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特開2019-84637主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-84637(P2019-84637A)
(43)【公開日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20190517BHJP
   B22C 9/10 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
   B25J13/08 A
   B22C9/10 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-215529(P2017-215529)
(22)【出願日】2017年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】長坂 政彦
(72)【発明者】
【氏名】牧野 泰育
(72)【発明者】
【氏名】小林 岳久見
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康二
【テーマコード(参考)】
3C707
4E093
【Fターム(参考)】
3C707AS07
3C707BS10
3C707KS03
3C707KS04
3C707KS33
3C707KT02
3C707KT05
3C707KT06
3C707KX06
3C707LT06
3C707LU06
3C707LV17
4E093QD01
4E093QD10
(57)【要約】
【課題】中子載置職人が微妙な手感覚で実施してきた中子載置作業を自動化により完全に再現することができる主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法を提供すること。
【解決手段】中子を把持して移動する中子把持移動手段と、前記中子把持移動手段の移動量を検出する中子移動量検出手段と、前記中子把持移動手段に把持された前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出する把持中子位置姿勢検出手段と、主型の位置、向き、及び、傾きを検出する主型位置姿勢検出手段と、前記中子に加わる物理量を検出するセンサと、前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出し、これらの関係と、前記センサが検出した前記中子に加わる物理量とから前記主型と前記中子を嵌合させるように前記中子把持移動手段を制御する制御手段と、を備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中子を把持して移動する中子把持移動手段と、
前記中子把持移動手段の移動量を検出する中子移動量検出手段と、
前記中子把持移動手段に把持された前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出する把持中子位置姿勢検出手段と、
主型の位置、向き、及び、傾きを検出する主型位置姿勢検出手段と、
前記中子に加わる物理量を検出するセンサと、
前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出し、これらの関係と、前記センサが検出した前記中子に加わる物理量とから前記主型と前記中子を嵌合させるように前記中子把持移動手段を制御する制御手段と、を備えたこと、
を特徴とする主型と中子の嵌合装置。
【請求項2】
前記中子に加わる物理量は、外力及びモーメントであること、を特徴とする請求項1に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記センサが、前記中子に加わる、嵌合方向と直交する2軸方向の外力、嵌合軸を中心として回転方向に加わるモーメント、及び、嵌合方向と直交する2軸を中心として回転方向に加わるモーメントを検出した時に、これらの外力及びモーメントがなくなるように前記中子把持移動手段を移動させ、
前記センサが、前記中子に加わる嵌合方向の外力が所定の値になるのを検出するまで、前記中子把持移動手段を前記主型の方向に移動させること、を特徴とする請求項2に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項4】
前記主型と前記中子の嵌合は、前記主型に設けられた嵌合部に前記中子に設けられた嵌合部を嵌合することにより行われ、前記主型に設けられた嵌合部と前記中子に設けられた嵌合部は互いにテーパー形状をしていること、を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項5】
前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出する事前中子位置姿勢検出手段をさらに備えたこと、を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項6】
前記センサは、6軸の力覚センサであること、を特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項7】
