【解決手段】コネクタ10は、複数の電極910を備えたFPC900が挿入される挿入口102が形成されたハウジング100と、FPC900がハウジング100に挿入された状態において、複数の電極910のいずれかとそれぞれに導通した状態となる複数のコンタクト300と、挿入口102を開閉するように、ハウジング100に対して移動するカバー200と有し、カバー200は、FPC900のハウジング100への装着が完了した感覚を生じさせる凸部208を有する。
前記移動部材は、前記被接続部材を前記ハウジング内に押し込むために要する力を、前記被接続部材の前記ハウジングへの装着完了時に低減させる形状を有する請求項1記載のコネクタ。
前記移動部材は、前記被接続部材の前記ハウジング内への移動に連動して前記コンタクトを弾性的に変形させ、前記被接続部材の前記ハウジングへの装着の完了時に前記コンタクトを解放する請求項1又は2記載のコネクタ。
複数の前記導体部が前記被挿入部材の前記移動部材に対向する側の面と逆側の面に位置する状態となる向きに、前記挿入部材が前記ハウジングに挿入された状態において、複数の前記コンタクトは、複数の前記導体部のいずれかにそれぞれ接触する接触部を有する請求項1乃至4いずれか記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えばFPC(Flexible printed circuits)等の被接続部材をコネクタに装着する際には、被接続部材の装着が完了した感覚(所謂クリック感)を生じさせることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の技術においては、装着が完了した感覚を生じせるためには、コネクタに専用の部品を設けたり、被接続部材に切欠を形成したりすることを要し、被接続部材を接続するための機構が複雑であった。
【0007】
本発明は、被接続部材の装着が完了した感覚を生じさせつつ、被接続部材を接続するための機構を簡単にすることができるコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明は、複数の導体部を備えた被接続部材が挿入される挿入口が形成されたハウジングと、前記被接続部材が前記ハウジングに挿入された状態において、複数の前記導体部のいずれかとそれぞれに導通した状態となる複数のコンタクトと、前記挿入口を開閉するように、前記ハウジングに対して移動する移動部材と、有し、前記移動部材は、前記被接続部材の前記ハウジングへの装着が完了した感覚を生じさせる形状を有するコネクタである。
【0009】
請求項2に係る本発明は、前記移動部材は、前記被接続部材を前記ハウジング内に押し込むために要する力を、前記被接続部材の前記ハウジンへの装着完了時に低減させる形状を有する請求項1記載のコネクタである。
【0010】
請求項3に係る本発明は、前記移動部材は、前記被接続部材の前記ハウジング内への移動に連動して前記コンタクトを弾性的に変形させ、前記被接続部材の前記ハウジングへの装着の完了時に前記コンタクトを解放する請求項1又は2記載のコネクタである。
【0011】
請求項4に係る本発明は、前記移動部材は、複数の導電性部材を有し、複数の前記導体部が前記被挿入部材の前記移動部材に対向する側の面に位置する状態となる向きに、前記挿入部材が前記ハウジングに挿入された状態において、複数の前記導電性部材は、複数の前記導体部のいずれか及び複数の前記コンタクトのいずれかにそれぞれ接触する請求項1乃至3いずれか記載のコネクタである。
【0012】
請求項5に係る本発明は、複数の前記導体部が前記被挿入部材の前記移動部材に対向する側の面と逆側の面に位置する状態となる向きに、前記挿入部材が前記ハウジングに挿入された状態において、複数の前記コンタクトは、複数の前記導体部のいずれかにそれぞれ接触する接触部を有する請求項1乃至4いずれか記載のコネクタである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る本発明によれば、被接続部材の装着が完了した感覚を生じさせつつ、被接続部材の装着が完了した感覚を生じさせるための専用の部品を設ける場合と比較して、被接続部材を接続するための機構を簡単にすることができるコネクタを提供することができる。
【0014】
請求項2に係る本発明によれば、装着完了時に操作者が被装着部材から受ける力を低減させることで、被接続部材の装着が完了した感覚を生じさせることができる。
【0015】
請求項3に係る本発明によれば、コタンタクトとは別に弾性変形が解放される部材を設ける場合と比較して、コネクタの構造を簡単にすることができる。
【0016】
請求項4に係る本発明によれば、移動部材と対向する側の面に導体部が位置する方向でハウジングへと被接続部材が挿入された際に、導体部とコンタクトとを導通させることができる。
【0017】
請求項5に係る本発明によれば、移動部材と対向する側の面と逆側の面に導体部が位置する方向でハウジングへと被接続部材が挿入された際に、導体部とコンタクトとを導通させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのコネクタを例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態にも、本発明は、等しく適応し得るものである。
