【解決手段】実施形態の情報処理装置は、表面に第1の入力部を備えた第1の筐体と、表面に第2の入力部を備えた第2の筐体と、状態検出部と、入力検出部とを有する。状態検出部は、第1の筐体の裏面と、第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置するかを判断する。入力検出部は、状態検出部が第1の筐体の裏面と、第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置すると判断すると、第2の入力部に対する入力が行われている間、第1の入力部の外周部分に対する入力は非検出とする。
前記入力検出部は、前記第2の入力部の外周部分に配置されたキーに対する入力に基いて前記第1の入力部の外周部分における入力操作を非検出とする位置を決定し、当該決定された位置を非検出とする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、実施形態にかかる情報処理装置および検出方法を説明する。実施形態において同一の機能を有する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、以下の実施形態で説明する情報処理装置および検出方法は、一例を示すに過ぎず、実施形態を限定するものではない。また、以下の各実施形態は、矛盾しない範囲内で適宜組みあわせてもよい。
【0013】
(第1の実施形態)
図1、2は、第1の実施形態にかかる情報処理装置の外観を説明する説明図である。
図1に示すように、情報処理装置1は、下部筐体2と上部筐体3とがヒンジ4を介して接続され、ヒンジ4を中心に下部筐体2と上部筐体3とが360度程度開くようになっているコンバーチブル型のノートPCである。
【0014】
下部筐体2には、閉じた状態で上部筐体3と向き合う面(表面)に、キーボード5(KBと称する場合がある)およびタッチパッド6(MSと称する場合がある)が配置されている。同様に、上部筐体3には、閉じた状態で下部筐体2と向き合う面(表面)に、LCDパネル7と、LCDパネル7に重畳してタッチパネル8とが配置されている。
【0015】
このため、情報処理装置1は、下部筐体2と上部筐体3とを120度程度開いた状態でキーボード5およびタッチパッド6による入力操作を行いつつ、LCDパネル7の表示画面を確認する通常のノートPCとして使用可能である。
【0016】
また、情報処理装置1は、下部筐体2と上部筐体3とを360度程度開いて互いの裏面同士を向かい合わせた状態(以下、タブレット状態)では、タッチパネル8による入力操作を行いつつ、LCDパネル7の表示画面を確認するタブレット型として使用可能である。
【0017】
なお、本実施形態では、下部筐体2と、上部筐体3とをヒンジ4を介して回転可能な構成を例示しているが、下部筐体2と、上部筐体3とは、ヒンジ4を介して着脱可能であってもよい。例えば、下部筐体2と上部筐体3とを120度程度開いた状態でヒンジ4に取り付けることで、通常のノートPCとして使用してもよい。また、下部筐体2の裏面と上部筐体3の裏面とを向かい合う位置にして互いに重ねた状態でヒンジ4に取り付けることでタブレット型として使用してもよい。
【0018】
図2に示すように、情報処理装置1がタブレット状態である場合は、第1の入力部の一例であるタッチパネル8のある上部筐体3の面を表面としたとき、第2の入力部の一例であるキーボード5およびタッチパッド6のある下部筐体2の面は裏面となる。すなわち、情報処理装置1がタブレット状態である場合は、タッチパネル8と、キーボード5およびタッチパッド6とは表裏の位置関係となる。
【0019】
タブレット状態とした情報処理装置1を利用者が把持して使用する場合は、裏面を支える指などでキーボード5またはタッチパッド6を押下することがある。例えば、利用者が情報処理装置1の外周部分を把持して使用する場合は、外周部分にあるキーボード5のキーまたはタッチパッド6を指で押下することがある。
【0020】
このようなタブレット状態とした場合における、LCDパネル7およびタッチパネル8の裏側にあるキーボード5またはタッチパッド6の入力操作を利用することで、情報処理装置1は、利用者が把持した際にタッチパネル8まで指が触れてしまうことによる誤検知を抑止する。具体的には、情報処理装置1は、タブレット状態の有無を検知し、タブレット状態を検知しているときに、裏面のキーボード5またはタッチパッド6に対する入力操作を検出している間、タッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出とする。これにより、情報処理装置1は、LCDパネル7およびタッチパネル8の狭額縁化を実現しつつ、新たに接触センサーを配置するなどの構成を複雑にすることなく、簡易にタッチパネル8における誤検知を抑止することができる。
