【解決手段】警報システムSは、空間に設けられた警報器1と、警報器1に音声を出力させる警報制御装置2とを備え、警報器1は、空間で発生した異状を検出する検出部12と、音声を出力する出力部13と、を有し、警報制御装置2は、空間Rに存在する空間の利用者Uが使用する言語を特定する言語特定部220と、複数の言語のそれぞれに対応して、警報音声を示す複数の警報音声情報を記憶する記憶部21と、記憶部21に記憶されている複数の警報音声情報のうち、特定された言語に対応する警報音声情報を選択する選択部221と、検出部12が異状を検出すると、選択された警報音声情報に対応する警報音声を出力部13に出力させる出力制御部222と、を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の警報器は、異状が発生していることを通知する警報音声を一種類の言語で通知していた。しかしながら、従来の警報器が設置された場所には、当該言語を理解できない人が訪れる場合がある。当該言語を理解できない人は、当該言語で通知された警報音声の内容を理解できず、異状が発生していることを認識できなかった。
【0005】
例えば、日本では、様々な国の旅行者が、民家を利用した宿泊施設(以下、民泊という)に訪れる。日本国内の民泊に設置されている従来の警報器は、日本語で警報音声を通知する。そのため、従来の警報器は、日本語を理解できない旅行者に、異状が発生していることを認識させることができなかった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、警報音声を出力する機器の周辺にいる人に異状が発生していることを認識させることができる警報システム、及び警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様の警報システムは、建物内の空間に設けられた警報器と、前記警報器に音声を出力させる警報制御装置とを備え、前記警報器は、前記空間で発生した異状を検出する検出部と、音声を出力する出力部と、を有し、前記警報制御装置は、前記空間に存在する前記空間の利用者が使用する言語を特定する言語特定部と、複数の言語のそれぞれに対応して、警報音声を示す複数の警報音声情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている複数の前記警報音声情報のうち、特定された言語に対応する警報音声情報を選択する選択部と、前記検出部が異状を検出すると、選択された前記警報音声情報に対応する警報音声を前記出力部に出力させる出力制御部と、を有する。
【0008】
例えば、前記警報器は、前記空間における前記利用者の音声を示す音声情報を取得する取得部をさらに有し、前記言語特定部は、取得された前記音声情報に基づいて、前記音声に対応する言語を特定する。
【0009】
前記言語特定部は、前記言語を特定したことに応じて、特定した前記言語を示す情報を前記記憶部に記憶させ、前記選択部は、前記記憶部を参照して所定期間内に特定された回数が相対的に多い一以上の言語を特定し、特定した一以上の言語に対応する前記警報音声情報を選択してもよい。
【0010】
例えば、前記警報システムは、複数の前記空間のそれぞれに設置された複数の前記警報器をさらに備え、前記言語特定部は、前記複数の空間のそれぞれに存在する複数の前記利用者が使用する複数の言語を特定し、特定された前記言語を示す情報を前記記憶部に記憶させ、前記選択部は、前記記憶部を参照して前記複数の空間において特定された回数が相対的に多い言語に対応する前記警報音声情報を選択する。
【0011】
前記警報制御装置は、前記警報器が設置されている位置を特定する位置特定部をさらに備え、前記言語特定部は、特定された前記位置に基づいて前記言語を特定してもよい。
【0012】
例えば、前記記憶部は、複数の地域を示す地域情報のそれぞれと、それぞれの前記地域に対応する言語とを関連付けて地域別言語情報を記憶し、前記言語特定部は、特定された前記位置に対応する地域を特定し、前記地域別言語情報を参照し、当該地域を示す地域情報に関連付けられた前記言語を特定する。
【0013】
例えば、前記記憶部は、前記地域を訪れる旅行者の使用頻度が大きい前記言語を、前記旅行者が使用する前記言語として記憶し、前記言語特定部は、特定された前記位置に対応する地域を特定し、当該地域を示す地域情報に関連付けられた前記旅行者が使用する前記言語を特定する。
【0014】
