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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-96879(P2019-96879A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】軽量構成のインダクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 17/04 20060101AFI20190530BHJP
   H01F 27/30 20060101ALI20190530BHJP
   H01F 27/28 20060101ALI20190530BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20190530BHJP
   H01F 3/02 20060101ALI20190530BHJP
   H01Q 7/08 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
   H01F17/04 F
   H01F17/04 A
   H01F27/30
   H01F27/28 K
   H01F27/24 E
   H01F3/02
   H01Q7/08
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-217439(P2018-217439)
(22)【出願日】2018年11月20日
(31)【優先権主張番号】17382800.5
(32)【優先日】2017年11月27日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ・コボス・レイエス
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・ロハス・クエバス
(72)【発明者】
【氏名】フランシスコ・エセキエル・ナバロ・ペレス
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ・カニェテ・カベサ
(72)【発明者】
【氏名】ホルヘ・ロドリゲス
【テーマコード(参考)】
5E043
5E070
【Fターム(参考)】
5E043BA02
5E043FA01
5E043FA04
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA11
5E070CA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】重量の最適化が送受信アンテナとしての装置の能力を犠牲にせず、且つ比Q/重量及び感度/重量が最大化された軽量構成のインダクタ装置を提供する。
【解決手段】インダクタ装置は、直交する軸X、Y、Zを画定し且つ8つの角を画定する3対の平行な外面11を有する直方体状の電気絶縁支持体10、電気絶縁支持体10に支持された直方体状の磁気コア20及び磁気コア20を取り囲み3つの軸X、Y、Zの周囲に巻回された3本の導線の巻線DZを備える。磁気コア20は、3対の薄板21で構成された中空の磁気コアであり、薄板21の各対は、軸X、Y、Zの1つに垂直に相互に対向する2枚の平行薄板で構成され、且つ、各薄板21は、磁性材料で作られ、電気絶縁支持体10に接触し取り付けられ、且つ、取り囲み直交する他の薄板21と接触している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量構成を有するインダクタ装置であって:
・3対の平行な外面(11)を有する直方体状の電気絶縁支持体(10)であって、前記外面(11)に垂直で相互に直交する1の軸(X)、1の軸(Y)、及び1の軸(Z)を画定し、且つ3つの直交する外面(11)の間の交点の各々を1つずつの8つの角として画定するもの;
・前記電気絶縁支持体(10)によって支持された直方体状の磁気コア(20);及び
・相互に直交して配設され、前記磁気コア(20)を取り囲んで前記3軸(X、Y、Z)の周囲に巻回された、3本の導線の巻線(DX、DY、DZ);
を含む上記インダクタ装置において、
・前記磁気コア(20)は、3対の薄板(21)で構成された中空の磁気コア(20)であり、薄板(21)の各対は、前記複数の軸(X、Y、Z)の1つに垂直で相互に対向した2枚の平行な薄板(21)によって構成され、かつ