【0020】
図1には、本発明の実施形態に係るコネクタ10と、コネクタ10に装着されるFPC900とが示されている。FPC900は、被装着部の一例であり、例えば15個等の複数の電極910を有している。ここで、電極910は導体部の一例である。また、FPC900に替えて、例えばFFC(Flexible Flat Cable)を被接続部材として用いてもよい。
【0021】
FPC900は、
図1においては、電極910が配置された側の面が上側となるようにコネクタ10に装着されているものの、電極910の配置された側の面が下側となるようにコネクタ10に装着されてもよい。ここで、FPC900の上側の面は、後述するカバー200に対向する面の一例であり、FPC900の下側の面は、カバー200と対向する面と逆側の面の一例である。
【0022】
コネクタ10は、ハウジング100を有する。ハウジング100は、その材質が例えば樹脂等の絶縁体であって、例えば、樹脂を成形することにより製造されている。ハウジング100には、前側に挿入口102が形成されている。挿入口102には、ハウジング100に装着されるFPC900が挿入される。また、挿入口102を介して、FPC900がハウジング100から引き出される。尚、ハウジング100の詳細は後述する。
【0023】
コネクタ10は、カバー200をさらに有する。カバー200は、移動部材の一例であって、挿入口102を開閉するようにハウジング100に対して移動する。すなわち、カバー200は、
図1(a)に示す挿入口102を開いた状態とする位置と、
図1(b)に示す挿入口102を閉じる位置との間でハウジング100に対して移動する。尚、カバー200の詳細は後述する。
【0024】
図2は、コネクタ10の分解斜視図である。
図2に示すように、コネクタ10は、先述のハウジング100と、先述のカバー200とを有し、さらには、例えば15個等の複数のコンタクト300と、例えば2つの補強部材410R、410Lと、例えば2つの押さえ部材430R、430Lとを有する。
【0025】
ハウジング100には、コンタクト300と同数の、すなわち例えば15個の装着孔104が形成されていて、それぞれの装着孔104には、それぞれにコンタクト300が挿入され、それぞれのコンタクト300がハウジング100に対して取り付けられている。
【0026】
ハウジング100には、支持面106R、106Lがさらに形成されている。支持面106R、106Lは、カバー200を移動可能に支持する面である。より具体的には、支持面106Rは、上向きに形成されていて、カバー200の後述する軸部210Rを重力方向における下側から支えている。また、支持面106Lは、上向きに形成されていて、カバー200の後述する軸部210Lを重力方向における下側から支えている。
【0027】
コンタクト300の数は、電極910の数と同じである。また、コンタクト300の材質は、例えば金属等の導電体であり、弾性変形が可能な材質である。また、コンタクト300は、FPC900がハウジング100に挿入された状態において、複数の電極910のいずれかと導通した状態となる。また、複数のコンタクト300は、ハウジング100に取り付けられた状態においては、互いに離間した状態となり、互いに隣り合う2つの間に絶縁体からなるハウジング100が存在する状態となる。このため、複数のコンタクト300の間での短絡は生じない。尚、コンタクト300の詳細は後述する。
【0028】
カバー200は、カバー本体202と、例えば15等の複数の導電性部材260とを有する。カバー本体202は、その材質が例えば樹脂等の絶縁体であって、例えば樹脂を成形することで形成されている。また、カバー本体202には、導電性部材260と同数の装着孔204が形成されていて、それぞれの装着孔204に導電性部材260が挿入され、それぞれの導電性部材260がカバー本体202に対して装着されている。
【0029】
カバー本体202には、右側に突出するように軸部210Rが形成されていて、左側に突出するように軸部210Lが形成されている。そして、軸部210Rが支持面106Rに支持され、軸部210Lが支持面106Lに支持されることで、軸部210R及び軸部210Lを含むカバー200全体が、ハウジング100に対して前後方向に移動することができるとともに、軸部210R及び軸部210Lを中心としてハウジング100に対して回転することができるようになっている。
【0030】
導電性部材260の数は、FPC900の電極910の数と同じであり、コンタクト300の数と同じである。また、複数の電性部材260は、カバー本体202に取り付けられた状態においては、互いに離間した状態となり、互いに隣り合う2つの間に絶縁体からなるカバー本体202が存在した状態となる。このため、複数の導電性部材260間での短絡は生じない。
【0031】
図3には、カバー200が示されている。
