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特開2019-90790ハイブリッドビークルについての環境制御負荷の軽減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-90790(P2019-90790A)
(43)【公開日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】ハイブリッドビークルについての環境制御負荷の軽減
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20190524BHJP
   B60W 10/30 20060101ALI20190524BHJP
   B60W 20/15 20160101ALI20190524BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20190524BHJP
   B60W 10/06 20060101ALI20190524BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20190524BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20190524BHJP
   G08G 1/0968 20060101ALN20190524BHJP
【FI】
   G01C21/36ZHV
   B60W10/30 900
   B60W20/15
   B60W20/00
   B60W10/06 900
   B60W10/08 900
   B60H1/22 671
   G08G1/0968 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-191725(P2018-191725)
(22)【出願日】2018年10月10日
(31)【優先権主張番号】15/783,567
(32)【優先日】2017年10月13日
(33)【優先権主張国】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.SMALLTALK
(71)【出願人】
【識別番号】507342261
【氏名又は名称】トヨタ モーター エンジニアリング アンド マニュファクチャリング ノース アメリカ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】シャノン アリシア ローベル
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア ディー.ペイン
(72)【発明者】
【氏名】ヘラルド エフ.ステファノン
【テーマコード(参考)】
2F129
3D202
3L211
5H181
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD13
2F129DD14
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD24
2F129DD46
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE57
2F129EE78
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2F129EE87
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2F129EE93
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF11
2F129FF15
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF36
2F129FF41
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF64
2F129FF69
2F129FF71
2F129GG17
2F129GG18
2F129GG25
2F129GG28
2F129HH02
2F129HH12
2F129HH18
2F129HH19
2F129HH20
3D202BB00
3D202BB01
3D202BB11
3D202BB43
3D202CC08
3D202CC11
3D202CC57
3D202DD01
3D202DD14
3D202DD22
3D202DD29
3D202DD50
3L211AA10
3L211AA11
3L211BA01
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB08
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF10
5H181FF12
5H181FF13
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビークルの有効な走行航続距離も延長する一方で、ビークルユーザに対して人間工学的快適性を提供する。
【解決手段】低出力動作モードにおけるハイブリッドビークルの環境制御負荷を軽減するためのプロセスは、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにあるか否かが判別し、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにあるとき、低出力動作モードまでの推定進行時間が、ビークル軌跡計画データに基づいて決定する。低出力動作モードの間の乗員快適性設定を延長するために、推定時間に基づいて熱負荷バッファデータを生成する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドビークル用ビークル制御ユニットにおける方法であって、
少なくとも第1の速度ゾーンおよび第2の速度ゾーンを有するビークル軌跡計画データを受信することであって、前記第1の速度ゾーンが高出力動作モード用であり、前記第2の速度ゾーンが低出力動作モード用である、ビークル軌跡計画データを受信することと、
ビークルセンサデータが前記第1の速度ゾーンを標示しているか否かを判別することと、
前記ビークルセンサデータが前記第1の速度ゾーンを標示しているときに、
前記ビークル軌跡計画データに基づいて前記第2の速度ゾーンまでの推定進行時間を決定することと、
前記推定進行時間に基づいて前記第2の速度ゾーンの間の乗員快適性設定を延長するための熱負荷バッファデータを生成することと、
熱負荷バッファデータを環境制御データに変換することと、
前記熱負荷バッファデータをもたらすための前記環境制御データを伝送することと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第2の速度ゾーンについての前記熱負荷バッファデータに基づいて低出力環境制御データを生成することと、
前記第2の速度ゾーン内での前記乗員快適性設定をさらに延長するために前記低出力環境制御データを伝送することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第2の速度ゾーンまでの前記推定時間を決定することがさらに、
現ハイブリッドビークル場所データから前記第2の速度ゾーンに到達するための距離を決定することと、
現燃料レベルデータおよびビークル燃料効率データに基づいて、前記ハイブリッドビークルについての現航続距離データを決定することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
現航続距離データに基づいて、前記ハイブリッドビークルが燃料補給せずに前記第2の速度ゾーンに到達できるか否かを判別することと、
前記ビークルが燃料補給せずに前記第2の速度ゾーンに到達できないとの判別に応答して、燃料補給用経由地点に基づいて後続の第2の速度ゾーンに到達するための前記推定時間を決定することと、
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記現ハイブリッドビークル場所から前記第2の速度ゾーンに到達するための前記距離が、
交通渋滞データ、
地図制限速度データ、
目的地データ、
進行履歴データ、
燃料補給用経由地点データ、および
クラウドソースデータ、
