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特開2019-91147地図情報システム、端末装置、及びサーバ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-91147(P2019-91147A)
(43)【公開日】2019年6月13日
(54)【発明の名称】地図情報システム、端末装置、及びサーバ装置
(51)【国際特許分類】
   G06T 11/60 20060101AFI20190524BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20190524BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20190524BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20190524BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20190524BHJP
【FI】
   G06T11/60 300
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
   G01C21/26 B
   G08G1/005
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-218223(P2017-218223)
(22)【出願日】2017年11月13日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ホームページ(https://github.com/code4nara/Maplat/wiki)
(71)【出願人】
【識別番号】517064935
【氏名又は名称】大塚 恒平
(74)【代理人】
【識別番号】100154210
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 宏
(72)【発明者】
【氏名】大塚 恒平
【テーマコード(参考)】
2C032
2F129
5B050
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HC21
2C032HC24
2F129AA02
2F129BB03
2F129CC13
2F129CC31
2F129DD12
2F129EE02
2F129EE13
2F129EE14
2F129FF02
2F129FF12
2F129FF15
2F129FF18
2F129FF20
2F129FF37
2F129FF57
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
5B050AA01
5B050AA06
5B050BA06
5B050BA17
5B050BA18
5B050DA06
5B050DA09
5B050EA11
5B050EA17
5B050FA02
5B050GA08
5H181AA21
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF22
5H181FF32
(57)【要約】
【課題】注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示する地図情報システム、並びに、該地図情報システムを活用する端末装置及びサーバ装置を提供すること
【解決手段】地図情報システムは、第1地図及び第2地図を相互に対応する形式で3角形分割し、地図上の注視点の座標を変換する変換演算は、1の地図の変換前の注視点を含む3角形について他の地図において対応する3角形を求め、変換前3角形における変換前の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標を変後元3角形における変換後の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標と定めるものとする。逆変換した時に変換前の注視点に戻ることとなり、注視点が切り替えの前後で同一となる。地図情報システムを動作させるための端末装置及びサーバ装置を提供する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1地図及び第2地図の表示切替の指示に応答して、表示画面上で前記第1地図及び前記第2地図の表示を、前記第1地図内の第1注視点と前記第2地図内の第2注視点とを同一点上に表示して切り替える表示制御手段と、
前記第1注視点の前記第1地図上での座標と前記第2注視点の前記第2地図上での座標を変換する変換演算を行う変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1地図についての4以上の第1の対応位置と、前記第2地図についての前記第1の対応位置の各々に対応する4以上の第2の対応位置とに基づいて変換演算を行うものであり、
前記第1地図又は前記第2地図の一方を前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置を頂点とする3角形に3角形分割し、他方を前記3角形分割に対応させて3角形分割し、
