【解決手段】熱可塑性ポリマーおよびポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーの混合物を組み込んだゴルフボールである。熱可塑性ポリマーとMMAコポリマーとは、約98:2から約50:50の混合重量比で含まれて良い。混合物は熱可塑性ポリマーと異なる硬度を有して良く、そのガラス転移点Tg−mは熱可塑性ポリマーのガラス転移点Tg−tpより大きく、その弾性率、引張強度、および極限伸びは熱可塑性ポリマーの値より大きい。
コア、カバー、並びに上記コアおよび上記カバーの間に配される中間層を有するゴルフボールにおいて、上記カバーが、熱可塑性ポリマーと、ポリメリルアクリレートに基づくコポリマー(MMAコポリマーという)とを有する混合物から形成されることを特徴とするゴルフボール。
上記熱可塑性ポリマーが熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、および、熱可塑尿素ウレタンハイブリッド、またはこれらの組み合わせを有する請求項1記載のゴルフボール。
上記MMAコポリマーが、MMA−n−ブチルアクリレート、MMA−エチルアクリレート、MMA−n−ブチルアクリレート−スチレン、MMA−ブタジエン−スチレン、MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、MMA−エチレン−プロピレン−ジエン(EPDMという)、MMA−EPDM−スチレン、MMA−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート、MMA−グリシジル、(メタ)アクリレート−n−ブチルアクリレート、MMA−スチレン−アクリロニトリル、MMA−ブタジエン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される請求項1に記載のゴルフボール。
上記MMAコポリマーが、飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、不飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタクリレート)、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアミド、(メタ)アクリル酸のニトリル、含硫黄(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された(メタ)アクリレートを有する請求項1に記載のゴルフボール。
上記MMAコポリマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、メチルヘプチルアクリレート、2−tert−ブチルヘプチルアクリレート、3−イソプロピルヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチルオクチルアクリレート、デシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、5−メチルウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−メチルドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、5−メチルトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘクサデシルアクリレート、2−メチルヘクサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、5−イソプロピルヘプタデシルアクリレート、5−エチルオクタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−アミルアクリレート、カプリルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−アミルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された(メタ)アクリレートを有する請求項1記載のゴルフボール。
上記MMAコポリマーが、1−アルケン、分岐アルケン、アクリロニトリル、スチレン、マレイン酸誘導体、ジエン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されたコモノマーを有する請求項1記載のゴルフボール。
上記MMAコポリマーが、交互MMAコポリマー、ブロックMMAコポリマー、ランダムMMAコポリマー、グラフトMMAコポリマー、勾配MMAコポリマー、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される請求項1記載のゴルフボール。
上記熱可塑性ポリマーが、さらに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマー、またはこれらの組み合わせを有する請求項1記載のゴルフボール。
上記熱可塑性ポリマーが、さらに、ポリカーボネート、無水マレイン酸、グラフト化無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、変性ポリオレフィン、変性スチレンコポリマー、またはそれらの組み合わせを有する請求項1記載のゴルフボール。
上記スチレンコポリマーが、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、およびポリ(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン)からなるグループから選択される請求項13記載のゴルフボール。
コアとカバーとを有し、上記カバーが、熱可塑性ポリマーとポリメチル(メタ)アクリレートに基づくコポリマー(MMAコポリマー)との混合物から形成されることを特徴とするゴルフボール。
上記熱可塑性ポリマーが熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、および、熱可塑尿素ウレタンハイブリッド、またはこれらの組み合わせを有する請求項23記載のゴルフボール。
【発明の開示】
【0014】
この発明は全般的には耐久性のある熱可塑性組成物から製造されたカバーを具備するゴルフボールに関する。したがって、1実施例において、この発明のゴルフボールは、コア、カバー、並びに上記コアおよび上記カバーの間に配される中間層を有し、上記カバーが、熱可塑性ポリマーと、ポリメリルアクリレートに基づくコポリマー(MMAコポリマーという)とを有する混合物から形成される。
【0015】
そのような1つの実施例において、上記熱可塑性ポリマーが熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、および、熱可塑尿素ウレタンハイブリッド、またはこれらの組み合わせを有して良い。
【0016】
具体的な実施例において、上記熱可塑性ポリマーおよび上記MMAコポリマーは、約98:2から約50:50の混合重量比で含まれて良い。他の実施例において、上記熱可塑性ポリマーおよび上記MMAコポリマーは、95:5から55:45の混合重量比で含まれて良い。さらに他の実施例において、上記熱可塑性ポリマーおよび上記MMAコポリマーは、93:7から65:35の混合重量比で含まれて良い。
【0017】
特定の実施例において、上記MMAコポリマーは上記混合物の総合重量の35重量%までの量だけ上記混合物中に含まれて良い。
【0018】
1実施例において、上記MMAコポリマーが、MMA−n−ブチルアクリレート、MMA−エチルアクリレート、MMA−n−ブチルアクリレート−スチレン、MMA−ブタジエン−スチレン、MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、MMA−エチレン−プロピレン−ジエン(EPDMという)、MMA−EPDM−スチレン、MMA−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート、MMA−グリシジル、(メタ)アクリレート−n−ブチルアクリレート、MMA−スチレン−アクリロニトリル、MMA−ブタジエン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されて良い。
【0019】
上記MMAコポリマーが、飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、不飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタクリレート)、エーテルアルコールの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸のアミド、(メタ)アクリル酸のニトリル、含硫黄(メタ)アクリレート、多官能性(メタ)アクリレート、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された(メタ)アクリレートを有して良い。
【0020】
上記MMAコポリマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、メチルヘプチルアクリレート、2−tert−ブチルヘプチルアクリレート、3−イソプロピルヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチルオクチルアクリレート、デシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、5−メチルウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−メチルドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、5−メチルトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘクサデシルアクリレート、2−メチルヘクサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、5−イソプロピルヘプタデシルアクリレート、5−エチルオクタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−アミルアクリレート、カプリルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−アミルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された(メタ)アクリレートを有して良い。
【0021】
上記MMAコポリマーが、1−アルケン、分岐アルケン、アクリロニトリル、スチレン、マレイン酸誘導体、ジエン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されたコモノマーを有して良い。
【0022】
上記MMAコポリマーが、交互MMAコポリマー、ブロックMMAコポリマー、ランダムMMAコポリマー、グラフトMMAコポリマー、勾配MMAコポリマー、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されて良い。
【0023】
上記熱可塑性ポリマーが、さらに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマー、またはこれらの組み合わせを有して良い。
【0024】
上記熱可塑性ポリマーが、さらに、ポリカーボネート、無水マレイン酸、グラフト化無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、変性ポリオレフィン、変性スチレンコポリマー、またはそれらの組み合わせを有して良い。
【0025】
上記スチレンコポリマーが、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、およびポリ(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン)からなるグループから選択されて良い。
【0026】
上記熱可塑性ポリマーの材料硬度が約20ショアDから約66ショアDであって良い。請求項16のゴルフボールにおいて、上記混合物の材料硬度が上記熱可塑性ポリマーの材料硬度と異なって良い。上記混合物の硬度が、約20ショアDより大きく、高々、約70ショアDであって良い。
【0027】
上記混合物の弾性率が、上記熱可塑性ポリマーの弾性率より大きくて良い。
【0028】
上記カバーの厚さが約0.010インチから約0.050インチであって良い。
【0029】
上記中間層が、材料硬度が約55ショアDから約75ショアDであるアイオノマー組成物から形成されて良い。
【0030】
上記混合物のガラス転移点Tg−mが、上記熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tg−tpよりも大きくて良い。
【0031】
上記コアが内側コアおよび外側コア層を有し、上記中間層が内側カバー層であって良い。
【0032】
異なる実施例において、この発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有し、上記カバーが、熱可塑性ポリマーとポリメチル(メタ)アクリレートに基づくコポリマー(MMAコポリマー)との混合物から形成されて良い。
【0033】
この実施例において、上記熱可塑性ポリマーが熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、および、熱可塑尿素ウレタンハイブリッド、またはこれらの組み合わせを有して良く、上記熱可塑性ポリマーおよび上記MMAコポリマーは、約98:2から約50:50の混合重量比で含まれて良い。さらに、中間層を具備するゴルフボールに関連して先に特定した他の詳細の各々がコアおよびカバーを有する当該ゴルフボールに関しても適用されて良い。
【0034】
さらに他の実施例において、この発明のゴルフボールは、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなる少なくとも1つの層も含む。熱可塑性ポリマーは、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有する。一方、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1つ以上のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを有する。
【0035】
1実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、49:1から50:50の重量比で混合物中に含まれて良い。他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、19:1から45:55の重量比で混合物中に含まれて良い。さらに他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、7:1から35:65の重量比で混合物中に含まれる。
【0036】
1実施例において、各コア−シェルポリマーは、約0.5ミクロンから約20.0ミクロンの直径を有して良い。他の実施例において、各コア−シェルポリマーは、約0.05ミクロンから約0.20ミクロンの直径を有する。
【0037】
1実施例において、複数のコア−シェルポリマーの少なくとも1つは、ウレタン含有コアを有する。他の実施例において、複数のコア−シェルポリマーの少なくとも1つは、非ウレタン含有コアを有する。
【0038】
MMAコポリマーは、例えば、MMA−n−ブチルアクリレート、MMA−エチルアクリレート、MMA−n−ブチルアクリレート−スチレン、MMA−ブタジエン−スチレン、MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、MMA−エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)、MMA−EPDM−スチレン、MMA−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート、MMA−グリシジル、メタクリレート−n−ブチルアクリレート、MMA−スチレン−アクリロニトリル、またはMMA−ブタジエン、またはそれらの組み合わせからなるグループから選択されて良い。
【0039】
MMAコポリマーは、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、カプリルアクリレート、(1−メチルヘプチルアクリレート)、n−オクチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルヘプチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、カプリルアクリレート(1−メチルヘプチルアクリレート)、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレートからなるグループから選択されたアクリレート、例えばn−メチルヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、カプリルアクリレートを有して良い。
【0040】
熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマーの少なくとも1つをさらに有して良い。熱可塑性ポリマーは、ポリカーボネート、無水マレイン酸、グラフト化無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、変性ポリオレフィンおよび変性スチレンコポリマーのうちの少なくとも1つをさらに有して良い。
【0041】
これに関して、スチレンコポリマーは、例えば、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、およびポリ(スチレンエチレン/プロピレンスチレン)からなるグループから選択されて良い。
【0042】
1実施例において、熱可塑性ポリマーは、約20ショアDから約66ショアDの材料硬度を有して良い。
【0043】
得られる混合物は、熱可塑性ポリマーの材料硬度とは異なる材料硬度を有して良い。1実施例において、混合物は、約20ショアDより大きく約70ショアDまでの材料硬度を有して良い。この発明の混合物は、また、熱可塑性ポリマーの弾性率よりも大きい弾性率を有して良い。
【0044】
上記少なくとも1つの層は、約0.010インチから約0.050インチの厚さを有するカバー層であって良い。ゴルフボールは、さらに、少なくとも0.780のCoRを有して良く、カバー層は、ゴムベースのコアを取り囲む。代替的には、カバー層は、第1のゴム組成物からなる内側コアと、この内側コアを囲み、第1のゴム組成物とは異なる第2のゴム組成物からなる外側コア層と、アイオノマー組成物から成る中間層とからなるサブアセンブリを包囲して良い。
【0045】
混合物は、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tg−tpよりも高いガラス転移温度Tg−mを有して良い。このような実施例の1つにおいて、複数のコア−シェルポリマーの各々は、Tg−tpより大きいガラス転移温度Tg−csを有する。具体的な実施例において、Tg−csおよびTg−tpは少なくとも25℃だけ異なる。
【0046】
この発明は、また、この発明のゴルフボールの製造方法に関連し、このゴルフボールの製造方法は、サブアセンブリを提供するステップと、このサブアッセンブリのまわりに、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなる少なくとも1つの層を形成するステップとを有し、上記熱可塑性ポリマーが、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有し、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1または複数のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを含む。
