【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の1つの実施形態は、車両の外部の周囲ノイズを検知するよう構成された音響検出器を含む車両用音響システムを含む。当該システムは、周囲ノイズを表現する1つまたは複数の信号を音響検出器から受け取り、当該周囲ノイズをフィルタ処理して、周囲ノイズ内における少なくとも1つの音響に対応する事象を識別するよう構成された音響処理モジュールも含む。さらに、少なくとも1つの音響が事象により生成される。音響処理モジュールは当該事象に関連するアラートを車両の乗員に提供する。
【0004】
本開示の他の実施形態は車両の外部の周囲ノイズを処理するための方法を含む。当該方法は、周囲ノイズを表現する1つまたは複数の信号を受け取ること、および当該周囲ノイズをフィルタ処理して、周囲ノイズ内における少なくとも1つの音響に対応する事象を識別すること、を含む。さらに、少なくとも1つの音響が事象により生成される。当該方法は、少なくとも1つの音響の少なくとも1つの聴覚特性を修正して、少なくとも1つの音響に関連する事象を識別するための車両内の乗員の能力を増強することも含む。次いで、修正された音響は車両の内部のスピーカ上で出力される。
【0005】
本開示の他の実施形態は車両の外部の周囲ノイズを処理するためのコンピュータプログラム製品を含む。当該コンピュータプログラム製品は、周囲ノイズを表現する1つまたは複数の信号を受け取ること、および周囲ノイズをフィルタ処理して、周囲ノイズ内における少なくとも1つの音響に対応する事象を識別すること、を行うよう構成されたコンピュータ可読プログラムコードを含む。アラートモードがアクティブであることが判定された場合、当該プログラムコードは当該事象に関連するアラートを、スピーカを使用して、提供する。当該プログラムコードも周囲ノイズをフィルタ処理して、周囲ノイズ内の連続音響を識別し、当該連続音をマスキング用音響へと処理する。マスキングモードがアクティブであることが判定された場合、プログラムコードはスピーカを使用してマスキング用音響を提供し、プライバシーゾーンを車両の内部において生成する。
【0006】
理解を支援するために、複数の図面に共通な同等の要素を指定するために、可能な場合には同等の参照番号が用いられている。1つの実施形態に開示される要素が、特に列挙することなしに他の実施形態でも有利に利用され得ると考えられる。本開示で参照される図面は、特記なき限り、必ずしも縮尺が同一ではないことを理解すべきである。また提示および説明の簡略化のために、図面はしばしば簡素化され、詳細または構成要素は省略される。図面および説明は以下で説明する原則を説明する機能を果たすものであり、以下の説明では同様の名称は同様の要素を指す。
【0007】
本願発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
車両の外部の周囲音響を検知するよう構成された音響検出器、および
上記周囲音響を表現する1つまたは複数の信号を上記音響検出器から受け取ることと、
上記周囲音響を処理して、上記周囲音響内の少なくとも1つの音響に対応する上記車両の外部の事象を識別することであって、上記少なくとも1つの音響は上記事象により生成される、事象を識別することと、
上記事象に関連付けられたアラートを上記車両内の乗員に提供することと
を行うよう構成された音響処理モジュール
を含む、車両用音響システム。
(項目2)
上記事象を識別することは、
上記周囲音響内の上記少なくとも1つの音響と、それぞれの事象との事前定義された関連をそれぞれが有する事前定義された音響とを比較することと、
上記少なくとも1つの音響が上記事前定義された音響のうちの1つと実質的に合致したことが判定された場合、上記少なくとも1つの音響と、上記合致した事前定義された音響に関連する上記それぞれの事象とを関連付けることと
を含む、上記項目に記載の車両用音響システム。
(項目3)
上記アラートを提供することは、
上記少なくとも1つの音響を処理して、上記少なくとも1つの音響の特性を変化させること、および
上記車両の内部に音響を出力するよう構成されたスピーカを使用して、上記処理された音響を出力することと
