特開2019-90499(P2019-90499A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-90499(P2019-90499A)
(43)【公開日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】端末固定装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 1/22 20060101AFI20190524BHJP
【FI】
   F16C1/22 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-220669(P2017-220669)
(22)【出願日】2017年11月16日
(71)【出願人】
【識別番号】000210986
【氏名又は名称】中央発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】今井 健太
(72)【発明者】
【氏名】岡本 新司
(72)【発明者】
【氏名】山田 清二
【テーマコード(参考)】
3J032
【Fターム(参考)】
3J032AB24
3J032BA02
3J032BA04
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができる端末固定装置を提供すること。
【解決手段】キーロック7が第2位置に位置する場合に、キー6とキーロック7とがロッド3の長手方向において重なる位置に配設されるので、第2位置から第1位置にキーロック7を変位させるためのスペースの一部をロッド3の長手方向においてキー6と重なる位置に設けることができる。これにより、ロッド3の長手方向におけるホルダ4の寸法が長くなることを抑制できるので、端末固定装置1を小型化することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントロールケーブルと、そのコントロールケーブルの端部に配設されるロッドと、そのロッドを支持するホルダと、そのホルダに対して相対的にスライド変位して前記ロッドに係合されるキーと、そのキーのスライド変位を規制する第1位置、及び、前記キーのスライド変位を許容する第2位置に変位するキーロックと、を備え、前記キーが前記ロッドと非係合とされる仮ロック状態、及び、前記キーが前記ロッドと係合するロック状態の双方の状態からの前記キーのスライド変位が前記第1位置に位置する前記キーロックによって規制されるコントロールケーブルの端末固定装置において、
前記キーロックが前記第2位置に位置する場合に、前記キーと前記キーロックとが前記ロッドの長手方向において重なる位置に配設されることを特徴とする端末固定装置。
【請求項2】
前記キー及び前記キーロックのそれぞれに形成されると共に互いに係合することで前記キーロックの変位を規制する規制部を備え、
前記仮ロック状態および前記ロック状態の双方の状態において、前記第1位置から前記第2位置への前記キーロックの変位が前記規制部によって規制されることを特徴とする請求項1記載の端末固定装置。
【請求項3】
前記ホルダは、前記キーを取り囲む側壁に形成される貫通孔を備え、
前記ロック状態において、前記貫通孔を介して前記側壁に前記キーロックが係合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の端末固定装置。
【請求項4】
前記仮ロック状態において、前記ホルダに前記キーロックが非係合とされ、前記第1位置から前記第2位置への前記キーロックの変位が許容されることを特徴とする請求項3記載の端末固定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末固定装置に関し、特に、小型化を図ることができる端末固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コントロールケーブル(例えば、操作側のシフトレバーの操作状態を、被操作側のトランスミッションに伝達するもの)の端末固定装置には、コントロールケーブルの端部に配設されるロッドと、そのロッドを支持するホルダと、そのホルダに支持されたロッドに係合するキーと、そのキーのロック状態(キーがロッドに係合した状態)を固定するキーロックと、を備えるものがある。
【0003】
操作側や被操作側に設けられるピンにホルダが固定され、そのホルダに対するロッドの相対位置を所望の位置に設定した状態でロッドにキーを係合させると共に、そのキーによるロッドのロック状態をキーロックによって固定することにより、コントロールケーブルの長さの調節が行われる。
【0004】
このような端末固定装置として、例えば、特許文献1には、ホルダに対して相対変位するキーロック(スライダ)を備え、そのキーロックによってキー(ロックピース)の仮ロック状態(キーがロッドに係合していない状態)と、キーのロック状態とを維持する端末固定装置が記載される。この端末固定装置によれば、ロック状態や仮ロック状態が誤操作によって解除されることを1個のキーロックによって抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−057764号公報(例えば、段落0043,0044、図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来の技術では、ロッドの長手方向一端側(ピンが固定される側とは反対側)におけるホルダの外面にキーロックが配設されるので、キーロックをスライド変位させるスペースを確保するために、ロッドの長手方向におけるホルダの寸法を長く設定する必要がある。
【0007】