【0047】
他の実施例において、この方法は、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなるサブアセンブリを提供するステップを有し、この熱可塑性ポリマーが、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有し、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1または複数のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを含み、さらに、この方法は、サブアセンブリの周囲に熱硬化性または熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層を形成するステップを有する。
【0048】
この発明は、全般的には、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素ウレタンハイブリッド、および/または、それらのブレンド/組み合わせ(ここでは、総称してTPU組成物とも呼ばれる)を組み込んだカバーのような少なくとも1つの層を有するゴルフボールに関する。この発明のゴルフボールは、有利なことに、良好な加工性(例えば、良好なメルトフロー特性)のような熱可塑性材料の利点を有し、この結果、広範囲の方法を使用してモールドすることができ、耐久性、擦り切れ(溝せん断)耐性を有している、少なくとも1つのTPU層を組み込んでいる。
【0049】
1実施例において、この発明のゴルフボールは、コアと、カバーと、コアとカバーとの間に配置された中間層とを有し、カバーは、熱可塑性ポリマーとポリメチル(メタ)アクリレートに基づくコポリマー(MMAコポリマー)との混合物から形成されている。
【0050】
ここで使用する「熱可塑性ポリマー」という用語は、1つ以上の熱可塑性ポリマーを含む熱可塑性組成物を指す。そのような実施例の1つにおいて、熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有して良い。熱可塑性ポリウレタン自体は、熱可塑性ウレタン/ポリウレタンのブレンドを含んで良い。熱可塑性尿素自体は、熱可塑性尿素/ポリ尿素のブレンドを含んで良い。尿素ウレタンハイブリッド自体は、複数の異なるハイブリッドを含んで良い。
【0051】
混合物の熱可塑性ポリマーは、材料/含有物、例えば、充填剤、添加剤、触媒、湿潤剤、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤、二酸化チタンおよび酸化亜鉛のような白色剤、紫外線(UV)吸収材、ヒンダードアミン系光安定剤、消泡剤、処理助剤、界面活性剤および他の慣用的な添加物、例えば、酸化防止剤、安定剤、軟化剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、発泡剤、密度調整用充填剤、補強材、相溶化剤を付加的に含み、含有して良い。
【0052】
具体的な実施例において、熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、約98:2から約50:50の重量比で混合物中に含まれて良い。他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、95:5から55:45の重量比で混合物中に含まれて良い。さらに他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、93:7から65:35の重量比で混合物中に含まれてもよい。
【0053】
さらに他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、90:10から70:30、または80:20から60:40、または75:25から55:45、または65:35から50:50の重量比で混合物中に含まれて良い。
【0054】
特定の実施例において、MMAコポリマーは、混合物中に混合物の総重量の35重量%までの量で存在して良い。MMAコポリマーが、混合物の総重量の50重量%までの量で、または混合物の総重量の40重量%までの量で、または混合物の総重量の40重量%または混合物の総重量の10重量%までの量で、または混合物の総重量の約10重量%から約40重量%の量で、約5wt%から約25wt%、または約5wt%から約35wt%、または15wt%から約35wt%、または20wt%から約45wt%、または30wt%から50wt%である実施例も想定できる。
【0055】
1実施例において、MMAコポリマーは、MMA−n−ブチルアクリレート;MMA−エチルアクリレート;MMA−n−ブチルアクリレート−スチレン;MMA−ブタジエン−スチレン;MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン;MMA−エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM);MMA−EPDM−スチレン;MMA−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート;MMA−グリシジル;(メタ)アクリレート−n−ブチルアクリレート;MMA−スチレン−アクリロニトリル;MMA−ブタジエン;およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されて良い。
【0056】
MMAコポリマーは、飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート;不飽和アルコールから誘導された(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート;シクロアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリコールジ(メタクリレート);エーテルアルコールの(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のアミド;(メタ)アクリル酸のニトリル;含硫黄(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレート;およびそれらの組み合わせからなるグループから選択される(メタ)アクリレートを有して良い。
【0057】
MMAコポリマーは、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、3,3,5−トリメチルヘキシルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、メチルヘプチルアクリレート、2−tert−ブチルヘプチルアクリレート、3−イソプロピルヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、2−メチルオクチルアクリレート、デシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、5−メチルウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、2−メチルドデシルアクリレート、トリデシルアクリレート、5−メチルトリデシルアクリレート、テトラデシルアクリレート、ペンタデシルアクリレート、ヘクサデシルアクリレート、2−メチルヘクサデシルアクリレート、ヘプタデシルアクリレート、5−イソプロピルヘプタデシルアクリレート、5−エチルオクタデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノナデシルアクリレート、エイコシルアクリレート、シクロアルキルアクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、3−ビニル−2−ブチルシクロヘキシルアクリレート、シクロヘプチルアクリレート、シクロオクチルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、n−アミルアクリレート、カプリルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−アミルアクリレート、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択された(メタ)アクリレートを有して良い。
【0058】
MMAコポリマーが、1−アルケン、分岐アルケン、アクリロニトリル、スチレン、マレイン酸誘導体、ジエン、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されたコモノマーを有して良い。
【0059】
熱可塑性ポリマーが、さらに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマー、またはこれらの組み合わせを有して良い。
【0060】
熱可塑性ポリマーが、さらに、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマー、またはこれらの組み合わせを有して良い。
【0061】
熱可塑性ポリマーが、さらに、ポリカーボネート、無水マレイン酸、グラフト化無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、変性ポリオレフィン、変性スチレンコポリマー、またはそれらの組み合わせを有して良い。
【0062】
スチレンコポリマーが、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、およびポリ(スチレン−エチレン/プロピレン−スチレン)からなるグループから選択されて良い。
【0063】
さらに他の実施例において、この発明のゴルフボールは、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなる少なくとも1つの層も含む。
【0064】
1実施例において、熱可塑性ポリマーは、約20ショアDから約66ショアDまで、または20ショアDから約60ショアDまで、または20ショアDから約50ショアDまで、または約20ショアDから約40ショアDまで、または20ショアDから約30ショアDまで、または30ショアDから約66ショアDまで、または30ショアDから約60ショアDまで、または30ショアDから約50ショアDまで、または30ショアDから約40ショアDまで、または40ショアDから約40ショアDから約60ショアD、または約40ショアDから約50ショアD、または約50ショアDから約66ショアD、または約50ショアDから約60ショアDの材料硬度を有して良い。
【0065】
特定の実施例において、混合物は、熱可塑性ポリマーの材料硬度とは異なる材料硬度を有して良い。
【0066】
1実施例において、混合物は、約20ショアDより大きく、約70ショアDまで、または約30ショアDより大きく約70ショアDまで、または約40ショアDより大きく、70ショアDまで、または約50ショアDより大きく、約70ショアDまで、または約60ショアDより大きく約70ショアDまで、または約25ショアDから約70ショアD、または約25ショアDから約60ショアD、または約25ショアDから約50ショアD、または約25ショアDから約40ショアD、または約35ショアDから約70ショアD、または約45ショアDから約60ショアD、または約50ショアDから約70ショアD、または約50ショアDから約60ショアDの材料硬度を有する。
【0067】
混合物は、熱可塑性ポリマーの弾性率より大きい弾性率を有して良い。したがって、このような実施例において、広範囲の競技特性を実現するために所定量の熱可塑性ポリマーに対するMMAコポリマーの充填量を選択することによって、混合物の層は、熱可塑性ポリマーの弾性率よりも大きい任意の既知の適切な弾性率を有して良いことがわかる。
【0068】
カバーは、約0.010インチから約0.050インチ、または約0.010インチから約0.040インチ、または約0.010インチから約0.030インチ、または約0.010インチから約0.020インチ、または約0.015インチから約0.045インチ、または約0.025インチから約0.045インチ、または約0.035インチから約0.050インチ、または約0.020インチから約0.050インチの厚さを有して良い。
【0069】
中間層は、約55ショアDから約75ショアDの材料硬度を有するアイオノマー組成物から形成して良い。ただし、中間層の硬度を変化させて、広い範囲の競技特性をじつげんすることが考えられる。
【0070】
混合物のガラス転移点Tg−mが、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tg−tpよりも大きくて良い。
【0071】
特定の実施例において、コアは内側コアと外側コア層とを含んで良く、中間層は内側カバー層である。
【0072】
異なる実施例において、この発明のゴルフボールは、コアとカバーとを有し、カバーは、熱可塑性ポリマーとポリメチル(メタ)アクリレートベースのコポリマー(MMAコポリマー)との混合物から形成される。熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを含んで良い。熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、約98:2から約50:50の重量比で混合物中に含まれて良い。
【0073】
ここで使用される用語のポリメチルメタクリレートベースの(ポリメチルアクリレートに基づく)コポリマーすなわちMMAコポリマーは、ポリ(メタ)アクリレート、メタクリレートおよびアクリレートを有する。ポリメタクリレートは、(メタ)アクリレートのフリーラジカル重合を介する方法のような公知の方法を用いて得ることができる。ここでは、用語(メタ)アクリレートおよびメタクリレートは互換的に使用される。
【0074】
用語「交互」(alternating)は、MMAコポリマーが、約1対1の比率で異なるモノマーの交互の配列から成ることを意味する。用語「ブロック」(block)は、MMAコポリマーが、比較的長い一連のモノマー、その後の比較的長い一連の異なるモノマーから成ることを意味する。用語「ランダム」(random)は、MMAコポリマーが、(2以上の)モノマーの2つ以上の異なる反復単位をランダムに分布させてなることを意味する。用語「グラフト」(graft)は、MMAコポリマーが、別のタイプのモノマーの分枝を有する一種のモノマーの主鎖を含むことを意味する。用語「勾配」(gradient)は、MMAコポリマーが鎖に沿って組成物の漸進的変化を示し、鎖の開始部で殆ど1つのタイプのモノマーから鎖の末端で主に別のタイプに変化することを意味する。これらのグループのうちのいくつかの中のより具体的なバリエーションは、例えば、星型、櫛型、および/またはムカデ型構成を含む。
【0075】
熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、当業者に公知の任意の方法を用いて混合および成形して良い。これに関して、MMAコポリマーはマスターバッチに組み込まれて良く、このマスターバッチにはこののちモールドに先だって熱可塑性ポリマーが添加される。代替的には、熱可塑性ポリマーおよびMMAコポリマーは、少なくとも1つの高剪断混合、続いてモールドによって組み合わせて良い。圧縮および射出成形、引き込み式ピン射出成形(RPIM)、反応性射出成形(RIM)、液体射出成形、鋳造などを使用して良い。この発明の混合物の層が、噴霧、粉末コーティング、真空形成、フローコーティング、浸漬、および/またはスピンコーティングによってサブアセンブリの周りに形成される実施例も想定される。
【0076】
さらに異なる実施例において、この発明のゴルフボールは、また、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなる少なくとも1つの層を有して良い。この実施例において、MMAコポリマーは、複数のコア−シェルポリマーである。熱可塑性ポリマーは、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせ/ブレンドを有する。他方、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1つ以上のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを有する。
【0077】
ここで使用されるように、「複数のコア−シェルポリマー」という語句は、熱可塑性ポリマーと組み合わされて混合物を形成するコア−シェルポリマーの集合物(group)または充填物(loading)を指す。1実施例において、特定の集合物または充填物の全てのコア−シェルポリマーは、構造(形状/サイズ)および組成の両方に関して実質的に類似して良い。他の実施例において、集合物または装填物の少なくとも2つのコア−シェルポリマーは、異なって良く、例えば、異なるコアサイズ/形状および/または組成物組成を有し、および/または、異なるシェルサイズ/形状および/または組成物を有して良い。
【0078】
1実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、49:1から50:50の重量比で混合物中に含まれて良い。他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、19:1から45:55の重量比で混合物中に含まれて良い。さらに他の実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、7:1から35:65の重量比で混合物中に含まれる。
【0079】
複数のコア−シェルの装填量は、得られる層の特性、例えば、材料硬度、曲げ弾性率、引張強さおよび目標機械的強度、衝撃耐久性および剪断抵抗などの得られる層特性を変更するように調整することができ、組み合わされる具体的な熱可塑性ポリマーの特定の特性に少なくとも部分的に左右される。いくつかの実施例において、混合物は、熱可塑性ポリマー自体の特性と比較して、得られる混合物のより大きな特性変化を生じさせるために、複数のコア−シェルをより高い充填量で含んで良い。このような特性変化は、熱可塑性ポリマーのそれよりも高いコア−シェルポリマーのガラス転移温度に少なくとも部分的に起因する。より高い充填量を採用する実施例において、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、例えば約13:7、または約3:2、または約13:12、または約重量比14:11、または約27:23、または約16:9、または約29:21、または約31:19、または約33:17で、混合物中に含まれて良い。
【0080】
他の実施例において、混合物中の複数のコア−シェルのより低い充填が好ましい場合がある。例えば、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、約24:1、または約47:3、または約23:2、または約9:1、または約22:3、または約43:7、または約21:4、または約24:1、または約41:9、または約4:1、または約39:11、または約19:6、または約37:13、または約18:7、または約7:3、または約24:1、または約8:17の重量比で、混合物中に含まれて良い。
【0081】
各コア−シェルは、約0.05ミクロンから約20ミクロンの直径を有して良い。1実施例において、各コア−シェルポリマーは、約0.5ミクロンから約20.0ミクロンの直径を有して良い。他の実施例において、各コア−シェルポリマーは、約0.05ミクロンから約0.20ミクロンの直径を有する。