【0021】
図3は、第1の実施形態にかかる情報処理装置1の構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、組み込みコントローラー10、タッチパネル部20、チップセット30、LCDパネル7、ストレージ40、キーボード部50および加速度センサー61、62を有する。
【0022】
組み込みコントローラー10は、加速度処理部11、キーボードコントローラー12(KBC)およびI2Cコントローラー13を有する。加速度処理部11は、加速度センサー61、加速度センサー62と接続される。
【0023】
加速度センサー61は、キーボード部50を有する下部筐体2に設置され、キーボード部50にかかる加速度を計測するセンサーである。加速度センサー62は、タッチパネル部20を有する上部筐体3に設置され、タッチパネル部20にかかる加速度を計測するセンサーである。そして、加速度センサー61、62は、情報処理装置1がタブレット状態となったときに、X、Y、Z方向の極性が一致するように配置される。理想的には、情報処理装置1がタブレット状態となったときに、加速度センサー61、62の双方が同じ値を検出値として出力する。
【0024】
加速度処理部11は、加速度センサー61、加速度センサー62による検知結果をもとに、情報処理装置1がタブレット状態であるか否かを検出する。具体的には、加速度処理部11は、加速度センサー61、62それぞれの検出値(X、Y、Z方向の加速度)を監視し、互いの検出値の差分が一定の閾値以内になった場合に、タブレット状態であると検出する。すなわち、加速度処理部11は、状態検出部の一例である。
【0025】
なお、タブレット状態であるか否かの検出について、加速度センサー61、62による検知結果に基づく方法は一例であり、他の方法を用いてもよい。例えば、下部筐体2と上部筐体3との回転角度を検知する角度センサー(図示しない)をヒンジ4に設置する。そして、加速度処理部11の代わりに設けた角度処理部(図示しない)は、角度センサーの検知結果をもとに、回転角度が約360度となるタブレット状態を検出してもよい。また、下部筐体2および上部筐体3の一方にはマグネット(図示しない)を配置し、他方にはタブレット状態になった場合にマグネットの磁力を検出可能とする位置に磁気センサー(図示しない)を配置する。そして、加速度処理部11の代わりに設けた磁気処理部(図示しない)は、磁気センサーの検知結果をもとにタブレット状態を検出してもよい。
【0026】
キーボードコントローラー12は、キーボード部50のキーボード5(KB)およびタッチパッド6(MS)と接続されるとともに、LPC(Low Pin Count)バスを介してチップセット30と接続される。I2Cコントローラー13は、タッチパネル部20とI
2C(アイ・スクエアド・シー)バスを介して通信を行うコントローラーである。
【0027】
キーボードコントローラー12は、加速度処理部11の検出結果をもとに、タブレット状態でない場合(例えば通常のノートPC状態など)、キーボード5およびタッチパッド6に対する入力操作に応じた操作信号をLPCバスを介してチップセット30に出力する。
【0028】
なお、情報処理装置1がタブレット状態である場合、キーボード5およびタッチパッド6は使用しない。よって、タブレット状態である場合、キーボードコントローラー12は、キーボード5やタッチパッド6を操作してもCPU35に割り込みを入れないように、LPCバスを介した操作信号の出力を抑制する。
【0029】
また、キーボードコントローラー12は、タブレット状態であることを検出しているときに、キーボード5およびタッチパッド6に対する入力操作を検出すると、タッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出するための通知をI2Cコントローラー13を介してタッチパネル部20に行う。
【0030】
図4は、組み込みコントローラー10にかかる処理例を示すフローチャートである。
図4に示すように、キーボードコントローラー12は、加速度処理部11の検出結果をもとに、情報処理装置1がタブレット状態であるか否かを判定する(S1)。タブレット状態でない場合(S1:NO)、キーボードコントローラー12は、処理をリターンする。