前記警報器は、前記空間における前記利用者の音声を示す音声情報を取得する取得部をさらに有し、前記言語特定部は、前記地域別言語情報を参照して、特定された前記位置に対応する前記地域を示す前記地域情報に関連付けられた複数の前記言語を特定し、特定した前記複数の言語から前記音声情報に基づいて前記音声に対応する言語を特定してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の警報装置は、建物内の空間に設けられた警報装置であって、前記空間で発生した異状を検出する検出部と、音声を出力する出力部と、前記空間を利用する利用者が使用する言語を特定する言語特定部と、複数の言語のそれぞれに対応して、警報音声を示す複数の警報音声情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶されている複数の警報音声情報のうち、前記言語特定部により特定された言語に対応する警報音声情報を選択する選択部と、前記検出部が異状を検出すると、前記選択部により選択された前記警報音声情報に対応する警報音声を前記出力部に出力させる出力制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、設置者等が機器の設定をする必要が無く、警報音声を出力する機器の周辺にいる人に異状が発生したことを認識させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本発明の概要]
初めに、
図1を参照して、本発明の概要を説明する。
図1は、警報システムSの概要を説明するための図である。警報システムSは、建物内の空間Rにおける異状の発生を検出して、空間Rに存在する空間Rの利用者Uに異状が発生していることを警報音声により通知する警報システムである。警報システムSは、空間Rに設けられた警報器1と、警報器1に音声を出力させる警報制御装置2とを備える。ここで、空間Rは、例えば、建物内の部屋であるものとするが、これに限らず、建物内の廊下、ラウンジ、階段スペース等であってもよい。また、以下の説明では、異状の一例として、火災を検出した場合について説明する。
【0019】
警報器1は、火災を検出すると、火災を検出したことを示す検出情報を警報制御装置2に送信する。警報制御装置2は、検出情報を受信すると、火災が発生していることを通知する警報音声を警報器1に出力させる。このとき、利用者Uが警報音声の言語を理解できないと、火災が発生していることを認識することができない。
【0020】
そこで、警報制御装置2は、空間Rに在住する利用者Uが使用する言語を特定する。警報制御装置2は、火災を検出したことを示す検出情報を警報器1から受信すると、特定した言語に対応する警報音声を警報器1に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、警報装置周辺にいる利用者Uが理解できる言語で火災が発生していることを認識させることができる。
【0021】
<第1の実施形態>
以下、
図2を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、警報システムSが、利用者Uの音声を示す音声情報を取得し、当該音声情報に基づいて、利用者Uが使用する言語を特定する形態について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る警報システムSの機能構成を示す図である。
【0022】
まず、警報器1の構成について説明する。
図2に示すように、警報器1は、通信部10と、取得部11と、検出部12と、出力部13とを備える。
通信部10は、警報制御装置2と情報を送受信するための通信インターフェースであり、例えばLAN(Local Area Network)コントローラを有する。
【0023】
取得部11は、空間Rにおける利用者Uの音声を示す音声情報を取得する。取得部11は、マイクとフィルタとを備える。取得部11のマイクは、入力された音声を音声情報に変換する。取得部11のフィルタは、当該音声情報が示す音声のうち、特定周波数帯域の音声を低減するフィルタリング処理を行う。取得部11は、特定周波数帯域が低減された音声情報を警報制御装置2に送信する。
【0024】
検出部12は、空間Rで発生した異状を検出する。具体的には、検出部12は、火災の熱を検出する熱検出器、火災の煙を検出する煙検出器、火災の炎を検出する炎検出器、又は空気中の一酸化炭素濃度を検出する一酸化炭素検出器の少なくともいずれかであり、異状として火災を検出する。検出部12は、火災を検出すると、火災を検出したことを示す検出情報を警報制御装置2に送信する。
【0025】
出力部13は、例えば電気信号を増幅するアンプと、増幅された電気信号を音に変換するスピーカーとを備える。出力部13は、通信部10が警報制御装置2から警報音声情報を受信すると、当該警報音声情報に対応する警報音声を出力する。
【0026】
続いて、警報制御装置2の構成について説明する。警報制御装置2は、例えばコンピュータであり、通信部20と、記憶部21と、制御部22とを備える。
通信部20は、警報器1と情報を送受信するための通信インターフェースであり、例えばLANコントローラを有する。
【0027】
記憶部21は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を含む。記憶部21は、制御部22が実行するプログラムを記憶する。
