【実施例1】
【0022】
本発明に係る回転圧縮機1は、
図1及び
図2に示すように、密閉容器2内に電動機要素3が配置され、この電動機要素3の下部に回転圧縮要素4が配置される。密閉容器2は、底部の内部に潤滑油を溜めるオイル溜まり19を形成した上面開口の円筒形状の容器本体2Aと、容器本体2Aの上面開口を塞ぐように容器本体2Aに溶接にて一体化した椀状の蓋体2Bにて構成する。
【0023】
電動機要素3は、密閉容器1の内壁に焼き嵌めや溶接等により固定されたステータ(固定子)5と、このステータ5内で回転するように軸受6で支持された回転軸7に固定したロータ(回転子)8を備える。
ステータ5は、中央部にロータ8を配置する円形状の孔を有し、この孔の周囲に12個等のように複数のスロットが円形状に配置されたドーナツ状の電磁鋼板5Aを多数積層して構成され、前記スロットに収容配置されたステータコイル3Cを有する。
ロータ8は、円形状の電磁鋼板8Aを多数積層して円筒状に構成され、この電磁鋼板8Aが積層されたロータ8に中心に回転軸7が焼き嵌め等により取り付けられ、この回転軸7を中心として90度のように等間隔に永久磁石が回転軸7と平行に縦方向に配置された構成である。ロータ8は、上下両端に回転軸7を中心とした円形状のバランサ8Bを備え、ロータ8の外周面は、ステータ5の内周面と僅かな空隙を保って回転する。
【0024】
蓋体2Bには、ステータコイル3Cへ電力を供給するための密閉式ターミナル20を設けており、このターミナル20へ外部電力が供給されることによりステータコイル3Cへ電流が流れ、それによって形成される回転磁界によってロータ8が所定方向へ回転する。
【0025】
回転圧縮要素4は、容器本体2Aの内壁に固定されたシリンダ部材90に上下開口のシリンダ9が貫通形成され、このシリンダ9の上下開口を塞ぐようにシリンダ部材90の上側と下側に取り付けボルト80にて取り付けた上部支持部材10及び下部支持部材11と、シリンダ9内で回転するローラ12と、シリンダ9内を低圧室側13Aと高圧室側13Bに区画するようにローラ12の外周面に先端が当接しシリンダ9に彫り込まれ形成された案内溝14内を往復摺動するベーン15と、このベーン15で仕切られたシリンダ9の低圧室側13Aに連通する吸入口16と、ベーン15で仕切られたシリンダ9の高圧室側13Bに連通する吐出口17と、この吐出口17を開閉する吐出弁機構18を備えている。
【0026】
吐出口17は上部支持部材10を貫通して形成され、吐出口17から冷媒ガスが吐出する際の音を低減するために、上部支持部材10の上面には消音カバー60が、吐出弁機構18を覆うように取り付けボルト80にて取り付けられ、消音カバー60内に消音室61を形成する。下部支持部材11には取り付けボルト80にて下部カバー60Bが取り付けられる。
下部カバー60Bには回転軸7の下端がオイル溜まり19に臨む孔62が形成され、回転軸7は、その内部または周囲に上方へ延びる傾斜孔や螺旋状溝等で形成した吸油部7Mを備えており、回転軸7の回転によってオイル溜まり19のオイルが回転圧縮要素4へ潤滑油として供給される。
【0027】
軸受6は、上部支持部材10と一体に上方へ延出状態に形成される。
また、案内溝14のシリンダ9とは反対側にベーン15の外側端が臨む収容部19がシリンダ部材90に形成され、収容部19にはコイルバネ40が収容されており、コイルバネ40の後端が蓋21に当接した状態で、コイルバネ40によってベーン15の先端がローラ12へ当接するように付勢する。
【0028】
電動機要素3の回転軸7は一体形成された偏芯部7Aを備え、この偏芯部7Aはロータ8の回転に伴う回転軸7の回転によって偏芯回転する。この偏芯部7Aの偏芯回転によってローラ12がシリンダ9の内壁に沿って回転することにより、吸入口16から低圧室側13Aに吸い込まれた冷媒ガスが高圧室側13Bで圧縮され、所定の高圧の状態にて吐出弁機構18の吐出弁が開き、圧縮された高圧の冷媒ガスは、吐出口17から消音室61へ吐出され、消音カバー60の一部に形成した流出孔(図示せず)から密閉容器2内へ吐出される。
