【解決手段】ヒートシール可能な軟包装材料1を搬送する過程で、搬送方向に沿った第1ヒートシール部2と、搬送方向に交叉する第2ヒートシール部3とを形成し、被包装物4を充填した包装袋体5を連続生成する製袋充てん装置であって、第1ヒートシール部及び第2ヒートシール部の少なくとも一方は、軟包装材料を隙間に挟んで回転される一対の熱ロール11,12によって形成されるようになっており、一対の熱ロールの隙間は、一対の熱ロールの一方の軸受け部に連結された隙間調整機構部を駆動させることによって、一対の熱ロールの一方を他方側へ向かう方向又は他方側から遠ざかる方向へ変位させることで調整され、隙間調整機構部の駆動状態がロードセルにおいて歪みとして検知され、この歪み量に基づいて隙間が算出される。
ヒートシール可能な軟包装材料を搬送する過程で、この軟包装材料に対し搬送方向に沿った第1ヒートシール部と、この搬送方向に交叉する第2ヒートシール部とを形成し、被包装物を充填した包装袋体を連続生成する製袋充てん装置であって、
前記第1ヒートシール部及び前記第2ヒートシール部の少なくとも一方は、前記軟包装材料を隙間に挟んで回転される一対の熱ロールによって形成されるようになっており、
前記一対の熱ロールの隙間は、前記一対の熱ロールの一方の軸受け部に連結された隙間調整機構部を駆動させることによって、前記一対の熱ロールの一方を他方側へ向かう方向又は他方側から遠ざかる方向へ変位させることで調整され、
前記隙間調整機構部の駆動状態がロードセルにおいて歪みとして検知され、この歪み量に基づいて前記隙間が算出されることを特徴とする製袋充てん装置。
前記隙間調整機構部は、支軸を中心にして回動可能な腕部を有し、この腕部は、その一方の端部に設けた出力軸を介して、前記一対の熱ロールの一方の軸受け部に連結され、
前記腕部の他方の端部には、前記ロードセルが固定されるとともに、駆動部からの入力軸が連結され、
前記入力軸は、その動きに応じた圧力で前記ロードセルと当接され、又は、離間されることが可能な状態で、前記腕部の他方の端部に連結される請求項1に記載の製袋充てん装置。
前記ロードセルによる検知結果に基づいて前記隙間調整機構部を駆動させて前記隙間を調整する制御部を備える請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の製袋充てん装置。
前記制御部は、電源投入後、前記製袋充てん装置の筐体が設定温度に到達するまで上昇している間は、経過時間にしたがって前記隙間を減少させるように調整する請求項4又は請求項5に記載の製袋充てん装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る製袋充てん装置について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る製袋充てん装置の要部の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る製袋充てん装置は、ヒートシール可能な軟包装材料1を搬送する過程で、この軟包装材料1に対し搬送方向(
図1において矢印A1で示す)に沿った第1ヒートシール部2と、この搬送方向に交叉する第2ヒートシール部3とを形成し、被包装物4を充填した包装袋体5を連続生成するものである。この製袋充てん装置は、典型的には、ピロータイプ包装機、三方シール包装機、四方シール包装機を構成し得るものである。
図1は、三方シール包装機の例を示している。ここで、各図には基準座標としてX−Y−Z座標が示されている。Z方向は上下方向であって、上記搬送方向A1はZ方向に沿っている。左右方向であるX方向と前後方向であるY方向は互いに直交し、かつ、Z方向とそれぞれ直交する。
【0013】
軟包装材料1は、典型的には、プラスチックフィルムや、複合フィルムであり、巻き取られた状態(ロール)で用意される。
図1に示す三方シール包装機は、軟包装材料1を繰り出し搬送する過程で、(1)環状ガイド6の内側を通過させることによって軟包装材料1を二つ折りにし、ついで、(2)二つ折りした箇所1aとは反対の端部1bに第1ヒートシール部2を連続的に形成して軟包装材料1を筒状にする。さらに、(3)筒状にされた軟包装材料1内に被包装物4を送り込むと共に、(4)軟包装材料1に対して、搬送方向A1において、隣り合う2つの第2ヒートシール部3を所定の間隔を開けて断続的に形成する。これにより、折った箇所1aと、第1ヒートシール部2と、搬送方向において隣り合う2箇所の第2ヒートシール部3とによって、被包装物4を封入した包装袋体5が連続的に生成される。
