【実施例1】
【0015】
最初に、
図1〜
図8を参照しながら本発明の実施例1を説明する。
図1は、本実施例の切断装置の外観斜視図,
図2は前記切断装置のカバーを開けた状態を示す斜視図である。
図3は、本実施例のリールとボビンを示す図である。
図4は、本実施例のヒートカッターの構造を示す図であり、(A)は側面図,(B)は平面図である。
図5(A)は前記
図1を矢印FA方向から見た側面図,
図5(B)は前記
図1を矢印FB方向から見た側面図である。
図6〜
図8は、本実施例の作用を示す図である。本実施例の切断装置10は、例えば、果物などの販売容器の開口部を覆うフィルムを、所定の長さで引き出して切断する装置である。より詳しくは、前記フィルムにあらかじめミシン目等を設けることなく所望の位置や間隔でフィルムを切断可能な構成としたものである。
【0016】
図1及び
図2に示すように、本実施例の切断装置10は、対向する一対の側面12A,12Bと底面14を有しており、前記側面12A,12B間には、フィルムロール24が回転可能にセットされている。前記フィルムロール24は、
図3(A)に示すように、連続するフィルム28が、ボビン23にロール状に巻き取られたものであって、前記ボビン23の中空部にリール26を貫通させる。該リール26は、円筒状であって、
図3(A)に示すように、中空部26Aにバネ27が収納されている。
【0017】
図示の例では、前記バネ27は、一対のアーム27A,27Bを有する略U字状であって、一方のアーム27Aに、凸部27Cが形成されている。前記凸部27Cは、前記リール26の軸方向に沿って形成された長孔26Cを貫通し、該リール26の外周面26Bから突出している。前記バネ27は、前記アーム27A,27Bにより外側へ付勢されている。このため、前記ボビン23の中空部に前記リール26を挿通すると、前記凸部27Cが前記ボビン23の内周面に接触してリール26からボビン23がずれにくくなり、空回りを防止できる。なお、
図3(B)に示すように、他方のアーム27Bにも凸部27Dを設け、前記リール26に前記凸部27Dが貫通する長穴26Dを形成して、2ヶ所でボビン23と接触するようにしてもよい。
【0018】
前記フィルム28の裏面の両端近傍には、引き出し方向に沿って粘着剤30A,30Bが設けられている。更に、前記フィルム28の一方の側端側には、適宜間隔でマーカー34が設けられている。以下の説明では、前記フィルムロール24がセットされる側をフィルム28の引き出し方向の上流側、前記フィルム28を送り出す複数のローラが設けられているカバー40側を、前記引き出し方向の下流側として説明する。
【0019】
前記一対の側面12A,12Bの上流側の上部には、前記リール26を回転可能かつ着脱可能に支持する支持体20,22が設けられている。図示の例では、前記支持体20,22は、略U字状の溝を有しており、当該溝によって前記リール26の両端を回転可能に保持する。
【0020】
次に、前記切断装置10の下流側には、
図2に示すように内部フレーム16が設けられている。該内部フレーム16は、上面16Aと、斜面16B,16Cを有している。前記斜面16Bと16Cは、後述するヒータ線202がフィルム28に対して進退可能となるように、分断されている。前記内部フレーム16の上部には、開閉可能なカバー40が設けられる。前記カバー40と装置底面14の間には、
図1に示すように、フィルム28の引き出し口70が形成されている。該引き出し口70の下縁には、同図に示すように、切断済みのフィルム28が落下して粘着剤30A,30Bが作業台などに貼り付かないように、下向きに傾斜したプレート状のガイド36が設けられている。
【0021】
前記内部フレーム16の上側の斜面16Bには、前記フィルム28を送るための第1送りローラ50が、該フィルム28の引き出し方向と略直交するように配置されている。該第1送りローラ50は、軸52の外周に適宜間隔で中央部に複数のロール体54が設けられ、両端に他のロール体56が設けられた構造となっている。前記軸52は、図示しない軸受けによって、前記側面12A,12B間に回転可能に支持されている。図示の例では、前記両端のロール体56は、前記フィルム28に設けられた粘着剤30A,30Bが貼り付かないように、例えば、シリコンスポンジローラを用いている。
