特開2019-86222(P2019-86222A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-86222(P2019-86222A)
(43)【公開日】2019年6月6日
(54)【発明の名称】電気ボイラ
(51)【国際特許分類】
   F22B 1/28 20060101AFI20190517BHJP
   F22B 21/04 20060101ALI20190517BHJP
   F22B 37/38 20060101ALI20190517BHJP
【FI】
   F22B1/28 Z
   F22B21/04
   F22B37/38 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-214971(P2017-214971)
(22)【出願日】2017年11月7日
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 隆二
(57)【要約】      (修正有)
【課題】スケールの付着による、性能の低下を抑制できる電気ボイラを提供する。
【解決手段】電気ボイラ1は、水管4と、水管4の内部に配置される電気ヒータ71と、電気ヒータ71の表面の発熱領域FAに配置される温度センサ8と、を備える。判定部、温度センサの検出値に基づいて、電気ヒータの表面にスケールが付着しているか否かを判定する。また、判定部は、温度センサの検出値に基づいて、電気ヒータが過熱しているか否かを判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水管と、
前記水管の内部に配置される電気ヒータと、
前記電気ヒータの表面の発熱領域に配置される温度センサと、
を備える電気ボイラ。
【請求項2】
前記温度センサは、前記発熱領域の上部に配置される、
請求項1に記載の電気ボイラ。
【請求項3】
前記水管の水位が前記電気ヒータの発熱領域よりも上方に維持されるように前記水管に給水する給水装置を備える、
請求項1又は請求項2に記載の電気ボイラ。
【請求項4】
前記温度センサの検出値に基づいて、前記電気ヒータの表面にスケールが付着しているか否かを判定する演算処理装置を備える、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気ボイラ。
【請求項5】
前記演算処理装置は、前記温度センサの検出値に基づいて、前記電気ヒータが過熱しているか否かを判定する、
請求項4に記載の電気ボイラ。
【請求項6】
前記演算処理装置は、前記検出値が第1規定値に到達したときに前記電気ヒータの表面に前記スケールが付着していると判定し、前記検出値が前記第1規定値よりも高い第2規定値に到達したときに前記電気ヒータが過熱していると判定する、
請求項5に記載の電気ボイラ。
【請求項7】
前記演算処理装置は、前記検出値の上昇率が第3規定値以上のときに前記電気ヒータの表面に前記スケールが付着していると判定し、前記検出値の上昇率が前記第3規定値よりも高い第4規定値以上であるときに前記電気ヒータが過熱していると判定する、
請求項5に記載の電気ボイラ。
【請求項8】
前記演算処理装置は、前記電気ヒータの表面に前記スケールが付着していると判定したときに報知装置を作動し、前記電気ヒータが過熱していると判定したときに前記電気ヒータの作動を停止する、
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の電気ボイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ボイラに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているような、電気ヒータで水を加熱する電気ボイラが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−169356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水との接触により電気ヒータの表面にスケールが付着する可能性がある。また、電気ヒータの表面が水と接触しない状態が発生する可能性がある。電気ヒータの表面にスケールが付着した状態を放置しておくと、例えば電気ヒータが局所的に温度上昇したり腐食したりする可能性がある。また、電気ヒータの表面が水と接触しない状態を放置しておくと、電気ヒータが過熱する可能性がある。その結果、電気ボイラの性能が低下する可能性がある。
【0005】