・各薄板(21)は、磁性材料から成り、前記薄板(21)の対向する側に2つの平行な主面(22)を有し、前記主面(22)は周縁領域(23)によって取り囲まれ、前記薄板(21)は、前記主面(22)の1つを介して前記電気絶縁支持体(10)に接触して取り付けられ、且つ前記周縁領域(23)を介して周囲の直交する薄板(21)と接触している、
ことを特徴とする、
上記インダクタ装置。
【請求項2】
前記周縁領域(23)は、少なくとも部分的に面取りされている、請求項1に記載のインダクタ装置。
【請求項3】
・前記電気絶縁支持体(10)は、前記外面(11)に平行であるところの前記電気絶縁支持体(10)の内面(12)によって画定された直方体状の中空の内部チャンバを有し、
・前記薄板(21)の全部又は前記薄板(21)の内の1つを除く全部が、前記電気絶縁支持体(10)の1つの内面(12)に取り付けられた1つの主面(22)を有し、且つ
・前記導線の巻線(DX、DY、DZ)は、前記電気絶縁支持体(10)の前記外面(11)の周囲に接触して巻回されている、
請求項1又は2に記載のインダクタ装置。
【請求項4】
前記内部チャンバは、前記電気絶縁支持体(10)の前記外面(11)の少なくとも1つに画定されたアクセス開口部を通してアクセス可能であり、前記アクセス開口部は、前記中空の内部チャンバと少なくとも同じサイズである、請求項3に記載のインダクタ装置。
【請求項5】
前記アクセス開口部は、電気絶縁性の蓋によって閉じられている、請求項4に記載のインダクタ装置。
【請求項6】
前記電気絶縁支持体(10)は、前記中空の内部チャンバの一部分を収容する第1の部分的電気絶縁支持体(15)と、前記中空の内部チャンバの残部を収容する第2の部分的電気絶縁支持体(16)とによって構成されている、請求項3に記載のインダクタ装置。
【請求項7】
前記電気絶縁支持体(10)は、前記電気絶縁支持体の前記外面(11)の1つを取り囲む少なくとも4つの角に4つの角突出部(13)を含むか、又は前記電気絶縁支持体(10)の8つの角に8つの角突出部(13)を含み、各角突出部(13)は、前記角に一致した前記直交する外面(11)に垂直な巻線制限面(14)を含み、各巻線制限面(14)は、それらの間に巻線チャネルを画定する別の角突出部(13)の巻線制限面(14)に対向する、請求項3〜6のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項8】
各薄板(21)の1つの主面(22)が、前記電気絶縁支持体(10)の外面(11)に取り付けられ、前記導線の巻線(DX、DY、DZ)は、前記磁気コア(20)の前記主面(22)の回りに接触して巻回され、前記電気絶縁支持体(10)には取り付けられていない、請求項1又は2に記載のインダクタ装置。
【請求項9】
・前記電気絶縁支持体(10)は、前記電気絶縁支持体(10)の前記外面(11)の1つを取り囲む少なくとも4つの角に4つの角突出部(13)を含むか、又は前記電気絶縁支持体(10)の8つの角に8つの角突出部(13)を含み、各角突出部(13)は、前記角に一致した前記直交する外面(11)に垂直な巻線制限面(14)を含み、且つそれらの間に巻線チャネルを画定する別の角突出部(13)の巻線制限面(14)と対向し、そして
・前記薄板(21)は、前記角突出部(13)に相補的なその周縁領域(23)に切り欠きを含み、前記角突出部(13)は、前記磁気コア(20)から突出している、
請求項8に記載のインダクタ装置。
【請求項10】
各薄板(21)は多層薄板であり、各層は磁性材料で作られている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項11】
前記薄板(21)は正方形の形状であり、等しいサイズ、等しい厚さ、及び等しい透磁率を有し、且つすべての前記巻線は、互いに等しく、等方的なインダクタを生成する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項12】
前記薄板(21)は、正方形の形状又は長方形の形状であり、及び/又は互いに異なる厚さ、及び/又は互いに異なる透磁率を有し、及び/又は前記巻線が互いに異なる、請求項1〜10のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項13】
各薄板(21)を構成する磁性材料は、フェライト、結晶金属合金、ナノ結晶金属合金、アモルファス金属合金、又はポリマー結合型磁石からなる、請求項1〜12のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項14】
