特開2019-96163(P2019-96163A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社鷺宮製作所の特許一覧

<>
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000003
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000004
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000005
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000006
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000007
  • 特開2019096163-シフト操作感覚シミュレータ装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-96163(P2019-96163A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】シフト操作感覚シミュレータ装置
(51)【国際特許分類】
   G05G 5/03 20080401AFI20190530BHJP
   G05G 9/047 20060101ALI20190530BHJP
   G09B 9/04 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
   G05G5/03 A
   G05G9/047
   G09B9/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-226324(P2017-226324)
(22)【出願日】2017年11月24日
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】矢野 雅也
(72)【発明者】
【氏名】伊 栄生
【テーマコード(参考)】
3J070
【Fターム(参考)】
3J070AA04
3J070BA19
3J070BA51
3J070CB03
3J070CB37
3J070CC71
3J070DA70
(57)【要約】
【課題】実車に近い高応答の操作感を操作レバーに再現することができるシフト操作感覚シミュレータ装置を提供する。
【解決手段】第1案内レール16によりセレクト方向に案内される第1プレート20に対してセレクト方向の操作感を付与する第1リニヤモータ22と、第2案内レール24によりセレクト方向と交差するシフト方向に案内される第2プレート28に対して操作感を付与する第2リニヤモータ30とが設けられていることから、第1リニヤモータ22および第2リニヤモータ30からセレクト方向およびシフト方向の操作感が独立に操作レバー10に対して付与されるので、実車に近い高応答の操作感を操作レバーに再現することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作レバーに操作感を付与するシフト操作感覚シミュレータ装置であって、
第1ガイドにより第1方向に案内され、第1リニヤモータにより前記第1方向の操作感が付与される第1部材と、
前記第1部材に設けられた第2ガイドにより前記第1方向と交差する第2方向に案内され、第2リニヤモータにより前記第2方向の操作感が付与される第2部材とを、備え、
前記操作レバーは、前記第2部材に直接又は間接的に連結されている
ことを特徴とするシフト操作感覚シミュレータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト操作感覚シミュレータ装置に関し、高い応答性および滑らかな操作性を確保し、広いシフト操作範囲で実車に近い操作感を再現することができるようにする技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
実車のシフト操作感覚を操作者に与えるようにしたシフト操作感覚シミュレータ装置が知られている。たとえば、特許文献1に記載されたものがそれである。このような従来のシフト操作感覚シミュレータ装置は、シフト方向に作用する回転力を出力するシフト方向モータ、セレクト方向に作用する回転力を出力するセレクト方向モータを用いて、シフト操作レバーに対して種々の操作感覚を付与することができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−048877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1のシフト操作感覚シミュレータ装置は、シフト方向モータおよびセレクト方向モータを用いることから、モータの出力軸の回転力をシフト操作レバーの操作方向の力に変換するための減速機構や操作力変換機構が必要となるため、高応答の操作感を再現することが、困難であった。すなわち、実車でのシフト操作感覚を再現しようとする場合には、比較的複雑な減速機構や操作力変換機構が用いられることから、それらの構成要素間のガタ、構成要素の剛性、シフト操作とセレクト操作との機構上の相互干渉等の影響により、同時期の荷重変化やギヤ噛合時の引っ掛かりなどの短時間での荷重応答を表す高応答の波形を操作レバーに再現することが難しく、実車での操作感覚を忠実に操作レバーに付与することが困難であった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、実車に近い高応答の操作感を操作レバーに再現することができるシフト操作感覚シミュレータ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨とするところは、(a)操作レバーに操作感を付与するシフト操作感覚シミュレータ装置であって、(b)第1ガイドにより第1方向に案内され、第1リニヤモータにより前記第1方向の操作感が付与される第1部材と、(c)前記第1部材に設けられた第2ガイドにより前記第1方向と交差する第2方向に案内され、第2リニヤモータにより前記第2方向の操作感が付与される第2部材とを、備え、(d)前記操作レバーは、前記第2部材に直接又は間接的に連結されていることにある。
