特開2019-85505(P2019-85505A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 川崎化成工業株式会社の特許一覧

特開2019-85505アントラセン系及び/又はチオキサントン系光ラジカル重合増感剤を含む光ラジカル重合性組成物の重合方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-85505(P2019-85505A)
(43)【公開日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】アントラセン系及び/又はチオキサントン系光ラジカル重合増感剤を含む光ラジカル重合性組成物の重合方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/50 20060101AFI20190517BHJP
   C08F 22/00 20060101ALI20190517BHJP
   C08F 12/08 20060101ALI20190517BHJP
   C08F 20/00 20060101ALI20190517BHJP
   C07C 43/20 20060101ALI20190517BHJP
   C07D 335/16 20060101ALN20190517BHJP
【FI】
   C08F2/50
   C08F22/00
   C08F12/08
   C08F20/00
   C07C43/20 D
   C07D335/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2017-215460(P2017-215460)
(22)【出願日】2017年11月8日
(71)【出願人】
【識別番号】000199795
【氏名又は名称】川崎化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152928
【弁理士】
【氏名又は名称】草部 光司
(72)【発明者】
【氏名】井内 啓太
(72)【発明者】
【氏名】檜森 俊一
【テーマコード(参考)】
4H006
4J011
4J100
【Fターム(参考)】
4H006AA03
4H006AB40
4H006GP03
4J011AA05
4J011QA02
4J011QA03
4J011QA07
4J011QA09
4J011SA63
4J011SA64
4J011SA87
4J011UA07
4J011VA04
4J011WA05
4J100AB02P
4J100AJ02P
4J100AJ09P
4J100AL02P
4J100AL08P
4J100AL34P
4J100AL36P
4J100AL39P
4J100AL41P
4J100AL44P
4J100AL46P
4J100FA02
4J100FA27
4J100JA01
4J100JA07
4J100JA44
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アシルホスフィンオキサイド系開始剤の様な特殊な光重合開始剤を用いずに、光ラジカル重合性組成物の光ラジカル重合物の黄変現象を緩和するラジカル重合方法の提供。
【解決手段】オニウム塩系光ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物、並びに、式(1)及び式(2)で表される化合物から選択される少なくとも一種の光ラジカル重合増感剤、を含む光ラジカル重合性組成物に特定の波長範囲にピーク波長を有する光を照射する、重合工程と、重合させた重合物を可視光ランプの下で露光する、露光工程と、を有する、光ラジカル重合性組成物の重合方法。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オニウム塩系光ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物、並びに、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の光ラジカル重合増感剤、を含む光ラジカル重合性組成物に特定の波長範囲にピーク波長を有する光を照射する、重合工程と、
重合させた重合物を可視光ランプの下で露光する、露光工程と、
を有することを特徴とする、光ラジカル重合性組成物の重合方法。
【化1】
(上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルカルボニル基、炭素数6から20のアリール基を有するアリールカルボニル基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基又は炭素数6から20のアリール基を有するアリールオキシカルボニル基を表し、R,Rは同一であっても異なっていてもよい。また、X、Yは水素原子又は炭素数1から8のアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよい。)
【化2】
(上記一般式(2)において、Q 、Q 、Q 及びQ の各々は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1から20のアルキル基、炭素数1から20のアルコキシ基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子のいずれかを表わす。)
【請求項2】
ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、フマル酸エステル若しくはスチレン又はそれらのオリゴマーである、請求項1に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法。
【請求項3】
重合工程で照射する特定の波長範囲にピーク波長を有する光が、380nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光である、請求項1又は2に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法。
【請求項4】
光ラジカル重合増感剤が9,10−ジアルコキシアントラセン化合物である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法。
【請求項5】
