【解決手段】ボイラ1は、バーナ15と、バーナ15に燃料ガスを供給する燃料供給ライン50と、燃料供給ライン50に配置される第1遮断弁51、第2遮断弁52、及び第1遮断弁51と第2遮断弁52との間に配置される圧力検知部53と、第1遮断弁51及び第2遮断弁52が閉止された状態において、圧力検知部53により所定の圧力低下が検知された場合に、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止してからの時間に基いて、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出する燃焼制御部81と、を備える。
前記燃焼制御部は、前記圧力検知部により所定の圧力低下が検知された場合、前記待機時間の経過後に着火要求があると、プレパージを行った後着火動作を開始する請求項1に記載のボイラ。
前記燃焼制御部は、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉止してから前記圧力検知部により所定の圧力低下が検知されるまでの時間が第1設定時間以下であった場合、着火動作への移行を不能とする請求項1又は2に記載のボイラ。
前記圧力検知部は、前記第1遮断弁の一次側と二次側との間に所定の差圧が生じた場合に動作する差圧スイッチにより構成される請求項1〜4のいずれかに記載のボイラ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案されたボイラでは、弁越し漏れの漏れ量として第一設定流量及び第一設定流量より小さい第二設定流量を設定し、第一設定流量を超える漏れが検出された場合には、その後の着火動作への移行を不能とし、第一設定流量以下かつ第二設定流量を超える漏れが検出された場合には第一安全待機時間の間はプレパージを行うことなく着火動作への移行を許容している。また、第二設定流量を超える漏れが検出されない場合には、第一安全待機時間よりも長い第二安全待機時間の間プレパージを行うことなく着火動作への移行を許容している。
これにより、安全性を確保しながら、プレパージなしの着火動作を実現し、ボイラの負荷追従性を向上させている。
【0005】
特許文献1で提案された技術では、漏れ量に応じて予め設定された第一安全待機時間の間のプレパージ、及び第二安全待機時間の間のプレパージを省略できるが、漏れ量に応じてより好適なプレパージなしでの着火動作可能時間の設定を行うことで、ボイラの負荷追従性をより向上させられる。
【0006】
従って、本発明は、弁越し漏れの漏れ量に応じて好適なプレパージなしでの着火動作可能時間の設定を行えるボイラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バーナと、前記バーナに燃料ガスを供給する燃料供給ラインと、前記燃料供給ラインに配置される第1遮断弁、第2遮断弁、及び前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間に配置される圧力検知部と、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が閉止された状態において、前記圧力検知部により所定の圧力低下が検知された場合に、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉止してからの時間に基いて、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出する燃焼制御部と、を備えるボイラに関する。
【0008】
また、前記燃焼制御部は、前記圧力検知部により所定の圧力低下が検知された場合、前記待機時間の経過後に着火要求があると、プレパージを行った後着火動作を開始することが好ましい。
【0009】
また、前記燃焼制御部は、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁を閉止してから前記圧力検知部により所定の圧力低下が検知されるまでの時間が第1設定時間以下であった場合、着火動作への移行を不能とすることが好ましい。
【0010】
また、前記圧力検知部は、設定圧力を下回った場合に動作する圧力スイッチにより構成され、前記圧力スイッチの動作を確認する動作確認部を更に備えることが好ましい。
【0011】