これに対して、例えば、ロッドの長手方向他端側(ピンが固定される側)にキーロックを設けると、ホルダにピンを挿通する作業時にスライダが邪魔になる恐れがあるため、ロッドの長手方向においてピンから所定間隔を隔てた位置にスライダを配設する必要がある。よって、ロッドの長手方向におけるホルダの寸法を長く設定する必要があるため、端末固定装置が大型化するという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、小型化を図ることができる端末固定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために本発明の端末固定装置は、コントロールケーブルと、そのコントロールケーブルの端部に配設されるロッドと、そのロッドを支持するホルダと、そのホルダに対して相対的にスライド変位して前記ロッドに係合されるキーと、そのキーのスライド変位を規制する第1位置、及び、前記キーのスライド変位を許容する第2位置に変位するキーロックと、を備え、前記キーが前記ロッドと非係合とされる仮ロック状態、及び、前記キーが前記ロッドと係合するロック状態の双方の状態からの前記キーのスライド変位が前記第1位置に位置する前記キーロックによって規制されるものであり、前記キーロックが前記第2位置に位置する場合に、前記キーと前記キーロックとが前記ロッドの長手方向において重なる位置に配設される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の端末固定装置によれば、キーロックが第2位置に位置する場合に、キーとキーロックとがロッドの長手方向において重なる位置に配設されるので、第2位置から第1位置にキーロックを変位させるためのスペースの一部をロッドの長手方向においてキーと重なる位置に設けることができる。これにより、ロッドの長手方向におけるホルダの寸法が長くなることを抑制できるので、端末固定装置を小型化することができるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の端末固定装置によれば、請求項1記載の端末固定装置の奏する効果に加え、キー及びキーロックのそれぞれに形成されると共に互いに係合することでキーロックの変位を規制する規制部を備え、仮ロック状態およびロック状態の双方の状態において、第1位置から第2位置へのキーロックの変位が規制部によって規制されるので、仮ロック状態が解除されることと、ロック状態が解除されることとをそれぞれ同一の規制部によって規制できる。よって、仮ロック状態が解除されることと、ロック状態が解除されることとをそれぞれ異なる規制部で規制する場合に比べ、規制部を形成する数を低減できる。よって、端末固定装置の製品コストを低減できるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の端末固定装置によれば、請求項1又は2に記載の端末固定装置の奏する効果に加え、ホルダは、キーを取り囲む側壁に形成される貫通孔を備え、ロック状態において、貫通孔を介して側壁にキーロックが係合されるので、ロック状態においてキーロックとホルダとを係合させるための部位を、側壁よりも外側に別途設けることを不要にできる。よって、端末固定装置を小型化することができるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の端末固定装置によれば、請求項3記載の端末固定装置の奏する効果に加え、仮ロック状態において、ホルダにキーロックが非係合とされ、第1位置から第2位置へのキーロックの変位が許容されるので、キーロックがホルダの側壁に係合されるロック状態に比べ、仮ロック状態の解除を比較的容易に行うことができる。よって、コントロールケーブルの長さを調節する作業の作業性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における端末固定装置の斜視図である。
図2】端末固定装置の分解斜視図である。
図3】(a)は、仮ロック状態における端末固定装置の部分拡大断面図であり、(b)は、図3(a)の状態からキーロックを第2位置に変位させた状態を示す端末固定装置の部分拡大断面図である。
図4】(a)は、図3(b)の状態からキーがロッドに係合したロック状態を示す端末固定装置の部分拡大断面図であり、(b)は、図4(a)の状態からキーロックを第1位置に変位させた状態を示す端末固定装置の部分拡大断面図である。
図5】(a)は、図3(a)のVa−Va線における端末固定装置の部分拡大断面図であり、(b)は、図4(b)のVb−Vb線における端末固定装置の部分拡大断面図である。
図6】(a)は、第2実施形態における端末固定装置の部分拡大断面図であり、(b)は、図6(a)の状態からキーがロッド側へスライド変位している状態を示す端末固定装置の部分拡大断面図であり、(c)は、図6(b)の状態からキーがロッドに係合したロック状態を示す端末固定装置の部分拡大断面図である。
図7】(a)は、第3実施形態における端末固定装置の部分拡大上面図であり、(b)は、第4実施形態における端末固定装置の部分拡大上面図であり、(c)は、図7(b)の矢印VIIc方向視における端末固定装置の部分拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、端末固定装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態における端末固定装置1の斜視図である。なお、図1では、理解を容易にするために、シフトレバーLを2点鎖線で模式的に図示し、図1における矢印U−D,L−R,F−Bは、端末固定装置1の上下方向、左右方向、前後方向をそれぞれ示しており、図2から図7においても同様とする。また、端末固定装置1の上下方向はキー6のスライド方向、左右方向はロッド3の長手方向(挿通方向)、前後方向はキー6のスライド方向とロッド3の長手方向とに垂直な方向、にそれぞれ対応する。
【0016】
図1に示すように、端末固定装置1は、コントロールケーブル2の取付け時において操作側の装置(本実施形態では、シフトレバーL)と、被操作側の装置(本実施形態では、トランスミッション)(図示せず)との間でコントロールケーブル2の長さを調節するための装置である。
【0017】
端末固定装置1は、コントロールケーブル2と、そのコントロールケーブル2の端部に固定されるロッド3と、そのロッド3が支持されると共にシフトレバーLのピンPに固定されるホルダ4と、そのホルダ4からロッド3が抜け落ちるのを防止するEリング5と、ホルダ4に支持された状態のロッド3に係合するキー6と、そのキー6のロッド3への係合状態を固定するキーロック7と、を備える。