本発明の態様は、性能の低下を抑制できる電気ボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、水管と、前記水管の内部に配置される電気ヒータと、前記電気ヒータの表面の発熱領域に配置される温度センサと、を備える電気ボイラが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、電気ヒータの温度を管理できる電気ボイラが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る電気ボイラの一例を模式的に示す正面図である。
図2図2は、本実施形態に係る電気ボイラの一例を模式的に示す側面図である。
図3図3は、本実施形態に係るヒータ装置の一例を示す側断面図である。
図4図4は、本実施形態に係る電気ボイラの一例を示す機能ブロック図である。
図5図5は、本実施形態に係る電気ボイラの制御方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
本実施形態においては、3次元直交座標系を規定し、3次元直交座標系に基づいて各部の位置関係について説明する。水平面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する水平面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。水平面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。
【0011】
[電気ボイラ]
図1は、本実施形態に係る電気ボイラ1の一例を模式的に示す正面図である。図2は、本実施形態に係る電気ボイラ1の一例を模式的に示す側面図である。図1及び図2のそれぞれは、電気ボイラ1の一部を断面で示す。
【0012】
図1及び図2に示すように、電気ボイラ1は、給水装置2と、給水装置2と接続される下部管寄せ3と、下部管寄せ3と接続される複数の水管4と、複数の水管4のそれぞれと接続される複数の上昇管5と、上昇管5と接続される上部管寄せ6と、水管4の内部に配置される電気ヒータ71を有するヒータ装置7と、電気ヒータ71の表面の発熱領域FAに配置される温度センサ8と、水管4の水位を検出する水位検出装置9と、電気ボイラ1を制御する制御装置10と、報知情報を報知する報知装置11と、ヒータ装置7に電力を供給する電源12とを備える。
【0013】
給水装置2は、下部管寄せ3を介して水管4に給水する。給水装置2は、下部管寄せ3と接続される給水管21と、給水管21に配置される給水ポンプ22と、給水管21に配置される給水弁23とを有する。給水ポンプ22の作動により、水が給水管21を介して下部管寄せ3に供給される。下部管寄せ3に水が供給されることにより、水管4に水が供給される。給水装置2は、下部管寄せ3に対する単位時間当たりの給水量を調整可能である。本実施形態において、制御装置10は、給水ポンプ22の単位時間当たりの回転量を調整することにより、下部管寄せ3に対する単位時間当たりの給水量を調整する。下部管寄せ3に対する給水量が調整されることにより、水管4に対する単位時間当たりの給水量が調整される。なお、給水弁23が流量調整弁として機能する場合、給水弁23によって、下部管寄せ3に対する単位時間当たりの給水量が調整されてもよい。
【0014】
下部管寄せ3は、給水装置2から供給された水を収容する。下部管寄せ3は、水が収容される内部空間3Hを有する容器である。下部管寄せ3は、給水装置2から供給された水を複数の水管4のそれぞれに分配する。給水装置2から下部管寄せ3に供給された水は、複数の水管4のそれぞれに供給される。また、下部管寄せ3の下部に排水管24が接続される。排水管24には排水弁25が配置される。排水弁25が開くことにより、下部管寄せ3の内部空間3Hに収容されている水の少なくとも一部は、排水管24を介して排出される。
【0015】
水管4は、下部管寄せ3からの水を流通させる。水管4は、水の流路を有する円筒状の部材である。水管4は、水管4の中心軸とZ軸とが平行となるように配置される。水管4の下端部と下部管寄せ3の上部とが接続される。水管4は、X軸方向に間隔をあけて複数配置される。複数の水管4のそれぞれが、下部管寄せ3と接続される。
【0016】
電気ヒータ71は、水管4の内部に配置される。電気ヒータ71は、棒状の部材である。電気ヒータ71の表面は、水管4の内面と間隙を介して対向する。下部管寄せ3からの水は、水管4の内面と電気ヒータ71の表面との間に供給される。電気ヒータ71の表面は、水管4の内部に供給された水と接触する。電気ヒータ71の表面と水とが接触することにより、水が加熱され、蒸気が生成される。
【0017】
温度センサ8は、電気ヒータ71の表面の発熱領域FAに配置される。温度センサ8は、電気ヒータ71の発熱領域FAの温度を検出する。温度センサ8は、電気ヒータ71の発熱領域FAの上部に配置される。