【0031】
タブレット状態である場合(S1:YES)、キーボードコントローラー12は、キーボード5(KB)およびタッチパッド6(MS)への押下などによる入力の有無を判定する(S2)。
【0032】
入力がある場合(S2:YES)、キーボードコントローラー12は、キーボード5またはタッチパッド6における入力が、予め設定されたいずれかの入力範囲で行われたか否かを判定する(S3)。
【0033】
図5は、入力範囲を説明する説明図である。
図5に示すように、キーボードコントローラー12には、タブレット状態として使用される際の、筐体(下部筐体2)裏面の外周部分、すなわちキーボード5およびタッチパッド6における外周部分に対応する入力範囲R11〜R14が予め設定されている。具体的には、筐体(下部筐体2)の端部から数センチメートル内にあるキーボード5およびタッチパッド6における操作領域が入力範囲R11〜R14として設定されている。
【0034】
タブレット状態とした情報処理装置1を利用者が把持して使用する場合は、裏面を支える指などでキーボード5またはタッチパッド6における入力範囲R11〜R14が押下され、入力範囲R11〜R14に配置されたキーに対する入力操作として検出されることがある。
【0035】
したがって、キーボードコントローラー12は、タブレット状態である場合に、キーボード5またはタッチパッド6における入力が入力範囲R11〜R14のいずれかのキーに対する入力で行われたか否かを判定することで、タブレット状態とした情報処理装置1を利用者が把持して使用しているか否かを判別する。
【0036】
キーボード5またはタッチパッド6における入力が入力範囲R11〜R14のいずれかのキーに対する入力が行われていない場合(S3:NO)、情報処理装置1を利用者が把持しておらず、テーブルなどに置いて使用しているものとし、キーボードコントローラー12は、S6へ処理を進める。
【0037】
キーボード5またはタッチパッド6における入力が入力範囲R11〜R14のいずれかのキーに対する入力が行われている場合(S3:YES)、キーボードコントローラー12は、タッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出とするタッチ不反応要求をI2Cコントローラー13を介してタッチパネル部20へ送出する(S4)。
【0038】
次いで、キーボードコントローラー12は、キーボード5またはタッチパッド6における入力位置、すなわち入力が行われた入力範囲R11〜R14に対応するタッチ不反応パターン番号をI2Cコントローラー13を介してタッチパネル部20へ送出し(S5)、処理をリターンする。このタッチ不反応パターン番号は、タッチパネル8の外周部分においてタッチによる入力操作を不反応(非検出)とする範囲(タッチ不反応範囲)を示す値である。
【0039】
図6は、タッチ不反応範囲を説明する説明図である。
図6に示すように、タッチパネル8の外周部分には、端から数センチメートルの範囲で、タッチ不反応範囲R21〜R24が予め設定されている。具体的には、タッチパネル8の上辺から数センチメートルの範囲では、タッチ不反応範囲R21が設定されている。また、下辺から数センチメートルの範囲では、タッチ不反応範囲R23が設定されている。また、タッチパネル8の左右の両辺には、タッチ不反応範囲R22、R24が設定されている。
【0040】
S5において、キーボードコントローラー12は、入力が行われた入力範囲R11〜R14(
図5参照)について、入力範囲R11〜R14のそれぞれに対応して予め設定されたタッチ不反応範囲R21〜R24を示すタッチ不反応パターン番号をタッチパネル部20へ送出する。
【0041】
例えば、キーボード5の入力範囲R11のキーに対する入力が行われた場合、利用者が上辺部分を把持して情報処理装置1を利用しているものと推定される。このような場合、上辺部分に近いタッチ不反応範囲R21において把持した指の誤検知が行われる可能性が高くなる。
【0042】
したがって、キーボードコントローラー12は、入力範囲R11のキーに対する入力が行われた場合には、入力範囲R11に対応するタッチ不反応範囲R21を示すタッチ不反応パターン番号をタッチパネル部20へ送出する。このように、入力範囲R11〜R14については、筐体の表裏で対応するタッチ不反応範囲R21〜R24を示すタッチ不反応パターン番号が予め設定されている。そして、キーボードコントローラー12は、入力が行われた入力範囲R11〜R14のキーに対して、筐体の表裏で対応するタッチパネル8の外周部分をタッチ不反応範囲とするように、タッチ不反応パターン番号をタッチパネル部20へ送出する。
