【解決手段】情報開示装置200は、ユーザと、ユーザ情報を記憶するユーザ情報記憶部222の保有側との間で取り決められた情報の開示条件を記憶する開示条件記憶部223と、開示条件記憶部223により記憶された開示条件が成立したか否かを判断する判断部212と、判断部212により開示条件が成立したと判断された場合に、ユーザと保有側とを除く予め定められた特定者に対して、ユーザ情報記憶部222により記憶されるユーザ情報のうち開示対象となる情報を開示可能に制御し、判断部212により開示条件が成立していないと判断された場合に、予め定められた特定者に対してユーザ情報の開示を禁止する情報開示部214とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係る情報開示システムを示す構成図である。
図1に示す情報開示システム1は、複数のアクセス端末100と、情報開示装置200と、これらを接続するネットワークNとを備えて構成されている。
【0011】
情報開示装置200は、ユーザのユーザ情報を記憶する保有側において管理される装置であって、ユーザ情報を記憶すると共に、予め定められた開示条件の成立時に、開示対象となる情報を特定者に開示するものである。ここで、特定者は、ユーザ等によって予め定められた、ユーザ及び保有側を除く者(第三者)である。なお、本実施形態に係る情報開示装置200は、開示条件の成立時に特定者に情報を開示すれば、更にユーザにも情報開示することを否定するものではない。なお、ユーザ情報は、ユーザに関する情報であって、身体、所属、金融、役所から付与される番号等、個人を特定できる情報や個人にリンクする情報をいう。
【0012】
アクセス端末100は、情報開示装置200に対して、ユーザ情報を記憶させたり、ユーザ情報の開示条件を設定したりする端末である。さらに、本実施形態において情報開示装置200は、アクセス端末100により入力された情報に基づいて開示条件が成立したかを判断するようになっている。なお、複数のアクセス端末100のうち、1つをユーザ端末100aとし、1つを医療側端末100bとし、残り1つを企業側端末100cとする。ユーザ端末100aはユーザによって操作される端末である。医療側端末100bは、例えば医師や救急隊員等に操作される端末である。企業側端末100cは、例えば新薬開発又はマーケティング等を行う企業の従業員等に操作される端末である。
【0013】
このような情報開示システム1において、開示条件が成立していない場合には、医療側端末100bや企業側端末100cによって情報開示装置200にアクセスしたとしてもユーザ情報が開示されることはない。このため、例えば、企業側や医療側に悪意を持って情報を取得しようとした人が居ても開示条件成立時でなければ情報を取得することができなくなる。一方、開示条件が成立すれば、意識不明のユーザのユーザ情報であっても例えば医療側端末100bを保有する医療従事者にユーザ情報が開示される。
【0014】
以下、各部について詳細に説明する。まず複数のアクセス端末100は、情報開示装置200に対してユーザ情報を記憶させる(第1機能)。また、アクセス端末100は開示条件等を設定する(第2機能)。さらに、アクセス端末100は、開示条件が成立したか否かを情報開示装置200に判断させるための情報(判断情報)を、情報開示装置200に送信する(第3機能)。加えて、開示条件等が設立した場合、アクセス端末100は、ユーザ情報を受信する(第4機能)。
【0015】
なお、これらの第1〜第4機能については、他人との混同を防止すべくID等の識別情報によって管理されている。
【0016】
ここで、第1及び第3機能についてはユーザ端末100a及び医療側端末100bによって実行可能であり、第2機能についてはユーザ端末100aで実行可能である。第4機能については、医療側端末100b及び企業側端末100cについて実行可能である。
【0017】
図2は、第1〜第4機能を搭載したアクセス端末100を示すハード構成図である。
図2に示すように、アクセス端末100は、制御部110と、ディスプレイ120と、通信I/F(interface)部130と、HDD(Hard DiskDrive)150とを備えている。
【0018】
制御部110は、本実施形態に係るアクセス端末100の全体を制御するものであり、
図2に示すようにROM(Read Only Memory)110aとRAM(Random Access Memory)110bとを備えている。ROM110aは、アクセス端末100を機能させるためのプログラムが記憶された読み出し専用のメモリである。RAM110bは、各種のデータを格納すると共に制御部110の処理作業に必要なエリアを有する読み出し書き込み自在のメモリである。
【0019】
ディスプレイ120は、キーボードKやマウスM等の入力手段からの入力操作を受け付ける入力画像を表示したり、アクセス端末100からの結果画面を表示したりするものである。通信I/F部130は、ネットワークNに接続するための通信インターフェースである。なお、後述する各記憶部151〜159に記憶される内容は、この通信I/F部130を通じて他の装置から取得するようになっていてもよい。
【0020】
HDD150は、パーソナルコンピュータに接続される補助記憶機器である。このHDD150には、ROM110aと同様に、アクセス端末100を機能させるためのプログラムが記憶されていてもよい。すなわち、制御部110は、HDD150に記憶されるプログラムに従って、本実施形態に係るアクセス端末100の各機能を実現するようになっていてもよい。なお、可能であればHDDに代えて又は加えてUSB等を備えていてもよい。
【0021】
次に、第1〜第3機能について詳細に説明する。なお、第4機能については、情報開示装置200から送信される情報を受信するだけの機能であることから、詳細な説明は省略する。
【0022】
図3は、第1及び第3機能を備えるアクセス端末100を示すソフト構成図である。第1及び第3機能を備えるアクセス端末100については、以下の機能部A,B等を有する。
【0023】
図3に示すように、制御部110は、ユーザの病名を診断する病名診断機能部Aと、ユーザの病態を判断する病態判断機能部Bとを備えている。病名診断機能部Aは、ROM110aやHDD150に記憶される病名診断プログラムを実行することにより、第1提示部111と、第1絞り込み部112と、第2提示部113と、第2絞り込み部114と、第3提示部115とが機能する。さらに、病態判断機能部Bは、ROM110aやHDD150に記憶される病態判断プログラムを実行することにより、表示制御部116、症状結果判断部117、及び病名候補判断部118が機能する。
【0024】
また、
図3に示すように、HDD150は、診察行為記憶部151と、身体所見記憶部152と、検査記憶部153と、検査結果記憶部154とを有している。加えて、HDD150は、症状項目記憶部155と、質問内容記憶部156と、選択肢記憶部157と、症状結果テーブル記憶部158と、病名候補テーブル記憶部159とを有している。
【0025】
なお、アクセス端末100がユーザ端末100aである場合、ユーザの病態を判断する病態判断機能部Bが搭載されており、アクセス端末100が医療側端末100bである場合、ユーザの病名を診断する病名診断機能部Aと、ユーザの病態を判断する病態判断機能部Bとの双方が搭載されることとなる。よって、病名診断機能部Aに関するアクセス端末100の操作者は例えば医師であり、病態判断機能部Bに関するアクセス端末100の操作者は例えば医師及びユーザ(保護者を含む)となる。
【0026】
まず、病名診断機能部Aとそれに関連する記憶部151〜154について説明する。
【0027】
診察行為記憶部151は、病名と病名を確定するために行うべき診察行為とを対比させて記憶する記憶部である。
図4は、
図3に示した診察行為記憶部151の記憶内容を示す概念図である。
図4に示すように、診察行為記憶部151には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応して診察行為が記憶されている。
【0028】
図4に示す例において診察行為記憶部151には、病名αに対する診察行為1として「○○1」と記憶されており、診察行為2として「○○2」と記憶されている。○○1は、例えば「左下腹部に痛みがあるかを確認するために触診を行う」であり、○○2は、例えば「呼吸音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」等である。また、診察行為記憶部151には、病名βに対する診察行為1として「××1」と記憶されており、病名γに対する診察行為1として「△△1」と記憶されている。××1は、例えば「左下腹部にしこりがあるかを確認するために触診を行う」であり、△△1は、例えば「心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う」等である。
【0029】
図3を参照する。身体所見記憶部152は、病名と病名によって得られる身体所見とを対比させて記憶する記憶部である。
図5は、
図3に示した身体所見記憶部152の記憶内容を示す概念図である。
図5に示すように、身体所見記憶部152には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する身体所見が記憶されている。
【0030】
例えば特定の病気については、身体所見として、心音の乱れや、呼吸音の乱れが得られる傾向にある。更には、他の特定の病気については、身体所見として、特定箇所における痛みやしこりが得られる傾向にある。身体所見記憶部152は、このような医師による身体所見と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0031】
図5に示す例において、身体所見記憶部152は、病名αについて、身体所見1として「左下腹部に痛み有り」と記憶しており、身体所見2として「呼吸音に乱れ有り」と記憶している。また、病名βについては身体所見1として「左下腹部にしこり有り」と記憶しており、病名γについては身体所見1として「心音に乱れ有り」と記憶している。
【0032】
なお、身体所見記憶部152は、診察行為記憶部151に記憶される診察行為を行ったことによる身体所見を記憶するものであり、例えば診察行為記憶部151において病名γの診察行為は「△△1(心音に乱れが無いか確認するために聴診を行う)」となっているのに対し、身体所見記憶部152において病名γの身体所見は「心音に乱れ有り」となっている。すなわち、診察行為記憶部151と身体所見記憶部152との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部151,152は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
【0033】
図3を参照する。検査記憶部153は、病名と病名を確定するために行うべき検査とを対比させて記憶する記憶部である。
図6は、
図3に示した検査記憶部153の記憶内容を示す概念図である。
