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  • 特開2019095963-移動体の位置制御システム 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-95963(P2019-95963A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】移動体の位置制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/10 20060101AFI20190530BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20190530BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20190530BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190530BHJP
   B64D 1/16 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
   G05D1/10
   G01B11/00 H
   G05D1/00 B
   B64C39/02
   B64D1/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-223526(P2017-223526)
(22)【出願日】2017年11月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000229450
【氏名又は名称】日本ニューマチック工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304020292
【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100074332
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100114432
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 寛昭
(74)【代理人】
【識別番号】100138416
【弁理士】
【氏名又は名称】北田 明
(72)【発明者】
【氏名】土屋 智弘
(72)【発明者】
【氏名】坂根 伸二
(72)【発明者】
【氏名】浮田 浩行
【テーマコード(参考)】
2F065
5H301
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065BB15
2F065BB29
2F065FF01
2F065FF09
2F065FF42
2F065FF43
2F065FF61
2F065GG07
2F065GG23
2F065JJ03
2F065JJ08
2F065JJ26
2F065PP05
5H301AA06
5H301AA10
5H301BB03
5H301CC04
5H301DD07
(57)【要約】
【課題】移動体の位置測定精度を向上させ、位置制御精度を向上させることができる移動体の位置制御システムを提供する。
【解決手段】複数の発光体17,18,19,20を備える移動体2と地上に設置された地上体とを備え、地上体は、複数の発光体17,18,19,20を撮像する受光部21と、受光部21で撮像した二次元の撮像画像上の複数の発光体の二次元座標を求め、求めた複数の発光体の二次元座標に基づいて移動体2の三次元座標を求める処理部22と、処理部22で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように移動体2を移動制御する制御部23と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔操縦可能又は自動操縦可能で、かつ、異なる波長の光を発する複数の発光体を備える移動体と地上に設置された地上体とを備え、該地上体は、前記複数の発光体を撮像する受光部と、該受光部で撮像した二次元の撮像画像上の複数の発光体の二次元座標を求め、該求めた複数の発光体の二次元座標に基づいて前記移動体の三次元座標を求める処理部と、該処理部で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように前記移動体を移動制御する制御部と、を備えていることを特徴とする移動体の位置制御システム。
【請求項2】