【0043】
なお、キーボード5(KB)およびタッチパッド6(MS)への押下などによる入力がない場合(S2:NO)、キーボードコントローラー12は、タッチ不反応の取り下げ要求をI2Cコントローラー13を介してタッチパネル部20へ送出し(S6)、処理をリターンする。
【0044】
図3に戻り、タッチパネル部20は、上部筐体3に設けられた入力デバイスであり、タッチパネル8、コントローラー21および記憶部22を有する。
【0045】
コントローラー21は、タッチパネル8より押下操作された入力位置(座標)の検出、検出された入力位置を示す座標データのチップセット30への送出など、タッチパネル部20にかかる処理を実行するコントローラーである。
【0046】
コントローラー21は、I
2Cバスを介し、組み込みコントローラー10と接続するインターフェースと、チップセット30と接続するインターフェースとを有する。コントローラー21は、組み込みコントローラー10と接続するインターフェースからは、組み込みコントローラー10から送出された情報(タッチ不反応要求、タッチ不反応パターン番号、タッチ不反応取り下げ要求など)を受信する。そして、コントローラー21は、組み込みコントローラー10から送出された情報をもとに、タッチパネル8より検出された入力位置を示す座標データを、チップセット30と接続するインターフェースからチップセット30へ送出する。
【0047】
例えば、コントローラー21は、タッチ不反応要求およびタッチ不反応パターン番号が組み込みコントローラー10より送出されている(タブレット状態を検出しているときに、キーボード部50に対する入力操作を検出している)場合、タッチパネル8の外周部分(タッチ不反応パターン番号に対応する範囲)における入力操作を非検出とする。すなわち、タッチ不反応パターン番号に対応するタッチ不反応範囲R21〜R24において行われた入力操作については、コントローラー21は、座標データの送出を抑止する。このように、コントローラー21は、入力検出部の一例である。
【0048】
記憶部22は、タッチパネル8より検出した入力位置(座標)を示す座標データや、組み込みコントローラー10より送出された情報などの各種情報を一時記憶するメモリである。
【0049】
図7は、タッチパネル8にかかる処理例を示すフローチャートである。
図7に示すように、処理が開始されると、コントローラー21は、組み込みコントローラー10からの、タッチ不反応要求の受信の有無を判定する(S10)。ここで、タッチ不反応要求の受信がない場合(S10:NO)、コントローラー21は、S13へ処理を進める。
【0050】
タッチ不反応要求の受信がある場合(S10:YES)、コントローラー21は、タッチ不反応パターン番号を組み込みコントローラー10より受信し(S11)、受信したタッチ不反応パターン番号を記憶部22に記憶する(S12)。
【0051】
S13において、コントローラー21は、組み込みコントローラー10からの、タッチ不反応取り下げ要求の受信の有無を判定する。ここで、タッチ不反応取り下げ要求の受信がない場合(S13:NO)、コントローラー21は、S15へ処理を進める。
【0052】
タッチ不反応取り下げ要求の受信がある場合(S13:YES)、コントローラー21は、記憶部22に記憶したタッチ不反応パターン番号の記憶削除を行う(S14)。
【0053】
S15において、コントローラー21は、タッチパネル8におけるタッチ入力の有無を判定する(S15)。タッチ入力がない場合(S15:NO)、コントローラー21は、処理をリターンする。
【0054】
タッチ入力がある場合(S15:YES)、コントローラー21は、タッチ入力の座標が記憶部22に記憶したタッチ不反応パターン番号に対応するタッチ不反応範囲R21〜R24内であるか否かを判定する(S16)。
【0055】
タッチ入力の座標がタッチ不反応パターン番号に対応するタッチ不反応範囲R21〜R24内である場合(S16:YES)、コントローラー21は、座標データの送出を行わずに処理をリターンする。これにより、情報処理装置1は、利用者が把持した際にタッチパネル8まで指が触れてしまうことによる誤検知を抑止できる。
【0056】
タッチ入力の座標がタッチ不反応パターン番号に対応するタッチ不反応範囲R21〜R24内でない場合(S16:NO)、コントローラー21は、タッチ入力のあった座標を示す座標データをチップセット30に送出し(S17)、処理をリターンする。
【0057】
