(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-89730(P2019-89730A)
(43)【公開日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】ジェルシートマスク
(51)【国際特許分類】
A61K 8/02 20060101AFI20190524BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/65 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/365 20060101ALI20190524BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20190524BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20190524BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20190524BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20190524BHJP
【FI】
A61K8/02
A61K8/81
A61K8/65
A61K8/86
A61K8/26
A61K8/44
A61K8/37
A61K8/365
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/9728
A61Q19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-220041(P2017-220041)
(22)【出願日】2017年11月15日
(71)【出願人】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100126653
【弁理士】
【氏名又は名称】木元 克輔
(72)【発明者】
【氏名】鶴島 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】古瀬 靖久
(72)【発明者】
【氏名】義永 隆明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA031
4C083AA032
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB371
4C083AB372
4C083AB381
4C083AB382
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC481
4C083AC482
4C083AC531
4C083AC532
4C083AD041
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD431
4C083AD432
4C083BB41
4C083CC07
4C083DD12
4C083EE06
4C083EE12
(57)【要約】
【課題】肌に対する適度な粘着性及び保湿性を有し、かつ、心地よい香りを有するジェルシートマスクの提供。
【解決手段】支持体と支持体上に積層された粘着剤層とを備えたジェルシートマスクであって、粘着剤層が、粘着剤層全量を基準として5質量%〜7質量%のポリアクリル酸部分中和物、1質量%〜2質量%のゼラチン、9質量%〜11質量%のポリエチレングリコール、3質量%〜5質量%の合成ケイ酸アルミニウム、0.3質量%〜0.5質量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、0.3質量%〜0.4質量%のエデト酸ナトリウム、0.2質量%〜0.3質量%のパラオキシ安息香酸メチル、0.05質量%〜0.15質量%の乳酸、0.05質量%〜0.2質量%の美肌成分、0.01質量%〜0.5質量%の香料及び50質量%〜80質量%の水を含有し、美肌成分は茶エキスであり香料は茶香料であるか、美肌成分は酒粕エキスであり香料は酒粕香料であるか、又は美肌成分は柑橘類エキスであり香料は柑橘類香料である、ジェルシートマスク。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と支持体上に積層された粘着剤層とを備えたジェルシートマスクであって、
粘着剤層が、粘着剤層全量を基準として
5質量%〜7質量%のポリアクリル酸部分中和物、
1質量%〜2質量%のゼラチン、
9質量%〜11質量%のポリエチレングリコール、
3質量%〜5質量%の合成ケイ酸アルミニウム、
0.3質量%〜0.5質量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、
0.3質量%〜0.4質量%のエデト酸ナトリウム、
0.2質量%〜0.3質量%のパラオキシ安息香酸メチル、
0.05質量%〜0.15質量%の乳酸、
0.05質量%〜0.2質量%の美肌成分、
0.01質量%〜0.5質量%の香料及び
50質量%〜80質量%の水を含有し、
美肌成分は茶エキスであり香料は茶香料であるか、美肌成分は酒粕エキスであり香料は酒粕香料であるか、又は美肌成分は柑橘類エキスであり香料は柑橘類香料である、