前記変換演算は、前記第1の注視点又は前記第2の注視点のうちの変換前の注視点を含む3角形(変換前3角形)について他の地図において対応する3角形(変換後3角形)を求め、変換前3角形における変換前の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標を変後元3角形における変換後の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標と定める変換演算を行う、
ことを特徴とする、地図情報システム。
【請求項2】
前記変換演算は、
前記変換前3角形の1頂点を原点とし、該頂点を含む2辺への前記変換前の注視点の射影点について、その両側の該辺における長さの比を変換前座標値とし
前記変換後3角形の前記1頂点に対応する1頂点を原点とし、該頂点を含む2辺への前記変換後の注視点の射影点について、その両側の該辺における長さの比を、前記変換前座標値と等しくすることを特徴とする、請求項1に記載の地図情報システム。
【請求項3】
前記3角形分割は、ドロネー分割であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の地図情報システム。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第1地図と前記第2地図との表示を切り替える際に、前記切替前の地図の表示縮尺および表示方向に、切替後の地図の表示縮尺および表示方向をそろえるための処理を実行することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の地図情報システム。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記表示縮尺をそろえる処理において、前記変換前の注視点と前記変換前3角形の3頂点との距離の平均と、前記変換後の注視点と前記変換後3角形の3頂点との距離の平均とが等しくなるように表示することを特 徴とする、請求項4に記載の地図情報システム。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記表示方向をそろえる処理において、前記変換前の注視点に対する前記変換前3角形の3頂点との方角と、前記変換後の注視点に対する前記変換後3角形の3頂点との方角との差が最小となるように表示することを特徴とする、請求項4又は5に記載の地図情報システム。
【請求項7】
前記第1の対応位置及び前記第2の対応位置の入力を受け付ける対応位置入力手段と、
前記対応位置入力手段によって入力された前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置の一方を前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置を頂点とする3角形に3角形分割し、他方を前記3角形分割に対応させて3角形分割する3角形分割手段と、
前記3角形分割手段による他方の3角形分割結果についてトポロジーエラーの有無を検証するトポロジーエラー検出手段とを備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の地図情報システム。
【請求項8】
ディスプレイ装置及びCPUを備える端末装置であって、
前記表示画面を前記ディスプレイ装置に表示し、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の地図情報システムをコンピュータプログラムとして前記CPU上で動作させることを特徴とする、端末装置。
【請求項9】
CPUを備え、ディスプレイ装置を備える端末装置と接続されるサーバ装置であって、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の地図情報システムをコンピュータプログラムとして前記CPU上で動作させ、
前記表示画面を前記端末装置の前記ディスプレイ装置に表示させることを特徴とする、サーバ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの地図を切り替え表示する地図情報システム、端末装置、及びサーバ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション装置等、地図上の現在位置を表示する装置(システム)が存在する。通常は、特定される現在位置を精度の高い地図上に表示する。しかし、観光の興趣を高めるなどの目的のために古地図に現在位置を表示する等、十分な測量に基づかない地図、手書き入力された地図、カメラで撮影された歪みのある地図、その他の不正確な地図上に現在位置を表示する場合もある。また、2つ(または3つ以上)の地図を切り替えて表示し、両方を使用する場合もある。
【0003】
2つの地図を切り替えて表示する際には、一方の地図を見ながら移動した後に他方の地図に切り替えると考えられるので、切り替えの前後で同じ箇所を表示するために、2つの地図の座標を相互に変換することが必要となる。このための技術としては、例えば、特許文献1に2つの地図を切り替え表示する地図情報システムが開示されている。