前記中子把持移動手段は産業用ロボットであること、を特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項8】
前記事前中子位置姿勢検出手段は、ビジョンセンサであること、を特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項9】
前記把持中子位置姿勢検出手段、及び/又は、前記主型位置姿勢検出手段は、ビジョンセンサであること、を特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項10】
前記中子移動量検出手段は、エンコーダであること、を特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項11】
前記制御手段は、ロボットコントローラであること、を特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合装置。
【請求項12】
中子を把持して移動することと、
把持された前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出することと、
前記中子の移動量を検出することと、
主型の位置、向き、及び、傾きを検出することと、
前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出することと、
前記中子に加わる物理量を検出することと、
前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出し、これらの関係と、前記中子に加わる物理量とから前記主型と前記中子を嵌合させるように前記中子の移動を制御することと、を含むこと、
を特徴とする主型と中子の嵌合方法。
【請求項13】
前記中子に加わる物理量は、外力及びモーメントであること、を特徴とする請求項12に記載の主型と中子の嵌合方法。
【請求項14】
前記制御することは、
前記中子に加わる、嵌合方向と直交する2軸方向の外力、嵌合軸を中心として回転方向に加わるモーメント、及び、嵌合方向と直交する2軸を中心として回転方向に加わるモーメントを検出した時に、これらの外力及びモーメントがなくなるように前記中子を移動させることと、
前記中子に加わる嵌合方向の外力が所定の値になるまで、前記中子を前記主型の方向に移動させることであること、
を特徴とする請求項13に記載の主型と中子の嵌合方法。
【請求項15】
前記中子を把持した後に、前記中子に加わる物理量をリセットすること、をさらに含むこと、を特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合方法。
【請求項16】
前記中子を把持した後に、前記中子に加わる物理量を記憶すること、をさらに含むこと、を特徴とする請求項12から14のいずれか一項に記載の主型と中子の嵌合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、鋳造時に中子を主型に載置する装置において、CCDカメラと画像処理装置の組み合わせにより、主型と中子の傾斜および垂直位置を検出し、そのデータを基に産業用ロボットを動作させて中子を主型に載置する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、鋳造時に中子を主型に載置する装置において、産業用ロボットのアーム部に力覚センサを取り付け、力覚センサより先のロボット先端部に加わる外力を検出できるようにし、そのデータを基に産業用ロボットを動作させて中子を主型に載置する方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3223033号明細書
【特許文献2】特開平6−277799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中子載置職人が微妙な手感覚で実施してきた中子載置作業を自動化により完全に再現することができる方法は、存在していなかった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、中子載置職人が微妙な手感覚で実施してきた中子載置作業を自動化により完全に再現することができる主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明における主型と中子の嵌合装置は、中子を把持して移動する中子把持移動手段と、前記中子把持移動手段の移動量を検出する中子移動量検出手段と、前記中子把持移動手段に把持された前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出する把持中子位置姿勢検出手段と、主型の位置、向き、及び、傾きを検出する主型位置姿勢検出手段と、前記中子に加わる物理量を検出するセンサと、前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出し、これらの関係と、前記センサが検出した前記中子に加わる物理量とから前記主型と前記中子を嵌合させるように前記中子把持移動手段を制御する制御手段と、を備えたこと、を特徴とする。
【0008】