図6に示すように、検査記憶部153には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査が記憶されている。
【0034】
例えば心臓病であるか確定するためには、心電図、胸部X線写真、心臓カテーテル等の検査が行われる。また、大腸癌の検査には、検便が行われる。さらに、肝炎や膵炎等の検査には、血液検査が行われる(肝炎はGOT値等、膵炎は血清アミラーゼ値の検査)。検査記憶部153は、このような検査項目と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0035】
図6に示す例において、検査記憶部153は、病名αについて検査1として「血液検査(○○値)」と記憶しており、病名βについて検査1として「検便」と記憶している。また、病名γについては検査1として「血液検査(××値)」と記憶している。なお、各病名に対して検査は1つに限るものではない。
【0036】
図3を参照する。検査結果記憶部154は、病名と病名によって得られるはずである検査結果とを対比させて記憶する記憶部である。
図7は、
図3に示した検査結果記憶部154の記憶内容を示す概念図である。
図7に示すように、検査結果記憶部154には、複数の病名が記憶されると共に、これらの病名それぞれに対応する検査結果が記憶されている。
【0037】
例えば大腸癌においては、便に血が混じったり、便が細くなったりする。さらに、肝炎においては、例えばGOT値が35IU/I以上となる。また、膵炎においては、血清アミラーゼ値が60〜190U/dlの範囲外となる。検査結果記憶部154は、このような検査結果と、病名とを対比させたデータを記憶している。
【0038】
図7に示す例において、検査結果記憶部154は、病名αについて検査結果1として「○○値がX値以上」と記憶しており、病名βについて検査結果1として「便に血が混じっている」と記憶している。また、病名γについては検査結果1として「××値がY1〜Y2の範囲外」と記憶している。
【0039】
なお、検査結果記憶部154は、検査記憶部153に記憶される検査に対する結果を記憶するものであり、例えば検査記憶部153において病名αの検査は「血液検査(○○値)」となっているのに対し、検査結果記憶部154において病名αの検査結果は「○○値がX値以上」となっている。すなわち、検査記憶部153と検査結果記憶部154との記憶内容は対応関係を有している。よって、これら記憶部153,154は統合されて1つの記憶部によって構成されていてもよい。
【0040】
加えて、上記した各記憶部151〜154は、全て病名の項目を含んでいることから、病名を軸にして、診察行為、身体所見、検査及び検査結果の内容を記憶した1つのデータベースにより構成されていてもよい。
【0041】
再度、
図3を参照する。第1提示部111は、候補となる病名が入力された場合に、入力された病名と対応する診察行為を診察行為記憶部151から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば
図8に示す画像が表示される。
【0042】
図8は、
図3に示した第1提示部111により表示される画面を示す正面図である。
図8に示すように、例えば候補となる病名としてα,β,γが入力された場合、
図4を参照して説明した病名α,β,γに対応する診察行為が抽出されて画像表示される。
【0043】
具体的には
図8に示すように、病名αに対応した診察行為である「左下腹部に痛みがあるか確認してください。」という診察行為内容AC1、及び、「呼吸音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC2が表示される。さらには、病名βに対応した診察行為である「左下腹部にしこりがあるか確認してください。」という診察行為内容AC3、及び、「心音に乱れがあるか確認してください。」という診察行為内容AC4が表示される。医師は、上記のような診察行為内容AC1〜AC4が表示されることにより、誤り無く行うべき診察行為を行うことができる。
【0044】
加えて、各診察行為内容AC1〜AC4のそれぞれに隣接して身体所見の情報を入力する入力項目IT1〜IT4が表示されている。各入力項目IT1〜IT4は、ラジオボタン形式となっている。具体的に診察行為内容AC1の入力項目IT1は、「痛み有り」と「痛み無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、診察行為内容AC2の入力項目IT2は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成され、診察行為内容AC3の入力項目IT3は、「しこり有り」と「しこり無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。加えて、診察行為内容AC4の入力項目IT4は、「乱れ有り」と「乱れ無し」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
【0045】
そして、医師が診察行為を行うことで得た身体所見の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第1絞り込み部112が機能することとなる。
【0046】
再度、
図3を参照する。第1絞り込み部112は、第1提示部111により提示された診察行為に応じた身体所見の情報が入力された場合に、身体所見記憶部152の記憶内容に基づいて、入力された候補となる病名の絞り込みを行うものである。
【0047】
例えば、
図8に示す画面において、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定され、入力項目IT3では「しこり有り」が指定され、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されたとする。この場合、第1絞り込み部112は、このような指定された入力内容と、身体所見記憶部152の記憶内容とを対比させて病名の絞り込みを行う。
【0048】
すなわち、
図5に示すように、病名αの身体所見については「左下腹部に痛み有り」且つ「呼吸音に乱れ有り」となっている。上記においては、入力項目IT1では「痛み有り」が指定され、入力項目IT2では「乱れ有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αである可能性がある。同様に、病名βの身体所見については「左下腹部にしこり有り」となっている。上記においては、入力項目IT3では「しこり有り」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名βである可能性がある。これに対して、病名γの身体所見については「心音に乱れ有り」となっている。一方、入力項目IT4では「乱れ無し」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名γである可能性がない。以上のように、第1絞り込み部112は、病名の絞り込みを行う。
【0049】
第2提示部113は、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名と対応する検査を検査記憶部153から抽出して医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部111と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば
図9に示す画像が表示される。
【0050】
図9は、
図3に示した第2提示部113により表示される画面を示す正面図である。
図9に示すように、例えば第1絞り込み部112により病名γの可能性が否定され、病名αと病名βとに絞り込まれた場合、
図5を参照して説明した病名α,βに対応する検査が抽出されて画像表示される。
【0051】
具体的には
図9に示すように、病名αに対応した検査である「血液検査(○○値)」という検査内容IC1、及び、病名βに対応した検査である「検便」という検査内容IC2が表示される。医師は、上記のような検査内容IC1〜IC2が表示されることにより、誤り無く行うべき検査を実施することができる。
【0052】
加えて、各検査内容IC1〜IC2のそれぞれに隣接して検査結果を問う質問項目Q1,Q2と、検査結果の情報を入力する入力項目IT5,IT6が表示されている。各入力項目IT5,IT6は、ラジオボタン形式となっている。具体的に検査内容IC1の質問項目Q1は、「○○値はX値以上であるか。」という文字表示となっており、入力項目IT5は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。同様に、検査内容IC2の質問項目Q2は、「便に血が混じっているか。」という文字表示となっており、入力項目IT6は、「YES」と「NO」とのいずれか一方を選択可能なラジオボタンで構成されている。
【0053】
そして、医師が検査を通じて得た検査結果の情報を、キーボードK又はマウスM等の入力手段を通じて入力すると、第2絞り込み部114が機能することとなる。
【0054】
再度、
図3を参照する。第2絞り込み部114は、第2提示部113により提示された検査に応じた検査結果が入力された場合に、検査結果記憶部154の記憶内容に基づいて、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名に対して更に絞り込みを行うものである。
【0055】
例えば、
図9に示す画面において、入力項目IT5では「YES」が指定され、入力項目IT6では「NO」が指定されたとする。この場合、第2絞り込み部114は、このような指定された入力内容と、検査結果記憶部154の記憶内容とを対比させて更に病名の絞り込みを行う。
【0056】
すなわち、
図7に示すように、病名αの検査結果については「○○値がX値以上」となっている。上記においては、入力項目IT5では「YES」が指定されている。このため、両者の内容は合致するため、患者は病名αであるといえる。一方、病名βの検査結果については「便に血が混じっている」となっている。上記においては、入力項目IT6では「NO」が指定されている。よって、両者の内容は不一致であることから、患者は病名βである可能性がない。以上のように、第2絞り込み部114は、病名の絞り込みを行う。
【0057】
再度
図3を参照する。第3提示部115は、第2絞り込み部114により絞り込まれた結果を医師に提示するものである。提示方法としては、第1提示部111と同様に、不図示のプリンタに印刷する方法や、ディスプレイ120に画像表示させる方法等がある。ディスプレイ120に表示させる場合、例えば
図10に示す画像が表示される。
【0058】
図10は、
図3に示した第3提示部115により表示される画面を示す正面図である。
図10に示すように、例えば第2絞り込み部114により病名βの可能性が否定され、病名αに絞り込まれた場合、第3提示部115は、例えば「病名はαであると判断できます。」等と最終結果FRを画像表示させる。
【0059】