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記ビークル軌跡計画データが、
現場所データ、
地図レイヤデータ、および
目的地データ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記高出力動作モードが、前記ハイブリッドビークルの可燃性燃料エンジンを有効化することを含み、
前記低出力動作モードが、前記ハイブリッドビークルの電気式エンジンを有効化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ハイブリッドビークル用ビークル制御ユニットにおける方法であって、
前記ハイブリッドビークルが高出力動作モードにあるか否かを判別することと、
高出力動作モードにあるときに、
ビークル軌跡計画データに基づいて低出力動作モードまでの推定進行時間を決定することと、
前記推定時間に基づいて前記低出力動作モードの間の乗員快適性設定を延長するための熱負荷バッファデータを生成することと、
熱負荷バッファデータを環境制御データに変換することと、
前記熱負荷バッファデータをもたらすための前記環境制御データを伝送することと、
を含む方法。
【請求項9】
前記第2の低出力動作モードについての前記熱負荷バッファデータに基づいて低出力環境制御データを生成することと、
前記第2の低出力動作モード内での乗員快適性設定をさらに延長するため前記低出力環境制御データを伝送することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記低出力動作モードまでの前記推定時間を決定することがさらに、
現ハイブリッドビークル場所データから、前記低出力動作モードに到達するための前記ビークル軌跡計画データからの距離を決定することと、
現燃料レベルデータおよびビークル燃料効率データに基づいて、前記ハイブリッドビークルについての現航続距離データを決定することと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
現航続距離データに基づいて、前記ハイブリッドビークルが燃料補給せずに前記低出力動作モードに到達できるか否かを判別することと、
前記ビークルが燃料補給せずに前記低出力動作モードに到達できないとの判別に応答して、燃料補給用経由地点に基づいて後続の低出力動作モードに到達するための前記推定時間を決定することと、
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記現ハイブリッドビークル場所から前記低出力動作モードに到達するための前記距離が、
交通渋滞データ、
地図制限速度データ、
目的地データ、
進行履歴データ、
燃料補給用経由地点データ、および
クラウドソースデータ、
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ビークル軌跡計画データが、
現場所データ、
地図レイヤデータ、および
目的地データ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記高出力動作モードが、前記ハイブリッドビークルの可燃性燃料エンジンを有効化することを含み、
前記低出力動作モードが、前記ハイブリッドビークルの電気式エンジンを有効化することを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項15】
ハイブリッドビークル用のビークル制御ユニットにおいて、
ネットワークとの通信をサービス提供するための通信インタフェースと、
前記通信インタフェースに対して通信可能な形で結合されたプロセッサと、
前記プロセッサに対し通信可能な形で結合されたメモリであって、
環境遷移モジュールであって、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
ネットワークを介して、少なくとも第1の速度ゾーンおよび第2の速度ゾーンを有するビークル軌跡計画データを受信することであって、前記第1の速度ゾーンが高出力動作モード用であり前記第2の速度ゾーンが低出力動作モード用である、ビークル軌跡計画データを受信することと、
前記ネットワークを介して読み出されたビークルセンサデータが前記第1の速度ゾーンを標示しているか否かを判別することと、
前記ビークルセンサデータが前記第1の速度ゾーンを標示しているときに、前記ビークル軌跡計画データに基づいて前記第2の速度ゾーンまでの推定時間を決定することと、
を実行させる命令を含む、環境遷移モジュールと、
乗員快適性モジュールであって、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
前記第2の速度ゾーンまでの推定進行時間に基づいて前記第2の速度ゾーンの間の乗員快適性設定を延長するための熱負荷バッファデータを生成することと、
熱負荷バッファデータを環境制御データに変換することと、
前記熱負荷バッファデータをもたらすための前記環境制御データを伝送することと、
を実行させる命令を含む、乗員快適性モジュールと、
を記憶するメモリと、
を含む、ビークル制御ユニット。
【請求項16】
前記乗員快適性モジュールは、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
前記第2の速度ゾーンについての前記熱負荷バッファデータに基づいて低出力環境制御データを生成することと、
前記第2の速度ゾーン内での前記乗員快適性設定をさらに延長するために前記低出力環境制御データを伝送することと、
を実行させる命令をさらに含む、請求項15に記載のビークル制御ユニット。
【請求項17】
前記乗員快適性モジュールは、前記プロセッサにより実行されると、
現ハイブリッドビークル場所データから前記第2の速度ゾーンに到達するための距離を決定することと、
現燃料レベルデータおよびビークル燃料効率データに基づいて、前記ハイブリッドビークルについての現航続距離データを決定することと、
によって、前記プロセッサに、前記第2の速度ゾーンまでの前記推定時間を決定する、ことを実行させる、命令をさらに含む、請求項15に記載のビークル制御ユニット。
【請求項18】
前記環境遷移モジュールは、前記プロセッサにより実行されると、前記プロセッサに、
現航続距離データに基づいて、前記ハイブリッドビークルが燃料補給せずに前記第2の速度ゾーンに到達できるか否かを判別することと、
前記ビークルが燃料補給せずに前記第2の速度ゾーンに到達できないとの判別に応答して、燃料補給用経由地点に基づいて後続の第2の速度ゾーンに到達するための前記推定時間を決定することと、
を実行させる命令をさらに含む、請求項15に記載のビークル制御ユニット。
【請求項19】
前記現ハイブリッドビークル場所から前記第2の速度ゾーンに到達するための前記距離が、
交通渋滞データ、
地図制限速度データ、
目的地データ、
進行履歴データ、
燃料補給用経由地点データ、および
クラウドソースデータ、
のうちの少なくとも1つに基づいている、請求項17に記載のビークル制御ユニット。
【請求項20】
前記ビークル軌跡計画データが、
現場所データ、
地図レイヤデータ、および
目的地データ、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載のビークル制御ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本開示中に記載の主題は、概して、ハイブリッドビークル(車両、乗り物、輸送体)用の環境的キャビン快適性デバイスに関し、より詳細には、低出力動作モードの間のシステムの電気負荷を軽減するためのハイブリッドビークル空調制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
現在のビークルは、ドライバにより選択される恒常な熱設定を有する。しかし、ハイブリッドビークルまたは電気ハイブリッドビークルの場合、恒常な熱設定は、本来であればビークルの有効航続距離を延長するためにハイブリッドビークルのパワートレインの動力供給に適用可能である蓄積されたバッテリ電源を流用および/または転用する。ビークルの有効な進行航続距離も延長しながら、ビークルのユーザに対し人間工学的快適性を提供するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0003】
概要
ハイブリッドビークルについての環境負荷を軽減するためのデバイスおよび方法が開示されている。
【0004】