また、本発明の一実施態様では、前記中子に加わる物理量は、外力及びモーメントであること、を特徴とする。
【0009】
また、本発明の一実施態様では、前記制御手段は、前記センサが、前記中子に加わる、嵌合方向と直交する2軸方向の外力、嵌合軸を中心として回転方向に加わるモーメント、及び、嵌合方向と直交する2軸を中心として回転方向に加わるモーメントを検出した時に、これらの外力及びモーメントがなくなるように前記中子把持移動手段を移動させ、前記センサが、前記中子に加わる嵌合方向の外力が所定の値になるのを検出するまで、前記中子把持移動手段を前記主型の方向に移動させること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明の一実施態様では、前記主型と前記中子の嵌合は、前記主型に設けられた嵌合部に前記中子に設けられた嵌合部を嵌合することにより行われ、前記主型に設けられた嵌合部と前記中子に設けられた嵌合部は互いにテーパー形状をしていること、を特徴とする。
【0011】
また、本発明の一実施態様では、前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出する事前中子位置姿勢検出手段をさらに備えたこと、を特徴とする。
【0012】
また、本発明の一実施態様では、前記センサは、6軸の力覚センサであること、を特徴とする。
【0013】
また、本発明の一実施態様では、前記中子把持移動手段は産業用ロボットであること、を特徴とする。
【0014】
また、本発明の一実施態様では、前記事前中子位置姿勢検出手段は、ビジョンセンサであること、を特徴とする。
【0015】
また、本発明の一実施態様では、前記把持中子位置姿勢検出手段、及び/又は、前記主型位置姿勢検出手段は、ビジョンセンサであること、を特徴とする。
【0016】
また、本発明の一実施態様では、前記中子移動量検出手段は、エンコーダであること、を特徴とする。
【0017】
また、本発明の一実施態様では、前記制御手段は、ロボットコントローラであること、を特徴とする。
【0018】
また、本発明における主型と中子の嵌合方法は、中子を把持して移動することと、把持された前記中子の位置、向き、及び、傾きを検出することと、前記中子の移動量を検出することと、主型の位置、向き、及び、傾きを検出することと、前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出することと、前記中子に加わる物理量を検出することと、前記主型と前記中子の相対位置、向き、及び、傾きの関係を常時算出し、これらの関係と、前記中子に加わる物理量とから前記主型と前記中子を嵌合させるように前記中子の移動を制御することと、を含むこと、を特徴とする。
【0019】
また、本発明の一実施態様では、前記中子に加わる物理量は、外力及びモーメントであること、を特徴とする。
【0020】
また、本発明の一実施態様では、前記制御することは、前記中子に加わる、嵌合方向と直交する2軸方向の外力、嵌合軸を中心として回転方向に加わるモーメント、及び、嵌合方向と直交する2軸を中心として回転方向に加わるモーメントを検出した時に、これらの外力及びモーメントがなくなるように前記中子を移動させることと、前記中子に加わる嵌合方向の外力が所定の値になるまで、前記中子を前記主型の方向に移動させることであること、を特徴とする。
【0021】
また、本発明の一実施態様では、前記中子を把持した後に、前記中子に加わる物理量をリセットすること、をさらに含むこと、を特徴とする。
【0022】
また、本発明の一実施態様では、前記中子を把持した後に、前記中子に物理量を記憶すること、をさらに含むこと、を特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、中子載置職人が微妙な手感覚で実施してきた中子載置作業を自動化により完全に再現することができるので、中子載置作業の効率化と、中子載置作業によって引き起こされる鋳物製品の不良の削減をすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施の形態に係る主型と中子の嵌合装置の全体構造の概略を表す図である。
図2】本実施の形態に係る嵌合装置を用いた主型と中子の嵌合方法を示すフローチャートである。
図3】本実施の形態に係る嵌合装置を用いた主型と中子の嵌合方法を示すフローチャートである。
図4】ステップS10における中子把持部に把持された中子の凸部と主型の凹部の位置関係を示す図である。
図5】ステップS123における中子把持部に把持された中子の凸部と主型の凹部の位置関係を示す図である。
図6】主型に設けられた凹部の形状と中子に設けられた凸部の形状の一例を示す図である。
図7】主型に設けられた凹部の形状と中子に設けられた凸部の形状の一例を示す図である。
図8】主型に設けられた凹部の形状と中子に設けられた凸部の形状の一例を示す図である。