前記薄板(21)は可撓性である、請求項1〜13のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【請求項15】
前記インダクタ装置は、電子ウェアラブルデバイス、仮想現実眼鏡、遠隔制御、遠隔制御グローブ、スマートウォッチ、ヘルメット、タブレット、スマートフォン、スマートファブリックから選択される装置に含まれる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のインダクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタ装置に関する。上記インダクタ装置は、磁気コアと、上記磁気コアを支持する電気絶縁支持体と、相互に直交して配置された、上記磁気コアを囲んで巻回された3つの導線の巻線とを含む。
【0002】
アンテナ、特に低周波の送信又は受信アンテナは、上述のインダクタ装置を用いて構築されうる。上記アンテナの好ましい使用は、例えば、仮想現実システム(そこでは、電磁システムが、正確な相対位置における及びその3つの空間座標成分における実際の動き、速度、及び加速度を有する物理的世界の実際の対象物を仮想(又はデジタル)世界内に置く能力を有していなければならない)において使用されるような精密な制御を必要とする対象物の位置と動きとを検出、及び/又は送信することである。この目的は、低周波インダクタの磁界誘導ユニットによって誘起される電圧の応答が、磁界源に対するその相対位置に正比例するという原理に基づいて達成されうる。
【0003】
3軸の磁気インダクタ又はセンサを形成する本発明のインダクタ装置は、等方的であり、一定の周波数及び強度、並びに1つの同一コアを囲んで巻回された3つの直交コイル巻きにおける同一特性を有する標準的な電磁場を生成するように構成されうる。それにより、3つの直交軸に巻回された上記インダクタ又は構成要素に、源(位置指示)と3つの座標x、y、z(その関係が、ソース位置ベクトルに対する回転の角度を決定する)に対する相対距離に比例する絶対値を有する電圧を誘起することが可能である。提案されたインダクタは、それによりその3つの直交する巻線のベクトル誘導成分に対応する3次元において直交するベクトル基準系(R3)を生成する。この基準系に導入された他の受信インダクタは、そのベクトル距離に比例する電圧を各軸において受け取り、基準系に対するレセプタの回転角は、各軸の電圧とモジュール全体との間の比によって決定されうる。
【背景技術】
【0004】
最新技術においては、近接場における受信素子として使用される誘導性コンポーネントアプリケーション、またはNFC、RFID用の受信アンテナとして動作するときの低周波数アプリケーション、又は13.56MHz未満、特にかつ好ましくは、RFID、NFC及びEMトラッキングアプリケーション、並びにV2V通信のためのソリューション、又はLFアクティブアンテナのスマートフォンへの統合のためのソリューションをカバーする10KHZ〜134KHzの間の帯域における何らかの近接場通信アプリケーションが存在する。
【0005】
これらの既知のアンテナは、純粋に受動的な又は増幅された(アクティブな)送信又は受信アンテナであり、その性能はこれらのアプリケーションにおける最小限重量要件によって制限される。
【0006】
磁気コアのサイズ及び透磁率が大きいほど、同一の巻線の感度が大きくなることが知られている。誘導性デバイスは、その集積能力を最大にするために常に可能な限り小さくなる傾向があるので、デバイスの密度は増大する傾向がある。磁気コアの透磁率とその密度との間には直接的な相関があり、より高い密度を有する材料の透磁率が大きいことが知られている。したがって、Mn、Znからなる磁気コアは、初期透磁率が1000〜10000であり、密度は約4Tm/mである。一方、4%のFe、Si合金からなる磁気コアは、8Tm/mの密度で20000〜5000の透磁率を示し、最後に、ミューメタル、Fe、Niからなる磁気コアは、200000の透磁率を示し、9Tm/mに近い密度を有する。
【0007】
上記背景技術は、磁気コアの使用を可能な限り少なくすることであり、一般的に、構成要素又は送受信アンテナの制限要因は、その重量ではなく、体積及びサイズである。
【0008】
特許文献(US 4287809 (Honeywell))は、電磁場ベクトルを送信するための送信アンテナ、上記電磁場ベクトルを検知するための受信アンテナ、及び送信されかつ検知された電磁場ベクトルに依存するヘルメットの位置を含む配向を決定するための制御装置を含むヘルメットの位置を含む、配向を決定するための電磁気システムを開示している。この特許文献の図面の図3は、用いられる送信アンテナ及び受信アンテナの可能な実施形態を記載しており、3つの巻線が相互に直角に巻回されたフェライトコアを含むことが分かる。