【0004】
しかし、特許文献1に開示の地図情報システムは、注視点(ユーザの存する現在位置と考えられる)を1の地図から他の地図に切り替え、他の地図から1の地図に切り替えて戻した時に、1の地図における注視点が切り替えの前後で相違してしまう(ユーザの存する現在位置とは相違する注視点になってしまう)という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−109049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示する地図情報システム、並びに、該地図情報システムを活用する端末装置及びサーバ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
特許文献1に記載のように、一般には、注視点を1の地図から他の地図に切り替え、他の地図から1の地図に切り替えて戻した時に、1の地図における注視点が切り替えの前後で相違してしまう可能性がある(特許文献1明細書0095参照)。本発明は、注視点を1の地図から他の地図に切り替える際の座標の変換手段により、注視点が切り替えの前後で相違してしまう可能性をなくす。
【0008】
本発明の地図情報システムは、
第1地図及び第2地図の表示切替の指示に応答して、表示画面上で前記第1地図及び前記第2地図の表示を、前記第1地図内の第1注視点と前記第2地図内の第2注視点とを同一点上に表示して切り替える表示制御手段と、
前記第1注視点の前記第1地図上での座標と前記第2注視点の前記第2地図上での座標を変換する変換演算を行う変換手段と、を備え、
前記変換手段は、
前記第1地図についての4以上の第1の対応位置と、前記第2地図についての前記第1の対応位置の各々に対応する4以上の第2の対応位置とに基づいて変換演算を行うものであり、
前記第1地図又は前記第2地図の一方を前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置を頂点とする3角形に3角形分割し、他方を前記3角形分割に対応させて3角形分割し、
前記変換演算は、前記第1の注視点又は前記第2の注視点のうちの変換前の注視点を含む3角形(変換前3角形)について他の地図において対応する3角形(変換後3角形)を求め、変換前3角形における変換前の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標を変後元3角形における変換後の注視点の該3角形の頂点に対する相対座標と定める変換演算を行う、
ことを特徴とする。
【0009】
この特徴によれば、第1地図内の第1注視点の座標と第2地図内の第2注視点の座標とを1対1に対応させて変換することが可能となり、注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示することができる。
【0010】
本発明の地図情報システムは、
前記変換演算は、
前記変換前3角形の1頂点を原点とし、該頂点を含む2辺への前記変換前の注視点の射影点について、その両側の該辺における長さの比を変換前座標値とし
前記変換後3角形の前記1頂点に対応する1頂点を原点とし、該頂点を含む2辺への前記変換後の注視点の射影点について、その両側の該辺における長さの比を、前記変換前座標値と等しくすることを特徴とする。
【0011】
この特徴によれば、変換が注視点近傍の局所では線形変換となる。第1地図内の第1注視点の座標と第2地図内の第2注視点の座標とを1対1に対応させて変換することが保証される。
【0012】
本発明の地図情報システムは、
前記3角形分割は、ドロネー分割であることを特徴とする。
【0013】
この特徴によれば、3角形が極端に薄い形状(1辺の長さに対してその辺に垂直な方向の高さが小さい形状)とならず、上記線形変換における誤差が抑制される。ここで「ドロネー分割」は、分割後の3角形の頂角のうちの最小のものを大きくするようにする、公知の3角形分割である。
【0014】
本発明の地図情報システムは、
前記表示制御手段は、前記第1地図と前記第2地図との表示を切り替える際に、前記切替前の地図の表示縮尺および表示方向に、切替後の地図の表示縮尺および表示方向をそろえるための処理を実行することを特徴とする。
【0015】
この特徴によれば、表示を切り替える際に、注視点の座標を合わせて表示する上に、注視点の周辺の地図の縮尺及び方向を保って表示することができる。
【0016】
本発明の地図情報システムは、
前記表示制御手段は、前記表示縮尺をそろえる処理において、前記変換前の注視点と前記変換前3角形の3頂点との距離の平均と、前記変換後の注視点と前記変換後3角形の3頂点との距離の平均とが等しくなるように表示することを特徴とする。
【0017】
この特徴によれば、3角形分割を活用して表示縮尺を求めることができる。
【0018】
本発明の地図情報システムは、
前記表示制御手段は、前記表示方向をそろえる処理において、前記変換前の注視点に対する前記変換前3角形の3頂点との方角と、前記変換後の注視点に対する前記変換後3角形の3頂点との方角との差が最小となるように表示することを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、3角形分割を活用して表示方向を求めることができる。