【0018】
コントロールケーブル2は、シフトレバーLとトランスミッションとの間を接続し、シフトレバーLの操作状態をトランスミッションに伝達するためのケーブルである。コントロールケーブル2の先端に配設される円柱状のロッド3がホルダ4に固定されることにより、コントロールケーブル2の長さ(ホルダ4に対する相対位置)の調節が行われる。
【0019】
ロッド3は、その外周に形成されると共にロッド3の長手方向に所定のピッチで等間隔に形成される溝部30を備え、その溝部30にキー6が係合することでロッド3がホルダ4に固定される。キーロック7は、ロッド3とキー6との係合状態を固定するための部材である。
【0020】
次いで、図2を参照して、端末固定装置1の各部の詳細構成について説明する。図2は、端末固定装置1の分解斜視図である。なお、以下の説明において、ロッド3の長手方向(矢印L−R方向)において、ホルダ4のピンPが配設される側を「一端側」、それとは反対側を「他端側」と定義する。
【0021】
ホルダ4は、その他端側に配設される第1側壁40と、その第1側壁40にロッド3の長手方向で対向すると共に第1側壁40よりもホルダ4の一端側に配設される第2側壁41と、それら第1側壁40及び第2側壁41どうしをロッド3の長手方向で接続する第3側壁42及び第4側壁43と、第2側壁41からホルダ4の一端側に延びる一対の延設部44と、それら一対の延設部44の一端側に連結されると共にシフトレバーLのピンPが固定される固定部45と、を備える。
【0022】
第1側壁40及び第2側壁41には、ロッド3の長手方向に沿って貫通する断面円形の貫通孔40a,41aがそれぞれ形成される。一対の延設部44は、第2側壁41の貫通孔41aを挟んで前後方向(矢印F−B方向)で所定間隔を隔ててそれぞれ配設される。これにより、第2側壁41、一対の延設部44、及び、固定部45によって取り囲まれる空間が形成される。よって、貫通孔40a,41aにロッド3を挿通することにより、かかる空間にロッド3の先端が露出するので(図1参照)、ホルダ4に対するロッド3の相対位置を作業者に視認させやすくすることができる。
【0023】
貫通孔40a,41aにロッド3を挿通させた状態でEリング5をロッド3の先端に装着することにより、ロッド3がホルダ4の他端側に変位しようとしても、Eリング5が第2側壁41の外面に当接する。よって、ホルダ4(貫通孔41a)からロッド3が抜け落ちることを抑制できる。
【0024】
また、第2側壁41には、キーロック7の基部70b及び爪部70cを挿通させるための貫通孔41bが形成される。貫通孔41bは、ロッド3の長手方向に沿って形成される断面矩形の貫通孔として構成される。
【0025】
固定部45には、上下に貫通する断面円形の貫通孔45aが形成され、貫通孔45aの内周面には、ブッシュ(図示せず)が配設される。この貫通孔45aにシフトレバーLのピンP(図1参照)が挿通されることにより、シフトレバーLにホルダ4が固定される。
【0026】
第3側壁42及び第4側壁43の内面には、上下に延びる案内溝42a,43aがそれぞれ形成され、この案内溝42a,43aに沿ってキー6のスライド変位が案内される。また、第3側壁42及び第4側壁43の内面には、ロッド3の長手方向に延びる係止溝42b,43b(係止溝42bについては、図5参照)が形成される。この係止溝42b,43bは、後述する仮ロック状態において、キー6の係止部61bを係止させるための部位である。
【0027】
キー6は、略直方体状に形成され、第1側壁40〜第4側壁43によって取り囲まれる断面矩形の空間にキー6が収容可能に構成される。キー6は、その上面を構成する上板部60と、その上板部60の前端(矢印F側の端部)及び後端(矢印B側の端部)からそれぞれ下方に延びる一対の脚部61と、それら一対の脚部61どうしを上板部60よりも下方で接続する中間板部62と、を備え、各部が略平板状に形成される。
【0028】
一対の脚部61の外面には、第3,4側壁42,43側に凸形状のスライド部61aが上下に延設され、スライド部61aが案内溝42a,43aに沿って摺動することでホルダ4に対してキー6が相対変位する。また、一対の脚部61の下端には、第3,4側壁42,43側に凸形状の係止部61bがロッド3の長手方向に沿って延設される。
【0029】
中間板部62の下面は、一対の脚部61どうしを接続する上側に凸の湾曲面として構成され、その湾曲面に溝部62aが形成される(図3参照)。溝部62aは、ロッド3の長手方向において所定のピッチで等間隔に形成される複数の溝として構成され、ロッド3の溝部30に係合可能に構成される。
【0030】
キー6には、上板部60、一対の脚部61、及び、中間板部62によって取り囲まれる貫通孔63が形成される。貫通孔63は、ロッド3の長手方向におけるキー6の端部(矢印L−R側の端部)どうしを接続する断面矩形の貫通孔であり、この貫通孔63に後述するキーロック7のロック部70が挿通される。
【0031】
上板部60は、キー6の他端側(矢印R側の端部)から一端側に向けてロッド3の長手方向に沿って延設される切欠部60aと、その切欠部60aの他端側端部にキー6の前後方向(矢印F−B方向)中央側に突出する(互いに対向する)一対の突起部60bと、切欠部60aよりもキー6の一端側における上面に形成される規制部60cと、を備える。
【0032】
切欠部60aは、後述するキーロック7の連結部72が挿入される部位であり、突起部60bは、切欠部60aに挿入された連結部72が切欠部60aから抜け落ちることを防止するための部位である。切欠部60aは、上板部60の前後方向(矢印F−B方向)中央に形成され、キー6の前後方向における切欠部60aの寸法は、一対の突起部60bどうしの対向間隔よりも大きく設定される。
【0033】
規制部60cは、後述するキーロック7の規制部71aを係合させるための部位であり、上板部60の上面から上側に凸の突起として構成される。
【0034】
キーロック7は、キー6のホルダ4に対するスライド変位を規制する部材であり、キー6の貫通孔63に挿通されるロック部70と、そのロック部70のスライド変位を操作するための操作部71と、それらロック部70及び操作部71を連結する連結部72と、を備える。