【0018】
上昇管5は、水管4で生成された蒸気を流通させる。上昇管5は、蒸気の流路を有する円筒状の部材である。上昇管5は、水管4と上部管寄せ6とを接続する。水管4で生成された蒸気は、上昇管5を介して上部管寄せ6に供給される。上昇管5の下端部と水管4の上部とが接続される。上昇管5の上端部と上部管寄せ6の下部とが接続される。上昇管5は、複数の水管4のそれぞれと接続されるように複数設けられる。複数の上昇管5のそれぞれが、上部管寄せ6と接続される。
【0019】
図2に示すように、Y軸方向において、下部管寄せ3及び水管4の位置と上部管寄せ6の位置とは異なる。上昇管5の一部は屈曲している。上昇管5の下端部は、水管4の上部の−Y側の側面と接続される。上昇管5の上端部は、上部管寄せ6の下部と接続される。
【0020】
上部管寄せ6は、上昇管5から供給された蒸気を収容する。上部管寄せ6は、蒸気が収容される内部空間6Hを有する容器である。上部管寄せ6は、複数の上昇管5のそれぞれから供給された蒸気を集合させる。また、上部管寄せ6の上部に蒸気管26が接続される。蒸気管26には蒸気弁27が配置される。蒸気弁27が開くことにより、上部管寄せ6の内部空間6Hに収容されている蒸気の少なくとも一部は、蒸気管26を介して排出される。
【0021】
水位検出装置9は、水管4の内面と電気ヒータ71の表面との間の水位を検出する。水位とは、Z軸方向における水の表面の位置をいう。水位検出装置9は、検出容器91と、検出容器91に配置される複数の電極棒92と、検出容器91と下部管寄せ3とを接続する下部連通管93と、検出容器91と上部管寄せ6とを接続する上部連通管94とを有する。
【0022】
検出容器91の内部空間91Hは、下部連通管93を介して下部管寄せ3の内部空間3Hと接続される。検出容器91の内部空間91Hは、上部連通管94を介して上部管寄せ6の内部空間6Hと接続される。下部連通管93は、検出容器91の下部と下部管寄せ3の上部とを接続する。上部連通管94は、検出容器91の上部と上部管寄せ6の下部とを接続する。
【0023】
検出容器91に水が収容される。検出容器91の水位と水管4の水位とは実質的に等しい。水位検出装置9は、検出容器91の水位を検出することによって、水管4の水位を検出することができる。
【0024】
複数の電極棒92は、検出容器91の内部空間91Hに配置される。本実施形態において、電極棒92は、3本の電極棒92A,92B,92Cを含む。なお、電極棒92は複数設けられていればよく、例えば4本以上設けられてもよい。
【0025】
電極棒92は、導電性材料で形成された棒状の部材である。電極棒92の上端部は、絶縁性材料を介して検出容器91の上蓋に保持される。電極棒92の下端部は、検出容器91から離れている。
【0026】
電極棒92A,92B,92Cは、電極棒92A,92B,92Cの下端部のZ軸方向の位置が異なるように、検出容器91に保持される。本実施形態においては、電極棒92A,92B,92Cのうち、電極棒92Aの下端部が最も高い位置に配置され、電極棒92Aの下端部に次いで電極棒92Bの下端部が高い位置に配置され、電極棒92Cの下端部が最も低い位置に配置される。
【0027】
検出容器91は、導電性材料で形成される。検出容器91は、複数の電極棒92の共通電極として機能する。検出容器91に収容されている水と電極棒92の下端部とが接触することにより、検出容器91と電極棒92とは水を介して通電される。
【0028】
水位検出装置9は、電極棒92で水を検出する。水位検出装置9は、電極棒92に電流が流れたとき、電極棒92と水とが接触したと判定する。
【0029】
水位検出装置9は、複数の電極棒92のそれぞれを流れる電流の有無に基づいて、検出容器91の水位を検出する。例えば、電極棒92A,92B,92Cの全部に電流が流れているとき、制御装置10は、検出容器91の水位が電極棒92Aの下端部よりも高いと判定する。電極棒92B,92Cに電流が流れ、電極棒92Aに電流が流れていないとき、制御装置10は、検出容器91の水位が電極棒92Bの下端部よりも高く電極棒92Aの下端部よりも低いと判定する。電極棒92Cに電流が流れ、電極棒92A,92Bに電流が流れていないとき、制御装置10は、検出容器91の水位が電極棒92Cの下端部よりも高く電極棒92Bの下端部よりも低いと判定する。電極棒92A,92B,92Cの全部に電流が流れていないとき、制御装置10は、検出容器91の水位が電極棒92Cの下端部よりも低いと判定する。
【0030】