露光工程で用いる可視光ランプが、白熱電球又は蛍光灯である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラセン系及び/又はチオキサントン系光ラジカル重合増感剤を含む光ラジカル重合性組成物の重合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、光硬化性樹脂がコーティング、インキ、電子材料などの分野で広く用いられている。光硬化性樹脂は、光重合性組成物に光、例えば紫外線や電子線などを照射することにより重合、硬化させることによって得られる。紫外線や可視光線等の活性光により重合する光硬化性樹脂は、重合が速く、熱硬化性樹脂に比べ有機溶剤の使用量を大幅に減らすことができることから、作業環境の改善、環境負荷を低減することができるという点で優れている。この光で重合させる技術は、例えば木工用塗料、金属などのコーティング材、スクリーン印刷やオフセット印刷用インキ、電子基板に用いられるドライフィルムレジスト、また、ホログラム材料、封止剤、オーバーコート材、光造形用樹脂、接着剤などさまざまな用途に用いられている。
【0003】
そして、この光重合性組成物は、主に重合性化合物と光により重合性化合物の重合を開始させる重合開始剤より構成されている。重合方法としては、ラジカル重合、カチオン重合などがあり、光重合性組成物は、光ラジカル重合性組成物と光カチオン重合性組成物とに分けられる。一般に、ラジカル重合型は、重合速度が速く、生成する塗膜硬度が高いという特徴を持ち、最も広く用いられている。このラジカル重合では、光ラジカル重合開始剤を用い、光、主に紫外線を照射することにより、この光ラジカル重合開始剤がラジカルを発生させ、重合性化合物の重合を開始させている。
【0004】
光重合開始剤として、ヒドロキシアセトフェノンやベンゾフェノン等のアルキルフェノン系重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤又はオニウム塩などが用いられる(特許文献1、2、3)。これら光重合開始剤の内でオニウム塩系開始剤を用いる場合、オニウム塩の光吸収は225nm〜350nm付近にあり、350nm以上には吸収を持たないため、350nm以上の長波長のランプを光源とした場合、光重合反応が進行しにくいなどの問題があり、光重合増感剤を添加するのが一般的である。光重合増感剤としては、アントラセン系化合物やチオキサントン系化合物が知られており、特にアントラセン系化合物が用いられることが多い(特許文献4)。
【0005】
アントラセン系の光重合増感剤としては、9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が用いられている。例えば、光重合における光重合開始剤であるヨードニウム塩に対し、光重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセンや9,10−ジエトキシアントラセンなどの9,10−ジアルコキシアントラセン化合物が使用されている(特許文献5、6、7、8)。
【0006】
しかしながら、チオキサントン系化合物を光ラジカル重合増感剤として用いて、ラジカル重合性組成物を重合させた場合、重合物が光ラジカル重合増感剤由来の着色、特に黄変することが問題となっている(特許文献9、10)。そのため、使用量に制限が出ている。一方、アントラセン系化合物を光ラジカル重合増感剤として用いた場合の着色の問題は、あまり報告されていないが、例えば、最も用いられている9,10−ジブトキシアントラセンの場合、光照射により一部分解して、チオキサントン系化合物ほどではないが重合物を着色する現象が見られる。
【0007】
また、光ラジカル重合開始剤も可視光近傍まで光吸収を有する光ラジカル重合開始剤は、これを用いてラジカル重合性組成物を重合させた場合も同様に重合物が光ラジカル重合開始剤由来の着色することが知られている(特許文献11、非特許文献1)。この様な着色が生じると、最終製品において無色や透明性を求められるような製品には使用できないといった問題が起きる。
【0008】
一方、オニウム塩は光カチオン重合開始剤として有名な化合物であり、カチオン重合性化合物であるエポキシ化合物の重合に用いられる。このオニウム塩を用いてカチオン重合性化合物を重合する際、特に長波長領域の光を用いて重合する場合、ジアルコキシアントラセン等の光カチオン重合増感剤を共存させると光重合が促進されることがすでに知られている(特許文献12)。さらに、特許文献13には、ラジカル重合性化合物とオニウム塩、ジアルコキシアントラセンからなる光重合性組成物をUV照射することが開示されている。しかしながら、ジアルコキシアントラセンの分解による重合物の着色についての記載はない。
【0009】
一方、アシルホスフィンオキサイド系重合開始剤のような特殊な光重合開始剤が光消色(フォトブリーチング)性を有する光ラジカル重合開始剤として知られている(文献14〜16)。このような光ラジカル重合開始剤においては、光照射に伴い分解が進み、光活性化に有効な波長域での吸収能が低下する。このような光ラジカル重合開始剤は、光照射によって分解して活性種を発生させるとともに、同時に分解により光ラジカル重合開始剤の吸収帯が消失し、光消色するものである。しかし、光ラジカル重合増感剤ではこのような光消色する化合物は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平06−345614号公報
【特許文献2】特開平07−062010号公報
【特許文献3】特開平05−249606号公報
【特許文献4】特開平10−195117号公報
【特許文献5】特開2002−302507号公報
【特許文献6】特開平11−279212号公報
【特許文献7】特開2000−344704号公報
【特許文献8】WO2007/126066号公報
【特許文献9】特開2011-213965号公報
【特許文献10】再公表2014-080942号公報
【特許文献11】特開2009-091378号公報
【特許文献12】特許第03437069号公報
【特許文献13】国際公開W02007/126066パンフレット
【特許文献14】特開2013−001091号公報
【特許文献15】特開2017−72682号公報