【0082】
1実施例において、複数のコア−シェルポリマーの少なくとも1つは、ウレタン含有コアを有する。他の実施例において、複数のコア−シェルポリマーの少なくとも1つは、非ウレタン含有コアを有する。
【0083】
コア−シェルポリマーを形成するために使用されるMMAコポリマーは、例えば、MMA−n−ブチルアクリレート;MMA−エチルアクリレート;MMA−n−ブチルアクリレート−スチレン;MMA−ブタジエン−スチレン;MMA−アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン;MMA−エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM);MMA−EPDM−スチレン;MMA−グリシジルメタクリレート−エチルアクリレート;MMA−グリシジル;メタクリレート−n−ブチルアクリレート;MMA−スチレン−アクリロニトリル;またはMMA−ブタジエン;またはそれらの組み合わせからなるグループから選択されて良い。
【0084】
MMAコポリマーは、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、イソヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、イソヘプチルアクリレート、カプリルアクリレート、(1−メチルヘプチルアクリレート)、n−オクチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、メチルヘプチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、イソノニルアクリレート、3,5,5−トリメチルヘキシルアクリレート、n−デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、n−アミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、カプリルアクリレート(1−メチルヘプチルアクリレート)、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレートからなるグループから選択されたアクリレート、例えばn−メチルヘプチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、カプリルアクリレートを有して良い。
【0085】
熱可塑性ポリマーは、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート、アクリロニトリル−エチレン−スチレンターポリマー、スチレンアクリロニトリルコポリマー、スチレンマレイン酸無水物コポリマーの少なくとも1つをさらに有して良い。
【0086】
熱可塑性ポリマーは、ポリカーボネート、無水マレイン酸、グラフト化無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、変性ポリオレフィンおよび変性スチレンコポリマーのうちの少なくとも1つをさらに有して良い。
【0087】
これに関して、スチレンコポリマーは、例えば、ポリ(スチレン−ブタジエン−スチレン)、ポリ(スチレン−イソプレン−スチレン)、ポリ(スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン)、およびポリ(スチレンエチレン/プロピレンスチレン)からなるグループから選択されて良い。
【0088】
1実施例において、熱可塑性ポリマーは、約20ショアDから約66ショアDの材料硬度を有して良い。
【0089】
混合物は、熱可塑性ポリマーの材料硬度とは異なる材料硬度を有して良い。したがって、混合物は、約20ショアDより大きく約70ショアDまでの材料硬度を有して良い。混合物は、また、熱可塑性ポリマーの弾性率よりも大きい弾性率を有して良い。
【0090】
上記少なくとも1つの層は、約0.010インチから約0.050インチの厚さを有するカバー層であって良い。ゴルフボールは、さらに、少なくとも0.780のCoRを有して良く、カバー層は、ゴムベースのコアを取り囲む。代替的には、カバー層は、第1のゴム組成物からなる内側コアと、この内側コアを囲み、第1のゴム組成物とは異なる第2のゴム組成物からなる外側コア層と、アイオノマー組成物から成る中間層とからなるサブアセンブリを包囲して良い。
【0091】
この発明は、また、この発明のゴルフボールの製造方法に関連し、このゴルフボールの製造方法は、サブアセンブリを提供するステップと、このサブアッセンブリのまわりに、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなる少なくとも1つの層を形成するステップとを有し、上記熱可塑性ポリマーが、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有し、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1または複数のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを含む。
【0092】
他の実施例において、この方法は、熱可塑性ポリマーと複数のコア−シェルポリマーとの混合物からなるサブアセンブリを提供するステップを有し、この熱可塑性ポリマーが、少なくとも1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素−ウレタンハイブリッド、またはそれらの組み合わせを有し、各コア−シェルポリマーのコアおよびシェルの少なくとも1つは、1または複数のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを含み、さらに、この方法は、サブアセンブリの周囲に熱硬化性または熱可塑性組成物を含む少なくとも1つの層を形成するステップを有する。
【0093】
コア−シェルポリマーは、分散、沈殿、および乳化重合などの方法によって調製することができる。例えば、「Core−shell polymers:a review」、Ramli、Ros Azlinawati;Laftah、Waham Ashaier;ハシム、シャーリー;RSC Advances、2013、3、15543−15565(以後「コア−シェルポリマーレビュー論文」という)に記載されている。
【0094】
適切なコア−シェルポリマーの非制約的な例は、RayAce(登録商標)5525、RayCore(登録商標)9534A、RayCore(登録商標)9507A、RayCore(登録商標)9506A、および、RayCore(登録商標)9021Aを含み、これらは、すべてSpecialtyChemicals、Inc.から商業的に入手できる。RayAce(登録商標)5525コアシェルは、平均粒子剤図が0.16ミクロンのアルキドアクリルコアーシェルハイブリッドである。RayCore(登録商標)9507A、RayCore(登録商標)9506A、および、RayCore(登録商標)9021Aは、平均粒子サイズが0.10ミクロンのウレタンアクリルコア−シェルハイブリッドである。コアシェル構造の付加的な例は、Nelsenらの米国特許第4,419,471号(Nelsen等)、米国特許第4,666,777号(Ash等)、米国特許第4,876,313号(Lorah)、米国特許第5,006,592号(Oshima等)、米国特許第5,183,858号(Sasaki等)、米国特許第5,206,299号(Oshima等)、米国特許第5,237,015号(Urban)、米国特許第5,242,982号(Oshima等)、米国特許第5,280,075号(Oshima)、米国特許第5,280,076号(Sasaki等)、米国特許第5,290,858号(Sasaki等)、米国特許第5,304,707号(Blankenship等)、米国特許第5,324,780号(Oshima等)、米国特許第5,362,804号(Oshima等)、米国特許第5,403,894号(Tsai等)、米国特許第5,453,458号(Takeuchi等)、米国特許第6,777,500号(Lean等)、および米国特許第6,858,301号(Ganapathiappan)に開示され説明されているものを含み、これらは参照してここに組み入れる。
【0095】
熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、当業者に知られている任意の方法を用いて混合および成形することができる。この点に関して、複数のコア−シェルポリマーをマスターバッチに配合し、その後、モールド前に熱可塑性ポリマーに添加することができる。代替的には、熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーは、高剪断混合、混練および/または配合の少なくとも1つによって組み合わされてもよく、もってこれらの操作のいずれかの間にコア−シェルポリマーが熱可塑性ポリマー全体にわたって形成されるようになし、こののち、モールドが行われる。圧縮および射出成形、引き込み式ピン射出成形(RPIM)方法、反応性射出成形(RIM)、液体射出成形、鋳造などを使用して良い。この発明の混合物の層が、噴霧、粉末コーティング、真空形成、フローコーティング、浸漬、および/またはスピンコーティングによってサブアセンブリの周りに形成される実施例も想定される。
【0096】
有利なことに、この発明の混合物は、熱可塑性ポリマーのガラス転移温度Tg−tpよりも高いガラス転移温度Tg−mを有して良い。これに関して、ガラス転移温度(Tg)という用語は、ポリマーが硬いガラス質の材料から軟質のゴム状の材料に移行する温度領域を指す。材料の結晶状態の融解温度がある場合には、ガラス転移点はこの融解温度よりも常に低い。TgはMDSCによって測定でき、これは慣用的なDSCを拡張したものである(DSCは、材料中の転移に関連する温度および熱フローを、制御された環境において温度または時間の関数として測定し、示差走査熱量(DSC)測定をDSC熱量計NETZSCH、タイプ204を用いて行う)。
【0097】
MDSCは、総熱流量を反転(熱容量)コンポーネントと非反転(運動)コンポーネントに分ける。反転信号は、ガラス転移および溶融などの熱容量事象を含む。非反転シグナルは、結晶化、結晶完全性および再構成、硬化および分解などの速度論的事象を含む。計測器は、また、TA Instrumentsから市販されている。
【0098】
この発明の混合物において、比較的低いTgを有する熱可塑性ポリマーと、比較的高いTgを有する複数のコア−シェルポリマーとの間の相互作用は、熱可塑性ポリマー単独の層と比べて改善された機械的強度、耐衝撃性および切断擦り切れ(溝剪断)耐性をもたらし、コースにおいてゴルフボールを打撃する際のクラブフェースの大きな力と衝撃をより良好かつ確実に持続することができる。
【0099】
これに関して、TPUのTgは一般に0℃(32°F)以下、または−10℃以下、または−30℃以下、または−40℃以下である。一方、ポリ(メチルメタクリレート)のTgは室温をはるかに上回り、100℃(212°F)当たりである。コア−シェルポリマーの各々は、そのコアまたはシェルの一方にポリ(メチルメタクリレート)を含み、異なる材料で形成されたシェルまたはコアを具備し、各コア−シェルポリマーのTg、熱可塑性ポリマーのTgよりも大きく、一般に約100℃(212°F)未満である。
【0100】
1つの具体的な例において、RayAce(登録商標)5525のアルキド−アクリルコア−シェルハイブリッドは、約29℃(84.2°F)のTgを有する。他の具体的な例において、ウレタン−アクリルコア−シェルハイブリッドのRayCore(登録商標)9534A、RayCore(登録商標)9507A、RayCore(登録商標)9506AおよびRayCore(登録商標)9021AのTgは、30℃(86°F)、42℃°C(102.2°F)、および17°C(60.8°F)である。このように、熱可塑性ポリウレタンをこれらのコアシェルポリマーと混合することにより、熱可塑性ポリウレタンと比較して、機械的強度、耐衝撃性、切断擦り切れ(溝剪断)耐性に優れた層を製造することができる。
【0101】
1実施例において、複数のコア−シェルポリマーの少なくともいくつかは、Tg−tpより大きいガラス転移温度Tg−csを有する。他の実施例において、複数のコア−シェルポリマーのすべてが、Tg−tpより大きいガラス転移温度Tg−csを有する。特定の実施例において、Tg−csおよびTg−tpは、少なくとも25℃異なる。
【0102】
コア−シェル構造に組み込むための好適なMMA含有ポリマーの非限定的な例は、また、Galen Chemicals、LLCから市販されているBlendex(登録商標)338、Blendex(登録商標)362、Blendex(登録商標)3160、Royaltuf(登録商標)960Aを含む。
【0103】
1実施例において、得られる層は、熱可塑性ポリウレタンポリマー全体に配置された複数のコア−シェルポリマーの異種の当該混合物を含有する。他の実施例において、得られる層は、熱可塑性ポリ尿素ポリマー全体に配置された複数のコア−シェルポリマーの異種の当該発明の混合物を含有する。さらに他の実施例において、得られる層は、熱可塑性ポリウレタン−ポリ尿素ポリマー全体に配置された複数のコア−シェルポリマーの異種の当該発明の混合物を含有する。
【0104】
これらの実施例のいずれにおいても、複数のコア−シェルは、実質的に同様であるか、あるいは2つ以上の異なるコア−シェルタイプを含む複数のコアシェルを含んで良い。例えば、複数のものは、ウレタン−アクリルコア−シェルハイブリッドおよびアルキド−アクリルコア−シェルハイブリッドの両方を含むことができる。あるいは、複数のものは、すべてウレタン−アクリルコア−シェルハイブリッドを含んでよいけれども、異なるシェル厚さを有する。
【0105】
複数のコア−シェルポリマーのうちの少なくとも1つのコア−シェルポリマーがウレタン含有コアを有する、いくつかの実施例においては、そのコアは、1実施例においては、混合物の熱可塑性ポリマーが形成されるのと同じポリウレタンから形成されて良い。他のそのような実施例において、そのコアは、混合物の熱可塑性ポリマーが形成されるのとは異なるポリウレタンから形成されて良い。
【0106】
いくつかの実施例においては、複数のコアシェルポリマーの少なくとも1つが非ウレタン含有コアを有し、当該分野で公知の多数の非ウレタン組成物がコアを形成し得ることが想定される。他方、複数のコア−シェルポリマーのそれぞれにおいて、コアおよび/またはシェルの少なくとも1つは、1つ以上のポリメチルメタクリレート(MMA)コポリマーを有する。それぞれのコア−シェルポリマーは、コアまたはシェルが個別に有していない、結果として得られる混合物特性に一意的に集合的に寄与し、混合物の熱可塑性ポリマーとさらに組み合わせると、混合物の熱可塑性樹脂単独のものよりも耐久性があり堅牢な層を形成する。
【0107】
複数のコア−シェルポリマーの各々と熱可塑性ポリマーとの間の相互作用は、熱可塑性ポリマー単独と比較して優れた機械的強度、衝撃耐久性、および切断および擦り切れ(溝せん断)耐性を有する熱可塑性材料を生成し、コースにおいて、ゴルフボールをぶつけるクラブフェースの大きな力とインパクトを、より良好でより確実に、持続させる。
【0108】
得られた、この発明の創作的な混合物は、また、混合物の熱可塑性ポリマーよりも大きな曲げ弾性率(ASTM D−790)、引張強さ(ASTM D−638)および極限伸び(ASTM D−638)を有して良い。熱可塑性ポリマーおよび複数のコア−シェルポリマーの相対量は、この発明の混合物の層の所望のTg、曲げ弾性率、引張強さおよび/または極限伸びを達成するために、変更、調整、また目標制御することができる。
【0109】
これに関して、得られる当該発明の混合物は、この発明の混合物の曲げ弾性率が熱可塑性ポリマーの曲げ弾性率よりも大きい限り、低い曲げ弾性率または高い曲げ弾性率を有して良い。したがって、当該発明の混合物の層は、例えば、約300psiまたは1000psiまたは5000psiまたは10000psiの下限および15000または20000または25000または30000または30000または35000または45000または50000または55000psiの上限を有する範囲内の曲げ弾性率を有して良い。これらの実施例において、混合物の熱可塑性ポリマーの曲げ弾性率は、少なくとも5%未満、10%未満、または少なくとも20%未満、または少なくとも25%未満、または少なくとも30%未満、または少なくとも35%未満だけこの発明の曲げ弾性率より小さい。
【0110】
代替的には、この発明で得られる混合物は、下限が約25000または30000または35000または40000または45000または50000または55000または60000psiであり、上限が70000または75000または100000または150000psiの範囲内の高い曲げ弾性率を有して良い。そのような実施例において、混合物の熱可塑性ポリマーの弾性率は、少なくとも5%未満、10%未満、または少なくとも20%未満、または少なくとも25%未満、または少なくとも30%未満、または少なくとも35%未満だけ、この発明の混合物の弾性率より少なくて良い。
【0111】
さらに、この発明で得られる混合物は、当該発明の混合物の引張強度が混合物の熱可塑性ポリマーの引張強度よりも大きい限り、低い引張強度または高い引張強度を有して良い。1つの非限定的な例において、得られる層の引っ張り強さは、4500psiよりも大きいか、または5500psiより大きいか、または少なくとも6500psi、または少なくとも7500psi、または少なくとも8500psi、または少なくとも9500psiであって良い。
【0112】
さらに、本発明で得られる混合物は、当該発明の混合物の極限伸びが混合物の熱可塑性ポリマーの極限伸びよりも大きい限り、低い極限伸び、または高い極限伸びを有して良い。例えば、極限伸びは、少なくとも25%、または少なくとも50%、または少なくとも100%、または少なくとも125%、または少なくとも150%、または少なくとも175%、または200%、またはそれ以上であって良い。
【0113】
いくつかの実施例において、各コア−シェルポリマーのシェルの厚さは、溶融ブレンド中および/または溶融後に熱可塑性ポリマー内に構造的に無傷のままで十分に分散されたコア−シェルポリマーを生成するため目標制御して良い。このような実施例において、薄すぎるシェルは、コアが部分的に露出され、相互に接続してセル状構造を形成し、それにより不十分な強化効率を生じさせる激しい処理条件の間に、そのコアを十分に保護できないことがある。
【0114】
他方、コア−シェルポリマーのシェルが厚すぎると、不十分な弾性が生じ、その場合、コア−シェルは、効率的な衝撃改質剤としてではなく、硬質フィラーとしてこの発明の混合物において有用になる。かくして、粒子サイズにかかわらず、得られる層組成物を強化する際に高い効率を示すために、これらのコア−シェルポリマーのシェル厚を目標制御して良い。
【0115】
この発明の混合物の熱可塑性ポリマーは少なく世と1つの熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性尿素、熱可塑性尿素ウレタンハイブリッド、またはこれらの組み合わせ/ブレンドを有する。一般に、ポリウレタンは、イソシアネート基(−N=C=O)をヒドロキシル基(OH)と反応させることによって形成されるウレタン結合を含む。ポリウレタンは、触媒および他の添加剤の存在下で多官能性イソシアネート(NCO−R−NCO)と末端ヒドロキシル基(OHーーーOH)を有する長鎖ポリオールとの反応により製造される。ポリウレタンプレポリマーの鎖長は、それを短鎖ジオール(OH−R’−OH)と反応させることによって伸長される。得られるポリウレタンは、共有結合により共に結合された「硬質」および「軟質」セグメントのためにエラストマー特性を有する。この相分離は、主として非極性の低融点軟質セグメントが極性の高い融点の硬質セグメントと相溶性がないために生じる。ジイソシアネートと低分子量鎖延長ジオールとの反応によって形成される硬質セグメントは、比較的堅く不動である。ジイソシアネートと長鎖ジオールとの反応によって形成される軟質セグメントは、比較的柔軟で可動性がある。硬質セグメントは軟質セグメントに共有結合しているので、ポリマー鎖の塑性流動を阻害し、エラストマー弾性を作り出す。