Z軸方向において、電極棒92Cの下端部の位置と電気ヒータ71の発熱領域FAの上端部の位置とは、実質的に同一である。電極棒92Cに電流が流れ、電極棒92Cが水を検出したとき、制御装置10は、電気ヒータ71の発熱領域FAの全部が水管4の水に浸かっていると判定する。一方、電極棒92Cに電流が流れず、電極棒92Cが水を検出しないとき、制御装置10は、電気ヒータ71の発熱領域FAの上端部を含む少なくとも一部が水管4の水に浸かっていないと判定する。
【0031】
給水装置2は、水位検出装置9の検出結果に基づいて、水管4の水位が電気ヒータ71の発熱領域FAよりも上方に維持されるように、水管4に給水する。本実施形態において、電極棒92B,92Cが水を検出し、電極棒92Aが水を検出しない場合、制御装置10は、給水ポンプ22を作動させて給水を実施する。また、電極棒92A,92B,92Cの全部が水を検出した場合、制御装置10は、給水ポンプ22の作動を停止して給水を停止する。これにより、水管4の水位は、電極棒92Aの下端部と電極棒92Bの下端部との間の位置に維持される。水管4の水位が電極棒92Aの下端部と電極棒92Bの下端部との間に維持されることにより、電気ヒータ71の発熱領域FAの全部が水に浸かることができる。
【0032】
[電気ヒータ及び温度センサ]
図3は、本実施形態に係るヒータ装置7の一例を示す側断面図である。図1図2、及び図3に示すように、ヒータ装置7は、水管4の内部に配置される電気ヒータ71と、水管4の上端部に支持されるフランジ72と、電源12と接続されるコネクタ73とを有する。
【0033】
電気ヒータ71は、棒状の部材である。本実施形態において、電気ヒータ71は、カートリッジヒータである。電気ヒータ71は、水管4の内面と間隙を介して対向する表面を有する。電気ヒータ71は、水管4の上端部の開口から水管4の内部に挿入される。フランジ72が水管4の上端部に固定される。ヒータ装置7は、水管4に着脱可能である。
【0034】
電気ヒータ71の表面は、発熱領域FAと、非発熱領域NAとを有する。非発熱領域NAは、発熱領域FAよりも上方に配置される。発熱領域FAは、水管4の内面と対向する電気ヒータ71の表面の下端部を含む。非発熱領域NAは、水管4の内面と対向する電気ヒータ71の表面の上端部を含む。Z軸方向において、発熱領域FAの寸法は、非発熱領域NAの寸法よりも大きい。Z軸方向において、発熱領域FAと非発熱領域NAとの境界EGは、水管4の内面と対向する電気ヒータ71の表面の中間部よりも上側(+Z側)に配置される。
【0035】
図3に示すように、電気ヒータ71は、芯材74と、芯材74の周囲に配置される電熱線75と、芯材74及び電熱線75を収容する収容部材76と、収容部材76と芯材74及び電熱線75との間に充填される粉体77とを有する。
【0036】
芯材74は、セラミックスのような絶縁性材料で形成される。電熱線75は、芯材74の周囲にコイル状に巻き付けられる。収容部材76は、円筒状の部材であり、ステンレス鋼のような金属で形成される。粉体77は、酸化マグネシウム(MgO)のような絶縁性材料で形成される。
【0037】
芯材74は、円筒状の部材である。芯材74の内部に一対の電極線78が配置される。電極線78の少なくとも一部は、芯材74に設けられた孔に配置される。電極線78の先端部と電熱線75とが接続される。収容部材76の上端部の開口は、封止部材79により塞がれる。フランジ72は、収容部材76の上端部に配置される。
【0038】
電極線78は、コネクタ73を介して電源12と接続される。電源12から電極線78を介して電熱線75に電流が供給されることにより、電熱線75が発熱する。
【0039】
発熱領域FAは、電熱線75が設けられている部分に相当する。非発熱領域NAは、電熱線75が設けられていない部分に相当する。
【0040】
電気ヒータ71は、非発熱領域NAが発熱領域FAよりも上方に配置されるように、水管4の上端部の開口から水管4の内部に挿入される。電気ヒータ71が水管4の内部に挿入された後、フランジ72と水管4の上端部とが固定される。
【0041】
温度センサ8は、発熱領域FAの上部に配置される。発熱領域FAの上部とは、Z軸方向において発熱領域FAの中間部よりも上側(+Z側)の部分をいう。本実施形態において、温度センサ8は、発熱領域FAと非発熱領域NAとの境界EGの近傍に配置される。すなわち、温度センサ8は、発熱領域FAの上端部に配置される。
【0042】
本実施形態においては、1つの電気ヒータ71に1つの温度センサ8が設けられる。なお、1つの電気ヒータ71に複数の温度センサ8が設けられてもよい。温度センサ8は、複数の電気ヒータ71のうち1つの電気ヒータ71に設けられてもよい。
【0043】
なお、1つの電気ヒータ71が水管4に配置されてもよいし、複数の電気ヒータ71の集合体が水管4に配置されてもよい。複数の電気ヒータ71の集合体が水管4に配置される場合、コネクタ73に複数の電気ヒータ71が接続されることにより、電源12から供給された電流が、複数の電気ヒータ71のそれぞれに供給される。なお、電気ヒータ71は、シーズヒータでもよい。