【0028】
記憶部21は、複数の言語のそれぞれに対応して、警報音声を示す複数の警報音声情報を記憶する。例えば、日本語に対応する警報音声は、「火事です。安全を確認の上避難してください。」という日本語の音声メッセージである。また、中国語に対応する警報音声は、日本語の音声メッセージと同等の内容を示す中国語の音声メッセージである。また、記憶部21は、複数の言語のそれぞれに対応する音声の特徴を示す情報と、言語名とを関連付けて記憶する。さらに、記憶部21は、制御部22の制御に応じて、制御部22が特定した言語を示す言語名と、当該言語を特定した特定日時とを関連付けた特定言語情報を記憶する。
【0029】
制御部22は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部22は、記憶部21に記憶されたプログラムを実行することにより、言語特定部220、選択部221、及び出力制御部222として機能する。
【0030】
言語特定部220は、空間Rに存在する利用者Uが使用する言語を特定する。具体的には、言語特定部220は、警報器1の取得部11により取得され警報器1から受信した音声情報に基づいて、利用者Uの音声に対応する言語を特定する。より具体的には、言語特定部220は、記憶部21に記憶された言語ごとの音声の特徴と言語名との関係を参照することにより、警報器1から受信した音声情報が示す音声の特徴に対応する言語名を特定する。そして、言語特定部220は、警報器1から受信した音声情報から音声の特徴を抽出する。言語特定部220は、記憶部21に記憶された言語ごとの音声の特徴と言語名との関係を参照し、抽出した特徴に関連付けられている言語名を特定することにより、利用者Uが使用する言語を特定する。
【0031】
言語特定部220は、言語を特定したことに応じて、特定した言語を示す情報を記憶部21に記憶させる。例えば、言語特定部220は、特定した言語を示す言語名と、当該言語を特定した特定日時とを関連付けて特定言語情報として記憶させる。
図3は、特定言語情報の一例を示す図である。
【0032】
図3に示す例は、空間Rにおいて中国語及び日本語が話されている例を示している。この場合、言語特定部220は、空間Rにおいて話されている言語名が中国語又は日本語であると特定している。
図3に示す例では、言語特定部220は、特定日時が「2017/10/15 18:06」及び「2017/10/15 18:07」において、空間Rにおいて話されている言語が日本語であると特定している。これは、例えば、警報器1が設置された空間Rに日本人と中国人がいる場合に相当する。
【0033】
選択部221は、所定時間おきに、記憶部21に記憶されている複数の警報音声情報のうち、言語特定部220により特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。具体的には、選択部221は、記憶部21に記憶されている特定言語情報を参照し、現在時刻から所定期間(例えば、1日)前までの間に最も多く特定された言語を抽出する。そして、選択部221は、最も多く特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。
図3に示す例において、選択部221が、10月15日に特定された言語に基づいて警報音声情報を選択する場合、選択部221は、中国語に対応する警報音声情報を選択する。ここで、所定期間は、利用者Uが空間Rを利用する利用期間であってもよい。
【0034】
なお、空間Rは、使用言語の異なる複数の利用者Uにより利用される場合がある。そのため、選択部221は、記憶部21に記憶されている特定言語情報を参照し、所定期間内に特定された回数が相対的に多い一以上の言語を特定してもよい。例えば、選択部221は、特定された回数が多い順に複数の言語を選択してもよい。
【0035】
出力制御部222は、警報器1の検出部12が火災を検出すると、選択された警報音声情報に対応する警報音声を警報器1の出力部13に出力させる。具体的には、出力制御部222は、通信部20を介して検出部12が火災を検出したことを示す検出情報を受信すると、選択された警報音声情報を繰り返し出力部13に送信する。出力部13は、出力制御部222から警報音声情報を受信すると、警報音声情報に対応する警報音声を出力する。
【0036】
なお、出力制御部222は、選択部221により複数の警報音声情報が選択された場合には、選択された複数の警報音声情報のそれぞれに対応する警報音声を警報器1の出力部13に出力させる。
【0037】
[利用者Uが使用する言語を選択する処理]
以下、
図4を参照して、警報システムSが実行する、利用者Uが使用する言語を選択する処理の流れを説明する。
図4は、警報音声情報を選択する処理のシーケンス図である。
【0038】
