【課題】本発明は、大気側のOリングやパッキングを使用することなく、防水性及び気密性を高めるために封止接着剤を使用し、更にこの封止接着剤の封入する方向を一方向とし、作業性を改善することができる圧力センサを提供することを目的とする。
100において、継手111、ロアカバー112、圧力検出部120、及び、ケース部135のいずれかの組み合わせにより、保護カバーが構成される。保護カバーは、外周を形成する側壁と、側壁の圧力室側に底部とを有し、保護カバーの底部に対向する側の開口部135Aには封止接着剤136が封入され、信号送出部130の防水性及び気密性を維持する。
【背景技術】
【0002】
流体圧検出用の圧力センサとして、冷凍、冷蔵、空調機器用の冷媒用圧力センサ等のように、防水性及び気密性が要求される圧力センサが従来から知られている。
【0003】
このような圧力センサとして、従来から、
図9に示すオイル封入型圧力センサ900、及び、
図10に示す静電容量検出型圧力センサ1000が知られている。以下、これら従来の圧力センサ900、1000について説明する。
【0004】
図9において、従来のオイル封入型圧力センサ900は、圧力導入部910と、圧力検出部920と、信号送出部930とを備える。
【0005】
圧力導入部910は、配管に接続され、圧力検出されるべき冷媒などの流体を導入する継手911と、継手911に接続され、お椀形状を有するロアカバー912と、継手911、ロアカバー912、及び、後述するダイヤフラム923により区画される圧力室913とを備える。
【0006】
圧力検出部920は、主に、半導体センサチップ921と、液封室922と、ダイヤフラム923と、金属製のハウジング924等を備える。圧力検出部920では、配管から継手911を介して圧力室913に導入された冷媒等の流体の圧力を、ダイヤフラム923及び液封室922を介して、半導体センサチップ921により検出する。圧力検出部920の詳細な説明は、当業者に周知なため省略する。
【0007】
信号送出部930は、半導体センサチップ921に電気的に接続される接続基板931と、接続基板931に接続される結線材及びコンタクトピン等932と、接続基板931及びコンタクトピン等932を絶縁して保持する本体933と、圧力検出部920と接続基板931との間の絶縁を確保するスペーサ934と、圧力検出部920及び本体933の外周を固定するケース935と、本体933とケース935との間に挟まれ防水性を確保する大気側Oリング936とを備える。
【0008】
次に、
図10において、従来の静電容量検出型圧力センサ1000は、圧力導入部1010と、圧力検出部1020と、信号送出部1030とを備える。
【0009】
圧力導入部1010は、保護カバー1011と、冷媒等の流体の圧力を受けるOリング1012と、圧力室1013とを備える。保護カバー1011は、継手部1011a、圧力室凹部1011b、ケース部1011c、及び、かしめ部1011dを有するように一体として成形されるが、これには限定されず、継手部1011a、圧力室凹部1011b、及び、ケース部1011cをそれぞれ別々に、又は、いずれかの組み合わせとして成形して、接着剤又は溶接等により接続してもよい。圧力室1013は、後述するセンサエレメント1021と保護カバー1011の圧力室凹部1011bとの間に形成される。
【0010】
圧力検出部1020は、静電容量検出式のセンサエレメント1021と、絶縁材で形成され、保護カバー1011のケース部1011cに配置されるスペーサ1022とを備える。センサエレメント1021では、圧力室1013に導入された冷媒等の流体の圧力を、電極の変動による電極間の静電容量の変化として読み取り、圧力信号として外部に送出する。センサエレメント1021は、主に、2枚の電極、2枚の電極間に配置される絶縁体、2枚の電極に接続されるリード線、接着剤、電極間のギャップを確保する部材などから構成されるが、詳細な説明は当業者に周知であるため省略する。
【0011】
信号送出部1030は、センサエレメント1021に電気的に接続される接続基板1031と、接続基板1031に接続される結線材及びコンタクトピン等1032と、接続基板1031及びコンタクトピン等1032を絶縁して保持する本体1033と、本体1033と保護カバー1011のケース部1011cとの間に挟まれ防水性を確保する大気側Oリング1036とを備える。
【0012】
このような従来の圧力センサ900、1000では、防水性及び気密性を達成するために、上述のように大気側Oリング936、1036、又は、その他のパッキングが使用されていた。しかしながらOリングやパッキングによる気密構造では、水中ヒートショック、及び、凍結/解凍を繰り返すことにより、Oリングやパッキングの材質が収縮・膨張し、隙間が生じ水分が内部に侵入し不具合が生じるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
特許文献1には、上述の問題を解決するために、大気側のOリングやパッキングを使用せずに、圧力センサの開口部に第1接着剤と第2接着剤を封入して、高い気密性を維持する発明が開示されているが、第1接着剤を封入する開口部と、第2接着剤を封入する開口部の開口する方向が相対するため作業性に問題があった。
【0015】