【0022】
前記内部フレーム16の下側の斜面16C,すなわち、前記第1送りローラ50よりも下流側には、第2送りローラ60が、前記フィルム28の引き出し方向と略直交するように配置されている。該第2の送りローラも、軸62の外周に適宜間隔で中央部に複数のロール体64が設けられ、両端に前記粘着剤30A,30Bが付着しにくい他のロール体66が設けられた構成となっている。前記軸62は、図示しない軸受によって、前記側面12A,12B間に回転可能に支持されている。
【0023】
一方、前記カバー40の第2面部(斜面)40Bの内側には、
図2に示すように、押圧ローラ120,130が、前記カバー40の側面40C,40D間に回転可能に設けられている。前記押圧ローラ120は、軸122の外周に適宜間隔で複数のロール体126を有しており、両端が軸受け124A,124Bによって回転可能に支持されている。該押圧ローラ120は、前記カバー40を閉じた状態において、前記第1送りローラ50との間にフィルム28を挟み、前記第1送りローラ50の回転に連動して回転する。他方の押圧ローラ130は、軸132の外周に適宜間隔で複数のロール体136を有しており、両端が軸受け134A,134Bによって回転可能に支持されている。該押圧ローラ130は、前記カバー40を閉じた状態において、前記第2送りローラ60との間に前記フィルム28を挟み、前記第2送りローラ60の回転に連動して回転する。
【0024】
前記押圧ローラ120の軸122の軸受け124A,124Bは、
図1及び
図2に示すように、前記カバー40の側面40C,40Dに設けられた長穴128A,128Bに沿ってスライド可能となっている、同様に、前記押圧ローラ130の軸132の軸受け134A,134Bは、前記側面40C,40Dに設けられた長穴138A,138Bに沿ってスライド可能となっている。そして、前記軸受124A,134Aには、ピン142Aを中心に回動可能なバネ140Aの両端が係合しており、前記押圧ローラ120,130の一端側を前記第1送りローラ50,第2送りローラ60に向けて付勢している。同様に、前記軸受け124B,134Bには、ピン142Bを中心に回転可能なバネ140Bの両端が係合しており、前記押圧ローラ120,130の他端側を前記第1送りローラ50,第2送りローラ60に向けて付勢している。
【0025】
前記カバー40は、前記内部フレーム16の上面16Aの両端側に設けたマグネット118A,118Bと、前記カバー40の第1面部40Aの内側の両端に設けた金属板46A,46Bにより、前記第1送りローラ50,第2送りローラ60を覆った状態で維持される。また、前記カバー40の後部40E側には、前記第1送りローラ50を覆った状態で維持される。また、前記カバー40の後部40E側には、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60に対して略平行に、押えローラ44が設けられている。該押えローラ44の軸44Aは、前記カバー40を閉じた状態では、
図5に示すように、前記押えローラ44は、前記フィルムロール24と第1送りローラ50の間に位置し、前記内部フレーム上面16Aとの間にフィルム28を挟み込む。
【0026】
また、前記カバー40の内側には、前記軸122,124と直交する方向、すなわち、フィルム28の引き出し方向に沿って、ロール体間にガイド144が設けられている。該ガイド144を設けることにより、フィルム28が、間隔をおいて配置されたロール体間で凹むことなく、上流側から下流側へ向けて送られる。
【0027】
更に、カバー40の内側には、前記後部40E寄りの位置に、発光部150Aが設けられている。他方、前記内部フレーム上面16Aの一端側には、前記発光部150Aからの光を受光する受光部150Bが設けられている。前記発光部150A及び受光部150Bにより第1のセンサ150が構成されている。該第1のセンサ150は、前記ボビン23から引き出されたフィルム28のマーカーを検知するためのものである。前記第1のセンサ150は、図示しない配線によって、前記側面12Bに設けられた制御部100に接続される。該制御部100は、前記第1のセンサ150の検知結果に基づいて、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60の駆動を制御するとともに、後述する切断機構200の駆動を制御する。