このため、回転圧縮機1は、密閉容器2内が所定の高圧となる内部高圧型回転圧縮機である。
【0029】
図3乃至
図7に示すように、吐出口17は、上部支持部材10に上下方向に貫通形成された円形状の孔で構成され、シリンダ9に連通したシリンダ側の開口17Aと、シリンダ側の開口17Aと同軸上にシリンダ9より遠い側が大きい円形状の出口開口17Bを有し、出口開口17Bは、出口開口17Bの周縁部に出口開口17Bに連通する冷媒ガス吐出路25を外側へ張り出し状態に有する形態である。
【0030】
吐出弁機構18は、シリンダ9側の開口17Aから離間し円形状の出口開口17B内に配置された円形状のバルブホルダ22と、シリンダ側の開口17Aを塞ぐ大きさを有しシリンダ側の開口17Aとバルブホルダ22との間に配置された円形状のフローティングバルブ23と、バルブホルダ22とフローティングバルブ23との間に配置されフローティングバルブ23をシリンダ側の開口17Aを閉じる方向へ付勢するコイルバネ24と、バルブホルダ22に貫通形成されコイルバネ24を通してフローティングバルブ23に背圧を付与するための背圧孔26と、を備えた構成である。
【0031】
バルブホルダ22は、中央部に背圧孔26を形成した円形状のベース壁22Aと、シリンダ側の開口17Aの周辺に向けてベース壁22Aから延出する側壁22Bと、側壁22Bにて囲まれコイルバネ24とフローティングバルブ23を上下可動状態に収容する収容部30を備える。
【0032】
円形状のベース壁22Aは、シリンダ側の開口17Aから離間した状態で、円形状の出口開口17Bの内周面に近接または当接する状態で収容され、円形状の出口開口17Bの出口側の端部(図では上端部)を塞ぐ状態で出口開口17B内に配置される。
側壁22Bの先端(図では下端)は、シリンダ側の開口17Aの周辺の出口開口17Bの底面に近接または当接する位置まで延出する。
フローティングバルブ23の外周面は、収容部30の側壁22Bに近接または摺動状態であり、フローティングバルブ23は、側壁22Bの内面に沿って上下動可能である。
【0033】
コイルバネ24は、背圧孔26の周縁部に当接する大径部からフローティングバルブ23に当接する小径部に向かう円錐台形状をなす。
【0034】
冷媒ガス吐出路25は、出口開口17Bの内壁の一部にバルブホルダ22のベース壁22Aよりも外方へ延びる拡大部にて冷媒ガス吐出路25が形成されるように、出口開口17Bの一部が外方へ拡大するように上部支持部材10に掘り込み形成され、バルブホルダ22よりも外方に露出する状態となる。冷媒ガス吐出路25は、吐出口17の中心軸線PLに対して左右対称位置に形成されることにより、吐出口17から冷媒ガスが吐出されるときの圧力バランスが好ましい状態となる。
収容部30の側壁22Bを貫通して、収容部30から冷媒ガス吐出路25への連通部31が形成される。
【0035】
シリンダ側の開口17Aの周囲には、出口開口17B内へ向けて突出する円形状の弁座部17Cを形成しており、フローティングバルブ23が弁座部17Cに当接することにより、シリンダ側の開口17Aの閉止が良好となる。
【0036】
吐出口17の中心軸線PL、即ち、シリンダ側の開口17Aと出口開口17Bの中心軸線PL上に、フローティングバルブ23の中心と、コイルバネ24の中心と、背圧孔26の中心が位置する。
シリンダ側の開口17A、出口開口17B、フローティングバルブ23、コイルバネ24及びバルブホルダ22は円形状をなしてシリンダ側の開口17Aの中心軸線PL上に配置され、バルブホルダ22の周縁部の一部に形成した取り付け腕部22Tが出口開口17Bの周縁部に形成した取り付け凹部17Kに取り付けネジ29にて固定される。
【0037】
