【解決手段】コイル部品100は、軸部と軸部の両端にそれぞれ形成された鍔部12とを有するコア(ドラムコア10)と、軸部に巻回された第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42と、第1ワイヤ41の両端部(一端部41a、他端部41b)及び第2ワイヤ42の両端部(一端部42a、他端部42b)のうち対応するワイヤ端部がそれぞれ接続されている複数の金属端子30とを備え、鍔部12において実装対象面と対向して配置される対向面12aのうち、軸部の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部13が形成されており、切欠形状部13に金属端子30の少なくとも一部分が配置されている。
前記第2かしめ片の前記軸方向における外方側の端と前記軸方向延出部の前記軸方向における外方側の端とが互いに面一であるか、又は、前記軸方向延出部が前記第2かしめ片よりも前記軸方向における外方側に突出している請求項3に記載のコイル部品。
前記第2かしめ片は、前記鍔部の前記軸方向における外方側の面において前記切欠対向面に対して隣接している部位よりも、前記軸方向における外方側に配置されている請求項3又は4に記載のコイル部品。
前記軸方向延出部と前記切欠対向面配置部との少なくとも一方から折り返された折り返し形状となっている一の折返片の一部分ずつにより、前記第1かしめ片と前記第2かしめ片とがそれぞれ構成されている請求項3から5のいずれか一項に記載のコイル部品。
前記位置決め起立部は、前記金属端子において前記切欠対向面に沿って配置されている部分の、前記軸方向における内方側の端部から、起立している請求項8又は9に記載のコイル部品。
前記かしめ片は、前記鍔部の前記軸方向における外方側の面において前記切欠対向面に対して隣接している部位よりも、前記軸方向における外方側に配置されている請求項14に記載のコイル部品。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
〔第1実施形態〕
先ず、
図1から
図5を用いて第1実施形態を説明する。
図1は第1実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、
図2は
図1の部分拡大図である。
図3はコイル部品100の側面図である。
図1から
図3の各図は、各金属端子30にそれぞれ対応するワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)が絡げられた状態を示す。
図4はコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、溶接後の状態を示す。
図5はコイル部品100の斜視図であり、溶接後、板コア20が設けられた状態を示す。
【0012】
本実施形態に係るコイル部品100は、軸部11(
図3)と軸部11の両端にそれぞれ形成された鍔部12とを有するコア(ドラムコア10)と、軸部11に巻回された第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42と、第1ワイヤ41の両端部(一端部41a、他端部41b)及び第2ワイヤ42の両端部(一端部42a、他端部42b)のうち対応するワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42bのいずれか)がそれぞれ接続されている複数の金属端子30と、を備えている。鍔部12において実装対象面と対向して配置される対向面12aのうち、軸部11の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部13が形成されている。切欠形状部13に金属端子30の少なくとも一部分が配置されている(収められている)。
【0013】
ここで、ワイヤ端部が金属端子30に接続されているとは、典型的には、
図4に示すように、ワイヤ端部が溶接により金属端子30に対して固定されて、当該ワイヤ端部が金属端子30に対して電気的に接続されていることをいう。ただし、単にワイヤ端部が金属端子30に対して絡げられたりかしめ固定されたりすることによって、ワイヤ端部が金属端子30に対して電気的に接続されていてもよい。
実装対象面とは、コイル部品100が搭載され且つ電気的に接続される電子基板などの、コイル部品100と対向する主面である。
各切欠形状部13には、対応する金属端子30の全体又は一部分が配置されている。
なお、以下の説明において、軸部11の軸方向(
図3における左右方向)のことを、単に軸方向と称することがある。また、便宜的に、実装対象面側を下、その反対側を上という場合がある。
【0014】
また、本実施形態に係るコイル部品100は、コアに第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42が巻回されて
図4及び
図5に示すようにワイヤ端部が溶接などにより金属端子30に接続された後の状態のものだけでなく、コアに第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42が巻かれる前のもの(第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を有さないもの)も含む。
すなわち、本実施形態に係る他のコイル部品100は、軸部11と軸部11の両端にそれぞれ形成された鍔部12とを有するコア(ドラムコア10)と、軸部11にそれぞれ巻回される第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42の各々の両端部のうち対応するワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42bのいずれか)がそれぞれ接続される複数の金属端子30と、を備えている。鍔部12において実装対象面と対向して配置される対向面12aのうち、軸部11の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部13が形成されており、切欠形状部13に金属端子30の少なくとも一部分が配置されている。
【0015】
本実施形態に係るコイル部品100によれば、鍔部12に形成された切欠形状部13に金属端子30の少なくとも一部分が配置されているので、鍔部12からの金属端子30のはみ出しを抑制できる。これにより、軸部11の軸方向におけるコイル部品100の寸法を抑制できる。
また、切欠形状部13内のスペースを利用して、金属端子30に対するワイヤ端部の接続を行う場合には、コイル部品100の製造容易性を良好にすることができる。
【0017】
ドラムコア10は、軸部11と一対の鍔部12とを有する一体構造のものである。ドラムコア10は、例えば、フェライトコアである。ドラムコア10の軸部11は、例えば、略直方体形状に形成されている。鍔部12は、軸方向に薄い、扁平な略直方体形状に形成されている。
各鍔部12は、実装対向面と対向する対向面12aの他、他方の鍔部12と対向する内面12cと、内面12cとは反対側を向いている外面12bと、対向面12aとは反対側を向いている反対面12d(
図3)と、を有している。対向面12aは鍔部12の下側の面(底面)であり、反対面12dは鍔部12の上側の面(上面)である。
【0018】
図1に示すように、一対の鍔部12の各々に、2つずつの切欠形状部13が形成されており、コイル部品100は合計4つの切欠形状部13を有する。各切欠形状部13は、略直方体形状の凹部である。
切欠形状部13は、対向面12aから上方に向けて切り欠かれた形状となっている。
図2及び
図4に示すように、切欠形状部13は、軸方向に対して平行で対向面12aに対して直交している起立面13bと、実装対象面と対向して配置される切欠対向面13aとを有する。切欠対向面13aは対向面12aに対して平行である。
各切欠形状部13は、軸方向において鍔部12の両端間に亘って形成されており、軸方向における両側に開放している。
なお、以下の説明において、便宜的に、一の鍔部12に形成されている2つの切欠形状部13の並び方向を左右方向という場合がある。つまり、各鍔部12には、左右一対の切欠形状部13が形成されている。
【0019】
鍔部12の外面12bには、軸方向における内方側に向けて窪んだ平坦な凹部14が形成されている。本実施形態の場合、凹部14は、横倒しのT字形状である。凹部14は、対向面12aから反対面12dに亘って縦方向(上下方向)に帯状に延在している縦方向延在部14aと、縦方向延在部14aの延在方向に対して直交する方向(左方向又は右方向)へ縦方向延在部14aから延出している横方向延出部14bと、を含んで構成されている。
各外面12bには、左右一対の凹部14が形成されている。一対の凹部14は、左右対称に配置されている。一対の凹部14どうしの間には、対向面12aから反対面12dに亘って上下に帯状に延在しているリブが存在している。
左側の凹部14の縦方向延在部14aから横方向延出部14bが延出している方向は左方向であり、右側の凹部14の縦方向延在部14aから横方向延出部14bが延出している方向は右方向である。
【0020】
左側の横方向延出部14bの上端は、左側の切欠対向面13aと隣接し、当該切欠対向面13aに繋がっている。右側の横方向延出部14bの上端は、右側の切欠対向面13aと隣接し、当該切欠対向面13aに繋がっている。
左側の縦方向延在部14aにおいて、横方向延出部14bよりも上側の部位の左端は、左側の起立面13bと隣接し、当該起立面13bに繋がっている。右側の縦方向延在部14aにおいて、横方向延出部14bよりも上側の部位の右端は、右側の起立面13bと隣接し、当該起立面13bに繋がっている。
【0021】
図2及び
図4に示すように、金属端子30は、鍔部12の対向面12aに沿って配置されている底板部31と、底板部31から切欠形状部13の起立面13bに沿って起立している起立部34と、起立部34から切欠形状部13の切欠対向面13aに沿って延びている切欠対向面配置部35と、切欠対向面配置部35から起立し起立部34と対向して配置されていてワイヤ端部(