1つの実装においては、ハイブリッドビークル用のビークル制御ユニットにおける方法が開示されている。該方法は、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにあるか否かを判別するステップを含む。ハイブリッドビークルが高出力動作モードにある場合、ビークル軌跡計画データに基づいて低出力動作モードまでの推定進行時間が決定される。低出力動作モードの間の乗員快適性設定を延長するために、推定時間に基づいて、熱負荷バッファデータが生成され、熱負荷バッファデータは環境制御データに変換され、熱負荷バッファデータをもたらすために環境制御データが伝送される。
【0005】
別の実装においては、ハイブリッドビークル用のビークル制御ユニットが記載されている。ビークル制御ユニットは、通信インタフェース、プロセッサおよびメモリを含む。通信インタフェースはネットワークとの通信にサービス提供するように動作可能である。プロセッサは、通信インタフェースに対し通信可能な形で結合されており、メモリはプロセッサに結合され、プロセッサにより実行されると、プロセッサに、少なくとも第1の速度ゾーンと第2の速度ゾーンを有するビークル軌跡計画データを受信することと、ネットワークを介して読み出されたビークルセンサデータが第1の速度ゾーンを標示しているか否かを判別することと、を実行させる命令を含む、環境遷移モジュールを記憶する。ビークルセンサデータが第1の速度ゾーンを標示している場合、プロセッサは、ビークル軌跡計画データに基づいて第2の速度ゾーンまでの推定時間を決定することを実行させられる。乗員快適性モジュールは、プロセッサにより実行されると、プロセッサに、第2の速度ゾーンまでの推定進行時間に基づいて第2の速度ゾーンの間の乗員快適性設定を延長するための熱負荷バッファデータを生成することと、熱負荷バッファデータを環境制御データに変換することと、熱負荷バッファデータをもたらすための環境制御データを伝送することと、を実行させる命令を含む。
【0006】
本開示は、添付図面を参照し、これらの図面中、同じ数字は複数の図全体を通して同様の部分を意味している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ビークル制御ユニットを伴うハイブリッドビークルのブロック図を例示する。
【0008】
図2図1のビークル制御ユニットのブロック図を例示する。
【0009】
図3】低出力動作モードでの乗員快適性設定を延長するべく熱負荷バッファデータに基づいて環境制御データを生成するためのビークル制御ユニットの機能ブロック図を例示する。
【0010】
図4】低出力動作モードでのハイブリッドビークルについての環境制御負荷を軽減するための例示的プロセスである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示中ではビークルの有効な進行(走行)航続距離も延長する一方で、ビークルユーザに対して人間工学的快適性を提供するためのデバイスおよび方法が記載されている。
【0012】
概して、ハイブリッドビークルは、エンジン部分と電気モータ部分とを含み得る。エンジン部分は、可燃性燃料、例えばディーゼル、ガソリン、バイオディーゼル、エタノール、液体プロパンなど、およびそれらの燃料組み合わせにより動力供給され得る。
【0013】
例示的ハイブリッドビークルは、組み合わされた状態で少なくとも121馬力を生成し得る、電気モータまたはモータジェネレータと対になった1.8リットルの4気筒ガソリンエンジンを含むことができる。例示的ハイブリッドビークルは同様に、オートマチックトランスミッションのように機能し得る無段変速機(CVT)を含むこともできる。
【0014】
他のビークルを追い越すかまたは高速道路において更に高速で合流するとき、エンジンコンポーネントは、高出力動作モード用の充分な出力を確保する。典型的にはより高速のケースである、ハイブリッドビークルのエンジンコンポーネントが運転状態にある場合、燃焼副産物として熱が発生し、したがって、ビークルの環境制御機構を介した乗員快適性設定により、ビークルキャビンを暖房するのに直ちに利用可能なリソースを提供する。
【0015】
低出力動作モードでは、ビークルのアクセルペダルが踏み込まれたときに、電気モータは、動力を送出するように動作し、これによりビークルが交通渋滞から速やかに離れて市内交通を回避することができるようにしている。しかしながら、低出力動作モードにある間にキャビンの暖房を行うために暖房用のエネルギは概して、ビークルのバッテリ由来の電気(蓄積)エネルギを例えば抵抗加熱器素子などを介して熱エネルギへ変換にすることに依存する。
【0016】
ビークルバッテリの蓄積された電気エネルギを最大化しながら乗員快適性設定を延長するために、本開示中に記載のデバイスおよび方法は、ユーザの目的地までより低速で市街路をナビゲートすることなど、低出力動作モードまでの推定進行時間を考慮してビークルエンジンから入手可能な動力出力および/または熱副産物を利用するための熱負荷バッファを提供する。
【0017】
所望温度以上のキャビン温度を達成するために高速道路または比較的高速の道路にある間キャビンにより多くの熱を放出することによって、次に、ハイブリッドビークルの電気ベースのコンポーネントが比較的低速の車道(例えば市街路)上で動作している場合には、このようなエネルギをキャビンの暖房に向けるのではなくて、有限のバッテリ充電状態を目的地目標に向けることができる。
【0018】
同様にして、ビークルキャビンの冷房に関して、ビークルエンジンは、コンプレッサシステムに基づくビークル用のキャビン冷房システムを駆動するのに充分な動力を有することができる。低出力動作モードでの冷房に関して、ハイブリッドビークルは、より高い電圧入力ではあるものの家庭用冷凍ユニットと類似の全電化空調システムを含むことができる。動作中、冷媒は、チラーユニットを通って動力式発電機により圧送され得る。一次チラーユニットから熱エネルギをさらに放散させるため、専用冷媒回路により、凍結防止混合物を、二次チラーユニットを通して循環させて、一次チラーユニットの効率を改善することができる。
【0019】
したがって、本開示に記載のデバイスおよび方法は、乗員快適性設定およびビークル環境の周囲温度に基づくものであり得るビークルキャビン向けの熱負荷バッファを伴うハイブリッドビークルを提供する。熱負荷バッファは、低出力動作モードでのビークルのバッテリ充電状態に加えられる電気負荷を最小限に抑えるため、従来のビークルHVACシステムによる冷却を用いたまたはエンジンの熱副産物を介した高出力動作モード中のビークルキャビン環境の緩衝を利用することができる。
【0020】
認識できるように、ハイブリッドビークルは、より高い速度が第1の速度ゾーン内で求められた場合(例えばより高い速度およびより大きいビークル上の合力、例えば抗力、道路摩擦、風抵抗など)に、高出力動作モードに従事してよい。一方、ハイブリッドビークルは、より低い速度が求められる場合(例えばより低い速度およびより小さいビークル上の合力で)、低出力動作モードに従事してよい。
【0021】
本開示中に記載のデバイスおよび方法は、高出力動作モードにあるエンジンのより大きい出力を利用し、低出力動作モードへの遷移中の熱負荷バッファを提供することによって乗員快適性を改善することができ、ここで熱負荷バッファは、ビークルのバッテリにより動力が供給される、さほど強力でない低出力動作モードにある場合に、熱および/または冷却を含めた乗員快適性設定を延長するように動作することができる。
【0022】
図1は、ビークル制御ユニット110を伴うハイブリッドビークル100のブロック図を例示する。ハイブリッドビークル100は、ハイブリッドビークル、石油系燃料ハイブリッドビークル、燃料電池ビークル、燃料コンバータ電気ビークル、または他の類似のビークルであり得る。
【0023】
ビークル100は、トランスミッション110(例えば無段変速機)、駆動車輪111、動力分岐デバイス115、モータジェネレータ(MG)120および125、エンジン130、インバータ135およびバッテリ140(1又は複数)を含むことができる。エンジン130およびモータジェネレータ120および125は、トランスミッション108を介して駆動車軸111に機械的に連結されている。ビークル制御ユニット110は、高出力動作モード中などのようにバッテリ140の充電を管理するためそして低出力動作モード中などのようにバッテリ140を放電してトランスミッション108を介して駆動車軸111に対し回転力を付与するために動作し得る、バッテリ管理ユニット(BMU)145などの、ビークルの他の制御ユニットと、電力/データバス128を介して通信可能な形で結合され得る。