【0044】
[制御装置]
図4は、本実施形態に係る電気ボイラ1の一例を示す機能ブロック図である。図4に示すように、電気ボイラ1は、制御装置10を有する。制御装置10は、温度センサ8、水位検出装置9、給水装置2、報知装置11、及び電源12のそれぞれと接続される。図1及び図2に示したように、本実施形態においては、電気ヒータ71が3本設けられ、温度センサ8が3つ設けられることとする。
【0045】
報知装置11は、電気ボイラ1の使用者に報知情報を報知する。報知装置11として、表示装置、発光装置、及び音出力装置の少なくとも一つが例示される。表示装置は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)又は有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electroluminescence Display)のようなフラットパネルディスプレイを含む。発光装置は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)のような光源を含む。音出力装置は、警告音を発生可能なサイレン又は音声出力装置を含む。報知装置11は、表示装置に表示される表示データ、発光装置から射出される光、及び音出力装置から出力される音の少なくとも一つを使って、電気ボイラ1の使用者に報知情報を報知する。
【0046】
制御装置10は、コンピュータシステムを含む。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置10Aと、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ及びROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリを含む記憶装置10Bと、信号又はデータを送受信可能な入出力回路を含む入出力インターフェース10Cとを有する。
【0047】
演算処理装置10Aは、温度データ取得部101と、水位データ取得部102と、判定部103と、給水制御部104と、報知制御部105と、電気ヒータ制御部106とを有する。
【0048】
記憶装置10Bは、第1規定値記憶部107と、第2規定値記憶部108とを有する。
【0049】
温度データ取得部101は、温度センサ8の検出値を示す温度データを取得する。水位データ取得部102は、水位検出装置9の検出値を示す水位データを取得する。
【0050】
判定部103は、温度センサ8の検出値に基づいて、電気ヒータ71の表面にスケールが付着しているか否かを判定する。また、判定部103は、温度センサ8の検出値に基づいて、電気ヒータ71が過熱しているか否かを判定する。
【0051】
スケールとは、水に含まれる硬度成分の析出物をいう。電気ヒータ71の表面は、水と接触する。そのため、電気ヒータ71の表面にスケールが付着する可能性がある。電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着すると、発熱領域FAからの放熱が阻害される。その結果、電気ヒータ71が温度上昇する。例えば、電源12から電気ヒータ71に供給される電力の供給条件が一定であり、水管4に供給される水の温度及び単位時間当たりの給水量を含む給水条件が一定でも、発熱領域FAにスケールが付着している状態と付着していない状態とでは、電気ヒータ71の表面の温度が異なる。判定部103は、温度センサ8の検出値に基づいて、電気ヒータ71の表面にスケールが付着しているか否かを判定することができる。
【0052】
電源12から電気ヒータ71に供給される電力の供給条件が一定であり、水管4に対する給水条件が一定である場合において、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していないときの電気ヒータ71の温度、及び電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着しているときの電気ヒータ71の温度は、例えば予備実験又はシミュレーション実験から予め導出することができる。すなわち、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着しているときの電気ヒータ71の温度、及び電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していないときの電気ヒータ71の温度は、既知データである。一例として、発熱領域FAの全部が水に浸かっている状態において、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していないときの電気ヒータ71の温度は、170[℃]であり、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着しているときの電気ヒータ71の温度は、185[℃]である。