を含む、上記項目のいずれかに記載の車両用音響システム。
(項目4)
上記アラートを提供することは、上記車両の内部に音響を出力するよう構成されたスピーカを使用して、上記事象の音声による説明を出力することを含む、上記項目のいずれかに記載の車両用音響システム。
(項目5)
上記音響処理モジュールはさらに、
上記車両の現時点のスピードとスピード閾値とを比較すること、および
上記現時点のスピードが上記スピード閾値を越えることが判定された場合、
上記少なくとも1つの音響を処理して、上記少なくとも1つの音響の特性を変化させることと、
上記車両の内部へと音響を出力するよう構成されたスピーカを使用して、上記処理された音響を出力することと、
上記現時点のスピードが上記スピード閾値未満であることが判定された場合、上記スピーカを使用して上記事象の音声による説明を出力することと
を行うこと、
を行うよう構成された、上記項目のいずれかに記載の車両用音響システム。
(項目6)
上記音響処理モジュールはさらに、
上記周囲ノイズをフィルタ処理して、上記周囲ノイズ内の連続音響を識別すること、
上記連続音響をマスキング用音響へと処理すること、および
上記車両の内部へと音響を出力するよう構成されたスピーカを使用して上記マスキング用音響を提供し、プライバシーゾーンを上記車両の上記内部において生成すること、
を行うよう構成された、上記項目のいずれかに記載の車両用音響システム。
(項目7)
上記事象は上記車両の外部にあり、上記音響処理モジュールはさらに、
上記車両に対する上記事象の方向の距離のうちの少なくとも1つを、上記周囲音響内の上記少なくとも1つの音響に基づいて判定することであって、上記アラートは、上記事象の上記方向または上記距離を上記車両内の乗員に伝える様式で提供されること
を行うよう構成された、上記項目のいずれかに記載の車両用音響システム。
(項目8)
車両の外部の周囲音響を処理するための方法であって、
上記周囲音響を表現する1つまたは複数の信号を受け取ること、
上記周囲音響を処理して、上記周囲音響内の少なくとも1つの音響に対応する事象を識別することであって、上記少なくとも1つの音響は上記事象により生成される、事象を処理すること、
上記少なくとも1つの音響の少なくとも1つの聴覚特性を修正して、上記少なくとも1つの音響に関連する上記事象を識別するための上記車両内の乗員の能力を増強すること、および
上記修正された音響を上記車両の内部におけるスピーカ上で出力すること、
を含む、方法。
(項目9)
上記周囲音響内の上記少なくとも1つの音響と、事前定義された音響とを比較すること、および
上記少なくとも1つの音響が上記事前定義された音響のうちの1つと実質的に合致することが判定された場合、上記少なくとも1つの音響と、上記合致した事前定義された音響に関連する上記事象とを関連付けること、
をさらに含む、上記項目に記載の方法。
(項目10)
上記修正された音響は、上記事象が上記車両の近位にあることを上記乗員に示すアラートである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目11)
上記周囲ノイズをフィルタ処理して、上記周囲ノイズ内の連続音響を識別すること、
上記連続音響をマスキング用音響へと処理すること、および
上記スピーカを使用して上記マスキング用音響を提供し、上記車両の上記内部においてプライバシーゾーンを生成すること
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目12)
上記少なくとも1つの音響を修正することは、上記少なくとも1つの音響をシャープ化すること、または上記少なくとも1つの音響を増幅すること、のうちの少なくとも1つである、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目13)
上記周囲ノイズをフィルタ処理して、上記周囲音響内のそれぞれの音響に対応する複数の事象を識別すること、
事前定義された判断基準に基づいて上記事象のうちのそれぞれに重みを割り当てること、および
上記それぞれの事象に割り当てられた重みに基づいて、上記乗員に出力するために上記それぞれの音響のうちの1つまたは複数を選択すること