また、ボイラは、前記燃料供給ラインにおける前記第1遮断弁と前記第2遮断弁との間に接続されるガス逃がしラインと、前記ガス逃がしラインに配置されるガス逃がし弁と、を更に備え、前記第1遮断弁は、該第1遮断弁の閉止状態を確認する第1閉止確認スイッチを具備し、前記第2遮断弁は、該第2遮断弁の閉止状態を確認する第2閉止確認スイッチを具備することが好ましい。
【0012】
また、ボイラは、前記第1閉止確認スイッチ及び前記第2閉止確認スイッチの動作を確認する動作確認部と、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が閉止された場合に、前記第1閉止確認スイッチ及び前記第2閉止確認スイッチの閉状態継続時間をカウントし、前記第1閉止確認スイッチ又は前記第2閉止確認スイッチの閉状態継続時間のカウントが停止した場合にガス漏れが生じていると判定するガス漏れ判定部と、を更に備えることが好ましい。
【0013】
また、前記圧力検知部は、前記第1遮断弁の一次側と二次側との間に所定の差圧が生じた場合に動作する差圧スイッチにより構成されることが好ましい。
【0014】
また、ボイラは、前記第1遮断弁及び前記第2遮断弁が閉止された状態において燃焼開始要求があった場合に、前記第1遮断弁を閉止した状態で前記第2遮断弁を開放し、前記第2遮断弁を開放した後所定時間の間、前記差圧スイッチの動作が検出されない場合に前記第1遮断弁に漏洩が発生していると判定するガス漏れ判定部を更に備えることが好ましい。
【0015】
また、前記第1遮断弁は、該第1遮断弁の閉止状態を確認する第1閉止確認スイッチを具備し、前記ガス漏れ判定部は、前記第1閉止確認スイッチが閉状態で、かつ、前記差圧スイッチが動作しない場合に前記第1遮断弁に漏洩が発生していると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のボイラによれば、弁越し漏れの漏れ量に応じて好適なプレパージなしでの着火動作可能時間の設定を行える。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のボイラの好ましい各実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のボイラ1は、水を加熱して蒸気の生成を行う蒸気ボイラであり、負荷機器(図示せず)に蒸気を供給する。
本実施形態のボイラ1は、缶体10と、缶体10に燃焼用空気を送り込む送風機20と、缶体10と送風機20とを接続し燃焼用空気が流通する給気ダクト30と、缶体10から排出される燃焼ガス(排ガス)が流通する排気筒80と、缶体10に燃料ガスを供給する燃料供給ライン50と、缶体10に水を供給する給水ライン60と、燃料ガスや燃焼用空気の供給量等を制御する制御装置70と、を備える。
【0019】
缶体10は、ボイラ筐体11と、複数の水管12と、下部ヘッダ13と、上部ヘッダ14と、バーナ15と、を備える。
【0020】
ボイラ筐体11は、缶体10の外形を構成する。ボイラ筐体11の一側面には、給気口16が形成され、給気口16が形成された側面に対向する側面には、排気口17が形成される。
【0021】
複数の水管12は、ボイラ筐体11の内部に上下方向に延びて配置されると共に、ボイラ筐体11の長手方向及び幅方向に所定の間隔をあけて配置される。
【0022】
下部ヘッダ13は、ボイラ筐体11の下部に配置される。下部ヘッダ13には、複数の水管12の下端部が接続される。上部ヘッダ14は、ボイラ筐体11の上部に配置される。上部ヘッダ14には、複数の水管12の上端部が接続される。
【0023】
バーナ15は、給気口16に配置される。バーナ15によって燃料ガスと燃焼用空気との混合気が燃焼し、水管12の水が加熱されて蒸気が発生する。
【0024】
送風機20は、ファン及びこのファンを回転させるモータを有する送風機本体21と、ファン(モータ)の回転数を増減させるインバータ22と、を備える。送風機20は、インバータ22に入力される周波数に応じて、ファンが所定の回転数で回転することで、缶体10に燃焼用空気を送り込む。
【0025】
本実施形態では、負荷機器(図示省略)から要求される要求負荷に応じて燃焼用空気の流量が設定される。送風機20は、設定された燃料用空気の流量になるように制御装置70によってインバータ22を介して制御される。
【0026】
給気ダクト30は、燃料ガスと混合させる燃焼用空気を缶体10に供給する。給気ダクト30は、上流側の端部が送風機20に接続され、下流側の端部が給気口16に接続される。給気ダクト30は、送風機20から送り込まれた燃焼用空気を缶体10に供給する。
給気ダクト30には、ダンパ31が配置される。
【0027】