従って、本発明は、大気側のOリングやパッキングを使用することなく、防水性及び気密性を高めるために封止接着剤を使用し、更にこの封止接着剤の封入する方向を一方向とし、作業性を改善することができる圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するために、本発明の圧力センサは、配管から流体が導入される流路、及び、圧力室が形成される継手部と、前記圧力室に導入された前記流体の圧力を検出する圧力検出部と、前記圧力検出部の前記圧力室に対向する側に配置された筒形状を有するケースと、前記ケースの内部に配置され、外部に圧力信号を送出するケーブルを含む信号送出部と、を備える圧力センサにおいて、前記継手部、前記圧力検出部、及び、前記ケースのいずれかの組み合わせにより保護カバーが構成され、前記保護カバーは外周を形成する側壁と、当該側壁の前記圧力室側に底部と、前記底部に対向する側に開口部とを有し、前記保護カバーの前記開口部には封止接着剤が封入されることを特徴とする。
【0017】
また、前記圧力検出部には、金属製のハウジングが含まれ、前記ケースが金属材料で形成され、前記ハウジングと前記ケースは略同一の外径を有し、前記圧力検出部の前記ハウジングと、前記ケースは溶接により接続されるものとしてもよい。
【0018】
また、前記保護カバーの前記開口部の端部には、ストレート構造が形成されるものとしてもよい。
【0019】
また、前記保護カバーの前記開口部の端部には、側面が内側に縮小された縮小部が形成されるものとしてもよい。
【0020】
また、前記保護カバーの前記開口部の端部には、側面が外側に拡大された拡大部が形成されるものとしてもよい。
【0021】
また、前記保護カバーは、前記継手部、及び、前記ケースが一体として金属材料で成形されるものとしてもよい。
【0022】
また、前記ケースの内側には、中央に開口を有する円環形状に形成されるかしめ用スペーサが更に設けられ、前記保護カバーを構成する前記ケースの前記封止接着剤の導入口側の端部には、内側に屈曲して、前記かしめ用スペーサに固定されるかしめ部が形成されるものとしてもよい。
【0023】
また、前記信号送出部は、前記圧力検出部にコネクタ接続、または、半田接続により接続されるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の圧力センサによれば、大気側のOリングやパッキングを使用せずに、封止接着剤を使用して防水性及び気密性を高め、更に接着剤の封入する方向を一方向とし、作業性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0027】
尚、以下の説明における上下方向、又は、左右方向の概念は、添付の図面における上下左右に対応しており、各部材の相対的な位置関係を示すものであって、絶対的な位置関係を示すものではない。
【0028】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ100を示す縦断面図である。
【0030】
図1において、圧力センサ100は、圧力導入部110と、圧力検出部120と、信号送出部130とを備える。
【0031】
圧力導入部110は、配管に接続され、圧力検出されるべき冷媒等の流体を導入し、例えば真鍮等の金属材料で成形される継手111と、継手111に接続され、お椀形状を有し、例えばステンレス等の金属材料で成形されるロアカバー112と、継手111、ロアカバー112、及び、後述するダイヤフラム123により区画される圧力室113とを備える。ロアカバー112は、ここでは、後述する圧力検出部120の金属製のハウジング124と溶接等により接続されるのが望ましいが、これには限定されない。なお、継手部は、継手111と、ロアカバー112とから構成される。
【0032】
圧力検出部120は、主に、半導体センサチップ121と、オイル等が充填された液封室122と、上述の圧力室113を区画するダイヤフラム123と、金属製のハウジング124等を備える。圧力検出部120では、圧力室113に導入された冷媒等の流体の圧力を、ダイヤフラム123を介して、オイル等が充填された液封室122に配置された半導体センサチップ121により検出する。オイル封入型の圧力センサ100の圧力検出部120の詳細な動作については、当業者に周知であり、例えば特許文献2等の記載を参照し、詳細な説明を省略する。
【0033】
信号送出部130は、接続基板131と、電気コネクタ132と、ケーブル133と、スペーサ134と、ケース135と、封止接着剤136とを備える。
【0034】
接続基板131は、圧力検出部120の半導体センサチップ121とリードピン及びワイヤボンディング等を介して電気的に接続され、電気コネクタ132及びケーブル133を介して外部に圧力検出信号を送出する。なお、接続基板131を特に用意せずに、半導体センサチップ121に内蔵されているものとしてもよい。
【0035】
電気コネクタ132は、接続基板131に実装されるレセプタクルと、ケーブル133に接続されレセプタクルに挿抜可能に配置されるプラグとから構成される。
【0036】
ケーブル133は、接続基板131から3本(VCC、GND、VOUT)が外部に引き出され、半導体センサチップ121で検出した圧力検出信号を外部に送信する。
【0037】
スペーサ134は、例えば樹脂等の絶縁材で形成され、圧力検出部120と接続基板131との間に配置され接続基板131等の絶縁を確保する。
【0038】