【0035】
ロック部70は、外形形状が貫通孔63の内面形状に対応した形状に形成される直方体状のスライド部70aと、そのスライド部70aからキーロック7の一端側に延びる板状の基部70bと、その基部70bの一端側端部に上側に向けて突出する爪部70cと、を備える。
【0036】
キー6の上下方向における貫通孔63の寸法は、スライド部70aの寸法と略同一に(若しくは、若干大きく)設定され、キー6の前後方向(矢印F−B方向)における貫通孔63の寸法は、スライド部70aの寸法と略同一(若しくは、若干大きく)設定される。これにより、キー6の上板部60、一対の脚部61、及び中間板部62に拘束された状態で(図5参照)、ロッド3の長手方向に沿ってスライド部70aが貫通孔63の内部でスライド可能に構成される。
【0037】
操作部71は、その下面に形成されると共に、下側に凸の突起として構成される規制部71aを備える。規制部71aがキー6の規制部60cに係合されることにより、キー6に対するキーロック7のスライド変位が規制される。
【0038】
連結部72は、略直方体状に形成され、その前後方向(矢印F−B方向)における寸法がキー6の切欠部60aの寸法と略同一に(若しくは、若干小さく)設定されると共に一対の突起部60bどうしの対向間隔よりも大きく設定される。これにより、一対の突起部60bどうしの対向間に連結部72を挿入すると、突起部60bが連結部72に当接することで上板部60が弾性的に変形する。かかる弾性変形によって切欠部60aへの連結部72の挿入を可能にする一方で、切欠部60aへの挿入後には、上板部60の弾性回復力で一対の突起部60bが初期位置(連結部72の挿入前の状態)に戻り、切欠部60aから連結部72が抜け落ちることが一対の突起部60bによって規制される。
【0039】
次いで、図3図5を参照して、端末固定装置1の仮ロック状態およびロック状態について説明する。図3(a)は、仮ロック状態における端末固定装置1の部分拡大断面図であり、図3(b)は、図3(a)の状態からキーロック7を第2位置に変位させた状態を示す端末固定装置1の部分拡大断面図である。図4(a)は、図3(b)の状態からキー6がロッド3に係合したロック状態を示す端末固定装置1の部分拡大断面図であり、図4(b)は、図4(a)の状態からキーロック7を第1位置に変位させた状態を示す端末固定装置1の部分拡大断面図である。図5(a)は、図3(a)のVa−Va線における端末固定装置1の部分拡大断面図であり、図5(b)は、図4(b)のVb−Vb線における端末固定装置1の部分拡大断面図である。なお、図3図5では、図面を簡素化するために、キー6の溝部62aを一部省略して図示している。
【0040】
また、以下の説明において、キーロック7の連結部72が切欠部60aの一端側に位置し(連結部72が上板部60に当接し)、基部70b及び爪部70cが貫通孔63から露出する位置をキーロック7の第1位置と定義し、連結部72が切欠部60aの他端側に位置し(連結部72が突起部60bに当接し)、基部70b及び爪部70cが貫通孔63の内部に収容される位置をキーロック7の第2位置と定義する。
【0041】
また、キー6の溝部62aがロッド3の溝部30に非係合とされる状態(図3の状態)を仮ロック状態、キー6の溝部62aがロッド3の溝部30に係合される状態(図4の状態)をロック状態、とそれぞれ定義する。仮ロック状態は、ホルダ4に対するロッド3の相対位置(コントロールケーブル2の長さ)の変更が可能な状態である。仮ロック状態でロッド3を所望の位置に配置した状態でロック状態に移行させることにより、コントロールケーブル2の長さの調節が行われる。
【0042】
図3に示すように、仮ロック状態では、キー6の貫通孔63が第2側壁41の上面よりも上側に位置し、この状態でキーロック7を第1位置に位置させることにより、キーロック7の基部70b及び爪部70cが第2側壁41の上面側に露出する。この場合、基部70b及び爪部70cの下面が第2側壁41の上面と平行に形成されるので、キー6が仮ロック状態からロッド3側に変位しようとしても、基部70bが第2側壁41の上面に当接する。即ち、仮ロック状態において誤操作によってキー6がロッド3側に押し込まれても、基部70bが破損するまではロック状態には移行しないので、仮ロック状態を強固に維持することができる。
【0043】
また、キーロック7が第1位置に位置する場合、操作部71の規制部71aが上板部60の規制部60cよりも上板部60の一端側(矢印L側)に位置される(規制部71aに規制部60cが係合される)。これにより、規制部71aが規制部60cを乗り越える(規制部71aと規制部60cとの係合状態が解除される)までは、第1位置から第2位置へのキーロック7の変位が規制される。よって、キーロック7による仮ロック状態の固定が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0044】
キーロック7が第1位置に位置する場合には、規制部71aと規制部60cとが係合されるが、上板部60と操作部71とは上下に所定間隔を隔てて配設される。この間隔が形成されることにより、操作部71の他端側が上板部60側に押し込まれると、操作部71が一端側に向けて上昇傾斜するように連結部72が弾性変形する。これにより、規制部71aと規制部60cとの係合を解除することができる。即ち、規制部71aと規制部60cとの係合を解除させるための弾性変形をキーロック7側で完結させることができる(上板部60を変形させる必要がない)ので、操作部71の操作によって第1位置から第2位置へキーロック7を容易に変位させることができる。
【0045】
第2位置へキーロック7を変位させると、基部70b及び爪部70cが貫通孔63の内部に収容されるので、キー6のロッド3側へのスライド変位(ロック状態への移行)が可能となる。この場合、キーロック7が第2位置に位置する状態では、爪部70cの一端が貫通孔63の一端側の開口部分と略面一とされる(若しくは、爪部70cの一端が貫通孔63の開口部分よりも僅かに(例えば、1mm〜2mm前後)他端側に位置される)。これにより、連結部72が突起部60bに当接する直前までは、爪部70cを貫通孔63の外部に露出させることができる。よって、キーロック7の第1位置から第2位置側への僅かな変位では仮ロック状態は解除されないので、誤操作によって仮ロック状態が解除されることを抑制できる。