【発明の効果】
【0007】
本発明のシフト操作感覚シミュレータ装置によれば、操作レバーには、第1ガイドにより第1方向に案内される第1部材に対して前記第1方向の操作感を付与する第1リニヤモータと、第2ガイドにより前記第1方向と交差する第2方向に案内される第2部材に対して操作感を付与する第2リニヤモータとが設けられていることから、第1リニヤモータおよび第2リニヤモータから第1方向および第2方向の操作感が独立に操作レバーに対して付与されるので、実車に近い高応答の操作感を操作レバーに再現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施例のシフト操作感覚シミュレータ装置を主体的に構成するシフト操作機構の構成を説明する正面図である。
図2図1のシフト操作機構の構成を説明する側面図であって、図3のII−II視断面図である。
図3図1のシフト操作機構の構成を説明する平面図である。
図4図1のシフト操作機構の動作を説明する模式図である。
図5図1の電子制御装置からシフト操作機構へ付与される操作荷重のうち、第1速ポジションから第2速ポジションへのシフト操作時におけるシフト荷重のシフトストロークに対する変化波形を示す図である。
図6図1の電子制御装置からシフト操作機構へ付与される操作荷重のうち、シフト方向のシフト荷重の変化波形で示すタイムチャートであって、破線は第1速ポジションから第2速ポジションへの操作時に付与されるシフトストロークを、実線は第1速ポジションから第2速ポジションへの操作時に付与されるシフト荷重を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態において、前記操作レバーの中間部は、位置固定の自在軸受を介して前記第1方向および第2方向へ自在に操作自在に支持され、且つ、前記操作レバーの下端部は、自在継手を介して前記第2部材に連結されていてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記操作レバーは、前記第2部材に直接固定されることで連結されていてもよい。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記操作レバーは、位置固定の支持部材にシフト方向に平行移動可能且つ前記シフト方向の軸線まわりに回動可能に支持され、前記第2部材に対して前記シフト方向の軸線まわりに回動可能に連結されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記操作レバーの操作ストロークに応じて、予め記憶された第1操作方向および第2操作方向の操作荷重を前記第1リニヤモータおよび前記第2リニヤモータにそれぞれ付与する電子制御装置が、備えられる。
【0013】
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明する。
【実施例】
【0014】
図1は、本発明の一実施例であるシフト操作感覚シミュレータ装置100を示している。シフト操作感覚シミュレータ装置100は、長手状の操作レバー10をシフト方向およびセレクト方向に操作自在に支持するシフト操作機構12と、シフト操作機構12に操作荷重を付与する電子制御装置80とを備えている。図1はシフト操作機構12の正面を、図2はシフト操作機構12の側面を、図3はシフト操作機構12の平面をそれぞれ示している。
【0015】
シフト操作機構12は、位置固定の基台14と、基台14上に固設され、第1方向たとえばセレクト方向の3本の第1案内レール16によって案内される第1プレート20と、基台14に固定されたセレクト方向に長手状且つU字状断面の第1ステータ22aと第1プレート20の下面に固定され且つ第1ステータ22aの開口内に一部が収容されて第1ステータ22aが発生する移動磁界にしたがって駆動される第1リニヤ可動子22bとを有する第1リニヤモータ22と、第1プレート20上に固設され、第1方向と直交する第2方向たとえばシフト方向に互いに平行な一対の第2案内レール24と、一対の第2案内レール24によってシフト方向に案内される第2プレート28と、第1プレート20上に固定されたシフト方向に長手状且つU字状断面の第2ステータ30aと第2プレート28の下面に固定され且つ第2ステータ30aの開口内に一部が収容されて第2ステータ30aが発生する移動磁界にしたがって駆動される第2リニヤ可動子30bとを有する第2リニヤモータ30とを、備えている。
【0016】