ケース135は、円柱形状を有し圧力検出部120の圧力室113に対向する側に配置される。ケース135の材質としては、金属材料が使用され、金属製のハウジング124に溶接されるのが望ましく、特に後述する封止接着剤136との接着性のよい、真鍮、銅、鉄ニッケルが望ましい。ケース135の材料として、例えば樹脂材料等の絶縁材が使用され、圧力検出部120に接着剤等他の方法で固定されるものとしてもよい。ケース135は、圧力検出部120と共に、外周を形成する側壁と、側壁の圧力室側に底部と、底部に対向する側に開口部135Aとを有する保護カバーを構成する。
【0039】
さらに、ケース135と金属製のハウジング124との溶接、及び、金属製のハウジング124とロアカバー112との溶接を確実にするために、溶接部に突起(プロジェクション)を全周に設けてもよい。また、上記溶接を確実に行うために、ケース135と金属製のハウジング124の外径は同一であることが望ましいが、多少の段差があっても、隣り合う部材を横方向から溶接できればよい。従来技術、例えば特許文献2に示す圧力センサでは、ハウジングとロアキャップを溶接した後、ケースを被せる工程が必要であった。この場合、継手側からの溶接において、継手の形状により溶接のトーチが溶接部に届かず、全周均一に溶接することが難しいという問題があった。また、側面から溶接した場合には、ケースを貫通してロアキャップまで溶けさせるには、溶け込みが浅くて、高圧に耐えられず、気密性を確保できないという問題もあった。上述の本発明の構造では、上述の従来技術の問題を解消できる。
【0040】
封止接着剤136は、ケース135の
図1に示す上部の開口部135Aから封入される。このように、封止接着剤136の封止方向を一方向にしたことにより、防水性及び気密性を維持しつつ、作業性を改善することができる。封止接着剤136の材質としては、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、フッ素系、アクリル系の接着剤を使用することができる。なお、本実施形態では、ケース135の開口部135Aの端部がストレートであり、封止接着剤136は、防水・気密性が維持できる程度の封止量、好ましくは、開口部135Aの端部まで封入される。
【0041】
なお、本実施形態では、外装を構成する部品として、全て別部材である継手111、ロアカバー112、圧力検出部120のハウジング124、及び、ケース135が用意され、これらが溶接等により一体とされるものとしたが、これには限定されず、後述する
図5に示すように、これら全ての形状を有し、真鍮等の金属材料で一体として成形された保護カバー511等を使用するものとしてもよい。
【0042】
以上のように、本発明の第1の実施形態の圧力センサ100によれば、Oリングやパッキングを使用せず、防水性及び気密性を高めるために、封止接着剤136を使用し、更にケース135及び圧力検出部120から構成された、外周を形成する側壁と、側壁の圧力室側に底部とを有する保護カバーの開口部135Aのみから、封止接着剤136を封入することにより、作業性を改善することができる。
【0043】
また、ハウジングとロアキャップを溶接した後にケースを被せる工程がなくなり、側面から溶接できる構造としたことにより、溶接装置の簡易化、溶接工程の時間短縮、溶接部の気密性の安定化等更に作業性を改善することができる。
【0044】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0045】
図2は、本発明の第2の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ200を示す縦断面図である。
【0046】
図2において、圧力センサ200は、
図1に示す圧力センサ100と比較して、信号送出部230のケース235の
図2に示す上側の端部には、側面が内側に縮小された縮小部235aが形成される点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。なお、縮小部235aは円柱形状には限定されず、四角柱や楕円柱等他の形状としてもよい。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0047】
以上のように、本発明の第2の実施形態の圧力センサ200によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、ケース235内部に封入される封止接着剤136の量を低減することができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
【0049】
図3は、本発明の第3の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ300を示す縦断面図である。
【0050】
図3において、圧力センサ300は、
図1に示す圧力センサ100と比較して、信号送出部330のケース335の
図3に示す上側の端部には、側面が外側に拡大された拡大部335aが形成される点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。なお、拡大部335aは円柱形状には限定されず、四角柱や楕円柱等他の形状としてもよく、一部又は複数に突起を有し、ケーブルが引っかけられる構造等としてもよい。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0051】
