特開2019-93880(P2019-93880A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2019093880-導風構造 図000003
  • 特開2019093880-導風構造 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-93880(P2019-93880A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】導風構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20190530BHJP
【FI】
   B60K11/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-224469(P2017-224469)
(22)【出願日】2017年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】特許業務法人あーく特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻 恭史郎
(72)【発明者】
【氏名】高見 領太郎
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA05
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC11
3D038AC16
3D038AC19
(57)【要約】
【課題】導風板とフロントバンパカバーとの間の隙間が開放されるのを抑制することが可能な導風構造を提供する。
【解決手段】導風構造3は、フロントバンパカバー1に設けられたグリル11から流入する外気をECM2に導くためのものであり、ECM2の車幅方向の端部に設けられ、フロントバンパカバー1側に延びるように形成された導風板31と、導風板31の先端31bとフロントバンパカバー1との間の隙間Cを塞ぐための閉塞部材32とを備える。閉塞部材32は、樹脂製の板状部材であり、一方端部32aがフロントバンパカバー1に取り付けられるとともに、他方端部32bが導風板31の先端31bに対して車幅方向の内側に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントバンパカバーに設けられたグリルから流入する外気を熱交換装置に導くための導風構造であって、
前記熱交換装置の車幅方向の端部に設けられ、前記フロントバンパカバー側に延びるように形成された導風板と、
前記導風板の先端と前記フロントバンパカバーとの間の隙間を塞ぐための閉塞部材とを備え、
前記閉塞部材は、樹脂製の板状部材であり、一方端部が前記フロントバンパカバーに取り付けられるとともに、他方端部が前記導風板の先端に対して車幅方向の内側に配置されていることを特徴とする導風構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導風構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントバンパカバーに設けられたグリルから流入する外気を熱交換装置に導くための導風構造が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の導風構造は、フロントバンパカバーとラジエータ(熱交換装置)との間に配置される一対の導風板を備えている。一対の導風板は、車両前後方向に延びるように形成され、フロントバンパカバーの開口部から流入する外気をラジエータに導くように構成されている。ここで、導風板とフロントバンパカバーとの間には隙間が形成されており、その隙間にスポンジを設けてもよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−81794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の導風構造において、導風板とフロントバンパカバーとの間の隙間にスポンジが設けられる場合に、外気の流入速度が上昇して風圧(導風構造内の空気圧)が高くなると、スポンジが変形されることにより、隙間が開放されるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、導風板とフロントバンパカバーとの間の隙間が開放されるのを抑制することが可能な導風構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による導風構造は、フロントバンパカバーに設けられたグリルから流入する外気を熱交換装置に導くためのものであり、熱交換装置の車幅方向の端部に設けられ、フロントバンパカバー側に延びるように形成された導風板と、導風板の先端とフロントバンパカバーとの間の隙間を塞ぐための閉塞部材とを備える。閉塞部材は、樹脂製の板状部材であり、一方端部がフロントバンパカバーに取り付けられるとともに、他方端部が導風板の先端に対して車幅方向の内側に配置されている。
【0008】