まず、警報器1の取得部11は、利用者Uの音声を示す音声情報を取得する(ステップS1)。取得部11は、取得した音声情報を警報制御装置2に送信する。警報制御装置2の言語特定部220は、音声情報を受信すると、音声情報に基づいて言語を特定する(ステップS2)。言語特定部220は、特定した言語を示す言語名と、当該言語が特定された特定日時とを関連付けて特定言語情報として記憶部21に記憶させる(ステップS3)。ステップS1からステップS3の処理は繰り返し行われる。
【0039】
続いて、選択部221は、記憶部21の特定言語情報を参照して所定期間内に特定された回数が相対的に多い言語を特定する(ステップS4)。そして、選択部221は、特定した言語に対応する警報音声情報を選択する(ステップS5)。
【0040】
[警報音声を出力させる処理]
以下、
図5を参照して、警報システムSが実行する、警報音声を出力させる処理の流れを説明する。
図5は、警報音声を出力させる処理のシーケンス図である。
【0041】
まず、警報器1の検出部12は、火災を検出する(ステップS11)。検出部12は、火災を検出したことを示す検出情報を警報制御装置2に送信する。出力制御部222は、検出情報を受信すると、選択部221により選択された警報音声情報を警報器1の出力部13に送信する(ステップS12)。警報器1の出力部13は、警報音声情報を受信すると、警報音声情報に対応する警報音声を出力する(ステップS13)。
【0042】
[第1の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したように、警報システムSの警報制御装置2は、警報器1が取得した音声情報に基づいて、空間Rを利用する利用者Uが使用する言語を特定し、特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。そして、警報制御装置2は、選択された警報音声情報に対応する警報音声を警報器1に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、警報器1の周辺にいる利用者Uが理解できる言語で警報音声を出力することができるので、利用者Uに空間Rで発生した異状である火災が発生していることを認識させることができる。
【0043】
(第1の実施形態の変形例)
以上、空間Rに1つの警報器1が設置された例について説明したが、これに限らない。警報システムSは、複数の空間Rのそれぞれに設置された複数の警報器1を備えていてもよい。
【0044】
言語特定部220は、複数の空間Rのそれぞれに存在する複数の利用者Uが使用する複数の言語を特定する。具体的には、言語特定部220は、警報器1の取得部11により取得された複数の利用者Uのいずれかが発した音声を示す音声情報を受信すると、当該音声情報に基づいて、当該音声を発した利用者Uが使用する言語を特定する。言語特定部220は、利用者Uが使用する言語を特定したことに応じて、特定した言語を示す言語名と、当該言語を特定した特定日時とを関連付けた特定言語情報を記憶部21に記憶させる。
【0045】
選択部221は、特定言語情報を参照して、現在時刻から所定期間(例えば、1日)前までの間に複数の空間Rにおいて特定された回数が相対的に多い言語に対応する警報音声情報を選択する。出力制御部222は、選択部221により選択された言語に対応する警報音声を、複数の警報器1のそれぞれの出力部13に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、建物内に存在する複数の利用者Uの多くが使用する言語に対応する警報音声を出力することができる。
【0046】
<第2の実施形態>
続いて、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、警報システムSが、警報器1が設置されている位置を特定し、特定した位置に基づいて利用者Uが使用する言語を特定する形態について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る警報システムSの機能構成を示す図である。以下、第1の実施形態と異なる点について説明し、同様の点については適宜省略する。
【0047】
第2の実施形態に係る警報器1は、音声を取得する取得部11に替わり、位置特定部14を備える。位置特定部14は、GPS(Global Positioning System)受信器を備えており、GPS衛星から受信した信号に基づいて警報器1の位置を特定する。位置特定部14は、当該位置を示す位置情報を警報制御装置2に送信する。
【0048】
第2の実施形態に係る警報制御装置2は、警報器1が設置されている設置位置を特定する位置特定部223をさらに備える。位置特定部223は、警報器1から受信した位置情報に基づいて警報器1が設置されている位置を特定する。
【0049】
