【解決手段】液晶表示装置1は、第1液晶セル10と、第1液晶セル10の背面側に配置された第2液晶セル20と、第1液晶セル10の前面側に配置された第1偏光板31と、第1液晶セル10と第2液晶セルとの間に配置された第2偏光板32と、第2偏光板32と第2液晶セル20との間に配置された第3偏光板33と、第2液晶セル20の背面側に配置された第4偏光板34とを備え、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の偏光度を、P1、P2、P3、P4とすると、P1>P2、P3、P4の関係式、P4>P1、P2、P3の関係式、及び、P1、P4>P2、P3の関係式のいずれかを満たす。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、及び、構成要素の配置位置や接続形態などは、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。したがって、各図において縮尺等は必ずしも一致していない。なお、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。なお、本明細書において、「略」とは、製造誤差や寸法公差等を含むという意味である。
【0012】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1に係る液晶表示装置1について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施の形態1に係る液晶表示装置1の概略構成を示す図である。
【0013】
液晶表示装置1は、液晶セルを含む表示パネルを複数重ね合わせて構成された画像表示装置の一例であって、静止画像又は動画像の画像(映像)を表示する。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態における液晶表示装置1は、観察者に近い位置(前側)に配置された第1表示パネル100と、第1表示パネル100より観察者から遠い位置(後側)に配置された第2表示パネル200と、第2表示パネル200の後側に配置されたバックライト300とを備える。
【0015】
第1表示パネル100は、メインパネルであって、ユーザが視認する画像を表示する。本実施の形態において、第1表示パネル100は、カラー画像を表示する。第1表示パネル100には、入力映像信号に応じたカラー画像を第1画像表示領域101(アクティブ領域)に表示するために、第1ソースドライバ102及び第1ゲートドライバ103が設けられている。
【0016】
第2表示パネル200は、第1表示パネル100の背面側に配置されるサブパネルである。本実施の形態において、第2表示パネル200は、第1表示パネル100に表示されるカラー画像に対応した画像のモノクロ画像(白黒画像)を、そのカラー画像に同期させて表示する。第2表示パネル200には、入力映像信号に応じたモノクロ画像を第2画像表示領域201に表示するために、第2ソースドライバ202及び第2ゲートドライバ203が設けられている。
【0017】
第1画像表示領域101及び第2画像表示領域201は、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。第1画像表示領域101の画素数と第2画像表示領域201の画素数とは同じであってもよいし異なっていてもよいが、メインパネルである第1表示パネル100における第1画像表示領域101の画素数を、サブパネルである第2表示パネル200における第2画像表示領域201の画素数よりも多くするとよい。
【0018】
また、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の駆動方式は、例えばIPS(In Plane Switching)方式又はFFS(Fringe Field Switching)方式等の横電界方式であるが、これに限るものではなく、VA(Vertical Alignment)方式又はTN(Twisted Nematic)方式等であってもよい。
【0019】
バックライト300は、第1表示パネル100及び第2表示パネル200に向けて光を照射する。バックライト300から出射する光は、第2表示パネル200を透過し、その後、第1表示パネル100を透過する。
【0020】
本実施の形態において、バックライト300は、平面状の均一な拡散光(散乱光)を照射する面光源ユニットである。バックライト300は、例えば、LED(Light Emitting Diode)を光源とするLEDバックライトであるが、これに限るものではない。また、本実施の形態において、バックライト300は、直下型であり、複数のLEDが二次元的に配置されている。
【0021】
なお、バックライト300は、直下型に限るものではなく、エッジ型であってもよい。また、バックライト300は、光源からの光を拡散させるために拡散板(拡散シート)及び光の配光を制御するプリズムシート等の光学部材を有していてもよい。
【0022】
液晶表示装置1は、さらに、第1表示パネル100の第1ソースドライバ102及び第1ゲートドライバ103を制御する第1タイミングコントローラ410と、第2表示パネル200の第2ソースドライバ202及び第2ゲートドライバ203を制御する第2タイミングコントローラ420と、第1タイミングコントローラ410及び第2タイミングコントローラ420に画像データを出力する画像処理部430とを備える。
【0023】
画像処理部430は、外部のシステム(図示せず)から送信された入力映像信号Dataを受信し、画像処理を実行した後、第1タイミングコントローラ410に第1画像データDAT1を出力し、第2タイミングコントローラ420に第2画像データDAT2を出力する。また画像処理部430は、第1タイミングコントローラ410及び第2タイミングコントローラ420に同期信号等の制御信号(
図1では省略)を出力する。第1画像データDAT1は、カラー表示用の画像データであり、第2画像データDAT2は、モノクロ表示用の画像データである。
【0024】
このように、本実施の形態に係る液晶表示装置1では、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の2つの表示パネルを重ね合わせて画像を表示しているので、黒を引き締めることができる。これにより、高コントラスト比の画像を表示することができる。
【0025】
また、液晶表示装置1は、例えばHDR(High Dynamic Range)対応テレビであり、バックライト300として、ローカルディミング制御を行うことができるバックライトを用いることにより、さらに高コントラスト比かつ高画質のカラー画像を表示することができる。
【0026】
本実施の形態において、第1表示パネル100及び第2表示パネル200は、貼り合わされた状態で、バックライト300とともに、金属製又は樹脂製の保持部材(フレーム又はシャーシ)に保持される。なお、第1表示パネル100及び第2表示パネル200は、貼り合わされずに、分離された状態で保持部材に保持されていてもよい。
【0027】
次に、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の具体的な構造について、
図2を用いて説明する。
図2は、実施の形態1に係る液晶表示装置1の構成を示す断面図である。
【0028】
図2に示すように、液晶表示装置1は、液晶モジュールとして、第1表示パネル100と、第2表示パネル200とを備える。本実施の形態において、第1表示パネル100と第2表示パネル200とは、粘着シート等の接合部材250によって貼り合わされている。
【0029】
第1表示パネル100及び第2表示パネル200は、液晶セルを含む液晶表示パネルである。具体的には、第1表示パネル100は、第1液晶セル10と、一対の第1偏光板31及び第2偏光板32とを有する。また、第2表示パネル200は、第2液晶セル20と、一対の第3偏光板33及び第4偏光板34とを有する。
【0030】
第2表示パネル200は、第1表示パネル100の背面側に配置されるので、第2表示パネル200の第2液晶セル20は、第1表示パネル100の第1液晶セル10の背面側に配置されている。
【0031】
第1液晶セル10は、第1TFT(Thin Film Transistor)基板11と、第1TFT基板11に対向する第1対向基板12と、第1TFT基板11及び第1対向基板12の間に配置された第1液晶層13とを備える。本実施の形態において、第1液晶セル10は、第1対向基板12が第1TFT基板11よりも前方に位置するように配置されている。
【0032】
第1TFT基板11は、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。TFT層には、マトリクス状に配列された画素の各々に対応して設けられたTFT及びTFTに電圧を供給するための配線等が形成されている。TFT層の平坦化層上には、第1液晶層13に電圧を印加するための画素電極が形成されている。本実施の形態において、第1液晶セル10は、横電界方式で駆動されるので、第1TFT基板11には画素電極に対向する共通電極も形成されている。
