【解決手段】訓練シミュレータは、模擬膀胱2と逆流抑制部材6とを備える。模擬膀胱2は、本体部21と蓋22とを含む。逆流抑制部材6は、逆流抑制弁61と密着部材62とを含む。逆流抑制弁61は、フランジ部611が本体部21の出口部211の上端部に接するように出口部211の内部に配置される。密着部材62は、貫通孔621を有し、逆流抑制弁61に接して逆流抑制弁61上に配置される。そして、逆流抑制弁61は、密着部材62から本体部21の内部へ向かうに従って内部空間が狭くなり、本体部21の内部側の端部が接触したテーパ構造を有する。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0041】
図1は、この発明の実施の形態による訓練シミュレータの概略図である。
図1を参照して、この発明の実施の形態による訓練シミュレータ10は、性器模型1と、模擬膀胱2と、ホース3と、調整部材4と、保管容器5とを備える。
【0042】
性器模型1は、人間の男性の性器模型である。性器模型1は、亀頭部分から模擬膀胱2に至るように配置された模擬尿道(
図1では、図示せず)を含む。そして、性器模型1は、例えば、樹脂からなり、より具体的には、超軟質(例えば、硬度:0〜15)のウレタンからなる。模擬膀胱2は、性器模型1に連結される。ホース3は、一方端が模擬膀胱2に連結され、他方端が保管容器5に連結される。調整部材4は、ホース3の任意の位置に装着される。
【0043】
模擬膀胱2は、保管容器5からホース3を介して水を受け、その受けた水を溜める。ホース3は、保管容器5からの水を模擬膀胱2に供給する。調節部材4は、ホース3を挟み込む量を調節することによって保管容器5から模擬膀胱2へ供給される水の量を調節する。なお、調節部材4は、保管容器5から模擬膀胱2への水の供給を停止することも可能である。
【0044】
保管容器5は、水を保管する。そして、保管容器5は、ホース3を介して水を模擬膀胱2へ供給する。保管容器5は、例えば、最大で500ccの水を保管することができる。この500ccの容量は、一般的な男性の膀胱に溜まる尿の平均的な容量である。
【0045】
図2は、
図1に示すA方向から見た性器模型1の平面図である。
図2を参照して、性器模型1は、模擬陰茎11、模擬尿道12、模擬尿道口13および模擬肛門14を含む。模擬尿道12の一方端は、模擬尿道口13に繋がっている。模擬肛門14は、模擬陰茎11よりも下側に位置する。模擬陰茎11および模擬肛門14は、それぞれ、人間の男性の陰茎および肛門の配置位置に対応して配置されている。
【0046】
図3は、
図1に示す模擬膀胱2側から見た性器模型1の平面図である。
図3を参照して、性器模型1は、凹部15,16と、通路部材17とを有する。凹部15,16の各々は、例えば、円形の平面形状を有し、
図3の紙面上、手前側から奥側へ凹んでいる。
【0047】
模擬尿道12の他方端側は、
図3の紙面上、奥側から手前側へ性器模型1を貫通し、凹部15の底面に繋がっている。通路部材17は、凹部16の底面に繋がっている。なお、通路部材17は、凹部16側と反対側の端部に模擬肛門14を有する。
【0048】
図4は、
図1に示す線IV−IV間における性器模型1の断面図である。
図4を参照して、模擬尿道12は、模擬尿道口13から凹部15の底面15Aに至るまでの領域に配置される。そして、模擬尿道12は、凹部15に連通している。模擬尿道口13は、凹部15側と反対側の模擬尿道12の端部に配置される。通路部材17は、模擬肛門14から凹部16の底面16Aに至るまでの領域に配置される。そして、通路部材17は、凹部16に連通している。模擬肛門14は、凹部16と反対側の通路部材17の端部に配置される。
【0049】
図5は、
図1に示す模擬膀胱2部分の分解図である。
図5を参照して、訓練シミュレータ10は、逆流抑制部材6を更に備える。
【0050】
模擬膀胱2は、本体部21と、蓋22とを含む。
【0051】
本体部21は、略円筒形状を有する。本体部21は、上下方向の上部端に出口部211を有する。出口部211は、略円筒形状を有する。そして、出口部211は、外周面に螺旋状に設けられたネジ211Aを有する。
【0052】
蓋22は、円柱形状を有し、内部が空洞である。また、蓋22は、内周側の内周面にネジ211Aに嵌合するネジ部(図示せず)を有する。そして、蓋22は、逆流抑制部材6を覆い、本体部21の出口部211のネジ211Aと嵌合する。その結果、逆流抑制部材6は、出口部211の内側に配置される。
【0053】
逆流抑制部材6は、逆流抑制弁61と、密着部材62とを含む。逆流抑制弁61は、出口部211の内側に配置され、一部が出口部211の上端部に接して上端部上に配置される。密着部材62は、逆流抑制弁61の上部に接して逆流抑制弁61上に配置される。
【0054】
図6は、
図5に示す逆流抑制弁61の斜視図である。
図7は、
図6に示す線VII−VII間における逆流抑制弁61の断面図である。
【0055】
図6および
図7を参照して、逆流抑制弁61は、フランジ部611と、円筒部612と、傾斜部613とを含む。なお、
図6においては、x軸、y軸およびz軸を規定する。x軸は、傾斜部613の幅方向に設定され、y軸は、傾斜部613の厚み方向に設定され、z軸は、逆流抑制弁61の高さ方向に設定される。
【0056】
フランジ部611は、ドーナツ形状を有する。フランジ部611は、外径Rおよび内径rを有する。外径Rは、模擬膀胱2の出口部211の内径よりも大きく、出口部211の外径とほぼ同じである。内径rは、訓練シミュレータ10を用いた訓練に使用されるカテーテルの外径よりも大きい。外径R1は、例えば、22mmに設定され、内径rは、例えば、11mmに設定される。フランジ部611の厚みは、例えば、1.5mmである。
【0057】
円筒部612は、内周面がフランジ部611の内周面に一致するようにフランジ部611に接して配置される。円筒部612は、フランジ部611の内径と同じ内径を有し、模擬膀胱2の出口部211の内径よりも小さい。円筒部612の外径R2は、例えば、16mmに設定され、円筒部612の長さL1は、例えば、3mmに設定される。
【0058】
傾斜部613は、フランジ部611から傾斜部613へ向かう方向に行くに従って内部空間が徐々に狭くなるように設けられたテーパ構造613Aを有する。テーパ構造613Aは、フランジ部611から傾斜部613へ向かう方向に行くに従って、内部空間が、
図7の紙面上の左右方向(
図6におけるy軸方向)に徐々に狭くなり、
図7の紙面上の手前から奥側への方向(
図7におけるx軸方向)において一定であるテーパ構造である。
【0059】
図7の紙面上、左側の傾斜部613を傾斜部613Lとし、右側の傾斜部613を傾斜部613Rとした場合、傾斜部613Lは、接触面613L1を有し、傾斜部613Rは、接触面613R1を有する。接触面613L1,613R1は、フランジ部611に垂直な面に沿って設けられ、接触面613L1は、接触面613R1と接する。
【0060】
傾斜部613は、スリット部613Sを有する(
図6参照)。スリット部613Sの幅wは、傾斜部613の幅Wよりも狭い。スリット部613Sにおいては、接触面613L1,613R1は、カテーテルがz軸の負の方向に向かって逆流抑制弁61内へ挿入されないとき、相互に接触しており、カテーテルがz軸の負の方向に向かって逆流抑制弁61内へ挿入され、スリット部613Sに至ると、相互に離れる。傾斜部613のz軸に沿った長さL2は、例えば、16.2mmである。
【0061】
フランジ部611、円筒部612および傾斜部613は、一体的に形成されており、例えば、弾性体からなる。弾性体は、例えば、ゴムであり、ゴムの硬度は、例えば、50度である。そして、逆流抑制弁61は、金型を用いた成形によって製造される。