前記移動体が飛行体である請求項1に記載の移動体の位置制御システム。
【請求項3】
前記複数の発光体が、多角形状を構成する複数の辺に位置するように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の移動体の位置制御システム。
【請求項4】
前記移動体が、流体を噴射する流体噴射ノズルを備えていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか1項に記載の移動体の位置制御システム。
【請求項5】
前記流体噴射ノズルから噴射される流体によって前記移動体が受ける反力を検出する検出手段を該移動体に備え、前記検出手段からの検出結果に基づいて前記移動体の移動を制御する移動制御手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の移動体の位置制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体の位置を制御する移動体の位置制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年において、移動体として無人航空機(UAV、又はドローンとも呼ばれる)を飛ばして、航空写真の撮影や人が踏み込むことが危険な場所での各種作業を行わせている。その際に、無人航空機の位置(三次元座標)を測定して無人航空機の飛行を制御したい場合がある。そこで、無人航空機に再帰反射体を備え、再帰反射体に光を照射し、再帰反射体から反射してきた光を測定して無人航空機の位置を検出する測量機と、測量機からの測定結果に基づいて無人航空機の飛行を制御する地上基地と、を備えているシステムが存在する(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5882951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記システムでは、測量機から照射した光が再帰反射体に届くまでの往路の距離に応じて減衰するとともに、再帰反射体に反射した光が測量機に届くまでの復路の距離に応じて減衰する。このため、往路と復路の2倍の距離で光が減衰することになる。よって、測量機で検出した無人航空機(移動体)の位置精度を向上させることができないという不都合があった。
【0005】
本発明は前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、移動体の位置測定精度を向上させ、位置制御精度を向上させることができる移動体の位置制御システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の移動体の位置制御システムは、遠隔操縦可能又は自動操縦可能で、かつ、異なる波長の光を発する複数の発光体を備える移動体と地上に設置された地上体とを備え、該地上体は、前記複数の発光体を撮像する受光部と、該受光部で撮像した二次元の撮像画像上の複数の発光体の二次元座標を求め、該求めた複数の発光体の二次元座標に基づいて前記移動体の三次元座標を求める処理部と、該処理部で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように前記移動体を移動制御する制御部と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、受光部は、移動体に備える複数の発光体を撮像する。処理部は、撮像した二次元の撮像画像上の複数の発光体の二次元座標を求め、その求めた複数の発光体の二次元座標に基づいて移動体の三次元座標を求める。制御部は、処理部で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように移動体を移動制御する。前記のように、複数の発光体から照射された光が受光部まで届くまでの距離に応じて減衰するので、往路と復路の2倍の距離で光が減衰するものに比べて、減衰量を飛躍的に抑えることができ、その分移動体の位置精度を向上させることができる。
【0008】
又、本発明の移動体の位置制御システムは、前記移動体が飛行体であってもよい。
【0009】
上記のように、移動体が三次元的に移動する飛行体であっても、三次元座標に基づいて飛行体の移動を精度よく制御することができる。
【0010】
又、本発明の移動体の位置制御システムは、前記複数の発光体が、多角形状を構成する複数の辺に位置するように配置されていてもよい。
【0011】