以上のように、本発明の第3の実施形態の圧力センサ300によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、ケース335に結束バンド等を取り付ける場合の取付性を改善することができる。
【0052】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
【0053】
図4は、本発明の第4の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ400を示す縦断面図である。
【0054】
図4において、圧力センサ400は、
図1に示す圧力センサ100と比較して、信号送出部430の接続基板431にケーブル433の半田接続部433aにより半田接続される点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0055】
以上のように、本発明の第4の実施形態の圧力センサ400によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、電気コネクタ132を取り除くことができ、コストダウンができる。
【0056】
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
【0057】
図5は、本発明の第5の実施形態の圧力センサとして静電容量検出型圧力センサ500を示す縦断面図である。
【0058】
図5において、圧力センサ500は、圧力導入部510と、圧力検出部520と、信号送出部530とを備える。
【0059】
圧力導入部510は、保護カバー511と、Oリング512と、圧力室513とを備える。保護カバー511は、ここでは、継手部511a、圧力室凹部511b、ケース部511c、及び、かしめ部511dを有するように一体として例えば真鍮等の金属材料で成形されるが、これには限定されず、継手部511a、圧力室凹部511bに対応するロアカバー部、及び、ケース部511cをそれぞれ別々に、又は、いずれかの組み合わせとして成形して、接着剤又は溶接等により接続してもよい。圧力室513は、ここでは後述するセンサエレメント521と保護カバー511の圧力室凹部511bとの間に形成される。また、Oリング512は、冷媒などのシールのために使用されるため、水中ヒートショック、及び、凍結/解凍を繰り返すなどの従来の問題は生じない。
【0060】
圧力検出部520は、静電容量検出式のセンサエレメント521と、絶縁材で形成されOリング512を保持するために保護カバー511のケース部511cに挿入される絶縁スペーサ522とを備える。センサエレメント521では、圧力室513に導入された冷媒等の流体の圧力を、電極の変動による電極間の静電容量の変化として読み取り、圧力信号として外部に送出する。センサエレメント521は、主に、2枚の電極、2枚の電極間に配置される絶縁体、2枚の電極に接続されるリード線、接着剤、電極間のギャップを確保する部材などから構成される。静電容量検出型の圧力センサ500の圧力検出部520の詳細な動作については、当業者に周知であり、例えば特許文献3等の記載を参照し、詳細な説明を省略する。
【0061】
信号送出部530は、接続基板531と、電気コネクタ532と、ケーブル533と、かしめ用スペーサ534と、封止接着剤536とを備える。
【0062】
接続基板531は、圧力検出部520のセンサエレメント521とリード線等を介して電気的に接続され、電気コネクタ532及びケーブル533を介して外部に圧力検出信号を送出する。
【0063】
電気コネクタ532は、接続基板531に実装されるレセプタクルと、ケーブル533に接続されレセプタクルに挿抜可能に配置されるプラグとから構成される。
【0064】
ケーブル533は、ここでは、接続基板531から3本(VCC、GND、VOUT)が外部に引き出され、センサエレメント521で検出した圧力検出信号を外部に送信する。
【0065】
かしめ用スペーサ534は、保護カバー511のケース部511cの内側に配置され、中央に開口を有する円環形状を有するように、例えば樹脂等の絶縁材で形成される。保護カバー511のケース部511cの
図5に示す上側の端部には、内側に屈曲したかしめ部511dが形成され、このかしめ用スペーサ534に固定される。このかしめ部511dのかしめ加工により絶縁スペーサ522及びセンサエレメント521を固定し、Oリング512のシール性を確実なものとさせている。
【0066】
封止接着剤536は、保護カバー511の
図5に示す上部の開口部511Aから封入される。このように、封止接着剤536の封止方向を一方向にしたことにより、防水性及び気密性を維持しつつ、作業性を改善することができる。封止接着剤536の材質としては、シリコーン系、エポキシ系、ウレタン系、フッ素系、アクリル系の接着剤を使用することができる。
【0067】
なお、本実施形態では、継手部511a、圧力室凹部511b、ケース部511c、及び、かしめ部511dを有し、一体として例えば真鍮等の金属材料で成形された保護カバー511を使用するものとしたが、これには限定されず、
図1に示すように各部を全て別部材とし、これを溶接等により一体と形成するものとしてもよい。
【0068】
以上のように、本発明の第5の実施形態の圧力センサ500によれば、大気側のOリングやパッキングを使用せず、防水性及び気密性を高めるために、封止接着剤536を使用し、更に継手部511a、ケース部511c等から構成された、外周を形成する側壁と、側壁の圧力室側に底部とを有する保護カバー511の開口部511Aのみから、封止接着剤536を封入することにより、作業性を改善することができる。