【0033】
第1対向基板12は、ガラス基板等の透明基板に画素形成層としてカラーフィルタ層が形成されたCF基板である。第1対向基板12の画素形成層は、マトリクス状の複数の開口部が形成されたブラックマトリクスと、ブラックマトリクスの各開口部に形成された複数のカラーフィルタを有する。複数のカラーフィルタは、赤色用のカラーフィルタ、緑色用のカラーフィルタ、又は、青色用のカラーフィルタであり、各画素に対応して形成されている。
【0034】
第1液晶層13は、第1TFT基板11と第1対向基板12との間に封止されている。第1液晶層13は、例えば、第1TFT基板11及び第1対向基板12の外周端部に沿ってシール部材を額縁状に形成することで封止される。第1液晶層13の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。
【0035】
第2液晶セル20は、第2TFT基板21と、第2TFT基板21に対向する第2対向基板22と、第2TFT基板21及び第2対向基板22の間に配置された第2液晶層23とを備える。本実施の形態において、第2液晶セル20は、第2対向基板22が第2TFT基板21よりも前方に位置するように配置されている。なお、第2液晶セル20は、第2TFT基板21が第2対向基板22よりも前方に位置するように配置されていてもよい。
【0036】
第2TFT基板21は、第1TFT基板11と同様の構成であり、ガラス基板等の透明基板にTFT層(不図示)が形成された基板である。また、第2TFT基板21にも第2液晶層23に電圧を印加するための画素電極と画素電極に対向する共通電極とが形成されている。
【0037】
第2対向基板22は、ガラス基板等の透明基板に画素形成層が形成された基板である。第2対向基板22の画素形成層は、マトリクス状の複数の開口部が形成されたブラックマトリクスを有する。なお、本実施の形態において、第2表示パネル200はモノクロ画像を表示するので、第2対向基板22の画素形成層には、カラーフィルタが形成されていない。
【0038】
第2液晶層23は、第2TFT基板21と第2対向基板22との間に封止されている。第2液晶層23は、例えば、第2TFT基板21及び第2対向基板22の外周端部に沿ってシール部材を額縁状に形成することで封止される。第2液晶層23の液晶材料は、駆動方式に応じて適宜選択することができる。
【0039】
上記のように、液晶表示装置1には、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板が用いられている。第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34は、観察者側からバックライト300に向かって、この順で配置されている。
【0040】
本実施の形態において、第1偏光板31及び第2偏光板32は、第1液晶セル10を挟むように配置されている。また、第3偏光板33及び第4偏光板34は、第2液晶セル20を挟むように配置されている。
【0041】
具体的には、第1偏光板31は、第1液晶セル10の前面側(観察者側)に配置されており、第2偏光板32は、第1液晶セル10の背面側(バックライト300側)に配置されている。また、第3偏光板33は、第2液晶セル20の前面側に配置されており、第4偏光板34は、第2液晶セル20の背面側に配置されている。
【0042】
第2偏光板32及び第3偏光板33は、いずれも第1液晶セル10と第2液晶セル20との間に配置されているが、第2偏光板32の方が第3偏光板33よりも観察者側に位置している。つまり、第2偏光板32は、第1液晶セル10と第3偏光板33との間に配置され、第3偏光板33は、第2偏光板32と第2液晶セル20との間に配置されている。
【0043】
また、第4偏光板34は、第2液晶セル20の背面側に配置されている。つまり、第4偏光板34は、第2液晶セル20とバックライト300との間に配置されている。
【0044】
本実施の形態において、第1偏光板31及び第2偏光板32は、第1液晶セル10に貼り合わされている。具体的には、第1偏光板31は、第1液晶セル10の第1対向基板12の外面に貼り合わされており、第2偏光板32は、第1液晶セル10の第1TFT基板11の外面に貼り合わされている。
【0045】
また、第3偏光板33及び第4偏光板34は、第2液晶セル20に貼り合わされている。具体的には、第3偏光板33は、第2液晶セル20の第2対向基板22の外面に貼り合わされており、第4偏光板34は、第2液晶セル20の第2TFT基板21の外面に貼り合わされている。
【0046】
第1偏光板31と第2偏光板32とは、偏光軸が互いに直交するように配置されている。つまり、第1偏光板31と第2偏光板32とは、クロスニコルの位置関係となるように配置されている。同様に、第3偏光板33と第4偏光板34とは、偏光軸が互いに直交するように配置されている。つまり、第3偏光板33と第4偏光板34とは、クロスニコルの位置関係となるように配置されている。
【0047】
さらに、本実施の形態では、第2偏光板32の偏光軸と第3偏光板33の偏光軸とが略平行となるように、第2偏光板32と第3偏光板33とが配置されている。したがって、第1偏光板31と第4偏光板34とは、第1偏光板31の偏光軸と第4偏光板34の偏光軸とが略平行となるように配置されている。具体的には、第2偏光板32の吸収軸と第3偏光板33の吸収軸とが略平行であり、第1偏光板31の吸収軸と第4偏光板34の吸収軸とが略平行となっている。
【0048】
第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板の各々は、例えば樹脂材料からなるシート状の偏光フィルムであり、基材と基材に積層された偏光子とを含む。基材は、例えば、TAC(Triacetylcellulose:トリアセチルセルロース)フィルム等の透明樹脂フィルムからなる支持フィルムである。偏光子は、例えばヨウ素等の二色性物質が吸着配向された樹脂層である。
【0049】
本実施の形態において、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34は、偏光度に関して所定の関係を満たすように構成されている。具体的には、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の偏光度を、P1、P2、P3、P4とすると、P1>P2、P3、P4の関係式、P4>P1、P2、P3の関係式、及び、P1、P4>P2、P3の関係式のいずれかを満たしている。
【0050】
つまり、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板において、第1偏光板31及び第4偏光板34の少なくとも一方の偏光度が、他の3つの偏光板の偏光度よりも大きくなっている。言い換えると、第2偏光板32の偏光度及び第3偏光板33の偏光度は、第1偏光板31及び第4偏光板34の少なくとも一方の偏光度よりも小さくなっている。
【0051】
一例として、4つの偏光板の中で第1偏光板31の偏光度P1が最も大きい場合は、P1≧99.99%、かつ、99.65%≦P2、P3、P4<99.99%、であるとよい。この場合、P2、P3、P4は、P1よりも小さければ、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0052】
なお、偏光度とは、偏光性能(直線偏光化する性能)を表す指標であり、次の式(1)により算出される。
【0053】
P(偏光度)=√{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}×100(%)
=(Tt−Ta)/(Tt+Ta)×100% … (1)
【0054】
ここで、Tpは、いわゆるパラレル透過率であり、対象となる偏光板を一対準備し、一対の偏光板をパラレルニコルに配置した状態での自然光に対する透過率を示す。例えば、第1偏光板31のパラレル透過率Tpの場合、第1偏光板31と同一部材からなる一対の偏光板を、パラレルニコルに配置した状態で自然光に対する透過率を測定した値となる。また、Tcは、いわゆるクロス透過率であり、対象となる偏光板を一対準備し、一対の偏光板を直交ニコル(クロスニコル)に配置した状態での自然光に対する透過率を示す。
【0055】
また、Ttは、透過軸方向の単体透過率であり、対象となる偏光板に、透過軸に平行な直線偏光を入射させたときの透過率をいい、Taは、吸収軸方向の単体透過率であり、対象となる偏光板に、吸収軸に平行な直線偏光を入射させたときの透過率をいう。
【0056】
一方、4つの偏光板の中で第4偏光板34の偏光度P4が最も大きい場合は、P4≧99.99%、かつ、99.65%≦P1、P2、P3<99.99%、であるとよい。この場合、P1、P2、P3は、P4よりも小さければ、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0057】
