【実施例】
【0033】
本発明のゴミ容器用飛翔害虫防除製品の変質抑制効果、悪臭抑制効果、コバエ誘引阻害効果、ノックダウン効果、及び忌避効果を確認するための確認試験を行った。試験に使用したゴミ容器用飛翔害虫防除製品の仕様は、以下のとおりである。
【0034】
<実施例1>
抗菌香料として、チモール(20mg)、リナロール(50mg)、テルピネオール(100mg)、及び酢酸ベンジル(25mg)の混合物、植物由来揮発成分として、シス−3−ヘキセノール(5mg)、シス−ジャスモン(7mg)、d−リモネン(100mg)、リナロール(40mg)、l−メントール(25mg)、及びサリチル酸メチル(3mg)の混合物を含む薬剤を調製し、この薬剤をパルプ不織布製の担体(縦2.5cm×横5cm 面積12.5cm
2)に含浸させて、抗菌成分担持体を作製した。殺虫成分としてプロフルトリン(40mg)を含む薬剤を調製し、この薬剤をパルプ不織布製の担体(縦6cm×横6cm 面積36cm
2)に含浸させて殺虫成分担持体を作製した。作製した抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体は、夫々本体の担持体設置部に設置した。その後、殺虫成分放出部となる20cm
2の開口と、抗菌成分放出部となる3cm
2の開口とが形成されたカバー部を、本体に装着してゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを実施例1とした。実施例1の飛翔害虫防除製品において、殺虫成分放出部の開口面積Saと抗菌成分放出部の開口面積Sbとの面積比Sa/Sbは6.7であり、殺虫成分放出部の開口面積Saと殺虫成分担持体の設置面積Aaとの面積比Sa/Aaは0.56であり、抗菌成分放出部の開口面積Sbと抗菌成分担持体の設置面積Abとの面積比Sb/Abは0.24である。
【0035】
<実施例2>
抗菌香料として、シトラール(20mg)、シトロネラール(50mg)、テトラヒドロリナロール(100mg)、及びジヒドロミルセノール(25mg)の混合物、植物由来揮発成分として、シス−3−ヘキセノール(5mg)、シス−ジャスモン(7mg)、d−リモネン(100mg)、リナロール(40mg)、l−メントール(25mg)、及びサリチル酸メチル(3mg)の混合物を含む薬剤を調製し、この薬剤を実施例1において抗菌成分担持体の作製に用いた担体に含浸させて、抗菌成分担持体を作製した。殺虫成分担持体は、実施例1のものと同様に作製した。作製した抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体を、実施例1のものと同じ形状の本体の担持体設置部に設置した。その後、実施例1のものと同じ形状のカバー部を、本体に装着してゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを実施例2とした。実施例2の飛翔害虫防除製品において、面積比Sa/Sbは6.7であり、面積比Sa/Aaは0.56であり、面積比Sb/Abは0.24である。
【0036】
<実施例3>
抗菌香料として、2−トランスヘキセナール(45mg)、イソ−E−スーパー(50mg)、及びエストラゴール(100mg)の混合物、植物由来揮発成分として、シス−3−ヘキセノール(5mg)、シス−ジャスモン(7mg)、d−リモネン(100mg)、リナロール(40mg)、l−メントール(25mg)、及びサリチル酸メチル(3mg)の混合物を含む薬剤を調製し、実施例2と同様の手順でゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを実施例3とした。実施例3の飛翔害虫防除製品において、面積比Sa/Sbは6.7であり、面積比Sa/Aaは0.56であり、面積比Sb/Abは0.24である。
【0037】
<実施例4>
実施例1のものと同様に、抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体を作成した。作製した抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体を、実施例1のものと同じ形状の本体の担持体設置部に設置した。その後、殺虫成分放出部となる32cm
2の開口と、抗菌成分放出部となる3cm
2の開口とが形成されたカバー部を、本体に装着してゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを実施例4とした。実施例4の飛翔害虫防除製品において、面積比Sa/Sbは10.7であり、面積比Sa/Aaは0.89であり、面積比Sb/Abは0.24である。
【0038】
<比較例1>
抗菌成分ではない消臭成分として植物抽出物(商品名「スーパーピュリエール」 パナソニックエコソリューションズ化研株式会社製、200mg)を含む薬剤を調製し、実施例2と同様の手順でゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを比較例1とした。比較例1の飛翔害虫防除製品において、面積比Sa/Sbは6.7であり、面積比Sa/Aaは0.56であり、面積比Sb/Abは0.24である。