以上のように、病名の候補が入力されれば、医師は、提示される診察行為及び検査を行い、身体所見と検査結果を入力すれば、最終結果FRを得ることができる。しかも、診察行為や検査の誤った実施が防止されるため、病名をより精度良く診断することができる。
【0060】
なお、上記した説明においては、最終結果FRとして病名αという1つの病気が残ることとなったが、これに限らず、例えば癌等のように複数箇所に同時に発生し得るもの、すなわち複数の病気を併発しているような場合には、最終結果FRとして複数の病気が表示されることとなる。さらに、上記において検査結果の入力形式は選択肢を選択する方式であるが、可能であれば数値等を直接入力する形式であってもよい。
【0061】
ここで、病名の候補は、病態判断機能部Bによって判断される。次に、病態判断機能部Bとそれに関連する記憶部155〜159について説明する。
【0062】
図3に示す症状項目記憶部155は、予め定められた複数の症状項目を記憶するものである。
図11は、
図3に示した症状項目記憶部155の記憶内容を示す概念図である。
図11に示すように、症状項目記憶部155には、X個(Xは2以上の整数であって、
図11に示す例では少なくとも22以上の整数)の症状項目を記憶している。症状項目とは、病名の候補を判断する対象者に発生している異常を示す項目であり、例えば「熱がある」「咳が出る」「痰が出る」「頭痛がする」「乳房に痛みがある」「関節に痛みがある」「下痢である」「便秘である」「鼻水が出る」「痙攣した」等である。
【0063】
さらに、症状項目記憶部155は、それぞれの症状項目を属性区分と関連付けて記憶している。ここで、属性区分とは年齢及び性別による区分け(属性情報の区分け)であって、本実施形態では5つの属性区分が設定されている。本実施形態に係るアクセス端末100では、年齢及び性別を示す属性情報をキーボードKやマウスMへの操作を通じてアクセス端末100に入力できるようになっている。アクセス端末100は、入力された年齢及び性別から、5つの属性区分のいずれに属するかを判断する。
【0064】
5つの属性区分は、例えば「0〜11ヶ月(第1区分)」「1歳〜3歳(第2区分)」「4歳〜12歳(第3区分)」「13歳以上男性(第4区分)」「13歳以上女性(第5区分)」からなる。症状項目記憶部155は、それぞれの症状項目を、これら5つの属性区分と対応付けて記憶している。具体的に16個目の症状項目である「頭痛がする」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「○」、「13歳以上男性」について「○」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。同様に17個目の症状項目である「乳房に痛みがある」については、「0〜11ヶ月」について「−」、「1歳〜3歳」について「−」、「4歳〜12歳」について「−」、「13歳以上男性」について「−」、「13歳以上女性」について「○」と記憶している。
【0065】
なお、本実施形態において属性情報とは年齢及び性別の双方を意味するが、これに限らず、年齢又は性別のいずれか一方であってもよい。また、いずれか一方である場合、属性区分が
図11に示すものと異なることはいうまでもない。
【0066】
再度、
図3を参照する。質問内容記憶部156は、複数の症状項目のそれぞれに設定された質問内容を記憶したものである。
図12は、
図3に示した質問内容記憶部156の記憶内容を示す概念図である。
図12に示すように、質問内容記憶部156は、
図11に示した複数の症状項目のそれぞれに対して定量質問、定性質問及び時間質問の3種類の質問を記憶している。
【0067】
ここで、定量質問とは量を問う質問である。すなわち、定量質問とは、回数、温度、頻度等の量そのものが回答となる質問であって、例えば「1日の咳の回数は何回か?」「熱は何度か?」等の質問である。
【0068】
また、時間質問とは時間を問う質問である。すなわち、時間質問とは、何日前や何時頃等の時間(時間、時刻、間隔及び期間を含む)そのものが回答となる質問であって、例えば「熱が出たのは何日前か?」「咳が最もひどくなる時間帯はいつか?」等の質問である。
【0069】
また、定性質問とは性質を問う質問である。より詳細に定性質問とは、症状の性質を問うものであり、広義には回答が量でも時間でもない質問である。例えば「乾いた咳か?」「痰は何色か?」等は定性質問である。
【0070】
ここで、本実施形態においてはそれぞれの症状項目の全てに、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されている。
【0071】
例えば質問内容記憶部156は、「熱がある」の症状項目に対して、「現在の熱は何度か?」「何度まであがったか?」という2つの定量質問を記憶している。また、質問内容記憶部156は、「熱がある」の症状項目に対して、「明け方に熱は下がるか?」という1つの定性質問、及び、「熱が出始めたのかいつか?」という1つの時間質問を記憶している。質問内容記憶部156は、他の症状項目についても同様に、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問を記憶している。
【0072】
なお、本実施形態においてはそれぞれの症状項目の全てに、1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されているが、これに限らず、特定の症状項目のみに1又は複数個の定量質問、定性質問及び時間質問が設定されていてもよい。
【0073】
再度、
図3を参照する。選択肢記憶部157は、複数の症状項目それぞれの定量質問、定性質問、及び時間質問に対する回答を選択させるための選択肢を記憶している。また、選択肢記憶部157は、属性区分に応じた選択肢を記憶している。
【0074】
図13及び
図14は、
図3に示した選択肢記憶部157の記憶内容の一例を示す概念図であり、
図13は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢の例を示し、
図14は属性区分が12歳以下であるときの選択肢の例を示している。なお、
図13及び
図14に示す例では第1〜第3区分で共通の選択肢となっており、且つ、第4及び第5区分で共通の選択肢となっているが、これに限らず、選択肢記憶部157は、属性区分それぞれにおいて異なる選択肢を記憶しておいてもよい。
【0075】
図13に示すように、選択肢記憶部157は、属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上37.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「37.5℃以上38.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「38.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
【0076】
同様に、選択肢記憶部157は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶している。
【0077】
また、
図14に示すように、選択肢記憶部157は、属性区分が12歳以下であるときの選択肢を記憶している。例えば「熱がある」という症状項目の定量質問1(「現在の熱は何度か?」)においては、「37.0℃以上38.5℃未満」を第1選択肢として記憶し、「38.5℃以上39.5℃未満」を第2選択肢として記憶し、「39.5℃以上」を第3選択肢として記憶している。
【0078】
同様に、選択肢記憶部157は、例えば「咳が出る」という症状項目の定性質問1(「咳の後の呼吸は?」)においては、「「ヒュー」という呼吸音がする」を第1選択肢として記憶し、「「ゼェゼェ」いう」を第2選択肢として記憶し、「呼吸自体が困難となる」を第3選択肢として記憶している。
【0079】
再度
図3を参照する。症状結果テーブル記憶部158は、症状毎の結果を判断するための症状結果テーブルを記憶したものである。この症状結果テーブルは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢と、症状毎の結果との対応関係を記憶したものである。症状結果テーブル記憶部158は、選択肢記憶部157と同様に、属性区分に応じた対応関係の症状結果テーブルを記憶している。
【0080】
図15及び
図16は、
図3に示した症状結果テーブル記憶部158の記憶内容の一例を示す概念図であり、
図15は属性区分が13歳以上の男性及び女性であるときの症状結果テーブルの例を示し、
図16は属性区分が12歳以下であるときの症状結果テーブルの例を示している。なお、
図15及び
図16に示す例では第1〜第3区分で共通の症状結果テーブルとなっており、且つ、第4及び第5区分で共通の症状結果テーブルとなっているが、これに限らず、症状結果テーブル記憶部158は、属性区分それぞれにおいて異なる症状結果テーブルを記憶しておいてもよい。また、
図15及び
図16では1つの症状項目(例えば「熱がある」)についての症状結果テーブルを示しているが、症状結果テーブルは1つに限らず、症状項目それぞれに対して症状結果テーブル記憶部158が症状結果テーブルを記憶している。
【0081】
まず、上記したように、「熱がある」の症状項目については、2つの定量質問と、1つの定性質問と、1つの時間質問とが設定されていた。また、2つの定量質問と1つの時間質問とには、それぞれ3つの選択肢が設けられ、1つの定性質問には2つの選択肢が設けられていた。
【0082】
このため、回答パターンについては、3×3×2×3=54パターンが存在することとなる。症状結果テーブル記憶部158は、54の回答パターンに対する結果(A1〜A54)を対応付けて記憶している。具体的に属性区分が13歳以上の男性及び女性であるとき、
図15に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢(図中においては「1」と記載)であった場合については、結果「A1」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A3」が対応付けて記憶されている。
【0083】
なお、結果「A1」から「A54」のそれぞれは、異なる内容であってもよいし、一部共通する内容のものがあってもよい。また、結果「A1」から「A54」のそれぞれには、病態の情報として、重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)等の情報を含むものとなっている。
【0084】
また、属性区分が12歳以下であるとき、
図16に示すように、定量質問1、定量質問2、定性質問1及び時間質問1で回答選択された選択肢が全て第1選択肢であった場合については、例えば結果「A4」が対応付けて記憶されている。同様に定量質問1、定量質問2、及び定性質問1で回答選択された選択肢が第1選択肢であり、時間質問1で回答選択された選択肢が第3選択肢(図中においては「3」と記載)であった場合については、結果「A5」が対応付けて記憶されている。
【0085】
このように、同じ選択肢が回答選択された場合であっても、属性区分によっては結果が異なることがある(もちろん同じときもある)。