図9】変形例に係る主型と中子の嵌合装置の全体構造の概略を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明による主型と中子の嵌合装置、及び、主型と中子の嵌合方法を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、本実施の形態に係る主型と中子の嵌合装置の全体構造の概略を表す図である。嵌合装置1は、主型2と中子3を嵌合する。具体的には、嵌合装置1は、主型2に設けられた嵌合部である凹部2Aと、中子3に設けられた嵌合部である凸部3Aを嵌合する。そして、前記凹部2Aと前記凸部3Aは互いにテーパー形状をしている。また、前記凸部3Aのテーパー形状の部分は、水平方向の断面形状が円形をしている。
【0027】
嵌合装置1は、事前中子位置姿勢検出手段4、中子把持移動手段5、中子移動量検出手段6、把持中子位置姿勢検出手段7、主型位置姿勢検出手段8、センサ9、及び、制御手段10を備えている。
【0028】
事前中子位置姿勢検出手段4は、所定の位置に置かれている中子3の三次元空間の位置、向き、及び、傾きを検出する。ここで、「傾き」とは中子3の「基準面」に対する傾きを意味し、「基準面」とは、中子把持移動手段5が設置されている設置面を意味する。なお、地面を「基準面」としないのは、鋳物工場は古い施設であることが多く床が正確な平面とは限らないため地面を基準にすると狂いが生じるためである。事前中子位置姿勢検出手段4は、ビジョンセンサで構成される。
【0029】
中子把持移動手段5は、中子3を把持して移動する。中子把持移動手段5は、中子把持部11、及び、中子移動部12を備えている。中子把持部11は、中子3を把持する。中子移動部12は、中子3を把持した中子把持部11を、主型2の位置まで移動させる。中子把持移動手段5は、産業用ロボットであり、より具体的には、垂直多関節ロボットで構成される。そして、中子移動部12は、垂直多関節ロボットのアームに相当し、中子把持部11は、アーム部分の先端に取り付けられたロボットハンドに相当する。
【0030】
中子移動量検出手段6は、中子把持移動手段5の移動量(3次元空間の移動距離)を検出する。具体的には、中子移動量検出手段6は、中子移動部12に相当する垂直多関節ロボットの各駆動軸の駆動量を常時検出する。そして、後述する制御手段10が、この検出結果から中子3を把持している中子把持部11の移動後の位置を常時算出する。本実施の形態では、中子移動量検出手段6は、中子把持移動手段5に組み込まれている。中子移動量検出手段6は、エンコーダで構成される。
【0031】
把持中子位置姿勢検出手段7は、中子把持移動手段5が主型の近くに移動した後、中子把持移動手段5に把持された中子3の三次元空間の位置、向き、及び、傾きを検出する。ここで、「傾き」とは中子3の「基準面」に対する傾きを意味し、「基準面」とは、中子把持移動手段5が設置されている設置面を意味する。なお、地面を「基準面」としないのは、鋳物工場は古い施設であることが多く床が正確な平面とは限らないため地面を基準にすると狂いが生じるためである。具体的には、把持中子位置姿勢検出手段7は、中子3に設けられた凸部3Aの位置、向き、及び、傾きを検出する。把持中子位置姿勢検出手段7は、ビジョンセンサで構成される。
【0032】
主型位置姿勢検出手段8は、所定の位置に置かれている主型2の三次元空間の位置、向き、及び、傾きを検出する。ここで、「傾き」とは主型2の「基準面」に対する傾きを意味し、「基準面」とは、中子把持移動手段5が設置されている設置面を意味する。なお、地面を「基準面」としないのは、鋳物工場は古い施設であることが多く床が正確な平面とは限らないため地面を基準にすると狂いが生じるためである。具体的には、主型位置姿勢検出手段8は、主型2に設けられた凹部2Aの位置、向き、及び、傾きを検出する。主型位置姿勢検出手段8は、ビジョンセンサで構成される。
【0033】
センサ9は、中子把持移動手段5が中子3を把持して移動している時に、中子3に加わる物理量である外力及びモーメントを検出する。センサ9は、6軸の力覚センサで構成される。従って、センサ9は、3方向の外力、及び、モーメントを検出することが可能である。
【0034】
制御手段10は、中子把持移動手段5を制御する。制御手段10は、その機能の一つとして、主型2と中子3の相対位置、向き、及び、傾きを常時算出する。具体的には、主型2に設けられた凹部2Aと、中子3に設けられた凸部3Aの相対位置、向き、及び、傾きを常時算出する。
【0035】
より詳細には、制御手段10は、把持中子位置姿勢検出手段7が検出した、中子把持移動手段5に把持された中子3(凸部3A)の位置、向き、及び、傾きに関する情報と、中子移動量検出手段6が検出した、中子把持移動手段5の移動量に関する情報と、主型位置姿勢検出手段8が検出した、主型2(凹部2A)の位置、向き、及び、傾きに関する情報とを基に、主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の相対位置、向き、及び、傾きの関係を算出する。その後、中子把持移動手段5が移動した場合には、中子移動量検出手段6の情報を基に、主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の相対位置、向き、及び、傾きの関係を算出し続ける。
【0036】
