によってGlucam E-20 distearateの名称で市販されている製品、約20モルのエチレンオキシドを有するメチル-グルコース及びステアリン酸のモノエステル及びジエステルの混合物のポリエチレングリコールエーテル(CTFA名:セスキステアリン酸PEG-20メチルグルコース)、特にAMERCHOL社によってGlucamate SSE-20の名称で市販されている製品及びGOLDSCHMIDT社によってGrillocose PSE-20の名称で市販されているもの、並びにそれらの混合物を列挙することができる。
【0206】
スクロースエステルとしては、例えば、パルミト-ステアリン酸サッカロース、ステアリン酸サッカロース、及びモノラウリン酸サッカロースを列挙することができる。
【0207】
糖エーテルとしては、アルキルポリグルコシドを使用することができ、例えば、デシルグルコシド、例えばKao Chemicals社によってMYDOL 10の名称で市販されている製品、Henkel社によってPLANTAREN 2000の名称で市販されている製品、及びSeppic社によってORAMIX NS 10の名称で市販されている製品、カプリリル/カプリルグルコシド、例えばSeppic社によってORAMIX CG 110の名称で又はBASF社によってLUTENSOL GD 70の名称で市販されている製品、ラウリルグルコシド、例えばHenkel社によってPLANTAREN 1200 N及びPLANTACARE 1200の名称で市販されている製品、ココ-グルコシド、例えばHenkel社によってPLANTACARE 818/UPの名称で市販されている製品、セトステアリルアルコールと場合によって混合されているセトステアリルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 68の名称で、Goldschmidt社によってTEGO-CARE CG90の名称で、及びHenkel社によってEMULGADE KE3302の名称で市販されているもの、アラキジルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 202の名称で市販されているアラキジル及びベヘニルアルコール並びにアラキジルグルコシドの混合物の形態のもの、ココイルエチルグルコシド、例えばSeppic社によってMONTANOV 82の名称で市販されているセチル及びステアリルアルコールとの混合物(35/65)の形態のもの、並びにそれらの混合物を特に列挙することができる。
【0208】
アルコキシル化植物油のグリセリドの混合物、例えばエトキシル化(200 EO)パーム及びコプラ(7 EO)グリセリドの混合物も列挙することができる。
【0209】
本発明による非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルケニル又は分枝状のC12〜C22アシル鎖、例えばオレイル又はイソステアリル基を含有する。より好ましくは、本発明による非イオン性界面活性剤は、トリイソステアリン酸PEG-20グリセリルである。
【0210】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、特に以下の式
HO(C2H4O)a(C3H6O)b(C2H4O)cH
[式中、a、b、及びcは、a+cが2から100の範囲であり、bが14から60の範囲であるような整数である]
のコポリマー、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0211】
本発明の実施形態の1つによれば、非イオン性界面活性剤は、シリコーン界面活性剤から選択することができる。文献US-A-5364633及びUS-A-5411744に開示されたものを非限定的に挙げることができる。
【0212】
シリコーン界面活性剤は、好ましくは、式(I)
【0213】
【化13】
【0214】
[式中、
R1、R2、及びR3は、互いに独立して、C1〜C6アルキル基又は-(CH2)x-(OCH2CH2)y-(OCH2CH2CH2)z-OR4基を表し、R1、R2、又はR3基の少なくとも1つは、アルキル基でなく、R4は、水素、アルキル基、又はアシル基であり、
Aは、0から200の範囲の整数であり、
Bは、0から50の範囲の整数であり、ただし、A及びBは、同時に0に等しいことはないことを条件とし、
xは、1から6の範囲の整数であり、
yは、1から30の範囲の整数であり、
zは、0から5の範囲の整数である]
の化合物であってもよい。
【0215】
本発明の好ましい一実施形態によれば、式(I)の化合物中、アルキル基は、メチル基であり、xは、2から6の範囲の整数であり、yは、4から30の範囲の整数である。