【0086】
再度
図3を参照する。病名候補テーブル記憶部159は、症状毎の結果に対して病名の候補が割り当てられたものである。
図17は、
図3に示した病名候補テーブル記憶部159の記憶内容の一例を示す概念図であり、通常候補テーブルを示している。また、
図18は、
図3に示した病名候補テーブル記憶部159の記憶内容の一例を示す概念図であり、特定候補テーブルを示している。
【0087】
図17に示すように、通常候補テーブル(病名候補テーブル)は、症状項目毎に記憶される症状結果テーブルが示す結果それぞれと、病名の候補とを対応させたものであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であった場合には、病名の候補として病名α,β,γ,δ,εが割り当てられており、結果がA2であった場合には、病名の候補として病名β,γ,ε,ζ,φが割り当てられている。他の結果A3〜A54についても同様に病名の候補が割り当てられている。加えて、病名候補テーブルは、
図17に示すように、「咳が出る」の結果B1〜B44についても同様に病名の候補が割り当てられている。すなわち、他の症状項目の結果それぞれについて病名の候補が割り当てられている。
【0088】
さらに、
図18に示す特定候補テーブル(病名候補テーブル)は、特定の症状毎の結果と病名の候補とを対応させたテーブルであり、例えば、「熱がある」の結果がA1であり、「咳が出る」の結果がB3であったとする。特定候補テーブルは、これらの結果の組み合わせによって、発生している可能性が高い病名を記憶しており、例えば病名γ(例えば風邪)と記憶している。例えば或る種の風邪をひいた場合には、熱が出て、咳が出て、鼻水が出る等といった一連の体の変化が生じる。特定候補テーブルは、このような一連の体の変化(症状毎の結果)の組み合わせと病名とを対応させて記憶している。
【0089】
なお、特定候補テーブルにおいては、特定の結果の組み合わせと1つの病名とが対応しているが、1つの病名に限らず、複数の病名が対応していてもよい。さらに、特定の結果の組み合わせに対して、上記した病態のより詳細な情報(重篤度や症状の発生原因箇所(例えば症状が「咳が出る」である場合の発生原因箇所としては気管支や気管)等のより詳細な情報)が対応付けて記憶されていることが好ましい。
【0090】
再度、
図3を参照する。表示制御部116は、ディスプレイ120に表示させる画面内容を制御するものであり、第1表示制御部116a、第2表示制御部116b、第3表示制御部116c、及び第4表示制御部116dを備えている。
【0091】
第3表示制御部116cは、属性情報の入力を促す画面を表示させるものである。
図19は、
図3に示した第3表示制御部116cにより表示される画面を示す正面図である。
図19に示すように、第3表示制御部116cは、生年月日を入力する旨の表示と、生年月日を入力するためのテキストボックス120aと、性別を入力する旨の表示と、性別を入力するためのチェックボックス120bとを表示させる。
【0092】
操作者は、テキストボックス120aに対して生年月日を入力し、チェックボックス120bへのチェックにより性別を指定することとなる。さらに、操作者が、画面上に表示される「次へ」のボタン120cを指定すると、属性情報がアクセス端末100に入力されることとなる。これにより、制御部110は、入力された属性情報から、どの属性区分に該当するかを判断することとなる。
【0093】
再度、
図3を参照する。第1表示制御部116aは、症状項目記憶部155に記憶された複数の設定項目から、1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させるものである。より詳細に、第1表示制御部116aは、入力された属性情報が属する属性区分に応じた症状項目を、症状項目記憶部155に記憶される複数の症状項目から抽出し、抽出した症状項目から1つ以上の症状項目を選択させる画面を表示させる。この結果、
図20及び
図21のような表示がなされる。
【0094】
図20及び
図21は、症状項目を選択させる画面を示す正面図であり、
図20は第1の例を示し、
図21は第2の例を示している。
【0095】
属性区分が「13歳以上女性」である場合、第1表示制御部116aは、
図11に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「13歳以上女性」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部116aは、抽出した症状項目に基づいて
図20に示すような画面を生成してディスプレイ120に表示させる。このとき、ディスプレイ120には、女性特有の「乳房に痛みがある」という症状項目が表示されている。
【0096】
また、属性区分が「0〜11ヶ月」である場合、第1表示制御部116aは、
図11に示すような複数の症状項目の記憶内容のうち、「0〜11ヶ月」の属性区分において「○」となっている症状項目を抽出する。そして、第1表示制御部116aは、抽出した症状項目に基づいて
図21に示すような画面を生成してディスプレイ120に表示させる。このとき、ディスプレイ120には、「熱がある」「下痢である」といった保護者が確認することができる症状項目のみが表示されている。
【0097】
ここで、例えば、1歳未満の乳児の症状項目に「頭痛がする」といったものが含まれていても乳児が頭痛の有無を保護者等に伝えることができず、意味がない症状項目となる。また、男性の症状項目に「乳房に痛みがある」といったものが含まれていても意味がない症状項目となる。このように、
図11に示すようなデータに基づいて症状項目を抽出して表示することで、年齢や性別毎に適切な症状項目を操作者に提示させることができる。
【0098】
さらに、
図20及び
図21に示すように、表示される症状項目のそれぞれには、これを選択するためのチェックボックス120dが隣接して表示されている。操作者は、該当する症状に応じて、隣接して表示されるチェックボックス120dをチェックすることにより、症状項目を選択することができる。選択後、操作者は、不図示の「次へ」のボタンを指定することにより選択を確定させ、この情報をアクセス端末100に認識させることとなる。
【0099】
再度、
図3を参照する。第2表示制御部116bは、第1表示制御部116aにより表示された画面(すなわち
図20及び
図21に示したような画面)において選択された症状項目に設定された質問内容を、質問内容記憶部156から読み出して順次画面表示させるものである。この際、第2表示制御部116bは、定量質問、定性質問及び時間質問のそれぞれについて、回答を選択させる選択肢も表示させる。なお、表示される選択肢は、属性区分に応じたものであり、選択肢記憶部157に記憶される選択肢が読み出されて表示される。
【0100】
図22及び
図23は、質問内容及び選択肢を表示する画面を示す正面図であり、
図22は第1の例を示し、
図23は第2の例を示している。なお、
図22及び
図23に示す例では、「熱がある」の症状項目が選択された場合の画面を示している。
【0101】
図22に示すように、第2表示制御部116bは、例えば「熱がある」の症状項目の質問内容として、「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」を表示する。
【0102】
また、第2表示制御部116bは、各質問に対して、属性区分に応じた選択肢を表示させる。
図22に示す例では、属性区分が「13歳以上男性」及び「13歳以上女性」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上37.5℃未満」「37.5℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上」となっている。
【0103】
また、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」について選択肢は「YES」「NO」となっており、「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は「本日又は昨日」「一昨日前から6日前」「1週間以上前」となっている。
【0104】
一方、
図23に示す例では、属性区分が「0〜11ヶ月」「1〜3歳」及び「4〜12歳」であるときの選択肢を示し、具体的には「現在の熱は何度か?(定量質問)」「何度まであがったか?(定量質問)」に対して、選択肢が「37.0℃以上38.5℃未満」「38.5℃以上39.5℃未満」「39.5℃以上」となっている。すなわち、選択肢の内容が
図22に示す例と異なっている。
【0105】
なお、「明け方に熱は下がるか?(定性質問)」及び「熱が出始めたのはいつか?(時間質問)」について選択肢は
図22に示す例と同じとなっている。
【0106】
さらに、
図22及び
図23に示すように、各選択肢には、これに隣接してチェックボックス120eが表示されている。操作者は、該当する選択肢に隣接して表示されるチェックボックス120eをチェックすることにより、選択肢を選択することができる。選択後、操作者は、OKボタン120fを指定することにより選択した内容を確定させ、この情報をアクセス端末100に認識させることとなる。
【0107】
また、OKボタン120fが指定された場合には、次の症状項目に対応する質問内容及び選択肢を表示する画面が第2表示制御部116bによって表示される。例えば操作者が「熱がある」と「咳が出る」との2つの症状項目を選択していた場合、「熱がある」について質問内容及び選択肢が表示され、OKボタン120fが指定されると、第2表示制御部116bは、次の症状項目である「咳が出る」について質問内容及び選択肢を表示させる。
【0108】
そして、第2表示制御部116bは、選択していた全ての症状項目について、質問内容及び選択肢を表示させ、OKボタン120fが指定されるまで、順次症状項目について質問内容及び選択肢を表示させていく。
【0109】
ここで、定量質問、定性質問、及び時間質問は、当該症状項目が示す症状のみについて問うものであることが好ましい。すなわち、定量質問、定性質問、及び時間質問は、他の症状項目が示す症状を問う内容を含まないものであることが好ましい。
【0110】
上記の症状項目の区分けは医学的見地から定められている。例えば、症状項目は、上記のように、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」等と予め定められており、「咳が出る」という症状項目についての質問では、「痰」に関する質問が含まれない。すなわち、咳の項目の質問に「咳に痰が絡むか?」といったものは含まれない。
【0111】