【0009】
特許文献(US 4210859 (Technion Research))も同様に、3つの直交する巻線を有する3次元アンテナのための構造を記載しており、これは本発明において言及されたようなインダクタを提供するのに適している。図面の図17は、上述された直交する巻線を配置するための巻き上げチャネルを規定する、頂点に突起を有する立方体形状のインダクタの磁気コアの或る特定の実施形態を示している。
【0010】
一方、特許文献(EP 1315178 (ABB))は、絶縁性のプラスチック材料で形成された2つの中空半立方体形状の面に支持され、その頂点に隆起部が設けられた立方体形状コアと3つの直交する巻線とを含む電磁インダクタ構成を記載している。磁気コアは、相互に反対を向いた開放面を有するように配置された上記2つの半立方体形状の空洞の内側に配置されている。
【0011】
文献(WO 2016141373 A1)は、図12A図12Eに示された磁気コア重量の減少を目指した異なる構成を記載している。
【0012】
図12Bは、多積層平行薄板によって構成された磁気コアを示し、図12Dは孔を貫通する3つの直交する軸を有するソリッド磁気コアを示すが、提案された解決法のいずれもが、3つの直交する磁場に垂直な最大領域及び最小重量を提供するように最適化された磁気コアを提案していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、軽量構成のインダクタ装置に関しており、そこでは、重量の最適化が送受信アンテナとしての装置の能力を犠牲にせず、且つ比Q/重量及び感度/重量が最大化されている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記誘導性装置は、複合磁気コアを含み、磁気動作はモノリシック磁気コアの動作と同じ仕方で得られるが、この複合磁気コアは、入射磁界に対して最大断面を与えるが、残りの寸法における最小の厚さの、薄いプレートとも呼ばれる薄板形状の複数の個別の要素によって形成されている。
【0015】
6枚のこれら薄板の組み合わせは、立方体形状を形成でき、各薄板は、磁性材料の単一層、又は一緒に積み重ねられた磁性材料の複数の層である。
【0016】
本発明のインダクタ装置は、非常に軽量の3DコイルRFIDアンテナに適用されることさえもでき、例えば、質量が重要である信頼性の側面(例えば、振動抵抗又は落下試験)を改善する
【0017】
詳細には、軽量構成を有する提案されたインダクタ装置は、
・3対の平行な外面を有する直方体状の電気絶縁支持体であって、上記外面に垂直で相互に直交する1の軸、1の軸、及び1の軸を画定し、且つ3つの直交する外面の間の交点の各々を1つずつの8つの角として画定するもの、
・上記電気絶縁支持体によって支持された直方体状の磁気コア;
・相互に直交して配置され、上記磁気コアを取り囲んで上記3軸の周囲に巻回された3本の導線巻線、
を含んでいる。
【0018】
技術の現状から示された解決策とは異なり、本発明は、電気絶縁支持体、一般には立方体形状の支持体であって、同様に立方体形状の磁気コアを支持するものを提供する。
【0019】
上記電気絶縁支持体は、例えば、高精度の射出成形によって得ることができ、それは、磁気コアが正確に固定されうる高精度の電気絶縁支持体の獲得を可能にする。
【0020】
本発明はまた、以下の特徴:
・上記磁気コアは、薄板の3つの対で構成された中空の磁気コアであり、薄板の各対は、上記軸の一つに垂直で相互に対向した2枚の平行な薄板によって構成されている;
・各薄板は、磁性材料から成り、上記薄板の対向する側に2つの平行な主面を有し、上記主面は周縁領域によって取り囲まれ、上記薄板は、上記主面の1つを介して電気絶縁支持体に接触して取り付けられ、且つ上記周縁領域を介して周囲の直交する薄板と接触している;
を提供する。
【0021】
提案された発明によれば、磁気コアは6つの異なる薄板、好ましくは均一な厚さを有する平坦な薄板によって構成されている。薄板は相互に2枚ずつ対向しており、3対の薄板を形成し、薄板の各対の各薄板は、3つの直交する軸の1つに垂直であり、周囲の直交する薄板とその周縁領域により接触している。6枚の薄板の組み合わせにより、中空の内部を有する箱状の磁気コアが形成される。
【0022】
提案された中空コアの主面は、3つの直交する導線の巻線によって生成される各磁場に対して垂直な最大表面を提供し、高められた特性、特に、インダクタ装置が送信又は受信アンテナとして用いられた場合に、高い感度(これはアンテナ利得に比例する)を提供する。