また、シフト操作機構12は、基台14上に設けられたフレーム40により支持された位置固定の天板42と、天板42に設けられ、操作レバー10の中間部10aをシフト方向およびセレクト方向に回動可能に支持して、操作レバー10の中間部10aを中心とする回動を許容する自在軸受44と、第2プレート28に設けられ、操作レバー10の下端部10bをその長手方向に摺動可能に嵌合させたブシュ46を、シフト方向およびセレクト方向に回動可能に支持した自在継手48とを、備えている。これにより、操作レバー10が図1に示すシフト操作範囲内で操作されると、それに応じて第2プレート28が往復移動させられ、操作レバー10が図2に示すセレクト操作範囲内で操作されると、それに応じて第1プレート20が往復移動させられるようになっている。
【0017】
操作レバー10の上端部10cには、操作グリップ50と、操作グリップ50に加えられる荷重(操作反力)を検出する荷重センサ52とが設けられている。
【0018】
図4は、上記のように構成されたシフト操作機構12の作動を説明する模式図である。操作レバー10がシフト方向に操作されると、第2リニヤモータ30の第2ステータ30aと第2リニヤ可動子30bとが相対移動させられる。また、操作レバー10がセレクト方向に操作されると、第1リニヤモータ22の第1ステータ22aと第1リニヤ可動子22bとが相対移動させられる。このため、操作レバー10のシフト方向への操作ストロークに応じて第2リニヤモータ30から予め操作ストロークに応じて設定されたシフト操作荷重(シフト反力)が出力されると、セレクト方向に操作中の操作レバー10に対してシフト反力すなわち操作感が付与されるので、操作レバー10に対して操作感が付与される。同様に、操作レバー10のセレクト方向への操作ストロークに応じて第1リニヤモータ22から予め操作ストロークに応じて設定されたシフト操作荷重(シフト反力)が出力されると、シフト方向に操作中の操作レバー10に対してシフト反力すなわち操作感が付与されるので、操作レバー10に対して操作感が付与される。
【0019】
図1に戻って、電子制御装置80は、たとえばROM、RAM、CPU、入出力インターフェースなどを含む所謂マイクロコンピュータであって、RAMの一時記憶機能を利用しつつ、予めROMに記憶されたプログラムおよびシフト荷重に従って、操作レバー10の上端部10cの操作グリップ50直下に設けられた荷重センサ52からの操作荷重を表す操作荷重信号SF、セレクト方向の第1案内レール16およびシフト方向の第2案内レール24に設けられたセレクト操作ストロークセンサ54およびシフト操作ストロークセンサ56からのセレクト操作ストロークおよびシフト操作ストロークを表す信号STRおよびSTF等の入力信号を処理し、第1リニヤモータ22および第2リニヤモータ30の出力を制御する。
【0020】
たとえばシフト方向の操作に関して、電子制御装置80は、たとえば図5に示されているシフトストローク(mm)に対するシフト荷重(N)の関係を用いて、シフト操作ストロークセンサ56から入力された操作レバー10のシフト方向の操作ストロークに基づいて上記関係からシフト荷重を決定して第2リニヤモータ30から操作荷重すなわち操作反力を出力させる。この場合、オープンループ制御であってもよいが、荷重センサ52により検知される操作荷重と上記関係から決定された操作荷重(目標値)とが一致するように第2リニヤモータ30の出力を制御するクローズドループ制御であってもよい。
【0021】
図6は、上記のクローズドループ制御の結果得られた、操作レバー10に対するシフト荷重(シフト反力)すなわちシフト感の時間的変化を示している。
【0022】
上述のように、本実施例のシフト操作感覚シミュレータ装置100によれば、操作レバー10には、第1案内レール(第1ガイド)16によりセレクト方向(第1方向)に案内される第1プレート(第1部材)20に対してセレクト方向の操作感を付与する第1リニヤモータ22と、第2案内レール(第2ガイド)24によりセレクト方向と交差するシフト方向(第2方向)に案内される第2プレート(第2部材)28に対して操作感を付与する第2リニヤモータ30とが設けられていることから、第1リニヤモータ22および第2リニヤモータ30からセレクト方向およびシフト方向の操作感が独立に操作レバー10に対して付与されるので、実車に近い高応答の操作感を操作レバーに再現することができる。
【0023】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0024】
例えば、前述の実施例において、操作レバー10の上端部10cを貫通させてそれを案内するH型の貫通穴を有する案内プレートが位置固定に設けられていてもよい。
【0025】
前述の実施例において、操作レバー10は、第2プレート(第2部材)28に対して直接固定されることで連結されていてもよい。
【0026】
前述の実施例において、前記操作レバー10は、図示しない位置固定の支持部材にシフト方向に平行移動可能且つ前記シフト方向の軸線まわりに回動可能に支持され、第2プレート(第2部材)28に対して前記シフト方向の軸線まわりに回動可能に連結されてもよい。
【0027】
前述の実施例において、第1案内レール16と第2案内レール24とは直交した方向に設けられており、操作レバー10によるセレクト操作方向とシフト操作方向とは直交した操作方向であったが、90度以下の角度で交差していてもよく、必ずしも直交していなくてもよい。
【0028】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0029】
10:操作レバー
16:第1案内レール(第1ガイド)
20:第1プレート(第1部材)
22:第1リニヤモータ
24:第2案内レール(第2ガイド)
28:第2プレート(第2部材)
30:第2リニヤモータ
100:シフト操作感覚シミュレータ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6