【0028】
次に、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60の駆動機構について説明する。本実施例では、第1送りローラ50と第2送りローラ60を同時に駆動する第1の駆動機構と、第2送りローラ60のみを駆動する第2の駆動機構を備えている。まず、第1の駆動機構について説明すると、
図5(A)に示すように、前記側面12Aの内側下方には、第1送りローラ50と第2送りローラ60の双方を同時に回転させるためのモータ80が設けられている。該モータ80の回転軸82は、図示しない軸受によって、前記側面12Aを回転可能に貫通している。前記回転軸の82の先端には、平歯車86が設けられている。前記側面12Aには、前記平歯車86の上方に、該平歯車86と噛み合い、軸88Aを中心に回転する平歯車88が設けられている。更に、該平歯車88の上方には、該平歯車88と噛み合う平歯車90が配置されている。該平歯車90は、前記第1送りローラ50の軸52に接合している。
【0029】
このため、前記モータ80の駆動により、その回転軸82,平歯車86,88,90を介して、軸52が回転し、第1送りローラ50が回転する。また、前記側面12Aには、前記平歯車88の側方に、該平歯車88と噛み合う平歯車92が設けられている。該平歯車92は、前記第2送りローラ60の軸62に接合している。このため、前記モータ80の駆動により、その回転軸82,平歯車86,88,92を介して、軸62が回転し、第2送りローラ60が回転する。すなわち、モータ80の駆動により、第1送りローラ50と第2送りローラ60を同時に回転駆動することができる。前記モータ80は、図示しないコードにより前記制御部100に接続され、該制御部100によりモータ80の駆動が制御される。
【0030】
次に、第2送りローラ60のみを回転させる第2の回転機構について説明する。
図5(B)に示すように、前記側面12Bの内側下方には、第2送りローラ60のみを回転させるためのモータ110が設けられている。該モータ110の回転軸112は、図示しない軸受によって、前記側面12Bを回転可能に貫通している。前記回転軸112の先端には平歯車114が設けられている。前記側面12Bには、前記平歯車114の斜め上方に、該平歯車114と噛み合う平歯車116が設けられている。該平歯車116は、前記第2送りローラ60の軸62に接合している。これにより、前記モータ110の駆動により、その回転軸112,平歯車114,116を介して、軸62が回転し、第2送りローラ60が回転する。前記モータ110も図示しないコードなどによって前記制御部100に接続され、該制御部100によって駆動が制御される。
【0031】
なお、本実施例では、前記第2送りローラ60には、歯車を介して2つのモータ80,110が接続されることになるため、第2送りローラ60のみを回転させるためには、モータの出力をクラッチなどで切り替えなければならない。本実施例では、例えば、第2送りローラ60の軸62の両端に図示しないワンウェイクラッチを設け、モータ80を回転させたときは、その動力を軸62に伝達するが、前記平歯車116は回転せず、モータ110を回転させたときは、前記平歯車92は回転しないようにする。これにより、モータ80の駆動により、第1送りローラ50と第2ローラ60を同時に回転させ、モータ110を駆動したときは、第2送りローラ60のみを回転させることができる。
【0032】
前記側面12Bには、前記第2送りローラ60の回転を検知する第2のセンサ152が設けられている。該第2のセンサ152は、前記モータ110の駆動停止中に、前記軸62の端部に設けられた羽根車154の回転を検知することで、前記第2送りローラ60の回転を検出するものである。前記第2のセンサ152は、発光部152Aと受光部152Bにより構成されている。該第2のセンサ152によって、モータ110が停止している間に、第2送りローラ60の回転が検出されると、検知結果が前記制御部100に送られ、該制御部100は、作業者によって切断済みのフィルム28が排出されたと判断する。前記制御部100は、前記第1のセンサ150,第2のセンサ152の検知結果に基づいて、モータ80,110による駆動を制御する。なお、本切断装置10の電源のON/OFFを切り替えるためのスイッチ102は、
図2に示すように、前記側面12Aの正面側に設けられている。該スイッチ102も配線により、前記制御部100に接続されている。該制御部100はコード96を介して図示しない外部電源に接続される。
【0033】
次に、
図4に戻って、本実施例の切断機構200について説明する。
図4(A)及び(B)に示すように、切断機構200は、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60と平行に支持されたヒータ線202を備えている。該ヒータ線202は、図示しないコードなどにより前記制御部100に接続され、前記第1のセンサ150による検知結果から切断タイミングが検出されたときに、通電されて加熱される。前記ヒータ線202の両端は、一対の支持体204A,204Bにより支持されている。該一対の支持体204A,204Bは、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60に平行に配置されたスライダ206の両端に、それぞれ設けられている。
【0034】
更に、前記スライダ206の両端側には、貫通孔207を有する断面L字状の保持部材208A,208Bが所定の間隔で設けられるとともに、前記貫通孔207を貫通する棒状のガイド210が設けられている。一方のガイド210は、前記側面12Bの内側に設けられた固定部材212,214によって、側面12Bから離間した状態で保持されている。
【0035】
また、前記スライダ206には、モータ220が接続されており、該モータ220は、図示しないコードなどにより、前記制御部100に接続されている。該制御部100は、前記第1のセンサ150により切断機構200を駆動するタイミングを検知したら、前記ヒータ線202に通電するとともに、前記モータ220を駆動して、前記スライダ206を、前記ガイド210に沿って上昇させる。これにより、加熱したヒータ線202を、前記フィルム28に対して平行状態に保ったまま、フィルム28に押し当てることができる。
【0036】
なお、以上のような構成の切断機構200は、前記ヒータ線202が、前記第1送りローラ50と第2送りローラ60の間から前記フィルム28に接触可能となる位置に配置されている。
【0037】
次に、
図6〜
図8を参照しながら、本実施例の作用を説明する。
図6(A-1),(B-1),
図7(A)は平面図,
図6(A-2),(B-2),
図7(B)は側面図である。
図8(A)〜(D)は側面図である。まず、前記制御部100により、モータ80を駆動して、第1送りローラ50及び第2送りローラ60を同時に回転させ、フィルム28をボビン23から引き出して、引き出し口70側(下流側)へ送る。このようにフィルム28が搬送されている間は、前記切断機構200のスライダ206は下がった(後退した)状態であり、ヒータ線202への通電も行われない。
図6(A-1),(A-2)に示す状態は、前記第1のセンサ150によるマーカー34の検出の直前である。
【0038】
そして、フィルム28の送り出しを続けると、前記第1のセンサ150がマーカー34を検出する。すると、検出信号が前記制御部100へ送られ、該制御部100では、
図7(A),(B)に示すように、フィルム28を所定量L送りだしたらモータ80を停止させる。また、前記制御部100は、モータ80を停止させたら、前記ヒータ線202への通電を開始してヒータ線202を加熱させるとともに、前記モータ220を駆動してスライダ206を上昇させ、前記ヒータ線202をフィルム28に押し当てる。
【0039】
第1送りローラ50と第2送りローラ60の停止時における、両ローラ間の様子を拡大して示すと
図8(A)の通りである。次に、前記制御部100は、第1送りローラ50及び第2送りローラ60が回転しないようにロックし、前記ヒータ線202へ通電してヒータ線202を加熱させるとともに、前記モータ220を駆動してスライダ206を上昇させ、前記ヒータ線202を、フィルム28に対して平行状態を保ったまま、該フィルム28に押し当てる(