【0023】
同時に、磁気コアの中空内部は、中実の磁気コアを有する同様のサイズのインダクタ装置と比較して、その性能に影響を与えることなくその重量を低減する。
【0024】
結果として、本発明は、重量/性能の最適化されかつ高い比を有するインダクタ装置を提供する。特に、ウェアラブルデバイスにおけるその使用のように、重量が関連する要因である或る用途において評価される。
【0025】
任意的に、薄板の周縁領域は、少なくとも部分的に面取り(角を斜めに削り取り加工)することができる。上記面取りされた周縁領域は、隣接する薄板の相補的に面取りされた周縁領域に取り付けられ得、それらの間の完全な接触を保証する。
【0026】
本発明の追加の実施形態によれば、
・上記電気絶縁支持体は、上記外面に平行である上記電気絶縁支持体の内面によって画定された直方体状の中空の内部チャンバを有し、
・上記薄板の1つを除く全部又は全てが、上記電気絶縁支持体の1つの内面に取り付けられた各薄板の1つの主面を有し、且つ
・上記導線の巻線は、上記電気絶縁支持体の上記外面の周囲に接触して巻回されている。
【0027】
すなわち、上記電気絶縁支持体は、上記電気絶縁支持体の上記外面と上記内面との間に画定された、一定幅の壁によって囲まれている内部チャンバを画定する中空である。上記磁気コアの上記薄板のうちの1つを除いた全部又は全てが、上記電気絶縁支持体の1つの内面に取り付けられた1つの主面を有している。
【0028】
この場合、上記電気絶縁支持体の内部チャンバは、好ましく上記電気絶縁支持体の少なくとも一方の外面に形成されたアクセス開口部を介してアクセス可能であり、上記中空内部チャンバと少なくとも同じサイズのアクセス開口部であり、その中に薄板を導入することができる。任意選択的に、アクセス開口部は、電気絶縁性の蓋によって閉じられている。
【0029】
上記電気絶縁支持体は、中空の内部チャンバの一部分を収容する第1の部分的電気絶縁支持体と、上記中空の内部チャンバの残部を収容する第2の部分的電気絶縁支持体とにより構成され得ることも提案されている。
【0030】
第1及び第2の部分的電気絶縁支持体の両方のアセンブリは、中空の電気絶縁支持体を形成する。第1及び第2の部分的電気絶縁支持体の両方を分解する場合に、中空の内部チャンバは、構成された磁気コアを構成する薄板の導入のためにアクセス可能である。
【0031】
電気絶縁支持体の4つの外面と内面とは、第1と第2の部分的電気絶縁支持体との間で分割されうる。
【0032】
代わりに、電気絶縁支持体の3つ又は4つの外面と内面とは、第1の部分的電気絶縁支持体に完全に含まれることができ、電気絶縁支持体の他の2つ又は3つの外面と内面とは、第2の部分的電気絶縁支持体に完全に含まれることができる。
【0033】
上記電気絶縁支持体が中空であり上記磁気コアを含むこれらの実施形態によれば、上記電気絶縁支持体は、上記電気絶縁支持体の8つの角に8つの角突出部を含むことができ、各巻線制限面は、各角突出部の間に巻線チャネルを画定する別の角突出部の巻線制限面に対向している。上記巻線は、上記電気絶縁支持体の周囲に均一で反復的な巻線対称性を保証する上記巻線チャネル内に巻回される。上記巻線チャネルは、上記電気絶縁支持体上の自動高速巻き工程において巻線の螺旋を固定することを可能にする。
【0034】
代わりに、電気絶縁支持体は、電気絶縁支持体の外面の1つを取り囲む4つの角に、好ましくはアクセス開口部が画定される外面に対向する外面を取り囲む4つの角に4つの角突出部のみを有している。4つの角突出部のみを有する電気絶縁支持体は、2部分成型品に容易に成形され且つ2部分成型品から容易に型を外すことができ、その製造がより容易で安価である。
【0035】
本発明の別の実施形態によれば、各薄板の1つの主面は、電気絶縁支持体の外面に取り付けられ、上記磁気コアを形成する薄板を有する上記電気絶縁支持体を取り囲んでいる。導線の巻線は、磁気コアの主面の周囲に接触して巻回され、上記電気絶縁支持体には取り付けられていない。
【0036】
この場合、以下のことも提案される:
・上記電気絶縁支持体は、上記電気絶縁支持体の上記外面の1つを取り囲む少なくとも4つの角に4つの角突出部を含むか、又は上記電気絶縁支持体の8つの角に8つの角突出部を含み、各角突出部は、上記角に一致した上記直交する外面に垂直な巻線制限面を含み、且つそれらの間に巻線チャネルを画定する別の角突出部の巻線制限面と対向し、そして、