図2及び
図4においては第1ワイヤ41の一端部41a)が絡げられている絡げ部36と、を有している。
金属端子30は、更に、凹部14に配置されていて軸方向に対して直交している板状部32と、板状部32から実装対象面側に向けて起立している溶接部33と、を有している。
【0022】
金属端子30は、例えば、導電性の金属板に対して打抜き加工及び曲げ加工等を施すことにより作製されている。このため、金属端子30の各部は、板状に形成されている。
【0023】
板状部32は、全体が平板状に形成されている。板状部32は、凹部14と同様の形状に形成されている。すなわち、板状部32は、縦方向延在部14aと同様の形状の縦方向延在部32aと、横方向延出部14bと同様の形状の横方向延出部32bと、を含んで構成されており、縦方向延在部32aが縦方向延在部14aに、横方向延出部32bが横方向延出部14bに、それぞれ配置されている。
【0024】
溶接部33は、板状部32と同一平面上に配置されている。溶接部33は、横方向延出部32bの先端部から実装対象面側に向けて(上方に)起立している。溶接部33は、縦方向延在部32aからは離間している。溶接部33は、切欠形状部13に対して軸方向における外方側に隣接する位置に配置されている。また、溶接部33は、絡げ部36を基準として、軸方向における外方側に配置されている。
溶接部33には、括れ部33aが形成されている。括れ部33aは、溶接部33における括れ部33aの周囲の部分よりも括れている(左右方向に幅狭になっている)。
軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42が巻き付けられた後、
図2に示すように括れ部33aにワイヤ端部(一端部41a等)が絡げられる。
溶接部33の括れ部33aにワイヤ端部が絡げられることにより、溶接部33に絡げられたワイヤ端部が溶接部33から脱落することが抑制される。
【0025】
底板部31は、板状部32に対して略直角に折り曲げられている。底板部31は、例えば、略矩形状に形成されている。底板部31は、対向面12aにおいて、起立面13bと隣接する部位に配置されている。底板部31は、例えば、軸方向において対向面12aの両端間に亘って配置されている。
【0026】
左側の起立部34は、左側の底板部31の左端に連接されており、当該底板部31に対して略直角に折り曲げられている。右側の起立部34は、右側の底板部31の右端に連接されており、当該底板部31に対して略直角に折り曲げられている。より詳細には、各起立部34は、各底板部31において、軸方向における内方側の部分に連接されている。
起立部34が底板部31から起立面13bに沿って起立しているとは、起立部34が、底板部31から、上方に向けて起立しており、且つ、起立部34が起立面13bに沿って配置されていることを意味する。
【0027】
各切欠対向面配置部35は、各起立部34の上端に連接されており、各起立部34に対して略直角に折り曲げられている。
左側の切欠対向面配置部35は、起立部34から左方に延びており、左側の切欠対向面13aに沿って配置されている。右側の切欠対向面配置部35は、起立部34から右方に延びており、右側の切欠対向面13aに沿って配置されている。
【0028】
左側の絡げ部36は、左側の切欠対向面配置部35の左端に連接されており、当該切欠対向面配置部35に対して略直角に折り曲げられている。右側の絡げ部36は、右側の切欠対向面配置部35の右端に連接されており、当該切欠対向面配置部35に対して略直角に折り曲げられている。
各絡げ部36は、切欠対向面配置部35から下方に延びている。
絡げ部36には、括れ部36aが形成されている。括れ部36aは、絡げ部36における括れ部36aの周囲の部分よりも括れている(軸方向に幅狭になっている)。
軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42が巻き付けられた後、
図2に示すように括れ部36aにワイヤ端部(一端部41a等)が絡げられる。
絡げ部36の括れ部36aにワイヤ端部が絡げられることにより、絡げ部36に絡げられたワイヤ端部が絡げ部36から脱落することが抑制される。
【0029】
本実施形態の場合、各絡げ部36の全体が、各切欠形状部13に配置されている。より詳細には、各金属端子30の起立部34、切欠対向面配置部35及び絡げ部36の全体が、各切欠形状部13に配置されている。
起立部34、切欠対向面配置部35及び絡げ部36は、切欠形状部13において、軸方向における内方側の部分に配置されている。
各切欠形状部13において、起立部34、切欠対向面配置部35及び絡げ部36を含む部分は、帯状の金属片を折り曲げることにより構成されている。
【0030】
例えば、左側の底板部31の左端において、左側の起立部34との接続部と対応する部位には、切込部31aが形成されている。また、右側の底板部31の右端において、右側の起立部34との接続部と対応する部位には、切込部31aが形成されている。
【0031】
図3に示すように、例えば、溶接部33の先端33bは、底板部31よりも上方に位置しており、より詳細には対向面12aよりも上方に位置している。
また、絡げ部36の先端36bも、底板部31よりも上方に位置しており、より詳細には対向面12aよりも上方に位置している。
ただし、先端33bは、例えば、先端36bよりも下方に位置している。
【0032】
金属端子30は、例えば、接着剤などにより鍔部12に対して貼り付け固定されている。
【0033】
図5に示すように、コイル部品100は、ドラムコア10に設けられた板コア20を更に備えている。板コア20は、例えば、矩形状の平坦な板状に形成されている。板コア20は、一対の鍔部12の反対面12d(
図3参照)間に亘って架設されている。板コア20も、例えば、フェライトコアである。
【0034】
このように、本実施形態の場合、金属端子30は、ワイヤ端部が絡げられている絡げ部36と、ワイヤ端部が溶接されている溶接部33とを有し、絡げ部36が切欠形状部13に配置されている。
絡げ部36が切欠形状部13に配置されていることにより、鍔部12からの金属端子30のはみ出しを抑制でき、軸部11の軸方向におけるコイル部品100の寸法を抑制できる。また、切欠形状部13内のスペースを利用して絡げ部36にワイヤ端部を容易に絡げることができる。また、金属端子30が絡げ部36と溶接部33とを有していることにより、ワイヤ端部をより安定的に金属端子30に対して接続することができる。
また、絡げ部36と溶接部33との間のワイヤ端部は、いわゆる空中配線となるが、ワイヤ端部は、絡げ部36に絡げられた上で溶接部33にも絡げられるため、絡げ部36と溶接部33との間におけるワイヤ端部の張力を低減できる。換言すれば、絡げ部36と溶接部33とにワイヤ端部の張力を分散させることができる。このため、溶接の際などにおいてワイヤ端部の損傷や断線を抑制することができる。
【0035】
また、鍔部12の軸方向における外方側の面(外面12b)には、軸方向における内方側に向けて窪んだ平坦な凹部14が形成されており、金属端子30は、凹部14に配置されていて軸方向に対して直交している板状部32を有する。溶接部33は、板状部32から実装対象面側(下側)に向けて起立していて、切欠形状部13に対して軸方向における外方側に隣接する位置に配置されている。
金属端子30の板状部32が凹部14に配置されていることによって、鍔部12からの金属端子30のはみ出しを更に抑制でき、軸部11の軸方向におけるコイル部品100の寸法を抑制できる。また、溶接部33は、切欠形状部13に対して軸方向における外方側に隣接する位置に配置されているので、切欠形状部13に配置されている絡げ部36にワイヤ端部を絡げた後、容易にワイヤ端部を溶接部33まで引き回して該溶接部33にワイヤ端部を溶接することができる。
【0036】
コイル部品100は、例えば、コモンモードチョークコイルである。
【0037】
次に、コイル部品100を製造する手順の一例を説明する。
【0038】
先ず、
図1から
図3に示すように、軸部11(
図3参照)に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を巻回し、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bと第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bとをそれぞれ対応する金属端子30の絡げ部36と溶接部33とに順次に絡げる。
例えば、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bは、互いに斜めに対向している2つの金属端子30にそれぞれ絡げる。また、第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bは、残り2つの金属端子30にそれぞれ絡げる。
なお、各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)において、各溶接部33に絡げられている部分よりも先端側の部分は、図示しない外部の治具により保持させておく。
【0039】
次に、各溶接部33にレーザー光を照射して、溶接部33と各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)とを溶接する。これにより、溶接部33の先端部(例えば括れ部33aよりも先端側の部分)と溶接部33に絡げられたワイヤ端部とが溶融して一体化し、溶接玉50(
図4)が形成される。レーザー光の照射方向は、例えば、下から上に向かう方向である。
こうして、各ワイヤ端部が、それぞれ対応する金属端子30に対して溶接され且つ電気的に接続される。
【0040】
次に、一対の鍔部12の反対面12d(