【0014】
図1に示される例では、軟包装材料1を間に挟んで回転され、それぞれ対をなす熱ロールR1、R2の二組が設けられている。以下の説明では、環状ガイド6の直下に位置するものを第1熱ロール対R1、第1熱ロール対R1の下方に位置するものを第2熱ロール対R2とそれぞれ称する。第1ヒートシール部2は第1熱ロール対R1によって形成され、第2ヒートシール部3は第2熱ロール対R2によって形成される。
【0015】
第1熱ロール対R1は、互いに平行に延びる、第1熱ロール11と第2熱ロール12を備えている。第1熱ロール11は、円板状をなすフランジ部11aを左右に備え、第2熱ロール12も円板状をなすフランジ部12aを左右に備えている。ここで、左右方向(
図1のX方向)は、第1熱ロール11と第2熱ロール12のそれぞれの回転軸が延びる方向に沿っており、第1熱ロール11と第2熱ロール12は、前後方向(
図1のY方向)において互いに対向している。
【0016】
図1に示す例では、第1熱ロール対R1は、この間に送り込まれる軟包装材料1の折った箇所1aとは反対の端部1bを、左側のフランジ部11a、12a間に挟み込んだ状態で回転し、この左側のフランジ部11a、12aにより、反対の端部1bに第1ヒートシール部2を連続的に形成する。
【0017】
また、第2熱ロール対R2は、第1熱ロール21と第2熱ロール22を備えている。
第1熱ロール21は、円板状をなすフランジ部21aを左右に備え、第2熱ロール22も円板状をなすフランジ部22aを左右に備える。
【0018】
さらに、第1熱ロール21は、第1熱ロール21の左右のフランジ部21a間に、第1熱ロール21の回転軸に沿った突条部21bを備えている。この突条部21bは、第1熱ロール21の回転方向において所定の角度ごとに複数設けられている。
【0019】
第2熱ロール22も、第1熱ロール21と同様に、第2熱ロール22の左右のフランジ部22a間に第2熱ロール22の回転軸に沿った突条部22bを備えている。この突条部22bは、第2熱ロール22の回転方向において所定の角度ごとに複数設けられており、また、第1熱ロール21と第2熱ロール22がそれぞれ回転したときに、これらの間に送り込まれた軟包装材料1を挟んで、それぞれの突条部21b、22bが互いに対向するように配置されている。第1熱ロール21と第2熱ロール22は、この間に送り込まれる軟包装材料1を、突条部21b、22b間に挟み込んだ状態で回転し、この突条部21b、22bにより第2ヒートシール部3を形成する。
【0020】
また、
図1に示される例では、被包装物4は、環状ガイド6と第1熱ロール対R1との間となる位置から二つ折りにされた軟包装材料1内に入り込むと共に、この第1熱ロール対R1の第1熱ロール11と第2熱ロール12の左右のフランジ部11a、12a間を通って、この第1熱ロール対R1の下方に吐出口を位置させた充てん管8により、筒状にされた軟包装材料1内に送り込まれる。
【0021】
また、連続的に生成される包装袋体5は、回転刃9aと固定刃9bとからなる切断装置9により、第2ヒートシール部3の幅内(搬送方向A1における幅内)において一袋ずつに切り分けられるようになっている。
【0022】
図2は、
図1とは別の実施形態に係る製袋充てん装置の要部の構成を示す斜視図である。
図3(a)は
図3(b)のIIIA−IIIA’線における断面図、
図3(b)は、
図2に示す製袋充てん装置のうち、最も上側の熱ロール対R11とその周辺を側面から見た図である。
図2に示す製袋充てん装置においては、
図1に示す第1熱ロール対R1又は第2熱ロール対R2と同様の構成の熱ロール対R11、R12、R13を備える。これらの熱ロール対R11、R12、R13は、
図2に示すZ方向の上から順に配置されている。
【0023】
最も上に配置された熱ロール対R11は、