あるいは、4つの偏光板の中で第1偏光板31と第4偏光板34との偏光度を、第2偏光板32と第3偏光板33との偏光度よりも大きくする場合は、P1、P4≧99.99%、かつ、99.58%≦P2、P3<99.99%、であるとよい。この場合、P1とP4は、同じであってもよいし、異なっていてもよく、P2とP3も、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0058】
本実施の形態で用いられる4つの偏光板は、偏光度が低いほど単体透過率が高くなる特性を有する偏光フィルムである。したがって、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の単体透過率を、Tm1、Tm2、Tm3、Tm4とすると、4つの偏光板の偏光度が、P1>P2、P3、P4の関係式を満たしている場合、4つの偏光板の単体透過率は、Tm1<Tm2、Tm3、Tm4の関係式を満たすことになる。なお、偏光板の単体透過率Tmとは、なお、対象となる偏光板に自然光を入射させたときの透過率をいい、次の式(2)で表される。
【0060】
同様に、P4>P1、P2、P3の関係式を満たしている場合は、Tm4<Tm1、Tm2、Tm3の関係式を満たすことになり、P1、P4>P2、P3の関係式を満たしている場合は、Tm1、Tm4<Tm2、Tm3の関係式を満たすことになる。
【0061】
本実施の形態において、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板はいずれも、透過する光の2つの直交成分のうちの一方を吸収軸で吸収し、他方を透過軸で透過することで偏光する吸収型偏光板である。したがって、4つの偏光板の単体透過率は、いずれも50%未満である。
【0062】
また、第1偏光板31の偏光子、第2偏光板32の偏光子、第3偏光板33の偏光子及び第4偏光板34の偏光子の各々の厚みを、d1、d2、d3、d4とすると、d1、d4>d2、d3の関係式を満たしている。
【0063】
なお、本実施の形態では、第1偏光板31が貼り合わされた第1液晶セル10は、第4偏光板34が貼り合わされた第2液晶セル20よりも観察者側に位置している。このため、観察者が見る画像の品位を考慮すると、第1偏光板31の偏光度P1を第4偏光板34の偏光度P4よりも大きくするとよい(P1>P4)。したがって、本実施の形態における液晶表示装置1では、P1=99.99%、P2=P3=P4=99.96%としている。
【0064】
次に、本実施の形態に係る液晶表示装置1の作用効果について、本開示に至った経緯も含めて説明する。
【0065】
上述のように、前後に2枚の表示パネルを重ね合わせて、前方側の表示パネルにカラー画像を表示し、後方側の表示パネルに白黒画像を表示することにより、コントラスト比を向上させることができる。例えば、1つの表示パネルのコントラスト比が1000:1以上である場合、2枚の表示パネルを重ね合わせることによって、100万:1以上の高いコントラスト比を実現することができる。
【0066】
しかしながら、液晶表示装置では、表示パネルにバックライトの光を透過させることで画像を表示するので、2枚の表示パネルを重ね合わせると、バックライトの光は2枚の表示パネルを透過することになるので、液晶表示装置としての透過率が低下する。この結果、1つの表示パネルで構成された液晶表示装置と比べて、表示画像の輝度が低下する。
【0067】
そこで、本願発明者らは、2つの表示パネルの各々の液晶セルを挟む一対の偏光板(つまり4つの偏光板)を透過する光に着目して、高いコントラスト比を維持しつつ透過率の低下を抑制できる液晶表示装置を検討した。以下、その具体的な検討内容について、
図3を用いて説明する。
【0068】
図3は、
図2に示される液晶表示装置と同様に、2つの液晶セル(第1液晶セル10、第2液晶セル20)と4つの偏光板(第1偏光板31〜第4偏光板34)とを用いた液晶表示装置において、2つの液晶セルに黒画像を表示した場合に、観察者側に漏れ出てくる光の成分を説明するための図である。
図3の(a)は、最も観察者側に配置された第1偏光板31の透過軸側から出てくる漏れ光を示しており、
図3の(b)は、同第1偏光板31の吸収軸側から出てくる漏れ光を示している。なお、
図3では、バックライトは省略している。
【0069】
図3において、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板は、いずれも吸収型偏光板であり、それぞれ吸収軸と吸収軸に直交する透過軸とを有する。Ta1、Ta2、Ta3、Ta4は、それぞれ、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の吸収軸方向の単体透過率(以下、単に吸収軸方向の透過率という)を示している。つまり、Ta1、Ta2、Ta3、Ta4が低ければ低いほど、各偏光板から漏れ出てくる光の量は小さくなり、液晶表示装置としてのコントラスト比は高くなる。また、
図3において、Tt1、Tt2、Tt3、Tt4は、それぞれ、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の透過軸方向の単体透過率(以下、単に透過軸方向の透過率という)を示しているが、ここでは、各偏光板の透過軸方向の単体透過率Tt1〜Tt4は、いずれも100%であると仮定している。
【0070】
ここで、白表示の透過率は、ほぼ偏光板の透過軸を通る光のみで決まる。自然光は、偏光板の透過軸に平行な偏光成分の光の光量と偏光板の透過軸に垂直な偏光成分の光の光量とが等しいとみなせるから、表示パネルに入射する自然光のうち、偏光板の透過軸に平行な偏光成分の光の光量及び偏光板の吸収軸に平行な偏光成分の光の光量をそれぞれ1とすると、白表示時の光量は1となる。この条件で黒表示時に表示パネルから漏れ出てくる光を特定すれば、1(白表示時の光量)/(黒表示時に表示パネルから漏れ出てくる光)でコントラストが求められる。
【0071】
表示パネルを透過する際に光の一部は散乱するので、黒表示時に表示パネルから漏れ出てくる光としては、散乱漏れに依存するものもある。
図3において、散乱漏れは、傾斜線で示している。なお、散乱漏れは、偏光板の吸収軸の吸収率及び透過率に関係なく発生する。なお、
図3において、4つの偏光板の偏光度は、全て同じである。
【0072】
そして、第1偏光板31から出てくる漏れ光を考えた場合、まず、
図3の(a)に示すように、第1偏光板31の透過軸側から出てくる漏れ光がある。第1偏光板31の透過軸側から出てくる漏れ光としては、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第3漏れ光L3及び第4漏れ光L4の4種類の漏れ光が考えられる。
【0073】
第1漏れ光L1は、第4偏光板34の透過軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の透過軸を透過し、第3偏光板33の吸収軸を透過し、第2偏光板32の吸収軸を透過し、第1偏光板31の透過軸を透過して漏れ出てくる光である。上記のように透過軸方向の透過率Tt1は100%とし、第4偏光板34の透過軸に平行な偏光成分の光量を1であると仮定しているので、第1漏れ光L1の大きさは、第3偏光板33の吸収軸方向の透過率(Ta3)と第2偏光板32の吸収軸方向の透過率(Ta2)とに依存し、より具体的にはこれらの積となる。
【0074】
第2漏れ光L2は、第4偏光板34の吸収軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の吸収軸を透過し、第3偏光板33の透過軸を透過し、第2偏光板32の透過軸を透過し、第1表示パネル100で散乱漏れして第1偏光板31の透過軸を透過して漏れ出てくる光である。上記のように透過軸方向の透過率Ttは100%とし、第4偏光板34の吸収軸に平行な偏光成分の光量を1であると仮定しているので、第2漏れ光L2の大きさは、第4偏光板34の吸収軸方向の透過率(Ta4)と第1表示パネル100の散乱漏れとに依存する。
【0075】
第3漏れ光L3は、第4偏光板34の透過軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の透過軸を透過し、第2表示パネル200で散乱漏れして第3偏光板33の透過軸を透過し、第2偏光板32の透過軸を透過して第1表示パネル100で散乱漏れし、第1偏光板31の透過軸を透過して漏れ出てくる光である。したがって、第3漏れ光L3の大きさは、第2表示パネル200の散乱漏れと第1表示パネル100の散乱漏れとに依存する。第3漏れ光L3は、4つの偏光板のいずれの吸収軸も透過せずに漏れ出てくる光である。
【0076】