ここで、痰は通常咳と共に体外へ排出されるものである。このため、例えば予め症状項目として、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳が出る」の症状項目において「咳に痰が絡むか。」という定性質問がされることがある。すなわち、上記の「当該症状のみについて問うもの」とは、既に定められている症状項目の区分けを基本とし、1つの症状項目においては、他の症状項目の内容を問わないということである。よって、「熱がある」、「咳が出る」、「痰が出る」と症状項目が分けられている場合において「咳に痰が絡むか。」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」とは言えない。一方、「熱がある」、「咳が出る」と区分けされ、「痰が出る」という症状項目が設定されていない場合には、「咳に痰が絡むか?」といった質問は、「当該症状のみについて問うもの」となる。
【0112】
なお、装置自体が「痰が出る」を症状項目に設定するか否かは、上記したように医学的見地から定められる。医学は日々進歩することから考えると、例えば「痰が出る」という症状は症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。他の症状についても同様に症状項目に設定されたりされなかったりすることがある。
【0113】
再度、
図3を参照する。症状結果判断部117は、第2表示制御部116bにより順次表示された画面にて入力された各症状項目の質問内容に対する回答結果に応じて、症状毎の結果を判断するものである。より詳細に症状結果判断部117は、定量質問、定性質問、及び時間質問のそれぞれで選択された選択肢を、症状結果テーブル記憶部158に記憶される症状結果テーブルに当てはめることで、症状毎の結果を判断する。
【0114】
ここで、本実施形態において症状結果判断部117は、回答結果を適正に調整のうえ、症状毎の結果を判断することが好ましい。回答結果については、個人差が生じることがある。例えば、「熱がある」の「現在の熱は何度か?」という定量質問に対して、実際は38℃の熱であるにも拘わらず大げさな人は「39.5℃以上」という選択肢を選択することがある。逆に控え目な人は「37.0℃以上38.5℃未満」という選択肢を選択することがある。また、大げさな人や控え目な人等のように意図的に大げさや控え目に選択する人のみならず、苦痛が大きいことに我慢できず大げさに回答したり、単なる勘違いから大げさに回答したりする人もいる。よって、本端末100は、このような病名候補の判断対象者毎の傾向を例えば係数として記憶しており、係数に応じて回答結果を適正に調整する。調整対象は、定量質問の回答結果に限らず、定性質問及び時間質問も該当する。これにより、一層適正に症状毎の結果を判断することができるからである。なお、係数については、例えば医師等により直接入力されたものが記憶されていてもよいし、過去の本端末100の使用時の回答と実際に罹患していた病名との関係から演算式等により求められて記憶されていてもよい。
【0115】
病名候補判断部118は、病名候補テーブル記憶部159に記憶される病名候補テーブルに、症状結果判断部117により判断された症状毎の結果を当てはめることで、病名の候補を判断するものである。ここで、当てはめる対象は、
図17に示したような通常候補テーブルと、
図18に示したような特定候補テーブルとの双方である。
【0116】
上記したように、病名候補テーブルには、症状の結果それぞれに病名の候補が割り当てられている。具体的には、
図17に示す通常候補テーブルにおいて結果A1の病名の候補には病名α,β,γ,δ,εが対応しており、結果B3の病名の候補には病名γ,δ,φ,εが対応している。さらに、
図18に示す特定候補テーブルでは、結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補には病名γが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA1とB3となった場合、病名候補判断部118は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名α,β,γ,δ,φ,εと判断する。特に、病名候補判断部118は、病名γが通常候補テーブルにおける結果A1,B3との双方の候補になっており、且つ、特定候補テーブルにおける結果A1と結果B3の組み合わせとして病名の候補にも挙がっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
【0117】
さらに、もう一例説明する。例えば
図17に示す通常候補テーブルにおいて結果A54の病名の候補には病名γ,δ,ω,φが対応しており、結果B1の病名の候補には病名θ,ω,εが対応している。このため、操作者が、症状項目として「熱がある」と「咳が出る」とを選択し、それぞれの症状項目の結果がA54とB1となった場合、病名候補判断部118は、これらの病名候補を統合して、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。このとき、
図18の特定候補テーブルに示すように、結果A54と結果B1との組み合わせが存在せず、病名の候補が存在しない。よって、病名候補判断部118は、通常候補テーブルのみから、病名の候補を病名γ,δ,ω,φ,θ,εと判断する。なお、この場合において病名候補判断部118は、病名ωが結果A54,B1との双方の候補になっていることから、最も罹患している可能性が高い病気の病名であると判断する。
【0118】
第4表示制御部116dは、病名候補判断部118により判断された病名の候補を画面表示させるものである。
図24は、病名候補を示す画面の一例を示す正面図である。第4表示制御部116dは、例えば、症状結果判断部117により判断された症状の結果、及び、病名候補判断部118により判断された病名の候補を表示する。具体的に第4表示制御部116dは、
図24に示すように、例えば「咽頭が炎症しています。医療機関の受診をお勧め致します。考えられる病名としては、風邪、咽頭炎、インフルエンザが挙げられます。」と表示させる。ここで、「咽頭が炎症しています。」が症状毎の結果に該当している。症状毎の結果が複数ある場合、その全てが表示されてもよいし、
図24に示すように、1つだけ表示されてもよい。また、第4表示制御部116dは、「終了」ボタン120gについても表示させている。なお、これらの病名は、可能性が高いものから順番に表示されることが好ましい。この場合、
図17の通常候補テーブルに示す病名に可能性の情報を付加しておく必要がある。すなわち、
図17の結果A54について病名γはXポイント、病名δはYポイント、病名ωはZポイント等情報を付加しておくことで、可能性が高いものから順番に表示させることができる。さらに、結果A54及びB1のように、病名ωについては結果A54の可能性のポイントと結果B1における可能性のポイントとが加算されることが好ましい。加えて、特定候補テーブルに挙げられる病名については、通常候補テーブルに記憶されるポイントよりも大きなポイントの情報が付与されており、これが加算されることとなる。従って、結果A1及び結果B3が得られている場合には、病名γのポイントが他の病名よりも圧倒的に高い数値となる。
【0119】
加えて、第4表示制御部116dは、
図24に示すように、例えば「但し、確率的には低いですが、見逃してはいけない項目として天疱瘡、咽頭癌が挙げられます。」と表示させる。この場合、
図17の通常候補テーブルに示す病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。例えば、
図17の結果A54について病名γはxポイント、病名δはyポイント、病名ωはzポイント等情報を付加しておく。他の結果A1〜A53等についても同様に致命度の情報を付加しておく。さらに、通常候補テーブルだけでなく、
図18に示す特定候補テーブルにおいても、病名それぞれに致命度の情報を付加しておく必要がある。そして、第4表示制御部116dは、致命度が所定ポイント以上となる病名について見逃してはいけない旨を表示させる。すなわち、
図24に示す例では、天疱瘡及び咽頭癌について見逃してはいけない旨を表示させる。
【0120】
操作者は、画面表示される病名を認識した後に「終了」ボタン120gを指定する。これにより、制御部110は、例えば
図19に示す属性情報の入力画面に戻ることとなる。
【0121】
以上のように、病態判断機能部Bは、病名の候補を操作者に提示することができる。また、アクセス端末100が病名診断機能部Aを備える場合、病態判断機能部Bにより判断された候補となる病名の情報は、病名診断機能部Aに転送される。これにより、第1提示部111は、転送された病名の候補の情報に基づいて、診察行為記憶部151の記憶内容から、行うべき診察行為を抽出して医師に提示することとなる。なお、上記では病名診断機能部Aを備える場合においても医師の便宜を図るために、
図24に示すような表示を行ったが、特にこれに限らず、
図24に示すような表示は行われなくともよい。
【0122】
以上が病名診断機能部A及び病態判断機能部Bである。
【0123】
ここで、医療側端末100bは、病名診断機能部Aにおいて診断された病名、検査結果、及び身体所見、並びに、病態判断機能部Bにおいて選択された症状項目、定量・定性・時間質問の回答、及び症状の結果(符号A1〜A54等)等を情報開示装置200に送信可能となっている。さらに、ユーザ端末100aについても病態判断機能部Bにおいて選択された症状項目、定量・定性・時間質問の回答、及び結果(符号A1〜A54等)等を情報開示装置200に送信可能となっている。送信された情報はユーザ情報として記憶可能となっていると共に、開示条件が成立しているかの判断に用いられる。開示条件が成立した場合には、記憶されたユーザ情報が予め定められた特定者(医師(すなわち医療側端末100b)及び特定企業の従業員(すなわち企業側端末100c))に提供される。
【0124】
なお、ユーザ端末100aや医療側端末100bは、上記の情報のほか、医師からの処方箋や点滴等による投薬情報、ユーザの血液型や遺伝子等の生体情報等についても、情報開示装置200に送信可能となっており、情報開示装置200においてユーザ情報として記憶可能となっていてもよい。加えて、ユーザ端末100aや医療側端末100b以外の他の端末が情報開示装置200と接続され、他の端末からの情報がユーザ情報として記憶されるようになっていてもよい。
【0125】
図25は、開示条件等を設定する第2機能を備えるアクセス端末100を示すソフト構成図である。第2機能を備えるアクセス端末100(ユーザ端末100a)については、以下の機能を有する。
【0126】
図25に示すように、ユーザ端末100aの制御部110は、開示条件設定部119Aと、開示範囲設定部119Bと、開示先設定部119Cとを備えている。さらに、ユーザ端末100aは、開示条件選択肢記憶部160と、開示範囲選択肢記憶部161と、開示先選択肢記憶部162とを備えている。
【0127】
開示条件選択肢記憶部160は、開示条件の選択肢を記憶するものである。この開示条件選択肢記憶部160は、例えば「病名γに罹患した場合」「検査の○○値がX値以上である場合」等を記憶している。さらに、開示条件選択肢記憶部160は、「意識不明となった」「施設○○内に進入した」「救急搬送された」等を記憶していてもよい。
【0128】