図3参照)間に亘って板コア20を架設する。板コア20は、例えば、接着剤などにより鍔部12に対して貼り付け固定する。こうして、ドラムコア10と板コア20とを有するコイル部品100(
図5)が得られる。
【0041】
〔第2実施形態〕
次に、
図6から
図9を用いて第2実施形態を説明する。
図6は第2実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、
図7は第2実施形態に係るコイル部品100の側面図である。
図6及び
図7は、金属端子30にワイヤ端部が配置された状態を示す。
図8は第2実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、ワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図9は第2実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0042】
本実施形態の場合、金属端子30は、横方向延出部32b及び溶接部33(
図2)を有していない。つまり、板状部32は、第1実施形態で説明した縦方向延在部32aの形状となっている。
その代わりに、金属端子30は、以下に説明する軸方向延出部37(
図9等)、外側延出部38(
図6等)及びかしめ片39(
図9等)を有している。
【0043】
図6等に示すように、軸方向延出部37は、切欠対向面配置部35から軸方向における外方側に延出している。より詳細には、軸方向延出部37は、例えば、切欠対向面13aに沿って配置されている部分と、当該部分から軸方向における外方側に突出している部分(つまり鍔部12から軸方向における外方側に突出している部分)と、を有する。軸方向延出部37は切欠対向面配置部35と同一平面上に配置されている。
【0044】
外側延出部38は、軸方向延出部37において鍔部12から軸方向における外方側に突出している部分から、側方に延出している。左側の外側延出部38は左側の軸方向延出部37から左方に延出しており、右側の外側延出部38は右側の軸方向延出部37から右方に延出している。
【0045】
かしめ片39は、外側延出部38の延出方向における先端部に連接されている。
かしめ片39は、ワイヤ端部がかしめ固定及び溶接される部分である。かしめ片39によってワイヤ端部がかしめ固定された後、ワイヤ端部がかしめ片39に対して溶接される。
【0046】
図6及び
図7に示すように、かしめ片39を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われる前の状態では、かしめ片39は、外側延出部38の延出方向における先端部から下方に起立した状態となっている。この状態では、かしめ片39は、例えば、軸方向延出部37及び外側延出部38に対して略直角に折り曲げられている。この状態では、かしめ片39は、例えば、軸方向延出部37及び外側延出部38よりも軸方向における外方側に突出している溶接片39aを有する。また、この状態において、軸方向延出部37及び外側延出部38とかしめ片39とのなす角度は、90度よりも大きくすることも可能であり、100度以上であることが更に好ましい。
かしめ片39は、例えば、略矩形状の形状に形成されている。
【0047】
図8に示すように、かしめ片39を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われた状態では、かしめ片39は、(外側延出部38を介して)軸方向延出部37から折り返された折り返し形状となる。すなわち、ワイヤ端部を間に挟んでかしめ片39と軸方向延出部37とが対向した状態となり、かしめ片39と外側延出部38又は軸方向延出部37とにより挟持されてワイヤ端部がかしめ固定される。
こうして、かしめ片39は、軸方向延出部37の軸方向に対して直交する方向における端縁から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している。
左側のかしめ片39は軸方向延出部37の先端部(軸方向における外方側の端部)における左端縁から折り返されており、右側のかしめ片39は軸方向延出部37の先端部(軸方向における外方側の端部)における右端縁から折り返されている。
【0048】
図9に示すように、溶接後の状態では、かしめ片39の一部分(例えば溶接片39a)が溶融してワイヤ端部と一体化することにより溶接玉50が形成されている。
ここで、かしめ片39(例えば溶接片39a)とともに、軸方向延出部37の先端部も溶接により溶融してワイヤ端部と一体化していてもよい。更には、外側延出部38の一部分も溶接により溶融してワイヤ端部と一体化していてもよい。
本実施形態の場合、かしめ片39と軸方向延出部37との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部が、溶接部である。
ただし、本発明は、この例に限らず、かしめ片39ではなく軸方向延出部37の先端部が溶接により溶融してワイヤ端部と一体化していてもよい。
【0049】
また、上記の第1実施形態では、絡げ部36が括れ部36a(
図3等)を有していたのに対して、本実施形態の場合、絡げ部36は括れ部36aを有しておらず、絡げ部36の先端部(下端部)は、軸方向における外方側に突出した突出部36cを有している。これによって、絡げ部36に絡げられたワイヤ端部が絡げ部36から脱落することが抑制されている。
【0050】
このように、切欠形状部13は、軸方向に対して平行で対向面12aに対して直交している起立面13bと、実装対象面と対向して配置される切欠対向面13aとを有し、金属端子30は、鍔部12の対向面12aに沿って配置されている底板部31と、底板部31から切欠形状部13の起立面13bに沿って起立している起立部34と、起立部34から切欠形状部13の切欠対向面13aに沿って延びている切欠対向面配置部35と、切欠対向面配置部35から起立し起立部34と対向して配置されていてワイヤ端部が絡げられている絡げ部36と、切欠対向面配置部35から軸方向に延出している軸方向延出部37と、軸方向延出部37から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定しているかしめ片39と、を有し、絡げ部36が切欠形状部13に配置されており、かしめ片39と軸方向延出部37との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部に対して、ワイヤ端部が溶接されている。
よって、ワイヤ端部を絡げ部36に絡げ、更にワイヤ端部をかしめ片39によりかしめ固定した上で、ワイヤ端部を溶接することができるので、ワイヤ端部の溶接をより安定的に行うことができる。
また、ワイヤ端部は、絡げ部36に絡げられた上でかしめ片39によりかしめ固定されるため、絡げ部36とかしめ片39との間におけるワイヤ端部の張力を低減できる。換言すれば、絡げ部36とかしめ片39とにワイヤ端部の張力を分散させることができる。このため、溶接の際などにおいてワイヤ端部の損傷や断線を抑制することができる。
【0051】
本実施形態の場合、ワイヤ端部を絡げ部36に絡げ、更に、かしめ片39によりかしめ固定した状態で、ワイヤ端部を溶接により金属端子30に接続することができるため、ワイヤ端部をより安定的に金属端子30に対して接続することができる。
【0052】
また、
図7に示すように、かしめ片39は、鍔部12の軸方向における外方側の面(外面12b)において切欠対向面13aに対して隣接している部位(横方向延出部14b)よりも、軸方向における外方側に配置されている。
このため、かしめ片39を折り曲げてワイヤ端部をかしめ固定する作業を、鍔部12等と干渉することなく容易に行うことができる。
より詳細には、かしめ片39は、例えば、板状部32よりも軸方向における外方側に配置されている。
【0053】
なお、図示は省略するが、本実施形態の場合も、コイル部品100は、板コア20(
図5参照)を備えている。
【0054】
次に、本実施形態に係るコイル部品100を製造する手順の一例を説明する。
【0055】
先ず、
図6及び
図7に示すように、軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を巻回し、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bと第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bとを、それぞれ対応する金属端子30の絡げ部36に絡げて外側延出部38又は軸方向延出部37に沿って配置する。
なお、各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)において、外側延出部38又は軸方向延出部37に沿って配置されている部分よりも先端側の部分は、図示しない外部の治具により保持させておく。
【0056】
次に、
図8に示すように、各かしめ片39を(外側延出部38を介して)軸方向延出部37に対して折り曲げて、各ワイヤ端部をかしめ固定する。
次に、各金属端子30の例えば溶接片39aにレーザー光を照射して、溶接片39aと各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)とを溶接する。これにより、溶接玉50(
図9)が形成される。レーザー光の照射方向は、例えば、下から上に向かう方向である。こうして、各ワイヤ端部が、それぞれ対応する金属端子30に対して溶接され且つ電気的に接続される。
その後、第1実施形態と同様に、ドラムコア10に板コア20を固定する。こうして、ドラムコア10と板コア20とを有するコイル部品100が得られる。
【0057】
〔第3実施形態〕
次に、
図10から
図15を用いて第3実施形態を説明する。
図10は第3実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、