第4漏れ光L4は、第4偏光板34の吸収軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の吸収軸を透過して第2表示パネル200で散乱漏れし、第3偏光板33の吸収軸を透過し、第2偏光板32の吸収軸を透過し、第1偏光板31の透過軸を透過して漏れ出てくる光である。したがって、第4漏れ光L4の大きさは、第4偏光板34の吸収軸方向の透過率(Ta4)と、第2表示パネル200の散乱漏れと、第3偏光板33の吸収軸方向の透過率(Ta3)と、第2偏光板32の吸収軸方向の透過率(Ta2)とに依存する。
【0077】
なお、第4漏れ光L4は、第4偏光板34、第3偏光板33及び第2偏光板32の3つの偏光板の吸収軸を透過するので、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2及び第3漏れ光L3と比べて、吸収による光の減衰が大きい。したがって、第4漏れ光L4は、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2及び第3漏れ光L3と比べて、光の漏れ量が非常に小さく、コントラスト比への影響は極めて小さい。したがって、コントラスト比の検討をするにあたり、第4漏れ光L4は無視することができる。
【0078】
このように、第1偏光板31の透過軸側から出てくる光のうちコントラスト比に影響を与える漏れ光は、第1漏れ光L1(Ta3×Ta4)、第2漏れ光L2(Ta4×散乱漏れ)及び第3漏れ光L3(散乱漏れ×散乱漏れ)である。
【0079】
また、第1偏光板31から出てくる漏れ光としては、
図3の(b)に示すように、第1偏光板31の吸収軸側から出てくる漏れ光がある。第1偏光板31の吸収軸側から出てくる漏れ光としては、第5漏れ光L5、第6漏れ光L6、第7漏れ光L7及び第8漏れ光L8の4種類の漏れ光が考えられる。
【0080】
第5漏れ光L5は、第4偏光板34の吸収軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の吸収軸を透過し、第3偏光板33の透過軸を透過し、第2偏光板32の透過軸を透過し、第1偏光板31の吸収軸を透過して漏れ出てくる光である。したがって、第5漏れ光L5の大きさは、第4偏光板34の吸収軸方向の透過率(Ta4)と第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta4)とに依存する。
【0081】
第6漏れ光L6は、第4偏光板34の透過軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の透過軸を透過して第2表示パネル200で散乱漏れし、第3偏光板33の透過軸を透過し、第2偏光板32の透過軸を透過し、第1偏光板31の吸収軸を透過して漏れ出てくる光である。したがって、第6漏れ光L6の大きさは、第2表示パネル200の散乱漏れと第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta1)とに依存する。
【0082】
第7漏れ光L7は、第4偏光板34の透過軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の透過軸を透過し、第3偏光板33の吸収軸を透過し、第2偏光板32の吸収軸を透過して第1表示パネル100で散乱漏れし、第1偏光板31の吸収軸から漏れ出てくる光である。したがって、第7漏れ光L7の大きさは、第3偏光板33の吸収軸方向の透過率(Ta3)と、第2偏光板32の吸収軸方向の透過率(Ta2)と、第1表示パネル100の散乱漏れと、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta1)とに依存する。
【0083】
第8漏れ光L8は、第4偏光板34の吸収軸に平行な偏光成分の光が第4偏光板34の吸収軸を透過して第2表示パネル200で散乱漏れし、第3偏光板33の吸収軸を透過し、第2偏光板32の吸収軸を透過して第1表示パネル100で散乱漏れし、第1偏光板31の吸収軸から漏れ出てくる光である。したがって、第8漏れ光L8の大きさは、第4偏光板34の吸収軸方向の透過率(Ta4)と、第2表示パネル200の散乱漏れと、第3偏光板33の吸収軸方向の透過率(Ta3)と、第2偏光板32の吸収軸方向の透過率(Ta2)と、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta1)とに依存する。
【0084】
なお、第7漏れ光L7は、第3偏光板33、第2偏光板32及び第1偏光板31の3つの偏光板の吸収軸を透過する。また、第8漏れ光L8は、第4偏光板34、第3偏光板33、第2偏光板32及び第1偏光板31の4つの偏光板の吸収軸を透過する。このため、第7漏れ光L7及び第8漏れ光L8は、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6と比べて、吸収による光の減衰が大きい。したがって、第7漏れ光L7及び第8漏れ光L8は、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6と比べて、光の漏れ量が非常に小さく、コントラスト比への影響は極めて小さい。したがって、コントラスト比の検討をするにあたり、第7漏れ光L7及び第8漏れ光L8は無視することができる。
【0085】
このように、第1偏光板31の吸収軸側から出てくる光のうちコントラスト比に影響を与える漏れ光は、第5漏れ光L5(Ta4×Ta3)及び第6漏れ光L6(散乱漏れ×Ta1)である。
【0086】
以上より、第1偏光板31から出てくる光のうちコントラスト比に影響を及ぼす漏れ光は、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第3漏れ光L3、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6であり、下記の式(3)で表される。
【0087】
黒表示時の漏れ光=第1漏れ光L1(Ta3×Ta2)+第2漏れ光L2(Ta4×散乱漏れ)+第3漏れ光L3(散乱漏れ×散乱漏れ)+第5漏れ光L5(Ta4×Ta3)+第6漏れ光L6(散乱漏れ×Ta1) … (3)
【0088】
ここで、一対の偏光板のコントラスト比はTp/Tcで表されるが、一般的には数万:1以上(例えば、10000〜50000:1)である。にもかかわらず、液晶セルを一対の偏光板で挟んだ構造の1つの表示パネルのコントラスト比が数千:1程度にとどまるのは、一対の偏光板のうちの一方の偏光板の透過軸から他方の偏光板の透過軸に向かって散乱漏れする光が存在するからである。つまり、偏光板の吸収軸を通らずに漏れ出てくる光が存在するからである。したがって、1つの表示パネルのコントラスト比は、散乱漏れによって一対の偏光板の各々の透過軸を通って漏れ出てくる光が支配的となって決定される。この場合、例えば一対の偏光板のコントラスト比が数万:1であるにもかかわらず、一方の偏光板の透過軸から他方の偏光板の透過軸への散乱漏れによって、1/1500程度の光が漏れ出てくるため、液晶セルを一対の偏光板で挟んだ構造の1つの表示パネルのコントラスト比は、1000:1程度にとどまる。
【0089】
このように、1つの表示パネルのコントラスト比は、散乱漏れによる光のうち一対の偏光板のいずれの吸収軸を透過することなく漏れ出てくる光によって決まる。
【0090】
このことは、
図3に示すように、第1表示パネル100と第2表示パネル200との2つの液晶表示パネルを用いた場合も同様である。そうすると、コントラスト比に影響を及ぼす5つの漏れ光(第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第3漏れ光L3、第5漏れ光L5、第6漏れ光L6)のうち、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板のいずれの吸収軸を透過することなく漏れ出てくる光は、第3漏れ光L3である。つまり、第1表示パネル100と第2表示パネル200との2つの液晶表示パネルを用いた液晶表示装置のコントラスト比は、第3漏れ光L3が支配的となって決まる。例えば、1つの表示パネルの散乱漏れによって1/1500程度の光が漏れ出てくる場合、2つの表示パネルの散乱漏れに依存する第3漏れ光L3として、(1/1500)×(1/1500)=1/225万程度の光が漏れ出てくる。
【0091】
しかも、表示パネルにおける散乱漏れは、偏光板の吸収軸に関係なく発生し、偏光板の吸収軸方向の透過率に依存しない。つまり、散乱漏れのみに依存する第3漏れ光L3は、4つの偏光板に関係なく漏れ出てくる光であり、第3漏れ光L3は、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34では、制御することができない。
【0092】
一方、残りの4つの漏れ光(第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6)の大きさは、偏光板の吸収軸方向の透過率に依存する。
【0093】
ここで、従来の一対の偏光板のコントラスト比は、上述のとおり数万:1以上であり、例えば一対の偏光板のコントラスト比が1万:1の場合、偏光度Pが99.99%の一対の偏光板の組み合わせに相当する。また、1つの表示パネルの散乱漏れによって1/1500程度の光が漏れ出てくる。