【特許文献16】特開2012−57026号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】大和真樹、日本印刷学会誌第40巻第3号(2003)24頁−31頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、アシルホスフィンオキサイド系開始剤のような特殊な光重合開始剤を用いずに、光ラジカル重合性組成物の光ラジカル重合物の黄変現象を緩和するラジカル重合方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、長年、光ラジカル重合における光増感作用について鋭意研究を続けてきた。その結果、オニウム塩系重合開始剤をラジカル重合開始剤として用い、更にアントラセン系光ラジカル重合増感剤及び/又はチオキサントン系光ラジカル重合増感剤を用いた光ラジカル重合性組成物を光ラジカル重合させるに際し、特定の波長範囲にピークを有する光により、光ラジカル重合を開始させてラジカル重合性化合物を重合させた後に、該重合物を可視光ランプ下で露光することで重合物の着色を消色させることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明における第一の発明は、オニウム塩系光ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物並びに、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の光ラジカル重合増感剤、を含む光ラジカル重合性組成物に特定の波長範囲にピーク波長を有する光を照射する重合工程と、重合させた該重合物を可視光ランプの下で露光する露光工程と、を有することを特徴とする、光ラジカル重合性組成物の重合方法に存する。
【0015】
【化1】
【0016】
上記一般式(1)において、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルカルボニル基、炭素数6から20のアリール基を有するアリールカルボニル基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基又は炭素数6から20のアリール基を有するアリールオキシカルボニル基を表し、R,Rは同一であっても異なっていてもよい。また、X、Yは水素原子又は炭素数1から8のアルキル基を表し、X、Yは同一であっても異なっていてもよい。
【0017】
【化2】
【0018】
上記一般式(2)において、Q 、Q 、Q 及びQ の各々は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1から20のアルキル基、炭素数1から20のアルコキシ基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子のいずれかを表わす。
【0019】
第二の発明は、ラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、フマル酸エステル若しくはスチレン又はそれらのオリゴマーである、第一の発明に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法に存する。
【0020】
第三の発明は、重合工程で照射する特定の波長範囲にピーク波長を有する光が、380nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光である、第一の発明又は第二の発明に記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法に存する。
【0021】
第四の発明は、光ラジカル重合増感剤が9,10−ジアルコキシアントラセン化合物である、第一の発明乃至第三の発明のいずれかひとつに記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法に存する。
【0022】
第五の発明は、露光工程で用いる可視光ランプが、白熱電球又は蛍光灯である、第一の発明乃至第四の発明のいずれかひとつに記載の光ラジカル重合性組成物の重合方法に存する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、光ラジカル重合性組成物の光ラジカル重合物の黄変現象を緩和することができ、重合物の着色を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(アントラセン系光ラジカル重合増感剤)
本発明におけるアントラセン系光ラジカル重合増感剤は、一般式(1)の構造を有する化合物である。
【0025】
【化3】
【0026】
一般式(1)において、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基、炭素数6から20のアリール基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルカルボニル基、炭素数6から20のアリール基を有するアリールカルボニル基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基又は炭素数6から20のアリール基を有するアリールオキシカルボニル基を示し、R、Rは同一であっても異なっていてもよい。また、X、Yは水素原子又は炭素数1から8のアルキル基を示し、X、Yは同一であっても異なっていてもよい。
【0027】
一般式(1)中、R及びRで表される炭素数1から20のアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−イコシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。炭素数6から20のアリール基としては置換基を有しても良いフェニル基、ナフチル基、アントラニル基等が挙げられる。
【0028】
一般式(1)中、R及びRで表される炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピオニル基、n−ブタノイル基、iso−ブタノイル基、n−ペンタノイル基、n−ヘキサノイル基、n−ヘプタノイル基、n−オクタノイル基、2−エチルヘキサノイル基、n−ノナノイル基、n−デカノイル基、n−ドデカノイル基等が挙げられる。また、炭素数6から20のアリール基を有するアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、ナフトイル基等が挙げられる。
【0029】