【0039】
<比較例2>
実施例1のものと同様に、抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体を作成した。作製した抗菌成分担持体、及び殺虫成分担持体を、実施例1のものと同じ形状の本体の担持体設置部に設置した。その後、殺虫成分放出部となる8cm
2の開口と、抗菌成分放出部となる8cm
2の開口とが形成された面積比Sa/Sbが1、すなわち、殺虫成分放出部の大きさと抗菌成分放出部の大きさとが同一であるカバー部を、本体に装着してゴミ容器用飛翔害虫防除製品を作製し、これを比較例2とした。比較例2の飛翔害虫防除製品において、面積比Sa/Sbは1であり、面積比Sa/Aaは0.22であり、面積比Sb/Abは0.64である。
【0040】
〔変質抑制効果確認試験〕
生ゴミを想定した様々な食材を対象として変質抑制効果確認試験を実施した。食材毎に容量1リットルのガラス製容器を4個用意して、夫々に食材と少量の水とを収容した。食材及び水の収容後、ガラス製容器の内部に実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を蓋の内側から吊るして密閉したもの、ガラス製容器の内部に実施例2のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を蓋の内側から吊るして密閉したもの、及びガラス製容器の内部に実施例3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を蓋の内側から吊るして密閉したものを、夫々実施例1〜3の薬剤処理区とした。食材及び水の収容後、そのまま密閉したものを無処理対照区とした。変質抑制効果確認試験では、これらのガラス製容器を室温(25℃)で一週間保存した。試験開始から一週間経過後、目視にて食材の様子を観察し、実施例1〜3の薬剤処理区と無処理対照区との夫々について、食材の変質度を評価するとともに、実施例1〜3の薬剤処理区での変質度と無処理対照区での変質度とを比較して、変質抑制効果を判定した。変質度の評価基準は、以下のとおりである。
(評価基準)
+++:大量のカビが発生
++:カビが発生
+:僅かにカビが発生
−:殆ど、或いは全く変化がない
食材の種類毎の変質度及び変質抑制効果を、表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例1の薬剤処理区では、レモンに僅かなカビの発生が観察されたが、その他の食材にはカビの発生が観察されず、試験開始前の状態から食材の様子に変化はなかった。実施例2の薬剤処理区では、レモン及びごはんに僅かなカビの発生が観察されたが、その他の食材にはカビの発生が観察されず、試験開始前の状態から食材の様子に変化はなかった。実施例3の薬剤処理区では、リンゴ及びごはんに僅かなカビの発生が観察されたが、その他の食材にはカビの発生が観察されず、試験開始前の状態から食材の様子に変化はなかった。一方、無処理対照区では、何れの食材でもカビの発生が観察された。特に、実施例1〜3の薬剤処理区において僅かなカビの発生が観察されたりんご、レモン、及びごはんは、無処理対照区では大量のカビの発生が観察された。以上の結果から、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、何れの食材に対しても優れた変質抑制効果を発揮することが確認された。
【0043】
〔コバエ誘引効果確認試験〕
臭気物質(アンモニア、アミン類、及びメチルメルカプタン)を用いてコバエ誘引効果確認試験を実施した。臭気物質毎にアクリル製円筒(内径20cm、高さ20cm)を用意して、夫々を白紙の上に立てた。夫々の円筒内に蓋付きプラスチック製カップ(内径101mm、高さ44mm)の蓋を逆さにして2個設置し、両方の蓋にカット綿1枚を置き、バルサミコ酢3%水溶液2gを含浸させた後、片方の蓋に臭気物質1mLを添加した脱脂綿を併置し、悪臭処理区とした。底面に侵入口(直径2mm、5個)を設けたプラスチック製カップを逆さにして夫々の蓋に合うように上から被せ、アクリル円筒の上部をストッキングで封鎖した後、円筒内にショウジョウバエを放った。経時的に各カップ内に侵入した供試虫(ランディング数)を計数し、無処理区との相対比により悪臭処理区の誘引性能を評価した。ランディング数及び相対比を、表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
アンモニア、アミン類、及びメチルメルカプタンの何れを添加した場合にも、ショウジョウバエのランディング数が増加したことから、これらの臭気物質がコバエ誘引効果を有することが確認された。
【0046】
〔悪臭抑制効果確認試験〕