【0062】
図8は、
図5に示す線VIII−VIII間における逆流抑制弁61および密着部材62の断面図である。
【0063】
図8を参照して、密着部材62は、円盤形状を有し、貫通孔621を有する。密着部材62は、例えば、弾性体からなる。弾性体は、例えば、樹脂およびゴム等である。貫通孔621の直径は、カテーテルの外径よりも小さい。そして、密着部材62の軸X2は、逆流抑制弁61の軸X1に一致する。
【0064】
密着部材62の硬度は、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20の外径の範囲に応じて決定される。
【0065】
例えば、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20の外径として、3つの外径R
OUT1,R
OUT2,R
OUT3があり、R
OUT1<R
OUT2<R
OUT3の関係が成り立つ場合、最小の外径R
OUT1を有するカテーテル20が貫通孔621に挿入されたときに、密着部材62が最小の外径R
OUT1を有するカテーテル20の外表面に密着し、最大の外径R
OUT3を有するカテーテル20が貫通孔621に挿入されたときにも、密着部材62が最大の外径R
OUT3を有するカテーテル20の外表面に密着するように、密着部材62の硬度が決定される。
【0066】
また、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20の外径として、1つの外径R
OUT4のみである場合、外径R
OUT4を有するカテーテル20が貫通孔621に挿入されたときに、密着部材62が外径R
OUT4を有するカテーテル20の外表面に密着するように、密着部材62の硬度が決定される。
【0067】
より具体的には、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20としては、例えば、外径が4.00mm、4.66mm、5.33mmおよび6.00mmの4種類のカテーテルが想定される。
【0068】
貫通孔621の直径が4mmであり、密着部材62を構成する弾性体の硬度が15である場合、外径が4.00mmのカテーテルおよび外径が4.66mmのカテーテルを貫通孔621に挿入することができ、密着部材62は、外径が4.00mmのカテーテルおよび外径が4.66mmのカテーテルの外表面に密着する。
【0069】
しかし、外径が5.33mmのカテーテルおよび外径が6.00mmのカテーテルを貫通孔621に挿入することは困難である。
【0070】
そこで、貫通孔621の直径が4mmである場合、密着部材62を構成する弾性体の硬度を5にすると、上記の4種類のカテーテルの全てを貫通孔621に挿入でき、密着部材62は、上記4種類のカテーテルの外表面に密着する。
【0071】
従って、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20が、外径が4.00mmのカテーテルおよび外径が4.66mmのカテーテルの種類であるとき、密着部材62を構成する弾性体の硬度を15に設定し、導尿訓練および浣腸訓練に用いるカテーテル20が上記4種類のカテーテルである場合、密着部材62を構成する弾性体の硬度を5に設定すればよい。
【0072】
貫通孔621の直径がカテーテル20の外径よりも小さいので、カテーテル20を密着部材62の貫通孔621に挿入したとき、密着部材62は、外周側へ収縮し、カテーテル20の外周面に密着する。
【0073】
図9は、カテーテルを逆流抑制部材6へ挿入および抜くときの模式図である。なお、逆流抑制部材6の逆流抑制弁61と密着部材62とは、本来、接触しているが、
図9においては、カテーテルの挿入を分かり易くするために、逆流抑制弁61と密着部材62とを離して図示している。
【0074】
図9の(a)を参照して、カテーテル20を逆流抑制部材6へ挿入する前、逆流抑制弁61のスリット部613Sは、閉じている。
【0075】
図9の(b)を参照して、カテーテル20を密着部材62の貫通孔621に挿入すると、密着部材62は、外周方向へ収縮し、カテーテル20の外周面に密着する。そして、カテーテル20を逆流抑制弁61に挿入すると、テーパ構造223Aの接触面223L1,223R1は、相互に離れ、スリット部613Sが開く。その結果、カテーテル20は、スリット部613Sを貫通する。
【0076】
この場合、カテーテル20と傾斜部613の端部との間に隙間GPが形成される場合もある。隙間GPが形成された場合、模擬膀胱2の本体部21内に溜められた水が隙間GPを介してカテーテル20の外表面側から密着部材62へ漏れる。しかし、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着しているので、密着部材62まで漏れた水が密着部材62とカテーテル20との間から外部へ漏れることはない。
【0077】
カテーテル20の外径をR
Kとした場合、2×w(wはスリット部613Sの幅)<πR
Kの関係を満たす外径R
Kを有するカテーテル20を逆流抑制弁61に挿入した場合、逆流抑制弁61が弾性体から形成されているので、スリット部613Sが伸張し、傾斜部613の端部は、カテーテル20の外表面に密着する。その結果、隙間GPが形成されない。従って、カテーテル20の外表面と逆流抑制弁61との間から水が漏れることはない。
【0078】
カテーテル20を軸方向に逆流抑制弁61を貫通するように挿入した後、カテーテル20を逆流抑制弁61および密着部材62から抜くと、逆流抑制弁61のスリット部613Sは、閉じて、
図9の(a)に示す状態になる。
【0079】
図9の(a)に示す状態に戻ると、逆流抑制弁61のスリット部613Sは、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水の圧力を外表面に受け、接触面613L1,613R1は、互いに強く接触する方向に押される。その結果、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水が逆流抑制弁61を介して漏れることがない。
【0080】
図10は、模擬膀胱2および逆流抑制部材6の断面図である。
図10を参照して、模擬膀胱2の蓋22は、上端部に貫通孔221を有する。貫通孔221の直径は、密着部材62の貫通孔621の直径よりも大きい。また、蓋22は、内周面にネジ22Aを有する。ネジ22Aは、本体部21の出口部221のネジ211Aに嵌合する。
【0081】
逆流抑制弁61は、フランジ部611が本体部21の出口部211に接して出口部211上に配置されるように出口部211の内部に配置される。密着部材62は、逆流抑制弁61に接して逆流抑制弁61上に配置される。そして、逆流抑制弁61の軸X1、密着部材62の軸X2、蓋22の軸X3および本体部21の軸X4は、相互に一致する。
【0082】
模擬膀胱2の蓋22は、逆流抑制弁61および密着部材62を覆うように配置され、蓋22のネジ22Aが本体部21の出口部211のネジ211Aに嵌合する。これによって、蓋22は、逆流抑制弁61および密着部材62を固定する。
【0083】
図11は、
図1に示す性器模型1、模擬膀胱2および逆流抑制部材6の断面図である。
図11を参照して、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2の蓋22が底面15Aに接するように、模擬膀胱2が凹部15に挿入されると、蓋22の貫通孔221が模擬尿道12に連通する。
【0084】