【0024】
一実施例において、モータジェネレータ120は、バッテリ140を再充電するように動作し、ハイブリッドビークル100のそれぞれの動作モードに基づいてモータジェネレータ125を駆動するために電力を供給することができる。ここで認識し得るように、エンジン130に給電するために燃料電池を使用することができる。さらに、ハイブリッドビークルに関連して、「燃料コンバータ」なる用語は、燃料を受入れこの燃料をエネルギまたは動力に変換するデバイスを意味し得る。燃料コンバータの例としては、内燃エンジンおよび燃料電池が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0025】
生成された電力量を調節することにより、モータジェネレータ120は、トランスミッション108を制御するように動作することができ、車軸111を駆動するためにモータジェネレータ125を使用することができる。モータジェネレータ120および125およびエンジン130は、ハイブリッドビークル100の車軸111を駆動するために個別にまたは同時に使用可能である。電気モータは同様に、ハイブリッドビークル100の動作中にエンジン130を補完するように動作でき、かつ/またはバッテリを再充電するための発電機としても役立ち得る。
【0026】
動力分岐デバイス115は、エンジン(例えば高出力動作モードにある)からモータジェネレータ120および/または125(例えば低出力動作モードにある)へと、そしてその逆に動作を切換えるように動作可能であり得る。インバータ135は、モータジェネレータ120および125とバッテリ140の間でACおよびDC電流を変換するために使用され得る。
【0027】
ビークル制御ユニット110は、ビークルキャビン用の熱負荷バッファをもたらすために環境制御データ114に交換され得る熱負荷バッファデータを提供するように動作し得る。ここで認識できるように、熱負荷バッファデータは、高速道路および/またはより高速のゾーンの場合のような高出力動作モードにある第1の速度ゾーンから、ハイブリッドビークルが低出力動作モードへと遷移し得る市街、都市および/または他のより低速のゾーンの場合などの第2の速度ゾーンまでの、推定進行時間に基づくものであり得る。
【0028】
アンテナ112は、ビークル制御ユニット110と通信可能に結合され、全地球測位システム衛星によって伝送される電磁信号と対話する1つ以上(1または複数)の導電性素子を含み得る。受信信号は、ビークルの場所を表わす(例えばGPSシステムを介して入手可能な緯度および経度位置)、およびハイブリッドビークル100の位置決めを表わすデータ信号へと変換され得る。
【0029】
アンテナ112は、クラウドコンピューティングまたは第3者サービスへのアクセスのため、ネットワーククラウド118、例えばインタネット、ローカルエリアネットワークおよび/または広域ネットワークなどと無線通信を形成し得る。サーバ133は、無線通信132およびネットワーククラウド118を介して第3者サービスを提供するように動作可能であってよい。
【0030】
第1の実施例において、ビークル制御ユニット110は、図2〜4を参照して詳述される通り、軌跡計画に関連して、無線通信126を介して、地図レイヤデータ要求160を生成し伝送し、応答として地図レイヤデータ162を受信することができる。
【0031】
概してビークルキャビンの乗員快適性に関連する固定パラメータには、ビークルシェルのR値(すなわち外側から内側への熱伝達性に関するビークルシェルの断熱効果)、および同じくビークルの断熱を提供するためのビークルの窓上の断熱フィルムの効果、が含まれ得る。ハイブリッドビークルのHVACシステムの暖房および/または冷房出力などの別の固定パラメータを考慮することもできる。したがって、このような固定パラメータに基づいて、そしてさらにハイブリッドビークルが低出力動作モードに従事される第2の速度ゾーンまでの推定進行時間ならびに周囲温度の効果などの可変パラメータとの関係において、熱負荷バッファを生成することができる。ここで認識し得るように、周囲温度効果は、ビークルシェルのR値によって軽減することができる。R値が充分高い場合、周囲温度は熱負荷バッファデータを決定する上で無視できるものとみなすことができる。
【0032】
図2は、図1のビークル制御ユニット110のブロック図を例示する。ビークル制御ユニット110は、バス208を介して通信可能な形で結合されている通信インタフェース202、プロセッサ204およびメモリ206を含み得る。ビークル制御ユニット110は、図1〜4を参照して詳述されているデバイスおよび方法のための例示的プラットフォームを提供し得る。
【0033】
プロセッサ204は、情報を操作または処理することのできる従来の中央処理ユニットまたは任意の他のタイプのデバイスまたは多数のデバイスであり得る。ここで認識し得るように、プロセッサ204は、単一の処理デバイスまたは複数の処理デバイスであり得る。このような処理デバイスは、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ、マイクロコンピュータ、中央処理ユニット、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理デバイス、状態機械、論理回路、アナログ回路、デジタル回路および/または回路および/または動作命令のハードコーディングに基づいて信号(アナログおよび/またはデジタル)を操作する任意のデバイスであってよい。
【0034】
メモリ(および/またはメモリ素子)206は、プロセッサ204に対して通信可能な形で結合され得、本開示中に記載の1つ以上のモジュールを記憶するように動作し得る。モジュールは、実行されるとプロセッサ204に本開示中に記載のさまざまなプロセスおよび/または動作の1つ以上を実装させる命令を含むことができる。
【0035】
メモリおよび/またはメモリ素子206は、単一のメモリデバイス、複数のメモリデバイスおよび/またはプロセッサ204の埋込み型回路であり得る。このようなメモリデバイスは、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、スタティックメモリ、ダイナミックメモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、および/またはデジタル情報を記憶する任意のデバイスであり得る。さらに、本開示中に記載の配設は、例えば記憶することなどによって具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを有する1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体の形で具体化されるコンピュータプログラムプロダクトの形態をとることができる。1つ以上のコンピュータ可読媒体の任意の組み合わせを使用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体であってよい。
【0036】
「コンピュータ可読記憶媒体」なる言い回しは、非一時的記憶媒体を意味する。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、非限定的に、電子、磁気、光学、電磁、赤外線または半導体システム、装置またはデバイスまたはそれらの任意の好適な組み合わせであり得る。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非網羅的リスト)には、以下のものが含まれると考えられる、ポータブルコンピュータディスケット、ハードディスクドライブ(HDD)、半導体ドライブ(SSD)、読取り専用メモリ(ROM)、消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、ポータブルコンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、光学式記憶デバイス、磁気記憶デバイス、またはこれらの任意の好適な組み合わせ。本開示に関して、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによって使用されるためのまたはこれらに関連して使用されるためのプログラムを格納または記憶できる任意の有形媒体であり得る。コンピュータ可読媒体上に具体化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RFなどまたはそれらの任意の好適な組み合わせを非限定的に含む任意の適切な媒体を用いて伝送され得る。