・上記薄板は、上記角突出部に相補的なその周縁領域上に切り欠きを含み、上記角突出部(13)は、上記磁気コア(20)から突出している。
【0037】
この実施形態によれば、上記4つ又は8つの角突出部が、上記電気絶縁支持体を取り囲む薄板に画定された切り欠きを通って磁気コアから突出し、巻線が周囲に巻回される薄板の主面を含む巻線チャネルを画定する。
【0038】
上述したように、4つのみのコーナー突出部を有する解決策は容易に製造されうる。
【0039】
各薄板は多層薄板であり、各層は磁性材料で作られることも提案されている。
【0040】
各薄板を構成する磁性材料は、フェライト、結晶金属合金、ナノ結晶金属合金、アモルファス金属合金、又はポリマー結合型磁石(PBM)で作ることができる。
【0041】
別の実施形態において、上記薄板は可撓性であり、可撓性材料で作られている。
【0042】
好ましくは、上記インダクタ装置は、電子ウェアラブルデバイス、仮想現実眼鏡、遠隔制御、遠隔制御グローブ、スマートウォッチ、ヘルメット、タブレット、スマートフォン、スマートファブリックから選択される装置に含まれる。
【0043】
1の好ましい実施形態において、すべての薄板は正方形の形状であり、等しいサイズ、等しい厚さ及び等しい透磁率を有し、すべての巻線は互いに等しく、等価なインダクタを生成する。
【0044】
代わりに、上記薄板は、正方形の形状又は長方形の形状であり、及び/又は互いに異なる厚さ及び/又は異なる透磁率を有し、及び/又は巻線が互いに異なる。これらのパラメータのうちの1つだけが異なる場合には、インダクタ装置は、等価なインダクタではなく、複数のパラメータが互いに異なる場合には、インダクタ装置は、等価なインダクタを得るように構成されうる。
【0045】
例えば、平方形状ではない磁気コアは、一部の薄板のより小さいサイズが、厚さの増加、透磁率の増加、又は異なる軸上の異なる巻線の使用によって補償された場合に、等価な平面インダクタを生成することができ、引用された不規則性にもかかわらず、インダクタの等価な挙動を達成する。
【0046】
好ましくは、上記磁気コアを構成する上記薄板は、0.5mm以下の厚さを有する。
【0047】
本発明の別の特徴は、以下の実施形態の詳細な説明から明らかになろう。
【0048】
前述の、並びに別の、利点及び特徴は、限定的にではなく例示的に示された添付図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】第1実施形態による分解斜視図である。ここでは、電気絶縁支持体が中空であり且つ8つの立方体形状の角突出部を含み、中空の磁気コアを構成する薄板は、等方性インダクタを画定する正方形の形状であり、中空の電気絶縁支持体の内部チャンバ内に挿入されるように構成され、上記薄板はまた分解配列で示され、上記電気絶縁支持体はその周囲に巻回された1つの巻線を含んでいる。
図2】第2の実施形態による斜視図である。ここでは、電気絶縁支持体は、第1の実施形態と同様にやはり中空であるが、4つの角突出部のみを含んでいる。本実施形態においては、磁気コアを構成する6つの薄板(中空の電気絶縁支持体の内部チャンバ内に含まれるように構成されている)は、立方体形状及び中空の磁気コアを画定する、組み立てられた構成で示されている。
図3】第3の実施形態による斜視図である。ここでは、電気絶縁支持体はやはり中空であるが、本電気絶縁支持体は2つの対称な半体で構成され、磁気コアは、分解配列として本図で示されたように6枚の薄板により構成され、中空の電気絶縁支持体の内部チャンバ内に含まれるように構成されている。
図4】第4の実施形態による斜視図である。ここでは、電気絶縁支持体の周囲に分解配列で示されている薄板が、各角に四角形の切り欠きを有する正方形の形状の薄板であり、電気絶縁支持体は、各薄板がこの電気絶縁支持体の1つの外面に取り付けられうるように、この薄板の四角形の切り欠きに相補的である8つの立方体形状の角突出部を含んでおり、1つの角突出部は、上記薄板の各四角形の切り欠きに収容され上記薄板から突出している。
図5】先の実施形態のいずれかによる完成したインダクタ装置の斜視図である。ここでは、3つの巻線は、電気絶縁支持体の角突出部の間に画定された巻線チャネル内に、相互に直交して磁気コアの周囲に巻回されている。
【発明を実施するための形態】
【0050】
前述の並びに別の、利点及び特徴は、限定的にではなく例示的に示された添付の図面を参照して、以下の実施形態の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【0051】