【0046】
図5(a)に示すように、仮ロック状態では、一対の脚部61の係止部61bが第3側壁42及び第4側壁43の係止溝42b,43bに係止される。これにより、誤操作によってキーロック7が第2位置へスライド変位しても、仮ロック状態が解除されることを抑制できる。
【0047】
係止部61bの下面は、第3側壁42(第4側壁43)側に向けて上昇傾斜するテーパ面から構成される。よって、第2位置へキーロック7を変位させた状態でキー6をロッド3側へスライド変位させると、係止部61bの下面が係止溝42b,43bに沿って摺動し、一対の脚部61が弾性変形することで係止部61bと係止溝42b,43bとの係合状態が解除される(ロッド3側へキー6の変位が許容される)。これにより、溝部62aと溝部30との嵌合が可能となり、仮ロック状態からロック状態に移行させることができる(図4参照)。
【0048】
図4に示すように、ロック状態では、キー6の貫通孔63が第2側壁41の貫通孔41bと連通されるので、キーロック7を第1位置へ変位させることで基部70b及び爪部70cを第2側壁41の貫通孔41bに挿入することができる。これにより、キー6がロッド3から離間する方向に変位しようとしても、基部70bが貫通孔41bの上面に当接する。これにより、基部70bが破損するまでは、キー6の上方への変位が規制されるので、ロック状態を強固に維持することができる。
【0049】
爪部70cは、その一端から他端側にかけて上昇傾斜するテーパ面が形成され、そのテーパ面の上端は、ロック状態において貫通孔41bの上面の他端よりも上方に位置される。これにより、ロック状態でキーロック7を第2位置から第1位置側に変位させると、貫通孔41bの上面に爪部70cのテーパ面が摺動して基部70bが下方に弾性変形し、キーロック7が第1位置まで変位すると、基部70bの上方への弾性回復力によって爪部70cが第2側壁41の外面に係合する(図4(b)参照)。よって、ロック状態においてキーロック7を第1位置から第2位置側へ変位させるには、爪部70cと第2側壁41の外面との係合状態を解除する必要があるため、ロック状態が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0050】
また、貫通孔41bを介して第2側壁41の外面に爪部70cが係合されるので、ロック状態において爪部70cとホルダ4とを係合させるための部位を、第2側壁41よりも外側に別途設けることを不要にできる。よって、キーロック7がロッド3の長手方向でスライド変位する場合であっても、ロッド3の長手方向におけるホルダ4の寸法が長くなることを抑制できるので、端末固定装置1を小型化できる。
【0051】
更に、貫通孔41bを介して第2側壁41の外面に爪部70cが係合されるので、第2側壁41の外面と爪部70cとの係合状態を作業者に視認させやすくすることができる。よって、キーロック7によるロック状態の固定が完了したか否かを容易に判断することができる。
【0052】
この場合、爪部70cを第2側壁41の外面に係合させるために、例えば、爪部70cの一端から他端側にかけて下降傾斜するテーパ面を形成し、そのテーパ面の下端をロック状態において貫通孔41bの下面よりも下方に位置させる構成を採用することも可能である。しかしながら、かかる構成では、ロッド3側(下方)への基部70bの弾性回復力によって爪部70cが第2側壁41の外面に係合するので、かかる係合状態を解除するには、比較的スペースの狭いロッド3側から爪部70cを押し上げる必要があり、ロック状態の解除に手間を要する。
【0053】
これに対して、本実施形態の端末固定装置によれば、爪部70cと第2側壁41の外面との係合状態を解除する場合、爪部70cをロッド3側に押し込むだけで良いため、ロック状態の解除を容易に行うことができる。
【0054】
また、ロック状態においても、キーロック7が第1位置に位置する場合、操作部71の規制部71aが上板部60の規制部60cよりも上板部60の一端側(矢印L側)に位置される(規制部71aに規制部60cが係合される)。これにより、規制部71aが規制部60cを乗り越える(規制部71aと規制部60cとの係合状態が解除される)までは、第2位置へのキーロック7の変位が規制される。即ち、爪部70cと第2側壁41の外面との係合に加え、規制部71aと規制部60cとの係合によってもロック状態の解除が規制されるので、ロック状態が誤操作によって解除されることをより確実に抑制できる。
【0055】
更に、仮ロック状態およびロック状態の双方の状態において、第1位置から第2位置へのキーロック7の変位が規制部71aと規制部60cとの係合によって規制される(仮ロック状態およびロック状態の双方の状態において、キー6と第1位置に位置するキーロック7との相対位置が同一とされる)。これにより、仮ロック状態やロック状態の双方が解除されることを規制部71aと規制部60cとの係合によって規制できる。よって、例えば、仮ロック状態およびロック状態の解除を規制する手段を、それぞれの状態において別個に設ける場合に比べ、部品点数を低減できるので、端末固定装置1の製品コストを低減できる。
【0056】
また、仮に爪部70cや操作部71に外力が加わっても、その外力によるロック状態の解除はスライド部70aによって規制される。即ち、操作部71と基部70bとの間にスライド部70aが介設され、そのスライド部70aは貫通孔63に拘束された状態であるため(図5参照)、連結部72の弾性変形が基部70b側に及ぶことや、基部70bの弾性変形が連結部72側に及ぶことを抑制できる。
【0057】
これにより、規制部71aと規制部60cとの係合状態が解除されるような外力が操作部71に加わった場合でも、爪部70cと第2側壁41との係合が解除されることを抑制できる。更に、爪部70cと第2側壁41との係合が解除されるような外力が爪部70cに加わった場合でも、規制部71aと規制部60cの係合状態が解除されることを抑制できる。換言すれば、ロック状態においてキーロック7を第1位置から第2位置に変位させるには、爪部70cと第2側壁41との係合を解除しつつ操作部71を操作する(規制部71aと規制部60cとの係合状態を解除する)必要があるため、ロック状態が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0058】