ダンパ31は、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を塞いだ閉状態と、この閉状態から90度回転し、給気ダクト30の内部の燃焼用空気の流路を開放した開状態との間で回転可能に配置される。
【0028】
排気筒80は、基端側が排気口17に接続され、筒状に形成される。この排気筒80を通じて缶体10で発生した燃焼ガス(排ガス)が缶体10の外部に排出される。
【0029】
燃料供給ライン50は、上流側が燃料供給源(図示せず)に接続され、下流側が給気ダクト30に接続される。燃料供給ライン50の下流側の端部は、給気ダクト30におけるダンパ31が配置された位置よりも下流側に接続される。
燃料供給ライン50には、第1遮断弁51と、第2遮断弁52と、圧力検知部としての圧力スイッチ53と、オリフィス54と、ノズル55と、が配置される。
【0030】
第1遮断弁51は、電磁弁等の開閉弁により構成される。第1遮断弁51は、燃料供給ライン50を開放又は閉止し、燃料ガスの供給及び停止を行う。
【0031】
第2遮断弁52は、第1遮断弁51の下流側に配置される。第2遮断弁52は、燃料供給ライン50を開放又は閉止して燃料ガスの供給及び停止を行うと共に、燃料供給ライン50を流通する燃料ガスの圧力(流量)を調整するガバナとしても機能する。
【0032】
圧力スイッチ53は、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間に配置され、燃料供給ライン50を流通する燃料ガスの圧力を検知する。本実施形態では、圧力スイッチ53は、燃料供給ライン50における第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の燃料ガスの圧力が、予め設定された圧力を下回った場合にオフとなる圧力スイッチにより構成される。
【0033】
オリフィス54は、燃料供給ライン50を流れる燃料ガスを減圧する燃料ガス減圧部材として機能する。オリフィス54は、燃料供給ライン50における第2遮断弁52の下流側に配置される。
【0034】
ノズル55は、燃料供給ライン50の下流側の端部に配置され、給気ダクト30への燃料ガスの噴出を行う。ノズル55から噴出された燃料ガスは、送風機20によって送られてきた燃焼用空気と混合され、この混合された混合気がバーナ15によって燃焼される。
【0035】
給水ライン60は、缶体10に水を供給する。給水ライン60の上流側は給水源(図示せず)に接続され、下流側は下部ヘッダ13に接続される。給水ライン60には、給水弁61が配置される。
【0036】
次に、制御装置70について説明する。制御装置70は、ボイラ1の燃焼状態を制御する制御部71と、各種の情報が記憶される記憶部72と、を備える。
制御装置70は、上述した各センサと電気的に接続され、これらのセンサからの信号及び負荷機器からの要求負荷に基づいて第1遮断弁51、第2遮断弁52及び送風機20等の制御を行い、ボイラ1の燃焼状態を制御する。また、制御装置70は、ボイラ1の燃焼状態に応じて給水弁61の開閉又は開度を調整し、水管12の水位を制御する。
【0037】
また、制御装置70は、ボイラ1の燃焼停止中(例えば、ポストパージ後)に、閉止された第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の圧力の低下の有無を判定することで、遮断弁からの燃料ガスの弁越し漏れの有無を判定する弁越し漏れ判定も行う。
ここで、本実施形態では、弁越し漏れ判定において、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の圧力の所定量の低下を検知した場合に、当該圧力の低下を検知するまでの経過時間に基いて、その後の燃焼開始時におけるプレパージなしでの着火動作可能時間の設定を行うことで、ボイラ1の負荷追従性をより向上させている。
【0038】
このような弁越し漏れ判定機能を実現するために、制御部71は、燃焼制御部81と、動作確認部82と、を備える。
【0039】
まず、弁越し漏れ判定を行う場合における燃焼制御部81の動作について説明する。
燃焼制御部81は、第1遮断弁51及び第2遮断弁52が閉止されてボイラ1の燃焼が停止された状態において、圧力スイッチ53により所定の圧力低下が検知された場合に、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止してからの時間に基いて、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出する。