図1に示す第2熱ロール対R2と同様の構成を備える。すなわち、R11は、前後方向(Y方向)において互いに対向しあう、第1熱ロール121と第2熱ロール122を備えており、第1熱ロール121は、円板状をなすフランジ部121aを左右に備え、第2熱ロール122も円板状をなすフランジ部122aを左右に備える。
【0024】
さらに、第1熱ロール121は、第1熱ロール121の左右のフランジ部121a間に、第1熱ロール121の回転軸121x(
図4参照)に沿った突条部121bを備えており、この突条部121bは、第1熱ロール121の回転方向において所定の角度ごとに複数設けられている。
【0025】
第2熱ロール122も、第1熱ロール121と同様に、第2熱ロール122の左右のフランジ部122a間に第2熱ロール122の回転軸122x(
図4参照)に沿った突条部122bを備えており、この突条部122bは、第2熱ロール122の回転方向において所定の角度ごとに複数設けられている。これらの突条部122bはそれぞれ、第1熱ロール121と第2熱ロール122がそれぞれ回転したときに、これらの間に送り込まれた軟包装材料1を挟んで、それぞれの突条部121b、122bが互いに対向するように配置されている。
図3(a)に示す例においては、互いに対向する突条部121b、122bの間に隙間Gが形成されている。第1熱ロール121と第2熱ロール122は、この間に送り込まれる軟包装材料1を、突条部121b、122bの隙間Gに挟み込んだ状態で回転し、この突条部121b、122bにより、
図1に示す第2ヒートシール部3を形成するようになっている。
【0026】
ここで、上記熱ロール対R11の下方に位置する2つの熱ロール対R12、R13については、製袋充てん装置の全体構成に応じて、
図1に示す第1熱ロール対R1又は第2熱ロール対R2と同様の熱ロール対で構成するが、
図2においては簡略的に表示し、その詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、
図2・
図3に加えて
図4〜
図7を参照しつつ、熱ロール対R11が備える第1熱ロール121及び第2熱ロール122の間の隙間の調整について説明する。ここでは、
図3の左右にそれぞれ設けられた2組の隙間調整機構部40、40’、及び、それぞれの駆動部60、60’のうち、右側の隙間調整機構部40及びその駆動部60について説明するが、左右の隙間調整機構部及びその駆動部は、左右対称の構成であり、同様の動作を行う。
【0028】
また、熱ロール対R11以外の熱ロール対R12、R13のそれぞれにおける、対をなす熱ロールの間の隙間の調整については、
図2にも図示するように、上記熱ロール対R11における隙間の調整で用いる、隙間調整機構部及びその駆動部と同様の構成に基づいて行うため、その説明を省略する。
【0029】
図4〜
図6は、熱ロール対R11の一部と、それに対応する隙間調整機構部40及びその駆動部60との構成を示す図であって、
図4は上から見た平面図、
図5は左側から見た斜視図、
図6は右側から見た斜視図である。
図7は、
図4〜
図6に示す隙間調整機構部40の構成を示す分解斜視図である。
【0030】
図3、
図4に示すように、第1熱ロール121は、第1軸受け部31によって、X方向に沿った回転軸121xを中心として回転可能に支持され、また、第2熱ロール122は、第2軸受け部32によって、X方向に沿った回転軸122xを中心として回転可能に支持されている。
【0031】
図5、
図6に示すように、第1軸受け部31と第2軸受け部32には、2本の支持軸33、34が挿通されている。これらの支持軸33、34は、互いに平行に、Y方向に沿って延びており、Y方向の両端部が基板35と立上部36(縦筐体部)にそれぞれ固定されている。基板35と立上部36は、製袋充てん装置の本体(筐体)(不図示)にそれぞれ固定されている。さらに、第2軸受け部32は固定ブロック37を介して立上部36に固定されている。このような構成により、第1軸受け部31は、支持軸33、34に沿ってY方向にスライド可能となり、固定された第2軸受け部32との間隔が変更可能となる。このため、第1軸受け部31と第2軸受け部32にそれぞれ支持された第1熱ロール121と第2熱ロール122の間の隙間Gの大きさを調整することができる。
【0032】