図3に示すように、カバー本体202には、例えば4個の凸部が形成されている。4個の凸部208は、それぞれが前側に突出する形状を有し、2つが下端部側における右側に配置されていて、他の2つが下端部側における左側に配置されている。この実施形態においては、凸部208は4個が形成されているものの、凸部208は、少なくとも1つが形成されていればよい。また、凸部208は、この実施形態のように、左右対称に、左右に同数が配置されるように形成されることが望ましい。
【0032】
カバー200は、凸部208が形成されていることで、ハウジング100への装着が完了した際に、ハウジング100への装着が完了した感覚を生じさせる形状を有するものとなる。尚、凸部208の詳細は後述する。
【0033】
図4には、コンタクト300の1つが示されている。尚、複数のコンタクト300は、全てが同じ形状である。
図4に示すように、コンタクト300は、第1接触部302を有する。第1接触部302は、FPC900のコネクタ10への装着が完了した状態において、カバー200の導電性部材260の上端部に接触する。そして、第1接触部302と導電性部材260とが接触することで、コンタクト300と導電性部材260とが導通した状態となる。
【0034】
コンタクト300は、第2接触部304と、腕部306とをさらに有する。第2接触部304は、FPC900のコネクタ10への挿入中に、カバー本体202に接触し、カバー本体202に押される。そして、第2接触部304がカバー本体202に押されることで、腕部306の後端側が下降するように(
図5の矢印を参照)、コンタクト300が弾性的に変形する。また、第2接触部304は、FPC900のコネクタ10への装着の完了時にカバー200から離間する。このため、コンタクト300は、FPC900のコネクタ10への装着の完了時に弾性変形が解放される。
【0035】
コンタクト300は、第3接触部308をさらに有する。第2接触部308は、腕部306の上側に配置されていて、電極910が下側の面に配置された状態となる向きで、FPC900がコネクタ10に装着された際に、電極910と接触する。そして、第3接触部308と電極910と接触することで、コンタクト300と電極910とが導通した状態となる。
【0036】
図5(a)はコネクタ10の平面図であり、
図5(b)はコネクタ10の正面図であり、
図5(c)はコネクタ10の右側面図である。
図5(c)に示すように、補強部材410Rは、ハウジング100の右端部側に装着されていて、ハウジング100を補強している。また、補強部材410Rは、上端側が軸部210Rの前側に位置し、軸部210Rを含めたカバー200の前側への移動を制限している。
【0037】
図5(B)に示すように、補強部材410Lは、ハウジング100の左側に装着されていて、ハウジング100を補強している。また、補強部材410Lは、上端部側が軸部210Lの前側に位置し、軸部210Lを含むカバー200の前側への移動を、補強部材410Rとともに制限している。
【0038】
図6は、コネクタ10の断面であって、
図5(a)に示すA−A線断面であり、
図5(b)に示すB−B線断面である断面を示していて、
図6(a)は、FPC900を装着途中のコネクタ10を示す図であり、
図6(b)は、FPC900の装着が完了する直前のコネクタ10を示す図であり、
図6(c)は、FPC100の装着が完了したコネクタを示す図である。
【0039】
図6(a)に示すように、FPC900がハウジング100内へと挿入されて、
図6(b)に示すように、FPC900の後端部902がカバー200に接触すると、後端部902に押されるようにして、カバー200は、
図6における反時計回り方向に回転するように移動を開始する(
図6(b)の矢印を参照)。すなわち、カバー200は、
図6(a)に示されている挿入口102を開く位置から、
図6(c)に示されている挿入口102を閉じる位置への移動を開始する。
【0040】
そして、カバー200が反時計回り方向に回転をすると、カバー本体202に形成された凸部208(
図3も参照)がコンタクト300の第1接触部302に接触して、凸部208が第1接触部302を下方に移動するように押し、コンタクト300の腕部306が下側に向けて撓むようにコンタクト300を弾性的に変形させる。
【0041】
図6(b)に示す状態から、FPC900がハウジング100内へとさらに挿入されると、FPC900の後端部902がカバー200をさらに押して、カバー200が反時計回り方向にさらに回転し、
図6(c)に示すようにFPC900のコネクタ10への装着が完了した状態となる。
【0042】
この際に、コンタクト300の第1接触部302は、カバー本体202に形成された凸部208を乗り上げるようにして凸部208から離間する。そして、第1接触部302が凸部208から離間することで、操作者がFPC900をコネクタ10内へ押し込むための力が低減する。また、第1接触部302が凸部208から離間する際に、腕部306が下側に撓むように生じていたコンタクト300の弾性変形が解放され、コンタクト300の弾性変形が解放された際に、FPC900のハウジング100への装着が完了した感覚を操作者に生じさせる。
【0043】