制御手段10は、もう一つの機能として、算出した主型2と中子3の相対位置、向き、及び、傾きの関係と、センサ9が検出した中子3に加わる外力及びモーメントから主型2と中子3を嵌合させるように中子把持移動手段5の移動を制御する。制御手段10は、中子移動量検出手段6によって検出される情報、把持中子位置姿勢検出手段7によって検出される情報、主型位置姿勢検出手段8によって検出される情報、及び、センサ9によって検出される情報を一体的に電算処理することができるロボットコントローラ、PLC、FAパソコン、又は、マイコン等で構成される。
【0037】
(主型と中子の嵌合方法)
次に、本実施の形態に係る嵌合装置1を用いた主型と中子の嵌合方法を説明する。図2及び図3は、本実施の形態に係る嵌合装置1を用いた主型と中子の嵌合方法を示すフローチャートである。なお、図3は、主型・中子嵌合工程(ステップS12)の詳細を説明するフローチャートである。
【0038】
初めに、事前中子位置姿勢検出手段4(ビジョンセンサ)は、所定の位置に置かれている中子3の位置、向き、及び、傾きを検出する(ステップS1)。
【0039】
次に、中子把持移動手段5の中子移動部12(垂直多関節ロボットのアーム)は、中子3の近くまで高速で移動する(ステップS2)。
【0040】
次に、中子把持移動手段5の中子把持部11(垂直多関節ロボットのロボットハンド)は、事前中子位置姿勢検出手段4が検出した中子3の位置、向き、及び、傾きを基に、中子3を把持する(ステップS3)。このようにすることで、中子把持部11に把持される前の中子3が段積みなど複雑な置き方をされている場合においても、スムーズに中子3の把持を実現することができる。
【0041】
次に、中子移動部12は、中子3を把持している中子把持部11を把持中子位置姿勢検出手段7(ビジョンセンサ)の検出範囲まで移動させた後、停止する(ステップS4)。
【0042】
次に、把持中子位置姿勢検出手段7は、中子把持部11に把持された中子3の位置、向き、及び、傾き、具体的には、中子3に設けられた凸部3Aの位置、向き、及び、傾きを検出する(ステップS5)。
【0043】
次に、主型位置姿勢検出手段8(ビジョンセンサ)は、所定の位置に置かれている主型2の位置、向き、及び、傾き、具体的には、主型2に設けられた凹部2Aの位置、向き、及び、傾きを検出する(ステップS6)。
【0044】
次に、制御手段10(ロボットコントローラ)は、中子把持部11に把持された中子3の位置、向き、及び、傾きと、中子移動量検出手段6(エンコーダ)が検出した中子把持移動手段5の移動量と、主型2の位置、向き、及び、傾きとから、主型2と中子3の相対位置、向き、及び、傾き、具体的には、主型2に設けられた凹部2Aと、中子3に設けられた凸部3Aの相対位置、向き、及び、傾きを算出する(ステップS7)。
【0045】
次に、制御手段10は、中子把持部11が中子3を把持している状態で、今までセンサ9(力覚センサ)に検出されていた中子3に加わる外力及びモーメントをリセットする(ステップS8)。
【0046】
次に、中子移動部12は、中子把持部11に把持された中子3を主型2の近くまで高速で移動する(ステップS9)。この時、ステップS7で算出された主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の相対位置、向き、及び、傾きの情報、及び、中子移動部12の移動量の情報を基に、主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の相対位置、向き、及び、傾きの情報が制御手段10により、常に更新される。
【0047】
次に、中子移動部12は、中子把持部11に把持された中子3を、中子3の嵌合部である凸部3Aが主型2の嵌合部である凹部2Aの近付くように低速で移動する(ステップS10)。この時、ステップS7で算出された凹部2Aと凸部3Aの相対位置、向き、及び、傾きの情報、及び、中子移動部12の移動量の情報を基に、凹部2Aと凸部3Aの相対位置、向き、及び、傾きの情報が制御手段10により、常に更新される。
【0048】
図4は、ステップS10における中子把持部11に把持された中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの位置関係を示す図である。図において、Zは、中子3と主型2(中子3の凸部3Aと主型2の凹部2A)が嵌合する軸方向、X及びYは、嵌合軸Zに直交する各軸方向を表す。
【0049】
次に、制御手段10は、センサ9が、嵌合軸方向Zの外力Fz、軸Zに直交するX軸方向の外力Fx、及び/又は、軸Zに直交するY軸方向の外力Fyを検出しているかを確認する(ステップS11)。制御手段10は、センサ9が、外力Fz、外力Fx、及び/又は、外力Fyの検出を確認しない場合(ステップS11:No)、引き続き、中子把持部11に把持された中子3を、中子3の嵌合部である凸部3Aが主型2の嵌合部である凹部2Aの近付くように低速で中子移動部12を移動させる。
【0050】
一方、制御手段10は、センサ9が、外力Fz、外力Fx、及び/又は、外力Fyの検出を確認した場合(ステップS11:Yes)、中子移動部12の移動を停止する。以後、主型・中子嵌合工程(ステップS12)へ進む。なお、ステップS11において、外力Fz、外力Fx、及び、外力Fyを検出できるのは、センサ9が6軸の力覚センサで構成されているためである。これは、ロードセルではできない利点である。
【0051】
(主型・中子嵌合工程)