記憶部21は、複数の地域を示す地域情報のそれぞれと、それぞれの地域に対応する一以上の言語とを関連付けた地域別言語情報を記憶する。例えば、地域情報は、一地点を示す位置情報(例えば、都市の位置を示す位置情報)、又は複数地点を含む位置の範囲を示す情報(例えば、経度・緯度の範囲を示す範囲情報)である。ここで、地域情報が位置の範囲を示す情報である場合には、それぞれの地域に対応する位置の範囲が重複していないものとする。なお、記憶部21は、地域において使用されている一以上の言語を示す情報のそれぞれに関連付けて、当該地域における当該言語の使用頻度を記憶してもよい。
【0050】
言語特定部220は、位置特定部223により特定された警報器1が設置されている位置に基づいて言語を特定する。具体的には、まず、言語特定部220は、地域別言語情報を参照して、特定された位置を示す位置情報に対応する地域を特定する。例えば、言語特定部220は、地域情報として一地点を示す位置情報が地域別言語情報に記憶されている場合、特定された位置から最も近い地域を、特定された位置に対応する地域と特定する。また、言語特定部220は、地域情報として、位置の範囲を示す情報が記憶されている場合、特定された位置を含む地域を、特定された位置に対応する地域と特定する。そして、言語特定部220は、地域別言語情報において、特定された地域に関連付けられた言語を特定する。
【0051】
選択部221は、言語特定部220により特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。なお、選択部221は、言語特定部220により複数の言語が選択された場合、特定された地点において使用頻度が相対的に大きい言語を選択してもよい。このようにすることで、選択部221は、警報器1の付近にいる人が認識できる可能性が高い言語を選択することができる。
【0052】
(第2の実施形態の変形例)
以上の説明においては、記憶部21は、複数の地域を示す位置情報のそれぞれと、それぞれの地域に対応する言語とを関連付けて記憶した。これに限らず、記憶部21は、地域を訪れる旅行者の使用頻度が大きい言語を、旅行者が使用する言語として記憶してもよい。この場合において、例えば、記憶部21は、地域を示す位置情報に関連付けて旅行者が使用する言語を旅行者言語情報として記憶する。言語特定部220は、記憶部21に記憶されている旅行者言語情報を参照して、位置特定部223により特定された位置に対応する地域を訪れる旅行者が使用する言語を特定する。選択部221は、言語特定部220により特定された旅行者が使用する言語に対応する警報音声情報を選択する。このようにすることで、警報制御装置2は、警報器1が設置された位置に対応する地域を訪れる旅行者が認識できる可能性が高い言語に対応する警報音声を出力することができる。
【0053】
なお、言語特定部220は、記憶部21に記憶されている旅行者言語情報を参照して、旅行者が使用する言語を特定するとともに、記憶部21に記憶されている地域別言語情報を参照して、地域に対応する言語を特定してもよい。選択部221は、言語特定部220により特定された複数の言語のそれぞれに対応する複数の警報音声情報を選択する。このようにすることで、警報制御装置2は、警報器1が設置された位置に対応する地域に居住している人及び当該地域に訪問した旅行者が認識できる可能性が高い警報音声を出力することができる。
【0054】
なお、言語特定部220は、特定された位置が同じ場合であっても、時期によって異なる言語を特定するようにしてもよい。具体的には、記憶部21は、地域を示す地域情報と、時期と、旅行者が使用する言語とを関連付けて旅行者言語情報として記憶する。言語特定部220は、記憶部21に記憶されている地域別言語情報を参照し、特定された位置を示す位置情報に対応する地域を特定する。そして、言語特定部220は、特定された地域と、現在の日付に対応する時期とに関連付けられている旅行者が使用する言語を特定する。このようにすることで、言語特定部220は、時期の変化に応じて旅行者が使用する言語が変化する場合でも、旅行者が使用する言語を特定することができる。
【0055】
[第2の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したように、警報システムSの警報制御装置2は、警報器1が設置された位置を示す位置情報に基づいて、空間Rを利用する利用者Uが使用する言語を特定し、特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。そして、警報制御装置2は、選択された警報音声情報に対応する警報音声を警報器1に出力させる。このようにすることで、警報システムSは、第1実施形態と同様に、警報装置周辺にいる利用者Uに火災が発生していることを認識させることができる。
【0056】
<第3の実施形態>
続いて、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、警報システムSが、利用者Uの音声を示す音声情報と警報器1が設置されている位置とに基づいて利用者Uが使用する言語を特定する形態について説明する。
【0057】