従って、カテーテル20を模擬尿道口13から模擬尿道12へ挿入し、
図9において説明したように、カテーテル20を逆流抑制部材6を介して模擬膀胱2内へ挿入できる。
【0085】
この発明の実施の形態においては、蓋22が底面16Aに接するように、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2を凹部16に挿入してもよい。この場合、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2は、「模擬直腸」と呼ばれる。
【0086】
模擬直腸を凹部16に挿入した後、カテーテル20を模擬肛門14を介して模擬直腸内に挿入することもできる。
【0087】
図12は、
図1に示す訓練シミュレータ10を用いた導尿訓練を説明するための図である。
【0088】
図12を参照して、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2が凹部15に挿入されている。そして、保管容器5の下端部の高さ位置と模擬膀胱2の高さ位置との差である高低差ΔHは、例えば、50cmに設定される。
【0089】
そして、保管容器5には、例えば、500ccの水が溜められている。調節部材4によってホース3を挟み込む量を調節し、保管容器5から模擬膀胱2へ水を供給する。これによって、水圧が外部から逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加され、逆流抑制弁61のスリット部613Sは、閉じた状態になっている。
【0090】
模擬膀胱2内の水がほぼ満杯になったら、カテーテル20を模擬尿道口13から模擬尿道12へ挿入し、更に、模擬尿道12の模擬膀胱2側の端部から模擬膀胱2の蓋22の貫通孔221を介して密着部材62の貫通孔621へカテーテル20を挿入する。これによって、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着する。
【0091】
そして、更に、カテーテル20を模擬膀胱2側へ挿入すると、カテーテル20の先端部は、逆流抑制弁61のスリット部613Sを開き、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水の中に挿入される。
【0092】
そうすると、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水は、高低差ΔHによる水圧が印加されているので、本体部21からカテーテル20を介して外部へ流れる。これによって、模擬膀胱2から水(尿)を取り出すことができる。
【0093】
所定量の水(尿)をカテーテル20を介して模擬膀胱2から取り出すと、カテーテル20を模擬膀胱2から模擬尿道12へ向かう方向に引き、カテーテル20を模擬膀胱2、逆流抑制部材6および模擬尿道12から抜く。
【0094】
この場合、カテーテル20の模擬膀胱2側の先端部が逆流抑制弁61のスリット部613Sを模擬膀胱2から模擬尿道12側へ通過すると、本体部21内に溜められた水による水圧が逆流抑制弁61のスリット部613Sに外部から印加され、スリット部613Sは、閉じる。従って、導尿訓練が終了した後に本体部21内に水が残っていても、本体部21内の水が外部へ漏れることを抑制または防止できる。また、カテーテル20の先端部が逆流抑制弁61のスリット部613Sを通過する前に逆流抑制弁61と密着部材62との間に溜まった水(尿)は、密着部材62がカテーテル20の外表面に密着しているので、模擬尿道12とカテーテル20との間を介して外部へ漏れるのを防止できる。そして、カテーテル20を密着部材62から抜いた後においては、逆流抑制弁61と密着部材62との間に溜まっている水が模擬尿道12を介して外部へ漏れる可能性があるが、逆流抑制弁61と密着部材62とによって囲まれた領域の体積は、本体部21の体積よりも小さいので、逆流抑制部材6を用いない場合に比べ、外部へ漏れる水の量を抑制できる。
【0095】
その後、カテーテル20を模擬尿道12から抜くと、導尿訓練が終了する。
【0096】
なお、導尿訓練においては、保管容器5内に溜められた水(尿)が全て無くなるまでカテーテル20を介して水(尿)を取りだしても良い。
【0097】
訓練シミュレータ10を用いた導尿訓練においては、高低差ΔHを50cmよりも大きい値(例えば、100cm)に設定することによって、逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加される水圧を更に高くでき、カテーテル20が逆流抑制弁61のスリット部613Sを貫通するようにカテーテル20を挿入するためには、より強い力が必要になる状態となる。この状態は、前立腺がんによって前立腺が肥大し、尿道が狭くなった状態である。
【0098】
このように、訓練シミュレータ10を用いると、高低差ΔHを大きくすることによって、前立腺がんを発症した患者に対しても導尿訓練を容易に行うことができる。
【0099】
更に、訓練シミュレータ10を用いた導尿訓練においては、高低差ΔHを50cmよりも大きい値(例えば、120cm以上)に設定することによって、逆流抑制弁61のスリット部613Sに外部から印加される水圧を更に高くでき、カテーテル20が逆流抑制弁61のスリット部613Sを貫通できない状態に設定できる。このような状態に設定することによって、訓練生は、カテーテル20を模擬膀胱2に挿入できないときの状態を体感できる。
【0100】
このように、訓練シミュレータ10を用いることによって、訓練生は、上述した各種の訓練を容易に行うことができる。
【0101】
ホース3の直径を5mmとし、逆流抑制弁61のスリット部613Sの幅wを14mmとし、スリット部613Sのz軸方向の長さを0.5mmとした場合、高低差ΔHが50cm、100cmおよび120cmであるときにスリット部613Sに印加される水圧は、次のようになる。
【0102】
ホース3の模擬膀胱2側の底面の面積は、(0.0025m)
2×3.14=1.962×10
−5m
2となる。また、スリット部613Sの面積は、0.0005m×0.014m=7×10
−6m
2となる。
【0103】
従って、高低差ΔHが50cm=0.5mであるとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加される水圧P1は、P1=1.962×10
−5[m
2]×0.5[m]×9.8[kN/m
3]÷7×10
−6[m
2]=1.3734×10
4[N/m
2]=1.3734×10
4[Pa]となる。
【0104】
また、高低差ΔHが100cm=1mであるとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加される水圧P2は、P2=1.962×10
−5[m
2]×1[m]×9.8[kN/m
3]÷7×10
−6[m
2]=2.7468×10
4[N/m
2]=2.7468×10
4[Pa]となる。
【0105】
更に、高低差ΔHが120cm=1.2mであるとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加される水圧P3は、P3=1.962×10
−5[m
2]×1.2[m]×9.8[kN/m
3]÷7×10
−6[m
2]=3.29616×10
4[N/m
2]=3.29616×10
4[Pa]となる。
【0106】
その結果、前立腺がんの患者ではない通常の患者に対して導尿訓練を行うとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに1.3734×10