図3に戻り、チップセット30は、I2Cコントローラー31、LPCコントローラー32、AHCIコントローラー33、グラフィックコントローラー34、CPU35およびメモリ36を有する。
【0058】
I2Cコントローラー31は、タッチパネル部20とI
2C(アイ・スクエアド・シー)バスを介して通信を行うコントローラーである。I2Cコントローラー31は、タッチパネル部20よりI
2C(アイ・スクエアド・シー)バスを介してタッチ入力のあった座標を示す座標データを受信する。これにより、チップセット30では、タッチパネル部20において利用者が行ったタッチ操作を受け付ける。
【0059】
LPCコントローラー32は、キーボードコントローラー12とLPCバスを介して通信を行うコントローラーである。LPCコントローラー32は、キーボードコントローラー12よりLPCバスを介してキーボード5およびタッチパッド6に対する入力操作に応じた操作信号を受信する。これにより、チップセット30では、キーボード5において利用者が行った入力操作を受け付ける。
【0060】
AHCIコントローラー33は、AHCI(Advanced Host Controller Interface)にかかる処理を行うコントローラである。AHCIコントローラー33は、AHCIを介してストレージ40と接続し、ストレージ40におけるデータの読み書きなどを行う。
【0061】
グラフィックコントローラー34は、LCDパネル7と接続されており、LCDパネル7に表示する表示画面にかかる画像処理を実行するコントローラーである。
【0062】
CPU35は、メモリ36に記憶されたプログラム36aを順次実行することで、情報処理装置1の全体動作を統括制御する。メモリ36は、CPU35が実行するプログラム36aなどを記憶する。なお、本実施形態のキーボードコントローラー12およびコントローラー21にかかる処理は、CPU35がプログラム36aを実行することで、実現してもよい。
【0063】
ストレージ40は、例えばSSD(Solid State Drive)などであり、各種データ、アプリケーションプログラムなどを格納する。ストレージ40では、AHCIコントローラー33を介してデータの読み書きが行われる。
【0064】
キーボード部50は、キーボード5(KB)およびタッチパッド6(MS)などの、下部筐体2に設けられた入力デバイスである。
【0065】
以上のように、情報処理装置1は、タッチパネル8を備える上部筐体3の裏面と、キーボード部50を備える下部筐体2の裏面とが向かい合う位置に位置するか(タブレット状態であるか)を判断する加速度処理部11を有する。また、情報処理装置1は、タブレット状態と判断すると、キーボード部50に対する入力が行われている間、タッチパネル8の外周部分に対する入力は非検出とするコントローラー21を有する。したがって、情報処理装置1は、新たに接触センサーを配置するなどの構成を複雑にすることなく簡易に、利用者が情報処理装置1を把持した際などに生じるタッチパネル8における誤検知を抑止することができる。
【0066】
また、情報処理装置1では、裏面のキーボード5およびタッチパッド6の外周部分(入力範囲R11〜R14)における入力操作を検出すると、表面のタッチパネル8の外周部分(タッチ不反応範囲R21〜R24)における入力操作を非検出とする。このように、キーボード5およびタッチパッド6の外周部分(入力範囲R11〜R14)における入力操作が行われる場合には、タブレット状態とした情報処理装置1を利用者が把持して使用しているものと推定される。このような場合、把持した指により誤操作が行われやすい、タッチパネル8の外周部分(タッチ不反応範囲R21〜R24)における入力操作を非検出とすることで、誤操作を抑制することができる。
【0067】
また、情報処理装置1は、裏面におけるキーボード5およびタッチパッド6の外周部分に配置されたキー(入力範囲R11〜R14のいずれか)に対する入力に基いて、表面のタッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出とする位置(タッチ不反応範囲R21〜R24のいずれか)を決定し、決定された位置を非検出とする。これにより、情報処理装置1は、キーボード5およびタッチパッド6の入力位置をもとに、利用者が把持した位置として表裏で対応するタッチパネル8の外周部分の位置の入力操作を非検出とすることができ、誤検知の抑止を精度よく行うことができる。
【0068】
(第2の実施形態)
図8は、第2の実施形態にかかる情報処理装置の外観を説明する説明図である。