開示条件設定部119Aは、開示条件選択肢記憶部160に記憶される選択肢を選択することによって、開示条件を決定するものである。決定された開示条件の情報は、情報開示装置200に送信され、情報開示装置200に記憶される。これにより、情報開示装置200において開示条件が設定される。なお、設定される開示条件は、一人のユーザにつき1つに限らず、複数であってもよい。
【0129】
なお、開示条件は多岐に亘ることから、開示条件選択肢記憶部160は、選択肢を多段階に記憶することが好ましい。例えば開示条件選択肢記憶部160は、「病気」「検査」「症状の結果」「位置」等の多数の選択肢のそれぞれに対して、下位の選択肢を記憶している。このため、開示条件設定部119Aにおいて「病気」の選択肢が選択された場合、ユーザは、その選択肢の下位の選択肢である「病名α」「病名β」「病名γ」等の選択肢を選択可能となる。
【0130】
加えて、本実施形態に係るユーザ端末100aは、ユーザが「所定の病気に罹患した」や「特定の症状が発生した」等、ユーザの身体が所定の状態となったことを開示条件とすることが好ましい。ここで、所定の情報とは、病名診断機能部Aや病態判断機能部Bにおいて入力・判断等される情報(すなわち「身体所見」「検査結果」「病名(候補を含む)」「症状」「定量質問等の回答」「症状の結果」等)であってもよいし、病名診断機能部Aや病態判断機能部Bを介さない「身体所見」「検査結果」「病名(候補を含む)」「症状」「定量質問等の回答」「症状の結果」等であってもよい。
【0131】
開示範囲選択肢記憶部161は、開示条件が成立した場合にユーザ情報のうち開示対象となる情報の範囲を選択肢として記憶するものである。この開示範囲選択肢記憶部161は、例えば「過去半年の全ての投薬履歴」「過去1年の○○系の薬品に関する投薬履歴」等を記憶している。
【0132】
開示範囲設定部119Bは、開示範囲選択肢記憶部161に記憶される選択肢を選択することによって、開示範囲を決定するものである。決定された開示範囲の情報は、情報開示装置200に送信され、情報開示装置200に記憶される。これにより、情報開示装置200において開示範囲(ユーザ情報のうち開示する情報)が設定される。なお、開示範囲は、開示条件毎に決定されてもよい。すなわち、第1の開示条件と第2の開示条件とを設定した場合、第1の開示条件が成立したときの開示範囲と、第2の開示条件が成立したときの開示範囲とを異なるものとすることができる。
【0133】
加えて、可能であれば、ユーザ情報毎に開示するか否かを選択できるようになっていてもよい。
【0134】
開示先選択肢記憶部162は、開示条件が成立した場合のユーザ情報の開示先を選択肢として記憶するものである。この開示範囲選択肢記憶部161は、例えば「医療従事者(病院)」「医薬品開発企業」「マーケティング企業」「全て」等を記憶している。
【0135】
開示先設定部119Cは、開示先選択肢記憶部162に記憶される選択肢を選択することによって、開示先を決定するものである。決定された開示先の情報は、情報開示装置200に送信され、情報開示装置200に記憶される。これにより、情報開示装置200において開示先が設定される。
【0136】
なお、開示先は、開示条件毎に決定されてもよい。すなわち、第1の開示条件と第2の開示条件とを設定した場合、第1の開示条件が成立したときの開示先と、第2の開示条件が成立したときの開示先とを異なるものとすることができる。
【0137】
加えて、開示先は、企業名や医師名等、より詳細なものとなっていてもよい。
【0138】
次に、
図1に示した情報開示装置200について詳細に説明する。
図26は、
図1に示した情報開示装置200の詳細を示すブロック図である。
図26に示すように、情報開示装置200は、制御部210と、記憶部220とを備えている。
【0139】
制御部210は、記憶部220に記憶される情報開示プログラムに従って、評価部211と、判断部(判断手段)212と、開示情報決定部(開示情報決定手段)213と、情報開示部(情報開示手段)214とを機能させるものである。
【0140】
記憶部220は、情報開示装置200を機能させるための情報開示プログラムが記憶されたものである。なお、情報開示プログラムは、アクセス端末100と同様に、情報開示装置200のROMに記憶されていてもよいし、HDD等の外部の記録媒体に記録されるものであってもよい。このような記憶部220は、座標系記憶部221と、ユーザ情報記憶部(ユーザ情報記憶手段)222と、開示条件記憶部(開示条件記憶手段)223と、開示範囲記憶部(数式記憶手段)224と、開示先記憶部(開示先記憶手段)225と、開示禁止情報記憶部(開示禁止情報記憶手段)226とを備えている。以下各部ついて詳細に説明する。
【0141】
座標系記憶部221は、ユーザ情報を記憶するための17次元の座標系を記憶したものである。なお、座標系は17次元(17軸)のものに限らず、1次元以上のものであればよい。なお、以下の実施形態においては説明の便宜上、X軸が病名であり、Y軸が投薬情報であり、Z軸が時間である3次元の座標系であるとして説明するが、記憶される座標系は特に3軸に限られるものではなく、また、3軸の内容は上記に限られるものではない。
【0142】
図27は、
図26に示した座標系記憶部221により記憶される座標系の一例を示す図である。
図27に示すように、X軸には、項目a1〜anが設定されている。これらの項目a1〜anは、
図10や
図24の結果等と対応しており、例えばa1が「病名α」となっており、a2が「病名β」となっており、a3が「病名γ」となっている。他の項目a4〜anのそれぞれについても、病名となっている。
【0143】
Y軸についても
図27に示すように、項目b1〜bnが設定されている。これらの項目b1〜bnは、投薬された薬の情報である投薬情報と対応しており、例えばb1が「クラビット(登録商標)」となっており、b2が「フロモックス(登録商標)」となっており、b3が「ロキソニン(登録商標)」となっている。他の項目b4〜bnのそれぞれについても、薬名となっている。
【0144】
Z軸についても
図27に示すように、項目c1〜cnが設定されている。これらの項目c1〜cnは、時間と対応しており、例えばc1が「本日」となっており、c2が「昨日」となっている。同様に、c3が「一昨日」となっており、c4が「3日前」となっている。他の項目c5〜cnのそれぞれについても、時間(日付)となっている。
【0145】
再度
図26を参照する。評価部211は、アクセス端末100等から受信したユーザ情報を、座標系記憶部221により記憶される座標系にプロットするものである。この評価部211によって、ユーザ情報は座標系に反映されることとなる。
【0146】
図28は、
図26に示した評価部211による座標系への反映の様子を示す概念図である。まず、情報開示装置200は、アクセス端末100(例えば医療側端末100b)から、特定のIDを有する者について、昨日の診断名の情報と投薬情報とを受信したとする。
【0147】
ここで、受信した診断名の情報が、病名βを示すものであったとする。この場合、評価部211は、X軸において項目a2を選択する。さらに、受信した情報が昨日の情報であることから評価部211は項目c2を選択する。
【0148】
次いで、評価部211は、項目b1〜bnのうち、処方等された全ての薬に対応する項目をプロットしていく。これにより、例えば
図28に示すように、項目b3、項目b6及び項目bi(1以上n以下の整数)がプロットされる。評価部211によってユーザ情報が座標系にプロットされることにより、ユーザを座標上にバーチャル表現したものが生成されることとなる。
【0149】
ユーザ情報記憶部222は、上記の如く、評価部211によってプロットされたユーザ情報を座標系毎記憶するものである。なお、ユーザ情報は、ID等によって区別されてユーザ毎に記憶される。
【0150】
開示条件記憶部223は、ユーザ毎に、ユーザ情報の開示条件を記憶するものである。
図25を参照して説明したように、開示条件設定部119Aは、決定されたユーザ情報の開示条件を情報開示装置200に送信することができる。開示条件記憶部223は、開示条件設定部119Aによって決定されて送信された開示条件の情報を記憶する。これにより、開示条件記憶部223は、例えば、「病名γに罹患した」「検査の○○値がX値以上である」「意識不明となった」「施設○○内に進入した」「救急搬送された」等を記憶する。また、開示条件記憶部223は、ユーザ毎に複数の開示条件を記憶可能となっている。
【0151】
判断部212は、ユーザ端末100aや医療側端末100bから受信した情報(判断情報)に基づいて、開示条件が成立したか否かを判断するものである。この判断部212は、例えば開示条件記憶部223により「病名γに罹患した」との開示条件が記憶される場合において、医療側端末100bから病名γに罹患した旨の判断情報を受信すると、開示条件が成立したと判断する。
【0152】
開示情報決定部213は、判断部212により開示条件が成立したと判断された場合に、開示対象となる情報を決定するものである。この開示情報決定部213は、開示範囲記憶部224に記憶される記憶内容に従って、開示対象となる情報を決定する。
【0153】
開示範囲記憶部224は、ユーザ情報から開示対象となる情報を特定するための開示範囲の情報を記憶したものである。
図25を参照して説明したように、開示範囲設定部119Bは、決定されたユーザ情報の開示範囲の情報を情報開示装置200に送信することができる。開示範囲記憶部224は、開示範囲設定部119Bによって決定されて送信された開示範囲の情報を記憶する。
【0154】
ここで、開示範囲記憶部224は、開示範囲設定部119Bによって決定されて送信された開示範囲の情報を数式化して記憶することが好ましい。数式は、例えば球形の数式や直方体の数式等、図形の数式とされる。
【0155】
さらに、特定の開示条件に対する開示範囲は予め設定されていてもよい。これにより、例えば「意識不明となった」という開示条件に対して、医療従事者が必要となる全ての情報を開示対象とすること等ができるからである。この予め設定される開示範囲についても数式として記憶されていることが好ましい。
【0156】
開示情報決定部213は、開示範囲記憶部224により記憶される開示範囲に基づいて、開示対象となる情報を決定するものである。ここで、開示範囲記憶部224に数式が記憶されている場合、開示情報決定部213は、例えば3次元の座標系に対して、開示範囲記憶部224により記憶される数式により空間設定し(図形を設定し)、設定空間(図形)内に属する特定軸上(例えばX軸上やY軸及びZ軸上等)のユーザ情報を開示対象とする。
【0157】
開示範囲記憶部224に記憶される数式は、座標系に対して固定的なものであってもよいが、病態判断機能部Bにより判断されるユーザの状態(結果A1〜A54等)や病名診断機能部A及び病態判断機能部Bにおいて入力された情報等を変数に持つものであってもよい。この場合、開示情報決定部213は、数式及びユーザの状態等に基づいて空間設定されることとなる。
【0158】
なお、数式によって設定される空間は、1つに限らず、複数であってもよい。また、開示条件記憶部223に記憶される開示条件が複数である場合、開示範囲記憶部224は、開示条件毎に数式を記憶していてもよい。