【0040】
即ち、ボイラ1の燃焼が停止されて第1遮断弁51及び第2遮断弁52が閉止された場合、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の圧力は、ボイラ1の燃焼中(つまり燃料ガスが燃料供給ライン50を流通している状態)における圧力よりも高くなる。そして、弁越し漏れが発生していない状態では、その圧力は維持される。
一方、弁越し漏れが発生した場合には、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の圧力は徐々に低下していく。
【0041】
そこで、燃焼制御部81は、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間に配置され設定圧力を下回った場合に動作する圧力スイッチ53により第1遮断弁51と第2遮断弁52との間における所定の圧力低下を検知すると共に、当該圧力低下に要した時間を測定する。そして、燃焼制御部81は、燃料供給ライン50に供給される燃料ガスの供給圧力、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の燃料供給ライン50の容積に基づいて、単位時間当たりの燃料ガスの最大漏れ量を算出する。
【0042】
更に、燃焼制御部81は、算出された単位時間当たりの最大漏れ量で弁越し漏れが生じた場合に、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出する。この待機時間は、単位時間当たりの最大漏れ量、ボイラ1の容量(炉内容量)、及び燃料ガスの爆発下限界(LEL)に基いて算出される。例えば、待機時間は、最大漏れ量で弁越し漏れが生じた場合に、ボイラ1の内部(炉内)における燃焼ガス濃度がLELの1/4に到達するまでの時間として算出される。
【0043】
以上の制御を行うことで、ボイラ1の燃焼停止後、任意の時間t1が経過した状態で圧力スイッチ53が動作していない場合には、ボイラ1の内部に流入した燃焼ガスの量は、燃料ガスの爆発下限界には達していないと判定でき、時間t1経過時にボイラ1の着火要求があった場合に、プレパージを行うことなくボイラ1の燃焼を開始できる。
【0044】
また、時間t2が経過した時点で圧力スイッチ53が動作した場合には、その時点においてどの程度の燃料ガスの漏れが発生しているか判定でき、また、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出できる。よって、圧力スイッチ53が動作した場合であっても、燃焼停止からの経過時間が待機時間を超えない状態で着火要求があった場合には、プレパージを行うことなくボイラ1の燃焼を開始させられるので、安全性を損なうことなくボイラ1の負荷追従性を向上させられる。
【0045】
また、燃焼制御部81は、圧力スイッチ53により所定の圧力低下が検知された場合、待機時間の経過後に着火要求があると、プレパージを行った後着火動作を開始させる。
【0046】
また、燃焼制御部81は、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止してから圧力スイッチ53により所定の圧力低下が検知されるまでの時間が第1設定時間以下であった場合、着火動作への移行を不能とする。即ち、ボイラ1の燃焼停止後、短時間で圧力スイッチ53が動作する場合には、多量の弁越し漏れが生じており、弁に異常が生じている可能性が高い。このような場合にボイラ1の燃焼を不能とすることで、ボイラ1の安全性を更に向上させられる。第1設定時間は、例えば、圧力スイッチ53により圧力の低下を検知した時点において算出される燃料ガスの漏れ量が、ボイラ1の内部において爆発下限界(LEL)の1/4以上となる時間として設定できる。
【0047】
次に、動作確認部82について説明する。
動作確認部82は、圧力スイッチ53の動作を確認する。具体的には、動作確認部82は、圧力スイッチ53の入力状態(オン又はオフ)を定期的に確認することで、圧力スイッチ53が正常に動作しているかを確認する。即ち、本実施形態では、圧力スイッチ53は、設定圧力を下回った場合にオフとなり、設定圧力を上回った場合にオンとなる圧力スイッチにより構成される。そこで、圧力スイッチ53の動作圧力を燃焼停止時(第1遮断弁51及び第2遮断弁52の閉止時)の燃料ガスの圧力よりも低く、かつボイラ1の燃焼中における燃料ガスの圧力よりも高い圧力に設定することで、圧力スイッチ53を、ボイラ1の燃焼中にはオフ状態とし、燃焼停止時にはオン状態とできる。