以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10は、カバー200が凸部208を有することで、FPC900のハウジング100への装着が完了した感覚を生じさせる形状をカバー200が有するものとなっている。また、以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10は、FPC900をハウジング100内に押し込むために要する力を、FPC900のハウジング100への装着完了時に低減させる形状を有するものとなっている。さらには、以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10は、FPC900のハウジング100内への移動に連動してコンタクト300を弾性的に変形させ、FPC900のハウジング100への装着の完了時にコンタクト300を解放するものとなっている。
【0044】
また、
図6(c)に示す状態においては、FPC900の上向きの面に電極910が位置する向きにFPC900がハウジング100に挿入されたとすると、導電性部材260は電極910に接触した状態となり、さらには、導電性部材260がコンタクト300の第1接触部302に接触した状態となる。
【0045】
このように、この実施形態のコネクタ10においては、FPC900のカバー200に対向する側の面(上側の面)に電極910が位置する向きでFPC900がハウジング100に挿入された状態において、導電性部材260が、電極910及びコンタクト300に接触している。
【0046】
また、
図6(c)に示す状態においては、FPC900の下向きの面に電極910が位置する向きに、FPC900がハウジング100に挿入されたとすると、コンタクト300の第3の接触部308は電極910と接触する。また、
図6(c)に示す状態においては、カバー200が、ハウジング100の挿入口102を閉じる位置へと移動している。
【0047】
このように、この実施形態のコネクタ10においては、FPC900のカバー200に対向する側の面(上側の面)とは逆側の面(下側の面)に電極910が位置する向きで、FPC900がハウジング100内に挿入された状態において、コンタクト300は、FPC900の電極910に接触している。
【0048】
また、以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10においては、カバー200は、FPC900のハウジング100の挿入口102への挿入に連動して、挿入口102を閉じる方向に移動するようになっている。より詳細には、カバー200は、ハウジング100に挿入中のFPC900に押され、挿入口102を閉じる方向に移動するようになっている。
【0049】
図7(a)及び
図8(a)は、FPC900がハウジング100に挿入されていて、カバー200が挿入口102を閉じる位置にあるコネクタ10を示す図であり、
図7(b)及び
図8(b)は、FPC900がハウジング100から引き抜かれて、カバー200が挿入口102を開く位置にあるコネクタ10を示す図である。
【0050】
図7及び
図8に示すように、押さえ部材430Rは、後端部側がハウジング100に固定されていて、前端部側がカバー200の軸部210Rに接触している。ここで、押さえ部材430Rは付勢手段の一例であり、押さえ部材430Rとしては、例えば金属製の板ばねを用いることができる。
【0051】
図7及び
図8には示されていないものの、押さえ部材430L(例えば、
図2を参照)は、押さえ部材430Rと同等に構成されていて、後端部側がハウジング100に固定されていて、前端部側がカバー200の軸部210L(例えば
図2を参照)に接触している。ここで、押さえ部材430Lは、押さえ部材430Rと同様に付勢手段の一例である。
【0052】
図7(a)及び
図8(a)に示す状態においては、押さえ部材430R、430Lは、カバー200をFPC900に対して押し付けるようにカバー200付勢して、カバー200を挿入口102を閉じる位置に静止させている。
【0053】
そして、
図7(a)及び
図8(a)に示す状態から、FPC900が引き出されると、軸部210Rが下方に移動し、軸部210Rの被付勢面212Rに押さえ部材430Rが接触する状態となる。そして、押さえ部材430Rが被付勢面212Rに接触すると、軸部210Rを
図8における時計回り方向に回転させ、カバー200が挿入口102を開く位置へと移動するように、押さえ部材430Rが被付勢面212Rを付勢する。また、押さえ部材430Rと同様に、押さえ部材430Lは、軸部210Lを、カバー200が挿入口102を開く位置へと移動するように付勢する。
【0054】
そして、押さえ部材430R、430Lに付勢されることにより、カバー200が移動し、
図7(b)及び
図8(b)に示すように、挿入口102を開く位置へとカバー200が移動する。
【0055】
以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10においては、カバー200は、FPC900が挿入口102からの引き出されることに連動して、挿入口102を開く方向に移動する。また、以上で説明をしたように、この実施形態のコネクタ10では、押さえ部材430R、430Lは、FPC900がハウジング100から抜き出されると、挿入口102を開く方向に移動させるようにカバー200を付勢する。