【0020】
本発明の地図情報システムは、
前記第1の対応位置及び前記第2の対応位置の入力を受け付ける対応位置入力手段と、
前記対応位置入力手段によって入力された前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置の一方を前記第1の対応位置又は前記第2の対応位置を頂点とする3角形に3角形分割し、他方を前記3角形分割に対応させて3角形分割する3角形分割手段と、
前記3角形分割手段による他方の3角形分割結果についてトポロジーエラーの有無を検証するトポロジーエラー検出手段とを備えることを特徴とする。
【0021】
この特徴によれば、第1地図内の第1注視点の座標と第2地図内の第2注視点の座標とを1対1に対応させることができない場合を検出することができる。必要に応じて警告を出したり、対応位置を補正したりすることが可能となる。ここで「トポロジーエラー」とは、他方の3角形分割結果において2以上の3角形が共有する領域が存在する状態であることを言う。
【0022】
本発明の端末装置は、
ディスプレイ装置及びCPUを備える端末装置であって、
前記表示画面を前記ディスプレイ装置に表示し、
本発明の地図情報システムをコンピュータプログラムとして前記CPU上で動作させることを特徴とする。
【0023】
この特徴によれば、地図情報システムの稼働する端末装置が提供される。
【0024】
本発明のサーバ装置は、
CPUを備え、ディスプレイ装置を備える端末装置と接続されるサーバ装置であって、
本発明の地図情報システムをコンピュータプログラムとして前記CPU上で動作させ、
前記表示画面を前記端末装置の前記ディスプレイ装置に表示させることを特徴とする。
【0025】
この特徴によれば、地図情報システムの稼働するサーバ装置を用い、端末装置のディスプレイ装置に地図を表示させ、スマートフォン等の端末装置で地図情報システムを利用することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の地図情報システムによれば、注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示する地図情報システムが提供される。
【0027】
本発明の端末装置、サーバ装置によれば、本発明の地図情報システムを活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、地図情報システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1地図及び第2地図、並びに対応位置及び3角形分割を示す図である。
図3図3は、第1地図及び第2地図、並びに注視点を示す図である。
図4図4は、3角形分割を説明するための図である。
図5図5は、変換演算を説明するための図である。
図6図6は、変換演算のフローチャートを示す図である。
図7図7は、トポロジーエラーを説明するための図である。
図8図8は、表示縮尺及び表示方向の調整を説明するための図である。
図9図9は、表示縮尺及び表示方向の調整を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の地理情報システムの実施の形態を示す。
【0030】
本実施の形態においては、古地図等の十分な測量に基づかない地図、手書き入力された地図、カメラで撮影された歪みのある地図、手書きの地図や看板に描かれたイラスト地図を撮影した地図、その他必ずしも正確な座標系ではない地図(以後、「第1地図」という)と、世界測地系(World Geodetic System)等の正確な座標系に基づいて平面上に描かれた地図(以後、「第2地図」という)とのうちの一方の上にユーザにより設定された注視点の表示位置を、第1地図と第2地図との間で相互に置換し、第1地図と第2地図とを切り替えて表示するものとする。ただし、第1地図及び第2地図は、いかなる地図であってもよく(例えば、第1地図及び第2地図の両方が正確な座標系ではない地図であってもよい)、地図の種類が本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0031】
図1は、地図情報システムの構成を示す図である。地図情報システム1は、対応位置入力手段11、3角形分割手段12、トポロジーエラー検出手段13、表示制御手段31及び変換手段32を備え、第1地図データ21及び第2地図データ22を保持している。
【0032】
地図情報システム1は、端末装置又はサーバ装置において動作し、対応位置入力手段11、3角形分割手段12、トポロジーエラー検出手段13、表示制御手段31及び変換手段32は、端末装置又はサーバ装置のCPUを用いて動作するプログラムとして実装されている。
【0033】
地図情報システム1の行う処理は、大別して、第1地図データ21及び第2地図データ22に変換及び表示に必要な情報を付する「事前処理」と、第1地図データ21及び第2地図データ22を切り替えて表示する「表示処理」とがある。
【0034】