上記のように、複数の発光体が、多角形状を構成する複数の辺に位置するように配置されることによって、直線を検出して移動体の位置を把握するので、制御構成をシンプルで安価なもので済ませることができる。また、従来のように発光部を地上に受光部を移動体に備える形式のものに比べ、移動体の重量が軽くなり、移動体のスムーズな位置移動が可能となる。
【0012】
又、本発明の移動体の位置制御システムは、前記移動体が、流体を噴射する流体噴射ノズルを備えていてもよい。
【0013】
上記のように、移動体が、流体を噴射する流体噴射ノズルを備えていれば、例えばコンクリート構造物や家屋等の建造物の解体を建設機械で行う場合、解体作業で発生する粉塵(対象物)に近付けた移動体の流体噴射ノズルで流体(水)をかけることによって、粉塵の飛散の防止を安全に行うことができる。
【0014】
又、本発明の移動体の位置制御システムは、前記流体噴射ノズルから噴射される流体によって前記移動体が受ける反力を検出する検出手段を該移動体に備え、前記検出手段からの検出結果に基づいて前記移動体の移動を制御する移動制御手段を備えていてもよい。
【0015】
上記のように、検出手段からの検出結果に基づいて移動体の移動を制御する移動制御手段を備えることによって、移動体が受ける反力で移動体が目標とする位置から大きく外れることがなく、移動体を目標位置に容易に追従させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体に備える複数の発光体を撮像する受光部を設けることによって、移動体の位置測定精度を向上させ、位置制御精度を向上させることができる移動体の位置制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】解体重機で解体している建物に無人航空機から水を噴射している状態を示す図である。
図2】無人航空機の位置制御システムを示す図である。
図3】無人航空機を構成する六角形の枠フレームに発光体を取り付けた平面図である。
図4】無人航空機を構成する八角形の枠フレームに発光体を取り付けた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に、解体重機1で解体している建物に移動体である無人航空機(UAV、又はドローンとも呼ばれる)2から対象物である建物に水を噴射している状態を示している。
【0020】
解体重機1は、油圧ショベルとも呼ばれ、操縦室を備える車体3から延びるブーム4と、ブーム4の先端に取り付けられるアーム5と、アーム5の先端に取り付けられるアタッチメントとしての破砕機6と、を備え、ブーム4及びアーム5を起伏動作や旋回動作させながら破砕機6で建物を破砕する。
【0021】
無人航空機2は、図1及び図2に示すように、建物に流体(ここでは水)を噴射する流体噴射ノズル7を機体8に備え、遠隔操縦機(図示せず)により遠隔操縦可能(又は自動操縦可能でもよい)に構成されている。そして、遠隔操縦機を操作することによって、後述する4つの回転翼16(図1では省略し、図2に示している)の回転方向及び回転速度を制御することで、機体8を左右に回転させる、又は前後に移動させる、あるいは上昇又は下降させる、更には空中の所定位置に維持させるホバリングができるようになっている。このホバリングにより、噴射する水が、できるだけ粉塵発生箇所である破砕点に集中して当たるように操作して、粉塵の発生を抑えることができる。
【0022】
図1では、無人航空機2の前後方向と解体重機1の前後方向とが略平行な状態で無人航空機2を空中に略水平状態でホバリングした状態を示しているが、例えば解体重機1の左側や右側あるいは解体重機1の前側や上側に無人航空機2を位置させた状態でホバリングさせてもよいし、また、無人航空機2の向きを水平方向だけでなく、後述する流体噴射ノズル7が下向きに傾いた下向き傾斜状態に無人航空機2の姿勢を維持してもよい。要するに、破砕箇所の位置や風の向き、つまり解体時に発生する粉塵の飛散方向等に合わせて、無人航空機2の向き、高さ、塵埃からの距離が最適となるように無人航空機2の位置を調節することができる。場合によっては、無人航空機2を移動させながら建物に水を噴射させるようにしてもよい。また、風が強く地表から粉塵が舞い上がるときは、無人航空機2を地表近くに移動させ、地表に向かって水を噴射することもできる。
【0023】