図11は第3実施形態に係るコイル部品100の側面図であり、それぞれ金属端子30にワイヤ端部が配置された状態を示す。
図12は第3実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、ワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図13は第3実施形態に係るコイル部品100の部分拡大の底面図であり、ワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図14は第3実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、
図15は第3実施形態に係るコイル部品100の部分拡大の底面図であり、それぞれ溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第2実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第2実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0058】
本実施形態の場合、金属端子30は絡げ部36(
図6等)とかしめ片39とを有していない。
その代わりに、金属端子30は、以下に説明する折返片61を有している。
【0059】
折返片61は、軸方向延出部37からの外側延出部38の延出方向における先端部に連接されている。左側の金属端子30の折返片61は外側延出部38の左端部に連接されており、右側の金属端子30の折返片61は外側延出部38の右端部に連接されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、折返片61は、切欠対向面配置部35及び外側延出部38に連接されていてもよいし、切欠対向面配置部35に連接されていてもよい。
【0060】
折返片61は、第1かしめ片63と、第1かしめ片63よりも軸方向における外方側に配置されている第2かしめ片62と、第2かしめ片62と第1かしめ片63とを繋いでいる繋ぎ部64と、を有する。折返片61において、繋ぎ部64と対応する部位には、切込部65が形成されている。
【0061】
第1かしめ片63は、ワイヤ端部がかしめ固定される部分である。
第2かしめ片62は、ワイヤ端部がかしめ固定及び溶接される部分である。第2かしめ片62によってワイヤ端部がかしめ固定された後、ワイヤ端部が、例えば、第2かしめ片62、外側延出部38及び第1かしめ片63に対して溶接される。
【0062】
折返片61の折り返しにより第1かしめ片63及び第2かしめ片62を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われる前の状態では、
図10及び
図11に示すように、折返片61は、外側延出部38の延出方向における先端部から下方に起立した状態となっている。この状態では、折返片61は、例えば、軸方向延出部37及び外側延出部38に対して略直角に折り曲げられている。また、この状態において、軸方向延出部37及び外側延出部38と折返片61とのなす角度は、90度よりも大きくすることも可能であり、100度以上であることが更に好ましい。
【0063】
図12及び
図13に示すように、第1かしめ片63及び第2かしめ片62を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われた状態では、折返片61は、(外側延出部38を介して)軸方向延出部37から折り返された折り返し形状となる。すなわち、ワイヤ端部を間に挟んで折返片61と軸方向延出部37とが対向した状態となり、第1かしめ片63と軸方向延出部37とによりワイヤ端部が挟持されてかしめ固定されるとともに、第2かしめ片62と軸方向延出部37とによりワイヤ端部が挟持されてかしめ固定される。
こうして、折返片61は、軸方向延出部37の軸方向に対して直交する方向における端縁から、軸方向延出部37の軸中心側(内側)へ折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している。
左側の折返片61は軸方向延出部37の左端縁から(外側延出部38を介して)右端縁へ折り返されており、右側のかしめ片39は軸方向延出部37の右端縁から(外側延出部38を介して)左端縁へ折り返されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、折返片61のうち少なくとも第1かしめ片63については、切欠対向面配置部35及び軸方向延出部37から折り返された折り返し形状となっていてもよいし、切欠対向面配置部35から折り返された折り返し形状となっていてもよい。
【0064】
図14及び
図15に示すように、溶接後の状態では、例えば、第2かしめ片62、外側延出部38及び第1かしめ片63の一部分ずつが溶融してワイヤ端部と一体化することにより溶接玉50が形成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、第2かしめ片62の一部分のみが溶接により溶融してワイヤ端部と一体化していてもよいし、軸方向延出部37の一部分のみが溶接により溶融してワイヤ端部と一体化していてもよい。
【0065】
このように、切欠形状部13は、軸方向に対して平行で対向面12aに対して直交している起立面13bと、実装対象面と対向して配置される切欠対向面13aとを有し、金属端子30は、鍔部12の対向面12aに沿って配置されている底板部31と、底板部31から切欠形状部13の起立面13bに沿って起立している起立部34と、起立部34から切欠形状部13の切欠対向面13aに沿って延びている切欠対向面配置部35と、切欠対向面配置部35から軸方向に延出している軸方向延出部37とを有し、金属端子30において、軸方向における外方側の、軸方向延出部37の先端側に位置する部分に、ワイヤ端部が溶接により固定されている。
ここで、金属端子30において、軸方向における外方側の、軸方向延出部37の先端側に位置する部分には、軸方向延出部37の一部分が含まれていても良いし、含まれていなくても良い。すなわち、例えば、第2かしめ片62の一部分のみであってもよい。本実施形態の場合は、例えば、上述のように、第2かしめ片62、外側延出部38及び第1かしめ片63の一部分ずつに対してワイヤ端部が溶接されている。
【0066】
また、金属端子30は、軸方向延出部37と切欠対向面配置部35との少なくとも一方から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している第1かしめ片63と、軸方向延出部37から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している第2かしめ片62とを有し、第2かしめ片62は、第1かしめ片63よりも、軸方向における外方側に配置されており、第2かしめ片62と軸方向延出部37との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部に対して、ワイヤ端部が溶接されている。
また、ワイヤ端部は、第1かしめ片63と第2かしめ片62とによってそれぞれかしめ固定されるため、第1かしめ片63と第2かしめ片62との間におけるワイヤ端部の張力を低減できる。換言すれば、第1かしめ片63と第2かしめ片62とにワイヤ端部の張力を分散させることができる。このため、溶接の際などにおいてワイヤ端部の損傷や断線を抑制することができる。
【0067】
本実施形態の場合、第2かしめ片62の軸方向における外方側の端と軸方向延出部37の軸方向における外方側の端とが互いに面一となっている。このため、第2かしめ片62だけでなく軸方向延出部37を溶融させてワイヤ端部を溶接することを容易に行うことができる。
ただし、本発明は、この例に限らず、軸方向延出部37が第2かしめ片62よりも軸方向における外方側に突出していてもよい。
【0068】
図11に示すように、第2かしめ片62は、鍔部12の軸方向における外方側の面(外面12b)において切欠対向面13aに対して隣接している部位(横方向延出部14b)よりも、軸方向における外方側に配置されている。
【0069】
そして、軸方向延出部37と切欠対向面配置部35との少なくとも一方から折り返された折り返し形状となっている一の折返片61の一部分ずつにより、第1かしめ片63と第2かしめ片62とがそれぞれ構成されている。よって、一の折返片61を折り返すことによって、第1かしめ片63と第2かしめ片62との双方によるかしめ固定を一括して行うことができる。
【0070】
なお、図示は省略するが、本実施形態の場合も、コイル部品100は、板コア20(
図5参照)を備えている。
【0071】
次に、本実施形態に係るコイル部品100を製造する手順の一例を説明する。
【0072】
先ず、
図10及び
図11に示すように、軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を巻回し、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bと第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bとを、それぞれ対応する金属端子30の軸方向延出部37に沿って配置する。
なお、各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)において、軸方向延出部37に沿って配置されている部分よりも先端側の部分は、図示しない外部の治具により保持させておく。
【0073】
次に、
図12及び
図13に示すように、各折返片61を(外側延出部38を介して)軸方向延出部37に対して折り曲げて、各ワイヤ端部を第1かしめ片63及び第2かしめ片62によりかしめ固定する。