4[Pa]の水圧P1に大気圧を加算した水圧を印加して導尿訓練を行う。
【0107】
また、前立腺がんの患者に対して導尿訓練を行うとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに2.7468×10
4[Pa]の水圧P2に大気圧を加算した水圧を印加して導尿訓練を行う。
【0108】
更に、尿道が閉塞した状態を体感するとき、逆流抑制弁61のスリット部613Sに3.29616×10
4[Pa]の水圧P3に大気圧を加算した圧力以上の水圧を印加して導尿訓練を行う。
【0109】
水圧P1,P2,P3に大気圧を加算するのは、保管容器5内の水の上面には、大気圧が印加されているからである。
【0110】
このように、この発明の実施の形態においては、大気圧よりも高い水圧(圧力)を逆流抑制弁61のスリット613Sに印加して導尿訓練を行う。
【0111】
なお、この発明の実施の形態においては、模擬膀胱2と保管容器5との高低差ΔHを用いて逆流抑制弁61のスリット部613Sに水圧P1,P2,P3のいずれかに大気圧を加算した水圧を印加して導尿訓練を行う場合に限らず、模擬膀胱2と保管容器5とをホース3によって接続せず、模擬膀胱2内に水を注入しておき、シリンジを模擬膀胱2に装着し、シリンジによって逆流抑制弁61のスリット部613Sに水圧P1,P2,P3のいずれかに大気圧を加算した水圧を印加してもよく、逆流抑制弁61のスリット部613Sが水に浸漬されないように模擬膀胱2内に水を注入し、ポンプを用いて逆流抑制弁61のスリット部613Sに水圧P1,P2,P3のいずれかに大気圧を加算した圧力に相当する圧力を印加してもよい。つまり、何らかの手段によって水圧P1,P2,P3のいずれかに大気圧を加算した圧力に相当する圧力を逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加すればよい。
【0112】
図13は、
図1に示す訓練シミュレータ10を用いた浣腸訓練を説明するための図である。
【0113】
図13を参照して、訓練シミュレータ10を用いて浣腸訓練を行う場合、ホース3、調整部材4および保管容器5は、用いられず、模擬直腸7が凹部16に挿入される。模擬直腸7は、模擬膀胱2と同じ構成からなり、逆流抑制部材6を内蔵する。そして、模擬直腸7の本体部21は、空である。
【0114】
この状態で、カテーテル20を模擬肛門14から通路部材17へ挿入し、更に、模擬直腸7の蓋22の貫通孔221を介して密着部材62の貫通孔621へカテーテル20を挿入する。これによって、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着する。
【0115】
そして、更に、カテーテル20を模擬直腸7側へ挿入すると、カテーテル20の先端部は、逆流抑制弁61のスリット部613Sを開き、模擬直腸7の本体部21内に挿入される。
【0116】
そうすると、カテーテル20を介して浣腸液を模擬直腸7内に注入する。これによって、浣腸液が模擬直腸7内に溜められる。
【0117】
その後、カテーテル20を通路部材17を介して模擬直腸7から抜くと、浣腸訓練が終了する。
【0118】
このように、訓練シミュレータ10を用いると、導尿訓練および浣腸訓練の両方を行うことができる。
【0119】
図14は、この発明の実施の形態による別の訓練シミュレータの概略図である。この発明の実施の形態による訓練シミュレータは、
図14に示す訓練シミュレータ10Aであってもよい。
【0120】
図14を参照して、訓練シミュレータ10Aは、
図1に示す訓練シミュレータ10の性器模型1を性器模型1Aに代えたものであり、その他は、訓練シミュレータ10と同じである。
【0121】
性器模型1Aは、人間の女性の性器模型である。性器模型1Aは、対になった模擬小陰唇の中央部の模擬尿道口から模擬膀胱2に至るように配置された模擬尿道(
図14では、図示せず)を含む。そして、性器模型1Aは、性器模型1と同じ材料からなる。
【0122】
訓練シミュレータ10Aにおいては、模擬膀胱2は、性器模型1Aに連結される。
【0123】
図15は、
図14に示すA方向から見た性器模型1Aの平面図である。
図15を参照して、性器模型1Aは、模擬小陰唇31、模擬尿道32、模擬尿道口33および模擬肛門34を含む。模擬尿道32の一方端は、模擬尿道口33に繋がっている。模擬肛門34は、模擬小陰唇31よりも下側に位置する。模擬小陰唇31および模擬肛門34は、それぞれ、人間の女性の小陰唇および肛門の配置位置に対応して配置されている。
【0124】
図16は、
図14に示す模擬膀胱2側から見た性器模型1Aの平面図である。
図16を参照して、性器模型1Aは、凹部35,36と通路部材37とを有する。凹部35,36の各々は、例えば、円形の平面形状を有し、
図16の紙面上、手前側から奥側へ凹んでいる。
【0125】
模擬尿道32の他方端側は、
図16の紙面上、奥側から手前側へ性器模型1Aを貫通し、凹部35の底面に繋がっている。通路部材37は、
図16の紙面上、奥側から手前側へ性器模型1Aを貫通し、凹部36に繋がっている。通路部材37は、凹部36側と反対側の端部に模擬肛門34を有する。
【0126】
図17は、
図14に示す線XVII−XVII間における性器模型1Aの断面図である。
図17を参照して、模擬尿道32は、模擬尿道口33から凹部35の底面35Aに至るまでの領域に配置される。そして、模擬尿道32は、凹部35に連通している。模擬尿道口33は、凹部35と反対側の模擬尿道32の端部に配置される。通路部材37は、模擬肛門34から凹部36の底面36Aに至るまでの領域に配置される。そして、通路部材37は、凹部36に連通している。模擬肛門34は、凹部36と反対側の通路部材37の端部に配置される。
【0127】
図18は、
図14に示す性器模型1A、模擬膀胱2および逆流抑制部材6の断面図である。
図18を参照して、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2の蓋22が凹部35の底面35Aに接するように、模擬膀胱2が凹部35に挿入されると、蓋22の貫通孔221が模擬尿道32に連通する。
【0128】
従って、カテーテル20を模擬尿道口33から模擬尿道32へ挿入し、
図9において説明したように、カテーテル20を逆流抑制部材6を介して模擬膀胱2内へ挿入できる。
【0129】
この発明の実施の形態においては、蓋22が凹部36の底面36Aに接するように、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2を凹部36に挿入してもよい。この場合、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2は、「模擬直腸」と呼ばれる。
【0130】
模擬直腸を凹部36に挿入した後、カテーテル30を模擬肛門34を介して模擬直腸内に挿入することもできる。
【0131】
図19は、
図14に示す訓練シミュレータ10Aを用いた導尿訓練を説明するための図である。
【0132】
図19を参照して、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2が凹部35に挿入されている。そして、保管容器5の下端部の高さ位置と模擬膀胱2の高さ位置との差である高低差ΔHは、例えば、50cmに設定される。
【0133】
そして、保管容器5には、例えば、500ccの水が溜められている。調節部材4によってホース3を挟み込む量を調節し、保管容器5から模擬膀胱2へ水を供給する。これによって、水圧が外部から逆流抑制弁61のスリット部613Sに印加され、逆流抑制弁61のスリット部613Sは、閉じた状態になっている。