図5(b)に示すように、ロック状態では、一対の脚部61の弾性回復力によって第3側壁42及び第4側壁43の下端に規制部61bが係合される。かかる係合状態を解除するには、一対の脚部61をロッド3側へ向けて押し込む必要があるため、ロック状態が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0059】
また、ロック状態では爪部70cと第2側壁41の外面との係合によって第1位置から第2位置へのキーロック7の変位が規制される一方で(図4(b)参照)、仮ロック状態では、爪部70cは、第2側壁41(ホルダ4)と非係合とされる(図3(a)参照)。これにより、ロック状態に比べ、仮ロック状態における第1位置から第2位置へのキーロック7の変位を操作部71の操作によって比較的容易に行うことができる。
【0060】
即ち、コントロールケーブル2の長さの調節後にロック状態の解除が必要とされることは比較的少ない(低い)一方で、仮ロック状態の解除は、コントロールケーブル2の長さ調節の際に必ず行われる。よって、仮ロック状態では爪部70cと第2側壁41(ホルダ4)とを非係合とし、仮ロック状態の解除を比較的容易にすることにより、コントロールケーブル2の長さ調節の作業性を向上させることができる。
【0061】
このように、本実施形態では、ロック部70(スライド部70a、基部70b及び爪部70c)が貫通孔63の内部でスライド変位し、キーロック7が第2位置に位置する場合には、ロック部70の全体を貫通孔63の内部に収容することができる。これにより、第1位置と第2位置との間でキーロック7(ロック部70)を変位させるためのスペースの一部を、ロッド3の長手方向においてキー6と重なる位置(キー6やホルダ4の内部)に設けることができる。よって、ロッド3の長手方向におけるホルダ4の寸法が長くなることを抑制できるので、端末固定装置1を小型化できる。
【0062】
また、ロッド3とキー6とを確実に係合させる(係合面積を確保する)ために、ロッド3の長手方向におけるキー6の寸法は、キー6の前後方向(矢印F−B方向)における寸法よりも長く形成される。よって、このロッド3の長手方向におけるキー6の長いスペースを利用して、ロック部70をロッド3の長手方向でスライド変位させることにより、キー6の内部にロック部70を配設する場合でも、キー6を必要以上に大きくする必要がない。よって、端末固定装置1を小型化できる。
【0063】
また、キーロック7によって仮ロック状態が固定される状態から、キーロック7によるロック状態の固定を行うまでに、「仮ロック状態においてキーロック7を第1位置から第2位置に変位させること」、「キー6をロッド3側にスライド変位させること」、及び、「ロック状態においてキーロック7を第2位置から第1位置に変位させること」の3の手順を作業者が行う必要がある。よって、例えば、キー6をロッド3側に押し込むだけでロック状態に移行する構成に比べ、誤操作によって仮ロック状態からロック状態に移行することを抑制できる。
【0064】
次いで、図6を参照して、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、操作部71の操作によってキーロック7をスライド変位させる場合を説明したが、第2実施形態では、キーロック7をスプリングSの付勢力によって変位させる場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明は省略する。
【0065】
図6(a)は、第2実施形態における端末固定装置201の部分拡大断面図であり、図6(b)は、図6(a)の状態からキー206がロッド3側へスライド変位している状態を示す端末固定装置201の部分拡大断面図であり、図6(c)は、図6(b)の状態からキー206がロッド3に係合したロック状態を示す端末固定装置201の部分拡大断面図である。なお、図6(a)は端末固定装置201の仮ロック状態を、図6(c)は端末固定装置201のロック状態を、それぞれ示している。
【0066】
図6に示すように、端末固定装置201のキー206は、切欠部60a及び貫通孔63の他端側(矢印R側)を閉塞する壁部260dを備える。壁部260dとロック部270(スライド部70a)との間にスプリングSが配設され、このスプリングSによってロック部270がキー206の一端側に向けて付勢される。
【0067】
キーロック207のスライド部70aから一端側へ延びる爪部270cは、その先端側の下面が一端側から他端側にかけて下降傾斜するテーパ面として構成される。
【0068】
操作部271は、第1実施形態の連結部72に相当する部位であり、その上面が上板部60の上面と面一とされ(若しくは、若干下側に位置し)、操作部271の上面にはロッド3側に向けて凹設される操作面271bが形成される。
【0069】
なお、第2実施形態においても、操作部271が切欠部60aの一端側に位置し(操作部271が上板部60に当接し)、爪部270cが貫通孔63から露出する位置をキーロック207の第1位置と定義し、爪部270cが貫通孔63の内部に収容される位置をキーロック207の第2位置と定義する。
【0070】
仮ロック状態においてキーロック207が第1位置に位置する場合、爪部270cのテーパ面は、第2側壁41の上面の他端の上側に位置している。これにより、仮ロック状態からキー206がロッド3側へ押し込まれると、爪部270cのテーパ面が第2側壁41の上面に沿って摺動し、スプリングSの付勢力に抗してキーロック207が第2位置に変位する(図6(b)参照)。この場合、操作部271の上面が上板部60の上面と面一(若しくは、若干下側)に形成されるので、作業者がキー206をロッド3側へ押し込んだ際に、キーロック207のスライド変位に作業者の指が干渉することを抑制できる。また、操作部271の上面が上板部60の上面と面一(若しくは、若干下側)に形成されるので、操作部271が上板部60の上面よりも上側に突出する構成に比べ、上下方向において端末固定装置201を小型化できる。