次に、例えば、各金属端子30の第2かしめ片62の軸方向における外方側の端部にレーザー光を照射して、第2かしめ片62、軸方向延出部37及び外側延出部38の一部分ずつと各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)とを溶接する。これにより、溶接玉50(
図14、
図15)が形成される。レーザー光の照射方向は、例えば、下から上に向かう方向である。こうして、各ワイヤ端部が、それぞれ対応する金属端子30に対して溶接され且つ電気的に接続される。
その後、第1実施形態と同様に、ドラムコア10に板コア20を固定する。こうして、ドラムコア10と板コア20とを有するコイル部品100が得られる。
【0074】
〔第4実施形態〕
次に、
図16から
図18を用いて第4実施形態を説明する。
図16は第4実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、金属端子30にワイヤ端部が配置された状態を示す。
図17は第4実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、ワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図18は第4実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第3実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第3実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0075】
上記の第3実施形態では、折返片61は、軸方向延出部37から側方に延出した外側延出部38に連接されているのに対し、本実施形態では、
図16等に示すように、折返片61は、軸方向延出部37及び切欠対向面配置部35に連接されている。すなわち、折返片61は、外側延出部38を介することなく直に軸方向延出部37に連接され、且つ、切欠対向面配置部35にも連接されている。より詳細には、折返片61は、軸方向延出部37及び切欠対向面配置部35の軸方向に対して直交する方向における端縁に連接されている。
【0076】
また、上記の第3実施形態では、第2かしめ片62の軸方向における外方側の端と軸方向延出部37の軸方向における外方側の端とが互いに面一となっているのに対し、本実施形態では、第2かしめ片62が軸方向延出部37よりも軸方向における外方側に突出している。
【0077】
また、上記の第3実施形態では、第2かしめ片62が横方向延出部14bよりも軸方向における外方側に配置されているのに対し、本実施形態では、そのようにはなっていない。ただし、本実施形態でも、軸方向延出部37及び第2かしめ片62は、横方向延出部14bよりも軸方向における外方側に突出している。
【0078】
本実施形態の場合も、金属端子30において、軸方向における外方側の、軸方向延出部37の先端側に位置する部分に、ワイヤ端部が溶接により固定されている。
本実施形態の場合も、第2かしめ片62と軸方向延出部37との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部に対して、ワイヤ端部が溶接されている。
詳細には、本実施形態の場合、例えば、第2かしめ片62において、軸方向延出部37よりも軸方向における外方側に突出している部分に対して、ワイヤ端部が溶接されている(
図17、
図18参照)。
【0079】
本実施形態でも、コイル部品100を作製する手順は、第3実施形態と同様である。
【0080】
〔第5実施形態〕
次に、
図19から
図23を用いて第5実施形態を説明する。
図19は第5実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、
図20は第5実施形態に係るコイル部品100の側面図であり、それぞれ金属端子30にワイヤ端部が配置された状態を示す。
図21は第5実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、ワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図22は第5実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、
図23は第5実施形態に係るコイル部品100の正面図であり、それぞれ溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0081】
本実施形態の場合、金属端子30は、それぞれ
図2に示す横方向延出部32b及び溶接部33を有していない。つまり、板状部32は、第1実施形態で説明した縦方向延在部32aの形状となっている。更に、本実施形態の場合、金属端子30は、
図2に示す絡げ部36を有していない。
その代わりに、本実施形態の場合、金属端子30は、それぞれ以下に説明する第1軸方向延出部71、第2軸方向延出部72、位置決め起立部74、側方突出部75、かしめ片76及び接続部77を有している。
【0082】
本実施形態の場合、底板部31は、対向面12aの軸方向における内方側の端には達していない。同様に、起立部34は、起立面13bの軸方向における内方側の端には達していない。同様に、切欠対向面配置部35は、切欠対向面13aの軸方向における内方側の端には達していない。
換言すれば、底板部31、起立部34及び切欠対向面配置部35の各々の軸方向における内方側の端は、鍔部12の内面12cよりも、軸方向における外方側に位置している。
【0083】
図19等に示すように、第1軸方向延出部71は、切欠対向面配置部35から軸方向における外方側に延出している。より詳細には、第1軸方向延出部71は、例えば、切欠対向面13aに沿って配置されている部分と、当該部分から軸方向における外方側に突出している部分(つまり鍔部12から軸方向における外方側に突出している部分)と、を有する。軸方向延出部37は切欠対向面配置部35と同一平面上に配置されている。
【0084】
第1軸方向延出部71の延出方向における先端部において、軸方向に対して交差する方向における内方側の端縁には、切欠形状部71aが形成されている。これにより、第1軸方向延出部71の延出方向における先端部には、幅狭の溶接片73が形成されている。
より詳細には、切欠形状部71aは、テーパー状の部分を含んでおり、第1軸方向延出部71の延出方向における先端部において、溶接片73に対して側方突出部75側(軸方向における内方側)に隣接する部分は、先端側(軸方向における外方側)に向けて徐々に幅狭になっている。溶接片73は、第1軸方向延出部71において先端側に向けて徐々に幅狭になっている部分の先端側に連接されている。
【0085】
第1軸方向延出部71の延出方向における先端部において、軸方向に対して交差する方向における外方側の端縁には、接続部77を介してかしめ片76が連接されている。より詳細には、第1軸方向延出部71の延出方向における先端部において、溶接片73よりも軸方向における内方側に位置する部分に対して、接続部77を介してかしめ片76が連接されている。換言すれば、溶接片73は、接続部77よりも、軸方向における外方側に突出している。
【0086】
かしめ片76は、ワイヤ端部がかしめ固定及び溶接される部分である。かしめ片76によってワイヤ端部がかしめ固定された後、ワイヤ端部がかしめ片76に対して溶接される。
図20に示すように、かしめ片76は、鍔部12の軸方向における外方側の面(外面12b)において切欠対向面13aに対して隣接している部位(横方向延出部14b)よりも、軸方向における外方側に配置されている。
このため、かしめ片76を折り曲げてワイヤ端部をかしめ固定する作業を、鍔部12等と干渉することなく容易に行うことができる。
より詳細には、かしめ片76は、例えば、板状部32よりも軸方向における外方側に配置されている。
【0087】
図19及び
図20に示すように、かしめ片76を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われる前の状態では、かしめ片76は、接続部77を介して第1軸方向延出部71から下方に起立した状態となっている。この状態では、かしめ片76は、例えば、接続部77を介して、第1軸方向延出部71に対して略直角に折り曲げられている。また、この状態において、かしめ片76と第1軸方向延出部71とのなす角度は、90度よりも大きくすることも可能であり、100度以上であることが更に好ましい。
【0088】
かしめ片76は、
図21に示すようにかしめられた際には、上下方向において第1軸方向延出部71の先端部と重なる形状となっている。
かしめ片76において、第1軸方向延出部71側(接続部77側)とは反対側の端縁には、切欠形状部76aが形成されている。これにより、かしめ片76の軸方向における外方側の端部には、幅狭の溶接片76bが形成されている。
より詳細には、切欠形状部76aは、テーパー状の部分を含んでおり、かしめ片76において軸方向における外方側の部分は、軸方向における外方側に向けて徐々に幅狭になっている。溶接片76bは、かしめ片76において軸方向における外方側に向けて徐々に幅狭になっている部分に連接されている。
【0089】
図21に示すように、かしめ片76を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われた状態では、かしめ片76は、(接続部77を介して)第1軸方向延出部71から折り返された折り返し形状となる。すなわち、ワイヤ端部を間に挟んでかしめ片76と第1軸方向延出部71とが対向した状態となり、かしめ片76と第1軸方向延出部71とにより挟持されてワイヤ端部がかしめ固定される。
こうして、かしめ片76は、第1軸方向延出部71の軸方向に対して直交する方向における外端縁から内端縁へ折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している。
左側のかしめ片76は第1軸方向延出部71の先端部(軸方向における外方側の端部)における左端縁から折り返されており、右側のかしめ片76は第1軸方向延出部71の先端部(軸方向における外方側の端部)における右端縁から折り返されている。