これにより、例えば、ボイラ1の燃焼状態において圧力スイッチ53がオン状態であった場合、又はボイラ1の燃焼が停止した状態において圧力スイッチ53がオフ状態のままである場合には、圧力スイッチ53が正常に動作していないと判定できる。このように、動作確認部82は、定期的に圧力スイッチ53の入力状態を確認することで、圧力スイッチ53が正常に動作していることを確認できる。
【0048】
以上説明した本実施形態のボイラ1によれば、以下のような効果を奏する。
【0049】
ボイラ1を、燃料供給ライン50に配置され、第1遮断弁51と第2遮断弁52との間の圧力を検知する圧力スイッチ53と、この圧力スイッチ53により所定の圧力低下が検知された場合に、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止してからの時間に基いて、プレパージを行うことなく燃焼を開始させる待機時間を算出する燃焼制御部81を含んで構成した。これにより、遮断弁からの燃料ガスの弁越し漏れが発生した場合に、燃料ガスの漏れ量に応じて、ボイラ1の換気(プレパージ)を行うことなく安全に着火させられる待機時間を決定できる。よって、燃料ガスの弁越し漏れが発生した場合であっても好適な待機時間を設定できるので、安全性を損なうことなくプレパージなしでのボイラ1の着火を実現できる。
【0050】
また、燃焼制御部81に、圧力スイッチ53により圧力低下が検知された場合、算出された待機時間の経過後に着火要求があるとプレパージを行った後着火動作を開始させた。これにより、不要なパージ等を行うことなく、弁越し漏れがあった場合におけるボイラ1の着火時の安全性を向上させられる。
【0051】
また、燃焼制御部81に、第1遮断弁51及び第2遮断弁52を閉止してからの時間が第1設定時間以下であった場合、着火動作への移行を不能とさせた。これにより、弁越し漏れの漏れ量が多い場合にはボイラ1の燃焼を不能とできるので、ボイラ1の安全性を更に向上させられる。
【0052】
また、圧力スイッチ53を、設定圧力を下回った場合に動作する圧力スイッチにより構成し、ボイラ1を、圧力スイッチ53の動作を確認する動作確認部82を含んで構成した。これにより、圧力スイッチ53は、ボイラ1の燃焼中には燃料ガスの圧力が低下することでオフ状態となり、燃焼停止時には遮断弁の閉止により燃料ガスの圧力が上昇してオンとなる。よって、動作確認部82により定期的に圧力スイッチ53の動作を確認することで、圧力スイッチ53が正常に動作していることを確認できるので、ボイラ1の安全性をより向上させられる。
【0053】
次に、本発明の第2実施形態に係るボイラ1Aにつき、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
第2実施形態のボイラ1Aは、主として、ガス逃がしライン90を更に備える点、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Bの構成、並びに制御部71Aの構成において、第1実施形態と異なる。尚、第2実施形態以降の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0054】
第2実施形態のボイラ1Aは、第1実施形態の構成に加えて、ガス逃がしライン90及びガス逃がし弁91を更に備える。
ガス逃がしライン90は、一端が燃料供給ライン50における第1遮断弁51Aと第2遮断弁52Aとの間に接続され、他端側が開放される。
ガス逃がし弁91は、電磁弁等の開閉弁により構成され、ガス逃がしライン90に配置される。ガス逃がし弁91は、ガス逃がしライン90を開放又は閉止する。
【0055】
第2実施形態では、第1遮断弁51Aは、第1遮断弁51Aの閉止状態を確認する第1閉止確認スイッチ511Aを具備する。また、第2遮断弁52Aは、第2遮断弁52Aの閉止状態を確認する第2閉止確認スイッチ521Aを具備する、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aは、それぞれ、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aに内蔵された機械的な接点により構成される。
【0056】
また、第2実施形態では、制御部71Aは、燃焼制御部81A及び動作確認部82Aに加え、ガス漏れ判定部83Aを更に備える。