【0094】
このため、例えば、偏光度P=99.99%の一対の偏光板に挟まれた表示パネルにおいて、Ttを100%とみなすと、上記の式(1)より、Ta=1/19999≒1/2万となる。1つの表示パネルの散乱漏れによって1/1500程度の光が漏れ出てくるとすると、偏光板の吸収軸方向の透過率と表示パネルの散乱漏れとに依存する第2漏れ光L2及び第6漏れ光L6として、(1/1500)×(1/2万)=1/3000万程度の光が漏れ出てくる。また、2つの偏光板の吸収軸方向の透過率に依存する第1漏れ光L1及び第5漏れ光L5として、(1/2万)×(1/2万)=1/4億程度の光が漏れ出てくる。
【0095】
したがって、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6の大きさは、第3漏れ光L3の大きさと比べて小さい。
【0096】
つまり、第1表示パネル100と第2表示パネル200との2つの液晶表示パネルを用いた液晶表示装置において、偏光度が高い従来の偏光板は、過剰スペックになっていると考えられる。
【0097】
このような知見により、本願発明者は、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の中に偏光度を低くしてもよいものがあるのではないかと考え、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34についての吸収軸方向の透過率を調整することで、液晶表示装置のコントラスト比をあまり下げることなく、液晶表示装置の透過率を高くして表示画像の輝度を高くできるのではないかという着想を得た。
【0098】
具体的には、本願発明者は、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の4つの偏光板の中のいずれかの偏光度を低くしても、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6の大きさが第3漏れ光L3の大きさを超えないような偏光板の透過率の組み合わせを検討した。以下、その具体的な検討結果を説明する。
【0099】
まず、
図3に示すように、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6において、第1偏光板31及び第4偏光板34の各々の吸収軸方向の透過率(Ta1、Ta4)の影響が大きいことが分かる。したがって、第1漏れ光L1、第2漏れ光L2、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6をあまり大きくすることなく小さくしておくためには、第1偏光板31及び第4偏光板34の少なくとも一方については、吸収軸方向の透過率(Ta1、Ta4)を低くしておくとよい。
【0100】
例えば、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta1)を低くすることで、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6を小さくすることができる。第1偏光板31の吸収軸方向の透過率を低くするには、第1偏光板31の偏光度を大きくすればよい。そして、第5漏れ光L5及び第6漏れ光L6を小さくしておけば、第1漏れ光L1及び第2漏れ光L2が多少大きくなっても、高いコントラスト比を維持することができる。つまり、吸収軸方向の透過率(Ta1)を低く維持して第1偏光板31の単体透過率を高くすることができない分、第1偏光板31以外の他の3つの偏光板の単体透過率を高くすることができる。
【0101】
このとき、第1漏れ光L1については、他の3つの偏光板のうち第2偏光板32及び第3偏光板33の2つの偏光板の吸収軸方向の透過率(Ta2、Ta3)に依存する。一方、第2漏れ光L2については、他の3つの偏光板のうち第4偏光板34のみの吸収軸方向の透過率(Ta4)にしか依存しない。したがって、第1漏れ光L1及び第2漏れ光L2のうちの一つを犠牲にして漏れ光の大きさを大きくするのであれば、第2偏光板32及び第3偏光板33の2つの偏光板の単体透過率を高くできる第1漏れ光L1の方を犠牲にする方がよい。
【0102】
この場合、第2偏光板32及び第3偏光板33の吸収軸方向の透過率(Ta2、Ta3)を低くすることで、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くすることができる。第2偏光板32及び第3偏光板33の吸収軸方向の透過率を低くするには、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度を小さくすればよい。具体的には、第2偏光板32及び第3偏光板33の各々の偏光度を第1偏光板31の偏光度よりも小さくすればよい。このように、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くすることによって、液晶表示装置1の透過率を高くすることができる。なお、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率が高くなることで第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度は低下するものの、液晶表示装置としてのコントラスト比は第3漏れ光L3が支配的であり、また、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率が低くなっているので、画像表示装置としてのコントラスト比はあまり低下しない。
【0103】
さらに、この場合、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度を第1偏光板31の偏光度よりも小さくするだけではなく、第4偏光板34の偏光度についても第1偏光板31の偏光度より小さくしてもよい。これにより、第4偏光板34の単体透過率も高くすることができるので、液晶表示装置の透過率を一層高くすることができる。なお、第4偏光板34の単体透過率が高くなることで第4偏光板34の偏光度は低下するものの、この場合も、液晶表示装置としてのコントラスト比は第3漏れ光L3が支配的であり、また、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率が低くなっているので、液晶表示装置としてのコントラスト比はあまり低下しない。
【0104】
また、第1偏光板31の吸収軸方向の透過率(Ta1)を高くするのではなく、第4偏光板34の偏光度を大きくして第4偏光板34の吸収軸方向の透過率(Ta4)を低くしてもよい。これにより、第2漏れ光L2及び第5漏れ光L5を小さくしておくことができるので、第1漏れ光L1及び第6漏れ光L6が多少大きくなっても、高いコントラスト比を維持することができる。つまり、吸収軸方向の透過率を低く維持して第4偏光板34の単体透過率を高くすることができない分、第4偏光板34以外の他の3つの偏光板の単体透過率を高くすることができる。
【0105】
このとき、上記同様に、第1漏れ光L1及び第6漏れ光L6のうち、第2偏光板32及び第3偏光板33の2つの偏光板の単体透過率を高くできる第1漏れ光L1のみを犠牲にして、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度を小さくして第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くするとよい。このように、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くすることによって、液晶表示装置の透過率を高くすることができる。
【0106】
さらに、この場合、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度を第1偏光板31の偏光度よりも小さくするだけではなく、第1偏光板31の偏光度についても第4偏光板34の偏光度より小さくしてもよい。これにより、第1偏光板31の単体透過率も高くすることができるので、液晶表示装置の透過率を一層高くすることができる。
【0107】
以上、本願発明者が鋭意検討した結果、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の偏光度の大小関係を規定することによって、画像表示装置として高いコントラスト比を維持しつつ透過率を高めることができることが分かった。
【0108】
具体的には、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の偏光度を、P1、P2、P3、P4とすると、P1>P2、P3、P4の関係式、P4>P1、P2、P3の関係式、及び、P1、P4>P2、P3の関係式のいずれかを満たしていればよい。
【0109】