図8に示すように、情報処理装置1aは、キーボード5、タッチパッド6の代わりにLCDパネル7aと、LCDパネル7aに重畳してタッチパネル8aとを配置した構成である。すなわち、情報処理装置1aは、タブレット状態において表裏の両面がタッチパネル8またはタッチパネル8aとなる。
【0069】
図9は、第2の実施形態にかかる情報処理装置1aの構成例を示すブロック図である。
図9に示すように、情報処理装置1aは、上部筐体3側に設けられる第1タッチパネル部20aの他に、キーボード部50に代わって下部筐体2側に設けられる第2タッチパネル部20bを有する点が情報処理装置1とは異なる。また、加速度センサー61aは、第1タッチパネル部20aにかかる加速度を計測するセンサーである。また、加速度センサー62aは、第2タッチパネル部20bにかかる加速度を計測するセンサーである。
【0070】
第1タッチパネル部20aおよび第2タッチパネル部20bともに、組み込みコントローラー10、チップセット30とはI
2C(アイ・スクエアド・シー)バスを介して接続される。また、第2タッチパネル部20bも第1タッチパネル部20aと同様に、タッチパネル8a、コントローラー21aおよび記憶部22bを有する。
【0071】
加速度処理部11は、加速度センサー61a、加速度センサー62aによる検知結果をもとに、情報処理装置1aがタブレット状態であるか否かを検出する。また、加速度処理部11は、加速度センサー61a、加速度センサー62aによる重力加速度の検知結果をもとに、表面および裏面を特定する。組み込みコントローラー10は、第1タッチパネル部20a、第2タッチパネル部20bにおいて、表面と特定した側(例えば第1タッチパネル部20a)から得られた入力操作の内容をチップセット30へ送出する。
【0072】
また、組み込みコントローラー10は、タブレット状態であることを検出しているときに、裏面と特定した側(例えば第2タッチパネル部20b)に対する入力操作を検出すると、表面のタッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出するための通知をI2Cコントローラー13を介して第1タッチパネル部20aに行う。
【0073】
図10は、組み込みコントローラーにかかる処理例を示すフローチャートである。
図10に示すように、組み込みコントローラー10は、加速度処理部11の検出結果をもとに、情報処理装置1aがタブレット状態であるか否かを判定する(S20)。タブレット状態でない場合(S20:NO)、組み込みコントローラー10は、前回がタブレット状態であったか否かを判定する(S21)。
【0074】
前回がタブレット状態であった場合(S21:YES)、組み込みコントローラー10は、タッチパネル8、8aの入力操作を示すタッチ情報の送出のキャンセル要求を第1タッチパネル部20a、第2タッチパネル部20bに送出する(S22)。前回がタブレット状態でない場合(S21:NO)、組み込みコントローラー10は処理をリターンする。
【0075】
S20において、タブレット状態である場合(S20:YES)、組み込みコントローラー10は、前回がタブレット状態であったか否かを判定する(S23)。前回がタブレット状態でない場合(S23:NO)、組み込みコントローラー10は、タッチ情報送出の要求を第1タッチパネル部20a、第2タッチパネル部20bに送出する(S24)。
【0076】
前回がタブレット状態であった場合(S23:YES)、組み込みコントローラー10は、裏面と特定した側(例えば第2タッチパネル部20b)の所定のエリア(入力範囲)がタッチされているか否かを判定する(S25)。
【0077】
図11は、入力範囲を説明する説明図である。
図11に示すように、組み込みコントローラー10には、裏面とするタッチパネル8aの外周部分に対して入力範囲R31〜R34が設定されている。具体的には、筐体(下部筐体2)の端部から数センチメートル内にあるタッチパネル8aにおける操作領域が入力範囲R31〜R34として設定されている。なお、本実施形態の説明ではタッチパネル8aが裏側にある場合を例示しているが、タッチパネル8が裏側にある場合も同様な入力範囲が設定される。
【0078】
裏面の所定のエリアがタッチされている場合(S25:YES)、組み込みコントローラー10は、表面と特定した側(例えば第1タッチパネル部20a)に対し、タッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出とするタッチ不反応要求を送出する(S26)。