コバエ誘引効果が確認された臭気物質(アンモニア、アミン類、及びメチルメルカプタン)に対する悪臭抑制効果を確認するために、生ゴミを想定した様々な食材を用いて悪臭抑制効果確認試験を実施した。食材毎に実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区を用意し、実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区を室温(25℃)で一週間保存した。実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区は、変質抑制効果確認試験と同様のものを用いた。試験開始から一週間経過後、実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区の夫々において、ガス検知管(株式会社ガステック製)を用いて臭気物質(アンモニア、アミン類、及びメチルメルカプタン)の濃度を測定し、悪臭抑制率(%)を、下式により求めた。
悪臭抑制率(%) = (Cc − Tc)/Cc × 100
Tc:薬剤処理区での臭気物質濃度(ppm)
Cc:無処理対照区での臭気物質濃度(ppm)
無処理対照区での臭気物質の濃度を表3に示し、食材の種類毎の悪臭抑制率を表4に示す。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】
アンモニアは、豚肉、シイタケ、煮干し、及びチーズを用いた場合、実施例1〜3の薬剤処理区、及び無処理対照区の何れでも検出されなかった。他の食材では、アンモニアの悪臭抑制率が実施例1において67%以上、実施例2において84%以上、実施例3において75%以上であった。アミン類は、豚肉、及びシイタケを用いた場合、実施例1〜3の薬剤処理区、及び無処理対照区の何れでも検出されなかった。他の食材では、アミン類の悪臭抑制率が実施例1において80%以上、実施例2において75%以上、実施例3において70%以上であった。メチルメルカプタンは、チーズを用いた場合、実施例1〜3の薬剤処理区、及び無処理対照区の何れでも検出されなかった。他の食材では、メチルメルカプタンの悪臭抑制率が実施例1において93%以上、実施例2において90%以上、実施例3において94%以上であった。以上の結果から、アンモニア、アミン類、及びメチルメルカプタンの何れについても、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品による悪臭抑制効果が確認された。特に、メチルメルカプタンの悪臭抑制率は、何れの食材でも実施例1において93%以上、実施例2において90%以上、実施例3において94%以上と高い値であることから、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品がメチルメルカプタンの発生を強く抑制することが確認された。
【0050】
〔官能試験1〕
ゴミ容器用飛翔害虫防除製品による悪臭抑制効果を確認するために、下記の官能試験1を実施した。プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)を5個用意して、夫々に豚肉及びイカと少量の水とを収容し、上部にガラス板をのせて蓋をした。食材及び水の収容後、ガラス板の内側に実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたもの、ガラス板の内側に実施例2のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたもの、ガラス板の内側に実施例3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたもの、及び、ガラス板の内側に比較例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたものを、夫々実施例1〜3、及び比較例1の薬剤処理区とした。食材及び水の収容後、ガラス板をのせて蓋をしたままのものを、無処理対照区とした。これらのプラスチック製円筒を室温(25℃)で一週間保存した後、円筒内の臭気を9名のモニターが6段階臭気強度表示法により評価した。6段階臭気強度表示法の評価基準は、「0:無臭」、「1:やっと感知できる臭い」、「2:何の臭いであるかわかる弱い臭い」、「3:らくに感知できる臭い」、「4:強い臭い」、「5:強烈な臭い」とした。
【0051】
官能試験1の結果、実施例1の薬剤処理区の評価は平均2.4であり、実施例2の薬剤処理区の評価は平均2.5であり、実施例3の薬剤処理区の評価は平均2.8であり、比較例1の薬剤処理区の評価は平均2.9であり、無処理対照区の評価は平均4.7であった。以上の結果から、官能試験においても、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品による優れた悪臭抑制効果が確認された。
【0052】
〔官能試験2〕
ゴミ容器用飛翔害虫防除製品を設置してから時間経過があった場合での悪臭抑制効果を確認するために、下記の官能試験2を実施した。プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)を3個用意して、上部にガラス板をのせて蓋をした。ガラス板の内側に実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたもの、及びガラス板の内側に比較例2のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けたものを、実施例1及び比較例2の薬剤処理区とした。ガラス板をのせて蓋をしたままのものを、無処理対照区とした。これらのプラスチック製円筒を室温(25℃)で19日保存した後、夫々のプラスチック製円筒に豚肉及びイカと少量の水とを収容し、室温(25℃)で一週間保存した。食材及び水の収容から一週間後、円筒内の臭気を8名のモニターが6段階臭気強度表示法により評価した。6段階臭気強度表示法の評価基準は、「0:無臭」、「1:やっと感知できる臭い」、「2:何の臭いであるかわかる弱い臭い」、「3:らくに感知できる臭い」、「4:強い臭い」、「5:強烈な臭い」とした。