つまり、第1偏光板31及び第4偏光板34の少なくともいずれか一方の偏光度を、第2偏光板32及び第3偏光板33のいずれの偏光度よりも大きくすればよい。これにより、第2偏光板32の偏光度及び第3偏光板33の偏光度を、第1偏光板31の偏光度又は第4偏光板34の偏光度よりも低くすることができるので、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くすることができる。
【0110】
例えば、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の単体透過率を、Tm1、Tm2、Tm3、Tm4とすると、P1>P2、P3、P4の場合には、Tm1<Tm2、Tm3、Tm4の関係式を満たし、P4>P1、P2、P3の場合には、Tm4<Tm1、Tm2、Tm3の関係式を満たし、P1、P4>P2、P3の場合には、Tm1、Tm4<Tm2、Tm3の関係式を満たしている。
【0111】
この結果、第1表示パネル100及び第2表示パネル200の2つの表示パネルを用いた液晶表示装置1でありながらも、液晶表示装置1の高いコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させることができる。したがって、表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0112】
しかも、第2偏光板32及び第3偏光板33の単体透過率を高くすることで、第2偏光板32及び第3偏光板33の吸光による発熱によって温度が上昇することを緩和できる。したがって、液晶表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0113】
特に、P1>P2、P3、P4の関係式を満たす場合には、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各々の偏光度を、第1偏光板31の偏光度よりも小さくすることができるので、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の3つの偏光板の透過率を高くすることができる。第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の単体透過率を高くすることで、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の吸光による発熱によって温度が上昇することを緩和できる。したがって、液晶表示装置1の信頼性を向上させることができる。
【0114】
とりわけ、第4偏光板34が吸収型偏光板からなる場合、第4偏光板34はバックライトからの光を吸収し高温となり易いことから、P1>P4としてP4の透過率を相対的に高くすることで、第4偏光板34が光を吸収することを抑制し、温度上昇を抑えることができる。
【0115】
同様に、P4>P1、P2、P3の関係式を満たす場合には、第1偏光板31、第2偏光板32及び第3偏光板33の各々の偏光度を、第4偏光板34の偏光度よりも小さくすることができる。この結果、第1偏光板31、第2偏光板32及び第3偏光板33の3つの偏光板の単体透過率を高くすることができる。
【0116】
これにより、液晶表示装置1の透過率を一層向上させることができるので、表示画像の輝度が低下することを一層抑制することができる。
【0117】
なお、画像品位の観点では、観察者側の第1偏光板31の方の偏光度(P1)を第4偏光板34の偏光度(P4)よりも大きくするとよい。
【0118】
また、本実施の形態における液晶表示装置1において、P1≧99.99%、かつ、99.65%≦P2、P3、P4<99.99%、又は、P4≧99.99%、かつ、99.65%≦P1、P2、P3<99.99%、又は、P1、P4≧99.99%、かつ、99.58%≦P2、P3<99.99%、である。
【0119】
第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P1≧99.99%、かつ、99.65%≦P2、P3、P4<99.99%、の範囲に設定することで、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の偏光度が第1偏光板31の偏光度よりも小さくなったとしても、液晶表示装置としての高いコントラスト比を得ることができる。
【0120】
仮に、従来の偏光板のように、P1〜P4が全て99.99%である場合、式(1)より吸収軸方向の透過率(Ta1、Ta2、Ta3、Ta4)=1/2万と算出され、「散乱漏れ」として上記と同様に1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は1/108万となり、コントラスト比は194万:1となる。
【0121】
一方、P1=99.99%、P2=P3=P4=99.65%である場合、式(1)より、透過率(Ta1)=1/2万、透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=透過率(Ta4)=1/571とみなせるから、「散乱漏れ」として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/21万となり、20万:1のコントラスト比を維持することができる。したがって、上記の偏光度の範囲を採用した場合、HDRの規格(ITU-R (International Telecommunication Union Radio-communications Sector) BT.2100)に要求される20万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0122】
同様に、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P4≧99.99%、かつ、99.65%≦P1、P2、P3<99.99%、の範囲に設定することで、第1偏光板31、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度が第4偏光板34の偏光度よりも小さくなったとしても、液晶表示装置としての高いコントラスト比を得ることができる。
【0123】
例えば、P4=99.99%、P1=P2=P3=99.65%である場合、式(1)より、透過率(Ta4)=1/2万、透過率(Ta1)=透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=1/571とみなせるから、散乱度として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/21万となり、20万:1のコントラスト比を維持することができる。したがって、上記の偏光度の範囲を採用した場合、HDRの規格に要求される20万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0124】
同様に、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P1、P4=99.99%、かつ、P2、P3=99.58%である場合、式(1)より、透過率(Ta1)=透過率(Ta4)=1/2万、透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=1/476となるから、散乱度として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/20万となり、20万:1のコントラスト比を維持することができる。したがって、P1、P4≧99.99%、かつ、99.58%≦P2、P3<99.99%を採用した場合、HDRの規格に要求される20万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0125】
また、本実施の形態における液晶表示装置1において、P1≧99.99%、かつ、99.92%≦P2、P3、P4<99.99%、又は、P4≧99.99%、かつ、99.92%≦P1、P2、P3<99.99%、又は、P1、P4≧99.99%、かつ、99.87%≦P2、P3<99.99%、であってもよい。
【0126】
第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P1≧99.99%、かつ、99.92%≦P2、P3、P4<99.99%、の範囲に設定することで、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の偏光度が第1偏光板31の偏光度よりも小さくなったとしても、液晶表示装置としての極めて高いコントラスト比を得ることができる。
【0127】
