【実施例】
【0020】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0021】
実施例1
下記α化デンプン20重量部、グラニュー糖30重量部とを混合した後、10
℃の冷水50重量部を加え、1分間ダマがなくなるまで十分に混練した。その後、物性を安定させるため、10分間放置し、その後、食感、保型性、糊っぽさ・ぬめり、見た目および歪率10%、15%時の応力を測定した。結果を表2に示した。
使用したα化デンプン:
α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカデンプン(1)(以下HPリン酸架橋タピオカ(1))
α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋タピオカデンプン(2)(以下HPリン酸架橋タピオカ(2))
α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ポテトデンプン(1)(以下HPリン酸架橋ポテト(1))
α化ヒドロキシプロピル化リン酸架橋ポテトデンプン(2)(以下HPリン酸架橋ポテト(2))
α化アセチル化アジピン酸架橋ワキシコーンデンプン(以下アセチルアジピンワキシ)
α化オクテニルコハク酸ナトリウムワキシコーンデンプン(以下OSAワキシ)
α化未加工ワキシコーンスターチデンプン(以下未加工ワキシ)
α化未加工タピオカデンプン(以下未加工タピオカ)
【0022】
【表2】
【0023】
未加工タピオカは、保型性・食感が特によくべたつきや糊っぽさを感じないことから、この用途にもっとも適している。
HPリン酸架橋タピオカ(1)・(2)とも、保型性がよわく、食感が糊っぽく、ぬめりがある。
HPリン酸架橋ポテト(1)・(2)はやや強度が異なるものの、保型性があり、食感も良い。多少ぬめりがあるものの、見た目の透明度も高い。
OSAワキシは保型性がなく、食感がやわらかい。糊っぽさを感じるがぬめりはあまりない。
未加工ワキシは保型性がなく、食感はやわらかく、単品での使用は難しい。一方、糊っぽさが出ないことから他と併用して食感改良には適している。
以上の結果、粉末わらび餅に適正があるのは由来原料がタピオカの未加工デンプンが特に適しており、加工デンプンでは、ポテト由来のリン酸架橋デンプンか、リン酸架橋の度合いが強い、コンビネーションタイプの加工デンプンが適している。
【0024】
実施例2
可溶成分(糖質)の混入割合が製品に与える影響を確認した。
試験粉末配合は以下の通り。
(1)グラニュー糖 80% + 未加工タピオカ 20%
(2)グラニュー糖 70% + 未加工タピオカ 30%
(3)グラニュー糖 60% + 未加工タピオカ 40%
(4)グラニュー糖 50% + 未加工タピオカ 50%
(5)グラニュー糖 40% + 未加工タピオカ 60%
(6)グラニュー糖 30% + 未加工タピオカ 70%
加水量は、粉末に対して、1.5倍量とし、その他は実施例1と同様にして、調製10分後の味・見た目・食感・ゲル強度の確認・測定を行った。
結果表3に示した。
【0025】
【表3】
【0026】
ゲル強度から、糖質の混合量は30%〜60%、より好ましくは40%〜60%である。
糖質の種類については、可溶性で粉末状のものであれば使用可能で、甘味度を調整するためにたとえば低DEのデキストリン等を混合することも可能である。
また、甘味を強くするために、アセスルファムKのような高甘味度甘味料を併用することも出来る。
【0027】
実施例3
粉末(インスタントわらび餅)に添加する水の量について、粉末に対する水の量を変え、適正量を検討した。
粉末は未加工タピオカ40%+グラニュー糖60%の組み合わせを使用した。
【0028】
【表4】
【0029】
以上の結果、加水量は配合中の粉末に対して80〜160%、より好ましくは110〜150%と判断した。
【0030】
実施例4および比較例1〜3
わらび餅は特定の種類の澱粉または増粘多糖類と、糖類(上白糖・グラニュー糖等)を一定の比率で組み合わせた後、水を加えて加熱混合(蒸練)し、容器に詰めた後、適当な条件で冷却することで、独特な食感をもった製品に仕上がることが知られている。
そこで、このような一般的なわらび餅と、今回のインスタントわらび餅の食感について、比較を行った。
比較(1):甘藷澱粉
並葛という名前で市販されている。一般的なわらび餅用の澱粉。未加工。
比較(2):耐老化性甘藷澱粉
特殊な甘藷から精製した甘藷澱粉。老化耐性があり、当社がわらび餅用途で販売を行っている。
比較(3):アセチル化リン酸架橋タピオカデンプン
一般的に販売されている大量生産のわらび餅に使用される加工デンプン。
【0031】
実施例4(インスタントわらび餅):未加工タピオカ40%+グラニュー糖60%+加水量 120%
比較品はデンプン1:上白糖2:水8の割合で混合し、加熱混合(90℃以上−10分)後、冷蔵で1晩保管。
粉末わらび餅は1.3倍量の水と混合した後、冷蔵庫で1時間保管。
【0032】
【表5】
【0033】
インスタントわらび餅は比較品と比べ、保型性がやや劣るが、わらび餅としての違和感はなかった。また、見た目では、大量生産用途のタピオカデンプンほどの透明感は得られないが、甘藷澱粉(並葛)より透明感が強く、わらび餅として問題はない。食感は比較した中でも弾力と柔らかさのバランスがよく、評価が高かった。
比較試験の結果、インスタントわらび餅は通常のわらび餅としても問題のない、食感と見た目を保持することがわかった。また、一般にわらび餅を食するときは、外に黄粉や黒蜜を掛ける習慣があるが、粉末わらび餅はこれらの付着性が強く、これらの素材がよく絡むという特徴もあった。