【0116】
用語「イソシアネート化合物」は、本明細書中で使用される場合、2つ以上のイソシアネート官能基を含む任意の脂肪族または芳香族イソシアネートを意味する。イソシアネート化合物は、2つ以上のモノマーイソシアネート反復単位を含むポリマーイソシアネートを生成するために重合することができるので、モノマーまたはモノマー単位であり得る。イソシアネート化合物は、飽和または不飽和、ならびに直鎖、分枝または環状を含む任意の適切な主鎖構造を有して良い。「ポリアミン」という用語は、ここで使用する場合、2つ以上の第1級または第2級アミン官能基を含む任意の脂肪族または芳香族化合物を意味する。ポリアミン化合物は、飽和または不飽和、および直鎖、分枝または環状を含む任意の適切な主鎖構造を有し得る。「ポリアミン」という用語は、アミン末端成分と交換可能に使用することができる。用語「ポリオール」は、本明細書中で使用される場合、2つ以上のヒドロキシル官能基を含む任意の脂肪族または芳香族化合物を意味する。用語「ポリオール」は、ヒドロキシ末端成分と互換的に使用することができる。
【0117】
熱可塑性ポリウレタンは最小の架橋を有する。ポリマーネットワークにおけるいかなる結合も、主として水素結合または他の物理的機構によるものである。低レベルの架橋のために、熱可塑性ポリウレタンは比較的柔軟性がある。熱可塑性ポリウレタン中の架橋結合は、成形または押出の時に温度を上昇させることによって可逆的に破壊することができる。すなわち、熱可塑性材料は、熱にさらされると軟化し、冷却されると元の状態に戻る。一方、熱硬化性ポリウレタンは、硬化すると不可逆的に硬化する。架橋結合は不可逆的に設定され、熱に曝されると破壊されない。したがって、典型的には高レベルの架橋を有する熱硬化性ポリウレタンは比較的硬質である。
【0118】
芳香族ポリウレタンは、この発明に従って調製することができ、これらの材料は、好ましくは、芳香族ジイソシアネートをポリオールと反応させることによって形成される。この発明に従って使用することができる好適な芳香族ジイソシアネートには、例えば、トルエン2,4−ジイソシアネート(TDI)、トルエン2,6−ジイソシアネート(TDI)、4,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、2,4’−メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)、高分子メチレンジフェニルジイソシアネート(PMDI)、p−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、m−フェニレンジイソシアネート(PDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(NDI)、p−キシレンジイソシアネート(XDI)、およびそれらのホモポリマーおよびコポリマーおよびブレンドを含む。芳香族イソシアネートは、ヒドロキシルまたはアミン化合物と反応して、高融点を有する耐久性のある強靭なポリマーを形成することができる。得られるポリウレタンは、一般に、良好な機械的強度および切断/せん断耐性を有する。
【0119】
脂肪族ポリウレタンもこの発明に従って製造することができ、これらの材料は脂肪族ジイソシアネートとポリオールとを反応させることにより形成するのが好ましい。この発明に従って使用して良い適切な脂肪族ジイソシアネートは、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(「H
12MDI」)、メタ−テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、トランスシクロヘキサンジイソシアネート(CHDI)、およびそれらのホモポリマーおよびコポリマーおよびブレンドが含まれるが、これらに限定されるものではない。得られたポリウレタンは一般的に軽量性に優れ、熱安定性を有する。
【0120】
当業者に利用可能な任意のポリオールが、この発明による使用に適している。例示的なポリオールは、これに限定されないが、ポリエーテルポリオール、ヒドロキシ末端ポリブタジエン(部分的に/完全に水素化された誘導体を含む)、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびポリカーボネートポリオールを含む。好ましい一実施例では、ポリオールはポリエーテルポリオールを含む。例としては、特に好ましいポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレンプロピレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および、それらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。炭化水素鎖は、飽和または不飽和の結合および置換または非置換の芳香族および環式基を有することができる。
【0121】
別の実施例では、ポリエステルポリオールがポリウレタン材料に含まれる。適切なポリエステルポリオールは、限定されないが、ポリエチレンアジペートグリコール;ポリブチレンアジペートグリコール;ポリエチレンアジペートグリコール;o−フタレート−1,6−ヘキサンジオール;ポリ(ヘキサメチレンアジペート)グリコール;およびそれらの混合物を含む。炭化水素鎖は、飽和または不飽和の結合、または置換または非置換の芳香族および環式基を有することができる。さらに別の実施例では、ポリカプロラクトンポリオールがこの発明の材料に含まれる。適切なポリカプロラクトンポリオールは、これに限定されない場、1,6−ヘキサンジオール開始ポリカプロラクトン、ジエチレングリコール開始ポリカプロラクトン、トリメチロールプロパン開始ポリカプロラクトン、ネオペンチルグリコール開始ポリカプロラクトン、1,4−ブタンジオール開始ポリカプロラクトン、およびそれらの混合物を含む。炭化水素鎖は、飽和または不飽和の結合、または置換または非置換の芳香族および環式基を有することができる。さらに別の実施例において、ポリカーボネートポリオールは、この発明のポリウレタン材料に含まれる。適切なポリカーボネートは、これに限定されないが、ポリフタル酸カーボネートおよびポリ(ヘキサメチレンカーボネート)グリコールを含む。炭化水素鎖は、飽和または不飽和の結合、または置換または非置換の芳香族および環式基を有することができる。一実施例では、ポリオールの分子量は約200から約4000である。
【0122】
ポリウレタンを製造するために使用できる2つの基本的な技術、a)ワンショット技術、およびb)プレポリマー技術がある。ワンショット法では、ジイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシル末端連鎖延長剤(硬化剤)を一度に反応させる。一方、プレポリマー技術は、ポリウレタンプレポリマーを生成するためのジイソシアネートとポリオール化合物との間の最初の反応、およびプレポリマーとヒドロキシル末端の連鎖延長剤との間の続く反応を含む。イソシアネートとポリオール化合物との間の反応の結果として、ポリウレタンプレポリマー中に未反応のNCO基が存在することになる。プレポリマーは14%未満の未反応NCO基を有するべきである。好ましくは、プレポリマーは、8.5%以下の未反応NCO基、より好ましくは2.5%から8%、最も好ましくは5.0%から8.0%の未反応NCO基を有する。未反応イソシアネート基の重量%が増加するにつれて、組成物の硬度もまた一般に上昇する。
【0123】
この発明のポリウレタン組成物を製造するためにワンショット法またはプレポリマー法のいずれを用いてもよい。一実施例では、イソシアネート化合物を反応容器に添加し、次にポリオールおよび硬化剤を含む硬化剤混合物を反応容器に添加するワンショット法が使用される。成分は、イソシアネート基対ヒドロキシル基のモル比が好ましくは約1.00:1.00から約1.10:1.00の範囲になるように一緒に混合される。第2の実施例では、プレポリマー法が使用される。一般に、プレポリマー技術は化学反応のより良好な制御を提供するので好ましい。プレポリマー法はより均質な混合物を提供し、より一貫したポリマー組成物をもたらす。ワンショット法は、不均質(よりランダムな)であり、製造者が得られる組成物の分子構造に対してより少ない制御を与える混合物をもたらす。
【0124】
ポリウレタン組成物は、以下にさらに記載するように、ポリウレタンプレポリマーを単一の鎖延長剤または連鎖延長剤の混合物で鎖延長することによって形成することができる。上述のように、ポリウレタンプレポリマーは、それを単一の鎖延長剤または連鎖延長剤の混合物と反応させることによって鎖延長させることができる。一般に、プレポリマーは、ヒドロキシル末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびそれらの混合物と反応させることができる。硬化剤は、プレポリマーの鎖長を延長し、その分子量を増強する。一般に、熱可塑性ポリウレタン組成物は、典型的には、イソシアネートブレンドとポリオールとを1:1の化学量論比で反応させることによって形成される。他方、熱硬化性組成物は、架橋ポリマーであり、典型的には、イソシアネートブレンドとポリオールとの反応により製造され、通常では化学量論比は1.05:1である。
【0125】
鎖延長工程の間に、プレポリマーを製造するための、またはプレポリマーと連鎖延長剤との間のイソシアネートとポリオール化合物との間の反応を促進するために、触媒を使用することができる。好ましくは、触媒はプレポリマーを製造する前に反応物に添加される。適切な触媒は、これに限定されないが、ビスマス触媒;オクタン酸亜鉛;オクタン酸第一錫;ビス−ブチルスズジラウレート、ビス−ブチルスズジアセテート、スズオクトエートなどのスズ触媒;塩化スズ(IV)、ビス−ブチルスズジメトキシド、ジメチル−ビス[1−オキソノニル]オキシ]スタンナン、ジ−n−オクチルスズビス−イソオクチルメルカプトアセテート;トリエチレンジアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のアミン系触媒;オレイン酸、酢酸などの有機酸;遅延触媒;およびそれらの混合物を含む。触媒は、好ましくは、反応混合物中の成分の反応を触媒するのに十分な量で添加される。一実施例では、触媒は、組成物の約0.001重量%から約1重量%、好ましくは0.1重量%から0.5重量%の量だけ含まれる。
【0126】
ヒドロキシル鎖延長剤(硬化剤)は、好ましくは、エチレングリコール;ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;2−メチル−1,3−プロパンジオール;2−メチル−1,4−ブタンジオール;モノエタノールアミン;ジエタノールアミン;トリエタノールアミン;モノイソプロパノールアミン;ジイソプロピルアミン;ジプロピレングリコール;ポリプロピレングリコール;1,2−ブタンジオール;1,3−ブタンジオール;1,4−ブタンジオール;2,3−ブタンジオール;2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール;トリメチロールプロパン;シクロヘキシルジメチロール;トリイソプロパノールアミン;N,N,N’,N’−テトラ−(2−ヒドロキシプロピル)−エチレンジアミン;ジエチレングリコールビス−(アミノプロピル)エーテル;1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;1,3−ビス−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン;1,4−シクロヘキシルジメチロール;1,3−ビス−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]シクロヘキサン;1,3−ビス−{2−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ}シクロヘキサン;トリメチロールプロパン;好ましくは約250から約3900の分子量を有するポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG);およびそれらの混合物からなるグループから選択される。
【0127】
ポリウレタンプレポリマーを鎖延長するのに使用することができる適切なアミン鎖伸長(硬化)剤は、これに限定されないが、不飽和ジアミン、例えば4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ジアニリンまたは「MDA」)、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)ベンゼン、3,5−ジエチル−(2,4−または2,6−トリメチレンジアミン)−)トルエンジアミンすなわち「DETDA」、3,5−ジメチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,5−ジエチルチオ−(2,4−または2,6−)トルエンジアミン、3,3’,4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ビス(2−エチル−6−メチル−3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(即ち、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)または「MOCA」)、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジエチルアニリン)、2,2’−ジクロロ−3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン(すなわち、4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチレンアニリン)または「MCDEA」)、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4、4’−ジアミノジフェニルメタン、または「MDEA」)、3,3’−ジクロロ−2,2’,6,6’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2,3−ジクロロアニリン)(すなわち、2,2’,3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、または「MDCA」);およびそれらの混合物を含む。1つの特に適切なアミン末端連鎖延長剤は、Ethacure 300(ジメチルチオトルエンジアミンまたは2,6−ジアミノ−3,5−ジメチルチオトルエンと2,4−ジアミノ−3,5−ジメチルチオトルエンとの混合物)である。使用されるアミン硬化剤鎖延長剤は、通常、環状構造および低分子量(250以下)を有する。
【0128】
上述のように鎖延長工程中にポリウレタンプレポリマーをヒドロキシル末端硬化剤と反応させる場合、得られるポリウレタン組成物はウレタン結合を含む。他方、鎖延長工程の間にポリウレタンプレポリマーをアミン末端硬化剤と反応させる場合、プレポリマー中の過剰のイソシアネート基は硬化剤中のアミン基と反応する。得られるポリウレタン組成物は、ウレタン結合および尿素結合を含み、ポリウレタン/尿素ハイブリッドと称されて良い。ハイブリッド組成物中のウレタン結合および尿素結合の濃度は変化して良い。一般に、ハイブリッド組成物は、約10から90%のウレタンおよび約90から10%の尿素結合の混合物を含有して良い。
【0129】
より具体的には、鎖延長工程の間にポリウレタンプレポリマーをヒドロキシル末端硬化剤と反応させる場合、得られる組成物は本質的に、以下の一般構造を有するウレタン結合を含む純粋なポリウレタン組成物である:
【化1】
式中、xは鎖長、すなわち約1以上であり、RおよびR
1は約1から約20個の炭素を有する直鎖または分枝炭化水素鎖である。
【0130】
しかしながら、ポリウレタンプレポリマーを連鎖延長工程中にアミン末端硬化剤と反応させると、プレポリマー中の過剰のイソシアネート基は硬化剤中のアミン基と反応し、次の一般的な構造を有する:
【化2】
式中、xは鎖長、すなわち約1以上であり、RおよびR
1は約1から約20個の炭素を有する直鎖または分枝炭化水素鎖である。
【0131】
カバー層を形成するために使用されるポリウレタン組成物は、他のポリマー材料を含んで良く、当該他のポリマー材料は、例えば、脂肪族または芳香族ポリウレタン、脂肪族または芳香族ポリウレア、脂肪族または芳香族ポリウレタン/尿素ハイブリッド、オレフィン系コポリマーアイオノマー組成物、ポリエチレン例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、および高密度ポリエチレン;ポリプロピレン;ゴム強化オレフィンポリマー;アイオノマーコポリマーの一部にならない酸コポリマー、例えばポリ(メタ)アクリル酸;プラストマー;フレキソマー;スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー;スチレン/エチレン−ブチレン/スチレンブロックコポリマー;動的加硫エラストマー;エチレンと酢酸ビニルのコポリマー;エチレンとアクリル酸メチルのコポリマー;ポリ塩化ビニル樹脂;Arkema Incから入手可能なPebax(登録商標)熱可塑性ポリエーテルブロックアミドを含むポリアミド、ポリ(アミド−エステル)エラストマー、およびイオノマーとポリアミドのグラフトコポリマー;架橋されたトランス−ポリイソプレンおよびそれらのブレンド;DuPontから入手可能なHytrel(登録商標)のようなポリエステル系熱可塑性エラストマー;BASFから入手可能なElastollan(登録商標)などのポリウレタン系熱可塑性エラストマー;SABIC Innovative Plasticsから入手可能なXylex(登録商標)などのポリカーボネート/ポリエステルブレンド;DuPontから入手可能なFusabond(登録商標)のような無水マレイン酸グラフトポリマー;および前述の材料の混合物を含む。
【0132】
さらに、ポリウレタン組成物は、フィラー、添加剤、および最終組成物の特性を損なわない他の成分を含有して良い。これらの追加の材料には、触媒、湿潤剤、着色剤、蛍光増白剤、架橋剤、二酸化チタンおよび酸化亜鉛などの白色化剤、紫外線(UV)光吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、消泡剤界面活性剤、および他の従来の添加剤を含むことができる。他の適切な添加剤としては、酸化防止剤、安定剤、軟化剤、内部および外部可塑剤、衝撃改質剤、発泡剤、密度調整用充填剤、強化材料、相溶化剤などを含む可塑剤が挙げられる。有用なフィラーのいくつかの例は、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、クレー、タングステン、炭化タングステン、シリカおよびそれらの混合物を含む。ゴムリグラインド(リサイクルされたコア材料)およびポリマー、セラミック、金属、およびガラス微小球もまた使用されて良い。一般に、添加剤は、所望の特性に応じて組成物の総重量に基づいて約1から約70重量%の量で組成物中に存在する。
【0133】
熱可塑性ポリ尿素組成物は、典型的には、イソシアネートブレンドとポリアミンとを1:1の化学量論比で反応させることによって形成される。ポリ尿素プレポリマーは単一の硬化剤または硬化剤のブレンドと反応させることによって鎖延長することが可能である。一般的には、プレポリマーは、ヒドロキシル末端硬化剤、アミン末端硬化剤、およびそれらの混合物と反応させることができる。通常、プレポリマーおよび硬化剤は、イソシアネート基およびヒドロキシル基またはアミン基が1.05:1の化学量論比混合するように混合される。