一般式(1)中、R及びRで表される炭素数1から20のアルキル基を有するアルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、2,2−ジメチルプロピルオキシカルボニル基、シクロペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、2−メチルペンチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、n−ウンデシルオキシカルボニル基、n−ドデシルオキシカルボニル基、n−トリデシルオキシカルボニル基、n−テトラデシルオキシカルボニル基、n−ペンタデシルオキシカルボニル基、n−ヘキサデシルオキシカルボニル基、n−ヘプタデシルオキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基、n−ノナデシルオキシカルボニル基、n−イコシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の直鎖状、分枝鎖状又は環状のアルキルオキシカルボニル基を挙げることができる。炭素数6から20のアリール基を有するアリールオキシカルボニル基としては、例えば、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、3−フェナントリルオキシカルボニル基、2−アントリルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0030】
一般式(1)中、X及びYで表される炭素数1から8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、n−アミル基、i−アミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
【0031】
一般式(1)で表される本発明のアントラセン化合物のうち、R及びRがアルキル基又はアリール基である場合を9,10−ジアルコキシアントラセン化合物と称するが、それらの例としては次のようなものが挙げられる。
【0032】
まず初めに、X、Yがともに水素原子である場合で、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基である場合の例としては、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジアミルオキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、9,10−ジオクチルオキシアントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、9,10−ジデシルオキシアントラセン、9,10−ジドデシルオキシアントラセンなどが挙げられる。また、R及びRはそれぞれ炭素数6から20のアリール基である場合の例としては、9,10−ジフェニルオキシアントラセン、9,10−ジナフチルオキシアントラセン等が挙げられる。
【0033】
次に、Xがアルキル基であり、Yが水素原子である場合で、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基である場合の例としては、2−メチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジエトキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジブトキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジドデシルオキシアントラセンなどが挙げられる。また、R及びRはそれぞれ炭素数6から20のアリール基である場合の例としては、2−メチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2−アミル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン等が挙げられる。
【0034】
更にまた、X、Yがともに炭素数1から20のアルキル基である場合で、R及びRはそれぞれ炭素数1から20のアルキル基である場合の例としては、2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(2,3−ジエチルヘキシル)オキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ビス(2,3−ジアミルヘキシル)オキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2,6−ジエチルヘキシル)オキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジドデシルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジメトキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジエトキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジプロポキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジブトキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ビス(2,6−ジアミルヘキシル)オキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジドデシルオキシアントラセンなどが挙げられる。また、R及びRはそれぞれ炭素数6から20のアリール基である場合の例としては、2,3−ジメチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,3−ジアミル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジフェニルオキシアントラセン、2,6−ジアミル−9,10−ジナフチルオキシアントラセン等が挙げられる。
【0035】
9,10−ジオキシアントラセン化合物のさらにその他の例としては、2−フェノキシ−9,10−ジメトキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジエトキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジプロポキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジブトキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジアミルオキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジオクチルオキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ビス(2−エチルヘキシル)オキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジデシルオキシアントラセン、2−フェノキシ−9,10−ジドデシルオキシアントラセン等も挙げられる。