図8(B))。フィルム28の材料は加熱により溶融するため、前記ヒータ202を押し当てることにより、フィルム28が切断される。
【0040】
その後、前記制御部100は、
図8(C)に示すように、前記モータ110の駆動により第2送りローラ60のみを回転させ、切断されたフィルム28を下流側へ送る。すると、前記引き出し口70から切断されたフィルム28の先端が排出される。また、制御手段100は、前記ヒータ線202への通電を停止するとともに、前記モータ220の駆動により、前記スライダ206を後退させる。ここまで、第1送りローラ50及び第2送りローラ60の回転、停止、ロックは、制御部100により行われる。また、ヒータ線202への通電のON/OFFの切り替え及びスライダ206の昇降も、前記制御部100により行われる。
【0041】
次に、前記引き出し口70から先端が排出されたフィルム28の上流側は、いまだ第2送りローラ60と押圧ローラ130に挟まれた状態であるため、
図8(D)に示すように、作業者が手で引き出す。このとき、モータ110の駆動は停止してるが、第2送りローラ60の回転はロックされていないため、フィルム28の引き出しにともなって、同図に示すように、第2送りローラ60が回転する。制御部100は、前記モータ80,110が停止中に、前記第2のセンサ152から第2送りローラ60の回転を検出した結果を受け取ると、該第2送りローラ60の回転量から、切断済みのフィルム28が第2送りローラ60及び押圧ローラ130から完全に排出されたか否かを判断する。そして、フィルム28が完全に排出されたと判断したら、再び、第1送りローラ50と第2送りローラを同時に回転させ、新たにフィルム28をリール26から引き出す。すなわち、
図6(A-1)及び(A-2)に示す状態に戻り、上述した前記動作を繰り返す。前記作業者は、前記引き出し口70から排出された所定長さのフィルム28を、果物の販売容器等の開口部にかぶせる。
【0042】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)フィルム28を送る第1送りローラ50及び第2送りローラ60と、これらを回転させるモータ80,110と、該モータ等の駆動を制御する制御部100を設ける。また、前記第1送りローラ50と第2送りローラ60の間に、ヒータ線202を配置するとともに、該ヒータ線202への通電のON/OFFの制御と、前記ヒータ線202を昇降させるためのモータ220の駆動を制御を制御部100により行う。そして、第1のセンサ150でマーカー34を検知したら、前記第1送りローラ50及び第2送りローラ60でフィルム28を所定量送って停止する。次いで、第1送りローラ50及び第2送りローラ60の回転をロックした状態で、前記ヒータ線202へ通電してヒータ線202を加熱するとともに、前記モータ220を駆動してスライダ206を上昇させ、加熱されたヒータ線202をフィルム28に対して平行状態を保ったまま押し当てて切断することとした。このため、ミシン目がなくてもフィルムを所定の位置で確実に切断することができる。
【0043】
(2)前記切断されたフィルム28が、作業者によって引き出されたことを、第2のセンサ152(排出検知手段)で検知し、その後に、第1送りローラ50と第2送りローラ60の同時駆動を再開することとした。このため、フィルム28を確実に排出してから、次のフィルム28を切断することができ、フィルム28のつまり等がない。
(3)フィルム28をロール状に巻き取るボビン23の中空部を貫通するリール28の外周面に、前記ボビン23の内周面側へ付勢された凸部27Cを設けて、ボビン23とリール26の空転を防止することとしたので、前記ボビン23からフィルム28を安定して引き出すことができる。
【実施例2】
【0044】
次に、
図9を参照しながら本発明の実施例2を説明する。
図9は、本実施例の作用を示す図である。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。上述した実施例1は、フィルム28を切断するタイミングを、第1のセンサ150によりマーカー34を検知することにより決定することとしたが、本実施例は、フィルム28の送り量から切断タイミングを判断する構成としたものである。
【0045】