【0134】
鎖延長ステップの間に、プレポリマーを製造するためのイソシアネートとポリアミン化合物との間、またはプレポリマーと硬化剤との間の反応を促進するために、触媒を使用して良い。好ましくは、触媒はプレポリマーを製造する前に反応物に添加される。好適な触媒には、プレポリマーを製造するためのイソシアネートとポリオール化合物との間の反応、または鎖延長ステップにおけるプレポリマーと鎖延長剤の間の反応を促進することに関連してさきに特定したものが含まれるけれども、これらに限定されない。
【0135】
ヒドロキシル鎖延長(硬化)剤は、好ましくは、ポリウレタン組成物と関連して先に特定したのと同じ部ループから選択される。
【0136】
この発明のポリ尿素プレポリマーを鎖延長するのに用いることができる適切なアミン鎖延長(硬化)剤は、ポリウレタンプレポリマーの鎖延長に関連して先に特定したものに限られず、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジフェニルメタン、N、N’−ジアルキルアミノ−ジフェニルメタン、トリメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリエチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレングリコール−ジ(p−アミノベンゾエート);飽和ジアミン、例えばエチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジアミン、イミノ−ビス(プロピルアミン)、イミド−ビス(プロピルアミン)、メチルイミノ−ビス(プロピルアミン)(すなわちN−(3−アミノプロピル)−N−メチル−1,3−プロパンジアミン)、1,4−ビス(3−アミノプロポキシ)ブタン(すなわち、3,3’−[1,4−ブタンジイルビス(オキシ)ビス]−1−プロパンアミン)、ジエチレングリコール−ビス(プロピルアミン)(すなわち、ジエチレングリコール−ジ(アミノプロピル)エーテル)、4,7,10−トリオキサトリデカン1,3−ジアミン、1−メチル−2,6−ジアミノ−シクロヘキサン、1,4−ジアミノ−シクロヘキサン、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)ジアミン、1,3−または1,4−ビス(メチルアミノ)−シクロヘキサン、イソホロンジアミン、1,2−または1,4−ビス(sec−ブチルアミノ)−シクロヘキサン、N,N’−ジイソプロピル−イソホロンジアミン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,5−ジ4,3’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、N,N’−ジアルキルアミノジシクロヘキシルメタン、ポリオキシエチレンジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシルエタン、ポリオキシプロピレンジアミン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ポリテトラメチレンエーテルジアミン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノ3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン(すんわち4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアミノシクロヘキサン))、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、2,2’−ジクロロ−3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、(エチレンオキシド)でキャップされたポリオキシプロピレンエーテルジアミン、2,2’、3,3’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ビス(sec−ブチルアミノ)−ジシクロヘキシルメタン;トリアミン、例えば、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、(プロピレンオキサイド)ベースのトリアミン(すなわち、ポリオキシプロピレントリアミン)、N−(2−アミノエチル)−1,3−プロピレンジアミン(すなわちN
3−アミン)、グリセリンベースのトリアミン、全て飽和);テトラアミン、例えば、N、N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン(即ち、N
4−アミン)(共に飽和)、トリエチレンテトラミン;他のアミン、例えば、テトラエチレンペンタミン(同様に飽和)を同様に含む。
【0137】
ポリ尿素プレポリマーを鎖延長ステップの間にアミン末端硬化剤と反応させる場合、得られる組成物は本質的に純粋なポリ尿素組成物である。他方、鎖延長ステップの間にポリ尿素プレポリマーをヒドロキシル末端硬化剤と反応させると、プレポリマー中の過剰のイソシアネート基は硬化剤中のヒドロキシル基と反応し、尿素結合を生成してポリ尿素を形成し、ポリ尿素ウレタンハイブリッドを形成する。ここでは、尿素およびポリ尿素という用語は互換的に使用される。
【0138】
1実施例において、この発明のスリーピースゴルフボールは、コア、中間層、およびカバー層を有し、コアはゴム組成物から形成され、中間層はアイオノマー組成物から形成され、カバーがこの発明の混合物から形成される。そのような1実施例において、混合物の熱可塑性ポリマーは熱可塑性ポリウレタン組成物であり、複数の各コア−シェルポリマーはRayAce(登録商標)5525のアルキド−アクリルのコア−シェルハイブリッドである。代替的な実施例において、複数の各コア−シェルポリマーは、RayCore(登録商標)9534A、RayCore(登録商標)9507A、RayCore(登録商標)9506A、およびRayCore(登録商標)9021Aのウレタン−アクリルのコア−シェルハイブリッドのうちの1つである。さらに他の実施例において、複数のコア−シェルポリマーは、アルキド−アクリルのコア−シェルハイブリッドおよびウレタン−アクリルのコア−シェルハイブリッドの双方を含む。1実施例において、コア−シェルポリマーの少なくとも1つのコアはMMAを含み、シェルはウレタンである。他の実施例において、コア−シェルポリマーの少なくとも1つのコアはウレタンを含み、シェルはMMAを含む。さらに他の実施例において、複数のコアシェルポリマーの少なくとも1つは非ウレタンである。これらの実施例の各々において得られる混合物の層の硬度は、当該混合物が、当該混合物の熱可塑性ポリマーの硬度とは異なる硬度を有する限り、約20ショアDから約70ショアDであって良く、得られる混合物の弾性率は当該混合物の熱可塑性ポリマーの弾性率より大きい。
【0139】
種々の実施例において、この発明の混合物の熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリ尿素組成物からなって良い。代替的な実施例において、この発明の混合物の熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド組成物からなって良い。そのような種々の、または代替的な実施例のそれぞれにおいて、この発明の混合物は、熱可塑性ポリマー組成物がポリウレタンである実施例において示唆されるようなコア−シェルポリマーを含んで良い。
【0140】
この発明のゴルフボールは、外側カバー層にこの発明の混合物を含むけれども、別のゴルフボール層(内側コア、外側コア、中間層など)が、代替的に、または追加的に、熱可塑性ポリマーの当該発明の混合物および複数のコア−シェルポリマーを含んでよいことを理解されたい。
【0141】
種々の構造を具備するゴルフボールが、この発明に従って製造されて良い。例えば、2ピース、3ピース、4ピース、および5ピース構造を有し、単一または多層のカバー材料を伴うゴルフボールを製造して良い。そのようなゴルフボール構造の代表的な説明が、以下に行われ、さらに検討される。ここで使用される「層」という用語は、一般的には、ゴルフボールの任意の球形を意味する。より詳細には、1つのバージョンでは、カバーで囲まれたコアを含むツーピースゴルフボールが製造される。2層コアおよび1層カバーを備えた3ピースゴルフボールも製造することができる。デュアルコアは、内側コア(センタ)とその周囲の外側コア層とを含む。他のバージョンでは、デュアルコアおよびデュアルカバー(内側カバーおよび外側カバー層)を含む4ピースゴルフボールが製造される。さらに別の構造において、デュアルコア、ケーシング層、カバー層を含む4ピースまたは5ピースのゴルフボールが製造されて良い。ここで使用する「ケーシング層」という用語は、多層コアサブアセンブリとカバーとの間に配置されたボールの層を意味する。ケーシング層は、また、マントル層または中間層と呼ばれてもよい。硬度および圧縮などの特性に伴う種々の層の直径および厚さは、以下にさらに説明するように、ゴルフボールの構造および所望の競技特性に応じて変化して良い。
【0142】
したがって、この発明のゴルフボールは、任意の数の層を有して良く、例えば、4ピースゴルフボールの場合を含み、この場合、コアはアイオノマー内側カバー層によって囲まれた二重コアであり、この発明の混合物の外側カバー層は、内側カバー層の周りに配置される。そのような実施例において、内側コアは熱硬化性組成物または熱可塑性組成物を有して良く、外側コア層は熱硬化性組成物または熱可塑性組成物のいずれかから形成されて良いことを理解されたい。また、この発明の混合物の外側カバー層は、多くの種々のMMA含有コア−シェル構造を伴う、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリ尿素、および、ポリ尿素−ポリウレタンハイブリッドから選択される、熱可塑性ポリマーの多数の実現可能な変形および組み合わせから成って良い。再度指摘すると、外側カバーの硬度は20ショアDから70ショアDまでの範囲であって良いけれども、この本発明の混合物の層の硬度は、熱可塑性ポリマーの成分を調整し、具体的なコア−シェルポリマーを選択し、混合物中の複数のコア−シェルポリマーおよび熱可塑性ポリマーの相対量を変化させ、また、処理時間および温度を修正することにより、この発明の混合物の層の硬度を任意の既知の範囲内に目標制御できることを理解されたい。
【0143】
他の実施例では、4ピースゴルフボールにおいて、ゴムベースの二重コアが、熱可塑性ポリ尿素および複数のコア−シェルポリマーからなる、この発明の混合物から形成された内側カバー層によって取り囲まれて良く、他方、その周りに配された外側カバー層は、従来のポリ尿素組成物を含有する。
【0144】
1実施例において、コア層の少なくとも1つは、ポリブタジエンゴム材料を含むゴム組成物から形成される。より具体的には、1つのバージョンにおいて、ボールは、ポリブタジエンゴム組成物で形成された単一の内側コアを含む。第2のバージョンでは、ボールは、内側コア(センタ)とその周囲の外側コア層とを含むデュアルコアを含む。
【0145】
1つのバージョンにおいて、コアは、例えば、ポリブタジエン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリアルケナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、またはポリスチレンエラストマーのようなゴム材料を有するゴム組成物から形成される。例えば、ポリブタジエンゴム組成物を使用して、内側コア(中心)および周囲の外側コア層を2層構造で形成して良い。他のバージョンにおいて、コアは、酸基の70%超が中和されるように酸基を含むエチレン酸コポリマーを含むアイオノマー組成物から形成されて良い。これらの高度に中和されたポリマー(HNP)は、また、多層コア構造において少なくとも1つのコア層を形成するために使用されて良い。例えば、ポリブタジエンゴム組成物はセンタを形成するために使用され、HNP組成物は外側コアを形成するために使用されて良い。そのようなゴムおよびHNP組成物は、以下でさらに詳細に検討される。
【0146】
一般に、ポリブタジエンは、1,3−ブタジエンのホモポリマーである。1,3−ブタジエンモノマー中の二重結合は触媒によって攻撃されてポリマー鎖を成長させ、所望の分子量を有するポリブタジエンポリマーを形成する。所望の特性に応じて、任意の適切な触媒を用いてポリブタジエンゴムを合成して良い。通常、触媒としては、遷移金属錯体(例えば、ネオジム、ニッケル、コバルト)またはアルキルリチウムなどのアルキル金属が用いられる。他の触媒には、アルミニウム、ホウ素、リチウム、チタン、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。この触媒は、異なる化学構造を有するポリブタジエンゴムを製造する。シス結合配置では、ポリブタジエンの主な内部ポリマー鎖は、ポリブタジエンに含まれる炭素−炭素二重結合の同じ側に現れる。トランス結合形態では、主内部ポリマー鎖は、ポリブタジエン中の内部炭素−炭素二重結合の反対側にある。ポリブタジエンゴムは、シスおよびトランス結合構造の種々の組み合わせを有することができる。好ましいポリブタジエンゴムは、少なくとも40%、好ましくは80%超、より好ましくは90%超の1,4シス結合含量を有する。一般に、1,4シス結合含量が高いポリブタジエンゴムは、高い引張強さを有する。ポリブタジエンゴムは、ムーニー粘度が比較的高し、または、低いムーニー粘土を有して良い。
【0147】
この発明に従って利用することができる商業的に入手可能なポリブタジエンゴムの例は、これに限定されないが、タイ王国、バンコクのBSTエラストマーズから入手可能なBR01およびBR1220;ミシガン州ミッドランドのDOWケミカル社から入手可能なSE BR1220LA、およびSE BR1203;オハイオ州、アクロンのGoodyear社から入手可能なBUDENE1207、1207s、1208、および1280;日本国、東京の日本合成ゴム社(JSR)から入手可能なBR 01、51、および730;ペンシルバニア州、ピッツバーグのLanxess社から入手可能なBuna CB21、CB22、CB23、CB24、CB25、CB29 MES、CB60、CBNd60、CB55NF、CB70B、CBKA8967、およびCB1221;韓国、ソウルのLGケミカル社から入手可能なBR1208、日本国、東京のUBE Industry社から入手可能なUBEPOL BR130B、BR150、BR150B、BR150L、BR230、BR360L、BR710、およびBCR617、イタリア、ローマのPolimeri Europaから入手可能なEUROPRENE NEOCIS BR60、INTENE 60AF、およびP30AF、南アフリカ、BrumaのKarbochem(PTY)社から入手可能なAFDENE 50およびNEODENE BR40、BR45、BR50、およびBR60、韓国、ソウルのKumho Petrochemical社から入手可能なKBR 01、NdBr40、NdBr−45、NdBr60、KBR710S、KBR710H、およびKBR750、並びに、オハイオ州、アクロンのFirestone Polymer社から入手可能なDIENE 55NF、70AC、および320ACを含む。
【0148】
コアを形成するために、ポリブタジエンゴムは、組成物の総重量に基づいて少なくとも約5重量%の量で使用され、一般に、組成物の約5重量%から約100重量%、または5%または10%または20%または30%または40%または50%の下限および55%または60%または70%または80%または90%または95%または100%の上限を有する範囲である。一般に、ポリブタジエンゴムの濃度は約45から約95重量%である。好ましくは、コア層を形成するために使用されるゴム材料は、少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも70重量%のポリブタジエンゴムを含む。
【0149】
この発明のゴム組成物は、慣用的な硬化プロセスを用いて、事前ブレンドまたは事後ブレンドによって、硬化して良い。適切な硬化プロセスは、例えば、過酸化物硬化剤、硫黄硬化剤、高エネルギー照射、およびこれらの組み合わせを含む。好ましくは、ゴム組成物は、有機過酸化物、遊離基を生成できる高エネルギー照射ソース、およびこれらの組み合わせから選択された遊離基開始剤を含む。1つの好ましいバージョンでは、ゴム組成物は過酸化物硬化処理される。適切な有機過酸化物は、これに限定されないが、ジクミルペルオキシド;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート;1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン;ジ−t−ブチルペルオキシド;ジ−t−アミルペルオキシド;t−ブチルペルオキシド;t−ブチルクミルペルオキシド;2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3;ジ(2−t−ブチル−ペルオキシイソプロピル)ベンゼン;ジラウリルペルオキシド;ジベンゾイルペルオキシド;t−ブチルヒドロペルオキシド;およびそれらの組み合わせを含む。好ましい実施例においては、遊離基開始剤はジクミルペルオキシドであり、これは、非限定的には、Akzo Nobel社から商業的に入手可能なPerkadox(商標)BCである。過酸化物フリーラジカル開始剤は、一般に、ゴム組成物中に、全ゴム100重量部に対して少なくとも0.05重量部の量で存在し、または、下限が、全ゴム100重量部に対して0.05重量部または0.1重量部または1重量部または1.25重量部または1.5重量部または2.5重量部または5重量部であり、上限がゴム100重量部に対して2.5重量部または3重量部または5重量部または6重量部または10重量部または15重量部である範囲内の量だけ存在する。別段の指示がない限り、濃度は100部に対する部数(phr)で示される。ここで使用される「100部に対する部数(パーツ・パー・ハンドレッド)」という用語は、「phr」または「pph」としても知られており、ポリマー100重量部に対して、混合物中に存在する特定の成分の重量部の数として定義される。数学的には、これは、成分の重量をポリマーの総重量で割ったものに100倍を掛けたものとして表すことができる。
【0150】
ゴム組成物は、好ましくは、反応性架橋助剤を含む。適切なコエージェントとしては、これに限定されないが、3から8個の炭素原子を有する不飽和カルボン酸の金属塩;不飽和ビニル化合物および多官能性モノマー(例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート);フェニレンビスマレイミド;およびそれらの組み合わせを含む。適切な金属塩の具体的な例は、これに限定されないが、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートおよびジメタクリレートの1種以上の金属塩を含む、この場合、金属がマグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、リチウムおよびニッケルから選択される。具体的な実施例において、コエージェントは、アクリレート、ジアクリレート、メタクリレートおよびジメタクリレートの亜鉛塩から選択される。別の具体的な実施例において、エージェントはジアクリル酸亜鉛(ZDA)である。コエージェントがジアクリル酸亜鉛および/またはジメタクリル酸亜鉛である場合、コエージェントは、典型的には、ゴム組成物中に、ゴム総量の100重量部に対して、下限が1または5または10または15または19または20重量部で、上限がベースゴムの100重量部に対して24または25または30または35または40または45または50または60重量部の範囲内の量だけ含まれる。