主型・中子嵌合工程(ステップS12)では、初めに、制御手段10は、中子3の凸部3Aが主型2の凹部2Aに嵌合されている途中かを判断する(ステップS121)。具体的には、制御手段10は、算出した凸部3Aの先端部の高さ(嵌合軸方向Zの基準面からの距離)と、算出した主型2の凹部2Aにおける上面周縁の高さ(嵌合軸方向Zの基準面からの距離)の関係から判断する。
【0052】
制御手段10は、中子3の凸部3Aが主型2の凹部2Aに嵌合されている途中ではないと判断した場合(ステップS121:No)、異常が発生したと判断し、嵌合装置1を非常停止する。これは、制御手段10が、中子3における凸部3Aの先端部が主型2の凹部2Aにおける上面周縁に接触する等、中子3の凸部3Aと主型2の凹部2A同士以外が接触したことにより、センサ9が外力Fz、外力Fx、及び/又は、外力Fyを検出したと判断した場合である。
【0053】
一方、制御手段10は、中子3の凸部3Aが主型2の凹部2Aに嵌合されている途中であると判断した場合(ステップS121:Yes)、制御手段10は、センサ9が、X軸方向の外力Fx、Y軸方向の外力Fy、Z軸を中心として回転方向に加わるモーメントMz、X軸を中心として回転方向に加わるモーメントMx、及び/又は、Y軸を中心として回転方向に加わるモーメントMyを検出しているかを確認する(ステップS122)。
【0054】
制御手段10は、センサ9が、外力Fx、外力Fy、モーメントMz、モーメントMx、及び/又は、モーメントMyを検出している場合(ステップS122:Yes)、センサ9が検出している外力Fx、外力Fy、モーメントMz、モーメントMx、及び/又は、モーメントMyが減少する方向に中子移動部12(中子3の凸部3A)をXY平面で低速移動させる(ステップS123)。言い換えると、制御手段10は、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの位置が互いに一致して、もっとも抵抗なく嵌合される位置になるように中子3の凸部3Aを移動させる。
【0055】
図5は、ステップS123における中子把持部11に把持された中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの位置関係を示す図である。本図では、センサ9が、モーメントMyを検出しており、制御手段10は、中子移動部12(中子3の凸部3A)をモーメントMyが減少する方向にXY平面で移動させる。
【0056】
その後、センサ9が検出している外力Fx、外力Fy、モーメントMz、モーメントMx、及び/又は、モーメントMyがゼロになるまで、ステップS122とステップS123を繰り返す。
【0057】
一方、制御手段10は、センサ9が、外力Fx、外力Fy、モーメントMz、モーメントMx、及び/又は、モーメントMyを検出しない場合(ステップS122:No)、すなわち、外力Fx、外力Fy、モーメントMz、モーメントMx、及び/又は、モーメントMyがゼロになると、中子移動部12を軸Z方向に低速移動させる。すなわち、中子3の凸部3Aを主型2の凹部2Aに低速移動させる(ステップS124)。これにより、中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの嵌合が開始される。
【0058】
次に、制御手段10は、センサ9が検出した嵌合軸方向Zの外力Fzがあらかじめ規定された嵌合完了外力Fzaに達したかを判断する(ステップS125)。制御手段10は、センサ9が検出した嵌合軸方向Zの外力Fzが嵌合完了外力Fzaに達したと判断した場合(ステップS125:Yes)、主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の嵌合は終了したと判断し、中子移動部12の移動を停止する(ステップS126)。なお嵌合完了外力Fzaは、主型2及び中子3の構成材質、圧縮強度、寸法、及び/又は、形状によって変化するが、嵌合軸Z方向から見た主型2の凹部2A、及び/又は、中子3の凸部3Aの投影面積を受圧面積と定義した時に0.5〜4.0MPaとなる加圧力に設定するのが好ましい。加圧力が0.5MPaより小さいと、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部に発生する摩擦のため嵌合することはできない。反対に、加圧力が4.0MPaを超えると、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部が壊れるおそれがある。
【0059】
一方、制御手段10は、センサ9が検出した嵌合軸方向Zの外力Fzが嵌合完了外力Fzaに達していないと判断した場合(ステップS125:No)、ステップS122へ戻る。
【0060】
次に、中子把持移動手段5の中子把持部11は、中子3の把持を解除する(ステップS127)。これにより、主型への中子載置が終了する。
【0061】
次に、中子把持移動手段5の中子移動部12は、初期位置へ高速で移動する(ステップS128)。これにより、主型・中子嵌合工程(ステップS12)が終了する。
【0062】
主型・中子嵌合工程(ステップS12)が終了すると、主型と中子の嵌合作業が終了する。なお、次に、嵌合する予定の主型2と中子3が所定の位置に置かれている場合、主型と中子の嵌合作業が引き続き行われる。