燃焼制御部81Aは、第1実施形態と同様の燃焼制御を行う。
動作確認部82Aは、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aの動作に加えて、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの動作を確認する。
【0057】
ガス漏れ判定部83Aは、ボイラ1Aの燃焼停止状態における第1遮断弁51A又は第2遮断弁52Aのガス漏れを判定する。具体的には、ガス漏れ判定部83Aは、燃焼制御部81Aにより第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aの閉止指示が出されて第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aが閉止された場合に、動作確認部82Aにより、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの閉止状態が確認されると、これら第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの閉止状態の継続時間をカウントする。そして、ガス漏れ判定部83Aは、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aに閉止指示が出されている状態において第1閉止確認スイッチ511A又は第2閉止確認スイッチ521Aの閉止状態継続時間のカウントが停止した場合に、ガス漏れが生じていると判定する。
【0058】
尚、制御部71Aは、ガス漏れ判定部83Aが、ガス漏れが生じていると判定した場合、ガス逃がし弁91を開放する。これにより、例えば、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aにおいてガス漏れが生じた場合に、第1遮断弁51Aを通過した燃料ガスをガス逃がしライン90を通じて外部に排出できるので、漏れた燃料ガスが缶体10に流入することを防げる。
【0059】
以上説明した第2実施形態のボイラ1Aによれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0060】
ボイラ1Aを、燃料供給ライン50における第1遮断弁51Aと第2遮断弁52Aとの間に接続されるガス逃がしライン90と、ガス逃がしライン90に配置されるガス逃がし弁91と、を含んで構成し、第1遮断弁51Aを、第1閉止確認スイッチ511Aを含んで構成し、第2遮断弁52Aを、第2閉止確認スイッチ521Aを含んで構成した。これにより、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aの閉止状態を、閉止確認スイッチにより確認できるので、ボイラ1Aの安全性をより向上させられる。
【0061】
また、制御部71Aを、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの動作を確認する動作確認部82Aと、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aが閉止された場合に、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの閉止状態継続時間をカウントし、第1閉止確認スイッチ511A又は第2閉止確認スイッチ521Aの閉止状態継続時間のカウントが停止した場合にガス漏れが生じていると判定するガス漏れ判定部83Aを含んで構成した。これにより、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aに閉止指示が出ている状態において、閉止確認スイッチによる閉止状態の確認ができなくなった場合に、速やかにガス漏れを判定できる。よって、ボイラ1Aの安全性を更に向上させられる。
【0062】
次に、本発明の第3実施形態に係るボイラ1Bについて、
図5及び
図6を参照しながら説明する。第3実施形態のボイラ1Bは、主として、圧力検知部の構成において、第1実施形態と異なる。第3実施形態では、圧力検知部は、燃料供給ライン50における第1遮断弁51Bの一次側と二次側との間に所定の差圧が発生した場合に動作する差圧スイッチ53Bにより構成される。また、第1遮断弁51Bは、第1遮断弁51Bの閉止状態を確認する第1閉止確認スイッチ511Bを具備する。
【0063】
また、第3実施形態では、制御部71Aは、第2実施形態と同様に、燃焼制御部81B、動作確認部82B及びガス漏れ判定部83Bを備える。