例えば、P1=99.99%、P2=P3=P4=99.92%である場合、式(1)より、透過率(Ta1)=1/2万、透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=透過率(Ta4)=1/2500とみなせるから、「散乱漏れ」として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/108万となり、100万:1のコントラスト比を維持することができる。表示パネルのコントラスト比が100万:1を維持することができる場合、有機EL表示装置と比較しても、遜色ないコントラストを発揮することができることが本件発明者による実験にて確認されている。したがって、上記の偏光度の範囲を採用した場合、有機EL表示装置と比較しても遜色ない100万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0128】
同様に、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P4≧99.99%、かつ、99.92%≦P1、P2、P3<99.99%、の範囲に設定することで、第1偏光板31、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度が第4偏光板34の偏光度よりも小さくなったとしても、液晶表示装置としての極めて高いコントラスト比を得ることができる。
【0129】
例えば、P4=99.99%、P1=P2=P3=99.92%である場合、式(1)より、透過率(Ta4)=1/2万、透過率(Ta1)=透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=1/2500とみなせるから、散乱度として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/108万となり、100万:1のコントラスト比を維持することができる。したがって、上記の偏光度の範囲を採用した場合、有機EL表示装置と比較しても遜色ない100万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0130】
同様に、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の各偏光度を、P1、P4=99.99%、かつ、P2、P3=99.87%である場合、式(1)より、透過率(Ta1)=透過率(Ta4)=1/2万、透過率(Ta2)=透過率(Ta3)=1/1538となるから、散乱度として1/1500を採用して式(3)に代入すると、漏れ光は、約1/107万となり、100万:1のコントラスト比を維持することができる。したがって、P1、P4≧99.99%、かつ、99.87%≦P2、P3<99.99%、上記の偏光度の範囲を採用した場合、有機EL表示装置と比較しても遜色ない100万:1のコントラスト比を維持しつつ、液晶表示装置1の透過率を向上させて表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0131】
また、本実施の形態における液晶表示装置1において、第1偏光板31の偏光子、第2偏光板32の偏光子、第3偏光板33の偏光子及び第4偏光板34の偏光子の各々の厚みを、d1、d2、d3、d4とすると、d1、d4>d2、d3の関係式を満たしているとよい。
【0132】
これにより、第2偏光板32及び第3偏光板33の偏光度を、第1偏光板31及び第4の偏光板のよりも小さくして、第2偏光板32及び第3偏光板33の透過率を第1偏光板31及び第4の偏光板34の透過率よりも容易に高くすることができる。
【0133】
しかも、d1、d4>d2、d3の関係式を満たすことで、第1液晶セル13と第2液晶セル23との距離を近づけることができることから、表示画像の視差を低減することができる。
【0134】
また、本実施の形態における液晶表示装置1において、第1偏光板31及び第4偏光板34は、吸収型偏光板である。とりわけ、P1>P4の場合、吸収型偏光板を使用することによる高いコントラスト比を維持しつつ、第4偏光板34の透過率が第1偏光板31の透過率よりも高くなるので、第4偏光板34が相対的に光を透過し易くなり、第4偏光板34での吸光による発熱を抑制することができる。
【0135】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2に係る液晶表示装置2について、
図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態2に係る液晶表示装置2の構成を示す断面図である。
【0136】
本実施の形態における液晶表示装置2では、上記実施の形態1における液晶表示装置1において、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の少なくとも一つを反射型偏光板にしたものである。反射型偏光板は、透過する光の2つの直交成分のうちの一方を反射し、他方を透過することで偏光する偏光板である。なお、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34のうち反射型偏光板としなかった偏光板と第1偏光板31とは、上記実施の形態1と同様に、吸収型偏光板である。
【0137】
反射型偏光板は偏光度が低いので、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の少なくとも一つを反射型偏光板にすることで、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の偏光度について、P1>P2、P3、P4の関係式、又は、P1、P4>P2、P3の関係式を容易に満たすことができる。
【0138】
これにより、実施の形態1と同様に、高いコントラスト比を維持しつつ、透過率を向上させて表示画像の輝度の低下を抑制することができる。
【0139】
しかも、反射型偏光板を用いることによって、光を吸収するのではなく反射させて偏光することができるので、反射させた光を再利用することができる。これにより、液晶表示装置2の透過率を一層向上させることができる。
【0140】
また、
図4に示される液晶表示装置2においては、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aが反射型偏光板となっている。つまり、第2表示パネル200Aは、第2液晶セル20が一対の第3偏光板33A及び第4偏光板34Aで挟まれた構造となっている。
【0141】
仮に、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aを、反射型偏光板ではなく、上記実施の形態1のように吸収型偏光板にすると、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aが貼り合わされた第2液晶セル20は、バックライト300側に位置するので、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aは、光の吸収等によって第1偏光板31及び第2偏光板32と比べて非常に高温になる。
【0142】
そこで、本実施の形態のように、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aを反射型偏光板にすることで、第3偏光板33A及び第4偏光板34Aが吸光して発熱することを回避できる。これにより、液晶表示装置2の信頼性を一層向上させることができる。
【0143】
また、第2偏光板32及び第3偏光板33Aの少なくとも一方の厚みを、第1偏光板31の厚みよりも小さくするとよい。
【0144】
これにより、第2偏光板32及び第3偏光板33Aの単体透過率を高くすることができるので、液晶表示装置2の透過率を一層高くすることができる。また、第1液晶セル13と第2液晶セル23との距離を近づけることができることから、表示画像の視差を低減することができる。
【0145】
ここで、本実施の形態で用いられる反射型偏光板の一例を、
図5A〜
図5Cに示す。
図5A〜
図5Cは、第2液晶セル20の第2対向基板22に設けられた反射型偏光板の一例を示しており、
図5Aは、第1の反射型偏光板510の断面図、
図5Bは、第2の反射型偏光板520の断面図、
図5Cは、第3の反射型偏光板530の断面図である。
【0146】
図5Aに示すように、第1の反射型偏光板510は、屈折率が異なる誘電体膜等の薄膜が複数積層された多層薄膜積層体511(例えば26μm)によって構成されている。
図5Aに示すように、第1の反射型偏光板510は、粘着層512(例えば12μm)によって第2液晶セル20の第2対向基板22に貼り合わせることができる。第1の反射型偏光板510としては、例えば、APCF付偏光板(日東電工社製)又はDBEF(3M社製)等が挙げられる。なお、粘着層512は、第1の反射型偏光板510と一体に設けられていてもよいし、第1の反射型偏光板510と別体であってもよい。
【0147】
図5Bに示すように、第2の反射型偏光板520は、TAC等の基材521(例えば80μm)と、基材521の上に配置されたワイヤグリッド層522(例えば1μm以下)と、ワイヤグリッド層522の上に配置された保護フィルム523(例えば110μm)とによって構成されている。ワイヤグリッド層522には、アルミニウム等の金属線からなるワイヤグリッドが複数本配列されている。