フィルム28の送り量を検知する手段として、本実施例では、上述した実施例1の第2のセンサ152を用いることとする。なお、上述した実施例1では、前記モータ80,110の停止中に、第2送りローラ60の回転量を検知することとしたが、本実施例では、第1送りローラ50及び第2送りローラ60の駆動中にも、前記第2のセンサ152によって第2送りローラ60の回転量を検知するものとする。前記制御部100は、前記第2のセンサ152によって、第2送りローラ60の回転量から、フィルム28の送り量を算出し、所定量送ったところで切断機構100による切断を行うタイミングにあると判断する。
【0046】
まず、前記制御部100により、モータ80を駆動して、第1送りローラ50及び第2送りローラ60を同時に回転させ、フィルム28をボビンから引き出して、引き出し口70側(下流側)へ送る。このようにフィルム28が搬送されている間は、前記切断機構200のスライダ206は下がった状態(後退した状態)であり、ヒータ線202への通電も行われない(
図9(A))。
【0047】
一方、このように第1送りローラ50と第2送りローラ60によるフィルム28の送り出しを続けている間、前記制御部100は、前記第2のセンサ152による第2送りローラ60の回転量を検出し、検出した回転量からフィルム28の送り量を算出する。そして、算出した送り量が、所定の値(フィルム28の切断間隔)に達したら、前記制御部100は、モータ80を停止させるとともに、第1送りローラ50及び第2送りローラ60が回転しないようにロックし、ヒータ線202への通電を開始してヒータ線202を加熱させるとともに、前記モータ220を駆動してスライダ206を上昇させ、前記ヒータ線202をフィルム28に押し当てる(
図9(B))。
【0048】
このように、前記ヒータ線202を、フィルム28に対して平行状態を保ったまま、該フィルム28に押し当てると、フィルム28は加熱により溶融するため、切断される。その後、前記制御部100は、
図9(C)に示すように、前記モータ110の駆動により第2送りローラ60のみを回転させ、切断されたフィルム28を下流側へ送る。すると、前記引き出し口70から切断されたフィルム28の先端が排出される。また、制御手段100は、前記ヒータ線202への通電を停止するとともに、前記モータ220の駆動により、前記スライダ206を後退させる。ここまで、第1送りローラ50及び第2送りローラ60の回転、停止、ロックは、制御部100により行われる。また、ヒータ線202への通電のON/OFFの切り替え及びスライダ206の昇降も、前記制御部100により行われる。
【0049】
次に、前記引き出し口70から先端が排出されたフィルム28の上流側は、いまだ第2送りローラ60と押圧ローラ130に挟まれた状態であるため、
図9(D)に示すように、作業者が手で引き出す。このとき、モータ110の駆動は停止してるが、第2送りローラ60の回転はロックされていないため、フィルム28の引き出しにともなって、胴部に示すように、第2送りローラ60が回転する。制御部100は、前記モータ80,110が停止中に、前記第2のセンサ152から第2送りローラ60の回転を検出した結果を受け取ると、該第2送りローラ60の回転量から、切断済みのフィルム28が第2送りローラ60及び押圧ローラ130から完全に排出されたか否かを判断する。そして、フィルム28が完全に排出されたと判断したら、再び、第1送りローラ50と第2送りローラ60を同時に回転させ、新たにフィルム28をリール26から引き出す。前記作業者は、前記引き出し口70から排出された所定長さのフィルム28を、果物の販売容器等の開口部にかぶせる。
【0050】
本実施例によれば、第2送りローラ60の回転量を第2のセンサ152を利用して検出し、検出した回転量からフィルム28の送り量を算出して、フィルム28を切断するタイミングを判断することとした。このため、フィルム28にマーカー34を設けることなく、また、切断装置100に第1のセンサ150を設けることなく、フィルム28を所定の間隔で切断することができる。他の基本的な作用・効果は、上述した実施例1と同様である。
【0051】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)上述した実施例で示した形状,寸法,材質は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例1のマーカー34も一例であり、その位置や間隔は必用に応じて適宜変更可能である。