【0134】
模擬膀胱2内の水がほぼ満杯になったら、カテーテル20を模擬尿道口33から模擬尿道32へ挿入し、更に、模擬尿道32の模擬膀胱2側の端部から模擬膀胱2の蓋22の貫通孔221を介して密着部材62の貫通孔621へカテーテル20を挿入する。これによって、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着する。
【0135】
そして、更に、カテーテル20を模擬膀胱2側へ挿入すると、カテーテル20の先端部は、逆流抑制弁61のスリット部613Sを開き、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水の中に挿入される。
【0136】
そうすると、模擬膀胱2の本体部21に溜められた水は、高低差ΔHによる水圧によって本体部21からカテーテル20を介して外部へ流れる。これによって、模擬膀胱2から水(尿)を取り出すことができる。
【0137】
所定量の水(尿)をカテーテル20を介して模擬膀胱2から取り出すと、カテーテル20を模擬膀胱2から模擬尿道32へ向かう方向に引き、カテーテル20を模擬膀胱2、逆流抑制部材6および模擬尿道32から抜く。
【0138】
この場合、カテーテル20の模擬膀胱2側の先端部が模擬膀胱2から模擬尿道12の方向へ逆流抑制弁61のスリット部613Sを通過すると、本体部21内に溜められた水による水圧が逆流抑制弁61のスリット部613Sに外部から印加されているため、スリット部613Sは、閉じる。従って、導尿訓練が終了した後に本体部21内に水が残っていても、本体部21内の水が外部へ漏れることを抑制または防止できる。また、カテーテル20の先端部が逆流抑制弁61のスリット部613Sを通過する前に逆流抑制弁61と密着部材62との間に溜まった水(尿)は、密着部材62がカテーテル20の外表面に密着しているので、模擬尿道32とカテーテル20との間を介して外部へ漏れるのを抑制できる。そして、カテーテル20を密着部材62から抜いた後においては、逆流抑制弁61と密着部材62との間に溜まっている水が模擬尿道32を介して外部へ漏れる可能性があるが、逆流抑制弁61と密着部材62とによって囲まれた領域の体積は、本体部21の体積よりも小さいので、逆流抑制部材6を用いない場合に比べ、外部へ漏れる水の量を抑制できる。
【0139】
その後、カテーテル20を模擬尿道32から抜くと、導尿訓練が終了する。
【0140】
訓練シミュレータ10Aを用いた導尿訓練についてのその他の説明は、訓練シミュレータ10を用いた導尿訓練についての説明と同じである。
【0141】
図20は、
図14に示す訓練シミュレータ10Aを用いた浣腸訓練を説明するための図である。
【0142】
図20を参照して、訓練シミュレータ10Aを用いて浣腸訓練を行う場合、ホース3、調整部材4および保管容器5は、用いられず、模擬直腸7が凹部36に挿入される。模擬直腸7は、模擬膀胱2と同じ構成からなり、逆流抑制部材6を内蔵する。そして、模擬直腸7の本体部21は、空である。
【0143】
この状態で、カテーテル20を模擬肛門34から通路部材37へ挿入し、更に、模擬直腸7の蓋22の貫通孔221を介して密着部材62の貫通孔621へカテーテル20を挿入する。これによって、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着する。
【0144】
そして、更に、カテーテル20を模擬直腸7側へ挿入すると、カテーテル20の先端部は、逆流抑制弁61のスリット部613Sを開き、模擬直腸7の本体部21内に挿入される。
【0145】
そうすると、カテーテル20を介して浣腸液を模擬直腸7内に注入する。これによって、浣腸液が模擬直腸7内に溜められる。
【0146】
その後、カテーテル20を通路部材37を介して模擬直腸7から抜くと、浣腸訓練が終了する。
【0147】
このように、訓練シミュレータ10Aを用いると、導尿訓練および浣腸訓練の両方を行うことができる。
【0148】
図21は、
図1に示す訓練シミュレータ10を用いた訓練指導方法を説明するためのフローチャートである。
【0149】
図21を参照して、訓練の指導が開始されると、指導者は、導尿訓練を行うか否かを訓練生に聞く(ステップS1)。
【0150】
ステップS1において、指導者は、導尿訓練を行うと聞いたとき、浣腸訓練を行うか否かを更に訓練生に聞く(ステップS2)。
【0151】
ステップS2において、指導者は、浣腸訓練を行うと聞いたとき、訓練シミュレータ10を用いて導尿訓練を指導する(ステップS3)。
【0152】
その後、指導者は、訓練シミュレータ10を用いて浣腸訓練を指導する(ステップS4)。
【0153】
なお、この発明の実施の形態においては、ステップS4を実行した後にステップS3を実行してもよい。
【0154】
一方、ステップS1において、指導者は、導尿訓練を行わないと聞いたとき、浣腸訓練を行うか否かを訓練生に更に聞く(ステップS5)。
【0155】
ステップS5において、指導者は、浣腸訓練を行うと聞いたとき、訓練シミュレータ10を用いて浣腸訓練を指導する(ステップS6)。
【0156】
一方、ステップS2において、指導者は、浣腸訓練を行わないと聞いたとき、訓練シミュレータ10を用いて導尿訓練を指導する(ステップS7)。
【0157】
そして、ステップS5において、指導者が浣腸訓練を行わないと聞いたとき、またはステップS4、ステップS6およびステップS7のいずれかの後、訓練の指導は、終了する。
【0158】
なお、訓練シミュレータ10Aを用いた訓練の指導方法も、
図21に示すフローチャートに従って実行される。
【0159】
図21に示す訓練指導方法によれば、導尿訓練および浣腸訓練の少なくとも一方の訓練を指導できる(ステップS3,S4,S6,S7参照)。
【0160】
図22は、
図21に示すステップS3の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0161】
図22を参照して、
図21のステップS2において、指導者が浣腸訓練を行うと聞いたとき、指導者は、逆流抑制部材6を内蔵した模擬膀胱2を模擬尿道12の端部に接するように凹部15に設置するように指導する(ステップS31)。
【0162】
そして、指導者は、保管容器5に所定量の水を入れるように指導する(ステップS32)。その後、指導者は、前立腺がんの患者に対する導尿訓練を行うか否かを訓練生に聞く(ステップS33)。
【0163】
指導者は、ステップS33において、前立腺がんの患者に対する導尿訓練を行わないと聞いたとき、模擬尿道12が閉塞している患者に対する導尿訓練を行うか否かを訓練生に更に聞く(ステップS34)。
【0164】
指導者は、ステップS34において、模擬尿道12が閉塞している患者に対する導尿訓練を行わないと聞いたとき、保管容器5の高さ位置と模擬膀胱2の高さ位置との高低差ΔHを第1の高低差(例えば、50cm)に設定するように指導する(ステップS35)。
【0165】
一方、指導者は、ステップS33において、前立腺がんの患者に対する導尿訓練を行うと聞いたとき、高低差ΔHを第2の高低差(例えば、100cm)に設定するように指導する(ステップS36)。その後、一連の動作は、ステップS38へ移行する。
【0166】
一方、指導者は、ステップS34において、模擬尿道12が閉塞している患者に対する導尿訓練を行うと聞いたとき、高低差ΔHを第3の高低差(例えば、150cm)に設定するように指導する(ステップS37)。その後、一連の動作は、ステップS38へ移行する。
【0167】