【0151】
ハロゲン化有機硫黄、有機ジスルフィド、または無機ジスルフィド化合物のような遊離基捕捉剤がゴム組成物中に添加されて良い。これら化合物は「柔軟化および高速化剤」として機能しても良い。ここで用いられるように「柔軟化および高速化剤」はコアを(1)一定の「反発係数」(COR)においてより柔軟にできる、および/または(2)柔軟化および高速化剤なしで透過に準備されたコアと較べたときにより高速にできる(等しい圧縮でより大きなCORを得る)任意のエージェントまたはそれらのブレンドを意味する。好ましいハロゲン化硫黄化合物は、これに限定されないが、ペンタクロロチオフェノール(PCTP)およびPCTPの塩、例えばZnPCTPである。ゴルフボールの内部コアにPCTPおよびZNPCTPを採用することにより柔らかくて速い内部コアを実現する。PCTPおよびZnPCTP化合物はコアの弾力性および反発係数を増大させるのに役立つ。具体的な実施例では、柔軟化および高速化剤は、ZnPCTP、PCTP、ジトリルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジキシルジスルフィド、2−ニトロリソルシノールおよびこれらの組み合わせである。
【0152】
この発明のゴム組成物は、フィラーを含んで良く、フィラーは材料の密度および/または比重を調整するために添加される。適切なフィラーは、これに限定されないが、ポリマーまたは鉱物のフィラー、金属フィラー、金属合金フィラー、金属酸化物フィラー、および炭素質フィラーを含む。フィラーは任意の適切な形態で良く、これに限定されないが、フレーク、ファイバー、ウィスカー、フィブリル、プレート、粒子、および粉末を含む。ゴムリグリンドは、廃棄ゴムゴルフボールから得られる、粉砕され、リサイクルされた材料(例えば、約30メッシュ粒子寸法に粉砕される)であり、これもフィラーとして利用できる。採用されるフィラーの量およびタイプはゴルフボール中の他の成分の量および重量から決定される。45.93g(1.62オンス)の最大ゴルフボール重量が合衆国ゴルフ協会(USGA)によって設定されているからである。
【0153】
ゴム組成物に添加して良い、適切なポリマーまたは鉱物のフィラーは、例えば、沈降水和シリカ、クレイ、タルク、アスベスト、ガラス繊維、アラミド繊維、マイカ、メタ珪酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リトポン、ケイ酸塩、炭化珪素、珪藻土、ポリビニルクロライド、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムのような炭酸塩を含む。適切な鉱物フィラーは、チタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鉛、銅、ホウ素、コバルト、ベリリウム、亜鉛、錫を含む。適切な金属合金は、スチール、黄銅、青銅、炭化ホウ素ウィスカー、および、炭化タングステンウィスカーを含む。適切な金属酸化物フィラーは、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化マグネシウム、および、酸化ジルコニウムを含む。適切な粒子炭素質材料フィラーは、グラファイト、カーボンブラック、コットンフロック、天然ビチューメン、セルロースフロック、および、レザー繊維を含む。ガラスおよびセラミックのようなマイクロバルーンフィラー、およびフライアッシュフィラーも使用されて良い。この実施例の具体的な側面では、ゴム組成物は、カーボンブラック、ナノクレイ(例えば、Southern Clay Product社から商業的に入手可能なCloisite(商標)およびNanofil(商標)ナノクレイ、Nanocor社から商業的に入手可能なNanomax(商標)およびNanomer(商標)ナノクレイ)、タルク(例えばLuzenac America社から商業的に入手可能なLuzenacHAR(商標)高アスペクト比タルク)、ガラス(例えば、ガラスフレーク、粉砕ガラス、およびマイクロガラス)、雲母および雲母ベースの顔料(例えばThe Merck Groupから商業的に入手可能なIriodin蛍光発色顔料)およびこれらの組み合わせから選択されるフィラーを含む。具体的な実施例では、ゴム組成物は有機繊維マイクロパルプによって改質される。
【0154】
さらに、ゴム組成物は、エラストマーの劣化を防止するための酸化防止剤を含んで良い。また、高分子量有機酸およびその塩のような加工助剤を組成物に添加して良い。具体的な実施例では、ゴム組成物中に存在する添加剤および充填剤の総量は、ゴム組成物の総重量に基づいて、15重量%以下、または12重量%以下、または10重量%以下、または9重量%以下、または6重量%以下、または5重量%以下、または4重量%以下、または3重量%以下である。
【0155】
ポリブタジエンゴム材料(ベースゴム)はこの発明に従って他のエラストマーとブレンドされて良い。他のエラストマーは、これに限定されないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレン−プロピレン−ジエン(「EPDM」)ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレンブロックコポリマーゴム(例えば、「SI」、「SIS」、「SB」、「SBS」、「SIBS」、その他、ただし「S」はスチレン、「I」はイソブチレン、「B」はブタジエンである)、ポリアルケナマ、例えば、ポリオクテナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタローセン触媒エラストマーおよびプラストマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンおよびp−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、ブタジエンのアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩化イソプレンゴム、およびこれらの2以上の組み合わせを含む。
【0156】
この発明に従って、ポリマー、フリーラジカル開始剤、フィラー、架橋剤、およびゴルフボールのセンタまたはコアのいずれかの部分を形成するのに使用される他の任意の材料を組み合わせて、また、当業者に公知の任意のタイプの混合手法を用いて、混合物を形成して良い。適切なタイプの混合には、シングルパスおよびマルチパス混合などが含まれる。架橋剤、およびゴルフボールのセンタまたは追加の層の特性を改質するために使用される任意の他の任意の添加剤は、任意のタイプの混合手法によって同様に組み合わせて良い。成分が順番に加えられるシングルパス混合プロセスが好ましく、これは、このタイプの混合は、プロセスの効率を高め、コストを削減する傾向があるからである。好ましい混合サイクルは、ポリマー、シス−トランス触媒、充填剤、ジアクリル酸亜鉛および過酸化物が順番に添加される単一ステップである。
【0157】
1つの好ましい実施例では、多層構造体のコア全体または少なくとも1つのコア層は、ゴム組成物から形成され、このゴム組成物は、これに限定されないが、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレンプロピレンゴム(「EPR」)、エチレン−プロピレン−ジエン(「EPDM」)ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン系ブロックコポリマーゴム(「SI」、「SIS」、「SB」、「SBS」、「SIBS」等のようなもの、ここで「S」はスチレンであり、「I」はイソブチレンであり、「B」はブタジエンである)、ポリアルケナマ、例えばポリオクテナマー、ブチルゴム、ハロブチルゴム、ポリスチレンエラストマー、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリ尿素エラストマー、メタロセン触媒エラストマーおよびプラストマー、イソブチレンとp−アルキルスチレンのコポリマー、イソブチレンとp−アルキルスチレンのハロゲン化コポリマー、ブタジエンのアクリロニトリルとのコポリマー、ポリクロロプレン、アルキルアクリレートゴム、塩素化イソプレンゴム、アクリロニトリル塩素化イソプレンゴム、および、これらの2種以上の組み合わせを含む天然および合成義務のグループから選択された材料を有する。
【0158】
先に検討したように、この発明によれば、単層および多層コアを製造することができる。2層コアでは、例えば熱硬化性ゴムなどの熱硬化性材料を用いて、外側コア層を製造でき、また、熱可塑性材料、例えば、酸基が少なくとも部分的にまたは完全に中和された含むエチレン酸コポリマーを用いて外側コア層を製造できる。適切なアイオノマー組成物には、複数の部分的に中和されたアイオノマーおよび複数の完全に中和されたアイオノマーを含み、これは、2つ以上の部分的に中和されたアイオノマーのブレンド、2つ以上の高度に中和されたアイオノマー(HNP)のブレンド、および1つ以上の部分的に中和されたアイオノマーの1つ以上の高度に中和されたアイオノマーとのブレンドから形成されるアイオノマーを含む。コア層を形成するために使用することができる適切なエチレン酸コポリマーアイオノマーおよび他の熱可塑性樹脂は、以下でさらに検討するように、内側カバー層を製造するために使用できるものと同じ材料である。
【0159】
他の例では、内側コア、中間コア層、および外側コア層を具備する多層コアがこの発明に従って準備されて良く、ここで、中間コア層は中間コア層と外側コア層との間に配置される。より具体的には、さきに検討したように、内側コアは、熱硬化性ゴムなどの熱可塑性または熱硬化性組成物から構築して良い。他方、中間および外側コア層は、また、熱硬化性または熱可塑性材料から形成されて良い。中間/外側コア層を形成するために使用され得る適切な熱硬化性組成物および熱可塑性組成物は、上述されている。例えば、中間コア層および外側コア層のそれぞれは、熱硬化性ゴム組成物から形成されてもよい。したがって、中間コア層は、第1の熱硬化性ゴム組成物から形成されて良く、外側コア層は、第2の熱硬化性ゴム組成物から形成されて良い。別の実施例では、中間コア層は熱硬化性組成物から形成され、外側コア層は熱可塑性組成物から形成される。第3の実施例では、中間コア層は、熱可塑性組成物から形成され、外側コア層は熱硬化性組成物から形成される。最後に、第4の実施例では、中間コア層は第1の熱可塑性組成物から形成され、外側コア層は第2の熱可塑性組成物から形成される。
【0160】
具体的な実施例において、コアは、E.I. du Pont de Nemours and Companyから商業的に入手可能な、DuPont(登録商標)HPF ESX 367、HPF 1000、HPF 2000、HPF AD1035、HPF AD1035Soft、HPF AD1040およびAD1172アイオノマーから形成される少なくとも1つの熱可塑性中間コア層を含む。これら材料の各々の反発係数(「COR」)、圧縮、および表面硬度は、23℃/50%RHで2週間経過した、1.55インチの射出成形球で測定したとき、表に示される。
【表1】
【0161】
一実施例において、中間層が、単一層または多層のコアと周囲のカバー層との間に配置される。これらの中間層は、ケーシング層または内側カバー層と呼ぶこともできる。中間層は、熱可塑性材料および熱硬化性材料を含む当技術分野で公知の任意の材料から形成することができるが、好ましくは、少なくとも部分的に中和された酸基を含むエチレン酸コポリマーを含むアイオノマー組成物から形成される。中間層を形成するのに用いることができる適切なエチレン酸コポリマーは、一般に、エチレンのコポリマー;C
3〜C
8エチレン性不飽和モノまたはジカルボン酸;および任意の軟化性モノマーを含む。これらのエチレン酸コポリマーアイオノマーは、また、上述のように内側コア層および外側コア層を形成するために使用することができる。
【0162】
適切なイオノマー組成物には、部分的に中和されたイオノマーおよび高度に中和されたイオノマー(HNP)が含まれ、2つ以上の部分中和イオノマーのブレンド、2つ以上の高度に中和されたイオノマーのブレンド、部分的に中和されたイオノマーと1つ以上の高度に中和されたイオノマーとを含む。本開示の目的のために、「HNP」は、組成物中に存在する全酸基の少なくとも70%が中和された後の酸コポリマーを指す。好ましいアイオノマーは、Oがα−オレフィンであり、XがC
3−C
8α,β−エチレン性不飽和カルボン酸であり、Yが軟化性モノマーであるO/X−およびO/X/Y−型酸コポリマーの塩である。Oは、好ましくはエチレンおよびプロピレンから選択される。Xは、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸が特に好ましい。Yは、好ましくは、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0163】
好ましいO/X−およびO/X/Y−型のコポリマーは、これに制約されないけれども、エチレン酸コポリマー、例えば、エチレン/(メタ)アクリル酸、エチレン/(メタ)アクリル酸/無水マレイン酸、エチレン/(メタ)アクリル酸、アクリル酸/マレイン酸モノエステル、エチレン/マレイン酸、エチレン/マレイン酸モノエステル、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/イソブチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチル(メタ)アクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/エチル(メタ)アクリレートターポリマー等を含む。ここで使用される用語「コポリマー」は、2種類のモノマー、3種類のモノマーを有するポリマー、および3種類以上のモノマーを有するポリマーを含むポリマーを含む。好ましいα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸は、(メタ)アクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、フマル酸、イタコン酸である。(メタ)アクリル酸が最も好ましい。ここで使用される場合、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸および/またはアクリル酸を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートおよび/またはアクリレートを意味する。
【0164】
特に好ましいバージョンでは、Eがエチレンであり、XがC3−C8α、β−エチレン性不飽和カルボン酸であり、Yが軟化モノマーである、高度に中和されたE/XおよびE/X/Y型酸コポリマーが使用される。Xは、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、およびイタコン酸から選択される。メタクリル酸およびアクリル酸が特に好ましい。Yは、好ましくは、アルキルアクリレートおよびアリールアクリレートから選択されるアクリレートであり、好ましくは、アルキル基が1から8個の炭素原子を有する(メタ)アクリレートおよびアルキル(メタ)アクリレートから選択され、n−ブチル(メタ))アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。好ましいE/X/Y型コポリマーは、Xが(メタ)アクリル酸であり、及び/又はYが(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。より好ましいE/X/Y型コポリマーは、エチレン/(メタ)アクリル酸/n−ブチルアクリレート、エチレン/(メタ)アクリル酸/メチルアクリレート、およびエチレン/(メタ)アクリル酸/エチルアクリレートである。
【0165】
酸コポリマー中のエチレンの量は、合計で、典型的には少なくとも15重量%、好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも40重量%、さらにより好ましくは少なくとも60重量%である。コポリマーの重量を表す。酸コポリマー中のC3〜C8α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸またはジカルボン酸の量は、典型的には1重量%から35重量%、好ましくは5重量%から30重量%、より好ましくは5重量%コポリマーの総重量に基づいて、約0.1重量%から約25重量%、さらにより好ましくは約10重量%から約20重量%の量で存在する。酸コポリマー中の任意の軟化コモノマーの量は、典型的には、0重量%から50重量%、好ましくは5重量%から40重量%、より好ましくは10重量%から35重量%、さらには、より好ましくは20重量%から30重量%の量で存在する。「低酸」および「高酸」アイオノマーポリマーならびにこのようなアイオノマーのブレンドを使用することができる。一般に、低酸イオノマーは16重量%以下の酸部分を含むものと考えられるが、高酸イオノマーは16重量%を超える酸部分を含むものと考えられる。
【0166】
種々のO/X、E/X、O/X/Y、およびE/X/Y型コポリマーは、オプションとして、高分子量有機酸の存在下でカチオン源で少なくとも部分的に中和され、これは例えば米国特許第6,756,436号に開示され、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。酸コポリマーは、任意の高分子量有機酸およびカチオン源と同時に、またはカチオン源の添加前に反応させることができる。適切なカチオン源には、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、および希土類元素の化合物のような金属イオン源;アンモニウム塩およびモノアミン塩;およびそれらの組み合わせを含む。好ましいカチオン源は、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、亜鉛、鉛、スズ、アルミニウム、ニッケル、クロム、リチウムおよび希土類金属の化合物である。
【0167】
中間層を形成するのに用いることができる他の適切な熱可塑性ポリマーは、これに限定されないが、以下のポリマー(ホモポリマー、コポリマーおよびそれらの誘導体を含む)を含む。すなわち、(a)ポリエステル、とくに適合化基、例えば、スルホン酸塩または燐酸塩により改質したポリエステル。これは改質ポリ(エチレンテレフタレート)、改質ポリ(ブチレンテレフタレート)、改質ポリ(プロピレンテレフタレート)、改質ポリ(トリメチレンテレフタレート)、改質ポリ(エチレンナフテネート)、および、米国特許第6,353,050号、同第6,274,298号、および同第6,001,930号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンドを含む。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる;(b)ポリアミド、ポリアミド−エーテル、およびポリアミド−エステル、および米国特許第6,187,864号、同第6,001,930号、および同第5,981,654号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これらの文献の内容は参照してここに組み入れる;(c)ポリウレタン、ポリ尿素、ポリウレタン−ポリ尿素ハイブリッド、およびこれらの2以上のブレンド;(d)フルオロポリマー、例えば米国特許第5,691,066号、同第6,747,110号、および同第7,009,002号に開示されたもの、およびこれらの2以上のブレンド。これら文献の内容は参照してここに組み入れる;(e)ポリスチレン、例えばポリ(スチレン−無水マレイン酸)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリ(スチレンスルホネート)、ポリエチレンスチレンおよびそれらの2つ以上のブレンド;(f)ポリ塩化ビニルおよびグラフト化ポリ塩化ビニル、およびそれらの2種以上のブレンド;(g)ポリカーボネート、ポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのブレンド、ポリカーボネート/ポリウレタンのブレンド、ポリカーボネート/ポリエステルのブレンド、およびそれらの2つ以上のブレンド;(h)ポリアリーレンエーテル、ポリフェニレンオキシド、アルケニル芳香族化合物とビニル芳香族化合物およびポリアミドとのブロックコポリマーおよびそれらの2つ以上のブレンドのようなポリエーテル;(i)ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、およびそれらの2つ以上のブレンド;および、(j)ポリカーボネート/ポリエステルコポリマーおよびブレンドである。