【0053】
本実施形態においては、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着しているときの電気ヒータ71の温度が予め導出され、第1規定値として第1規定値記憶部107に記憶されている。第1規定値は、例えば185[℃]である。判定部103は、温度センサ8の検出値が基準温度である170[℃]である場合、電気ヒータ71の表面にスケールが付着していないと判定し、温度センサ8の検出値が第1規定値である185[℃]に到達した場合、電気ヒータ71の表面にスケールが付着していると判定する。
【0054】
また、例えば給水ポンプ22の異常等に起因して、水管4の水位が境界EGよりも下がり、電気ヒータ71の発熱領域FAの少なくとも一部が水と接触しない状態が発生する可能性がある。電源12から電気ヒータ71に電力が供給されている状態で、電気ヒータ71の発熱領域FAが水と接触しない状態を放置しておくと、電気ヒータ71が過熱する。判定部103は、温度センサ8の検出値に基づいて、電気ヒータ71が過熱しているか否か、すなわち、水管4の水位が境界EGよりも下がっているか否かを判定することができる。
【0055】
電源12から電気ヒータ71に供給される電力の供給条件が一定である場合において、電気ヒータ71の発熱領域FAに水が接触しているときの電気ヒータ71の温度、及び電気ヒータ71の発熱領域FAに水が接触していないときの電気ヒータ71の温度は、例えば予備実験又はシミュレーション実験から予め導出することができる。すなわち、電気ヒータ71の発熱領域FAに水が接触しているときの電気ヒータ71の温度、電気ヒータ71の発熱領域FAに水が接触していないときの電気ヒータ71の温度は、既知データである。一例として、発熱領域FAが水に接触していないときの電気ヒータ71の温度は、200[℃]以上である。
【0056】
本実施形態においては、電気ヒータ71の発熱領域FAに水が接触していないときの電気ヒータ71の温度が予め導出され、第2規定値として第2規定値記憶部108に記憶されている。第2規定値は、例えば200[℃]である。判定部103は、温度センサ8の検出値が第2規定値である200[℃]に到達した場合、電気ヒータ71が過熱している、すなわち、水管4の水位が境界EGよりも下がってしまい発熱領域FAの少なくとも一部に水が接触していないと判定する。
【0057】
給水制御部104は、水位検出装置9の検出値に基づいて、水管4の水位が電気ヒータ71の発熱領域FAよりも上方に維持されるように、給水装置2の給水ポンプ22を制御する制御信号を出力する。電極棒92Cが水を検出し、電極棒92A,92Bが水を検出しない場合、給水制御部104は、給水ポンプ22を作動させる制御信号を出力する。これにより、水管4の水位は、電極棒92Cの下端部よりも上方に維持される。水管4の水位が電極棒92Cの下端部よりも上方に維持されることにより、電気ヒータ71の発熱領域FAの全部が水に浸かることができる。
【0058】
報知制御部105は、温度センサ8の検出値に基づいて、報知装置11を制御する制御信号を出力する。本実施形態において、報知制御部105は、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していると判定部103に判定されたとき、報知装置11を作動させる制御信号を出力する。報知装置11が表示装置を含む場合、報知制御部105は、電気ヒータ71の表面にスケールが付着している可能性があることを報知するための表示データを表示装置に表示させる。表示データは、文字データでも画像データでもよい。また、報知装置11が発光装置を含む場合、報知制御部105は、電気ヒータ71の表面にスケールが付着している可能性があることを報知するための光を発光装置から射出させる。また、報知装置11が音出力装置を含む場合、報知制御部105は、電気ヒータ71の表面にスケールが付着している可能性があることを報知するための警告音を音出力装置から発生させる。
【0059】
電気ヒータ制御部106は、温度センサ8の検出値に基づいて、電源12を制御する制御信号を出力する。本実施形態において、電気ヒータ制御部106は、電気ヒータ71が過熱していると判定部103に判定されたとき、電気ヒータ71の作動を停止させる制御信号を出力する。すなわち、電気ヒータ制御部106は、電気ヒータ71が過熱していると判定部103に判定されたとき、電気ヒータ71に対する電力の供給を停止させるための制御信号を電源12に出力する。