図1及び図2は、本発明の第1及び第2の実施形態を示しており、そこでは、電気絶縁支持体10(プラスチック製の)は、立方体形状及び3つの直交する軸X、Y、及びZを画定する3対の正方形の形状の外面11を有している。
【0052】
上記電気絶縁支持体10は、中空であり、上記外面11のうちの1つに画定されたアクセス開口部を通してアクセス可能な内部チャンバを画定している。この内部チャンバは、上記外面11に平行な、電気絶縁支持体10の5つの内面12の間に画定されている。
【0053】
アクセス開口部は、内部チャンバと同じサイズを有し、したがって、内面12の1つは、アクセス開口部に対応している。
【0054】
中空の立方体形状磁気コア20は、上記内部チャンバ内に嵌合されている。上記磁気コア20は、3対で配設された6枚の正方形の形状の薄板21によって構成されており、これら薄板の各対は、別の薄板の対に対して直交し且つ相互に対面する2枚の平行な薄板を含んでいる。
【0055】
各薄板は、磁性材料からなり、一定の厚さ(例えば0.5mm以下)を有し、周縁領域23によって取り囲まれた2つの対向する平らな主面22を有する。
【0056】
上記6枚の薄板は、電気絶縁支持体10の内部チャンバ内に嵌合されており、各薄板21は、電気絶縁支持体10の1つの内面12に取り付けられた主面22を有し、取り囲む薄板21の周縁領域23と接触する1つの周縁領域23を有している。
【0057】
上記薄板21の上記周縁領域23は、周囲の薄板21との接触が各薄板21の上記面取りされた周縁領域23を介して生成されるであろうように面取りされうる。あるいは、上記周縁領域23は、薄板21の主面22と同一平面上の周縁領域23が、隣接する薄板21の主面22に対して垂直な周縁領域23と接触しうるように、或る場合には、薄板21の主面22と同一平面上にあり得、かつ別の場合には、平坦縁における薄板21の主面22に対して垂直でありうる。
【0058】
薄板21のこの配置は、電気絶縁支持体10内に嵌め込まれた立方体の中空磁気コア20を画定する。
【0059】
任意的に、アクセス開口部は、電気絶縁性の蓋で封止され得、該蓋は、磁気コア20を覆う電気絶縁支持体10のアクセス開口部に注がれ硬化させられた、例えば、プラスチック薄板、又は樹脂、又はポリマーでありうる。
【0060】
磁気コア20が電気絶縁支持体10の内部チャンバ内に嵌め込まれると、3つの巻線DX、DY、DZは、3つの直交する軸の回りに巻回され、磁気コア20を取り囲む電気絶縁支持体10の外面11上に支持される。これらの巻線は、図5に示されるように相互に直交している。
【0061】
さらに、電気絶縁支持体10は、その角に角突出部13を含みうる。ここで、電気絶縁支持体10の3つの直交する外面11は互いに交差する。好ましくは、上記角突出部13は、電気絶縁支持体10の8つの角に含まれうるが、4つの角突出部13のみが、アクセス開口部から間隔を空けられ内部チャンバの方への、電気絶縁支持体10の角に含まれることもまた可能である。この解決策はキャスト内での製造が容易である。
【0062】
これらの実施形態において、角突出部13は立方体形状であり、各角突出部13は、電気絶縁支持体10の外面11に対して垂直である巻線制限面14を含む。各巻線制限面14は、巻線DX、DY、及びDZが巻回され得る間の巻線チャネルを画定する別の角突出部13の平行な巻線制限面に対向している。上記角突出部13は、巻線の正確な位置決めを助け、正確な自動巻きを可能にする。
【0063】
巻線制限面を有し且つ立方体形状以外の形状を有する角突出部13も考えられる。
【0064】
図3に示された本発明の第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態と類似であり、上記第1及び第2の実施形態と同じ磁気コア20及び同じ角突出部13を有している。勿論、角突出部13は本実施形態の任意的な特徴である。
【0065】
しかし、この第3の実施形態の電気絶縁支持体10は、第1の部分的電気絶縁支持体15(これは、中空の内部チャンバの一部分を含む)と、第2の部分的電気絶縁支持体16(これは、該中空の内部チャンバの残り部分を含む)とによって構成されることが提案されている。
【0066】
本実施形態においては、この第1及び第2の部分的電気絶縁支持体15、16は対称であり、電気絶縁支持体10の4つの外面11及び4つの内面12は又、第1と第2の部分的電気絶縁支持体10との間で分割されている。図面には示されていない上の別の実施形態が考えられるにもかかわらず、例えば、第1の部分的電気絶縁支持体15の1つは、相互に直交する3つの完全な外面11、及び対応する3つの内面12を含み、そして第2の部分的電気絶縁支持体16は、相互に直交する別の3つの完全な外面11を含んでいる。