具体的には、無人航空機2は、図2に示すように、4つの枠フレーム9,10,11,12にて平面視において4角形に形成された機体8と、機体8の中心部に前後方向に沿って配置された上部フレーム13と、枠フレーム9,10,11,12の4つの角部のそれぞれから下方へ垂設した脚部14と、枠フレーム9,10,11,12の4つの角部のそれぞれから上方に突設した上側フレーム15と、上部フレーム13にブラケット(図示せず)を介して取り付けられた電動モータ(図示せず)と、電動モータの駆動軸(図示せず)に取り付けられた回転翼16と、前記4つの枠フレーム9,10,11,12のうちの前側に位置する枠フレーム9の左右方向中央部の上端に取り付けられた流体噴射ノズル7と、を備えている。尚、図2の左側に位置する枠フレーム9を前側とし、その反対側を後側とし、無人航空機2を正面(前側)から見た状態で左側を左側とし、無人航空機2を正面から見た状態で右側を右側とする。
【0024】
流体噴射ノズル7には、図示していないホースの一端が接続され、ホースの他端が地上に設けられているポンプ装置を含む水供給装置に接続され、ポンプ装置を駆動することによって、ホースを介して流体噴射ノズル7に水を供給する。この供給により、流体噴射ノズル7から前方へ水を噴射するようになっている。また、流体噴射ノズル7を、上下軸心回りで回動自在に設けて、左右方向で角度変更できるように構成してもよい。これら角度変更は、ネジを人為的に操作することにより行うようにしてもよいし、アクチュエータの動力を用いて行うようにしてもよい。
【0025】
また、4つの電動モータの駆動を制御する制御装置を内蔵した制御ボックス(図示せず)が無人航空機2に備えられている。尚、制御ボックスへの電力供給は、地上に備えている電源部と制御ボックスとが配線により接続されることにより供給されているが、解体重機1から制御ボックスへ電力供給してもよい。また、無線給電により制御ボックスへ電力供給することもできる。
【0026】
また、無人航空機2の位置を制御する無人航空機(移動体)2の位置制御システムを備えており、図2に基づいて説明する。異なる波長の光を発する複数の発光体、具体的には、異なる色彩として4色(例えば、赤、緑、青、紫)に光る発光体17,18,19,20を備える無人航空機2と、4個の発光体17,18,19,20を撮像する受光部21と、受光部21で撮像した二次元の撮像画像上の複数の発光体17,18,19,20の二次元座標を求め、求めた4個の発光体17,18,19,20の二次元座標に基づいて無人航空機2の三次元座標を求める処理部22と、処理部22で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように無人航空機2を移動制御する制御部23と、を備えている。これら受光部21と、処理部22と、制御部23とが、地上に設置されて地上体を構成している。なお、地上とは、ビルの壁面やビルの屋上等の地表以外も含む。また、各発光体17,18,19,20は、基板に複数のLED素子を配置した帯状で直線状のラインLEDから構成され、4つの枠フレーム9,10,11,12の下面に取り付けられている。
【0027】
受光部21は、カメラ装置から構成され、解体重機1に設置する、あるいは地上の決められた場所に設置する。カメラ装置21は、4個の発光体17,18,19,20を含む無人航空機2全体を撮像する撮像部24を備える撮像本体25と、撮像本体25を載置している回転台26と、を備えている。また、回転台26を回動させる電動モータ(図示せず)を回転台26に備えるとともに、電動モータの駆動を制御する回転台コントローラ27が電動モータに接続されている。回転台コントローラ27からの出力信号により電動モータを駆動することによって、撮像本体25を水平方向に回動させることができる。また、撮像本体25は、脚部28に水平軸芯回りで回動可能に取り付けられ、図示していない電動モータの駆動により撮像本体25を垂直方向(矢印の方向)に回動させることができる。前記回転台コントローラ27は、表示部29Aを備えるパーソナルコンピュータ(PC、以下においてパソコンと称する)29に接続されており、パソコン29からの指令信号が回転台コントローラ27へ出力される。また、撮像本体25は、パソコン29に接続されており、撮像本体25からの無人航空機2の撮像画像がパソコン29に入力される。このように、撮像部24が4個の発光体17,18,19,20を常時撮像することができるように、撮像本体25を垂直方向及び水平方向に回動させる制御を行っている。
【0028】
パソコン29には、前述した処理部22及び制御部23を備えており、撮像本体25からパソコン29に入力された撮像画像を処理部22で処理した処理結果に基づいて制御部23が無人航空機2の制御部(図示せず)に指令信号を出力して、無人航空機2の位置制御を行うことになる。
【0029】