【0063】
なお、本実施の形態に係る嵌合方法において、工程の順序を変更することが可能である。例えば、ステップS7とステップS8の順序を逆にするなど、主型2内に中子3を載置嵌合することができるのであれば、各工程の順序を変更してもよい。
【0064】
また、本実施の形態に係る嵌合方法において、一部の工程を削除することも可能である。例えば、中子把持移動手段5の中子把持部11で把持される前の中子3があらかじめ決められた位置姿勢で載置されている場合、ステップS1を省略することできる。このように、主型2内に中子3を載置嵌合する目的を果たすことができれば途中の工程を省略してもよい。
【0065】
また、ステップS8において、センサ9が検出した中子3に加わる外力及びモーメントをリセットする作業を変更することが可能である。例えば、制御手段10がセンサ9で検出される外力及びモーメントを記憶して、それを基準値として用いるなど、初期状態の外力及びモーメントと、ステップS11、S122、S123、及び、S125における外力及びモーメントとの差分を判別するようにしてもよい。
【0066】
さらに、中子把持移動手段5の中子移動部12の移動速度を変更することが可能である。例えば、ステップS2、S9、及び、S128における中子把持移動手段5の中子移動部12の移動速度を低速にするなど、主型2内に中子3を載置嵌合する目的を果たすことができればどのような速度で移動させてもよい。
【0067】
(中子と主型の寸法の例)
次に、中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの寸法の組み合わせとして3つの例を説明する。図6図8は、主型2に設けられた凹部2Aの形状と中子3に設けられた凸部3Aの形状の一例を示す図である。なお、本発明が適用される中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの組み合わせはこの事例に限定されるものではない。図6は事例1を示し、D11=40mm、L11=30mm、D12=40mm、L12=25mm、θ=2°である。図7は事例2を示し、D21=15mm、L21=40mm、D22=35mm、L22=20mm、θ=2°である。図8は事例3を示し、D31=40mm、L31=80mm、D32=80mm、L32=30mm、θ=2°である。なお、各図中の符号3Bは、中子3の凸部3Aにおいて、主型2に設けられた凹部2Aに実際に嵌合する部分(テーパー形状の部分)ではない残りの部分を表している。
【0068】
一般に、縦方向に互いに嵌合される中子3の凸部3Aと主型2の凹部2Aの組み合わせでは、嵌合部のテーパー角度は2°前後であることが多い。これは経験値として導き出されており、鋳物に関する技術書にも掲載されている。なお、本発明を利用して事例1ないし3の中子3の凸部3と主型2の凹部2Aの組み合わせで嵌合を行ったが、いずれも主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部のクリアランスを0.3mm以下にすることができた。
【0069】
前述した様に、中子載置職人が微妙な手感覚で実施してきた中子載置作業を自動化により完全に再現することができる中子を主型に載置(嵌合)する装置は、存在していなかった。一般に主型と中子の嵌合結合部は互いに嵌合するテーパー形状に成型されているが、より良質な鋳物製品を製造するために中子載置職人が主型に中子載置するにあたり実施している作業として、このテーパー形状の嵌合結合部に中子をセットするにあたり嵌合の最後に中子が壊れない微妙な手感覚により中子を嵌合部に押し込むといった作業を実施している。
【0070】
これに対して、本実施の形態に係る嵌合装置1では、中子載置職人が勘コツで実現してきた良質な鋳物づくりをロボットによる自動化で実現することができ、さらに、今まで人手に頼ることでしか実現不可能であった主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部のクリアランスを0.3mm以下の極限にまで狭めることが可能となる。
【0071】
そして、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部のクリアランスを0.3mm以下にできることで、主型2と中子3の密着性を増加させることができ、いくつかの効果を得ることが可能である。1つ目に主型と中子の相対位置精度が向上することによる鋳物製品の精度向上が挙げられる。2つ目に主型と中子の間の隙間がなくなることによる鋳物製品のバリ減少が挙げられる。3つ目に嵌合部に塗布するスラリー状のモールドペーストによる主型と中子の密着性向上が挙げられる。4つ目に嵌合部に塗布するスラリー状のモールドペーストの薄層化による鋳物製品の精度向上が挙げられる。さらに、中子載置によって引き起こされる不良(例えば、はぐみ、グイチ、偏肉、型落ちなど)を削減することができる。
【0072】
(変形例)