ジェルシートマスク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はジェルシートマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性高分子、多価アルコール、架橋剤、水及び美肌成分を含むシート状パック剤が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2003/002075号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
肌に対する適度な粘着性及び保湿性を有し、かつ、心地よい香りを有するジェルシートマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、所定の美肌成分とそれに対応する香料を添加することで、心地よい香りを奏することを見出し、それにより本発明を完成するに至った。すなわち、本発明のジェルシートマスクは、支持体と支持体上に積層された粘着剤層とを備え、粘着剤層が、粘着剤層全量を基準として5質量%〜7質量%のポリアクリル酸部分中和物、1質量%〜2質量%のゼラチン、9質量%〜11質量%のポリエチレングリコール、3質量%〜5質量%の合成ケイ酸アルミニウム、0.3質量%〜0.5質量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、0.3質量%〜0.4質量%のエデト酸ナトリウム、0.2質量%〜0.3質量%のパラオキシ安息香酸メチル、0.05質量%〜0.15質量%の乳酸、0.05質量%〜0.2質量%の美肌成分、0.01質量%〜0.5質量%の香料及び50質量%〜80質量%の水を含有し、美肌成分は茶エキスであり香料は茶香料であるか、美肌成分は酒粕エキスであり香料は酒粕香料であるか、又は美肌成分は柑橘類エキスであり香料は柑橘類香料である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のジェルシートマスクは、肌に対する適度な粘着性及び保湿性を有し、かつ、心地よい香りを有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
本発明のジェルシートマスクは、支持体と支持体上に積層された粘着剤層とを備えている。
【0009】
支持体は、粘着剤層を物理的に支持する層である。支持体の材質はジェルシートマスクに一般的に使用されているものであれば限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ナイロン、セルロース誘導体、ポリウレタン等の合成樹脂が挙げられる。
【0010】
粘着剤層は、ポリアクリル酸部分中和物、ゼラチン、ポリエチレングリコール、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、エデト酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸メチル、乳酸、美肌成分、香料及び水を含有する。
【0011】
粘着剤層全量を基準として5質量%〜7質量%のポリアクリル部分中和物及び1質量%〜2質量%のゼラチンが粘着剤層に含まれることで、粘着剤層に適度な粘着性を付与することが可能となる。
【0012】
粘着剤層全量を基準として9質量%〜11質量%のポリエチレングリコールが粘着剤層に含まれることで、粘着剤層の保水性を高めることが可能となる。保水性を高める観点から、ポリエチレングリコールは、マクロゴール400(第17改正日本薬局方)等の、平均分子量が350〜450であるポリエチレングリコールが好ましい。
【0013】
粘着剤層全量を基準として3質量%〜5質量%の合成ケイ酸アルミニウム及び0.3質量%〜0.5質量%のメタケイ酸アルミン酸マグネシウムが粘着剤層に含まれることで、粘着剤層において架橋剤として機能する。
【0014】
粘着剤層全量を基準として0.3質量%〜0.4質量%のエデト酸ナトリウムが含まれることで、粘着剤層において酸化防止剤として機能する。
【0015】
粘着剤層全量を基準として0.2質量%〜0.3質量%のパラオキシ安息香酸メチルが含まれることで、粘着剤層において防腐剤として機能する。
【0016】
粘着剤層全量を基準として0.05質量%〜0.15質量%の乳酸が含まれることで、粘着剤層においてpH調整剤として機能する。
【0017】
粘着剤層全量を基準として0.05質量%〜0.2質量%の美肌成分及び0.01質量%〜0.5質量%の香料が含まれることで、心地よい香りを奏することが可能となる。美肌成分及び香料の組み合わせは、美肌成分は茶エキスであり香料は茶香料であるか、美肌成分は酒粕エキスであり香料は酒粕香料であるか、又は美肌成分は柑橘類エキスであり香料は柑橘類香料であり、より好ましくは、0.05質量%〜0.2質量%の茶エキス及び0.01質量%〜0.1質量%の茶香料であるか、0.05質量%〜0.2質量%の酒粕エキス及び0.01質量%〜0.1質量%の酒粕香料であるか、又は0.05質量%〜0.2質量%の柑橘類エキス及び0.1質量%〜0.5質量%の柑橘類香料である。
【0018】
茶エキスとしては、からつ茶エキス、うれしの茶エキス、静岡茶エキス等が挙げられる。酒粕エキスとしては、純米大吟醸酒粕エキス、大吟醸酒粕エキス、純米吟醸酒粕エキス、吟醸酒粕エキス等が挙げられる。柑橘類エキスとしては、ゲンコウエキス、スダチエキス、温州みかんエキス等が挙げられる。茶香料とは、抹茶風フローラルの香気を有する香料を意味するが、抹茶を原料とするものに限定されるものではない。酒粕香料とは、日本酒風フローラルの香気を有する香料を意味する。柑橘類香料とは、スダチ風シトラスの香気を有する香料を意味するが、スダチを原料とするものに限定されるものではない。