具体的には、処理部22は、受光部21で撮像した二次元の撮像画像上の4個の発光体17,18,19,20の二次元座標を求め、求めた4個の発光体17,18,19,20の二次元座標及び撮像本体25の水平方向及び垂直方向の角度に基づいて無人航空機2の三次元座標を求める。また、制御部23は、処理部22で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように無人航空機2を移動制御する。この制御は、GPS電波等の外的要素を用いる必要がないので、安定性が高い。鉄筋鉄骨等が多い前述の解体現場などでは、GPS電波が正確には届きにくいので、特に適している。
【0030】
上記のように構成された位置制御システムを用いて無人航空機2の位置を制御する方法について説明する。まず、遠隔操縦機を用いて(又は予め設定された自動操縦プログラムに基づいて)無人航空機2を所定の位置(散水する位置)まで移動させる。尚、自動操縦で無人航空機2を移動させる際には、撮像部24で発光体17,18,19,20を含む無人航空機2を撮像し、無人航空機2の飛行位置を検出し、飛行経路が予め設定されている飛行経路から外れていないかどうかを確認し、外れている場合には、無人航空機2の飛行位置を修正しながら飛行を続行する。無人航空機2が所定の位置(散水する位置)に到着すると、ホバリング状態に移行し、前記同様に、撮像部24で発光体17,18,19,20を撮像し、無人航空機2の位置を検出し、予め設定した目標位置から外れている場合には、無人航空機2の位置を修正しつつ、解体作業で発生する粉塵(対象物)に向けて放水を行う。また、放水の反動で無人航空機2が適正位置から外れても、前述のように位置修正しながら放水を続けることができる。
【0031】
無人航空機2の位置を検出する方法について説明すれば、撮像部24で撮像した画像をパソコン29に入力する。画像が入力されると、処理部22により次の第1から第5の処理を行う。第1では、入力された画像上で4個の発光体17,18,19,20の各色を持つ画素を、予め処理部22に入力されている色彩のパラメータにより、抜き出す。第2では、抜き出した画素を例えばハフ変換を用いて画像中の各辺に相当する直線を求める。第3では、求めた4本の直線から形成される4角形(ここでは、正方形)の4つの頂点の二次元座標を求める。さらに、撮像本体25の水平方向及び垂直方向の回転角度や撮像本体25内部のパラメータから4つの頂点の重心の三次元座標を求める。第4では、処理部22で求めた三次元座標が予め設定された目標の三次元座標に一致するように、制御部23から無人航空機2へ飛行指示を送信する。第5では、撮像部24が無人航空機2を見失わないように、処理部22が、無人航空機2に対する撮像部24の水平方向および垂直方向の角度を求め、撮像本体25が求めた角度になるように撮像本体25を垂直方向及び水平方向に回動させる信号を制御部23から撮像本体25および回転台コントロール27へ出力する。なお、これら第1から第5までの処理を繰り返し行うことになる。
【0032】
ところで、天候や時間帯によって太陽光の照射量や照射方向が変化するため、それに伴い、撮像部24で撮像される4個の発光体17,18,19,20の色の見え方も変化する。そのため、それら4個の発光体17,18,19,20の見え方の異なる大量の画像データをパソコンに記憶させておき、撮像部24で撮像される4個の発光体17,18,19,20の色を大量の画像データの中から探し出すことによって、4個の発光体17,18,19,20の色の判別を正確に行うことができる。
【0033】
又、前記位置制御システムには、流体噴射ノズル7から噴射される流体によって移動体である無人航空機2が受ける反力を検出する検出手段(図示せず、)を無人航空機2に備えており、この検出手段からの検出結果(反力の大きさ)に基づいて無人航空機2の移動を制御する移動制御手段(図示せず)を無人航空機2に取り付けている制御部に備えている。ここでは、流体噴射ノズル7から前方に流体を噴射しているので、その反力分を加えた前進力によって前方へ移動させることによって、該反力を相殺することができる。このように、検出手段からの検出結果に基づいて移動体の移動を制御する移動制御手段を備えることによって、移動体が受ける反力で移動体が目標とする位置から大きく外れることがなく、移動体を目標位置に容易に追従させることができる。なお、検出手段としては、流体噴射ノズル7が取り付けられたフレーム(図示せず)の変形を検出する歪ゲージでもよいし、圧力センサやロードセル等であってもよい。
【0034】
尚、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0035】