【0069】
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
【0070】
図6は、本発明の第6の実施形態の圧力センサとして静電容量検出型圧力センサ600を示す縦断面図である。
【0071】
図6において、圧力センサ600は、
図5に示す圧力センサ500と比較して、保護カバー611のケース部611bの内部に、かしめ用スペーサ534がなく、このため、保護カバー611にかしめ部も形成されない点が異なり、その他の点は圧力センサ500と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0072】
静電容量検出型の圧力検出部620は、静電容量検出式のセンサエレメント521と、絶縁材で形成され、Oリング512を保持するために保護カバー611のケース部611cに圧入される絶縁スペーサ622とを備える。なお、本実施形態の絶縁スペーサ622は、
図5に示す実施形態とは異なり、かしめ用スペーサ534及び保護カバー511のかしめ部511dにより固定されることがないため、圧入により固定される。
【0073】
以上のように、本発明の第6の実施形態の圧力センサ600によれば、第5の実施形態の圧力センサ500と同様の作用効果を奏することができる。さらに、絶縁スペーサ622を保護カバー611のケース部611cに圧入することによりかしめ用スペーサ534を取り除くことができ、コストダウンができる。
【0074】
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。
【0075】
図7は、本発明の第7の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ700を示す縦断面図である。
【0076】
図7において、圧力センサ700は、
図4に示す圧力センサ400と比較して、ケース735の内部に、インナーキャップ738が設けられ、その内部に封止接着剤136が充填される点が異なり、その他の点は圧力センサ400と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
インナーキャップ738は、ケース135の内部に配置され、例えば樹脂等の絶縁材で形成される。インナーキャップ738には、圧力検出部120側に形成された内部空洞738aと、内部空洞738aと外部との間に設けられた開口部738bとが形成される。内部空洞738aには、信号送出部730のケーブル433、接続基板731等の導電性の通電部品が配置され、開口部738bには信号送出部730のケーブル433が貫通配置される。また、インナーキャップ738は、
図7に示すように、ケース735のかしめ部735aによりかしめ加工で固定されるが、この形状及びこの固定方法には限定されない。
【0078】
インナーキャップ738の内部空洞738a及び開口部738bには封止接着剤136が封入される。さらに、封止接着剤737が、インナーキャップ738の外周とケース735のかしめ部735aの内周との間の全周に亘り封入され、防水機能を維持している。なお、封止接着剤737は、インナーキャップ738の内部に配置された封止接着剤136と同じ材質のものを使用してもよいし、別の材質を選択してもよい。
【0079】
以上のように、本発明の第7の実施形態の圧力センサ700によれば、第4の実施形態の圧力センサ400と同様の作用効果を奏することができる。さらに、インナーキャップ738を設け、インナーキャップ738の内部に封止接着剤136を封入することにより、更に防水機能を高めることができる。
【0080】
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。
【0081】
図8は、本発明の第8の実施形態の圧力センサとしてオイル封入型圧力センサ800を示す縦断面図である。
【0082】
図8において、圧力センサ800は、
図1に示す圧力センサ100と比較して、ロアカバー112と、圧力検出部120の周囲を覆う形状のケース835が設けられている点が異なり、その他の点は圧力センサ100と同じである。同様の構成要素には、同様の符号を付し、説明を省略する。
【0083】
ケース835は、金属材料で略円柱形状に形成され、圧力導入部110側の端部には、内周側に屈曲されたフランジ部835aが形成される。ケース835は、ロアカバー112と、金属製のハウジング124とが溶接により固定された後、ロアカバー112にフランジ部835aが接触するように配置され、封止接着剤136の垂れ防止のため圧入により固定される。
【0084】
以上のように、本発明の第8の実施形態の圧力センサ800によれば、第1の実施形態の圧力センサ100と同様の作用効果を奏することができる。さらに、ロアカバー112と、圧力検出部120の周囲を覆う形状のケース835を設けることにより作業工数を上げることなく防水性能を高めることができる。
【0085】
以上説明したように、本発明の圧力センサによれば、大気側のOリングやパッキングを使用せず、防水性及び気密性を高めるために、封止接着剤を使用し、更に外周を形成する側壁と、側壁の圧力室側に底部とを有する保護カバーの一方向である開口部から、封止接着剤を封入することにより、作業性を改善することができる。