【0216】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例としては、式(II)
【0217】
【化14】
【0218】
[式中、Aは、20から105の範囲の整数であり、Bは、2から10の範囲の整数であり、yは、10から20の範囲の整数である]
の化合物を挙げることができる。
【0219】
式(I)のシリコーン界面活性剤の例としては、式(III)
H-(OCH2CH2)y-(CH2)3-[(CH3)2SiO]A'-(CH2)3-(OCH2CH2)y-OH (III)
[式中、A'及びyは、10から20の範囲の整数である]
の化合物も挙げることができる。
【0220】
使用することができる本発明の化合物は、Dow Corning社によってDC 5329、DC 7439-146、DC 2-5695、及びQ4-3667の名称で販売されているものである。化合物DC 5329、DC 7439-146、及びDC 2-5695は、それぞれ、Aが22であり、Bが2であり、yが12である式(II)の化合物;Aが103であり、Bが10であり、yが12である式(II)の化合物;Aが27であり、Bが3であり、yが12である式(II)の化合物である。
【0221】
化合物Q4-3667は、Aが15であり、yが13である式(III)の化合物である。
【0222】
[他の成分]
本発明による組成物はまた、少なくとも1種の任意選択又は追加の成分を含んでいてもよい。
【0223】
任意選択又は追加の成分は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、又は両性ポリマー;増粘剤;無機のUVフィルター;ペプチド及びそれらの誘導体;タンパク質加水分解物;膨潤剤及び浸透剤;抜け毛防止剤;抗フケ剤;天然又は合成の油用増粘剤;懸濁化剤;金属イオン封鎖剤;乳白剤;染料;ビタミン又はプロビタミン;香料;保存剤、安定剤;並びにそれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0224】
本発明による組成物は、1種又は複数の化粧品として許容される有機溶媒を含んでいてもよく、これは、アルコール、特に一価アルコール、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、及びフェニルエチルアルコール;ジオール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、及びブチレングリコール;他のポリオール、例えばグリセロール、糖、及びβ;並びにエーテル、例えばエチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテル、並びにブチレングリコールモノメチル、モノエチル、及びモノブチルエーテルであってもよい。
【0225】
この場合、有機溶媒は、組成物の総質量に対して0.01質量%から20質量%、好ましくは0.1質量%から10質量%、より好ましくは1質量%から5質量%の濃度で存在してよい。
【0226】
[形態]
本発明による組成物の形態は特に限定されず、W/Oエマルション、O/Wエマルション、水性ゲル、水溶液等の様々な形態をとることができる。本発明による組成物は、エマルションの形態であることが好ましく、より好ましくはO/Wエマルションの形態である。
【0227】
[調製]
本発明による組成物は、上記の必須成分及び任意選択の成分を、従来の方法で混合することによって調製することができる。
【0228】
[美容方法及び使用]
本発明による組成物は、好ましくは、化粧用組成物として使用することができる。化粧用組成物は、皮膚化粧品、毛髪化粧品、メイクアップ化粧品、及び唇等の粘膜で使用するための化粧品等のうちのいずれかであってもよく、好ましくは皮膚化粧品である。
【0229】
特に、本発明による組成物は、ケラチン物質、例えば皮膚、頭皮、及び/又は唇、好ましくは皮膚への塗布を意図したものであってもよい。したがって、本発明による組成物は、皮膚のための美容方法のために使用することができる。
【0230】
本発明による組成物は、成分(a)、(b)、及び(c)を含むので、冷却効果を提供することができる。
【0231】
本発明による皮膚等のケラチン物質のための美容方法又は美容的使用は、少なくとも、本発明による組成物をケラチン物質に塗布する工程を含む。
【0232】
一実施形態では、本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚上で、長時間持続冷却効果、又は再冷却効果を提供するための方法であって、ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0233】