図5Bに示すように、第2の反射型偏光板520は、粘着層524(例えば25μm)によって第2液晶セル20の第2対向基板22に貼り合わせることができる。なお、粘着層524は、第2の反射型偏光板520と一体に設けられていてもよいし、第2の反射型偏光板520と別体であってもよい。また、保護フィルム523は、第2の反射型偏光板520を貼着した後に剥がしてもよい。
【0148】
図5Cに示すように、第3の反射型偏光板530は、複数本のワイヤグリッド531によって構成されている。ワイヤグリッド531は、例えばアルミニウム等の金属線である。
図5Cに示すように、ワイヤグリッド531である第3の反射型偏光板530は、第2液晶セル20の第2対向基板22の外面に直接設けられている。なお、複数本のワイヤグリッド531は、例えば、ピッチが150nmで、幅が75nmで、厚さが100nmであるが、これに限るものではない。
【0149】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る液晶表示装置3について、
図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態3に係る液晶表示装置3の構成を示す断面図である。
【0150】
本実施の形態における液晶表示装置3では、上記実施の形態1における液晶表示装置1において、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の少なくとも一つをインセル型の反射型偏光板にしたものである。インセル型の反射型偏光板は、液晶セルの一部として組み込まれた反射型偏光板である。
【0151】
インセル型の反射型偏光板も偏光度が低いので、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の少なくとも一つを反射型偏光板にすることで、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34の偏光度について、P1>P2、P3、P4の関係式、又は、P1、P4>P2、P3の関係式を容易に満たすことができる。
【0152】
これにより、実施の形態1と同様に、高いコントラスト比を維持しつつ、透過率を向上させることができる液晶表示装置3を実現できる。したがって、表示画像の輝度が低下することを抑制することができる。
【0153】
さらに、インセル型の反射型偏光板を用いることによって、実施の形態2と同様に、液晶表示装置2の透過率を一層向上させることができる。
【0154】
しかも、インセル型の反射型偏光板を用いることで、液晶セルに吸収型偏光板を貼り合わせた表示パネルと比べて厚みを薄くすることができる。これにより、第1液晶セル13と第2液晶セル23との距離を近づけることができることから、表示画像の視差を軽減することができるとともに、表示パネルに反りが発生すること抑制できる。これにより、画像品位を向上させることができる。
【0155】
また、
図6に示される液晶表示装置3においては、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34のうち、第3偏光板33B及び第4偏光板34Bがインセル型の反射型偏光板となっている。つまり、第2表示パネル200Bは、第2液晶セル20Bの一部に第3偏光板33B及び第4偏光板34Bが組み込まれた構造となっている。
【0156】
これにより、第2表示パネル200Bの厚さを薄くすることができるので、第2表示パネル200Bでの表示画像の視差を軽減することができるとともに、第2表示パネル200Bに反りが発生することを抑制できる。
【0157】
さらに、第1表示パネル100側の第3偏光板33Bをインセル型の反射型偏光板にすることで、第2表示パネル200Bにおける第1表示パネル100側の面(第2対向基板22の外面)をフラットにすることができる。これにより、第1表示パネル100と第2表示パネル200Bとの貼り合わせを精度良く且つ簡便に行うことができる。したがって、液晶表示装置3の歩留まりを向上させることができる。
【0158】
しかも、第3偏光板33B及び第4偏光板34Bを反射型偏光板にすることで、実施の形態2と同様に、第3偏光板33B及び第4偏光板34Bが吸光して発熱することを回避できる。これにより、液晶表示装置3の信頼性を一層向上させることができる。
【0159】
また、本実施の形態でも、第2偏光板32及び第3偏光板33Bの少なくとも一方の厚みを、第1偏光板31の厚みよりも小さくするとよい。とりわけ、第3偏光板33Bをインセル型の反射型偏光板とした場合、インセル型の反射型偏光板は吸収型偏光板よりも薄く構成することができるので、第3偏光板33Bを第1偏光板31よりも薄くすることが容易に実現できる。
【0160】
これにより、第2偏光板32及び第3偏光板33Bの単体透過率を高くすることができるので、液晶表示装置3の透過率を一層高くすることができる。
【0161】
ここで、本実施の形態で用いられるインセル型の反射型偏光板の一例を
図7に示す。
図7は、第2液晶セル20Bの第2対向基板22に設けられたインセル型の反射型偏光板540の断面図である。
【0162】
図7に示されるインセル型の反射型偏光板540は、複数本のワイヤグリッド541と、複数本のワイヤグリッド541を被覆する絶縁層542とによって構成されている。ワイヤグリッド541は、例えばアルミニウム等の金属線であり、
図7に示すように、第2液晶セル20Bの第2対向基板22の内面に直接設けられている。なお、複数本のワイヤグリッド541は、例えば、ピッチが150nmで、幅が75nmで、厚さが100nmであるが、これに限るものではない。
【0163】
また、
図6に示される液晶表示装置3では、第3偏光板33B及び第4偏光板34Bをインセル型の反射型偏光板とし、第1偏光板31及び第2偏光板32を吸収型反射板としたが、これに限らない。
【0164】
例えば、
図8に示される液晶表示装置3’のように、第2偏光板32B及び第3偏光板33Bをインセル型の反射型偏光板とし、第1偏光板31及び第4偏光板34を吸収型偏光板としてもよい。つまり、液晶表示装置3’において、第1表示パネル100B’は、第1液晶セル10B’の一部に第3偏光板32Bが組み込まれた構造となっており、第2表示パネル200B’は、第2液晶セル20B’の一部に第3偏光板32Bが組み込まれた構造となっている。
【0165】
これにより、
図6に示される液晶表示装置3と比べて、表示画像の視差を一層軽減することができる。
【0166】
なお、
図8に示される液晶表示装置3’においても、第2偏光板32B及び第3偏光板33Bの少なくとも一方の厚みは、第1偏光板31の厚みよりも小さい方がよい。
【0167】
これにより、第2偏光板32B及び第3偏光板33Bの単体透過率を高くすることができるので、液晶表示装置3’の透過率を一層高くすることができる。
【0168】
また、
図9に示される液晶表示装置3”のように、第2偏光板32B、第3偏光板33B及び第4偏光板34Bをインセル型の反射型偏光板とし、第1偏光板31を吸収型偏光板としてもよい。つまり、
図8に示される液晶表示装置3”は、
図8に示される第1表示パネル100B’と
図6に示される第2表示パネル200Bとを貼り合わせた構造である。
【0169】
この構成により、
図6に示される液晶表示装置3と
図8に示される液晶表示装置3’との両方の作用効果を奏することができる。したがって、画像品位に極めて優れた液晶表示装置3”を実現することができる。
【0170】
(変形例)
以上、本開示に係る液晶表示装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0171】
上記の各実施の形態では、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34として、偏光度が低ければ低いほど単体透過率が高くなる偏光板を用いたが、これに限らない。例えば、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34として、偏光度が低くても単体透過率があまり高くならない偏光板を用いてもよい。つまり、P1>P2、P3、P4の関係式を満たしていても、Tm1<Tm2、Tm3、Tm4の関係式を必ずしも満たしていない場合もある。同様に、P4>P1、P2、P3の関係式を満たしていても、Tm4<Tm1、Tm2、Tm3の関係式を満たさない場合があり、P1、P4>P2、P3の関係式を満たしていても、Tm1、Tm4<Tm2、Tm3の関係式を満たさない場合がある。
【0172】
また、上記の各実施の形態において、第1偏光板31、第2偏光板32、第3偏光板33及び第4偏光板34には、位相差板(位相差フィルム)等の光学部材が貼り合わされていてもよい。
【0173】
その他、上記実施の形態及び変形例に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。