このように構成することによって、外気の流入速度が上昇して風圧が高くなったとしても、閉塞部材の他方端部が導風板に押し付けられるので、隙間が開放されるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の導風構造によれば、導風板とフロントバンパカバーとの間の隙間が開放されるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による導風構造を備える車両前部構造を模式的に示した平断面図である。
図2図1の車両前部構造を模式的に示した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
まず、図1および図2を参照して、本発明の一実施形態による導風構造3を備える車両前部構造100について説明する。
【0013】
車両前部構造100は、図1に示すように、フロントバンパカバー1と、ECM(エンジンクーリングモジュール)2と、導風構造3とを備えている。なお、車両前部構造100は左右対称に構成されているため、図1では見やすさを考慮して右側半分のみを示し、左側半分の図示を省略した。また、各図において、車両前後方向のフロント側がX1方向側であり、車両前後方向のリア側がX2方向側である。車幅方向の右側がY1方向側であり、車幅方向の左側がY2方向側である。鉛直方向の上側がZ1方向側であり、鉛直方向の下側がZ2方向側である。
【0014】
フロントバンパカバー1は、車両の前端部に配置され、車幅方向に延びるように形成されている。このフロントバンパカバー1には車幅方向における中央部に開口部1aが形成され、その開口部1aを塞ぐようにグリル11が取り付けられている。グリル11は、網目状に形成されており、外気を流入させるための複数の開口11aを有する。なお、外気は、車両走行やファン(図示省略)によって導風構造3に流入され、その導風構造3によりECM2に導かれるようになっている。
【0015】
ECM2は、フロントバンパカバー1に対してリア側(X2方向側)に配置され、サポート部材(図示省略)により支持されている。このECM2は、図2に示すように、たとえばコンデンサ21と内燃機関用のラジエータ22と電気機器用のラジエータ23とを含んでいる。コンデンサ21は、車両に搭載される空調装置の構成部品であり、空調装置の冷媒を外気との熱交換によって冷却するために設けられている。ラジエータ22は、内燃機関の冷却を行う冷却回路の構成部品であり、その冷却回路の冷却媒体を外気との熱交換によって冷却するために設けられている。ラジエータ23は、走行用モータや走行用モータを制御するインバータなどの電気機器の冷却を行う冷却回路の構成部品であり、その冷却回路の冷却媒体を外気との熱交換によって冷却するために設けられている。なお、ECM2は、本発明の「熱交換装置」の一例である。
【0016】
コンデンサ21は、ラジエータ22および23に対してフロント側(X1方向側)に配置されている。このため、ECM2に導かれた外気の大部分は、コンデンサ21を通過した後にラジエータ22または23を通過するようになっている。また、ラジエータ22は、ラジエータ23に対して上側(Z1方向側)に配置されている。
【0017】
導風構造3は、図1に示すように、フロントバンパカバー1に設けられたグリル11から流入する外気をECM2に導くために設けられている。図1では、流入する外気の流れを白抜き矢印で例示している。この導風構造3は、フロントバンパカバー1とECM2との間に配置される一対の導風板31と、導風板31とフロントバンパカバー1との間の隙間Cを塞ぐための閉塞部材32とを備えている。なお、図1では右側(Y1方向側)の導風板31および閉塞部材32のみを示し、左側(Y2方向側)の導風板31および閉塞部材32の図示を省略している。
【0018】
一対の導風板31は、それぞれECM2の車幅方向の端部に設けられ、車幅方向において対向するように配置されている。すなわち、導風板31は、サイド側(横側)に配置されている。導風板31は、基端31aがECM2に連結され、フロントバンパカバー1側に延びるように形成されている。具体的には、導風板31は、ECM2からフロント側に延びるように設けられるとともに、車幅方向の外側に傾斜するように設けられている。すなわち、導風板31は、ECM2よりも車幅方向の外側に配置されるフロントバンパカバー1とグリル11との境界部分に向けて延びるように設けられている。そして、導風板31の先端31bがフロントバンパカバー1の近傍に配置され、その先端31bとフロントバンパカバー1との間に隙間Cが形成されている。
【0019】
閉塞部材32は、隙間Cを塞ぐために設けられ、たとえばPP(ポリプロピレン)などの樹脂製の板状部材である。この閉塞部材32は、一方端部32aがフロントバンパカバー1に取り付けられ、外気の流入速度が上昇して風圧(導風構造3内の空気圧)が高くなったとしてもフロントバンパカバー1から外れないようになっている。具体的には、閉塞部材32の一方端部32aには取付孔321が形成されるとともに、フロントバンパカバー1には係合突起12が形成されている。この係合突起12は、フロントバンパカバー1からリア側に突出する突出部12aと、突出部12aから外側に張り出す爪部12bとを有する。そして、係合突起12の突出部12aに閉塞部材32の取付孔321が嵌め合わされるとともに、閉塞部材32が爪部12bに係合されることにより、閉塞部材32がフロントバンパカバー1に取り付けられている。取付孔321および係合突起12は、鉛直方向に複数(たとえば2つ)設けられている。
【0020】