【0036】
一般式(1)で表される本発明のアントラセン化合物のうちR及びRがアルキルカルボニル基、アリールカルボニル基である場合を9,10−ビス(置換アシルオキシ)アントラセン化合物と称するがその例としては、次の化合物が挙げられる。
【0037】
まず初めに、X、Yがともに水素原子である場合は、9,10−ジアセチルオキシアントラセン、9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ペンタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0038】
次に、Xがアルキル基であり、Yが水素原子である場合の例としては、1−メチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、1−メチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、1−エチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0039】
また、X、Yがともにアルキル基である場合の例としては、2,3−ジメチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ジアセチルオキシアントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(iso−ブタノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−デカノイルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ドデカノイルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0040】
次に、一般式(1)で表される本発明のアントラセン化合物のうちR及びRがアルキルオキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基である場合を9,10−ビス(アルコキシカルボニルオキシ)アントラセン化合物と称するがその例としては、次の化合物が挙げられる。
【0041】
まず初めに、X及びYがともに水素原子である場合の例としては、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0042】
次に、Xがアルキル基であり、Yが水素原子である場合の例としては、1−メチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−メチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−メチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1−エチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2−エチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0043】
そして、X及びYがともにアルキル基である場合の例としては、2,3−ジメチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジメチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジメチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジメチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジメチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0044】
さらには、2,3−ジエチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,3−ジエチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,6−ジエチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、2,7−ジエチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(i−ペンチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−ヘプチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(n−オクチルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセン、1,5−ジエチル−9,10−ビス(アリルオキシカルボニルオキシ)アントラセン等が挙げられる。
【0045】
以上述べた9,10−ジアルコキシアントラセン化合物、9,10−ビス(置換アシルオキシ)アントラセン化合物及び9,10−ビス(アルコキシカルボニルオキシ)アントラセン化合物の具体例の中でも、特に、合成の容易さと性能の高さから、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、9,10−ジオクチルオキシアントラセン、9,10−ジアセチルオキシアントラセン、9,10−ジプロピオニルオキシアントラセン、9,10−ビス(n−ブタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセンが好ましく、溶媒やモノマーへの溶解性の点等からは9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、9,10−ジオクチルオキシアントラセン、9,10−ビス(n−ヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ヘプタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−オクタノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキサノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ノナノイルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(メトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(エトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−プロポキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(n−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(i−ブトキシカルボニルオキシ)アントラセン、9,10−ビス(2−エチルヘキシルオキシカルボニルオキシ)アントラセンがさらに好ましい。
【0046】
以上述べたアントラセン化合物の中でも、405nmの光に対する活性が高いという意味で、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、9,10−ジオクチルオキシアントラセンが好ましく、特に9,10−ジブトキシアントラセンは合成が容易であることから、好ましい。
【0047】
(チオキサントン系光ラジカル重合増感剤)
本発明におけるチオキサントン系光ラジカル重合増感剤は、一般式(2)の構造を有する化合物である。
【0048】
【化4】
【0049】
上記一般式(2)において、Q 、Q 、Q 及びQの各々は、同一でも異なっていてもよく、水素原子、炭素数1から20のアルキル基、炭素数1から20のアルコキシ基、炭素数1から20のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基又はハロゲン原子のいずれかを表わす。
【0050】
、Q 、Q 及びQで表される炭素数1から20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、ベンジル基等が挙げられる。炭素数1から20のアルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基等が挙げられ、炭素数1から20のアルキル基を有するアルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの置換基はさらにモルホリノ基などの置換基を有していてもよい。
【0051】
代表的なチオキサントン化合物としては、次のような化合物が挙げられる。例えば、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ドデシルチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、1−フェノキシチオキサントン、1−メトキシカルボニルチオキサントン、2−エトキシカルボニルチオキサントン、3−(2−メトキシエトキシカルボニル)−チオキサントン、4−ブトキシカルボニルチオキサントン、3−ブトキシカルボニル−7−メチルチオキサントン、3,4−ジ−[2−(2−メトキシエトキシ)−エトキシカルボニル]−チオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−エトキシチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−クロロチオキサントン、1−クロロ−4−n−プロポキシチオキサントン、2−メチル−6−ジメトキシメチル−チオキサントン、2−メチル−6−(1,1−ジメトキシベンジル)−チオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メトキシ−チオキサントン、6−エトキシカルボニル−2−メチルチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−(1−メチル−1−モルホリノエチル)−チオキサントン、2−モルホリノメチルチオキサントン、2−メチル−6−モルホリノメチルチオキサントン、チオキサントン−2−カルボン酸ポリエチレングリコールエステル等である。
【0052】
また、他に1−シアノ−3―クロロチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−アミノチオキサントン、1−エトキシカルボニル−3−フェニルスルフリルチオキサントン、N−アリルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−オクチルチオキサントン−3,4−ジカルボキシミド、N−(1,1,3,3−テトラメチル−ブチル)−チオキサントン−3,4−ジカルボキシミド等のチオキサントン化合物も用いることができる。
【0053】
これらの中でも特に2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−n−プロポキシチオキサントン、2−シクロヘキシルチオキサントンが性能とコストの面から好ましい。
【0054】
405nmの光に対して高感度であるという点で、チオキサントン系光ラジカル重合増感剤より、アントラセン系光ラジカル重合増感剤が好ましく、特に、9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジヘキシルオキシアントラセン、9,10−ジヘプチルオキシアントラセン、9,10−ジオクチルオキシアントラセンが好ましい。
【0055】
(オニウム塩系光ラジカル重合開始剤)
オニウム塩系光ラジカル重合開始剤としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられるが、照射光に対する感度等の面から、スルホニウム塩、ヨードニウム塩が好ましい。スルホニウム塩としては、ジフェニルアルキルスルホニム塩、ジナフチルアルキルスルホニム塩、トリフェニルスルホニム塩が挙げられるが、照射光に対する感度等の面から、トリフェニルスルホニウム塩が好ましい。トリフェニルスルホニウム塩としては、S,S,S’、S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサフルオロフォスフェート、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート等が挙げられ、例えばダウ・ケミカル製UVI−6992{化合物名:S,S,S’、S’−テトラフェニル−S,S’−(4、4’−チオジフェニル)ジスルホニウムビスヘキサフルオロフォスフェート}として、入手することができる。