これによって、バルブホルダ22、フローティングバルブ23及びコイルバネ24は、出口開口17B内に収まる。この状態で、バルブホルダ22の収容部30の側壁22Bの先端(図では下端)が出口開口17Bの底壁に近接または当接し、収容部30の側壁22Bの外周面が出口開口17Bの側壁17B1の内側に近接または当接状態で収容され、バルブホルダ22のベース壁22Aの表面(図では上面)が上部支持部材10の表面(図では上面)と同一または若干低いレベルである。これによって、円形状の出口開口17Bの出口側の端部(図では上端部)は、バルブホルダ22によって塞がれた状態となる。
このようにバルブホルダ22が出口開口17Bから突出しない状態であり、吐出弁機構18の小型化に適する。
【0038】
コイルバネ24の中心が中心軸線PL上となるように位置決めをするために、ベース壁22Aの収容部30側の面にコイルバネ24の大径部が嵌る窪みを形成するか、フローティングバルブ23の中心部を上方に膨出させてコイルバネ24の小径部が嵌るようにすることができる。
【0039】
以下に回転圧縮機1の動作概要を記載する。
ターミナル20へ外部電力が供給されることにより、ターミナル20に電気的に接続された電気回路を通してステータコイル3Cへ電流が流れ、それによって形成される回転磁界によってロータ8が所定方向へ回転する。ロータ8の回転と共に回転軸7が回転し、回転軸7と一体形成の偏芯部7Aの偏芯回転によってローラ12がシリンダ9の内壁に沿って偏芯回転する。
【0040】
このような回転によって、アキュームレータ70及び冷媒導入管71を通って吸入口16からシリンダ9の低圧室側13Aに吸い込まれた冷媒ガスは、ローラ12及びベーン15の動作によって高圧室側13Bで圧縮され、高温高圧の冷媒ガスとなる。この高温高圧の冷媒ガスは、所定の高圧に達したとき吐出弁機構18のフローティングバルブ23が開き、高圧室側13Bの冷媒ガスはシリンダ側の開口17A、出口開口17B、及び冷媒ガス吐出路25を経て消音室61へ吐出され、消音カバー60の一部に形成した流出孔(図示せず)から密閉容器2内へ吐出される。
このような動作は回転軸7の1回転ごとに行われ、回転軸7の1回転ごとにフローティングバルブ23の開閉動作が行われる。
【0041】
この場合の吐出弁機構18の動作を詳述する。
高圧室側13Bで圧縮される高温高圧の冷媒ガスが所定の高圧に達するまでは、
図6に示すように、コイルバネ24は大径部がベース壁22Aに当接し小径部がフローティングバルブ23に当接状態であり、フローティングバルブ23は、コイルバネ24のバネ力と背圧孔26を通して加えられる背圧によってシリンダ側の開口17Aを閉じている。
そして、高圧室側13Bでの更なる圧縮によって高圧室側13Bの冷媒ガスが所定の高圧に達したとき、
図7に示すように、前記コイルバネ24のバネ力と前記背圧に抗してコイルバネ24を圧縮し、フローティングバルブ23が上昇してシリンダ側の開口17Aを開く。
【0042】
フローティングバルブ23がシリンダ側の開口17Aを開くことにより、高圧室側13B内の高温高圧の冷媒ガスはシリンダ側の開口17Aを通り出口開口17Bへ入る。この場合、高温高圧の冷媒ガスは出口開口17B内に設けた収容部30へ入り、収容部30から連通部31と冷媒ガス吐出路25を経て消音室61へ吐出され、消音カバー60の一部に形成した流出孔(図示せず)から密閉容器2内へ吐出される。
【0043】
このようにフローティングバルブ23が開き冷媒ガスが吐出されることによって、シリンダ側の開口17A内の圧力が低下するため、コイルバネ24のバネ力と背圧孔26を通して加えられる背圧によってフローティングバルブ23がシリンダ側の開口17Aを閉じる。
このようなフローティングバルブ23の開閉動作は、回転軸7の1回転ごとにシリンダ9内でローラ12が回転することによって、冷媒ガスを吸引し圧縮する1サイクルが連続して行われ、それに伴ってシリンダ9内で圧縮された冷媒ガスが吐出されるように、この1サイクルごとに吐出口17を開閉する動作である。
【0044】