ステップS35、ステップS36およびステップS37のいずれかの後、指導者は、保管容器5から模擬膀胱2へ水を供給するように指導する(ステップS38)。
【0168】
そして、指導者は、水が模擬膀胱2へ供給されると、模擬尿道12にカテーテル20を挿入するように指導し(ステップS39)、カテーテル20を逆流抑制部材6を介して模擬膀胱2内まで挿入するように指導する(ステップS40)。
【0169】
その後、指導者は、カテーテル20が模擬膀胱2内に挿入されたか否かを訓練生に聞く(ステップS41)。
【0170】
指導者は、ステップS41において、カテーテル20が模擬膀胱2内に挿入されたと聞いたとき、水が模擬膀胱2からカテーテル20を介して外部へ出ていることを確認するように指導する(ステップS42)。
【0171】
その後、指導者は、カテーテル20を模擬膀胱2および模擬尿道12から抜くように指導する(ステップS43)。
【0172】
一方、指導者は、ステップS41において、カテーテル20が模擬膀胱2内に挿入されなかったと聞いたとき、カテーテル20を模擬膀胱2へ挿入できない感覚を体感するように指導する(ステップS44)。
【0173】
そして、ステップS43またはステップS44の後、一連の動作は、
図21のステップS4へ移行する。
【0174】
なお、訓練シミュレータ10Aを用いた導尿訓練の指導方法も、
図22に示すフローチャートに従って実行される。
【0175】
また、
図21のステップS7に示す導尿訓練の指導方法も、
図22に示すフローチャートに従って実行される。
【0176】
更に、
図22のステップS35は、一般的には、「逆流抑制弁のスリット部に第1の圧力を印加するように指導する」ステップであり、ステップS36は、一般的には、「逆流抑制弁のスリット部に第1の圧力よりも強い第2の圧力を印加するように指導する」ステップであり、ステップS37は、一般的には、「逆流抑制弁のスリット部に第2の圧力よりも強い第3の圧力を印加するように指導する」ステップである。この場合、第1の圧力、第2の圧力および第3の圧力を逆流抑制弁のスリット部に印加する手段は、模擬膀胱2と保管容器5との高低差ΔHを所定の高低差に設定する方法に限らず、上述した各種の手段を用いてもよい。
【0177】
図23は、
図21のステップS4の詳細な動作を説明するためのフローチャートである。
【0178】
図23を参照して、
図21のステップS3の後、指導者は、カテーテル20を模擬肛門14から通路部材17に挿入するように指導する(ステップS51)。
【0179】
そして、指導者は、カテーテル20を逆流抑制部材6を介して模擬直腸7内まで挿入するように指導する(ステップS52)。
【0180】
引き続いて、指導者は、カテーテル20が模擬直腸7内へ挿入されると、カテーテル20を介して浣腸液を模擬直腸7へ注入するように指導する(ステップS53)。
【0181】
そして、指導者は、浣腸液が模擬直腸7へ注入されると、カテーテル20を模擬直腸7および通路部材17から抜くように指導する(ステップS54)。その後、一連の動作は、
図21の終了へ移行する。
【0182】
なお、訓練シミュレータ10Aを用いた浣腸訓練の指導方法も、
図23に示すフローチャートに従って実行される。
【0183】
また、
図21のステップS6に示す浣腸訓練の指導方法も、
図23に示すフローチャートに従って実行される。
【0184】
図24は、導尿訓練および浣腸訓練に関係する人体の模式図である。
図24の(a)は、導尿訓練および浣腸訓練に関係する男性の模式図を示し、
図24の(b)は、導尿訓練および浣腸訓練に関係する女性の模式図を示す。
【0185】
図24の(a)を参照して、男性においては、前立腺が膀胱の内尿道口に近い部分に配置されている。
【0186】
一方、訓練シミュレータ10においては、逆流抑制部材6の逆流抑制弁61は、模擬膀胱2の蓋22の内側に配置されている(
図10参照)。そして、逆流抑制弁61の傾斜部613に印加される水圧を制御することによって逆流抑制弁61のスリット部613Sを開き難くでき、模擬膀胱2の蓋22の内部において(前立腺がんの患者の内尿道口の近傍において)、カテーテル20を挿入し難い尿道の状態を模擬的に作り出すことができる。
【0187】
従って、訓練シミュレータ10を用いて導尿訓練を行うことによって、前立腺がんの患者に対しても、導尿をうまくできるように訓練できる。
【0188】
また、訓練シミュレータ10を用いて導尿訓練を行うことによって、前立腺がんの患者の尿道にカテーテル20を挿入するときの感覚を体感できる。
【0189】
男性の場合、尿道は、前立腺の中を通っているので、カテーテル20の挿入時に前立腺を傷つけると、前立腺炎および出血を起こす可能性がある。
【0190】
訓練シミュレータ10においては、逆流抑制弁61は、前立腺の配置位置に近い位置に配置されているので、訓練シミュレータ10における模擬尿道口13から逆流抑制弁61までカテーテル20を挿入し、更に、逆流抑制弁61を貫通してカテーテル20を模擬膀胱2の本体部21内に挿入するときに前立腺を傷つけないように導尿訓練を行うことができる。
【0191】
図24の(a)に示す領域REG1は、肛門と直腸との間に配置されているので、訓練シミュレータ10においては、領域REG1に相当する部分を通路部材17としている。
【0192】
また、
図24の(b)に示す領域REG2は、肛門と直腸との間に配置されているので、訓練シミュレータ10Aにおいては、領域REG2に相当する部分を通路部材37としている。
【0193】
尿道の長さは、男性においては、約16cm〜25cmであり、女性においては、3cm〜4cmであるので、訓練シミュレータ10は、約16cm〜25cmの長さを有する模擬尿道12を有し、訓練シミュレータ10Aは、3cm〜4cmの長さを有する模擬尿道32を有する。従って、訓練シミュレータ10,10Aを用いて導尿訓練を行うことによって、実際の尿道の長さを用いて導尿訓練を行うことができる。
【0194】
図25は、逆流抑制弁61と密着部材62との距離を説明するための断面図である。
図25を参照して、逆流抑制弁61と密着部材62との距離をL
Aとすると、距離L
Aが大きくなると、領域REG3(ハッチングされた領域)の体積が大きくなり、距離L
A=0(密着部材62が逆流抑制弁61に接している状態)であるとき、領域REG3の体積が最小になる。
【0195】
逆流抑制弁61を貫通してカテーテル20を模擬膀胱2の本体部21内に挿入しているとき、上述したように、カテーテル20と逆流抑制弁61の傾斜部613の端部との間に形成された隙間GP(
図9の(b)参照)を介して、本体部21内の水が領域REG3内に流入する可能性がある。
【0196】
カテーテル20を模擬膀胱2内に挿入中に領域REG3内に水が溜まっても、密着部材62がカテーテル20の外表面に密着しているので、カテーテル20と模擬尿道12との間を介して水が外部へ漏れることはない。
【0197】
しかし、カテーテル20を模擬膀胱2、逆流抑制弁61、密着部材62および模擬尿道12から抜いた後、領域REG3内に溜まった水が外部へ漏れる可能性がある。水が外部へ漏れるのを抑制するという課題を解決するためには、外部へ漏れる水の量を模擬膀胱2に溜まる水の最大量よりも少なくすればよい。即ち、領域REG3の体積を模擬膀胱2の本体部21の体積よりも小さくすればよい。
【0198】
従って、距離L
Aは、領域REG3の体積が模擬膀胱2の本体部21の体積よりも小さくなる距離に設定される。そして、距離L
Aは、0mmに設定されることが最も好ましい。外部へ漏れる水の量を最少にできるからである。
【0199】
密着部材62が逆流抑制弁61よりも模擬尿道口13側に配置された場合、カテーテル20の先端部が逆流抑制弁61のスリット部613Sを貫通すると、導尿が可能になる。