なお、固定ブロック37に代えて、後述の隙間調整機構部40と同様の隙間調整機構部を設けても良い。これによって、第2軸受け部32についても支持軸33、34に沿ってY方向にスライド可能とし、第1軸受け部31と第2軸受け部32の双方の移動によってその間隔を微細に調整することができる。
【0033】
図7に示すように、隙間調整機構部40は長板状の腕部41を備える。腕部41の一方の端部41aは、丸穴42と、この丸穴42よりも内側(他方の端部41b側)に設けられたローラーフォロワ43を備えており、他方の端部41bには長穴44が設けられている。この長穴44は、基板35側に配置される側面41cにおいて外へ開いており、Y方向(入力軸54の移動方向)に沿って延びている。
【0034】
丸穴42には、これを上下から挟むように支持ベース52が連結されている。この支持ベース52は、その一方の端部が、丸穴42の上下からそれぞれ挿入された、ピン52aとスラストブッシュ52bとによって、丸穴42に連結されている。支持ベース52の他方の端部は基板35に固定される(
図4参照)。この構成により、腕部41は、ピン52aを支軸として回動可能となる。
【0035】
ローラーフォロワ43には、これを上下から挟むように出力軸53が連結されている。出力軸53は、その一方の端部が、ピン53aによってローラーフォロワ43に連結され、ピン53aを中心に回動可能となっている。出力軸53の他方の端部は、押さえねじ53bによって支柱38(
図4参照)に固定される。この支柱38は第1軸受け部31に固定されている。この構成により、腕部41がピン52aを支軸として回動したときに、ローラーフォロワ43がX−Y面内において変位し、ローラーフォロワ43に連結された、出力軸53と支柱38を介して、第1軸受け部31が、第2軸受け部32へ近づくように、又は、第2軸受け部32から遠ざかるように変位する。ここで、出力軸53がローラーフォロワ43によって回動可能に支持されているため、腕部41の回動は、第1軸受け部31と第2軸受け部32が並ぶ方向(Y方向)の変位として支柱38及び第1軸受け部31に伝達される。したがって、腕部41の回動角度に応じて、第1軸受け部31と第2軸受け部32の間隔が変化し、これによって第1熱ロール121と第2熱ロール122との間の隙間Gの大きさが変化する。
【0036】
長穴44には、これを上下から挟むように入力軸54が連結されている。入力軸54は上下方向に延びるピン55aによって腕部41に連結されている。また、ピン55aは、長穴44内において腕部41の幅方向(
図7に示す状態においてはY方向)に移動可能に配置されたローラーフォロワ55(移動体)に挿通されている。これにより、入力軸54の動きに応じてローラーフォロワ55が長穴44内でY方向に変位可能となる。
【0037】
腕部41の側面41cにおいて、長穴44が形成された領域には、セルベース板56が一対のねじ56a、56bによって固定されている。これによって、長穴44は側面41c側が閉じられるため、長穴44内におけるローラーフォロワ55の移動範囲が規制される。セルベース板56において長穴44内に臨む内面にはロードセル57が固定されている。このロードセル57は、入力軸54側に検知面が向くように配置されており、入力軸54の動作によってローラーフォロワ55がY方向に沿って変位し、ロードセル57に対する接触状態が変化し、又は、離間すると、それらの状態に応じた歪みを検知する。
なお、ロードセル57に接触させ、又は、離間可能な移動体としては、ローラーフォロワ55に限定されない。例えば、球状の移動体でもよい。また、入力軸54自体、又は、ピン55a自体を移動体として、ロードセル57へ当接させやすい形状を形成しても良い。
【0038】
駆動部60は、ステッピングモータ61(
図8)で発生した回転力を、直進運動に変換して送りねじ69に伝達し、この送りねじ69の軸方向における進退を、入力支持板71を介して入力軸54に伝達する(
図4)。これによって、隙間調整機構部40を、ピン52a(支軸)を中心として回動するように駆動させる。ステッピングモータ61は、ドライバ61b(
図8)によって駆動される。送りねじ69は、回転可能に支持されており、移動ベース板70は、一対の支柱70b、70cを介して入力支持板71に固定されている。
【0039】