第3の実施形態に係る警報器1は、第1の実施形態に係る警報器1の構成と、第2の実施形態に係る位置特定部14とを備える。同様に、第3の実施形態に係る警報制御装置2は、第1の実施形態に係る警報制御装置2が備える構成と、第2の実施形態に係る位置特定部223とを備える。
【0058】
警報器1の取得部11は、空間Rにおける利用者Uの音声を示す音声情報を取得すると、音声情報を警報制御装置2に送信する。また、警報器1の位置特定部14は、警報器1の位置を示す位置情報を警報制御装置2に送信する。
【0059】
警報制御装置2の位置特定部223は、警報器1から音声情報と、警報器1の位置を示す位置情報とを受信する。位置特定部223は、まず、受信した位置情報に基づいて警報器1が設置されている位置を特定する。言語特定部220は、記憶部21に記憶されている地域別言語情報を参照して、位置特定部223により特定された警報器1が設置されている位置に対応する地域を示す地域情報に関連付けられた複数の言語を特定する。その後、言語特定部220は、特定した複数の言語のそれぞれに対応する音声の特徴を示す情報と、受信した音声情報から抽出した音声の特徴を示す情報とに基づいて、特定した複数の言語から、受信した音声情報が示す音声に対応する言語を特定する。
【0060】
[第3の実施形態に係る警報システムSの効果]
以上説明したように、警報システムSの警報制御装置2は、警報器1から利用者Uの音声を示す音声情報を取得するとともに、警報器1から受信した位置情報に基づいて警報器1が設置されている位置を特定する。そして、警報制御装置2は、警報器1が設置されている位置に対応する地域に対応する複数の言語を特定し、特定した複数の言語から、音声情報に基づいて利用者Uの音声に対応する言語を特定する。このようにすることで、警報システムSは、警報器1が設置された地域で使用されている複数の言語の中から、音声に対応する言語を特定することができる。これにより、警報システムSは、地域で使用されている言語に限らずに多くの言語から音声に対応する言語を特定する場合に比べて、言語の特定に係る警報制御装置2の処理時間を短くすることができる。
【0061】
<第4の実施形態>
続いて、本発明の第4の実施形態について説明する。第1の実施形態に係る警報システムSでは、警報器1と、警報制御装置2とをそれぞれ個別に設置する必要がある。そのため、警報システムSを設置する作業が煩雑であり設置コストがかかっていた。これに対して、第4の実施形態では、第1実施形態に係る警報器1に係る機能と、警報制御装置2に係る機能とを一の装置で実現することにより、設置コストを低減する。
【0062】
図7は、第3の実施形態に係る警報装置3の機能構成を示す図である。第4の実施形態に係る警報装置は、例えば、建物内の空間Rに設置されて単体で動作する住宅用火災警報器である。警報装置3は、取得部30と、記憶部31と、検出部32と、出力部33と、制御部34とを備える。取得部30、記憶部31、検出部32、出力部33、及び制御部34は、それぞれ、第1実施形態に係る取得部11、記憶部21、検出部12、出力部13、及び制御部22と同等の機能を有する。また、制御部34は、記憶部31に記憶されたプログラムを実行することにより、言語特定部340、選択部341、及び出力制御部342として機能する。
【0063】
取得部30は、警報装置3が設置された空間Rに存在する利用者Uの音声を示す音声情報を取得する。言語特定部340は、取得部30により取得された音声情報に基づいて利用者Uが使用する言語を特定する。選択部341は、記憶部31に記憶されている複数の警報音声情報のうち、言語特定部340により特定された言語に対応する警報音声情報を選択する。出力制御部342は、検出部32により火災が検出されると、選択部341により選択された警報音声情報に対応する警報音声を出力部33に出力させる。
【0064】
[第4の実施形態に係る警報装置3の効果]
以上説明したように、警報装置3は、単体で動作するので簡単に設置することができる。そのため、警報装置3は、第1実施形態の警報システムSを設置する場合と比べて設置コストを低減することができる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。上記実施の形態では、空間Rで発生した異状を検出する例として、火災を検出する例について説明したが、これに限らない。例えば、可燃性ガスの発生や、空間Rに対する部外者の侵入を空間Rで発生した異状として検出してもよい。なお、異状には、警報器又は警報装置の異状を含んでもよく、例えば、警報器又は警報装置は、電池電圧の低下や、自身の故障を空間Rで発生した異状として検出してもよい。また、言語特定部は、音声情報又は位置情報に基づいて言語を特定したが、これに限らず、母語人口が相対的に多い言語を単純に選択してもよい。また、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。