【0079】
次いで、組み込みコントローラー10は、裏面における入力位置、すなわち入力が行われた入力範囲R31〜R34に対応するタッチ不反応パターン番号を表面と特定した側(例えば第1タッチパネル部20a)に送出し(S27)、処理をリターンする。
【0080】
なお、裏面の所定のエリアがタッチされていない場合(S25:NO)、組み込みコントローラー10は、タッチ不反応の取り下げ要求を表面と特定した側(例えば第1タッチパネル部20a)に送出し(S28)、処理をリターンする。
【0081】
以上のように、タブレット状態において表裏の両面がタッチパネル8またはタッチパネル8aとなる場合も同様に、表面にあるタッチパネル(例えばタッチパネル8)における誤検知を抑止することができる。
【0082】
特に、コンバーチブル型のノートPCの場合、通常のノート型PCのときに操作を行うキーボード部50の他に、タブレット状態のときに操作を行うタッチパネル部20を有し、少なくとも一方にタッチパネル8を有する構成である。そして、タブレット状態のときは、LCDパネル7に重畳されるタッチパネル部20を表面とし、キーボード部50を裏面として使用される。このタブレット状態のときに、裏面として使用されるキーボード部50の入力操作から、タッチパネル8の外周部分における入力操作を非検出とすることで、新たに接触センサーを配置するなどの構成を複雑にすることなく、簡易にタッチパネル8における誤検知を抑止することができる。
【0083】
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0084】
(付記1)表面に第1の入力部を備えた第1の筐体と、
表面に第2の入力部を備えた第2の筐体と、
前記第1の筐体の裏面と、前記第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置するかを判断する状態検出部と、
前記状態検出部が前記第1の筐体の裏面と、前記第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置すると判断すると、前記第2の入力部に対する入力が行われている間、前記第1の入力部の外周部分に対する入力は非検出とする入力検出部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【0085】
(付記2)前記入力検出部は、前記第2の入力部の外周部分における入力操作を検出すると、前記第1の入力部の外周部分における入力操作を非検出とする、
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0086】
(付記3)前記入力検出部は、前記第2の入力部の外周部分に配置されたキーに対する入力に基いて前記第1の入力部の外周部分における入力操作を非検出とする位置を決定し、当該決定された位置を非検出とする、
ことを特徴とする付記1または2に記載の情報処理装置。
【0087】
(付記4)前記第1の入力部および第2の入力部の少なくとも一方はタッチパネルである、
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか一に記載の情報処理装置。
【0088】
(付記5)表面に第1の入力部を備えた第1の筐体の裏面と、表面に第2の入力部を備えた第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置するかを判断し、
前記第1の筐体の裏面と、前記第2の筐体の裏面とが向かい合う位置に位置すると判断すると、前記第2の入力部に対する入力が行われている間、前記第1の入力部の外周部分に対する入力は非検出とする、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする検出方法。
【0089】
(付記6)前記非検出とする処理は、前記第2の入力部の外周部分における入力操作を検出すると、前記第1の入力部の外周部分における入力操作を非検出とする、
ことを特徴とする付記5に記載の検出方法。
【0090】
(付記7)前記非検出とする処理は、前記第2の入力部の外周部分に配置されたキーに対する入力に基いて前記第1の入力部の外周部分における入力操作を非検出とする位置を決定し、当該決定された位置を非検出とする、
ことを特徴とする付記5または6に記載の検出方法。
【0091】
(付記8)前記第1の入力部および第2の入力部の少なくとも一方はタッチパネルである、
ことを特徴とする付記5乃至7のいずれか一に記載の検出方法。