第1地図データ21及び第2地図データ22は、拡大/縮小、及び回転して表示画面(ディスプレイ)に表示することのできる画像データを含む。画像データは、ラスター/ベクターの別、色の有無、その他の画像のデータフォーマットは問わず、表示され得るデータであればよい。また、インターネットからダウンロードされる、カメラによって撮像される等の入手経路も問わない。
【0035】
「事前処理」は、対応位置入力手段11、3角形分割手段12及びトポロジーエラー検出手段13から構成される。
【0036】
図2は、第1地図及び第2地図、並びに対応位置及び3角形分割を示す図である。第1地図データ21は古地図のものであり、第2地図データ22は正確な地図のものである。第1地図21及び第2地図22に対応位置が数字で示されている。第1地図21及び第2地図22で同一の数字で示された位置同士がそれぞれ対応する。また、第1地図21及び第2地図22は、対応位置を頂点とする3角形に分割されている。第1地図21及び第2地図22の三角形分割は対応する。すなわち、第1地図21に示された3角形について、その3頂点の対応位置を3頂点とする3角形が第2地図22にも存在する。かかる対応位置及び3角形分割を作成して、事前処理の前は画像データのみであった第1地図データ21及び第2地図データ22に、対応位置及び3角形分割のデータを付することが事前処理の目的である。
【0037】
対応位置入力手段11は、ユーザの入力に基づいて、対応位置を決定する。例えば、第1地図データ21及び第2地図データ22に含まれる画像を表示し、ユーザが対応位置を第1地図、第2地図の順にマウスクリックすることで対応位置が入力される。
【0038】
3角形分割手段12は、第1地図データ21及び第2地図データ22のいずれか一方について表示位置を頂点とする3角形分割を行い、他方については該3角形分割と同じ(対応する)3角形分割を行う。このため、3角形分割のデータは、第1地図データ21及び第2地図データ22の両方に付さず一方のみに付し、他方にも利用してよい。また、第1地図データ21及び第2地図データ22とは別に3角形分割データを保持してもよい。
【0039】
3角形分割は、種々の手法が知られているが、変換手段31の精度を高めるため、ドロネー分割とすることが好ましい。なお、ドロネー分割のプログラムは、広く用いられている。
【0040】
トポロジーエラー検出手段13は、後述のトポロジーエラーが発生していることを検出する。本実施例では、3角形分割手段12が第1地図データ21について3角形分割を行うものとし、トポロジーエラー検出手段13は、第2地図データ22を検証する。
【0041】
ここで、図2において、矩形の第1地図21において該矩形の4頂点及び第2地図22において該4頂点に対応する点が、対応点として取り扱われ、3角形分割がされている。対応位置入力手段11によってユーザが入力した対応点群の包絡多角形の外側の領域にも3角形分割を施すものである。これら4頂点(4頂点に限らず3以上の任意の数の頂点としてよい)については、対応位置入力手段11によってユーザが入力してもよい。また、対応位置入力手段11が入力された対応点を外挿して求めてもよい。さらに、注視点が包絡多角形の外に移動した時に表示制御手段31が外挿計算を行ってもよい。
【0042】
「表示処理」は、表示制御手段31及び変換手段32から構成される。
【0043】
図3は、第1地図及び第2地図、並びに注視点を示す図である。第1地図21及び第2地図22に第1注視点21a及び第2注視点22aがピンの形状により示されている。なお、第1注視点21a及び第2注視点22aの表示はピンの形状に限定されず、小円、人差指の形状、その他任意のものでよい。
【0044】
表示制御手段31は、第1地図21及び第1注視点21a、又は第2地図22及び第2注視点22aのいずれか一方を表示画面上に表示する。そして、一方の表示においてユーザの指示(例えばボタンのクリック)により、他方の表示に切り替える。
【0045】
ここで、「注視点」は、第1地図と第2地図との間で、地図表示を切り替えて表示することを前提とするとき、一方の地図においてユーザが指定した特定の地点を意味する。ここで、注視点はユーザに認識できればよく、例えば、(i)対応地点を示すマーカ(図3ではピンの形状)を両地図に表示(マーカ位置が注視点)、(ii)両地図上の注視点を表示画面の中央点と一致させて表示(中央点が注視点)等の態様をとることが可能である。また、(ii)の場合には、必ずしもマーカ(図3ではピンの形状)を表示しなくともよい。
【0046】
注視点は、ユーザが、所定のキー操作やタッチパネルに対する操作などにより、移動させることができる。また、GPS等によって現在位置情報を取得し、当該現在位置情報に対応する位置を注視点とする(ユーザの操作がなくとも注視点を移動させる)こともできる。
【0047】
変換手段32は、一方の表示から他方の表示に切り替える際に、一方の表示における注視点から他方の表示における注視点を求める。以下、第1地図21から第2地図22に切り替えるものとして説明するが、第2地図22から第1地図21に切り替える場合についても同様である。
【0048】
図4は、3角形分割を説明するための図である。(A)に第1地図を、(B)に第2地図を示す。第1地図における対応位置P1、P2...と第2地図における対応位置Q1、Q2...とがあり、P1とQ1、P2とQ2...がそれぞれ対応する。
【0049】
