特開2019-85767(P2019-85767A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-85767(P2019-85767A)
(43)【公開日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】周面摩擦計
(51)【国際特許分類】
   E02D 23/08 20060101AFI20190517BHJP
【FI】
   E02D23/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-214639(P2017-214639)
(22)【出願日】2017年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】391005950
【氏名又は名称】株式会社東横エルメス
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】峯尾 卓光
(72)【発明者】
【氏名】樋川 健次
(72)【発明者】
【氏名】高野 晶平
(72)【発明者】
【氏名】小林 敏之
(72)【発明者】
【氏名】炭谷 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 清志
(72)【発明者】
【氏名】稲川 雄宣
(72)【発明者】
【氏名】柳 東雲
(57)【要約】
【課題】薄型で、ケーソン内部の鉄筋に干渉しない、周面摩擦計を提供する。
【解決手段】上面開放の箱状の外枠と、前記外枠の上面に嵌合する内枠と、前記外枠の内部に配置する感度部と、からなり、前記感度部は、前記外枠の内面中央に固定する外枠固定部と、前記内枠の下面に取り付ける内枠固定部と、前記外枠固定部と前記内枠固定部を連結する柱状の連結部と、前記連結部に取り付けるひずみゲージと、からなる、周面摩擦計。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開放の箱状の外枠と、
前記外枠の上面に嵌合する内枠と、
前記外枠の内部に配置する感度部と、からなり、
前記感度部は、
前記外枠の内面中央に固定する外枠固定部と、
前記内枠の下面に取り付ける内枠固定部と、
前記外枠固定部と前記内枠固定部を連結する柱状の連結部と、
前記連結部に取り付けるひずみゲージと、からなる、
周面摩擦計。
【請求項2】
請求項1に記載の周面摩擦計において、
前記外枠の底面中央から下方に突出する凸部を形成し、
前記外枠固定部を前記凸部内に配置することを特徴とする、周面摩擦計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーソン周面と周面地盤の間の摩擦力を計測するための周面摩擦計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地中に構造物を構築する際に、地上で構築したケーソンを地中に沈下させる工法が行われている。
このとき、ケーソンを精度良く沈設させるためには、ケーソンの周面と周面地盤の間の摩擦力を計測する必要がある。
【0003】
摩擦力を計測するための周面摩擦計は、ケーソンに埋設して固定する外枠1と、外枠1に嵌合する内枠2とからなり、外枠1と内枠2との間には摩擦力を検出するための感度部3を配置する(図2)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の周面摩擦計は、感度部3に作用する引張・圧縮から摩擦力を検出している。
一般的に、材料に圧縮力が加えられた場合、理論上は均等に変形して均等なひずみ分布となるが(図3(a))、実際には材料と力の接触面の摩擦により変形が抑制され、樽型に変形する(図3(b))。このため、均等なひずみ分布を得るためには、材料の長さLを径Dの1.5倍以上とする必要があり、感度部3が長くなってしまう。
感度部3が長くなると、感度部3を配置する外枠1も大きくする必要がある。
【0005】
また、周面摩擦計には摩擦力の他に土圧が作用するが、土圧が感度部3に作用すると、感度部3に曲げ力が作用し、摩擦力の測定に影響を与える他、感度部3が変形するおそれがある。
このため、土圧を受けて打ち消すための内枠保持部Aを設ける必要があり、外枠1も大きくする必要がある。
【0006】
外枠1が大きくなると、周面摩擦計も大きくする必要がある。すると、周面摩擦計の外枠1がケーソン内部の鉄筋に干渉するために、鉄筋のかぶり厚さの厚い位置にしか埋設できないという問題があった。
【0007】
本発明は、薄型で、ケーソン内部の鉄筋に干渉しない、周面摩擦計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本願の第1発明は、上面開放の箱状の外枠と、前記外枠の上面に嵌合する内枠と、前記外枠の内部に配置する感度部と、からなり、前記感度部は、前記外枠の内面中央に固定する外枠固定部と、前記内枠の下面に取り付ける内枠固定部と、前記外枠固定部と前記内枠固定部を連結する柱状の連結部と、前記連結部に取り付けるひずみゲージと、からなる、周面摩擦計を提供する。
本願の第2発明は、第1発明の周面摩擦計において、前記外枠の底面中央から下方に突出する凸部を形成し、前記外枠固定部を前記凸部内に配置することを特徴とする、周面摩擦計を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果を得ることができる。
(1)せん断ひずみにより摩擦力を検知するため、感度部を薄くすることができる。
(2)感度部を薄くすることにより、周面摩擦計も薄くなり、鉄筋のかぶり厚さの薄い場所にも埋設することができる。
(3)せん断ひずみにより摩擦力を検知するため、土圧による影響がなく、内枠保持部を設ける必要がない。
(4)内枠保持部を設ける必要がないため、感度部を外枠から突出する凸部内に配置することができる。
(5)感度部が小さいため凸部も小さくなり、凸部が格子状に組まれた鉄筋の間に入り込むことにより、鉄筋のかぶり厚さの薄い場所にも埋設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の周面摩擦計の説明図
図2】従来の周面摩擦計の説明図
図3】圧縮力により摩擦を検出する場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0012】
<1>周面摩擦計
本発明の周面摩擦計は、ケーソンなどの構造物Cの表面に固定し、構造物Cとその周面地盤との摩擦力を計測するものである。
本発明の周面摩擦計は、構造物Cに固定する外枠1と、外枠1に嵌合する内枠2と、からなる(図1)。
外枠1は平面視円状または平面視矩形状の、上面開放の箱状であり、構造物Cに埋設する。
内枠2は外枠1の開放された上面と略同寸法の平板であり、外枠1と嵌合して構造物Cの表面と同一平面となる。
【0013】
<2>感度部
感度部3は、外枠1の内面中央に固定した外枠固定部31と、内枠2の下面に取り付ける内枠固定部32と、外枠固定部31と内枠固定部32を連結する柱状の連結部33と、連結部33に取り付けるひずみゲージ34と、からなる。
内枠2に摩擦力が作用すると、摩擦力により内枠2が外枠1に対して変位して連結部33にせん断力が働き、そのせん断力によるせん断ひずみをひずみゲージ34により検知することにより、摩擦力を計測する。
せん断力は、圧縮力と異なり摩擦がないため、連結部33にはせん断力が均等に作用する。このため、連結部33の高さが低くてもせん断力を正確に検知できるため、感度部3を薄くすることができ、周面摩擦計も薄くすることができる。
また、せん断ひずみにより摩擦力を検知するため、土圧による影響がなく、土圧を受けて打ち消すための内枠保持部が不要となる。
【0014】
<3>外枠の形状
外枠1は、内枠保持部が不要となるため、内底面を内枠2の下面にほぼ接するように形成し、感度部3を配置する中央部を下方に突出し、凸部を有する形状とすることができる。
凸部は外枠1の内側に凹部を有しており、凹部内に感度部3の外枠固定部31を内包する。
本発明の周面摩擦計の感度部3は薄く、大きさも小さいため、外枠1の裏側から突出する凸部も小さくなる。
このため凸部が格子状に組まれた鉄筋の間に入り込むことにより、鉄筋のかぶり厚さの薄い場所にも埋設することができる。
【符号の説明】
【0015】
1 外枠
11 凸部
12 凹部
2 内枠
3 感度部
31 外枠固定部
32 内枠固定部
33 連結部
34 ひずみゲージ
4 鉄筋
図1
図2
図3