【0067】
上記第1及び第2の部分的電気絶縁支持体15、16が互いに分離された場合に、電気絶縁支持体10の内部チャンバは、磁気コア20をその中に挿入するためにアクセス可能である。磁気コア20が内部チャンバに一度嵌め込まれると、第1及び第2の部分的電気絶縁支持体15及び16は、上記第1及び第2の部分的電気絶縁支持体15、16の各々に含まれた内部チャンバの複数の部分を互いに対向させて整列するように一緒に結合されうる。上記の結合の故に、磁気コア20が完全に収容されて分離される電気絶縁支持体10が得られる。
【0068】
3つの直交する巻線DX、DY、DZは、電気絶縁支持体10の外面11に支持された磁気コア20の周囲に巻かれうる。
【0069】
図4は、本発明の第4の実施形態を示しており、本形態は、電気絶縁支持体10が、6つの外面11を規定する立方体形状であり、そして磁気コア20を構成する6枚の薄板21が電気絶縁支持体10を取り囲むように取り付けられ、各薄板21は、電気絶縁支持体10の一方の外面11に取り付けられた主面22を有する。
【0070】
各薄板は、磁性材料から作られ、一定の厚さ(例えば0.5mm以下)を有し、周縁領域23によって取り囲まれた2つの対向する平らな主面22を有する。
【0071】
上記6つの薄板は、電気絶縁支持体10を取り囲んで取り付けられ、各薄板21は周囲の薄板21の周縁領域23と接触する1つの周縁領域23を有する。上記薄板21の上記周縁領域23は、周囲の薄板21との接触が、各薄板21の上記面取りした周縁領域23を介して生成されるように面取りされうる。
【0072】
この第4の実施形態によれば、3つの直交する巻線DX、DY、DZは、薄板21に直接に支持されている。この場合、巻線は孤立したコイルからなることが好ましい。
【0073】
この実施形態において、電気絶縁支持体10は、その重量を減少させるために中空でありうるが、そのことはプラスチックの重量が磁性材料の重量よりもより軽いので必須ではない。
【0074】
好ましくは、この第4の実施形態の電気絶縁支持体10はまた、先の実施形態において画定されたそれら角突出部に類似の角突出部13を有する。この場合、磁気コア20を構成する薄板21は、角に切り欠きを含み、上記切り欠きは電気絶縁支持体10の角突出部13と相補的であり、その結果、薄板21が電気絶縁支持体10の回りに取り付けられている場合に、角突出部13は、上記薄板21と干渉せず、薄板21の外側主面22上の巻線チャネルを画定する磁気コア20から突出する。
【0075】
図5に示されたように磁気コアの周囲に巻線DX、DY、及びDZを巻回すことは、第1、第2、第3、又は第4の実施形態におけると同様なインダクタ装置を形成する。唯一の相違点は、第1、第2、及び第3の実施形態においては、巻線DX、DY、及びDZは電気絶縁支持体10に支持されているが、第4の実施形態においては、巻線DX、DY、DZは磁気コア20に直接に支持されていることである。
【0076】
第2の実施形態から得られるインダクタ装置は、4つの角突出部13のみを有する。この場合、一時的な巻線チャネルを画定するために、巻線動作中に4つの仮の取り外し可能な角突出部を取り付けることが提案されている。
【0077】
当業者には理解されるように、本発明の何れの実施形態も、本特許出願の保護の範囲を逸脱することなく、非立方体形状のみならず、角柱形状を有するように適合させうる。
【0078】
上記非立方体形状の構成は、非等長性のインダクタ装置を提供することができるが、等長のインダクタ装置(例えば、平面的等長装置)を提供することもできる。これにより、相互に補償し合う少なくとも2つの非対称性を生成することを実現しうる。
【0079】
例えば、薄板21の1対が正方形の形状であり、且つ他の薄板21が長方形の形状である場合に、薄板21の異なる厚さや、薄板21の異なる透磁率や、又は異なる巻線の異なる巻数さえも用いることによって、薄板21の異なる形状によって生み出される差異を補償することができ、等長性インダクタ装置を提供することができる。
【0080】
本発明の1の実施形態の様々な部分は、他の実施形態に記載された部分と自由に組み合わせることができ、そのような組み合わせに害がない限り、明示的に記載されていない組み合わせであってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
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