上記のように、密閉容器2内へ吐出された冷媒ガスは、ステータ5の外周面に容器本体2Aとの間に形成した通路及びステータ5の内周面とロータ8の外周面との間の空隙を通して密閉容器2内を上昇し、蓋体2Bに貫通状態に取り付けた冷媒吐出管72から密閉容器2外へ吐出される。冷媒吐出管72から吐出された冷媒は、冷媒吐出管72に接続した配管を通り冷媒の凝縮器(図示せず)、冷媒膨張弁(図示せず)、冷媒蒸発器(図示せず)を経て冷媒帰還管71Aからアキュームレータ70へ上部から入り、アキュームレータ70内で気液分離された冷媒ガスは、容器本体2Aに貫通状態に取り付けた冷媒導入管71を通って吸入口16からシリンダ9の低圧室側13Aに吸い込まれる。
【0045】
この低圧室側13Aに吸い込まれた冷媒ガスは、上記同様の動作によって、高圧室側13Bで圧縮され、高温高圧の冷媒ガスとなり、この高温高圧の冷媒ガスは、所定の高圧に達したとき吐出弁機構18のフローティングバルブ23が開き、高圧室側13Bの冷媒ガスは吐出口17を通って消音室61へ吐出され、消音カバー60の一部に形成した流出孔(図示せず)から密閉容器2内へ吐出され、このような動作が循環される。
【0046】
コイルバネ24は、背圧孔26の周縁部に当接する大径部からフローティングバルブ23に当接する小径部に向かう円錐台形状をなすことにより、
図7のように圧縮されたとき、小径部が順次大径部の内側へ収容される状態となる。このため、上下方向に同じ直径の円筒形状のコイルバネの場合に比して、圧縮された時の上下方向寸法が小さくなり、吐出弁機構18を小型化することができる。
【0047】
また、背圧孔26の断面積は、シリンダ側の開口17Aの断面積より小さく、且つシリンダ側の開口17Aの断面積の二分の一以上である。
これは、フローティングバルブ23が高圧冷媒ガスによってシリンダ側の開口17Aを開く作用を確保しつつ、フローティングバルブ23がシリンダ側の開口17Aを閉じるときの作用力として、背圧を有効に掛けることができ、そのためコイルバネ24のバネ力を小さくできる。コイルバネ24のバネ力を小さくできることは、コイルバネ24の線径を小さくできることとなり、
図7のように、圧縮されたとき小径部が大径部に入り込む状態によって上下方向寸法を小さくできることとなり、吐出弁機構18を小型化することができる。このため、消音カバー60の小型化によって消音室61の小型化が達成でき、回転圧縮機1の小型化に寄与する。
【0048】
吐出口17を開閉するフローティングバルブ23の開閉動作を安定させるために、バルブホルダ22のベース壁22Aの内側面(
図6では下側面)、コイルバネ24の両側端面(
図6では上下両端面)、フローティングバルブ23の両側面(
図6では上下両面)、及び弁座部17Cのフローティングバルブ23の当接面(
図6では上面)は、中心軸線PLに対して直角な面で構成される。
これによって、フローティングバルブ23の開閉動作が中心軸線PL上で行われ、フローティングバルブ23がシリンダ側の開口17Aを閉じる動作が安定する。
【実施例3】
【0053】
図12乃至
図15に本発明の第2実施例を示しており、実施例1と同じ機能部分には実施例1と同じ符号を比して、その説明は省略する。
実施例1及び実施例2と異なるところは、収容部30の構成である。
すなわち、バルブホルダ22は、収容部30を形成するための側壁22Bを有しない平板の円形状のベース壁22Aであり、側壁22Bに相当する部分が円形状の出口開口17Bの側壁17B1で構成される。この状態で、ベース壁22Aが側壁17B1に当接または近接し、ベース壁22Aによって円形状の出口開口17Bの出口側の端部(図では上端部)が塞がれる状態となる。
これによって収容部30は、ベース壁22Aと出口開口17Bの側壁17B1とで囲まれた円形状の構成である。
【0054】
シリンダ側の開口17A、出口開口17B、フローティングバルブ23、コイルバネ24及びバルブホルダ22は円形状をなして、吐出口17の中心軸線PL上に配置される。
このため、吐出口17の中心軸線PL、即ち、シリンダ側の開口17Aと出口開口17Bの中心軸線PL上に、フローティングバルブ23の中心と、コイルバネ24の中心と、背圧孔26の中心が位置する状態で、バルブホルダ22の周縁部の一部に形成した取り付け腕部22Tが、出口開口17Bの周縁部に形成した取り付け凹部17Kに取り付けネジ29にて固定される。