【0090】
図22及び
図23に示すように、溶接後の状態では、かしめ片76の一部分(例えば溶接片76b)及び第1軸方向延出部71の一部分(例えば溶接片73)が溶融してワイヤ端部と一体化することにより溶接玉50が形成されている。
ここで、かしめ片76及び第1軸方向延出部71において、溶接片76b及び溶接片73よりも軸方向における内方側の部分も、溶融して溶接玉50を形成してもよい。
同様に、接続部77の一部分も、溶融して溶接玉50を形成してもよい。
なお、本発明は、これらの例に限らず、かしめ片76の一部分のみが溶接によりワイヤ端部と一体化してもよいし、第1軸方向延出部71の一部分のみが溶接によりワイヤ端部と一体化してもよい。
なお、
図23に示すように、例えば、溶接玉50における半分以上の部分は、切欠形状部13内のスペースに収まっている。
【0091】
接続部77は、かしめ片76の基端に位置していてかしめ片76と第1軸方向延出部71とを相互に接続している。接続部77は、例えば、軸方向に長尺に形成されている(軸方向に延在している)。
【0092】
第2軸方向延出部72は、切欠対向面配置部35から軸方向における内方側に延出しており、切欠対向面13aに沿って配置されている。
【0093】
位置決め起立部74は、第2軸方向延出部72の軸方向における内方側の端部から実装対象面側に向けて起立している。ただし、本発明は、この例に限らず、位置決め起立部74は、切欠対向面配置部35から実装対象面側に向けて起立していてもよい。位置決め起立部74の板面は、例えば、軸方向における内方側及び外方側を向いている。
より詳細には、位置決め起立部74は、切欠形状部13内のスペースにおいて、軸方向における内方側の端部に配置されている。
図20に示すように、位置決め起立部74の起立方向における先端74aは、対向面12aよりも上方に位置している。
位置決め起立部74は、ワイヤ端部を軸方向に対して交差する方向において位置決めしている。すなわち、左側の位置決め起立部74の左端部が、ワイヤ端部の右方への移動を規制しており、右側の位置決め起立部74の右端部が、ワイヤ端部の左方への移動を規制している。
【0094】
側方突出部75は、切欠対向面配置部35及び第1軸方向延出部71から側方に突出している。ただし、本発明は、この例に限らず、切欠対向面配置部35と第1軸方向延出部71とのうち切欠対向面配置部35のみから側方に突出していてもよいし、第1軸方向延出部71のみから側方に突出していてもよい。
左側の側方突出部75は側方突出部75及び第1軸方向延出部71の左端縁から左方に突出しており、右側の側方突出部75は側方突出部75及び第1軸方向延出部71の右端縁から右方に突出している。
側方突出部75は、例えば、軸方向に長尺に形成されている(軸方向に延在している)。そして、例えば、側方突出部75の延長上の位置に接続部77が配置されている。
なお、かしめ片76及び接続部77は、側方突出部75から離間しており、かしめ片76をかしめる際にかしめ片76が側方突出部75と干渉しないようになっている。
側方突出部75は、位置決め起立部74とかしめ片76との間において、切欠対向面13a側へのワイヤ端部の移動を規制している。
【0095】
このように、本実施形態の場合、切欠形状部13は、軸方向に対して平行で対向面12aに対して直交している起立面13bと、実装対象面と対向して配置される切欠対向面13aとを有し、金属端子30は、鍔部12の対向面12aに沿って配置されている底板部31と、底板部31から切欠形状部13の起立面13bに沿って起立している起立部34と、起立部34から切欠形状部13の切欠対向面13aに沿って延びている切欠対向面配置部35と、切欠対向面配置部35から軸方向に延出している軸方向延出部(第1軸方向延出部71)とを有し、金属端子30において、軸方向における外方側の、軸方向延出部の先端側に位置する部分に、ワイヤ端部が溶接により固定されている。
【0096】
また、金属端子30は、切欠対向面配置部35又は軸方向延出部(第1軸方向延出部71)から実装対象面側に起立していてワイヤ端部を前記軸方向に対して交差する方向において位置決めしている位置決め起立部74と、軸方向延出部から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定しているかしめ片76とを有し、かしめ片76は、位置決め起立部74よりも、軸方向における外方側に配置されており、かしめ片76と軸方向延出部との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部に対して、ワイヤ端部が溶接されている。ワイヤ端部を位置決め起立部74によって位置決めした上でかしめ片76によってかしめ固定することができるため、ワイヤ端部を所望の経路にした上でワイヤ端部をかしめ固定することができる。
【0097】
また、位置決め起立部74は、金属端子30において切欠対向面13aに沿って配置されている部分(第1軸方向延出部71、切欠対向面配置部35及び第2軸方向延出部72を含む部分)の、軸方向における内方側の端部から、起立している。よって、各ワイヤ端部において軸部11から引き出されてすぐの部分を、位置決め起立部74によって位置決めすることができるので、各ワイヤ端部を所望の位置に位置決めしやすくなる。
【0098】
また、金属端子30は、軸方向延出部(第1軸方向延出部71)と切欠対向面配置部35との少なくとも一方から側方に突出している側方突出部75を有し、側方突出部75は、位置決め起立部74とかしめ片76との間において、切欠対向面13a側へのワイヤ端部の移動を規制している。
【0099】
なお、
図22及び
図23に示すように、本実施形態の場合も、コイル部品100は、板コア20を備えている。
【0100】
次に、本実施形態に係るコイル部品100を製造する手順の一例を説明する。
【0101】
先ず、
図19及び
図20に示すように、軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を巻回し、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bと第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bとを、それぞれ対応する金属端子30に配置する。
より詳細には、各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)を、それぞれ対応する金属端子30の位置決め起立部74に沿って屈曲させ、更に側方突出部75に沿って配置し、更に接続部77又は第1軸方向延出部71に沿って配置し、外方に引き出す。
なお、各ワイヤ端部において、第1軸方向延出部71又は接続部77に沿って配置されている部分よりも先端側の部分は、図示しない外部の治具により保持させておく。
【0102】
次に、
図21に示すように、各かしめ片76を(接続部77を介して)第1軸方向延出部71に対して折り曲げて、各ワイヤ端部をかしめ片76と第1軸方向延出部71とにより挟持させてかしめ固定する。
次に、例えば、各金属端子30のかしめ片76の溶接片76bにレーザー光を照射して、溶接片76bと溶接片73とを含むかしめ片76及び第1軸方向延出部71の一部分ずつと接続部77の一部分とを溶融させて各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)と一体化させ、溶接玉50を形成する(
図22)。レーザー光の照射方向は、例えば、下から上に向かう方向である。こうして、各ワイヤ端部が、それぞれ対応する金属端子30に対して溶接され且つ電気的に接続される。
その後、第1実施形態と同様に、ドラムコア10に板コア20を固定する。こうして、ドラムコア10と板コア20とを有するコイル部品100が得られる。
【0103】
〔第6実施形態〕
次に、
図24を用いて第6実施形態を説明する。
図24は第6実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30における位置決め起立部74の配置が、上記の第5実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第5実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0104】
本実施形態の場合、位置決め起立部74は、例えば、起立部34と対向する位置において、切欠対向面配置部35から起立している。位置決め起立部74は、切欠対向面配置部35に対して折り曲げられている。位置決め起立部74の板面は、左右方向を向いている。なお、側方突出部75は、第1軸方向延出部71から側方に突出している。
【0105】
そして、位置決め起立部74は、軸方向に対して平行に延在している。このため、各ワイヤ端部のより長い範囲を位置決め起立部74によって位置決めできるため、各ワイヤ端部をより安定的に所望の位置に配置することができる。
【0106】
〔第7実施形態〕
次に、
図25から
図27を用いて第7実施形態を説明する。
図25は第7実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、
図26は第7実施形態に係るコイル部品100の側面図であり、それぞれワイヤ端部がかしめ固定された状態を示す。
図27は第7実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た部分拡大の斜視図であり、溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第5実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第5実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0107】