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目14)
上記乗員に出力するために、上記それぞれの音響のうちの少なくとも2つを選択すること、および
上記割り当てられた重みに基づいて、上記2つのそれぞれの音響の上記特性を異なるように修正すること
をさらに含む、上記項目のいずれかに記載の方法。
(項目15)
車両の外部の周囲音響を処理するためのコンピュータプログラム製品であって、
コンピュータ可読プログラムコードがその内部に具体化されたコンピュータ可読記憶媒体であって、上記コンピュータ可読プログラムコードは、
上記周囲音響を表現する1つまたは複数の信号を受け取ることと、
上記周囲音響を処理して、上記周囲音響内の少なくとも1つの音響に対応する事象を識別することと、
アラートモードがアクティブであることが判定された場合、上記スピーカを使用して、上記事象に関連するアラートを提供することと、
上記周囲音響をフィルタ処理して、上記周囲音響内の連続音響を識別することと、
上記連続音響をマスキング用音響へと処理することと、
マスキングモードがアクティブであることが判定された場合、上記スピーカを使用して上記マスキング用音響を提供し、上記車両の上記内部においてプライバシーゾーンを生成することと
を行うよう構成された、コンピュータ可読記憶媒体
を含む、コンピュータプログラム製品。
(項目16)
上記事象を識別することは、
上記周囲音響内の上記少なくとも1つの音響と、事前定義された音響とを比較すること、および
上記少なくとも1つの音響が上記事前定義された音響のうちの1つと実質的に合致することが判定された場合、上記少なくとも1つの音響と、上記合致した事前定義された音響に関連する上記事象とを関連付けること
を含む、上記項目に記載のコンピュータプログラム製品。
(項目17)
上記アラートを提供することは、
上記少なくとも1つの音響を処理して、上記少なくとも1つの音響の特性を変化させること、および
上記スピーカを使用して、上記処理された音響を出力すること
を含む、上記項目のいずれかに記載のコンピュータプログラム製品。
(項目18)
上記アラートを提供することは上記事象の音声による説明を、上記スピーカを使用して、出力することを含む、上記項目のいずれかに記載のコンピュータプログラム製品。
(項目19)
上記コンピュータ可読プログラムコードは、
上記車両の現時点のスピードとスピード閾値とを比較すること、
上記現時点のスピードが上記スピード閾値を越えることが判定された場合、
上記少なくとも1つの音響を処理して、上記少なくとも1つの音響の特性を変化させることと、
上記スピーカを使用して、上記処理された音響を出力することと、
を行うこと、および
上記現時点のスピードが上記スピード閾値未満であることが判定された場合、上記スピーカを使用して上記事象の音声による説明を出力すること、
を行うよう構成された、上記項目のいずれかに記載のコンピュータプログラム製品。
(項目20)
上記コンピュータ可読プログラムコードは、
上記車両に対する上記事象の方向の距離のうちの少なくとも1つを、上記周囲音響内の上記少なくとも1つの音響に基づいて判定することであって、上記アラートは、上記事象の上記方向または上記距離を上記車両内の乗員に伝える様式で提供されること、
を行うよう構成された、上記項目のいずれかに記載のコンピュータプログラム製品。
【0008】
(摘要)
音響処理システムは特定の環境音響を選択的に識別し、これらの音響を、またはこれらの音響の表現を、車両のキャビン内で再生し得る。音響処理システムは、環境音響をフィルタ処理して、跳ねるボール、軋るタイヤ、歩行、その他などの事象に合致する特定の音響を識別し得る。次に音響処理システムは音響アラートを車両内の乗員に提供し得る。例えば本システムは識別された音響を処理し(例えば音響の増幅および/または分離)、処理された音響を、スピーカを使用して、車両内部に出力し得る。他の実施形態では、この音響処理システムは、車両内にプライバシーゾーンを形成するためにマスキング用音響として環境音響を使用し得る。音響処理システムは環境音響をフィルタ処理して、連続音響を識別し、次いでその連続音響はプライバシーゾーンを形成するために出力され得る。