【0071】
キー206がロッド3と嵌合されるとキー206の貫通孔63が第2側壁41の貫通孔41bに連通され、スプリングSの付勢力によって爪部270cが貫通孔41bに挿通される。これにより、第1実施形態と同様、キー206がロッド3から離間する方向に変位しようとしても、爪部270cが貫通孔41bの上面に当接するので、爪部270cが破損するまでは、キー6の上方への変位が規制される。
【0072】
また、ロック部270(スライド部70a、爪部270c)が貫通孔63の内部でスライド変位し、キーロック207が第2位置に位置する場合には、ロック部270の全体を貫通孔63の内部に収容することができる。これにより、第1位置と第2位置との間でキーロック207(ロック部270)を変位させるためのスペースの一部を、ロッド3の長手方向においてキー206と重なる位置(キー206の内部)に設けることができる。よって、ロッド3の長手方向におけるホルダ4の寸法が長くなることを抑制できるので、端末固定装置1を小型化できる。
【0073】
また、ロック状態においては、爪部270cが第2側壁41の貫通孔41bの内部に収容される(爪部270cが第2側壁41の外面に露出しない)ので、爪部270cによってロッド3の先端が被覆されることを抑制できる。これにより、ロッド3の先端部分の視認性を確保することができるので、コントロールケーブル2の長さ調節の作業性を向上させることができる。
【0074】
なお、ロック状態の解除は、操作面271bの操作によって行われる。即ち、操作部271の上面と上板部60の上面とが面一の場合でも、操作面271bがロッド3側に向けて凹設されるので、操作面271bでの操作によってキーロック207を第1位置から第2位置へ変位させることができる。
【0075】
次いで、図7を参照して、第3実施形態および第4実施形態について説明する。第1実施形態では、爪部70cが平板状の基部70bの一端から上側に突出する場合について説明した。これに対し第3実施形態では、爪部370cが平板状の基部370bの一端から第3側壁42及び第4側壁43側に突出する場合について説明し、第4実施形態では、爪部470cが円柱状の基部470bの一端から第3側壁42及び第4側壁43側に突出する場合について説明する。なお、上述した第1実施形態と同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0076】
図7(a)は、第3実施形態における端末固定装置301の部分拡大上面図である。なお、図7(a)では、図面を簡素化するために、キー6及びキーロック307の一部のみを図示している。
【0077】
図7(a)に示すように、第3実施形態の端末固定装置301におけるロック部370は、平板状の基部370bの一端から第3側壁42及び第4側壁43(図1参照)側に突出する一対の爪部370cを備える。
【0078】
第3側壁42側に突出する爪部370cには、その一端から他端にかけて徐々に第3側壁42に近づくように傾斜するテーパ面が形成され、第4側壁43側に突出する爪部370cには、その一端から他端にかけて徐々に第4側壁43に近づく態様で傾斜するテーパ面が形成される。基部370bには、その一端から他端側に向けて一対のスリット370b1が形成され、そのスリット370b1側に基部370bが弾性変形可能に構成される。
【0079】
これにより、貫通孔41b(図1参照)に爪部370cが挿入されると、貫通孔41bの側面に沿って爪部370cのテーパ面が摺動し、第3側壁42及び第4側壁43に向けた基部370bの弾性回復力によって一対の爪部370cが第2側壁41の外面に係合される。よって、かかる係合状態を解除するには、一対の爪部370cの双方をキーロック307の前後方向(矢印F−B方向)中央側に向けて押し込む必要がある。よって、第1実施形態のようにロッド3側に爪部70cを押し込んで爪部70cと第2側壁41の外面との係合を解除する場合に比べ、一対の爪部370cと第2側壁41の外面との係合が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0080】
また、基部370bにスリット370b1が形成されることにより、基部370bのうちの一対の爪部370cが形成される基部370bの前後方向における厚みが比較的薄く形成される。この一方で、一対の爪部370cの対向間における基部370bは、一端側に凸の台形状に形成されることにより、爪部370cが形成される部位よりも剛性が高く設定される。即ち、一対の爪部370cが形成される部位の変形を許容するために基部370bの一部の厚みを薄く形成しても、一対の爪部370cの対向間における台形状の基部370bによって基部370bの全体としての剛性が確保される。これにより、キー6の上下の変位によって第2側壁41(図2参照)の上面や貫通孔41bの下面に基部370bが押しつけられても、基部370bが破損することを抑制できる。
【0081】
図7(b)は、第4実施形態における端末固定装置401の部分拡大上面図であり、図7(c)は、図7(b)の矢印VIIc方向視における端末固定装置401の部分拡大側面図である。なお、図7(b)及び図7(c)では、図面を簡素化するために、キー406及びキーロック407の一部のみを図示している。
【0082】
図7(b)に示すように、第4実施形態の端末固定装置401におけるロック部470は、略円柱状の基部470bの一端から第3側壁42及び第4側壁43(図1参照)側に突出する一対の爪部470cを備える。
【0083】
一対の爪部470cの外面は球面状に形成される。基部470bには、一対の爪部470cどうしを分断する態様でスリット470b1が形成され、そのスリット470b1側に基部470bが弾性変形可能に構成される。
【0084】