事前中子位置姿勢検出手段4(ビジョンセンサ)、把持中子位置姿勢検出手段7(ビジョンセンサ)、及び、主型位置姿勢検出手段8(ビジョンセンサ)は、いずれもその配置を変更することができる。図9は、変形例に係る主型と中子の嵌合装置の全体構造の概略を表す図である。図1の主型と中子の嵌合装置では、事前中子位置姿勢検出手段4(ビジョンセンサ)、把持中子位置姿勢検出手段7(ビジョンセンサ)、及び、主型位置姿勢検出手段8(ビジョンセンサ)は、それぞれ固定されているが、図9の様に、事前中子位置姿勢検出手段4(ビジョンセンサ)、把持中子位置姿勢検出手段7(ビジョンセンサ)、及び、主型位置姿勢検出手段8(ビジョンセンサ)の機能が1つのビジョンセンサに統合され、中子把持移動手段5(垂直多関節ロボットのアーム)に取り付けられ移動するようにしてもよい。
【0073】
このように、所定の位置に置かれている中子3の位置、向き、及び、傾きと、所定の位置に置かれている主型2の位置、向き、及び、傾きと、中子把持部11に把持された中子3の位置、向き、及び、傾きとを検出できる手段であれば、その配置においてどのような手段を用いてもよい。
【0074】
また、本実施の形態では、主型2に設けられた嵌合部である凹部2Aと、中子3に設けられた嵌合部である凸部3Aとを嵌合しているが、主型2に凸部が設けられ、中子3に凹部が設けられもよい。その場合、主型2に設けられた嵌合部である凸部と、中子3に設けられた嵌合部である凹部とを嵌合することにより、主型2と中子3が嵌合される。
【0075】
また、本実施の形態では、中子把持移動手段5は垂直多関節ロボットで構成されているが、他の手段を用いることが可能である。例えば、水平多関節ロボット、パラレルリンクロボット、協働ロボット、XYZ各3軸に直動駆動可能な駆動アクチュエータなど、3次元空間を自在に駆動搬送できる手段であればどのような手段を用いてもよい。また動力も電動に限らず、油圧や空圧を用いてもよい。
【0076】
また、本実施の形態では、中子把持移動手段5の中子把持部11はロボットハンドで構成されているが、他の手段を用いることが可能である。例えば、中子3に設けられた孔空き部や凹部に差し込んで外側に開くようなハンド、中子を掬う形状のハンド、中子を刺す形状のハンドなど、中子をハンドリングできる手段であればどのような手段を用いてもよい。
【0077】
また、本実施の形態では、事前中子位置姿勢検出手段4、把持中子位置姿勢検出手段7、及び、主型位置姿勢検出手段8は、ビジョンセンサで構成されているが、他の手段を用いることが可能である。例えば、レーザーセンサ、リニアエンコーダ、近接センサ、赤外線センサ、ミリ波センサ、マイクロ波センサなど、距離や位置が確認できる手段であればどのような手段を用いてもよい。
【0078】
また、本実施の形態では、センサ9は、6軸の力覚センサで構成されているが、他の手段を用いることが可能である。例えば、加速度センサや複数個のひずみゲージからなる荷重検出器など、嵌合軸Z方向の外力Fz、Z軸を中心とするモーメントMz、軸Zに直交するX、Y各軸方向の外力Fx、Fyと、Z軸に直交するXY各軸を中心とするモーメントMxおよびMyが検出できる手段であればどのような手段を用いてもよい。
【0079】
また、本実施の形態では、中子移動量検出手段6は、エンコーダで構成されているが、他の手段を用いることが可能である。例えば、レーザーセンサ、リニアエンコーダ、近接センサ、赤外線センサ、ミリ波センサ、マイクロ波センサなど、中子把持移動手段5の中子把持部11で把持された中子3の移動方向と距離が確認できる手段であればどのような手段を用いてもよい。
【0080】
以上、本発明の様々な実施形態を説明したが、上記の説明は本発明を限定するものではなく、本発明の技術的範囲において、構成要素の削除、追加、置換を含む様々な変形例が考えられる。
【符号の説明】
【0081】
1 嵌合装置
2 主型
2A 凹部
3 中子
3A 凸部
4 事前中子位置姿勢検出手段
5 中子把持移動手段
6 中子移動量検出手段
7 把持中子位置姿勢検出手段
8 主型位置姿勢検出手段
9 センサ
10 制御手段
11 中子把持部
12 中子移動部
X、Y 軸
Z 嵌合軸
Fx、Fy、Fz 外力
Mx、My モーメント
Fza 嵌合完了外力
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2018年7月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
次に、制御手段10は、センサ9が検出した嵌合軸方向Zの外力Fzがあらかじめ規定された嵌合完了外力Fzaに達したかを判断する(ステップS125)。制御手段10は、センサ9が検出した嵌合軸方向Zの外力Fzが嵌合完了外力Fzaに達したと判断した場合(ステップS125:Yes)、主型2(凹部2A)と中子3(凸部3A)の嵌合は終了したと判断し、中子移動部12の移動を停止する(ステップS126)。なお嵌合完了外力Fzaは、主型2及び中子3の構成材質、圧縮強度、寸法、及び/又は、形状によって変化するが、嵌合軸Z方向から見た主型2の凹部2A、及び/又は、中子3の凸部3Aの投影面積を受圧面積と定義した時に0.005〜4.0MPaとなる加圧力に設定するのが好ましい。加圧力が0.005MPaより小さいと、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部に発生する摩擦のため嵌合することはできない。反対に、加圧力が4.0MPaを超えると、主型2の凹部2Aと中子3の凸部3Aの嵌合部が壊れるおそれがある。