【0168】
熱可塑性材料は、ポリマー鎖を架橋して網目構造を形成することによって熱硬化性材料に「変換」することができ、そのような架橋熱可塑性材料を用いて、コアおよび中間層を形成することができることも認識されている。この発明に従う。例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および高密度ポリエチレン(HDPE)のような熱可塑性ポリオレフィンは、ポリマー鎖間に結合を形成するように架橋されていてもよい。架橋された熱可塑性材料は、典型的には、特に結晶融点を超える温度で、非架橋熱可塑性樹脂よりも改善された物理的特性および強度を有する。好ましくは、上記のように、部分的または完全に中和されたイオノマーは、それを熱硬化性組成物にするために共有結合架橋される(すなわち、少なくともあるレベルで共有結合して不可逆的な架橋を含む)。熱可塑性ポリウレタンおよびポリウレアはまた、この発明に従って熱硬化性材料に転化することができる。
【0169】
架橋された熱可塑性材料は、熱可塑性材料を、1)本明細書に参考として援用される米国特許第5,891,973号に開示されているような、高エネルギー放射線処理、例えば電子ビームまたはガンマ線照射、2)紫外線(UV)または赤外線(IR)放射線のような低エネルギー放射線;3)溶液処理、例えばイソシアネートまたはシラン;4)成形前に熱可塑性樹脂に追加のフリーラジカル開始剤基を組み込むこと、および/または、5)エステル化またはケン化のような化学修飾にさらすことによって製造されて良い。
【0170】
熱可塑性ポリマー構造の改変は、熱可塑性材料を高エネルギー放射線に暴露すること、または過酸化物を使用する化学プロセスによって暴露することを含む多くの方法によって誘導することができる。放射源には、ガンマ線、電子、中性子、陽子、X線、ヘリウム核などが含まれるが、これらに限定されない。通常は放射性コバルト原子を使用するガンマ線であり、必要に応じてかなりの深度の処理が可能です。より深い浸透深さを必要とするコア層については、電子ビーム加速器またはUVおよびIR光源を使用することができる。有用なUVおよびIR照射方法は、米国特許第6,855,070号および第7,198,576号に開示されている。熱可塑性コア層は、0.05Mrdより大きい、好ましくは1Mrdから20Mrdの範囲、より好ましくは2Mrdから15Mrdの範囲、最も好ましくは4Mrdから10Mrdの範囲の線量で照射することができる。1つの好ましい実施例では、コアを5Mrdから8Mrdの線量で照射し、別の好ましい実施例では、コアを0.05Mrdから3Mrd、より好ましくは0.05Mrdから1.5Mrdの線量で照射する。
【0171】
この発明のゴルフボールのためのソリッドコアは、例えば圧縮または射出成形のような任意の適切な従来技術を用いて製造することができる。典型的には、コアは、未硬化または軽く硬化したゴムのスラグ材料を球状構造にする。カバー層を形成する前に、コア構造体を表面処理して、その外面と隣接する層との間の接着性を高めて良い。そのような表面処理は、コアの外面を機械的または化学的に研磨することを含んで良い。例えば、コアは、コロナ放電、プラズマ処理、シラン浸漬、または当業者に公知の他の処理方法に供されて良い。カバー層は、以下にさらに記載されるような任意の適切な方法を使用して、コアまたはボールサブアセンブリ(コア構造およびコアの周りに配置される任意の中間層)上に形成される。カバー層を形成する前に、ボールサブアセンブリを表面処理して、上述した技術を用いて、その外面と上にあるカバー材料との間の接着性を高めて良い。
【0172】
従来の圧縮および射出成形および他の方法を用いて、コアまたはボールサブアセンブリ上にカバー層を形成することができる。一般に、圧縮成形は、通常、組成物を射出成形型で射出成形することにより、半(半球状)のシェルを作製することを含む。これにより、半硬化半硬質半殻(またはカップ)が製造される。次に、ハーフシェルをコアまたはボールサブアセンブリの周りの圧縮成形型内に配置する。熱と圧力が加えられ、ハーフシェルが融合してコアまたはサブアセンブリ上にカバー層を形成する。圧縮成形も、射出成形後にカバー組成物を硬化させるために使用することができる。例えば、熱硬化性組成物は、加熱されていない型の中でコアの周りに射出成形することができる。組成物が部分的に硬化した後、ボールを取り出し、圧縮成形型に入れる。熱と圧力がボールに加えられ、これは外側カバー層の熱硬化を引き起こす。
【0173】
格納可能ピン射出成形(RPIM)方法は、一般に、一緒にかみ合う上下の金型キャビティを使用することを含む。上型キャビティと下型キャビティは、互いに接合されたときに球形の内部キャビティを形成する。外側カバー層を形成するために使用される型キャビティは、内側ディンプルキャビティの詳細を有する。カバー材料は、ボールの表面にディンプルパターンを形成するために、モールドキャビティの内部形状に適合する。射出成形型は、成形型キャビティ全体に配置された格納式支持ピンを含む。格納式の支持ピンがキャビティ内外に移動する。支持ピンは、溶融組成物が鋳型ゲートを通って流れる間、コアまたはボールサブアセンブリの位置を維持するのを助ける。溶融した組成物は、コアとモールドキャビティとの間のキャビティに流れ込み、コアを取り囲み、カバー層を形成する。例えば、反応射出成形(RIM)、液体射出成形、キャスティング、スプレー、粉末コーティング、真空成形、フローコーティング、浸漬、スピンコーティング等を含む、他の方法を用いてカバーを作製することができる。
【0174】
先に検討したように、好ましくはエチレン酸コポリマーアイオノマー組成物から形成された内側カバー層または中間層をコアまたはボールサブアセンブリとカバー層との間に形成することができる。アイオノマー組成物を含む中間層は、例えば圧縮または射出成形のような従来の技術を用いて形成して良い。例えば、イオノマー組成物を射出成形するか、圧縮成形型に入れて、ハーフシェルを製造して良い。これらのシェルは、圧縮モールド内でコアの周りに配置され、シェルは融合して中間層を形成する。代替的には、アイオノマー組成物は、格納可能ピン射出成形を用いてコア上に直接射出成形される。
【0175】
ゴルフボールを金型から取り出した後、ゴルフボールをフラッシュトリミング、表面処理、マーキング等の仕上げ工程にかけることができ、1または複数のコーティング層が、噴霧、浸漬、ブラッシング、またはローリングのような方法によって必要に応じて被着されて良い。
【0176】
例えば、従来の白色ゴルフボールでは、白色顔料を含む外カバー層を、例えばコロナ、プラズマ、または紫外線(UV)光処理のような適切な方法を用いて表面処理して良い。別の仕上げ工程では、ゴルフボールは1つ以上の塗料コーティングで塗装される。例えば、白色または透明のプライマー塗料を最初にボールの表面に塗布し、その後、プライマーの上に印をつけてから、透明なポリウレタントップコートを塗布して良い。パッド印刷、インクジェット印刷、染料昇華、または他の適切な印刷方法を使用して、商標、記号、ロゴ、文字などの表示を外側カバーまたはプライムコート層またはトップコート層に印刷して良い。表面コーティングのいずれも蛍光蛍光増白剤を含んで良い。
【0177】
この発明のゴルフボールは、以下にさらに説明するように、様々な有利な機械的性能および競技性能特性をボールに付与する。一般的には、種々のボール層の硬度、直径、および厚さは、所望のボール構造に応じて変化し得る。したがって、この発明のゴルフボールは、任意の既知の全直径および任意の既知の数の種々の層および層の厚さを有して良く、この発明の混合物は、所望の競技特性を目標とするためにこれらの層の1つまたは複数に組み込まれる。
【0178】
例えば、コアは、約0.09インチから約1.65インチの範囲の直径を有して良い。1実施例において、この発明のコアの直径は約1.2インチから約1.630インチである。この発明によるツーピースボールの一部である場合、コアは約1.5インチから約1.62インチの範囲の直径を有して良い。他の実施例において、コアの直径は約1.3インチから約1.6インチ、好ましくは約1.39インチから約1.6インチ、より好ましくは約1.5インチから約1.6インチである。さらに他の実施例において、コアは、約1.55インチから約1.65インチ、好ましくは約1.55インチから約1.60インチの直径を有する。
【0179】
いくつかの実施例において、コアは、下限が0.500または0.700または0.750または0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250または1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610インチ、上限が1.620または1.630または1.640インチの範囲内の全体直径を有して良い。特定の実施例において、コアは、下限が0.500または0.700または0.750または0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200インチで、上限が1.250または1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610または1.620または1.630または1.640インチの範囲内の全体直径を有する、多層コアである。他の特定の実施例において、多層コアは、下限が0.500または0.700または0.750インチ、上限が0.800または0.850または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250の範囲内の全体直径を有するまたは1.300または1.350または1.400または1.450または1.500または1.600または1.610または1.620または1.630または1.640インチの範囲内の全体直径を有する。他の具体的な実施例において、多層コアは、1.500インチまたは1.510インチまたは1.530インチまたは1.550インチまたは1.570インチまたは1.580インチまたは1.590インチまたは1.600インチまたは1.610インチまたは1.620インチの全直径を有する。
【0180】
いくつかの実施例において、内側コアは、0.500インチ以上、または0.700インチ以上、または1.00インチ以上、または1.250インチ以上、または1.350インチ以上、または1.390インチ以上、または1.450インチ以上の全体直径を有して良く、または下限が0.250または0.500または0.750または1.000または1.250または1.350または1.390または1.400または1.440インチで、上限が1.460または1.490または1.500または1.550または1.580または1.600の範囲内の全体直径を有して良く、下限が0.250または0.300または0.350または0.400または0.500または0.550または0.600または0.650または0.700インチで、上限が0.750または0.800または0.900または0.950または1.000または1.100または1.150または1.200または1.250または1.300または1.350または1.400インチの範囲内の全体直径を有して良い。
【0181】
いくつかの実施例において、外側コア層は、下限が0.010または0.020または0.025または0.030または0.035インチで、上限が0.040または0.070または0.075または0.080または0.100または0.150インチの範囲内の全体厚さを有して良く、また、下限が0.025または0.050または0.100または0.150または0.160または0.170または0.200インチで、上限が0.225または0.250または0.275または0.300または0.325または0.350または0.400または0.450または0.450インチより大きな値の範囲内の全体的な厚さを有して良い。外側コア層は、代替的には、0.10インチより大きく、または0.20インチ以上、または0.20インチより大きく、または0.30インチ以上、または0.30インチより大きく、または0.35インチ以上、または0.35インチより大きく、または0.40インチ以上、または0.45インチより大きく、または0.45インチより大きな範囲内の厚さを有して良く、または、下限が0.005または0.010または0.015または0.020または0.025または0.030または0.035の範囲内の厚さ、または0.040または0.045または0.050または0.055または0.060または0.065または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100または0.200または0.250インチであり、上限が0.300または0.350または0.400または0.450または0.500または0.750インチである範囲内の厚さを有して良い。
【0182】
中間コア層は、任意の既知の全体厚さを有して良く、例えば、下限が0.005または0.010または0.015または0.020または0.025または0.030または0.035または0.040または0.045インチで、上限が0.050または0.055または0.060または0.065または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100インチの範囲内であって良い。
【0183】
この発明のゴルフボールのコアおよびコア層は、特定のゴルフボール構造および目標とされる競技特性に応じて様々な硬度を有して良い。コアのセンタおよび/または層の硬度は、例えば、35ショアCから約98ショアC、または50ショアCから約90ショアC、または60ショアCから約85ショアC、または45ショアCから約75、または40ショアCから約85であって良い。他の実施例において、コアおよび/またはコア層の硬度は、約20ショアDから約78ショアD、または約30ショアDから約60ショアD、または約40ショアDから約50ショアDの範囲内、または50ショアD以下、または50ショアDより大きくて良い。
【0184】
コアの圧縮は、約40から約110の範囲内の全体的な圧縮が一般的であるけれども、コアの圧縮が5程度の低い実施例も想定される。他の実施例において、この発明のコアの全体のCoRは、125ft/sフィートで、少なくとも0.750、または少なくとも0.775、または少なくとも0.780、または少なくとも0.785、または少なくとも0.790、または少なくとも0.795、または少なくとも0.800である。コアは、ゴムを含むことも知られており、典型的には、中間層およびカバー層にも使用される様々な他の材料から形成されて良い。中間層は、同様に、例えば、ここで記載されるようなコアおよびカバーに一般的に使用される材料も有して良い。
【0185】
中間層は、ゴルフボールの内側コア(またはセンタ)と外側カバーとの間に配置された任意の層を含むと考えられることがあり、したがって、いくつかの実施例において、中間層は、外側コア層、ケーシング層、または内側カバー層を含んで良い。これに関して、この発明のゴルフボールは、1つ以上の中間層を含んで良い。中間層は、必要に応じて、多層カバーまたは多層コアで、または多層カバーと多層コアの両方で使用して良い。
【0186】
1つの非限定的な実施例において、約0.010インチから約0.06インチの厚さを有する中間層が、約1.5インチから約1.59インチの範囲の直径を有するコアの周りに配置される。
【0187】
中間層は、少なくとも部分的に、1または複数のホモポリマーまたはコポリマー、例えば、アイオノマー、主にまたは完全に非アイオノマーの熱可塑性材料、ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、アクリル樹脂、およびこれらのブレンド、オレフィン系熱可塑性ゴム、スチレンとブタジエンのブロックコポリマー、イソプレンまたはエチレン−ブチレンゴム、コポリ(エーテル−アミド)、ポリフェニレンオキサイド樹脂またはこれらのブレンド、および熱可塑性ポリエステルから形成されて良い。ただし、少なくとも1つの中間層が、コア層および/またはカバー層に一般的に使用されるものと異なる材料から形成される実施例があることも理解されたい。
【0188】
中間層が、外側コア層、内側カバー層、糸巻き層、湿気/蒸気バリヤ層として幅広く使用されるの可能性があるため、ゴルフボールの中間層の厚さの範囲は、大きい。この発明のゴルフボールに使用される場合、中間層または内側カバー層は、約0.3インチまたはそれ以下の厚さを有して良い。1実施例において、中間層の厚さは約0.002インチから約0.1インチ、好ましくは約0.01インチ以上である。例えば、この発明による3ピースボールまたは多層ボールの一部の場合、中間層および/または内側カバー層は、約0.010インチから約0.06インチの範囲の厚さを有して良い。他の実施例において、中間層の厚さは、例えば約0.05インチ以下、または約0.01インチから約0.045インチである。
【0189】
ボールが中間層または内側カバー層を含む場合、硬度(材料)は、例えば約50ショアD以上、より好ましくは約55ショアD以上、最も好ましくは約60ショアD以上であり得る。1実施例において、内側カバーのショアD硬度は約62から約90ショアDである。1例において、内側カバーの硬度は約68ショアD以上である。さらに、内側カバー層の厚さは、好ましくは約0.015インチから約0.100インチ、より好ましくは約0.020インチから約0.080インチ、最も好ましくは約0.030インチから約0.050インチであるけれども、目標とする競技特性に応じて変更して良いことに再度留意されたい。
【0190】
カバーは、典型的には、十分な強度、良好な性能特性、および耐久性を実現するための厚さを有する。1実施例において、カバーの厚さは、例えば、約0.02インチから約0.12インチ、または約0.1インチ以下であって良い。例えば、カバーはツーピースゴルフボールの一部であって良く、約0.03インチから約0.09インチの範囲の厚さを有して良い。他の実施例において、カバーの厚さは約0.05インチ以下、または約0.02インチから約0.05インチ、または約0.02インチから約0.045インチであって良い。
【0191】
カバーは、単層、二重または多層のカバーであって良く、例えば下限が0.010または0.020または0.025または0.030または0.040または0.045インチで、上限が0.050または0.060または0.070または0.075または0.080または0.090または0.100または0.150または0.200または0.300または0.500インチの範囲内の全体的な厚さを有して良い。特定の実施例において、カバーは、0.010または0.020または0.025インチまたは0.035または0.040または0.050インチの厚さの単一層であって良い。他の特定の実施例において、カバーは、0.010または0.020または0.025インチまたは0.035インチまたは0.050インチの厚さを有する内側カバー層と、0.010または0.020または0.025インチから0.035または0.040インチの厚さを有する外側カバー層から成って良い。