なお、このような基部470b及び爪部470cを備えるキーロック407を採用する場合には、キー406は、キー6の貫通孔63(図2参照)を断面円形に形成したものを用いれば良い。また、第2側壁41の貫通孔41bを断面円形に形成したホルダを用いれば良い。これにより、かかる断面円形の貫通孔に爪部470cが挿入されると、貫通孔の内面に沿って爪部470cの球面が摺動し、第3側壁42及び第4側壁43に向けた基部470bの弾性回復力によって一対の爪部470cが第2側壁41の外面に係合される。よって、かかる係合状態を解除するには、第3実施形態と同様に、一対の爪部470cの双方をキーロック407の前後方向(矢印F−B方向)中央側に向けて押し込む必要があるので、一対の爪部470cと第2側壁41の外面との係合が誤操作によって解除されることを抑制できる。また、基部470bや爪部470cを挿通させるための貫通孔を円形状にすることができるので、かかる貫通孔を容易に形成することができる。
【0085】
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0086】
上記各実施形態では、キーロック7,207,307,407がキー6,206,406に対してスライド変位することで爪部70c,270c,370c,470cがホルダに係合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、爪部70c,270c,370c,470cをホルダに係合させるための手段は限定されない。例えば、操作部での回転操作によって爪部を所定の軸周りに回転可能に構成し、その回転軌跡における一部の領域で爪部がホルダの係合部(例えば、貫通孔や溝)に係合される構成でも良い。
【0087】
上記各実施形態では、キーロック7,207,307,407が第2側壁41に係合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、キーロック7,207,307,407を係合させる(貫通孔を形成する)側壁は、第1側壁40〜第4側壁43のいずれの側壁であっても良い。この場合には、キーロック7,207,307,407を第1側壁40に係合させることが好ましい。これにより、爪部70c,270c,370c,470cが第1側壁40の外面側に露出しても、ロッド3の一端側の視認性が低下することを抑制できる。
【0088】
上記各実施形態では、溝部30及び溝部62aが、ロッド3の長手方向において所定のピッチで等間隔に形成される複数の溝として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、溝部30及び溝部62aを所定のリード角を有するねじ山として構成しても良い。
【0089】
上記第1実施形態では、キー6に対するキーロック7のスライド変位を規制する規制手段として、操作部71に形成される規制部71aと、上板部60に形成される規制部60cとの突起どうしが係合する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、操作部71に形成される規制部71aを凸形状(凹形状)とし、上板部60に形成される規制部60cを凹形状(凸形状)とする構成でも良い。また、キー6とキーロック7との間で対向する面どうしであれば、いずれの部位に規制部を形成しても良く、かかる規制部の構成を第2〜第4実施の形態に適用しても良い。
【0090】
上記第1実施形態では、仮ロック状態において、キーロック7の爪部70cとホルダ4の第2側壁41とが非係合とされる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、仮ロック状態において、爪部70cと第2側壁41とを係合させるための貫通孔を第2側壁41に形成する構成でも良い。これにより、仮ロック状態が解除されることを抑制できる。
【0091】
上記第1実施形態では、ロック状態において、キーロック7の爪部70cとホルダ4の第2側壁41とが係合される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、ロック状態において、キーロック7の爪部70cとホルダ4の第2側壁41とが非係合とされる(ロック部70の一端を単に貫通孔41bに挿通する)構成でも良い。
【0092】
上記第1実施形態では、一端から他端側にかけて上昇傾斜するテーパ面が爪部70cに形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、一端側から他端側にかけて下降傾斜するテーパ面を爪部70cに形成し、そのテーパ面の下端をロック状態において貫通孔41bの下面の他端よりも下方に位置させる構成でも良い。この場合には、ロッド3側への基部70bの弾性回復力によって爪部70cが第2側壁41の外面に係合するので、かかる係合状態を解除するには、比較的スペースの狭いロッド3側から爪部70cを押し上げる必要がある。よって、ロック状態が誤操作によって解除されることを抑制できる。
【0093】
上記第2実施形態では、スプリングSを貫通孔63の内部に配設する方法についての説明を省略したが、例えば、キー206を2部材から構成して貫通孔63を開放させることや、キーロック207のロック部270と操作部271とを別部材として構成する(スプリングS及びロック部270を貫通孔63に挿入した後、ロック部270に操作部271を連結する)ことで、貫通孔63の内部にスプリングSを配設できる。
【0094】
上記第2実施形態では、上板部60の前後方向(矢印F−B方向)中央に形成される切欠部60a(図2参照)に、操作部271が挿入される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、上板部60の前後方向中央から偏心した位置に切欠部60aを形成し、その切欠部60aに操作部271を挿入する構成でも良い。これにより、キー206を押し込む際に作業者の指が操作部271に干渉することを抑制できるので、仮ロック状態からロック状態への移行を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0095】
1,201,301,401 端末固定装置
2 コントロールケーブル
3 ロッド
4 ホルダ
41 第2側壁(側壁)
41b 貫通孔
6,206,406 キー
60c 規制部
7,207,307,407 キーロック
71a 規制部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7