【0053】
官能試験2の結果、実施例1の薬剤処理区の評価は平均2.8であり、比較例2の薬剤処理区の評価は、平均3.4であり、無処理対照区の評価は、平均4.6であった。以上の結果から、設置から時間経過があった場合の官能試験2においても、実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品による優れた悪臭抑制効果が確認された。殺虫成分及び抗菌成分が実施例1と同一である比較例2において悪臭抑制効果が劣るのは、殺虫成分放出部と抗菌成分放出部との面積比Sa/Sbが1であり抗菌成分放出部が比較的大きく形成されていることにより、設置から早い時期に抗菌成分が放出され、抗菌成分の効果が持続しなかったためと考えられる。
【0054】
〔コバエ誘引阻害効果確認試験〕
生ゴミを想定した様々な食材を対象としてコバエ誘引阻害効果確認試験を実施した。試験には、ショウジョウバエ成虫、及びノミバエ成虫を用いた。食材毎に実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区を用意し、実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区を室温(25℃)で一週間保存した。実施例1〜3の薬剤処理区及び無処理対照区は、変質抑制効果確認試験と同様のものを用いた。試験開始から一週間経過後、夫々のガラス製容器から食材を取り出し、天面に内径3mmの孔を設けた清潔なカップに移し入れた。実施例1〜3の薬剤処理区から食材を移し入れたカップと、無処理対照区から食材を移し入れたカップとを、コバエを放した容器内に併設し、24時間経過後に各カップに侵入しているコバエを計数して、誘引阻害率(%)を下式により求めた。
誘引阻害率(%) = (Cn − Tn)/Cn × 100
Tn:薬剤処理区から食材を移し入れたカップへのコバエ侵入数(匹)
Cn:無処理対照区から食材を移し入れたカップへのコバエ侵入数(匹)
食材の種類毎のショウジョウバエ、及びノミバエの誘引阻害率を、表5に示す。
【0055】
【表5】
【0056】
実施例1では、ショウジョウバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてこんにゃくを用いた場合の83%であった。食材としてリンゴ、煮干し、及びエビの何れかを用いた場合は、ショウジョウバエに対する誘引阻害率が100%であった。また、ノミバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてカニみそを用いた場合の76%であった。食材として食パン、バナナ、リンゴ、煮干し、及びエビの何れかを用いた場合は、ノミバエに対する誘引阻害率が100%であった。実施例2では、ショウジョウバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてカニみそを用いた場合の85%であった。食材として食パン、リンゴ、煮干し、エビ、及びチーズの何れかを用いた場合は、ショウジョウバエに対する誘引阻害率が100%であった。また、ノミバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてカニみそを用いた場合の76%であった。食材として豚肉、バナナ、リンゴ、煮干し、エビ、及びチーズの何れかを用いた場合は、ノミバエに対する誘引阻害率が100%であった。実施例3では、ショウジョウバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてこんにゃくを用いた場合の83%であった。食材として食パン、バナナ、リンゴ、煮干し、及びチーズの何れかを用いた場合は、ショウジョウバエに対する誘引阻害率が100%であった。また、ノミバエに対する誘引阻害率は、最も低いものでも食材としてカニみそを用いた場合の72%であった。食材として食パン、バナナ、リンゴ、及び煮干しの何れかを用いた場合は、ノミバエに対する誘引阻害率が100%であった。以上の結果から、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、何れの食材に対しても優れたコバエ誘引阻害効果を発揮することが確認された。
【0057】
〔ノックダウン効果確認試験〕
プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)の上部に、ガラス板をのせて蓋をしたものを5個用意した。1つ目のプラスチック製円筒では、ガラス板の内側に実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付け、2つ目のプラスチック製円筒では、ガラス板の内側に実施例2のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付け、3つ目のプラスチック製円筒では、ガラス板の内側に実施例3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付け、4つ目のプラスチック製円筒では、ガラス板の内側に実施例4のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付け、5つ目のプラスチック製円筒では、ガラス板の内側に比較例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付けた。これらを室温(25℃)で保存し、保存開始から4日後、19日後、及び30日後に、夫々のプラスチック製円筒内にショウジョウバエを30匹放し、時間の経過に伴うノックダウン虫数を数えてKT50値を求めた。実施例1〜4、及び比較例1におけるノックダウン効果確認試験の結果を、表6に示す。
【0058】
【表6】
【0059】
ノックダウン効果確認試験の結果、保存開始から4日後、19日後、及び30日後の何れの時点でも、実施例1〜4のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では、比較例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品よりKT50値が小さかった。以上の結果から、実施例のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、長期に亘って優れたノックダウン効果を発揮することが確認された。また、実施例1〜4のゴミ容器用飛翔害虫防除製品の中でも、実施例4のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では4日後から30日後までのKT50値の増加が13.1分であったが、これに比べて、実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では1.3分、実施例2のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では4.6分、実施例3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では5.3分と、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では4日後から30日後までのKT50値の増加が抑えられていた。これは、実施例4のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では、殺虫成分放出部と抗菌成分放出部との面積比Sa/Sbが10.7であるのに対して、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品では、面積比Sa/Sbが6.7と殺虫成分放出部が比較的小さく形成されていることにより、殺虫成分の効果が長期間に亘って持続したためと考えられる。
【0060】
〔忌避効果確認試験〕
プラスチック製円筒(内径20cm、高さ43cm)の上部にガラス板をのせて蓋をした。このガラス板の内側に実施例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品を貼り付け、プラスチック製円筒を室温(25℃)で30日間保存した。30日経過後に、プラスチック製円筒の上部からガラス板をずらした状態にして円筒内にコバエの誘引餌を配置したものを、薬剤処理区とした。さらに同形状のプラスチック製円筒を用意し、円筒内にコバエの誘引餌を配置したものを、無処理対照区とした。薬剤処理区、及び無処理対照区を、6m
3の試験室内に併設し、試験室内にショウジョウバエ成虫、及びノミバエ成虫を各100匹放した。24時間経過後に各円筒への侵入虫数を計数して、忌避率(%)を下式により求めた。
忌避率(%) = (Ci − Ti)/Ci × 100
Ti:薬剤処理区への侵入虫数(匹)
Ci:無処理対照区への侵入虫数(匹)
【0061】
同様の手順で、実施例2〜3、及び比較例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品についても、忌避率(%)を求めた。実施例1〜3、及び比較例1における忌避効果確認試験の結果を、表7に示す。
【0062】
【表7】
【0063】
忌避効果確認試験の結果、ショウジョウバエ、及びノミバエの何れに対しても、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、比較例1のゴミ容器用飛翔害虫防除製品より忌避率が高かった。特に、実施例1及び3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、ショウジョウバエに対して100%の忌避率を示した。以上から、実施例1〜3のゴミ容器用飛翔害虫防除製品は、コバエ類に対して優れた忌避効果を発揮することが確認された。