入力支持板71は、これに固定された移動ベース板70や送りねじ69と共に、スライドサポート軸72、73上をスライド可能である。ステッピングモータ61の駆動にしたがって、送りねじ69がその軸方向に進退したときに、その動きに応じて、移動ベース板70及び入力支持板71も送りねじ69の中心軸方向に移動する。入力支持板71の取り付け穴(不図示)には入力軸54が連結されているため、移動ベース板70が移動すると入力軸54も移動し、これによって、腕部41がピン52aを中心として回動する。この回動にともなって出力軸53が変位するため、これに連結された第1軸受け部31が、第2軸受け部32に近づくように、又は、第2軸受け部32から遠ざかるように移動し、これによって、第1熱ロール121と第2熱ロール122との間の隙間Gの大きさが変化する。
【0040】
この隙間Gの大きさの変化は、ステッピングモータ61の駆動の変化に対応するため、その対応関係に基づいてステッピングモータ61を駆動制御すれば、隙間Gの距離を数値化して制御できる。これによって、微細な隙間間距離の調整が可能となるため、より適切な条件でヒートシールを実行することができる。
【0041】
上述のように、腕部41と、その両端部に設けた出力軸53及び入力軸54というリンク機構をとることで、小さなロードセル57で隙間調整機構部40の駆動状態を検知することが可能となる。
【0042】
また、腕部41を用いることで熱ロールからロードセル57までの距離を長くとることにより、ロードセル57への熱影響を小さくすることができる。ここで、腕部41を構成する材料として断熱性の高いものを用いると、さらに熱影響を抑えることができ、ロードセル57による検知精度を高く保つことができる。
【0043】
次に、
図8〜
図11を参照しつつ、第1ヒートシール部2を形成するための一対の熱ロール11、12間、及び、第2ヒートシール部3を形成するための一対の熱ロール21、22間のそれぞれにおいて、一対の熱ロール間の隙間を制御することによって行う、一対の熱ロール間の圧力の調整について説明する。この調整は、
図2に示す製袋充てん装置における、熱ロール対R11、R12、R13の一対の熱ロール121、122についても同様である。
【0044】
以下の説明では、第1ヒートシール部2のための一対の熱ロール11、12間の隙間の制御に関して述べるが、第2ヒートシール部3のための一対の熱ロール21、22間の隙間の制御も同様である。これら二対の熱ロールそれぞれの隙間の制御は、軟包装材料1の搬送にあわせたタイミングで実行される。
また、第1ヒートシール部2と第2ヒートシール部3の一方のみが一対の熱ロールを用いて形成される場合、その一対の熱ロールは、本実施形態と同様に制御される。
【0045】
図8は、
図1又は
図2に示す実施形態の製袋充てん装置の機能ブロック図である。
図9と
図10は、
図8の製袋充てん装置における処理の流れを示すフローチャートである。
図11は、一対の熱ロール間の隙間と圧力の変化、及び、製袋充てん装置の縦筐体部の温度変化の例を示すグラフである。
図10のステップS5は、
図9のステップS4に続く処理である。
【0046】
図8に示すように、ロードセル57による検知結果の信号はインジケータ58へ入力され、インジケータ58において歪み量が指示される。また、ロードセル57において検知された歪みは、制御部としてのPLC90(プログラマブルロジックコントローラ)へ入力される。PLC90は、ロードセル57において検知された歪みに基づいて、一対の熱ロールによってその間に挟まれた軟包装材料1に対する押圧力(一対の熱ロール間の圧力)を算出する。この押圧力、及び、ロードセル57によって検知された歪みは、製袋充てん装置の設定画面90の表示部に表示される。
なお、制御部としては、PLC90に限定されず、各種の制御回路、演算回路等を用いることができる。
【0047】
設定画面91には、上記表示部のほかに、製袋充てん装置の使用者が操作可能な入力部(例えばタッチパネル、ボタン)が設けられており、入力部を操作することにより、例えば、各種の設定値を入力したり、製袋動作の開始の指示、製袋充てん装置の電源投入、及び、電源オフを行うことができる。上記設定値には、例えば、一対の熱ロール11、12と一対の熱ロール21、22のそれぞれにおける、設定温度と圧力、製袋速度、軟包装材料1の種類や物性値、筐体の設定温度が含まれる。