【0060】
[電気ボイラの制御方法]
図5は、本実施形態に係る電気ボイラ1の制御方法の一例を示すフローチャートである。給水制御部104は、給水装置2を作動して、下部管寄せ3に対する給水を開始する(ステップS1)。給水制御部104は、水位検出装置9の検出値に基づいて、水管4の水位が電気ヒータ71の発熱領域FAよりも上方に維持されるように、給水装置2を制御する。
【0061】
また、電気ヒータ制御部106は、電源12を作動して、電気ヒータ71に対する電力の供給を開始する(ステップS2)。発熱領域FAの全部が水に浸かった状態で、電気ヒータ71が作動することにより、水が加熱され、蒸気が発生する。
【0062】
温度データ取得部101は、温度センサ8の検出値をモニタする。判定部103は、温度センサ8の検出値が第1規定値以上か否かを判定する(ステップS3)。
【0063】
ステップS3において、温度センサ8の検出値は第1規定値未満であると判定したとき(ステップS3:No)、判定部103は、電気ヒータ71は正常であると判定(ステップS4)し、ステップS3の処理に戻る。本実施形態において、電気ヒータ71が正常であるとは、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していなく、且つ、発熱領域FAの全部が水に浸かっている状態をいう。
【0064】
ステップS3において、温度センサ8の検出値が第1規定値以上であると判定したとき(ステップS3:Yes)、判定部103は、温度センサ8の検出値が第2規定値以上か否かを判定する(ステップS5)。
【0065】
ステップS5において、温度センサ8の検出値は第2規定値未満であると判定したとき(ステップS5:No)、判定部103は、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していると判定する(ステップS6)。
【0066】
報知制御部105は、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着していると判定されたとき、報知装置11を作動させる制御信号を出力する(ステップS7)。
【0067】
報知装置11が作動することにより、電気ボイラ1の使用者は、電気ヒータ71にスケールが付着している可能性があることを認識することができる。電気ボイラ1の使用者は、例えば電気ヒータ71のメンテナンスを実施することができる。
【0068】
ステップS5において、温度センサ8の検出値は第2規定値以上であると判定したとき(ステップS5:Yes)、判定部103は、電気ヒータ71が過熱していると判定する(ステップS8)。
【0069】
報知制御部105は、電気ヒータ71が過熱していると判定されたとき、報知装置11を作動させる制御信号を出力する。報知制御部105は、ステップS7における報知形態とは異なる報知形態で報知装置11が作動するように制御信号を出力する。また、電気ヒータ制御部106は、電気ヒータ71が過熱していると判定されたとき、電気ヒータ71の作動を停止させる制御信号を出力する(ステップS9)。
【0070】
報知装置11が作動することにより、電気ボイラ1の使用者は、電気ヒータ71が過熱していることを認識することができる。また、電気ヒータ71の作動が強制的に停止されることにより、電気ヒータ71の過度な温度上昇が抑制される。
【0071】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、電気ヒータ71の表面の発熱領域FAに温度センサ8が設けられることにより、電気ヒータ71の温度を管理することができる。また、演算処理装置10Aは、温度センサ8の検出値に基づいて、電気ヒータ71の異常の有無を判定することができる。本実施形態において、電気ヒータ71が異常であるとは、電気ヒータ71の発熱領域FAにスケールが付着している状態、及び発熱領域FAの少なくとも一部が水と接触していない状態の一方又は両方をいう。電気ヒータ71に異常が生じた場合、電気ヒータ71のメンテナンス又は電気ヒータ71の作動停止のような、電気ヒータ71の性能の低下を抑制するための処置を講ずることができる。
【0072】