【0192】
外側カバーは、好ましくは、下限が約0.004または0.010または0.020または0.030または0.040インチで、上限が約0.050または0.055または0.065または0.070または0.080インチの範囲内の厚さを有する。好ましくは、外側カバーの厚さは約0.020インチ以下である。外側カバーは、75ショアD以下、65ショアD以下、または55ショアD以下、または50ショアD以下、または50ショアD以下、または45ショアD以下の表面硬度を有する。好ましくは、外側カバーは、約20から約70ショアDの範囲の硬度を有する。一例では、外側カバーは、約25から約65ショアDの範囲の硬度を有する。
【0193】
1実施例において、カバーは、例えば60ショアD以上、または65ショアD以上の表面硬度を有する単一層であって良い。こ実施例の特定の側面において、カバーは、60ショアD以上、または65ショアD以上の材料硬度を有する組成物から形成される。
【0194】
他の特定の実施例において、カバーは、0.010インチまたは0.020インチから0.035インチまたは0.050インチの厚さを有し、60または62または65ショアDから65または70または72ショアDの材料硬度を有する組成物から形成される単一層であって良い。
【0195】
さらに他の特定の実施例において、カバーは、0.010または0.025インチから0.035または0.040インチの厚さを有し、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショアD未満の材料硬度を有する組成物から形成された単一層であるか、である。
【0196】
さらに他の特定の実施例において、カバーは、0.010または0.025インチから0.035または0.040インチの厚さを有し、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショアD未満の材料硬度を有する組成物から形成された単一層である。
【0197】
代替的な実施例において、カバーは、内側カバー層および外側カバー層を含んで良い。内側カバー層組成物は、60または62または65ショアDから65または70または72ショアDの材料硬度を有して良い。内側カバー層の厚さは、下限が0.010または0.020または0.030インチで、上限が0.035または0.040または0.050インチの範囲内であって良い。外側カバー層組成物は、62ショアD以下、または62ショアD未満、または60ショアD以下、または60ショアD未満、または55ショアD以下、または55ショア未満の材料硬度を有して良い。外側カバー層は、下限が0.010または0.020または0.025インチで、上限が0.035または0.040または0.050インチの範囲内の厚さを有して良い。
【0198】
さらに他の実施例において、カバーは、内側または中間カバー層および外側カバー層を含む二重または多層カバーである。内側カバー層は、70ショアD以下、または65ショアD以下、または65ショアD未満、またはショアD硬度50から65、またはショアD硬度57から60、ショアD硬度58の表面硬度を有して良く、また、下限が0.010または0.020または0.030インチで、上限が0.045または0.080または0.120インチの範囲内の厚さを有して良い。外側カバー層は、65ショアD以下、または55ショアD以下、または45ショアD以下、または40ショアD以下、または25ショアDから40ショアD、または30ショアDから40ショアDの材料硬度を有して良い。外側カバー層の表面硬度は、下限が20または30または35または40ショアDで、上限が52または58または60または65または70または72ショアDの範囲内であって良い。外側カバー層は、下限が0.010または0.015または0.025インチで上限が0.035または0.040または0.045または0.050または0.055または0.075または0.080または0.115インチの範囲内の厚さを有して良い。
【0199】
すでに述べたとおり、1つ以上のカバー層が、コア層または中間層に典型的に組み込まれた材料から形成される実施例もあることに留意されたい。
【0200】
この発明のゴルフボールは、通常組み込まれている目的のために従来のコーティング層を組み込んでもよいことに留意されたい。例えば、1つ以上のコーティング層は、約0.1μmから約100μm、または約2μmから約50μm、または約2μmから約30μmの合計厚さを有して良い。他方、各コーティング層は、例えば、約0.1μmから約50μm、または約0.1μmから約25μm、または約0.1μmから約14μm、または約2μmから約9μmの厚さを有して良い。
【0201】
この発明のゴルフボールの層は、鋳造、圧縮成形、射出成形、または熱成形のいずれかによって組み込んで良いことに留意されたい。
【0202】
この発明で得られたボールはこの発明により得られるボールは、良好な衝撃耐久性および切断/せん断耐性を有する。米国ゴルフ協会(USGA)は、ゴルフボールの総重量制限を設定している特に、USGAは、ゴルフボールの最大重量45.93g(1.62オンス)を確立している。重量の下限はない。さらに、USGAは、競技で使用されるゴルフボールが少なくとも1.68インチの直径を有することを要求する。上限がないので、多くのゴルフボールは、約1.68から約1.80インチの範囲内の全直径を有する。ゴルフボールの直径は、好ましくは約1.68から1.74インチ、より好ましくは約1.68から1.70インチである。この発明によれば、必要に応じて、コアおよびカバー層の重量、直径および厚さを調整して、ボールが最大重量1.62オンスおよび最小直径少なくとも1.68インチのUSGA仕様を満たすようにして良い。
【0203】
好ましくは、ゴルフボールは、少なくとも0.750、より好ましくは少なくとも0.800(以下の試験方法に従って測定される)の反発係数(COR)を有する。ゴルフボールのコアは、一般に約30から約130、より好ましくは約70から約110の範囲内にある(以下の試験方法で測定される)の圧縮を有する。これらの特性により、プレーヤはティーからより大きなボール速度を発生させ、それらのドライブとより大きな距離を達成することができる。同時に、比較的薄い外側カバー層は、クラブでボールを打つときに、プレーヤがより快適で自然な感触を有することを意味する。ボールはよりプレイしやすく、その飛行経路をより簡単に制御することができる。このコントロールにより、プレーヤはグリーンの近くでより良いアプローチショットを行うことができる。さらに、この発明の外側カバーは、良好な衝撃耐久性および機械的強度を有する。
【0204】
以下の試験方法が、この発明の創造的な混合物やこの発明のゴルフボールに組み込まれて良い他の材料に関連する所定の特性を取得するのに採用されて良い。
【0205】
硬度
コアの中心硬度は以下の手順に従って得られる。コアは、コアの直径より近似的に若干小さな内部直径の半球ホルダーに静かに押し込まれる、この際、コアは半球ホルダー中に配置され、同時にコアの幾何中心面が露出されるようにする。コアは摩擦でホルダー内に固着され、切断および削り取りステップにおいて移動しないようにし、それでいて、摩擦は、コアの自然な形状が乱されないよう過剰なものでない。コアは、コアの分離線がホルダーの頂部とおおよそ平行になるように取り付けられる。コアの直径は、取り付けに先立って、この方位と80度の角度で測定される。さらに、ホルダーの底からコアの頂部までの測定もなされ、これは将来の計算の基準点を実現する。また、ホルダーの底からコアの頂部までの距離を測定して将来の較正のための基準点を得る。コアの露出された幾何中心の若干上で、コアがこのステップ中にホルダー内で動かないようにしながら、帯ノコまたは他の適切な切断ツールを用いて、大まかに切断する。ホルダー内に依然として保持されているコアの残りの部分が表面研磨機のベース板に固定される。露出されている「粗い」コア表面が平滑で平坦な表面に研磨され、コアの幾何中心が現れるようにし、この幾何中心はホルダーの底からコアの露出表面までの高さを測定して検証できる。これによりコアのオリジナルの高さのちょうど半分が、0.004インチの範囲内で除去されたことを確実にする。コアをホルダー内に保持して、コアの中心を芯出し定規で見いだし、注意して印付けし、この中心印で硬度をASTM−D2240に従って測定する。コアの中心から任意の距離での硬度測定を、中心マークから径方向外側に伸びる線を引き、中心から典型的には2mmの増分の距離位置で硬度を測定することにより行う。中心からの具体的な距離における硬度は、180°または90°それぞれ離れる、少なくとも2つ、好ましくは4つ半径の線分に知って測定すべきであり、その後平均がとられる。幾何中心を通る面の上ですべての硬度測定が実行されても、コアは依然としてホルダーの中にあり、その配位が乱されないようにし、測定面がホルダーの底に常に平行になるようにし、また、それゆえに、デュロメータの足に正確に整合するようにする。
【0206】
ゴルフボール層の外側表面の硬度は、当該層の実際の外側表面上で測定され、対面する半球から取った多数の測定の平均から取得され、コアの分離線または表面欠陥、例えば穴または突起の上の測定を行わないように配慮する。硬度の測定はASTM D−2240「デュロメータによるゴムおよびプラスチックの凹み硬度」に従ってなされる。曲面ゆえに、表面硬度が読み取られる前にゴルフボールまたはゴルフボールアッセンブリをデュロメータインデンタの真下に中心づけられるように配慮する必要がある。0.1単位まで読みとることが可能な較正済みの1つのデジタルデュロメータを硬度測定に用いる。デジタルデュロメータはその脚部を平行にし、自動スタンドの基部に取り付けなければならない。デュロメータ上の重量およびアタック速度がASTM D−2240に適合するようにしなければならない。
【0207】
ある実施例では、「正」または「負」の勾配に沿って測定される1点または複数の点はその勾配に適合する線の上または下にあってよく、その最も外側および最も内側の値であってよい。他の好ましい実施例において、具体的なスティープな「正」または「負」の勾配に沿う最も硬い点は、内側コアの最も内側の部分(すなわち幾何中心)または外側コア層(内側表面)の値より大きくても良いけれども、最も外側の点(すなわち内側コアの外側表面)が最も内側の点(すなわち内側コアの幾何中心または外側コア層の内側表面)より大きく(「正」のとき)、または小さく(「負」のとき)、「正」および「負」の勾配を損なわずに維持できるようになっていなければならない。
【0208】
先に検討したように、ゴルフボール層の硬度勾配の方向は、具体的な層の外側および内側表面において取られた硬度測定値に相違によって定義される。内側コアの中心硬度、および、単一コアボールの内側コアすなわち外側コア層の外側表面の硬度は、先に説明されたテスト手順に従って容易に決定される。二重コアボールの内側コア層(または他のオプションの中間コア層)の外側表面も、当該層を付加的な層を包囲する前に測定を行えば、ゴルフボール層の外側表面を測定するためにここで説明した手順に従って容易に測定される。対象の層を付加的なコア層で一旦包囲すると、いずれの内側または中間層の内側または外側表面の硬度を決定することは困難となるであろう。したがって、この発明の目的の範囲では、コア層の内側または外側表面の硬度が、内側層が他のコア層により包囲された後に、必要なときには、インターフェースから1mmの位置で測定するために先に説明したテスト手順が採用される。
【0209】
また、「材料硬度」および「ゴルフボール上で直接測定される硬度」の間には基本的な相違があることに留意されたい。この発明の説明の範囲では、材料硬度はASTM D2240に従って測定され、材料から製造された平らな「スラブ」または「ボタン」の硬度を測定することに一般的に関連する。「材料硬度」と「ゴルフボールの表面で直接に測定した硬度」とは、基本的に異なることを理解されたい。ゴルフボール(または他の球面)の表面で直接に測定されるような硬度は、典型的には材料硬度と異なる硬度値をもたらす。硬度値におけるこの相違は、限定するものではないが、ボール構造(即ち、コアのタイプ、コアおよび/またはカバー層の数等)、ボール(または球体)直径、および隣接各層の素材組成のようないくつかの要因に由来する。また、2つの測定方法は直線的には相関せず、したがって、一方の硬度値が他方の硬度値と容易に相関し得ないことも理解すべきである。ショアC硬度(例えばショアCまたはショアD硬度)はテスト方法D−2240で測定された。
【0210】
弾性率
ここで使用される場合、「弾性率」または「曲げ弾性率」は、ASTM D790−Bによる標準的なフレックスバーを使用して測定される曲げ弾性率を指す。
【0211】
引張強度
ここで使用される場合、引張強度は、ASTM D−638を使用して測定される引張強度を指す。
【0212】
極限伸び
ここで使用されるように、極限伸びとは、ASTM D−638を用いて測定した極限伸びをいう。
【0213】
圧縮
Jeff Dalton’s Compression by Any Other Name、Science and Golf IV、Proceeding of World Science Congress of Golf(Eric Thain ed.,Routledge、2002)(「J.Dalton」)に開示されるように、いくつかの異なる手法が圧縮を測定するのに用いられ、その中に、Atti圧縮、Riehle圧縮、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向測定、種々の固定荷重およびオフセットでの荷重/偏向の測定、および実効弾性係数が含まれる。この発明の目的に関しては、「圧縮」はソフトセンタ偏向指数(Soft Center Deflection Index、「SCDI」)を指す。SCDIは、コアの直径の10%を偏向させるのに必要なポンドを決定することを可能にする動的圧縮機械(Dynamic Compression Machine、「DCM」)に対するプログラム変更である。DCMは、コアまたはボールに荷重を印加して測定荷重においてコアまたはボールが変更したインチ数を測定する装置である。Atti圧縮を表示する数値をもたらすAtti圧縮スケールに合致する、未処理の荷重/変更の曲線が生成される。DCMは、これを荷重セルにより実行し、この荷重セルは静止状態のコアに向けて固定速度(典型的には1.0ft/s)の空気圧でトリガーされる油圧シリンダの底部に取り付けられる。シリンダにはLVDTが取り付けられ、これは、シリンダが試験時間枠の間に進行した距離を測定する。ソフトウェアベースの対数アルゴリズムによって、確実に、試験の初期段階では、少なくとも荷重が連続して5だけ増分するのが検出されるまで、測定が行われないようにする。SCDIはこの設定のわずかなバリエーションである。ハードウェアは同じであるけれども、ソフトウェアおよび出力が変更されている。SCDIでは、大きさは、コアを屈曲させるのに必要な力のポンド数×インチ数である。コアの撓み量は、コア直径の10%である。DCMがトリガされ、シリンダが直径の10%だけコアを変形させ、DCMは必要な力のポンドを(取り付けられたロードセルから測定して)戻し、その量でコアを偏向させる。表示される値は、1ポンド単位の単一の数である。
【0214】
反発係数(「COR」)
CORは既知の手順で決定され、ここで、ゴルフボールまたはゴルフボール部分組立体(例えば、ゴルフボールコア)を空気砲から2つの所定の速度で打ち出し、125ft/sの速度でのCORを計算することにより決定される。複数の弾道光スクリーンがボール速度を測定するために固定距離で空気砲およびスチール板の間に配置される。ボールがスチール板へ移動するときに、各光スクリーンが活性化され、各光スクリーンにおける時間を測定する。これにより、ボールの入射速度に反比例した入射移行時間が得られる。ボールはスチール板と衝突して複数の光スクリーンを通り抜けてリバウンドし、これが光スクリーン間を移行するのに要する時間間隔を測定する。これにより、ボールの飛び出し速度に反比例した飛び出し移行時間が得られる。CORは飛び出し移行時間間隔の入射移行時間間隔に対する比、COR=V
out/V
in=T
in/T
outとして計算される。
【0215】
ここでは、熱硬化性および熱可塑性層は、ゴルフボール層内およびゴルフボール層の間に正または負の硬度勾配を生成するように処理して良い。熱硬化性ゴムが使用される、この発明のゴルフボール層では、勾配生成プロセスおよび/または勾配生成ゴム配合物を使用して良い。勾配生成プロセスおよび配合物は、例えば、2008年3月14日に出願された米国特許出願第12/048,665号、2007年7月27日に出願された米国特許出願第11/829,461号、2007年7月3日に出願された米国特許出願第11/772,903号、2007年8月1日に出願された米国特許出願第11/832,163号、2007年8月1日に出願された米国特許出願第11/832,197号に十分に開示されており、これらの開示内容は参照してここに組み込まれる。
【0216】
ここで説明されている、この発明の混合物の少なくとも1つの層を組み込んでいる、この発明のゴルフボールは、この発明の多くの実施例のうちのいくつかを示すに過ぎないことに留意されたい。当業者であれば、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、そのようなゴルフボールに様々な変更および追加を加えることができることを留意されたい。そのような実施例のすべてが添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
【0217】
この発明のゴルフボールは、さらに印を組み込んで良く、これは、ここで使用されるように、ゴルフボールのディンプル表面に付加され得る、任意のシンボル、文字、文字群、デザインなどを意味すると考えられる。
【0218】
この発明のゴルフボールは、典型的には、約60%以上、好ましくは約65%以上、より好ましくは約75%以上のディンプルカバー率を有する。任意の既知のディンプルパターンが任意の形状または寸法の任意数のディンプルとともに採用されて良い。例えば、ディンプルの数は252から456、または330から392であって良く、任意の幅およりエッジ角度を有して良い。パターンの分離線構造は、直線でも、互い違いの波状の分離線(SWPL:Staggered Wave Parting Line)でもよい。
【0219】
これら実施例のいずれにおいても、単一層コアを2またはそれ以上の層からなるコアに置き換えてよい。ただし、少なくとも1つのコア層が硬度勾配を伴う。
【0220】
作業例における他の事柄、または、とくに明言しなくとも、すべての数値範囲、量、値、百分率、例えば材料の量についてのこれら、および明細書中の他のものは、たとえその値、量または範囲に関連して用語「約」が表示されていなくとも、「約」がその前に配置されているように読むことができる。したがって、そうでないと示されていない限り、明細書および特許請求の範囲に表される数のパラメータは近似的であり、これは、この発明により得られることが企図される所望の特性に応じて変化する。最低限でも、もちろん均等論の適用を制約するものではないが、各数のパラメータは記録されている有効数字の数や通常の丸め処理に照らして解釈されるべきである。
【0221】
この発明のゴルフボールは、具体的な手段および材料を参照してここに説明されているけれども、この発明は、開示された事項に限定されず、特許請求の範囲に示される範囲内ですべての均等物に及ぶことを理解されたい。
【0222】
ここに記載され例示された製造方法、組成物、構造および製品は、この発明のいくつかの実施例を表すだけであることを理解されたい。当業者であれば、この発明の精神および範囲から逸脱することなく、組成物、構造および製品に様々な変更および追加を行うことができることが理解される。そのような実施例のすべてが添付の特許請求の範囲に包含されることに留意されたい。