【0056】
一方、ヨードニウム塩としては、ジフェニルヨードニウム塩、フェニルナフチルヨードニウム塩、ジナフチルヨードニウム塩等のヨードニウム塩が挙げられ、照射光に対する感度等の面から、ジフェニルヨードニウム塩が好ましい。ジフェニルヨードニウム塩としては、4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート等が挙げられ、例えばBASF社製イルガキュア(irgaure)250{化合物名:4−イソブチルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート}、ローディア社製2074{化合物名:4−イソプロピルフェニル−4’−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート}として入手することができる。
【0057】
なお、これらのオニウム塩系光ラジカル重合開始剤のうち、ヨードニウム塩は、スルホニウム塩に比べて重合物の着色が激しく、その意味では、本発明のラジカル重合性組成物の重合方法による消色の効果が顕著であるという点で好ましい。
【0058】
(ラジカル重合性化合物)
ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、フマル酸エステル若しくはスチレン等の二重結合を有する有機化合物又はそれらのオリゴマーが好適に用いられる。これらのラジカル重合性化合物のうち、フィルム形成能等の面から、アクリル酸エステルやメタクリル酸エステル(以下、両者をあわせて(メタ)アクリル酸エステルという)が好ましい。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、ポリオールアクリレート、ポリエーテルアクリレート、シリコーン樹脂アクリレート、イミドアクリレート等が挙げられる。これらラジカル重合性化合物は、一種でも二種以上の混合物であっても良く、これらのオリゴマーであってもよい。
【0059】
本発明において、オニウム塩系光ラジカル重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対して0.1〜10重量部であり、より好ましくは0.5〜5.0重量部である。光オニウム塩系光重合開始剤の濃度が低すぎれば、重合速度が遅くなり、濃度が高すぎると重合物の物性が悪化する。
【0060】
(光ラジカル重合性組成物)
本発明の光ラジカル重合性組成物は、オニウム塩系光ラジカル重合開始剤及びラジカル重合性化合物、並びに、上記一般式(1)で表されるアントラセン系光ラジカル重合増感剤及び/又は一般式(2)で表されるチオキサントン系光ラジカル重合増感剤を含有する。
【0061】
本発明において、光ラジカル重合増感剤の添加量は、ラジカル重合性化合物100重量部に対して0.1〜5.0重量部であり、より好ましくは0.2〜2.0重量部である。
【0062】
本発明に係る光ラジカル重合性組成物には、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、希釈剤、着色剤、有機または無機の充填剤、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤、増粘剤、難燃剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、可塑剤などの各種樹脂添加剤を、通常の使用範囲で配合することができる。
【0063】
希釈剤としては、エポキシアクリレートなどのようなエポキシ系希釈剤、オキサシクロ
ブタンなどのオキセタン系希釈剤、ビニルエーテル系希釈剤、(メタ)アクリル単量体系希釈剤などが挙げられる。着色剤としては、青色顔料、赤色顔料、白色顔料などが挙げられる。
【0064】
赤色顔料としては、例えば、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、レーキレッドDブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどが挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどが挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などが挙げられる。その他の顔料としては、例えば、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイトなどが挙げられる。
【0065】
(光ラジカル重合)
本発明の光ラジカル重合は、オニウム塩系光ラジカル重合開始剤、ラジカル重合性化合物並びに、一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種の光ラジカル重合増感剤、を含む光ラジカル重合性組成物に特定の波長範囲にピーク波長を有する光を照射する重合工程と、重合させた重合物を可視光ランプの下で露光する露光工程とからなる。
【0066】
(重合工程)
重合はフィルム状で行うことも出来るし、塊状に重合させることも可能である。フィルム状に重合させる場合は、たとえばポリエステルフィルムの基材に本発明の光ラジカル重合性組成物をバーコーターなど用いて塗布し、ついで特定の波長範囲にピーク波長を有する光を照射する。
【0067】
重合工程で照射する特定の波長範囲にピーク波長を有する光としては、380nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光が好ましい。光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、紫外線LEDランプ、フュージョン社製のDランプ、Vランプ、レーザー光源等が挙げられる。本発明の光ラジカル重合性組成物の重合物の黄変現象を緩和するラジカル重合方法は、長波長の光によってラジカル重合させたときに効果が著しく、385nm、395nm、405nm、415nmのいずれかにピーク波長を有する紫外線LED光源やレーザー光源でラジカル重合させたとき効果が著しいため好ましく。特に、395nmや405nmにピーク波長を有する紫外線LED光源やレーザー光源が好ましい。
【0068】