【0159】
この数式による空間設定は、次元数が多くなるほど有効となる。例えば17軸において各軸の項目数が数千〜数百万に至る場合等において、開示範囲記憶部224が開示対象となる情報を1つずつ個別に記憶しているとすると、その記憶量は膨大なものとなってしまう。このため、数式による空間設定を行うことで、開示対象となる情報を個別に記憶する必要がなく数式を記憶するだけでよくなり、記憶量の低減を図ることができる。
【0160】
開示先記憶部225は、開示対象となる情報の開示先の情報を記憶したものである。
図25を参照して説明したように、開示先設定部119Cは、決定されたユーザ情報の開示先の情報を情報開示装置200に送信することができる。開示先記憶部225は、開示先設定部119Cによって決定されて送信された開示先の情報を記憶する。
【0161】
ここで、開示条件記憶部223がユーザ毎に複数の開示条件を記憶可能である場合、開示先記憶部225は、複数の開示条件毎に対して開示先の情報を記憶していてもよい。このため、例えば第1の開示条件が成立した場合には開示対象となる情報を医療側端末100bに提供し、第2の開示条件が成立した場合には開示対象となる情報を企業側端末100cに提供することも可能となる。
【0162】
情報開示部214は、判断部212により開示条件が成立したと判断された場合に、特定者に対して、ユーザ情報のうち開示対象となる情報を送信するものである。特に、情報開示部214は、開示条件が成立したと判断された場合、開示先記憶部225に記憶される開示先に、開示情報決定部213により決定された開示対象となる情報を送信する。なお、送信に限らず、開示対象となる所定の情報を記載した印刷物を郵送したり閲覧可能なパスワードを送信したりしてもよい。すなわち、情報開示部214は、開示対象となる情報を開示可能に制御するようにしてもよい。
【0163】
また、情報開示部214は、判断部212により開示条件が成立していないと判断された場合に、特定者に対してもユーザ情報の開示を禁止する。このため、医療側端末100bや企業側端末100cを操作して情報開示装置200にアクセスしたとしても、ユーザ情報の一切が取得不可となる。
【0164】
開示禁止情報記憶部226は、ユーザ情報のうち開示しないものを記憶したものである。本実施形態に係る情報開示装置200においては、ユーザの意思が最優先されるべきであり、開示する情報と開示しない情報とはユーザによって選択される。しかしながら、国防に携わる人や国家を運営する立場の人等のユーザ情報については、国家や国民の生命に関する重要情報である可能性もあり、本人が開示して良いと判断しても開示すべきでないこともある。さらに、遺伝子情報についても、個人の生命に関する重要情報であることから、本人が開示して良いと判断しても開示すべきでないこともある。このように、個人の意思のみを尊重して開示すべきではない特定機密情報が、ユーザ情報のうち開示しないものとして、開示禁止情報記憶部226に記憶されている。どの情報を開示しないものとするかについては、例えば保有側によって決定される。
【0165】
情報開示部214は、判断部212により開示条件が成立したと判断された場合であっても、ユーザ情報のうち開示禁止情報記憶部226に記憶されているものについては開示を禁止する。これにより、個人の意思のみを尊重して開示すべきではない特定機密情報について開示されてしまうことを防止することができる。
【0166】
次に、本実施形態に係るアクセス端末100が有する病名診断機能部A及び病態判断機能部Bの動作を説明する。
図29及び
図30は、病態判断機能部Bの動作の一例を示すフローチャートであり、
図29は前半部分を示し、
図30は後半部分を示している。
【0167】
図29に示すように、まず第3表示制御部116cは、属性情報の入力画面を表示させる(S1)。このとき、第3表示制御部116cは、例えば
図19に示すような画面を表示させる。そして、制御部110は、属性情報が入力されたかを判断する(S2)。
図19に示す例の場合、制御部110は、テキストボックス120aに生年月日が入力され、チェックボックス120bにチェックがされた状態で、「次へ」のボタン120cが指定されたかを判断することとなる。なお、制御部110は、2回目以降の使用の場合には、付与済みであるID等が入力されたかを判断するようにしてもよい。
【0168】
属性情報が入力されていないと判断した場合(S2:NO)、処理はステップS1に移行する。一方、属性情報が入力されたと判断した場合(S2:YES)、第1表示制御部116aは、症状項目の選択画面を表示させる(S3)。この際、第1表示制御部116aは、例えば
図20及び
図21に示すように、属性区分に応じた症状項目の選択画面を表示させる。
【0169】
その後、制御部110は、症状項目が選択されたか(選択完了か)を判断する(S4)。
図20及び
図21に示す例の場合、制御部110は、症状項目に隣接配置される各チェックボックス120dのうち、いずれか1つ以上がチェックされて、不図示の「次へ」のボタンが指定されたかを判断することとなる。選択完了でないと判断した場合(S4:NO)、選択完了と判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0170】
一方、選択が完了したと判断した場合(S4:YES)制御部110は、ステップS3において表示した複数の症状項目のうち、ステップS4において選択された数をi
maxとする(S5)。すなわち、
図20及び
図21に示す例の場合、制御部110は、チェックされたチェックボックス120dの数をi
maxとする。その後、制御部110は、変数iを「1」に初期化する(S6)。
【0171】
次に、第2表示制御部116bは、i個目の症状項目の質問及び選択肢を読み込み(S7)、読み込んだデータに基づいて質問・選択肢画面を表示させる(S8)。この際、第2表示制御部116bは、例えば
図22及び
図23に示すように、属性区分に応じた選択肢を含む画面を表示させる。
【0172】
その後、制御部110は、回答があったかを判断する(S9)。
図22及び
図23に示す例の場合、制御部110は、質問それぞれについて、選択肢に隣接するチェックボックス120eのいずれか1つがチェックされた状態で、OKボタン120fが指定されたかを判断することとなる。
【0173】
回答がなかったと判断した場合(S9:NO)、回答があったと判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、回答があったと判断した場合(S9:YES)、症状結果判断部117は、回答調整を行う(
図30:S10)。この回答調整は、上記したように大げさに回答する人や控え目に回答する人等の傾向に基づいて行われるものであり、例えばこのような傾向を反映した係数に基づいて調整される。なお、今回処理を行っている病名候補の判断対象者に対して係数が記憶されていない場合には、回答調整処理は実行されず、処理はステップS11に移行する。
【0174】
そして、症状結果判断部117は、(調整済みの)回答に基づいて、その症状の結果を判断する(S11)。この際、症状結果判断部117は、属性区分に応じたi個目の症状項目の症状結果テーブルを読み出し、選択された選択肢をテーブルに当てはめて、その症状の結果を判断する。
【0175】
次に、制御部110は、変数iがi
maxであるかを判断する(S12)。変数iがi
maxでないと判断した場合(S12:NO)、制御部110は、変数iをインクリメントし(S13)、処理は
図29に示したステップS7に移行する。すなわち、変数iが「1」加算され、加算後の個数目の症状項目について質問と選択肢とが読み込まれることとなる。
【0176】
一方、変数iがi
maxであると判断した場合(S12:YES)、病名候補判断部118は、ステップS11にて判断された症状毎の結果が特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当するかを判断する(S14)。該当すると判断した場合(S14:YES)、病名候補判断部118は、特定候補テーブルから特定の組み合わせに対応する病名を抽出する(S15)。そして、処理はステップS16に移行する。
【0177】
一方、特定候補テーブルにて示す特定の組み合わせに該当しないと判断した場合(S14:NO)、処理はステップS16に移行し、病名候補判断部118は、ステップS11において判断された症状毎の結果を
図17に示した通常候補テーブルに当てはめることにより、病名の候補を抽出する(S16)。
【0178】
そして、第4表示制御部116dは、ステップS15及びステップS16において抽出された病名候補を表示させる(S17)。そして、
図29及び
図30に示した処理は終了する。なお、第4表示制御部116dが
図24に示したような画面を表示していた場合には、操作者が「終了」ボタン120gを指定することにより、
図29及び
図30に示した処理は終了することとなる。また、
図23に示すように、病名の候補のみならず症状毎の結果についても表示させることが好ましい。
【0179】
図31は、本実施形態に係る病名診断機能部Aの動作の一例を示すフローチャートである。
図31に示すように、まず制御部110は病名の候補が入力されたかを判断する(S21)。ここでは、
図30に示したステップS13において判断された病名の候補が自動入力されたかが判断される。病名の候補が入力されていないと判断した場合(S21:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0180】
一方、病名の候補が入力されたと判断した場合(S21:YES)、第1提示部111は、診察行為記憶部151に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した診察行為を抽出し医師に提示する(S22)。これにより、医師による診察行為が行われ、身体所見が得られることとなる。
【0181】
次に、制御部110は、ステップS22において提示した診察行為に対応する身体所見の情報が入力されたかを判断する(S23)。身体所見の情報が入力されていないと判断した場合(S23:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。
【0182】
身体所見の情報が入力されたと判断した場合(S23:YES)、第1絞り込み部112は、身体所見記憶部152に記憶される記憶内容に基づいて、候補となる病名に対応した身体所見が得られているかを判断し、候補となる病名の絞り込みを行う(S24)。
【0183】
次に、第2提示部113は、ステップS24において絞り込まれた病名を確定するための検査内容を、検査記憶部153から抽出して医師に提示する(S25)。これにより、患者に対して検査が実施されることとなる。
【0184】
その後、制御部110は、ステップS25において提示した検査に対応する結果の情報が入力されたかを判断する(S26)。検査結果の情報が入力されていないと判断した場合(S26:NO)、入力されたと判断されるまで、この処理が繰り返される。なお、ここでの検査結果は医師による手入力でなくともよく、検査装置等から自動入力されるようになっていてもよい。