【0055】
これによって、バルブホルダ22、フローティングバルブ23及びコイルバネ24は、出口開口17B内に収まる。
この状態で、バルブホルダ22のベース壁22Aの表面(図では上面)が上部支持部材10の表面(図では上面)と同一または若干低いレベルである。
このため、収容部30の構成が簡素化され、バルブホルダ22が出口開口17Bから突出しない状態であり、吐出弁機構18の小型化に適する。
【0056】
その他の構成及び動作は実施例1と同様であるため、説明を省略する。
【0057】
冷媒ガス吐出路25は、吐出口17の中心軸線PLに対して左右対称位置に形成される。上記の実施例1乃至3では、左右1個ずつ形成されるが、左右2個ずつ、左右3個ずつのように、複数個が左右対称配置に形成される形態でもよい。
また、背圧孔26は、吐出口17の中心軸線PL上に1個でなく、吐出口17の中心軸線PLを中心とした同一円上に複数個の孔を等角度配置とする構成でもよい。
【0058】
上記のように、シリンダ側の開口17Aとバルブホルダ22との間に、フローティングバルブ23と、フローティングバルブ23をシリンダ側開口17Aを閉じる方向へ付勢するコイルバネ24を備え、バルブホルダ22にはコイルバネ24を通してフローティングバルブ23に背圧を付与するための背圧孔26を備えることにより、バネ力が弱いコイルバネ24の採用で以ってフローティングバルブ23の動作が安定し、開閉遅れが解消され性能が向上する。
また、従来のような片持ち式板バネの吐出弁機構における応力集中による破損の原因も解決され、安定した開閉動作が得られる吐出弁機構18となる。
【0059】
また、出力(吐出口17からの冷媒ガスの吐出量)に合わせたバネ力が弱いコイルバネ24の最適化により、回転圧縮機1に対する要求運転条件での高性能を確保できる。特にエアーコンディショナとして運転する場合、冷房運転と暖房運転の中間性能においては回転圧縮機1が3600rpm〜6000rpmの高速回転運転ではなく480rpm〜1800rpmの低速回転運転となるが、その場合でも高性能を確保できるようにコイルバネ24の最適化が達成できる。
また、コイルバネ24を円錐台形状とすることにより、吐出弁機構18を小型化することができる。
【0060】
上記実施例の吐出弁機構18は、上部支持部材10に形成した吐出口17を開閉する方式であるが、下部支持部材11に吐出口17と同様の吐出口を形成し、下部カバー60B内を消音室として形成し、この吐出口に吐出弁機構18を採用する場合も、同様の効果が得られる。
このため、回転圧縮機1の形態に応じて、吐出口17は、上部支持部材10及び下部支持部材11のいずれか一方または双方に形成し、その吐出口17を開閉する吐出弁機構18を設ける構成とすることができる。
【0061】
上記実施例は、単一の電動機要素3によって駆動される回転圧縮要素4が一つの形態であるが、単一の電動機要素3によって駆動される回転圧縮要素4が上下2段に配置され、所謂2段圧縮方式の回転圧縮機の吐出弁機構として、本発明の吐出弁機構18を採用することができる。
即ち、2段圧縮方式の回転圧縮機は、密閉容器2外の冷媒配管回路からアキュームレータ70を経て流入する冷媒ガスは、先ず下段の回転圧縮要素で中間圧まで圧縮され、その冷媒ガスが一旦密閉容器2内の空間に放出された後、再び上段の回転圧縮要素へ流入して所定の高圧まで圧縮した後、密閉容器2外の冷媒配管回路へ吐出される。そして、冷媒配管回路を流れた冷媒はアキュームレータ70を経て再び下段の回転圧縮要素で圧縮され、上記同様の動作が連続して行われる。この時の上段の回転圧縮要素と下段の回転圧縮要素の吐出弁機構として、本発明の吐出弁機構18を採用することができる。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、以上の説明は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。