本実施形態の場合、金属端子30は、位置決め起立部74及び側方突出部75を有していない。
また、第1軸方向延出部71及びかしめ片76には切欠形状部71a及び切欠形状部76aが形成されておらず、従って、第1軸方向延出部71及びかしめ片76には幅狭の溶接片73及び切欠形状部76aが形成されていない。
本実施形態の場合、かしめ片76は第2かしめ片である。
【0108】
本実施形態の場合、凹部14は、横方向延出部14bを有しておらず、例えば、縦方向延在部14aのみにより構成されている。
図25から
図27に示すように、かしめ片76は、軸方向において鍔部12よりも外方側に突出している。より詳細には、かしめ片76は、縦方向延出部14aよりも、軸方向における外方側に配置されている。
【0109】
本実施形態の場合、第1軸方向延出部71の軸方向における外方側の端部には対向片79が形成されている。対向片79は、第1軸方向延出部71における対向片79以外の部分よりも、軸方向に対して直交する方向に幅広に形成されている。対向片79は、かしめ片76がかしめられた際にかしめ片76と対向する部分である。
【0110】
更に、本実施形態の場合、金属端子30は、かしめ片78(第1かしめ片)を有している。
かしめ片78は、第2軸方向延出部72の軸方向における内方側の端部に連接されている。より詳細には、かしめ片78は、第2軸方向延出部72の軸方向に対して直交する方向における内方側に連接されている。
このため、第1軸方向延出部71(の対向片79)に対するかしめ片76の折り返し方向(外から内の方向)と、第2軸方向延出部72に対するかしめ片78の折り返し方向(内から外の方向)とが互いに反対方向となっている。
【0111】
図示はしないが、かしめ片78及びかしめ片76を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われる前の状態では、かしめ片78は、第2軸方向延出部72から下方に起立した状態となっており、かしめ片76は、第1軸方向延出部71から(接続部77を介して)下方に起立した状態となっている。この状態では、例えば、かしめ片78は、第2軸方向延出部72に対して略直角に折り曲げられており、かしめ片76は、第1軸方向延出部71に対して略直角に折り曲げられている。
【0112】
図25及び
図26に示すように、かしめ片78及びかしめ片76を用いたワイヤ端部のかしめ固定が行われた状態では、かしめ片78は、第2軸方向延出部72から折り返された折り返し形状となり、かしめ片76は、第1軸方向延出部71(の対向片79)から(接続部77を介して)折り返された折り返し形状となる。すなわち、かしめ片78と第2軸方向延出部72とがワイヤ端部を間に挟んで対向した状態となり、かしめ片78と第2軸方向延出部72とによりワイヤ端部が挟持されてかしめ固定されるとともに、かしめ片76と第1軸方向延出部71の対向片79とがワイヤ端部を間に挟んで対向した状態となり、かしめ片76と第1軸方向延出部71の対向片79とによりワイヤ端部が挟持されてかしめ固定される。
【0113】
図27に示すように、溶接後の状態では、例えば、かしめ片76の一部分が溶融してワイヤ端部と一体化することにより溶接玉50が形成されている。
ただし、本発明は、この例に限らず、かしめ片76及び第1軸方向延出部71(例えば第1軸方向延出部71の対向片79)の一部分ずつが溶融してワイヤ端部と一体化していても良いし、かしめ片76と第1軸方向延出部71とのうち第1軸方向延出部71のみの一部分が溶融してワイヤ端部と一体化していてもよい。
【0114】
なお、本実施形態の場合、例えば、底板部31が起立部34よりも軸方向における内方側に延びている。
【0115】
このように、切欠形状部13は、軸方向に対して平行で対向面12aに対して直交している起立面13bと、実装対象面と対向して配置される切欠対向面13aとを有し、金属端子30は、鍔部12の対向面12aに沿って配置されている底板部31と、底板部31から切欠形状部13の起立面13bに沿って起立している起立部34と、起立部34から切欠形状部13の切欠対向面13aに沿って延びている切欠対向面配置部35と、切欠対向面配置部35から軸方向に延出している軸方向延出部(第1軸方向延出部71及び第2軸方向延出部72)とを有し、金属端子30において、軸方向における外方側の、軸方向延出部の先端側に位置する部分に、ワイヤ端部が溶接により固定されている。
【0116】
また、金属端子30は、軸方向延出部(ここでは第2軸方向延出部72)から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している第1かしめ片(かしめ片78)と、軸方向延出部(ここでは第1軸方向延出部71)から折り返された折り返し形状となっていてワイヤ端部をかしめ固定している第2かしめ片(かしめ片76)とを有し、第2かしめ片は、第1かしめ片よりも、軸方向における外方側に配置されており、第2かしめ片と軸方向延出部との少なくとも一方の、軸方向における外方側の端部に対して、ワイヤ端部が溶接されている。よって、各ワイヤ端部を、それぞれ2つのかしめ片によってより安定的に固定することができる。
また、ワイヤ端部は、第1かしめ片と第2かしめ片とによってそれぞれかしめ固定されるため、第1かしめ片と第2かしめ片との間におけるワイヤ端部の張力を低減できる。換言すれば、第1かしめ片と第2かしめ片とにワイヤ端部の張力を分散させることができる。このため、溶接の際などにおいてワイヤ端部の損傷や断線を抑制することができる。
【0117】
なお、本実施形態の場合も、凹部14は、横方向延出部14bを有していても良く、その場合に、かしめ片76は、横方向延出部14bよりも、軸方向における外方側に配置されていることが好ましい。すなわち、本実施形態の場合も、第2かしめ片(かしめ片76)は、鍔部12の軸方向における外方側の面(外面12b)において切欠対向面13aに対して隣接している部位(横方向延出部14b)よりも、軸方向における外方側に配置されていることが好ましい。このようにすることによって、第2かしめ片をかしめる際に鍔部12が邪魔になりにくいようにできる。
【0118】
そして、第1かしめ片(かしめ片78)の折り返し方向と第2かしめ片(かしめ片76)の折り返し方向とが互いに反対方向となっている。このため、第1かしめ片及び第2かしめ片によってより安定的にワイヤ端部をかしめ固定することができる。
【0119】
次に、本実施形態に係るコイル部品100を製造する手順の一例を説明する。
【0120】
先ず、軸部11に第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42を巻回し、第1ワイヤ41の一端部41a及び他端部41bと第2ワイヤ42の一端部42a及び他端部42bとを、それぞれ対応する金属端子30の第2軸方向延出部72、切欠対向面配置部35及び第1軸方向延出部71に沿って配置する。
なお、各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)において、第1軸方向延出部71に沿って配置されている部分よりも先端側の部分は、図示しない外部の治具により保持させておく。
【0121】
次に、
図25及び
図26に示すように、各金属端子30のかしめ片78及びかしめ片76を第2軸方向延出部72及び第1軸方向延出部71に対してそれぞれ折り曲げて、各ワイヤ端部をかしめ片78及びかしめ片76によりかしめ固定する。
次に、例えば、各金属端子30のかしめ片76にレーザー光を照射して、かしめ片76の一部分と各ワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42b)とを溶接する。これにより、溶接玉50(
図27)が形成される。レーザー光の照射方向は、例えば、下から上に向かう方向である。こうして、各ワイヤ端部が、それぞれ対応する金属端子30に対して溶接され且つ電気的に接続される。
その後、第1実施形態と同様に、ドラムコア10に板コア20を固定する。こうして、ドラムコア10と板コア20とを有するコイル部品100が得られる。
【0122】
〔第8実施形態〕
次に、
図28から
図30を用いて第8実施形態を説明する。
図28は第8実施形態に係るコイル部品100を底面側から視た斜視図であり、金属端子30にワイヤ端部が絡げられた状態を示す。
図29は第8実施形態に係るコイル部品100の斜視図であり、
図30は第8実施形態に係るコイル部品100の側面図であり、それぞれ溶接後の状態を示す。
本実施形態に係るコイル部品100は、金属端子30の構造が、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と相違しており、その他の点では、上記の第1実施形態に係るコイル部品100と同様に構成されている。
【0123】
本実施形態の場合、金属端子30は、それぞれ
図2に示す起立部34、切欠対向面配置部35、絡げ部36及び切込部31aを有していない。
そして、
図28に示すように、金属端子30は、横方向延出部32bから実装対象面側に向けて起立している起立部81と、起立部81から軸方向における外方側に向けて斜めに突出している突出片82と、を有している。本実施形態の場合、板状部32は、起立部81を含んで構成されている。
【0124】
なお、起立部81は、例えば、板状部32(縦方向延在部32a及び横方向延出部32b)と同一平面上に配置されているが、軸方向に対して交差する方向に斜めに起立しており、鍔部12から側方に突出している。すなわち、左側の起立部81は、鍔部12の左端面から左方に突出しており、右側の起立部81は、鍔部12の右端面から右方に突出している。
【0125】
各ワイヤ端部は、切欠形状部13内のスペースを通して軸方向における外方に引き出されており、各金属端子30に接続されている。