一実施形態では、本発明は、ケラチン物質、例えば皮膚上で、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供するための方法であって、ケラチン物質上に本発明による組成物を塗布する工程を少なくとも含む方法に関する。
【0234】
本発明はまた、
(a)少なくとも1種の吸熱物質と、
(b)メントール及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と、
(c)シクロデキストリン及びその誘導体から選択される少なくとも1種の化合物と
の組合せの、組成物中における使用であって、組成物が、長時間持続冷却効果、又は再冷却効果、好ましくは、十分な即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果を提供できるようにするための、使用にも関する。
【0235】
本発明による組成物によって提供される冷却効果は、即時的冷却効果、長時間持続冷却効果、及び再冷却効果の全てを考慮して、成分(a)、(b)及び(c)のうちのいずれか1つが含まれていない組成物によって提供される冷却効果と比較して、好ましくは相乗的に、向上させる又は改善することができる。
【実施例】
【0236】
本発明を、実施例によって、より詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。下記の実施例は、本発明の分野における非限定的な例示として提示される。
【0237】
(実施例1及び比較例1〜3)
表1に示す実施例1及び比較例1〜3による以下の組成物を、表1に示す成分を室温で混合することによって調製した。表1に示す成分の量の数値は全て、活性原料としての「質量%」に基づく。
【0238】
【表1A】
【0239】
【表1B】
【0240】
[評価]
実施例1及び比較例1〜3による組成物を、以下の通り評価した。
【0241】
(官能評価)
4人の専門パネリストが、実施例1及び比較例1〜3による組成物のそれぞれを同量使用することにより、「即時的冷却効果」、「持続的冷却効果」、及び「再冷却効果」を評価した。
【0242】
「即時的冷却効果」という用語は、実施例1及び比較例1〜3による組成物のそれぞれを皮膚に塗布した直後の冷却感覚を意味する。
【0243】
「持続的冷却効果」という用語は、実施例1及び比較例1〜3による組成物のそれぞれを皮膚に塗布した後、ある一定の時間、例えば数時間持続する冷却感覚を意味する。
【0244】
「再冷却効果」という用語は、冷却効果が一度失われた後に、同量の水をミストの形態で皮膚上に噴霧することにより回復する冷却感覚を意味する。
【0245】
パネリストが、上記の効果を0(不良)〜3(非常に良好)で評価した後、評価の平均に基づいて、下記の3カテゴリーに分類した。
良好:2.0から3.0
普通:1.0から2.0未満
不良:0から1.0未満
【0246】
結果を表1に示す。
【0247】
(温度低下効果)
実施例1及び比較例1〜3による組成物のそれぞれを、ポリプロピレンシート上に塗布して、厚さ200μmの層を形成した。ポリプロピレンシート上の層を、室温で24時間乾燥させた。乾燥膜の初期温度を、赤外線熱イメージングカメラ(日本アビオニクス株式会社製InfReC R300SR)で測定した。0.07gの水を乾燥膜上に3回噴霧した後、同じ赤外線熱イメージングカメラで膜の温度を再度測定して、水を噴霧した後の膜の温度を決定した。乾燥膜の初期温度-水を噴霧した後の膜の温度の式によって、温度差を得た。温度差(低下温度)を表1の「温度低下効果」の行に示す。
【0248】
上記の成分(a)、(b)及び(c)を全て含む実施例1による組成物は、十分かつ良好な即時的冷却効果、持続的冷却効果、及び再冷却効果を発揮し、組成物が塗付された対象物の温度を大幅に低下させた。
【0249】
上記の成分(a)及び(c)のみを含み、上記の成分(b)を含まない比較例1による組成物は、より少ない即時的冷却効果及び再冷却効果を発揮した。比較例1による組成物は、シクロデキストリン及びキシリトールを含むが、この組成物によって提供される持続的冷却効果は不良であった。
【0250】
上記の成分(a)及び(b)のみを含み、上記の成分(c)を含まない比較例2による組成物は、不良な持続的冷却効果及び再冷却効果を発揮した。
【0251】
上記の成分(b)及び(c)のみを含み、上記の成分(a)を含まない比較例3による組成物は、より少ない再冷却効果を発揮した。比較例2による組成物は、メントキシプロパンジオールを含むが、この組成物によって提供される持続的冷却効果は不良であった。
【外国語明細書】
2019081732000001.pdf