【0185】
検査結果の情報が入力されたと判断した場合(S26:YES)、第2絞り込み部114は、検査結果記憶部154に記憶される記憶内容に基づいて、第1絞り込み部112により絞り込まれた病名に対応した検査結果が得られているかを判断し、更に絞り込みを行う(S27)。
【0186】
その後、第3提示部115は、ステップS27において得られた最終結果FRを医師に提示する(S28)。この第3提示部115は、最終結果FRとして1つの診断病名を提示する場合に限らず、何の病名も当てはまらない旨を提示するようになっていてもよいし、複数の診断病名を提示するようになっていてもよい。
【0187】
図32は、本実施形態に係る情報開示システム1の動作を示すフローチャートであって、ユーザ情報の記憶処理を示している。
【0188】
図32に示すように、まず、アクセス端末100の制御部110は、ユーザ情報を情報開示装置200に記憶させるためのユーザ情報入力処理であるかを判断する(S31)。例えばユーザがユーザ端末100aの病態判断機能部Bを使用している場合等には、ユーザ情報入力処理であると判断される。また、ユーザ端末100aや医療側端末100bの操作開始時において、ユーザ情報入力処理であるか否かが選択可能に構成され、ユーザ情報入力処理であると選択された場合に、ユーザ情報入力処理であると判断されてもよい。
【0189】
ユーザ情報入力処理でないと判断された場合(S31:NO)、ユーザ情報入力処理であると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、ユーザ情報入力処理であると判断された場合(S31:YES)、アクセス端末100の制御部110は送信OK(送信すべきタイミング)であるかを判断する(S32)。例えばユーザ端末100aの制御部110は、病態判断機能部Bにおいて
図24に示す「終了」ボタン120gが指定されたときに、送信OKであると判断する。また、ユーザ端末100aや医療側端末100bの制御部110は、操作終了時等に表示される送信ボタンが指定された場合に送信OKであると判断してもよい。
【0190】
送信OKでないと判断された場合(S32:NO)、送信OKと判断されるまで、この処理は繰り返される。一方、送信OKであると判断された場合(S32:YES)、アクセス端末100の制御部110は、通信I/F部130を介して情報開示装置200にユーザ情報を送信する(S33)。
【0191】
その後、情報開示装置200の制御部210はユーザ情報を受信する(S34)。次いで、評価部211は座標系記憶部221に記憶される座標系に対してユーザ情報を反映させる(S35)。次に、ユーザ情報記憶部222は、評価部211によってプロットされたユーザ情報を座標系毎記憶する(S36)。その後、
図32に示す処理は終了する。
【0192】
図33は、本実施形態に係る情報開示システム1の動作を示すフローチャートであって、開示条件等の設定処理を示している。
【0193】
図33に示すように、まず、アクセス端末100(ユーザ端末100a)の制御部110は、ユーザ情報の開示条件等を情報開示装置200において設定するための開示条件等設定処理であるかを判断する(S41)。制御部110は、開示条件設定部119A、開示範囲設定部119B又は開示先設定部119Cが機能しているときに、開示条件等設定処理であると判断する。
【0194】
開示条件等設定処理でないと判断された場合(S41:NO)、開示条件等設定処理であると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、開示条件等設定処理であると判断された場合(S41:YES)、アクセス端末100の制御部110は送信OK(送信すべきタイミング)であるかを判断する(S42)。例えばユーザ端末100aにおいて、開示条件等の情報の送信ボタンが表示され、これが指定された場合に送信OKであると判断する。
【0195】
送信OKでないと判断された場合(S42:NO)、送信OKと判断されるまで、この処理は繰り返される。一方、送信OKであると判断された場合(S42:YES)、アクセス端末100の制御部110は、通信I/F部130を介して情報開示装置200に開示条件、開示範囲及び開示先の少なくとも1つの情報を送信する(S43)。
【0196】
その後、情報開示装置200の制御部210は送信された開示条件等の情報を受信する(S44)。次いで、各記憶部223〜225は、開示条件等の情報を記憶する(S45)。その後、
図33に示す処理は終了する。
【0197】
図34は、本実施形態に係る情報開示システム1の動作を示すフローチャートであって、情報開示を求めるときの処理を示している。
【0198】
まず、アクセス端末100の制御部110は、開示条件が成立したか否かを判断するための判断情報を入力する判断情報入力処理であるかを判断する(S51)。例えばアクセス端末100は、操作開始時において判断情報入力処理であるか否かを選択可能に構成されており、制御部110は、判断情報入力処理であると選択された場合に、判断情報入力処理であると判断する。
【0199】
判断情報入力処理でないと判断された場合(S51:NO)、判断情報入力処理であると判断されるまで、この処理が繰り返される。一方、判断情報入力処理であると判断された場合(S51:YES)、アクセス端末100の制御部110は送信OK(送信すべきタイミング)であるかを判断する(S52)。例えばアクセス端末100の制御部110は、表示される判断情報の送信ボタンが指定された場合に送信OKであると判断する。
【0200】
送信OKでないと判断された場合(S52:NO)、送信OKと判断されるまで、この処理は繰り返される。一方、送信OKであると判断された場合(S52:YES)、アクセス端末100の制御部110は、通信I/F部130を介して判断情報を送信する(S53)。
【0201】
その後、情報開示装置200は判断情報を受信し、判断部212は、受信した判断情報に基づいて開示条件が成立したかを判断する(S54)。この際、判断部212は、開示条件記憶部223に記憶される開示条件の情報に基づいて開示条件が成立したかを判断する。
【0202】
開示条件が成立していないと判断した場合(S54:NO)、情報開示部214は、ユーザ情報の開示を不許可のまま維持する(S55)。その後、
図34に示す処理は終了する。
【0203】
一方、開示条件が成立したと判断した場合(S54:YES)、開示情報決定部213は、開示範囲記憶部224に記憶される開示範囲の情報に基づいて、ユーザ情報のうち開示対象となる情報を決定する(S56)。特に、開示範囲記憶部224に数式が記憶される場合、開示情報決定部213は、数式に基づいて座標系に空間を設定し、設定された空間内に属する特定軸上のユーザ情報を、開示対象となる情報として決定する(S56)。
【0204】
次いで、情報開示部214は、開示対象として決定されたユーザ情報のうち、開示禁止情報記憶部226により記憶される特定機密情報を除外する(S57)。その後、情報開示部214は、開示先記憶部225に記憶される開示先の情報に基づいて開示先を設定し(S58)、開示を許可する(S59)。このとき、情報開示部214は、開示対象となる情報をアクセス端末100に送信したり、アクセス端末100に所定のパスワードを送信したり等、種々の方法でアクセス端末100側に開示対象となる情報を開示可能に制御する。その後、
図34に示す処理は終了する。
【0205】
このようにして、本実施形態に係る情報開示装置200、情報開示プログラム、及びコンピュータ読取可能な記録媒体によれば、開示条件が成立しない限り、予め定められた特定者(例えばアクセス権限が与えられた者)であっても、ユーザ情報が開示されることはない。このため、例えば、当該特定者が悪意を持って情報を取得しようとしても開示条件成立時でなければユーザ情報を取得することができなくなる。一方、開示条件が成立すれば、例えば意識不明の者の情報であっても特定者がユーザ情報を取得できる。このため、ユーザ側には必要時以外に開示されないことの安心感も与えることができ、適切な情報開示につなげることができる。従って、情報の防盗性の向上を図ること共に適切な情報開示を行うことができる。
【0206】
また、ユーザの身体が所定の状態となったことを開示条件とするため、例えばユーザが意識不明となったときに医療従事者に必要なユーザ情報が開示されたり、ユーザが特定の病気に罹患したときの投薬履歴が医薬品の開発企業に開示されたり等、適切な情報開示を行うことができる。
【0207】
また、1以上の軸で表現された座標系に対して入力(プロット)されたユーザ情報を記憶するため、ユーザ情報を空間的に記憶でき、記憶容量の削減を図ることができる。
【0208】
また、開示条件が成立した場合に開示対象となる情報を決定するため、開示条件が成立した場合に特定のユーザ情報のみを開示させることができ、必要以上の情報漏洩を防止することができる。
【0209】
また、数式により座標系に対して空間設定して開示対象となる情報を決定するため、特に座標系が多次元に亘る場合においては開示対象となる情報を決定するために記憶する記憶量の低減を図ることができる。
【0210】
また、開示条件に対して開示先の情報を記憶しているため、例えば第1の開示条件と第2の開示条件とを設定した場合、第1の開示条件が成立したときの開示先と、第2の開示条件が成立したときの開示先とを異なるものとすることができる。
【0211】
また、開示条件が成立した場合であっても特定機密情報については開示を禁止するため、個人の意思のみで国家や国民の生命に関わる情報が開示されてしまうことを防止することができる。
【0212】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、各実施形態を組み合わせてもよい。さらには、公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0213】
例えば、上記実施形態に係る情報開示装置200の座標系記憶部221は、3次元の座標系データを記憶しているが、特に3次元に限るものではない。
【0214】
さらに、本実施形態において医療側端末100bは、医療機関において医師に操作されることを前提として説明したが、これに限らず、自治体や消防等の他の機関等において用いられてもよいし、医師以外のものに操作されてもよい。
【0215】
さらに、上記実施形態において情報開示プログラムは、情報開示装置200の記憶部220に記憶されているが、これに限らず、HDD、USB、CD−ROM、CD−R等の他の種類の記録媒体に格納されていてもよい。
【0216】
加えて、上記実施形態において開示範囲(数式)の情報はユーザにより設定可能となっているが、これに限らず、開示範囲記憶部224にデフォルト値として予め記憶されていてもよい。開示先の情報についても同様に、開示先記憶部225にデフォルト値として予め記憶されていてもよい。
【0217】
さらには、上記実施形態はユーザとして個人を想定したが、これに限らず、ユーザは上記と矛盾しない範囲において家族、団体、法人等の集団であってもよい。