また、本実施形態においては、温度センサ8は、発熱領域FAの上部に配置される。これにより、水管4の水位が境界EGから僅かに下がった場合においても、温度センサ8は、電気ヒータ71の過熱を迅速に検出することができる。例えば、温度センサ8が発熱領域FAの下部に配置されている場合、水管4の水位が境界EGから僅かに下がっただけでは、温度センサ8及び温度センサ8が配置されている発熱領域FAは水に浸かっているため、発熱領域FAの上部が水と接触していない状態を迅速に検出することが困難となる可能性がある。本実施形態においては、温度センサ8が発熱領域FAの上部に配置されているため、水管4の水位が境界EGから僅かに下がっただけで、温度センサ8及び温度センサ8が配置されている発熱領域FAは、水と接触しない状態となる。そのため、温度センサ8は、発熱領域FAの上部が水と接触していない状態を迅速に検出することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、水管4の水位が電気ヒータ71の発熱領域FAよりも上方に維持されるように、給水装置2から水管4に給水される。これにより、電気ヒータ71の過熱が抑制される。
【0074】
また、本実施形態においては、温度センサ8は、電気ヒータ71の表面にスケールが付着しているか否かを検出するスケール有無センサとして機能する。電気ヒータ71の表面にスケールが付着した状態を放置しておくと、例えば電気ヒータ71が局所的に温度上昇したり腐食したりする可能性がある。本実施形態によれば、温度センサ8の検出値に基づいて、スケールの有無を簡単に判定することができる。スケールが検出された場合、電気ヒータ71のメンテナンス等の適切な措置を講じることにより、電気ボイラ1の性能の低下を抑制することができる。また、スケールが付着していると判定された場合、報知装置11が作動するので、電気ボイラ1の使用者は、適切な措置を迅速に実施することができる。
【0075】
また、本実施形態においては、温度センサ8は、電気ヒータ71が過熱しているか否かを検出する過熱有無センサとして機能する。電気ヒータ71が過熱している状態を放置しておくと、例えば電気ヒータ71が故障する可能性がある。本実施形態によれば、温度センサ8の検出値に基づいて、過熱の有無を簡単に判定することができる。過熱が検出された場合、電気ヒータ71の作動停止等の適切な措置を講じることにより、電気ボイラ1の性能の低下を抑制することができる。また、過熱していると判定された場合、電気ヒータ71が強制的に作動停止されるので、電気ヒータ71の故障を抑制することができる。
【0076】
なお、上述の実施形態においては、図5を参照して説明したように、温度センサ8の検出値が第1規定値に到達したときに電気ヒータ71の表面にスケールが付着していると判定され、温度センサ8の検出値が第1規定値よりも高い第2規定値に到達したときに電気ヒータ71が過熱していると判定されることとした。判定部103は、温度センサ8の検出値の上昇率が第3規定値以上のときに電気ヒータ71の表面にスケールが付着していると判定し、温度センサ8の検出値の上昇率が第3規定値よりも高い第4規定値以上であるときに電気ヒータ71が過熱していると判定してもよい。温度センサ8の検出値の上昇率とは、単位時間当たりの温度センサ8の検出値の上昇量をいう。電気ヒータ71の表面にスケールが付着しているとき、スケールにより電気ヒータ71の放熱が阻害されるため、電気ヒータ71の温度は、ゆっくりと上昇する。一方、電気ヒータ71の発熱領域FAが水と接触しない状態になったとき、電気ヒータ71の温度は、急激に上昇する。そのため、判定部103は、温度センサ8の検出値の上昇率が第3規定値以上第4規定値未満のとき、すなわち、電気ヒータ71の温度がゆっくりと上昇していると判定したとき、電気ヒータ71の表面にスケールが付着していると判定することができる。また、判定部103は、温度センサ8の検出値の上昇率が第3規定値よりも高い第4規定値以上であるとき、すなわち、電気ヒータ71の温度が急激に上昇していると判定したとき、電気ヒータ71が過熱していると判定することができる。
【符号の説明】
【0077】
1…電気ボイラ、2…給水装置、3…下部管寄せ、3H…内部空間、4…水管、5…上昇管、6…上部管寄せ、6H…内部空間、7…ヒータ装置、8…温度センサ、9…水位検出装置、10…制御装置、10A…演算処理装置、10B…記憶装置、10C…入出力インターフェース、11…報知装置、12…電源、21…給水管、22…給水ポンプ、23…給水弁、24…排水管、25…排水弁、26…蒸気管、27…蒸気弁、71…電気ヒータ、72…フランジ、73…コネクタ、74…芯材、75…電熱線、76…収容部材、77…粉体、78…電極線、79…封止部材、91…検出容器、91H…内部空間、92…電極棒、92A,92B,92C…電極棒、93…下部連通管、94…上部連通管、101…温度データ取得部、102…水位データ取得部、103…判定部、104…給水制御部、105…報知制御部、106…電気ヒータ制御部、107…第1規定値記憶部、108…第2規定値記憶部、EG…境界、FA…発熱領域、NA…非発熱領域。
図1
図2
図3
図4
図5