第1地図がTP1、TP2...に3角形分割され、第2地図がTQ1、TQ2...に3角形分割されている。TP1とTQ1、TP2とTQ2...が、対応する対応位置を頂点とする3角形であり、それぞれ対応する。
【0050】
図5は、変換演算を説明するための図である。変換演算は、第1地図における注視点Pから、第2地図における注視点Qを求めるものである。
【0051】
図6は、変換演算のフローチャートを示す図である。変換手段32は、まず、点Pの属する3角形を求める(ステップS1)。図5によれば、TP1である。
【0052】
変換手段32は、次に、該3角形における、点Pの座標を求める(ステップS1)。座標は、適宜な1頂点(ここではP1とする)を原点とし、その頂点を含む2辺への点Pの射影点として求めることができる。図5におけるベクトルP12、P13に相当する。ここで、座標は、P12についてはP1からP2までの長さを1としてベクトルP12の長さを座標値とし、P13についてはP1からP3までの長さを1としてベクトルP13の長さを座標値とすればよい。
【0053】
変換手段32は、次に、第2地図における対応する3角形(ここではTQ1となる)において、第1地図における3角形における点Pの座標と等しい座標(図5におけるQ12、Q13)の点として、点Qを決定する。
【0054】
なお、原点となる頂点をP1としたが、P2又はP3としても、点Qの位置は同一である。いずれの頂点を原点としてもよい。
【0055】
以上の変換手段32の処理を、第2地図から第1地図に切り替える場合について検討すると、点Qから点Pを求めることができる。すなわち、変換手段32は、点Pと点Qとを1対1に対応させる可逆変換である。第1地図から第2地図に切り替え、その後に第2地図から第1地図に切り替えて、第1地図に戻した場合に、点Pは、移動することがない。
【0056】
特許文献1に記載の、注視点を1の地図から他の地図に切り替え、他の地図から1の地図に切り替えて戻した時に、1の地図における注視点が切り替えの前後で相違してしまう可能性について、本発明の変換手段32によれば、それがなく、注視点は切り替えの前後で同一である。
【0057】
特許文献1においては、1の地図における注視点が切り替えの前後で相違してしまうためにユーザが違和感を覚えるので、それを解消するために特殊な処理を行う。本発明の変換手段32によれば、ユーザが違和感を覚えることがなくなり、特殊な処理も不要である。
【0058】
本発明の変換手段32によっても、注視点が切り替えの前後で相違してしまう例外的な場合(トポロジーエラー)があるので、それについて説明する。
【0059】
図7は、トポロジーエラーを説明するための図である。図7(A)に示すように、第1地図において、4の対応位置P1〜P4があり、3の3角形TP1〜TP3に分割されている。ここで、第2地図において、対応位置Q1〜Q4が図7(B)に示す位置であるとする。点P1がP2とP4を結ぶ辺のP3側にあるのに対し、点Q1はQ2とQ4を結ぶ辺のP3と反対の側にある。これに起因して、3角形TQ3は、三角形TP1又はTP2と共通の領域(図7(B)において網掛けで示した領域)にあることとなる。
【0060】
図7(B)において網掛けで示した領域に点Qがある場合、点Qの存在する3角形を一意に決定することができず、点Qから点Pを求める際に、複数の候補が存在してしまう。図において、点QがTQ1内に存在するとして処理すれば点P’1に、TQ3内に存在するとして処理すれば点P’2になる。
【0061】
かかる問題は、第1地図における対応位置P1〜P4と第2地図における対応位置Q1〜Q4とが、異なるトポロジー(点P1(Q1)が、点P2,P3,P4(Q2,Q3,Q4を頂点とする三角形の内側か外側かの相違)にあることに起因するので、トポロジーエラーと呼ぶ。
【0062】
トポロジーエラーは、その発生を容易に検出することができる。3角形分割手段12が、先に分割を行う地図(上述では第1地図)においては、1点が2以上の3角形に属することがない、その結果に対応する三角形分割を行う地図(上述では第2地図)において、3角形の領域に重複があるか否かを検証すれば、トポロジーエラーが検出できる。
【0063】
そこで、表示処理に先立って、トポロジーエラー検出手段13を用いてトポロジーエラーの検出を行う。トポロジーエラー検出手段13は、上述の手順でトポロジーエラーを検出する。トポロジーエラーが検出された場合には、(i)その旨をユーザに通知して対応位置の再入力を求める、(ii)トポロジーエラーを発生させている対応位置(上述ではP1、Q1)を対応位置に含めないこととして3角形分割を行う、その他の措置が可能である。トポロジーエラーに起因して注視点が切り替えの前後で相違してしまうことを防止することができる。
【0064】
表示制御手段31は、変換手段32によって第2注視点22aの座標が求められるので、第2地図22を表示する。その際、表示される第2地図の第2注視点22aの位置を、第1注視点21aの表示位置に合わせるとよい。
【0065】
第2地図22の表示においては、第2注視点22aの位置のみならず、その周辺の表示の縮尺及び方向も決定する必要がある。第1地図と第2地図の縮尺及び方向は同一ではなく、また、縮尺及び方向の相違度は注視点の位置に依存して変化し得るからである。