【0048】
設定画面91で入力された設定値はPLC90へ出力される。PLC90においては、設定値と、算出した押圧力とに基づいて、
図9と
図10に例示する処理のための駆動制御信号が生成される。この駆動制御信号を受けたドライバ61b(駆動回路)は、駆動制御信号に対応した駆動信号をステッピングモータ61に与え、この駆動信号によってステッピングモータ61が駆動し、これによって一対の熱ロール間の隙間の大きさが変化する。
【0049】
つづいて、
図9と
図10を参照しつつ、一対の熱ロール間の圧力の調整の流れについて説明する。
まず、
図9に示すように、電源投入された後に、設定画面91を操作することによって、押力設定値F(単位N)(ステップS1)、押力許容値σ(単位N)(ステップS2)、測定回数C(回)(ステップS3)、及び、調整量τ(単位ミクロン)(ステップS4)を設定し、これらの設定はPLC90へ出力される。これらの設定値はPLC90が備える記憶部に保存される。
【0050】
図10に示すように、PLC90は製袋動作中か否かを判別する(ステップS5)。製袋動作中か否かは、例えば、設定画面91を操作することによって製袋動作の開始の指示があったか否かで判別する。製袋動作中でないとき(ステップS5でNO)は処理を終了し、製袋動作中のとき(ステップS5でYES)は以下の処理を行う。
【0051】
まず、測定回数に対応するカウントiが0(ゼロ)に設定される(ステップS6)。つづいて、ロードセル57による検知結果に基づいて、一対の熱ロール11、12の間の軟包装材料1に対する押圧力の測定値Q(単位N)がPLC90において算出される(ステップS7)。この測定値Qは測定ごとに積算され、積算値T(単位N)として保存される(ステップS8)。
【0052】
押力測定(ステップS7)と測定値の積算(ステップS8)を行うごとにカウントiは1ずつ増加する(ステップS9)。押力測定(ステップS7)と測定値の積算(ステップS8)は、カウントiが予め設定した測定回数Cに達するまで繰り返し実行され、測定回数Cに達すると(ステップS10でYES)、測定平均値Aが算出される(ステップS11)。測定平均値A(単位N)は、測定値の積算値Tを測定回数Cで除算することによって算出され、その結果は設定画面91に表示される(ステップS12)。
【0053】
次に、PLC90は、押圧設定値Fと測定平均値Aの差の絶対値が押力許容値σより大きいか否かを判別する(ステップS13)。押力許容値σ以下である間(ステップS13でNO)は、再び上記ステップS5〜S12の処理を実行する。一方、押力許容値σよりも大きい場合(ステップS13でYES)は、一対の熱ロール11、12間の隙間を変更するために、押圧設定値Fと測定平均値Aの大小が判断される(ステップS14)。
【0054】
上記ステップS14において測定平均値Aが押圧設定値Fよりも小さい場合(ステップS14でYES)は、軟包装材料1に対する押力を高めるために、PLC90は、ドライバ61bに駆動信号を与えてステッピングモータ61を駆動させ、一対の熱ロール11、12間の隙間を減少させる(ステップS15)。このときの隙間の減少単位は調整量τ(μm)である。上記ステップS15の処理が終わると、上記ステップS5にもどる。
【0055】
一方、上記ステップS14において、測定平均値Aが押圧設定値Fと等しい、又は、押圧設定値Fよりも大きい場合(ステップS14でNO)は、軟包装材料1に対する押力を低下させるために、PLC90は、ドライバ61bに駆動信号を与えてステッピングモータ61を駆動させ、一対の熱ロール11、12間の隙間を増加させる(ステップS16)。このときの隙間の減少単位は調整量τ(μm)である。上記ステップS16の処理が終わると、上記ステップS5にもどる。
【0056】
一般に、製袋充てん装置においては、電源投入後、熱ロールは比較的短い時間で設定温度に達する一方、筐体の温度上昇には長い時間を要する。例えば、熱ロールが30分程度で設定温度に到達したとしても、筐体の温度が設定温度に達するのに電源投入から2〜4時間を要することもある。このような時間差があるため、温度上昇による膨張は、熱ロールと筐体とで大きな時間差が生じ、筐体の膨張が遅れて進行することとなる。このため、電源投入後まもなく熱ロール温度が設定値に到達しているにかかわらず、筐体はその後も温度上昇を続けることから、一対の熱ロール間の隙間は、熱ロールが設定温度に到達した後も、時間の経過とともに徐々に広がってしまうという問題があった。