第3実施形態では、燃焼制御部81Bは、差圧スイッチ53Bにより、第1遮断弁51Bと第2遮断弁52Bとの間における所定の圧力低下を検知(差圧スイッチ53Bが動作)した場合に、当該圧力低下に要した時間を測定する。また、動作確認部82Bは、差圧スイッチ53Bの動作を確認する。
【0064】
また、第3実施形態では、ガス漏れ判定部83Bは、ボイラ1Bに燃焼要求があった場合に、着火動作開始前に第1遮断弁51Bのガス漏れ判定を行う。
このガス漏れ判定では、第1遮断弁51B及び第2遮断弁52Bが閉止された状態において燃焼要求があると、ガス漏れ判定部83Bは、まず、第1遮断弁51Bを閉止した状態で第2遮断弁52Bを開放し、所定時間の間差圧スイッチ53Bが動作するか否かを監視する。そして、ガス漏れ判定部83Bは、第2遮断弁52Bを開放した後所定時間の間、第1閉止確認スイッチ511Bが閉状態(第1遮断弁51Bの閉止状態を検出した状態)であり、かつ、差圧スイッチ53Bが動作しない(所定の差圧が生じない)場合に、第1遮断弁51Bに漏洩が発生していると判定する。
【0065】
即ち、第1遮断弁51Bを閉止した状態で第2遮断弁52Bを開放した場合、第1遮断弁51Bにガス漏れが発生していなければ、第1遮断弁51Bの二次側の圧力は低下するため、第1遮断弁51Bの一次側と二次側との間に差圧が発生し差圧スイッチ53Bが動作する。そこで、ガス漏れ判定部83Bは、第1遮断弁51Bを閉止した状態で第2遮断弁52Bを開放し、第2遮断弁52Bを開放した後所定時間の間、差圧スイッチ53Bが動作しない場合、第1遮断弁51Bにガス漏れが発生していると判定できる。
ガス漏れ判定部83Bにより第1遮断弁51Bのガス漏れが判定された場合、燃焼制御部81Bは、プレパージを行った後、着火動作を開始させる。また、制御部71Bは、第1遮断弁51Bにガス漏れが発生していることを報知する。
【0066】
以上説明した第3実施形態のボイラ1Bによれば、第1実施形態と同様の効果を奏する他、以下のような効果を奏する。
【0067】
圧力検知部を、第1遮断弁51Bの一次側と二次側との間に所定の差圧が生じた場合に動作する差圧スイッチ53Bにより構成し、制御部71Bを、第1遮断弁51Bを閉止した状態で第2遮断弁52Bを開放し、第2遮断弁52Bを開放した後所定時間の間、差圧スイッチ53Bの動作が検出されない場合に第1遮断弁51Bにガス漏れが発生していると判定するガス漏れ判定部83Bを含んで構成した。これにより、ボイラ1Bの燃焼を開始する前に、第1遮断弁51Bのガス漏れを判定できるので、ボイラ1Bの安全性をより向上できる。
【0068】
また、第1遮断弁51Bを、第1閉止確認スイッチ511Bを含んで構成し、ガス漏れ判定部83Bに、第1閉止確認スイッチ511Bが閉状態で、かつ、差圧スイッチ53Bが動作しない場合に第1遮断弁51Bに漏洩が発生していると判定させた。これにより、第1閉止確認スイッチ511Bの動作及び差圧スイッチ53Bの動作に基づいて、第1遮断弁51Bのガス漏れを判定できるので、ガス漏れ判定の精度をより向上させられる。
【0069】
以上、本発明のボイラの好ましい各実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、圧力検知部として圧力スイッチ53を用いたが、これに限らない。即ち、圧力検知部として圧力センサを用いてもよい。
【0070】
また、第3実施形態では、圧力検知部として差圧スイッチ53Bを用いたが、これに限らない。即ち、圧力検知部として差圧センサを用いてもよい。
【0071】
また、第2実施形態では、ガス漏れ判定部83Aに、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aが閉止された場合に、第1閉止確認スイッチ511A及び第2閉止確認スイッチ521Aの閉状態継続時間をカウントさせ、第1閉止確認スイッチ511A又は第2閉止確認スイッチ521Aの閉状態継続時間のカウントが停止した場合にガス漏れが生じていると判定させたが、これに限らない。即ち、ガス漏れ判定部に、第1遮断弁51A及び第2遮断弁52Aが閉止された場合に、第1閉止確認スイッチ511A又は第2閉止確認スイッチ521Aの閉状態が維持されているかを監視させ、第1閉止確認スイッチ511A又は第2閉止確認スイッチ521Aが開状態となった場合(つまり、機械的な接点がオフとなり遮断弁の閉止状態が解除された場合)に、ガス漏れが生じていると判定させてもよい。