【0200】
図26は、逆流抑制弁61と密着部材62との配置関係を説明するための図である。
図26を参照して、密着部材62は、逆流抑制弁61よりも本体部21側に配置されていてもよい。この場合、カテーテル20の先端部が密着部材62の貫通孔621を貫通した段階で導尿が可能になる。
【0201】
カテーテル20の先端部が逆流抑制弁61のスリット部613Sを貫通していないとき、本体部21内の水が密着部材62の貫通孔621を介して領域REG4(ハッチングされた領域)内に流入する。
【0202】
領域REG4内に水が流入しても、領域REG4内の水によって逆流抑制弁61のスリット部613Sに圧力が印加されるので、領域REG4内に溜まった水が模擬尿道12側へ漏れることを抑制できる。
【0203】
しかし、水が領域REG4内に溜まった状態でカテーテル20を逆流抑制弁61および密着部材62を介して模擬膀胱2の本体部21内に挿入すると、カテーテル20と逆流抑制弁61の傾斜部613の端部との間に形成された隙間GP(
図9の(b)参照)を介して、領域REG4内に溜まった水が外部へ漏れる可能性がある。
【0204】
この場合、水が外部へ漏れるのを抑制するという課題を解決するためには、外部へ漏れる水の量を模擬膀胱2に溜まる水の最大量よりも少なくすればよい。即ち、領域REG4の体積を模擬膀胱2の本体部21の体積よりも小さくすればよい。
【0205】
従って、距離L
Bは、領域REG4の体積が模擬膀胱2の本体部21の体積よりも小さくなる距離に設定される。そして、密着部材62が逆流抑制弁61のスリット部613Sの先端部に接するときの距離L
Bを距離L
B_MINとすると、距離L
Bは、距離L
B_MINに設定されることが最も好ましい。外部へ漏れる水の量を最少にできるからである。
【0206】
なお、カテーテル20が逆流抑制弁61のスリット部613Sおよび密着部材62の貫通孔621を貫通しているとき、密着部材62は、カテーテル20の外表面に密着しているので、本体部21から領域REG4へ水が流入することはない。
【0207】
図27は、別の逆流抑制部材の概略図である。
図27を参照して、訓練シミュレータ10,10Aの各々は、逆流抑制部材6に代えて逆流抑制部材6Aを備えていてもよい。
【0208】
逆流抑制部材6Aは、逆流抑制部材6の密着部材62を密着部材62Aに代えたものであり、その他は、逆流抑制部材6と同じである。
【0209】
密着部材62Aは、円盤形状を有し、貫通孔621Aを有する。密着部材62Aの外径は、逆流抑制弁61のフランジ部611の内径に実質的に一致する。貫通孔621Aの直径は、貫通孔621の直径と同じであってもよく、貫通孔621の直径と異なっていてもよく、一般的には、カテーテル20が貫通孔621Aを貫通したときにカテーテル20の外表面に密着するような直径であればよい。そして、貫通孔621の直径は、密着部材62Aの硬度に応じて決定されてもよい。
【0210】
密着部材62Aについてのその他の説明は、上述した密着部材62についての説明と同じである。
【0211】
逆流抑制部材6Aにおいては、密着部材62Aは、領域REG5内の任意の位置に配置される。そして、密着部材62Aは、例えば、接着剤によって逆流抑制弁61に固定される。
【0212】
なお、密着部材62Aは、逆流抑制弁61と一体的に製造されてもよい。また、逆流抑制部材6Aにおいては、密着部材は、領域REG6内に配置されてもよい。この場合、貫通孔621Bを有する密着部材62Bが用いられる。貫通孔621Bの直径は、カテーテル20の外径および密着部材62Bの硬度に応じて決定される。
【0213】
領域REG6内においては、逆流抑制弁61の軸X1に垂直な平面の形状は、楕円形状であるので、密着部材62Bは、楕円形状の平面形状を有する。そして、密着部材62Bは、接着剤によって逆流抑制弁61に固定されるか、逆流抑制弁61と一体的に製造される。
【0214】
訓練シミュレータ10,10Aの各々が逆流抑制部材6Aを備える場合も、導尿訓練および浣腸訓練は、上述した方法によって行われ、訓練シミュレータ10,10Aを用いた訓練指導方法は、
図21から
図23に示すフローチャートに従って実行される。
【0215】
図28は、更に別の逆流抑制部材の概略図である。
図28を参照して、訓練シミュレータ10,10Aの各々は、逆流抑制部材6に代えて逆流抑制部材6Bを備えていてもよい。
【0216】
逆流抑制部材6Bは、逆流抑制部材6の逆流抑制弁61を逆流抑制弁61Aに代えたものであり、その他は、逆流抑制部材6と同じである。
【0217】
逆流抑制弁61Aは、逆流抑制弁61のフランジ部611を削除し、円筒部612を円筒部612Aに代えたものであり、その他は、逆流抑制弁61と同じである。
【0218】
円筒部612Aは、円筒部612と同じ外径および内径を有し、円筒部612の軸X1方向の長さよりも長い長さを有する。
【0219】
逆流抑制部材6Bにおいては、密着部材62は、模擬尿道12と逆流抑制弁61Aとの間に配置され、模擬尿道12および逆流抑制弁61Aに接して配置される。そして、逆流抑制弁61Aと密着部材62とによって囲まれる領域REG7の体積は、後述する模擬膀胱2Aの本体部21の体積よりも小さい。
【0220】
従って、訓練シミュレータ10,10Aの各々は、模擬尿道12の一方端に配置された逆流抑制部材6Bを備える。
【0221】
図29は、
図28に示す逆流抑制部材6Bの配置状態を説明するための断面図である。
図29を参照して、逆流抑制部材6Bは、性器模型1の凹部15内に配置される。より具体的には、逆流抑制部材6Bの密着部材62は、模擬尿道12の一方端に接して凹部15の底面15Aに配置される。この場合、密着部材62は、例えば、接着剤によって凹部15の底面15Aに固定されてもよい。
【0222】
逆流抑制弁61Aの円筒部612Aは、密着部材62に接して凹部15内に配置される。この場合、逆流抑制弁61Aの円筒部612Aの端部は、例えば、接着剤によって密着部材62に固定されてもよい。
【0223】
逆流抑制部材6Bが用いられる場合、模擬膀胱2Aが用いられる。模擬膀胱2Aは、模擬膀胱2の蓋22を削除したものであり、その他は、模擬膀胱2と同じである。
【0224】
そして、模擬膀胱2Aの本体部21の出口部211は、軸方向の端部が凹部15の底面15Aに接するように凹部15と逆流抑制弁61Aとの間に配置される。この場合、本体部21の出口部211の外径は、凹部15の直径と実質的に同じであり、出口部211を凹部15と逆流抑制弁61Aとの間に挿入することにより、模擬膀胱2Aは、性器模型1に固定される。
【0225】
模擬膀胱2Aが模擬直腸として用いられる場合、逆流抑制部材6Bの密着部材62は、通路部材17の一方端に接して凹部16の底面16Aに配置される。この場合、密着部材62は、例えば、接着剤によって凹部16の底面16Aに固定されてもよい。
【0226】
また、逆流抑制弁61Aの円筒部612Aは、密着部材62に接して凹部16内に配置される。この場合、逆流抑制弁61Aの円筒部612Aの端部は、例えば、接着剤によって密着部材62に固定されてもよい。
【0227】
逆流抑制部材6Bが訓練シミュレータ10に用いられた場合も、逆流抑制部材6が訓練シミュレータ10に用いられた場合と同様の効果が得られる。
【0228】
訓練シミュレータ10Aが逆流抑制部材6Bを備える場合も、逆流抑制部材6Bは、
図29において説明した方法と同じ方法によって性器模型1Aの凹部35または凹部36に取り付けられる。
【0229】
従って、逆流抑制部材6Bが訓練シミュレータ10Aに用いられた場合も、逆流抑制部材6が訓練シミュレータ10Aに用いられた場合と同様の効果が得られる。