重合工程で照射する特定の波長範囲にピーク波長を有する光として、380nm未満の波長範囲にピーク波長を有する光を用いた場合、本発明のオニウム塩系光ラジカル重合開始剤が光ラジカル重合増感剤を用いなくとも十分ラジカル重合を開始することが可能であるだけでなく、本発明の露光工程を用いても重合物の着色を低減することが難しいため、その意味でも重合工程で照射する特定の波長範囲にピーク波長を有する光としては、380nm〜420nmの波長範囲にピーク波長を有する光が好ましい。
【0069】
また、当該光照射は酸素を遮蔽して実施することが望ましい。酸素存在下では酸素阻害のためフィルム表面のべたつきがなかなか取れず、光ラジカル重合開始剤の大量添加が必要となる。酸素を遮蔽する重合方法としては、酸素非過性の膜をかぶせて光重合させる方法が有効である。
【0070】
(露光工程)
上記重合工程で、重合させた重合物に、露光工程で可視光ランプにより、可視光を照射する。当該露光工程を経ることにより、重合直後に着色していた重合物が、露光とともに消色し、着色が軽減される。可視光ランプとしては、400nm台の青色領域から600nm台の赤色領域まで広く光強度が分布する発光スペクトルを持つ光源であればよく、白熱電球、蛍光灯、白色LEDなどが用いられる。太陽光も用いることができるが、紫外線領域の光を除去したものが好ましい。一般的という観点から白熱電球や蛍光灯が好ましい。照度は300〜1,500lx(ルクス)の範囲で、より好ましくは500〜1,200lxの範囲で露光する。露光時間は、1時間以上10時間以下が好ましく、1時間未満だと消色が十分ではなく、10時間を超えて露光しても消色度は変わらない。
【実施例】
【0071】
以下、本発明をより具体的に説明するためにいくつかの実施例を示す。ただし、本発明の範囲はこれら実施例の範囲に限定されるものではない。
【0072】
<重合物の作成及びYI値の測定>
ラジカル重合物の作成方法は次の通りに作成した。まずカバーグラス(縦18mm×横18mm×厚み0.16mm)の上の両端にスペーサーとしてポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム(縦18mm×横1mm×厚み0.1mm)を載せる。この両端のPETフィルムの間のカバーグラス上にラジカル重合性組成物を適量垂らし、もう1枚のカバーグラスを被せた。これによりPETフィルムの厚さに調整されたラジカル重合性組成物が2枚のカバーグラスに挟まれた状態で得られる。これに紫外線LED照射機(PhoseonTechnology社製RX-Firefly)で紫外線を5分間照射し、重合物を得た。
【0073】
この得られた重合物を直ちに紫外−可視分光光度計(島津製作所社製UV−2600)で200〜800nmの透過率を測定し、カラー測定ソフトを使用してYI値を算出した。
【0074】
一方、重合工程直後のYI値を測定し終えた重合物を蛍光灯下で5時間露光することで重合物の着色を徐々に消色させた。この露光工程を経た重合物を重合工程直後と同様の方法でYI値を測定し、算出した。
【0075】
<消色率>
消色率の計算を以下の式に従って算出した。
消色率(%)=(重合工程直後のYI値−露光工程直後のYI値)÷重合工程直後のYI値×100
【0076】
(実施例1)
ラジカル重合性化合物としてトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTA)(東京化成社製)100重量部に対し、光ラジカル重合開始剤としてイルガキュア250(BASF社製,イルガキュアはBASFの登録商標)を4.0重量部添加し、さらに光ラジカル重合増感剤として9,10−ジブトキシアントラセン(DBA)を0.5重量部添加し、光ラジカル重合性組成物を調製した。該光ラジカル重合性組成物を、紫外線LED照射機(PhoseonTechnology社製RX-Firefly,中心波長395nm,照度135mW/cm)で紫外線を5分間照射し、ラジカル重合物を作成し、直ちに透過率を測定し、YI値を算出した。次に、この重合物を一般的な蛍光灯下で5時間露光し、再び透過率を測定してYI値を算出した。その結果、重合工程直後のYI値は20.13であり、露光5時間後のYI値は17.87であり、消色率は11.23%であった(表1に記載)。
【0077】
(実施例2)
光ラジカル重合増感剤を2,4−ジエチルチオキサントン(DETX)に変更した以外は実施例1の通りに実施した。その結果、重合工程直後のYI値は19.87であり、露光5時間後のYI値は16.10であり、消色率は18.97%であった(表1及び表2に記載)。
【0078】
(実施例3)
光ラジカル重合開始剤をUVI−6992(ダウ・カミカル社製)を3.0重量部に変更した以外は実施例1の通りに実施した。その結果、重合工程直後のYI値は11.61であり、露光5時間後のYI値は8.07であり、消色率は30.49%であった(表1記載)。
【0079】
(実施例4)
光ラジカル重合開始剤をUVI−6992(ダウ・カミカル社製)を3.0重量部に変更し、光ラジカル重合増感剤を2,4−ジエチルチオキサントン(DETX)に変更した以外は実施例1の通りに実施した。その結果、重合工程直後のYI値は15.34であり、露光5時間後のYI値は11.19であり、消色率は27.05%であった(表1記載)。
【0080】
(比較例1)
紫外線LED照射機(PhoseonTechnology社製RX-Firefly,中心波長395nm,照度135mW/cm)による照射を、高圧水銀ランプ(365nmが主波長で照度55.2mW/cm)による照射に変えた以外は、実施例2と同様の光ラジカル重合性組成物を用いてラジカル重合物を作成し、直ちに透過率を測定し、YI値を算出した。また、この重合物を一般的な蛍光灯下で5時間露光し、再び透過率を測定してYI値を算出した。その結果、重合工程直後のYI値は24.45であり、露光5時間後のYI値は28.53であり、むしろ着色が増加した(表2に記載)。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
実施例1〜4と表1より明らかなように、395nmの光を照射して重合させた後、蛍光灯で露光した実施例1〜4のいずれの場合も、その重合物のYI値が重合工程直後より蛍光灯下で5時間露光した後の方が小さな値になっている。すなわち重合物の着色がいずれの場合も減少しており、消色していることがわかる。特に、UVI-6992を光ラジカル重合開始剤として用いた場合は、その消色率が高いことがわかる。一方、表2及び実施例2と比較例1を比較することより明らかなように、365nmを主波長とする高圧水銀ランプで重合させた場合は、露光による消色の効果はなく、むしろ着色が増加していることがわかる。