(3)前記マーカー34を検知する第1のセンサ150も一例であり、同様の効果を奏するものであれば、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、反射型のセンサや透過型のセンサのいずれを用いてもよい。
【0052】
(4)前記実施例で示した第2のセンサ152も一例であり、前記第2送りローラ60の回転のみを検知できるものであれば、公知の各種のセンサが利用可能である。また、前記第2送りローラ60の回転検知によるものではなく、例えば、切断済みフィルム28の通貨を検知するセンサを前記引き出し口70付近に設けるようにしても、同様の効果が得られる。
(5)前記実施例2では、前記第2のセンサ152を利用して第2送りローラ60の回転量からフィルム28の送り量を算出することとしたが、これも一例であり、第1送りローラ50の回転量からフィルム28の送り量を算出して、切断タイミングを決定するようにしてもよい。
【0053】
(6)前記実施例1と前記実施例2を組み合わせるようにしてもよい。すなわちマーカー34の検知による切断タイミングの決定と、フィルム28の送り量からの切断タイミングの決定の双方が可能な構成とし、必要に応じて、切り替えるようにしてもよい。
(7)前記実施例で示した切断機構100も一例であり、同様の効果を奏する範囲内で、公知の各種の昇降機構を用いてもよい。
(8)前記実施例で示したフィルム28も一例であり、必ずしも粘着剤30A,30Bがなくてもよい。
【0054】
(9)前記実施例では、第1送りローラ50と第2送りローラ60を同時に回転させる第1の駆動機構と、前記第2送りローラ60のみを回転させる第2の駆動機構をそれぞれ設けることとしたが、これも一例であり、クラッチの利用等により、いずれかの駆動機構が他方の駆動機構を兼ねるようにしてもよい。例えば、前記モータ110を用いることなく、フィルム送りをモータ80のみで行うようにしてよい。この場合、第2送りローラ60は、歯車で第1の送りローラ50と噛み合わせされており、モータ80を駆動することにより、第1送りローラ50とともに第2送りローラ60が同時に回転する。モータ80は、フィルム28を切断(溶断)した時点で停止させ、切断されたフィルム28を抜き取ると、第2送りローラ60がフィルム28との摩擦で回転するため、この回転を前記センサ152で検知し、フィルム28を取ったことを検知し、その信号で、次のフィルム28を送り出すように制御してもよい。このような構成とする場合、前記第2送りローラ60を、図示しないワンウェイベアリングで軸受けし、モータ80でフィルム28を送るときにはつながり、フィルム28を取るときには、第2送りローラ60のみ回転できるような方向に組み付ければよい。
【0055】
(10)前記実施例では、カバー40の内側に設けたバネ140A,140Bにより、押圧ローラ120,130を第1送りローラ50及び第2送りローラ60に対して均一な力で付勢することとしたが、これも一例であり、押圧ローラ120,130ごとに強弱をつけて付勢するようにしてもよい。例えば、
図10に示すように、押圧ローラ120用に、ピン230を中心に回動可能なバネ232を設け、押圧ローラ130用に、ピン234を中心に回動可能なバネ346を設けることで、一方の押圧ローラによる押さえを強く、他方の押圧ローラによる押さえを弱くするといった強弱の調整が可能である。
【0056】
(11)前記実施例で示した作用は一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、前記実施例1では、作業者が切断済みフィルム28を取り出したことを検知して、第1送りローラ50と第2送りローラ60の駆動を再開するが、これも一例であり、例えば、第1送りローラ50を停止したあとの第2送りローラ60の回転時間を増やすことで、切断後のフィルム28を自動的に排出するようにしてもよい。
(12)前記実施例では、果物を販売するための販売容器等の開口部を覆うフィルムの切断に本発明を適用することとしたが、本発明は、他の公知の各種のフィルムの切断に適用可能である。