【0066】
図8は、表示縮尺及び表示方向の調整を説明するための図である。第2地図の縮尺及び方向を第1地図に合わせるものとし、図に基づいて説明する。
【0067】
第1地図において、注視点Pを中心とし、第1地図の表示域(対応位置を包絡する多角形)に内接する円CPを描く。円CPの周上において0度、90度、180度、270度の角度にある点を、P1、P2、P3、P4とする。
【0068】
P1、P2、P3、P4を変換して求められる第2地図上の点をQ1、Q2、Q3、Q4とする。Q1、Q2、Q3、Q4は、注視点Qを中心とする円周上にあるとは限らない。また、注視点Qに対する角度も0度、90度、180度、270度であるとは限らない。
【0069】
Q1、Q2、Q3、Q4と注視点Qとの距離を、Y1、Y2、Y3,Y4とする。Q1、Q2、Q3、Q4の注視点Qに対する角度をφ1、φ2、φ3,φ4とする。
【0070】
表示制御手段31は、(rY1+rY2+rY3+rY4)/4=Rとなるようにrを定め、r倍の縮尺で表示する。ここで、Rは円CPの半径である。すなわち、注視点と4点との平均距離が変換の前後で同一となるように表示縮尺を定める。
【0071】
表示制御手段31は、|φ1+η|+|φ2+η―90度|+|φ3+η―180度|+|φ4+η―270度|の値が最小となるようにηを定め、ηだけ回転して表示する。すなわち、4点の注視点Qに対する角度が最も小さな変動となるように表示方向を定める。
【0072】
以上のように、4点を選定して、注視点と4点との平均距離が同一となり、4点の注視点Qに対する角度が最も小さな変動となるように表示縮尺及び表示方向を定めた。ここで、4点の選定は任意に設計することができる。例えば、90度間隔の4点でなく、60度間隔の6点を選定してもよい。また、円CPについても任意の半径としてよく、注視点を中心とした同一円周上に存在しないような点を選定(円CPを用いないことと)してもよい。
【0073】
上記4点に替えて、3角形分割された3角形の3頂点を選定することもできる。図9は、表示縮尺及び表示方向の調整を説明するための図である。
【0074】
第1地図において、注視点Pと対応位置P1、P2、P3との距離を、X1、X2、X3とする。第2地図において、注視点Qと対応位置Q1、Q2、Q3との距離を、Y1、Y2、Y3とする。
【0075】
表示制御手段31は、(X1+X2+X3)/3=(rY1+rY2+rY3)/3となるようにrを定め、r倍の縮尺で表示する。なお、3で除した平均でなく、除さない総和としてもよい。
【0076】
第1地図において、注視点Pを原点とする表示された座標系において、対応位置P1、P2、P3が右向き横軸に対してなす角度を、θ1、θ2、θ3とする。第2地図において、注視点Qを原点とする1の座標系(図の座標系)において、対応位置Q1、Q2、Q3が右向き横軸に対してなす角度を、φ1、φ2、φ3とする。
【0077】
表示制御手段31は、|θ1―(φ1+η)|+|θ2―(φ2+η)|+|θ3―(φ3+η)|の値が最小となるようにηを定め、ηだけ回転して表示する。
【0078】
以上により、表示制御手段31は、3角形TQ1を3角形TP1に最近接させて表示することとなる。注視点Qの周辺の変化が少ない、一つの妥当な表示である。第2地図の縮尺及び方向を第1地図に合わせる方法は、種種のものが考えられるが、3角形分割を活用して妥当な表示を導出している。
【0079】
以上に説明した地図情報システム1は、1の端末装置で動作させることが可能である。
【0080】
一方、多くの者に地図情報システム1の効果を得てもらうためには、地図情報システム1の大部をサーバ装置に配し、端末装置がクライアントとして動作することが好ましい。この場合、端末装置は、地図表示31aを行うディスプレイ装置と、注視点の移動を行う仕組み(マウス、タッチパネル、GPS等)のみを提供し、他の機能サーバ装置が提供する。例えばサーバ装置のホームページとして地図情報システム1を提供することができ、スマートフォン等を端末装置として多くの者が地図情報システム1を使用することができる。
【0081】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る地図情報システム1は、3角形分割によって注視点の座標の変換を1対1に対応させる可逆変換とする。これにより、注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示する地図情報システムが提供される。
【産業上の利用可能性】
【0082】
注視点が切り替えの前後で同一となるように2つの地図を切り替え表示する地図情報システム、並びに、該地図情報システムを活用する端末装置及びサーバ装置である。多くの個人及び地図情報提供者による利用が考えられる。
【符号の説明】
【0083】
1 地図情報システム
11 対応位置入力手段
12 3角形分割手段
13 トポロジーエラー検出手段
21 第1地図(第1地図データ)
21a 第1注視点
22 第2地図(第2地図データ)
22a 第2注視点
31 表示制御手段
32 変換手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9