【0057】
このような問題に対して、本実施形態の製袋充てん装置においては、上述のとおり、電源投入から一対の熱ロール間の押力の測定を継続し、経過時間に応じて変化する隙間を随時、自動的かつ適切に調整することができる。特に、電源投入後、一対の熱ロールの温度が設定温度に到達した後、筐体が設定温度に到達するまで温度が上昇している間は、隙間を減少させるように調整できる。したがって、電源投入からの経過時間によらずに、一対の熱ロール間の圧力(一対の熱ロール間の軟包装材料1への押力)を略一定に自動的に保持することができる。よって、従来のように、一対の熱ロール間の隙間の変化に応じて手動で調整することで製袋処理が滞ったり、品質が不安定になったりするのを防ぐことができる。
【0058】
さらに、本実施形態の製袋充てん装置においては、製袋充てん装置の筐体が設定温度に到達した後も
図10に示す処理を継続することにより、一対の熱ロール11、12間の隙間の調整によって、この間で搬送される軟包装材料1への押力を略一定に保持することができる。
【0059】
次に、
図11を参照して、一対の熱ロール間の隙間と圧力、及び、筐体の温度変化の具体例について説明する。
図11において、「縦左隙間」は、第1熱ロール対R1の第1熱ロール11のフランジ部11aと、第2熱ロール12のフランジ部12aとの隙間であって、一対の熱ロール11、12間の隙間に対応し、「縦左圧力」は一対のフランジ部11a、12aの間の圧力であって、一対の熱ロール11、12間で搬送される軟包装材料1への押力に対応する。
【0060】
また、「横左隙間」は、第2熱ロール対R2の第1熱ロール21のフランジ部21aと、第2熱ロール22のフランジ部22aとの隙間であって一対の熱ロール21、22間の隙間に対応し、「横左圧力」は一対のフランジ部21a、22aの間の圧力であって、一対の熱ロール21、22間で搬送される軟包装材料1への押力に対応する。
【0061】
「縦筐体部・温度」は、立上部36における温度であって、製袋充てん装置の本体(筐体)の温度に対応する。
横軸の時刻は、電源投入後において、製袋動作を行った時刻を示している。電源投入は9時以前に行われ、12時45分以降まで、製袋動作の有無にかかわらずに、設定温度に対して温度調整が継続されている。
【0062】
図11に示すように、9時から12時45分までの経時変化において、縦筐体部が36°Cから60°Cに上昇している。一方、図示はしていないが、熱ロールの温度は9時から12時45分までほぼ一定となっている。
【0063】
このような温度関係において、従来の構成では、時間の経過とともに一対の熱ロールの隙間が広がってしまい、軟包装材料1をシールするための圧力(押力)が低下してしまう。
これに対して、本実施形態の製袋充てん装置では、圧力低下をロードセル57によって随時読み取っており、筐体の温度上昇にともなって熱ロール間の隙間を狭くするようにステッピングモータ61を動かしているため、
図11に示すように、熱ロール間の圧力(「縦左圧力」、「横左圧力」)を略一定に保持することが可能となっている。具体的には、縦左隙間では、9時から12時45分までに、225μmから180μmまで隙間を自動的に小さくしており、横左隙間では、9時から12時45分までに、210μmから155μmまで自動で減少させている。このような制御によって、筐体の膨張によって生じる熱ロール間隙間の拡大によるシール力の低下を抑え、時間の経過にかかわらず略一定となるように制御することができる。すなわち、縦左圧力では96〜98N、横左圧力では96〜104Nの範囲の変動に抑えており、各圧力を略一定とし、これにより、作業者による調整を介さずに安定したシールを実現している。
本発明について上記実施形態を参照しつつ説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、改良の目的又は本発明の思想の範囲内において改良又は変更が可能である。