【0037】
メモリ206は、機械可読命令、または機械可読命令をプロセッサ204がアクセスおよび/または実行できるような命令を記憶することができる。機械可読命令は、プログラミング言語およびその世代(例えば1GL、2GL、3GL、4GLまたは5GL)、例えばプロセッサ204により直接実行され得る機械語、または機械可読命令へとコンパイルまたはアセンブルされメモリ206内に記憶され得るアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP)例えばJAVA(登録商標)、Smalltalk、C++など、従来の手続き型プログラミング言語、スクリプト言語、マイクロコードなどで書かれた論理またはアルゴリズム(1又は複数)を含むことができる。代替的には、機械可読命令は、ハードウェア記述言語(HDL)、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)構成または特定用途向け集積回路(ASIC)またはその等価物のいずれかを介して実装された論理などで書かれていてもよい。したがって、本開示中に記載の方法およびデバイスは、前もってプログラムされたハードウェア素子として、またはハードウェアおよびソフトウェアコンポーネントの組み合わせとして、任意の従来のコンピュータプログラミング言語で実装され得る。
【0038】
プロセッサ204が2つ以上の処理デバイスを含む場合、処理デバイスは中央に位置設定され(例えば有線および/または無線バス構造を介して共に直接結合され)得るか、または、分散して位置設定され得る(例えばローカルエリアネットワークおよび/または広域ネットワークを介した間接的結合によるクラウドコンピューティング)という点に留意されたい。さらに、プロセッサ204が状態機械、アナログ回路、デジタル回路および/または論理回路を介してその機能の1つ以上を実装する場合、対応する動作命令を記憶するメモリおよび/またはメモリ素子は、状態機械、アナログ回路、デジタル回路および/または論理回路を含めた回路の内部に埋込まれるかまたはこれらの回路の外部にあってもよい点に留意されたい。
【0039】
さらにまた、メモリ206が、図1〜4に例示されたステップおよび/または機能の少なくともいくつかに対応するモジュールのハードコーディングされたおよび/または動作命令を記憶し、プロセッサ204がこれを実行するという点に留意されたい。
【0040】
ビークル制御ユニット110は、1つ以上のモジュールを含むことができ、その少なくともいくつかが本開示中で説明されている。モジュールは、1つ以上の機能を果たすハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、および/またはコンピュータ可読プログラムコードの形で実装可能な機能ブロックとみなされてよい。
【0041】
モジュールは、プロセッサ204によって実行されると、本開示中に記載のさまざまなプロセスの1つ以上を実装する。モジュールの1つ以上は、プロセッサ(1又は複数)204のコンポーネントであり得、あるいは、モジュールの1つ以上は、プロセッサ(1又は複数)204が作動的に接続されている他の処理システムの上で実行されかつ/またはこれらのシステム間で分散され得る。モジュールは、1つ以上のプロセッサ(1又は複数)204により実行可能な命令(例えばプログラム論理)を含むことができる。
【0042】
通信インタフェース202は概して、ビークルネットワーク212を介して受信されたデータ、例えば電力/データバス128を介してビークルネットワーク212に提供される環境制御データ114ならびにビークルセンサデータ152を支配し管理する。通信インタフェース202は同様に、ネットワーククラウド118などの外部ネットワークに関してデータフローを管理するためにも動作し得る。データの例としては、アンテナ112を介して伝送される地図レイヤデータ要求160、および無線通信126を介した応答としての地図レイヤデータ受信162、が含まれる。任意の特定のハードウェア配設上で動作する本開示にはいかなる制約も存在せず、したがって、本開示中の基本的特徴は、それらの展開につれて改良型のハードウェアおよび/またはファームウェア向けに置換、削除、付加または他の形で修正されてよい。
【0043】
アンテナ112は、全地球測位システム(GPS)衛星により伝送される電磁信号と対話する1つ以上の導電性素子を含み得る。受信信号は、場所(例えば緯度および経度位置)を表わす、さらには道路データとの関係のおけるビークルの位置決めを表わすデータ信号へと変換され得る。
【0044】
ビークル制御ユニット110は、例えばビークル制御ユニット110のアンテナ112または他のビークルアンテナ(図示せず)を介して、全地球測位システム衛星からの信号を受信するように通信可能に結合され得る。アンテナ112は、無線通信126を通してビークル制御ユニット110との通信を提供するように動作する。
【0045】
動作中、ビークル制御ユニット110は、全地球測位衛星(GPS)データを介して、現ハイブリッドビークル場所のデータを検索するように動作可能であり得る。場所データに基づいて、ビークル制御ユニット110は、地図レイヤデータ要求160を生成し伝送することができる。それに応じて、ビークル制御ユニット110は、無線通信126を介して、地図レイヤデータ要求160に応答して、無線通信132上でサーバ133から地図レイヤデータ162を受信し得る。ビークル軌跡計画データに基づいて、ビークル制御ユニット110は、地図レイヤデータ162から、自由に流れる交通速度との関係における車道の全体的な目下の交通速度、およびビークルが高出力動作モードにあり得る第1の速度ゾーンをビークルセンサデータ152が標示しているか否かを判別することができる。
【0046】
ここで認識し得るように、サーバ233は、車道情報データ、交通層データ、地理位置情報層データなどを含む地図アプリケーションレイヤデータおよびマッピングアプリケーションなどのアプリケーションを提供する組織が動作させ得る。地図レイヤデータ162は、道路網記述ファイル(RNDF)フォーマットで提供され得る。道路網記述ファイルは、例えばアクセス可能な道路セグメントを特定し、経由地点、一時停止標識の場所、レーン線幅、チェックポイントの場所、速度ゾーン(例えば第1および第2の速度ゾーン)、およびパーキングスポットの場所などの情報を提供する。
【0047】
サーバ233などのサーバは同様に、自律的および/または半自律的ハイブリッドビークル動作のためのミッション記述ファイル(MDF)としてデータを提供することもできる。ミッション記述ファイル(MDF)は、例えばビークルの軌跡に沿って、1つのミッション内で到達すべきチェックポイントを特定するように動作することができる。本開示中で論述されたデバイスが、ネットワーククラウド118を用いて一定数のサーバに通信可能に結合され得るということを理解すべきである。
【0048】
動作中、地図レイヤデータ162および現ハイブリッドビークル場所を有するため、ビークル制御ユニット110は、少なくとも第1の速度ゾーンおよび第2の速度ゾーンを有するビークル軌跡計画データを受信することができ、ここで第1の速度ゾーンは高出力動作モード用であり、第2の速度ゾーンは低出力動作モード用である。ビークル制御ユニット110は、ハイブリッドビークルの目下の状態が第1の速度ゾーンに関するものであるか否かをビークルセンサデータ152が標示しているか否かを判別することができる。
【0049】
ハイブリッドビークルは、同様に、ビークル軌跡計画の全般的概要、およびハイブリッドビークルについての低出力動作モードをプロンプトする第2の制限速度を含む部分を有することができる。例えば、ビークル制御ユニット110は、交通渋滞データ、地図制限速度データ、目的地データ(および付随する第2の速度ゾーンまでの減速)、進行履歴データ(例えばラッシュアワー交通パターン、スポーツイベント交通渋滞など)、燃料補給経由地点データ(例えばガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルなどを燃料補給するためのサービスステーション)、およびクラウドソースデータ(例えば、進行前方の交通減速を標示する交通インシデントの標示など)のうちの少なくとも1つに基づいて、現ハイブリッドビークル場所から第2の速度ゾーンに到達するための距離を決定することができる。