突出片82には、例えば、片側が括れた形状の括れ部82aが形成されている。各ワイヤ端部は、括れ部82aに絡げられている。更に、例えば、突出片82において括れ部82aよりも先端側の部分は、溶接により溶融してワイヤ端部と一体化している。これにより、溶接玉50(
図29、
図30)が形成されている。
【0126】
このように、本実施形態に係るコイル部品100は、軸部11(
図30)と、軸部11の両端にそれぞれ形成された鍔部12とを有するコア(ドラムコア10)と、軸部11に巻回された第1ワイヤ41及び第2ワイヤ42と、第1ワイヤ41の両端部(一端部41a、他端部41b)及び第2ワイヤ42の両端部(一端部42a、他端部42b)のうち対応するワイヤ端部(一端部41a、他端部41b、一端部42a、他端部42bのいずれか)がそれぞれ接続されている複数の金属端子30とを備え、鍔部12において実装対象面と対向して配置される対向面12aのうち、軸部11の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部13が形成されており、ワイヤ端部は、切欠形状部13を介して軸方向における外方に引き出され、金属端子30に接続されている。
このため、金属端子30に対するワイヤ端部の接続は、切欠形状部13よりも外方において、鍔部12との干渉を避けつつ行うことができる。よって、金属端子30にワイヤ端部を接続する工程を容易に行うことができる。つまり、コイル部品100の良好な製造容易性を確保することができる。
【0127】
また、金属端子30は、鍔部12の軸方向における外方側の面に沿って配置されていて軸方向に対して直交している板状部32と、板状部32から軸方向における外方側に向けて斜めに突出している突出片82とを有し、ワイヤ端部は、突出片82に溶接されている。よって、金属端子30に対してワイヤ端部を溶接により接続する際に、より一層鍔部12が邪魔になりにくくなるので、コイル部品100の製造がより容易になる。
【0128】
以上、図面を参照して各実施形態を説明したが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。また、上記の各実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、適宜に組み合わせることができる。
【0129】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)軸部と、前記軸部の両端にそれぞれ形成された鍔部と、を有するコアと、
前記軸部に巻回された第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記第1ワイヤの両端部及び前記第2ワイヤの両端部のうち対応するワイヤ端部がそれぞれ接続されている複数の金属端子と、
を備え、
前記鍔部において実装対象面と対向して配置される対向面のうち、前記軸部の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部が形成されており、
前記切欠形状部に前記金属端子の少なくとも一部分が配置されているコイル部品。
(2)前記切欠形状部は、前記軸方向に対して平行で前記対向面に対して直交している起立面と、前記実装対象面と対向して配置される切欠対向面と、を有し、
前記金属端子は、
前記鍔部の前記対向面に沿って配置されている底板部と、
前記底板部から前記切欠形状部の前記起立面に沿って起立している起立部と、
前記起立部から前記切欠形状部の前記切欠対向面に沿って延びている切欠対向面配置部と、
前記切欠対向面配置部から前記軸方向に延出している軸方向延出部と、
を有し、
前記金属端子において、前記軸方向における外方側の、前記軸方向延出部の先端側に位置する部分に、前記ワイヤ端部が溶接により固定されている(1)に記載のコイル部品。
(3)前記金属端子は、
前記軸方向延出部と前記切欠対向面配置部との少なくとも一方から折り返された折り返し形状となっていて前記ワイヤ端部をかしめ固定している第1かしめ片と、
前記軸方向延出部から折り返された折り返し形状となっていて前記ワイヤ端部をかしめ固定している第2かしめ片と、
を有し、
前記第2かしめ片は、前記第1かしめ片よりも、前記軸方向における外方側に配置されており、
前記第2かしめ片と前記軸方向延出部との少なくとも一方の、前記軸方向における外方側の端部に対して、前記ワイヤ端部が溶接されている(2)に記載のコイル部品。
(4)前記第2かしめ片の前記軸方向における外方側の端と前記軸方向延出部の前記軸方向における外方側の端とが互いに面一であるか、又は、前記軸方向延出部が前記第2かしめ片よりも前記軸方向における外方側に突出している(3)に記載のコイル部品。
(5)前記第2かしめ片は、前記鍔部の前記軸方向における外方側の面において前記切欠対向面に対して隣接している部位よりも、前記軸方向における外方側に配置されている(3)又は(4)に記載のコイル部品。
(6)前記軸方向延出部と前記切欠対向面配置部との少なくとも一方から折り返された折り返し形状となっている一の折返片の一部分ずつにより、前記第1かしめ片と前記第2かしめ片とがそれぞれ構成されている(3)から(5)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(7)前記第1かしめ片の折り返し方向と前記第2かしめ片の折り返し方向とが互いに反対方向となっている(3)から(5)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(8)前記金属端子は、
前記切欠対向面配置部又は前記軸方向延出部から前記実装対象面側に起立していて前記ワイヤ端部を前記軸方向に対して交差する方向において位置決めしている位置決め起立部と、
前記軸方向延出部から折り返された折り返し形状となっていて前記ワイヤ端部をかしめ固定しているかしめ片と、
を有し、
前記かしめ片は、前記位置決め起立部よりも、前記軸方向における外方側に配置されており、
前記かしめ片と前記軸方向延出部との少なくとも一方の、前記軸方向における外方側の端部に対して、前記ワイヤ端部が溶接されている(2)に記載のコイル部品。
(9)前記金属端子は、前記軸方向延出部と前記切欠対向面配置部との少なくとも一方から側方に突出している側方突出部を有し、
前記側方突出部は、前記位置決め起立部と前記かしめ片との間において、前記切欠対向面側への前記ワイヤ端部の移動を規制している(8)に記載のコイル部品。
(10)前記位置決め起立部は、前記金属端子において前記切欠対向面に沿って配置されている部分の、前記軸方向における内方側の端部から、起立している(8)又は(9)に記載のコイル部品。
(11)前記位置決め起立部は、前記軸方向に対して平行に延在している(8)から(10)のいずれか一項に記載のコイル部品。
(12)前記金属端子は、
前記ワイヤ端部が絡げられている絡げ部と、
前記ワイヤ端部が溶接されている溶接部と、
を有し、
前記絡げ部が前記切欠形状部に配置されている(1)に記載のコイル部品。
(13)前記鍔部の前記軸方向における外方側の面には、前記軸方向における内方側に向けて窪んだ平坦な凹部が形成されており、
前記金属端子は、前記凹部に配置されていて前記軸方向に対して直交している板状部を有し、
前記溶接部は、前記板状部から前記実装対象面側に向けて起立していて、前記切欠形状部に対して前記軸方向における外方側に隣接する位置に配置されている(12)に記載のコイル部品。
(14)前記切欠形状部は、前記軸方向に対して平行で前記対向面に対して直交している起立面と、前記実装対象面と対向して配置される切欠対向面と、を有し、
前記金属端子は、
前記鍔部の前記対向面に沿って配置されている底板部と、
前記底板部から前記切欠形状部の前記起立面に沿って起立している起立部と、
前記起立部から前記切欠形状部の前記切欠対向面に沿って延びている切欠対向面配置部と、
前記切欠対向面配置部から起立し前記起立部と対向して配置されていて前記ワイヤ端部が絡げられている絡げ部と、
前記切欠対向面配置部から前記軸方向に延出している軸方向延出部と、
前記軸方向延出部から折り返された折り返し形状となっていて前記ワイヤ端部をかしめ固定しているかしめ片と、
を有し、
前記絡げ部が前記切欠形状部に配置されており、
前記かしめ片と前記軸方向延出部との少なくとも一方の、前記軸方向における外方側の端部に対して、前記ワイヤ端部が溶接されている(1)に記載のコイル部品。
(15)前記かしめ片は、前記鍔部の前記軸方向における外方側の面において前記切欠対向面に対して隣接している部位よりも、前記軸方向における外方側に配置されている(14)に記載のコイル部品。
(16)軸部と、前記軸部の両端にそれぞれ形成された鍔部と、を有するコアと、
前記軸部にそれぞれ巻回される第1ワイヤ及び第2ワイヤの各々の両端部のうち対応するワイヤ端部がそれぞれ接続される複数の金属端子と、
を備え、
前記鍔部において実装対象面と対向して配置される対向面のうち、前記軸部の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部が形成されており、
前記切欠形状部に前記金属端子の少なくとも一部分が配置されているコイル部品。
(17)軸部と、前記軸部の両端にそれぞれ形成された鍔部と、を有するコアと、
前記軸部に巻回された第1ワイヤ及び第2ワイヤと、
前記第1ワイヤの両端部及び前記第2ワイヤの両端部のうち対応するワイヤ端部がそれぞれ接続されている複数の金属端子と、
を備え、
前記鍔部において実装対象面と対向して配置される対向面のうち、前記軸部の軸方向に対して直交する方向における両方の端部に、それぞれ切欠形状部が形成されており、
前記ワイヤ端部は、前記切欠形状部を介して前記軸方向における外方に引き出され、前記金属端子に接続されているコイル部品。
(18)前記金属端子は、
前記鍔部の前記軸方向における外方側の面に沿って配置されていて前記軸方向に対して直交している板状部と、
前記板状部から前記軸方向における外方側に向けて斜めに突出している突出片と、
を有し、
前記ワイヤ端部は、前記突出片に溶接されている(17)に記載のコイル部品。