また、閉塞部材32は、フロントバンパカバー1からリア側に延びるように設けられるとともに、車幅方向の内側に傾斜するように設けられている。そして、閉塞部材32の他方端部32bは、導風板31の先端31bに対して車幅方向の内側に配置されている。このため、閉塞部材32の他方端部32bが車幅方向の外側に移動しようとした場合に、導風板31の先端31bがストッパとして機能することにより閉塞部材32の他方端部32bの移動が規制されるようになっている。
【0021】
また、導風構造3は、図2に示すように、鉛直方向の下側(ロア側)に配置される導風板33を備えている。図2では、流入する外気の一部の流れを白抜き矢印で示している。この導風板33は、ECM2の下方に配置されるボディ4に取り付けられ、そのボディ4とフロントクロスメンバ5との間に配置されている。フロントクロスメンバ5は車幅方向に延びるように形成され、フロントクロスメンバ5とフロントバンパカバー1との間にはアブソーバ6が配置されている。
【0022】
導風板33は、車両後方に向けて下側に傾斜する傾斜部33aと、傾斜部33aの下端部と連なるように形成された水平部33bと、水平部33bに形成された突部33cとを有する。傾斜部33aは、グリル11から流入する外気をコンデンサ21の下側に導くために設けられている。この傾斜部33aの傾斜度合いは、流入する外気が傾斜部33aに沿って流れるように緩やかになっている。傾斜部33aのフロント側の端部は、コンデンサ21の下端部よりも上方に配置され、フロントクロスメンバ5の上端面に接続されている。傾斜部33aのリア側の端部は、コンデンサ21の下端部よりも下方に配置され、水平部33bに接続されている。水平部33bは、ボディ4に取り付けられ、ECM2の下方に配置されている。突部33cは、コンデンサ21の下側を通過した外気をラジエータ23に導くために設けられている。この突部33cは、水平部33bから上方に突出するように形成され、コンデンサ21とラジエータ23との間に配置されている。
【0023】
−効果−
本実施形態では、上記のように、ECM2の車幅方向の端部に導風板31が設けられるとともに、導風板31の先端31bとフロントバンパカバー1との間の隙間Cを塞ぐための閉塞部材32が設けられている。閉塞部材32は、一方端部32aがフロントバンパカバー1に取り付けられるとともに、他方端部32bが導風板31の先端31bに対して車幅方向の内側に配置されている。このように構成することによって、外気の流入速度が上昇して風圧が高くなったとしても、閉塞部材32の他方端部32bが導風板31に押し付けられるので、隙間Cが開放されるのを抑制することができる。すなわち、閉塞部材32は、風圧が作用するとシール性が向上するように構成されている。その結果、グリル11から流入する外気が隙間Cを通過するのを抑制することができるので、空気抵抗係数(Cd値)の悪化を抑制することができる。また、ECM2を通過して暖められた空気が隙間Cを介してECM2の上流側(導風構造3の内部)に戻されるのを抑制することができるので、熱交換効率の低下を抑制することができる。
【0024】
また、本実施形態では、閉塞部材32がPPなどの樹脂製の板状部材であることによって、閉塞部材がスポンジである場合に比べて、コストの低減を図ることができる。
【0025】
また、本実施形態では、傾斜部33aおよび突部33cを有するロア側の導風板33が設けられている。このように構成することによって、傾斜部33aにより、グリル11から流入する外気をコンデンサ21の下側に導くとともに、突部33cにより、コンデンサ21の下側を通過した外気をラジエータ23に導くことができる。すなわち、グリル11から流入する外気の一部についてはコンデンサ21を迂回してラジエータ23に案内される。これにより、コンデンサ21を迂回する外気(コンデンサ21によって暖められていない外気)がラジエータ23に案内されるので、電気機器用のラジエータ23の冷却性能の向上を図ることができる。
【0026】
−他の実施形態−
なお、今回開示した実施形態は、すべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0027】
たとえば、本実施形態では、ロア側の導風板33が傾斜部33aおよび突部33cを有する例を示したが、これに限らず、ロア側の導風板が傾斜部および突部を有していなくてもよい。
【0028】
また、本実施形態では、ECM2が電気機器用のラジエータ23を含む例を示したが、これに限らず、ECMが電気機器用のラジエータを含んでいなくてもよい。すなわち、走行用の駆動力源として内燃機関のみが設けられ、走行用モータなどが設けられていなくてもよい。
【0029】
また、本実施形態において、鉛直方向の上側(アッパ側)に導風板(図示省略)が設けられていてもよい。すなわち、正面から見て環状になるように導風構造3が形成され、その環状の導風構造3によりグリル11から流入する外気がECM2に導かれるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、フロントバンパカバーに設けられたグリルから流入する外気を熱交換装置に導くための導風構造に利用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 フロントバンパカバー
2 ECM(熱交換装置)
3 導風構造
11 グリル
31 導風板
31b 先端
32 閉塞部材
32a 一方端部
32b 他方端部
図1
図2