【0050】
ハイブリッドビークルは、ビークルの周囲環境を分析するため、センサアレイ、レーザ、レーダ、カメラおよび全地球測位衛星(GPS)技術を利用することができる。位置データおよびビークル軌跡計画を用いて、ビークル制御ユニット110は、第2の速度ゾーンまでの推定進行時間を決定することができる。
【0051】
ビークルセンサデータ152が第1の速度ゾーンを標示する場合、ビークル制御ユニット110は、ビークル速度(毎秒のマイル数またはキロメートル数単位)に基づいて推定進行時間、そしてビークル軌跡計画データに基づいて第2の速度ゾーンまでの距離(例えばマイルまたはキロメートル単位)を決定することができる。認識し得るように、推定進行時間には、第1の速度ゾーンから第2の速度ゾーンまでの減速間隔も考慮に入れることができる。
【0052】
推定進行時間に基づいて、ビークル制御ユニット110は、第2の速度ゾーンの間の乗員快適性設定を延長するため、熱負荷バッファデータを生成することができる。すなわち、認識し得るように、ビークルの熱負荷バッファは、ハイブリッドビークルのキャビンの暖房および冷房のいずれかに関して、ビークルユーザによる空調制御温度設定を上回ることができ、または、第2の速度ゾーンの間の空調制御モータおよび/もしくはデバイスによる電力負荷または消費を削除および/もしくは削減することができる。この点において、第2の速度ゾーンの距離の少なくとも一部分の間またはこの距離の全範囲にわたり、低出力動作モードでは、他の形でハイブリッドビークル空調制御設定を維持するべく空調制御デバイス(例えばファン、ブロワ、ヒータ、HVACコンプレッサなど)に有限バッテリ充電リソースを振り向ける代りに、ビークル軌跡計画目標(例えば事務所目的地、自宅目的地、レストラン目的地、エンタテイメント会場目的地など)を達成するために、ビークルのパワートレインに有限バッテリ充電リソースを向けることができる。
【0053】
ビークル制御ユニット110は、図3および4を参照して詳述されるように、熱負荷バッファデータをもたらすために電力/データバス128を介してビークルネットワーク212に伝送され得る環境制御データ114へと熱負荷バッファデータを変換することができる。
【0054】
図3は、低出力動作モードにおける乗員快適性設定を延長するため熱負荷バッファデータに基づいて環境制御データ312を生成するためのビークル制御ユニット110の機能ブロック図を例示する。ビークル制御ユニット110は、環境遷移モジュール304、乗員快適性モジュール308および伝送モジュール314を含み、ここでモジュール304、308および314は、ビークル制御ユニット110のメモリ206(図2)内に記憶され得る。各モジュールは、プロセッサ204(図2)により実行されるとプロセッサ204に本開示中に詳述されているような一定の機能および/または目標に取り組ませる命令を含むことができる。
【0055】
環境遷移モジュール304は、プロセッサ204により実行されるとプロセッサ204に、少なくとも第1の速度ゾーンと第2の速度ゾーンを有し得るビークル軌跡計画データ305を受信させる命令を含む。ここで認識され得るように、第1の速度ゾーンはハイブリッドビークルの高出力動作モード用であり、第2の速度ゾーンはハイブリッドビークルの低出力動作モード用である。
【0056】
ビークル軌跡計画データ305は、原点データおよび目的地データを含み得る。原点データは、ビークルのビークル速度センサデータ、加速度計センサデータ、物体検出センサデータ(例えば現ハイブリッドビークル場所データを識別するための局所的ランドマークの画像認識など)を含み得る、ビークルセンサデータ162に基づきかつ/またはGPS場所データを介してアクセス可能である現ハイブリッドビークル場所データを含むことができる。目的地データは、例えばハイブリッドビークルのナビゲーションインタフェースおよび/または手持ち式の移動体デバイス(例えばスマートホン、タブレット、ファブレットなど)を介して、ビークルユーザにより入力され得る。
【0057】
ビークル制御ユニット110は、全地球測位衛星(GPS)データを介して、現ハイブリッドビークル場所のデータを検索するように動作可能であり得る。場所データに基づいて、環境遷移モジュール304は、地図レイヤデータ要求160を生成し伝送することができる。それに応じて、環境遷移モジュール304は、地図レイヤデータ要求160に応答して、地図レイヤデータ162を受信し得る。ハイブリッドビークルに関係する原点および目的地データ基づいて、環境遷移モジュール304は、地図レイヤデータ162から、自由に流れる交通速度との関係における車道の全体的な目下の交通速度、およびビークルが高出力動作モードにあり得る第1の速度ゾーンをビークルセンサデータ152が標示しているか否かを判別することができる。
【0058】
ここで認識し得るように、地図レイヤデータ162は、道路網記述ファイル(RNDF)フォーマットで提供され得る。道路網記述ファイルは、例えばアクセス可能な道路セグメントを特定し、経由地点、一時停止標識の場所、レーン幅、チェックポイントの場所、速度ゾーン(例えば第1および第2の速度ゾーン)、およびパーキングスポットの場所などの情報を提供する。
【0059】
動作中、地図レイヤデータ162および現ハイブリッドビークル場所を有するため、ビークル制御ユニット110は、少なくとも第1の速度ゾーンおよび第2の速度ゾーンを含み得るビークル軌跡計画データ305を受信および/または決定することができる。第1の速度ゾーンは高出力動作モード(例えばハイブリッドビークルの石油系燃料エンジンを有効化することによって提供され得る)であり、第2の速度ゾーンは低出力動作モード(例えばハイブリッドビークルの電気式エンジンを有効化することによって提供され得る)用である。
【0060】
ハイブリッドビークルは、同様に、ビークル軌跡計画の全般的概要、およびハイブリッドビークルについての低出力動作モードをプロンプトする第2の制限速度を含む部分を有することができる。例えば、ビークル制御ユニット110は、交通渋滞データ、地図制限速度データ、目的地データ(および付随する第2の速度ゾーンまでの減速)、進行履歴データ(例えばラッシュアワー交通パターン、スポーツイベント交通渋滞など)、燃料補給経由地点データ(例えばガソリン、ディーゼル、バイオディーゼルなどを燃料補給するためのサービスステーション)、およびクラウドソースデータ(例えば、進行前方の交通減速を標示する交通インシデントの標示など)のうちの少なくとも1つに基づいて、現ハイブリッドビークル場所から第2の速度ゾーンに到達するための距離を決定することができる。
【0061】
ハイブリッドビークルは、ビークルの周囲環境を分析するため、センサアレイ、レーザ、レーダ、カメラおよび全地球測位衛星(GPS)技術を利用することができる。位置データおよびビークル軌跡計画を用いて、ビークル制御ユニット110は、第2の速度ゾーンまでの推定進行時間を決定することができる。
【0062】
環境遷移モジュール304は、プロセッサ204(図2)によって実行されるとハイブリッドビークルの目下の状態が第1の速度ゾーンに関係するか否かをビークルセンサデータ152が標示しているか否かを判別するために動作し得る命令を含む。
【0063】
ビークルセンサデータ152が第1の速度ゾーンを標示する場合、ビークル制御ユニット110は、ビークル速度(毎秒のマイル数またはキロメートル数単位)に基づいて推定進行時間、そしてビークル軌跡計画データに基づいて第2の速度ゾーンまでの距離(例えばマイルまたはキロメートル単位)を決定することができる。認識し得るように、推定進行時間には、第1の速度ゾーンから第2の速度ゾーンまでの減速間隔も考慮に入れることができる。
【0064】
指摘されたように、第2の速度ゾーンは、交通渋滞データ、地図制限速度データ、目的地データ、進行履歴データ(例えば勤務場所または他の場所への反復的通勤)、燃料補給経由地点データ(ハイブリッドビークルが可燃性燃料の燃料補給を必要とし得る場合のため)、クラウドソースデータなどに基づくものであり得る。
【0065】
燃料補給事象については、環境遷移モジュール304は、プロセッサ204により実行されると、現航続距離データに基づいてハイブリッドビークルが燃料補給せずに第2の速度ゾーンに到達できるか否かをプロセッサに判別させるさらなる命令を含むことができる。ビークルが燃料補給せずに第2の速度ゾーンに到達できないことの決定に応答して、環境遷移モジュール304は、燃料補給経由地点に基づいて後続する第2の速度ゾーンに到達するための推定進行時間を決定するように動作することができる。