前記実施形態では、4つの枠フレーム9,10,11,12にて平面視において4角形に形成したが、3角形以上の多角形に形成する方が好ましい。また、2辺が直交する十字形に形成してもよい。例えば図3に示すように、6つの枠フレーム30〜35にて平面視において6角形に形成してもよい。この場合、全ての枠フレーム30〜35に色が異なる6色に光る発光体を備えてもよいし、図3に示すように一つ置きの枠フレーム30,32,34に異なる色の発光体を備えて全部で3個の発光体36,37,38を備えてもよい。この場合、前述同様に、3個の発光体36,37,38の各色を持つ画素を抜き出し、抜き出した画素を例えばハフ変換を用いて画像中の各辺に相当する直線を求める。求めた3本の直線の両端をそれぞれ延ばすことで交わる交点を仮想三角形状の3つの頂点C1,C2,C3とし、それら3つの頂点C1,C2,C3の二次元座標を求める。さらに、撮像本体25の水平方向及び垂直方向の回転角度や撮像本体25内部のパラメータから3つの頂点C1,C2,C3の重心の三次元座標を求めることになる。また、図4に8つの枠フレーム39〜46にて平面視において8角形に形成してもよい。この場合、全ての枠フレーム39〜46に色が異なる8色に光る発光体を備えてもよいし、図4に示すように一つ置きの枠フレーム40,42,44,46に発光体を備えて全部で4個の発光体47,48,49,50を備えてもよい。この場合、前述同様に、4個の発光体47,48,49,50の各色を持つ画素を抜き出し、抜き出した画素を例えばハフ変換を用いて画像中の各辺に相当する直線を求める。求めた4本の直線の両端をそれぞれ延ばすことで交わる交点C1,C2,C3,C4を4角形上の4つの頂点とし、それら4つの頂点C1,C2,C3,C4の二次元座標を求める。さらに、撮像本体25の水平方向及び垂直方向の回転角度や撮像本体25内部のパラメータから4つの頂点の重心の三次元座標を求めることになる。なお、図3及び図4では、枠フレームと発光体のみを図示し、その他のものは省略している。また、前記直線を組み合わせた多角形状に構成する他、円弧を組み合わせた円形や楕円形等の曲線状に構成してもよい。また、重心位置の座標を求めるようにする他、任意の位置の座標を求めてもよい。また、発光体としては、3色及び4色を用いたが、2色以上であればよい。この場合、頂点座標を求める場合に、頂点を挟んで隣り合う辺に別の色の発光体を配置するのが、望ましい。また、発光体は、直線状のものに限らず、点状のものを並べてもよい。この点状の発光体を頂点に配置して直接的に頂点座標を検出できるようにしてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、本発明の無人航空機を解体現場で水を噴射する場合に使用したが、トンネルや建物の壁面に塗料を噴射して壁面を塗装する場合に使用してもよいし、高層階の建物の火災時の消火に使用してもよく、本発明は、人が作業し難い不安定な高い場所での流体の噴射に使用する際に特に有効である。これら噴射対象の流体としては、水、空気等の気体、塗料、液状の樹脂、消火剤等の粉末等、種々のものを用いることができる。また、複数の建設機械を使用する現場では、建設機械自体に散水ノズルを取り付けた場合に比べ、1機の無人航空機でそれぞれの建設機械の作動位置に移動させて使用できるので効率的であり、建設機械に散水ノズルや送水用配管を取り付ける改造も不要となる。
【0037】
また、前記実施形態では、発光体としてLED(発光ダイオード)を用いたが、レーザーダイオード(LD)であってもよい。
【0038】
また、前記実施形態では、移動体として三次元的に移動する無人航空機を用いたが、二次元的に移動する無人走行車又は無人船舶であってもよい。また、無人航空機としては、UAV(ドローンともいう)の他に、メインロータ及びテールロータを備えるヘリコプターを用いてもよいし、飛行船型の無人航空機を用いることもできる。また、ジェットエンジン又は流体噴射装置あるいは電磁力を利用した推力発生装置等から構成した無人航空機であってもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…解体重機、2…無人航空機(移動体)、3…車体、4…ブーム、5…アーム、6…破砕機、7…流体噴射ノズル、8…機体、9,10,11,12…枠フレーム、13…上部フレーム、14…脚部、15…上側フレーム、16…回転翼、17,18,19,20…発光体、21…受光部(カメラ装置)、22…処理部、23…制御部、24…撮像部、25…撮像本体、26…回転台、27…回転台コントローラ、28…脚部、29…パソコン、29A…表示部、30〜35…枠フレーム、36,37,38…発光体、39〜46…枠フレーム、47,48,49,50…発光体、C1,C2,C3,C4…頂点(交点)
図1
図2
図3
図4