【0230】
なお、逆流抑制部材6Bにおいては、密着部材62は、
図26に示すように逆流抑制弁61Aよりも模擬膀胱2Aの本体部21側に配置されてもよく、
図27に示すように逆流抑制弁61Aの内部に配置されてもよい。
【0231】
図30は、別の模擬尿道の断面図である。
図30を参照して、模擬尿道12Aは、模擬尿道12に空間部121を追加したものである。
【0232】
空間部121は、模擬尿道12の軸に一致する軸を有し、円筒形状からなる。空間部121は、逆流抑制弁61Aの円筒部612Aの外径に実質的に等しい直径を有する。また、空間部121は、軸方向において、逆流抑制弁61Aの軸方向の長さ以上の長さを有する。そして、空間部121は、模擬膀胱12Aの一方端と他方端との間の任意の位置に設けられる。
【0233】
図31は、
図30に示す模擬尿道12Aに
図28に示す逆流抑制部材6Bを配置した状態を示す断面図である。
【0234】
図31を参照して、逆流抑制部材6Bは、模擬尿道12Aの空間部121内に配置される。この場合、密着部材62は、逆流抑制弁61Aよりも模擬尿道口13側に配置される。逆流抑制弁61Aの円筒部612Aは、密着部材62に接して配置される。
【0235】
なお、密着部材62は、逆流抑制弁61Aよりも模擬膀胱2側に配置されていてもよい。
【0236】
図32は、
図28に示す逆流抑制部材6Bの性器模型への配置状態を示す図である。
図32を参照して、性器模型1Bは、性器模型1の模擬尿道12を模擬尿道12Aに代え、通路部材17を通路部材17Aに代えたものであり、その他は、性器模型1と同じである。
【0237】
通路部材17Aは、空間部171を有する。空間部171は、円筒形状を有し、空間部121と同じ直径および長さを有する。
【0238】
逆流抑制部材6Bは、空間部121内に配置される。そして、模擬膀胱2Aの出口部211および蓋22は、凹部15内に設置される。
【0239】
逆流抑制部材6Bと同じ構成からなる逆流抑制部材が空間部171内に配置される。
【0240】
このように、逆流抑制部材6Bを模擬尿道12Aの両端部間の任意の位置に配置した場合も、外部へ漏れる水を抑制できる。
【0241】
また、逆流抑制部材6Bを模擬尿道12Aの両端部間の任意の位置に配置した場合、模擬陰茎11は、弾性体からなるので、逆流抑制弁61Aのスリット部613Sに隣接する模擬陰茎11の部分に力を印加することによって逆流抑制弁61Aのスリット部613Sに力を印加でき、前立腺がんの状態を実現できる。
【0242】
なお、性器模型1Bは、通路部材17Aに代えて通路部材17を備えていてもよい。この場合、通路部材17には、逆流抑制部材が配置されない。
【0243】
また、訓練シミュレータ10Aにおいて、性器模型1Bと同じように性器模型1Aを変形し、逆流抑制部材6Bを模擬尿道および/または通路部材の途中に配置するようにしてもよい。
【0244】
訓練シミュレータ10,10Aの各々が逆流抑制部材6Bを備える場合も、導尿訓練および浣腸訓練は、上述した方法によって行われ、訓練シミュレータ10,10Aを用いた訓練指導方法は、
図21から
図23に示すフローチャートに従って実行される。
【0245】
図33は、別の密着部材の平面図である。
図33の(a)を参照して、密着部材62Cは、密着部材62の貫通孔621を切り目621Cに代えたものであり、その他は、密着部材62と同じである。切り目621Cは、十文字の形状を有し、密着部材62Cを厚さ方向に貫く。切り目621Cが配置される領域(点線で示した領域)の直径は、カテーテル20の直径よりも小さい。
【0246】
図33の(b)を参照して、密着部材62Dは、密着部材62の貫通孔621を切り目621Dに代えたものであり、その他は、密着部材62と同じである。切り目621Dは、放射状の形状を有し、密着部材62Dを厚さ方向に貫く。切り目621Dが配置される領域(点線で示した領域)の直径は、カテーテル20の直径よりも小さい。密着部材62Dにおいては、切り目621Dは、密着部材62Dの中心から8本の線が円周方向へ放射状に延びた平面形状からなるが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、切り目621Dは、密着部材62Dの中心から2本以上の線が円周方向へ放射状に延びた平面形状を有していればよい。
【0247】
この発明の実施の形態においては、密着部材62,62A,62Bの貫通孔621,621A,621B、密着部材62Cの切り目621Cおよび密着部材62Dの切り目621Dは、カテーテル10を通過させる「通過部」を構成する。
【0248】
また、この発明の実施の形態においては、導尿訓練に用いられる水および浣腸訓練に用いられる浣腸液は、この発明の実施の形態による訓練シミュレータを用いた訓練(導尿訓練および浣腸訓練の少なくとも一方の訓練)において使用される「液体」を構成する。
【0249】
更に、この発明の実施の形態においては、水が溜められた保管容器5は、模擬膀胱2(または模擬膀胱2A)の配置位置よりも高い位置に配置されることによって、逆流抑制弁61,61Aのスリット613Sに圧力を印加する。従って、模擬膀胱2(または模擬膀胱2A)の配置位置よりも高い位置に配置され、水が溜められた保管容器5は、逆流抑制弁61,61Aのスリット613Sに圧力を印加する「加圧器」を構成する。
【0250】
上記においては、逆流抑制部材6は、逆流抑制弁61と、密着部材62とを含むと説明し、逆流抑制部材6Aは、逆流抑制弁61と、密着部材62Aとを含むと説明し、逆流抑制部材6Bは、逆流抑制弁61Aと、密着部材62とを含むと説明したが、この発明の実施の形態においては、これに限らず、逆流抑制部材6は、逆流抑制弁61のみを含んでいてもよく(即ち、密着部材62を含まなくてもよく)、逆流抑制部材6Aは、逆流抑制弁61のみを含んでいてもよく(即ち、密着部材62Aを含まなくてもよく)、逆流抑制部材6Bは、逆流抑制弁61Aのみを含んでいてもよい(即ち、密着部材62を含まなくてもよい)。逆流抑制部材6,6A,6Bは、それぞれ、密着部材62,62A,62を含んでいなくても、導尿訓練中に模擬膀胱2,2Aから逆流抑制弁61,61Aのスリット部613Sを介して外部へ漏れる水(尿)の量は、模擬膀胱2,2A内に溜まっている水(尿)の一部であり、逆流抑制部材6,6A,6Bを用いない場合よりも外部へ漏れる水(尿)の量を抑制できる(つまり、課題を解決できる)からである。
【0251】
上記においては、訓練シミュレータ10,10Aの各々は、保管容器5を備えると説明したが、訓練中または訓練後に漏れる水の量を抑制するという課題を解決するためには、訓練シミュレータ10,10Aの各々は、保管容器5を備えていなくてもよい。
【0252】
従って、この発明の実施の形態による訓練シミュレータは、模擬膀胱または模擬直腸からなる模擬部材と、一方端が模擬部材に接し、模擬尿道口または模擬肛門からなる挿入口を他方端に有する管部材と、模擬部材から挿入口側への液体の流れを防止する逆流抑制部材とを備えていればよい。
【0253】
また、この発明の実施の形態による訓練指導方法は、この発明の実施の形態による訓練シミュレータを用いて導尿訓練および浣腸訓練の少なくとも一方の訓練を指導する訓練指導方法であって、カテーテルを挿入口から模擬部材へ挿入するように指導する第1のステップと、カテーテルを模擬部材へ挿入した後、カテーテルを前記模擬部材から抜くように指導する第2のステップとを備えていればよい。
【0254】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。