【0066】
乗員快適性モジュール308は、プロセッサにより実行されるとプロセッサに第2の速度ゾーンの間に乗員快適性設定310を延長するべく熱負荷バッファデータを生成させる命令を含むことができる。ここで認識され得るように、熱負荷バッファは、第2の速度ゾーンまでの推定進行時間306に基づくものであり得る。
【0067】
すなわち、第2の速度ゾーンおよび低出力動作モードまでの推定進行時間306が長くなればなるほど、高出力動作モード中の熱負荷バッファの適用はより段階的になる。目的地までの予想進行遅延または第2の速度ゾーン事象に関するもの、すなわち交通の流れがスムーズかつ確実である、掲示された制限速度を維持するまたは超過する、交通渋滞が最小限である、などがその一例であり得る。
【0068】
一方、第2の速度ゾーンまでの推定進行時間306が短くなればなるほど、高出力動作モード中に熱負荷バッファの比較的突然な適用が発生し得る。目的地までの予想外の進行遅延または第2の速度ゾーン事象に関するもの、すなわち、交通の流れが不安定になる、交通渋滞が増大する(例えばラッシュアワー、交通事故など)、交通の流れが掲示された制限速度より遅くなるなど、地図レイヤデータ162により搬送されるクラウドソーシングデータを介して標示され得るもの、などがその一例であり得る。
【0069】
予想されたおよび/または予想外の進行遅延または第2の速度ゾーン事象のいずれの状況においても、ハイブリッドビークルのキャビンに適用され得る熱負荷バッファの規模(冷却または暖房のいずれか)は、乗員快適性に対応する。換言すると、実質的に乗員快適性設定を逸脱するハイブリッドビークルのキャビンの過度の暖房または冷房は、ビークルユーザに乗員快適性設定310をさらに調整するようプロンプトし得る。したがって、熱負荷バッファの段階的適用は、温度範囲がより大きい可能性があるにも関わらずハイブリッドビークルユーザが概して気付くことができないものであり得、対照的に、熱負荷バッファをさほど漸進的でなく適用した場合より明確に気付くことができ、こうして、ユーザが乗員快適性設定310(および熱負荷バッファのための根拠)を変更するのを回避するためには、温度範囲の規模をビークル同乗者にとってさほど識別できないものにすることができる。
【0070】
代替的には、熱負荷バッファデータの生成時点で、ビークル制御ユニット110は、第2の速度ゾーンに到達するまでさらなるハイブリッドビークルユーザの入力をロックアウトするように動作することができる。
【0071】
推定進行時間306に基づいて、乗員快適性モジュール308は、第2の速度ゾーン中に乗員快適性設定を延長するために熱負荷バッファデータを生成するように動作することができる。
【0072】
すなわち、ここで認識され得るように、熱負荷バッファは、ハイブリッドビークルのキャビンの暖房または冷房のいずれかに関して、第2の速度ゾーン中に空調制御モータおよび/またはデバイスによる電力負荷または消費を削除および/または削減する目的でビークルユーザにより設定された乗員快適性設定310を超えることができる。
【0073】
この点に関して、第2の速度ゾーンの進行距離の少なくとも一部分または全範囲にわたり、低出力動作モードは、環境設定への有限バッテリ充電リソースの転用を延期および/または回避し、その代りに、ビークル軌跡計画目標(例えば事務所目的地、自宅目的地、レストラン目的地、エンタテイメント会場目的地など)を達成するために、有限バッテリ充電リソースをビークルパワ―トレイン用に利用することができる。すなわち、有限バッテリ充電リソースを空調制御デバイス(例えばファン、ブロワ、ヒータ、HVACコンプレッサなど)に振り向ける代わりに、高出力動作モードにある間に生成された熱負荷バッファを活用しながら、有限バッテリ充電リソースはビークルパワートレインに割当てられる。
【0074】
さらに、機械学習が、乗員快適性モジュール308による熱負荷バッファデータの生成をさらに改善し得る。例えば、強化学習(RL)により、熱負荷バッファデータの生成のためのパラメータの初期化を可能にすることができる。強化学習の原理の下で、例えば低出力動作モード中にハイブリッドビークルに加えられる負荷を軽減することなどの目標の達成が試みられる。目標および/または最終目標がうまく達成されるにつれて(例えば、選択された百分率だけのハイブリッドビークルの環境制御負荷の軽減)、強化学習メカニズムは、変動する天候条件における目標の獲得成功に向けて初期パラメータを改良する。
【0075】
乗員快適性モジュール308はさらに、熱負荷バッファデータを環境制御データ312に変換するように動作し得る。環境制御データ312は、ビークルキャビン用として熱負荷バッファを低下または増大させるため、キャビン環境システムおよび/またはデバイスの機能を制御することができる。
【0076】
伝送モジュール314は、プロセッサ204により実行されると、プロセッサ204(図2)に、熱負荷バッファデータをもたらすための環境制御データ314を伝送させる命令を含む。伝送モジュール314は、伝送済み制御データ316としてビークルネットワーク212を介して伝送するために制御データ316をフォーマットするように動作し得る。
【0077】
図4は、低出力動作モードにおけるハイブリッドビークルのための環境制御負荷を軽減するための例示的プロセス400である。
【0078】
動作402において、プロセス400は、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにあるか否かを判別する。高出力動作モードにおいては、例えば第1の速度ゾーン内で、ハイブリッドビークルは、他のビークルを追越しているかまたはより速い速度で高速道路に合流している可能性がある。このような事例においては、ハイブリッドビークルのエンジンコンポーネントには、高出力動作モードのための充分な動力が投入される。典型的にはより高速における動作であるハイブリッドビークルのエンジンコンポーネントの動作時に、燃焼副産物として熱が発生し、ビークルの環境制御を介して乗員快適性設定にしたがってビークルキャビンを暖房するために直ちに利用可能なリソースを提供する。
【0079】
プロセス404において、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにある場合、低出力動作モードまでの推定進行時間が、ビークル軌跡計画データに基づいて動作406で決定される。ビークル軌跡計画データは、タッチスクリーン、手持ち式移動体デバイスなどのユーザインタフェースを介してビークルのオペレータにより入力され得る、ハイブリッドビークルについての現場所データ、ビークルの目的地データを含むことができる。目的地データは同様に、進行パターン挙動履歴、例えば勤務場所への通勤、お気に入りの週末の静養場所などに基づくものでもあり得る。
【0080】
動作408では、プロセス400は、低出力動作モード中の乗員快適性設定を延長するための推定時間に基づいて、熱負荷バッファデータを生成する。
【0081】
低出力動作モードでは、ビークルのアクセルペダルが押し下げられると、電気モータは、動力を送り出すように動作し、これによりビークルが交通渋滞から速やかに離れて市内交通を回避することができるようにしている。しかしながら、低出力動作モードにある間に暖房するためには、キャビンを暖房するためのエネルギは概して、ビークルバッテリからの電気(蓄積)エネルギの、例えば抵抗加熱器素子などを介した熱エネルギへの変換の一関数である。
【0082】
目的地に到達するという主たる目標から有限バッテリ充電リソースを転用することを回避するため、熱負荷バッファは、低出力動作モード中に環境システムの電気負荷を軽減するように動作する。この軽減は、ハイブリッドビークルが高出力動作モードにある間のビークルキャビンへの冷房または暖房負荷であり得る熱負荷バッファを生成することによって実現可能である。
【0083】
この点に関して、動作410において、熱負荷バッファデータを環境制御データに変換することが可能である。実際の環境制御データは、ビークル動作および/または同乗者の快適性制御設定をオーバーライドして、ハイブリッドビークルの低出力動作モードが起こる前にキャビン環境をプレロードする。
【0084】