【0019】
粘着剤層における水の含有量は、粘着剤層全量を基準として50質量%〜80質量%である。
【0020】
粘着剤層は、上記成分に加えて、安定化剤、充填剤、色素、紫外線吸収剤、冷感付与剤、温感付与剤等を含んでいてもよい。
【0021】
安定化剤としては、トコフェロール及びそのエステル誘導体、アスコルビン酸及びそのエステル誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられる。
【0022】
充填剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、含水シリカ、炭酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、ケイ酸マグネシウム、含水ケイ酸マグネシウム、ケイソウ土、無水ケイ酸、ベントナイト等が挙げられる。
【0023】
紫外線吸収剤としては、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エステル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、サリチル酸エステル、アントラニル酸メンチル、ウンベリフェロン、エスクリン、ケイ皮酸ベンジル、シノキサート、グアイアズレン、ウロカニン酸、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジオキシベンゾン、オクタベンゾン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、スリソベンゾン、ベンゾレソルシノール、オクチルジメチルパラアミノベンゾエート、エチルヘキシルパラメトキシサイナメート等が挙げられる。
【0024】
色素としては、赤色2号(アマランス)、赤色3号(エリスロシン)、赤色102号(ニューコクシン)、赤色104号の(1)(フロキシンB)、赤色105号の(1)(ローズベンガル)、赤色106号(アシッドレッド)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットエローFCF)、緑色3号(ファストグリーンFCF)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色2号(インジゴカルミン)等の法定色素が挙げられる。
【0025】
冷感付与剤としては、テルペン系炭化水素化合物、メントール類縁化合物等を挙げることができ、具体的にはリモネン、テルピノレン、メンタン、テルピネン等のp−メンタン及びこれらから誘導される単環式モノテルペン系炭化水素化合物;l−メントール、d−メントール、dl−メントール、イソプレゴール、3,l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、1−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(3−ニトロフェニル)−1,2,3,6−テトラヒドロキシピリミジン−2−オン、エチルメンタンカルボキサミド、p−メンタン−3,8−ジオール、トリアルキル置換シクロヘキサンカルボキシアマイド等が挙げられる。
【0026】
温感付与剤としてはカプサイシン、カプサイシノイド、ジヒドロキシカプサイシン、カプサンチン等のカプサイシン類似体;カプシコシド、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、トウガラシ末等のトウガラシ由来成分;ニコチン酸ベンジル;ニコチン酸β−ブトキシエチル;N−アシルワニルアミド;ノニル酸ワニルアミド等が挙げられる。
【0027】
粘着剤層の表面は、剥離性のフィルムで被覆されていてもよい。被覆されることにより、ジェルシートマスクの安定性を高めることができる。
【0028】
本発明のジェルシートマスクの製造方法は、通常のジェルシートマスクの製造方法を採用することができ、例えば、上記粘着剤層の各成分を攪拌機中で均一に混合及び/又は溶解し、これを支持体上に展延し、所望の形状に切断することで本発明のジェルシートマスクが得られる。
【0029】
本発明のジェルシートマスクは、顔、顎、首、肘及び踵等の部位に貼付することができる。
【実施例】
【0030】
表1に示す組成のジェルシートマスクを常法により製造し、実施例1〜3のジェルシートマスクを得た。
【0031】
【表1】
【0032】
実施例1〜3のジェルシートマスクを、健康成人女性30名に使用し、下記の通り使用感を評価した。
貼付部位:顔
貼付時間:入浴後又は洗顔後の15分間
評価基準
(1)香りの強さ
1:弱い、2:やや弱い、3:ちょうどよい、4:やや強い、5:強い
(2)フィット感
1:悪い、2:やや悪い、3:どちらともいえない、4:まあよい、5:よい
(3)付着状態
1:1/2以上の剥離、2:1/3程度の剥離、3:1/4程度の剥離、4:端部のみの剥離、5:剥離なし
(4)しっとり感
1:悪い、2:やや悪い、3:どちらともいえない、4:まあよい、5:よい
(5)すべすべ感
1:悪い、2:やや悪い、3:どちらともいえない、4:まあよい、5:よい
(6)もっちり感
1:悪い、2:やや悪い、3:どちらともいえない、4:まあよい、5:よい
(7)違和感(ピリピリ感、かゆみ、赤み等)
1:なし、5:あり
結果を表2に示す。
【0033】
【表2】