動作412において、環境制御データは、熱負荷バッファデータをもたらすために伝送され得る。この点において、環境制御データは、低出力動作モード中の乗員快適性のためにビークルキャビンの暖房および/または冷房条件を増大させるための作用を受ける可能性がある。
【0085】
すなわち、ビークルバッテリの蓄積電気エネルギを最大限にしながら乗員快適性設定を延長するために、プロセス400は、例えばユーザの目的地までより低い速度で市街路をナビゲートすることなど、低出力動作モードまでの推定進行時間を考慮して、ビークルエンジンから利用可能な動力出力および/または熱副産物を利用するために熱負荷バッファを提供する。
【0086】
詳細な実施形態が、本開示中に記載されている。しかしながら、開示されている実施形態は単なる例として意図されていることを理解すべきである。したがって、本開示中に開示されている具体的な構造的および機能的詳細は、限定的なものとしてではなく、特許請求の範囲の根拠として、および本開示中の態様を事実上任意の適切に詳述された構造内でさまざまな形で利用するように当業者に教示するための代表的根拠として解釈されるべきである。さらに、本開示中で使用されている用語および言い回しは、限定的なものとしてではなく、考えられる実装の理解可能な説明を提供するために意図されている。
【0087】
図1〜4には、さまざまな実施形態が示されているが、実施形態は例示された構造または利用分野に限定されない。当業者であれば認識するように、本開示中で使用され得る「実質的に」または「おおよそ」なる用語は、その対応するアイテムおよび/またはアイテム間の相関性に対し、業界の許容誤差を提供している。このような業界内許容誤差は、1パーセント未満乃至20パーセントの範囲にわたり、コンポーネント値、集積回路プロセス変動、温度変動、上昇下降時間、および/または熱雑音に対応するが、これらに限定されない。アイテム間のこのような相関性は、数パーセントの差異から規模の大きな差異までの範囲にわたる。
【0088】
当業者であればさらに認識するように、本開示中で使用される「結合された(coupled)」なる用語は、直接的結合および別のコンポーネント、素子、回路またはモジュールを介した間接的結合を含み、ここで間接的な結合のために、介入するコンポーネント、素子、回路またはモジュールが信号の情報を修正することはないが、その電流レベル、電圧レベル、および/または電力レベルを調整する可能性はある。当業者であれば同様に認識するように、推定結合(すなわち、1つの素子が推定により別の素子に結合されている)は、「結合された」と同じように2つの素子間の直接的および間接的結合を含む。当業者であればさらに認識するように、本開示中で使用され得る「〜と比較して有利(compares favorably)」なる用語は、2つ以上の素子、アイテム、信号等々の間の比較が所望の関係を提供することを標示している。例えば、第1の信号が第2の信号よりも大きい規模を有することが所望の関係である場合には、有利な比較は、第1の信号の規模が第2の信号の規模よりも大きいとき、または第2の信号の規模が第1の信号の規模より小さいときに達成され得る。
【0089】
図面の説明において「モジュール(module)」なる用語が使用されているように、モジュールは、出力信号を生成するための入力信号の処理などの1つ以上の機能を行なうハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの形で実装される機能的ブロックを含む。本開示中で使用されるように、モジュールは、それ自体モジュールであるサブモジュールを格納し得る。
【0090】
図中の流れ図およびブロック図は、さまざまな実施形態に係るシステム、方法およびコンピュータプログラムプロダクトの考えられる実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を例示する。この点において、流れ図またはブロック図中の各ブロックは、規定された論理機能(1又は複数)を実装するための1つ以上の実行可能な命令を含む、モジュール、セグメントまたはコード部分を表わすことができる。同様に、いくつかの代替的実装において、ブロック内に記された機能が図中に記されたものとは異なる順序外で発生し得るということも指摘しておくべきである。例えば連続して示された2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実行されてよく、あるいはブロックは、時として、関与する機能性に応じて逆の順序で実行され得る。
【0091】
以上で説明されたシステム、コンポーネントおよび/またはプロセスは、ハードウェアまたはハードウェアとソフトウェアの組み合わせの形で実現可能であり、かつ、1つの処理システム内に集中して実現されるか、または異なる素子が数個の相互接続された処理システムを横断して展開される分散型として実現され得る。本開示中で説明されている方法を実施するために適応されたあらゆる種類の処理システムまたは別の装置が好適である。ハードウェアおよびソフトウェアの典型的な組み合わせは、ロードされ実行されると処理システムを制御し、それが本開示中に記載の方法を実施するようにするコンピュータ可使プログラムコードを伴う処理システムであり得る。システム、コンポーネントおよび/またはプロセスは同様に、本開示中に記載の方法およびプロセスを行なうために機械により実行され得る命令のプログラムを有形で具体化する、機械可読のコンピュータプログラムプロダクトまたは他のデータプログラム記憶デバイスなどのコンピュータ可読記憶媒体の中に埋込むことができる。これらの素子は同様に、本開示中に説明された方法の実装を可能にする全ての特徴を含みかつ処理システム内にロードされるとこれらの方法を実施することのできる、アプリケーションプロダクト中に埋込むこともできる。
【0092】
コンピュータ可読媒体上で具体化されたプログラムコードは、無線、有線、光ファイバ、ケーブル、RFなどまたはこれらの任意の好適な組み合わせを非限定的に含む任意の適切な媒体を用いて伝送され得る。本配設の態様を目的として動作を実施するためのコンピュータプログラムコードは、オブジェクト指向プログラミング言語、例えばJava(登録商標)、Smalltalk、C++などおよび従来の手続き型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語を含めた1つ以上のプログラミング言語のあらゆる組み合わせの形で書かれてよい。プログラムコードは、完全にユーザのコンピュータ上で、部分的にユーザのコンピュータ上で、独立型ソフトウェアパッケージとして、一部はユーザコンピュータ上で一部は遠隔コンピュータ上で、あるいは完全に遠隔コンピュータまたはサーバ上で実行可能である。後者のシナリオでは、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)または広域ネットワーク(WAN)を含むあらゆるタイプのネットワークを通してユーザのコンピュータに接続され得るか、または外部のコンピュータに(例えばインタネットサービスプロバイダを用いてインタネットを通して)接続を行なうことができる。
【0093】
本開示中で使用される「a」および「an」なる用語は、1または2以上として定義される。本開示中で使用される「複数(plurality)」なる用語は、2または3以上として定義される。本開示中で使用される「別の(another)」なる用語は、少なくとも第2以上として定義される。本開示中で使用される「〜を含む(including)」および/または「〜を有する(having)」なる用語は、含む(comprising)(すなわちオープンランゲージ)として定義される。本開示中で使用される「〜と〜のうちの少なくとも1つ(at least one of...and...」なる言い回しは、付随する列挙されたアイテムの1つ以上の任意のおよび全ての考えられる組み合わせを意味し、包含する。一例として、「A、BおよびCの少なくとも1つ」なる言い回しは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはその任意の組み合わせ(例えばAB、AC、BCまたはABC)を含む。
【0094】
本開示中の態様は、その精神または不可欠の属性から逸脱することなく他の形態で具体化され得る。したがって、その範囲を標示するものとして、以上の明細書ではなくむしろ以下の特許請求の範囲を参照すべきである。
図1
図2
図3
図4
【外国語明細書】
2019090790000001.pdf