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特開2019-96980電話システム、電話制御装置、およびIP内線端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-96980(P2019-96980A)
(43)【公開日】2019年6月20日
(54)【発明の名称】電話システム、電話制御装置、およびIP内線端末
(51)【国際特許分類】
   H04Q 3/58 20060101AFI20190530BHJP
   H04M 3/42 20060101ALI20190530BHJP
【FI】
   H04Q3/58 101
   H04M3/42 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-223359(P2017-223359)
(22)【出願日】2017年11月21日
(71)【出願人】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 孝
【テーマコード(参考)】
5K049
5K201
【Fターム(参考)】
5K049BB15
5K049BB23
5K049CC01
5K049CC04
5K049GG05
5K049KK02
5K201AA05
5K201BC15
5K201CA02
5K201CB05
5K201CB09
5K201CB15
5K201CD09
5K201EA01
5K201EA05
5K201EC03
5K201ED02
5K201EE01
5K201EF09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】取次先のIP内線端末で取次対象となるパーク保留を識別表示する。
【解決手段】電話システム1において、電話制御装置10の呼制御部15が、外線通話中にパーク保留操作が行われた取次元端末から送信された、取次先端末を呼出先とする内線発信メッセージに応じて、取次元端末で行われたパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを取次先端末へ送信し、IP内線端末20の端末制御部26が、電話制御装置10から送信された内線着信メッセージからパーク保留識別情報を抽出し、当該パーク保留識別情報で取次対象として指定されたパーク保留に関する表示部23での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のIP内線端末と、通信回線を介してこれらIP内線端末を内線収容する電話制御装置とを備え、前記電話制御装置が、呼制御プロトコルに基づいて前記複数のIP内線端末との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、任意のIP内線端末でパーク保留された外線を、IP内線端末間の内線呼出を用いて他のIP内線端末に取り次ぐ電話システムであって、
前記電話制御装置は、前記複数のIP内線端末のうち外線通話中にパーク保留操作が行われた取次元端末から送信された、取次先端末を呼出先とする内線発信メッセージに応じて、前記取次元端末で行われたパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを前記取次先端末へ送信する呼制御部を備え、
前記複数のIP内線端末は、
前記電話制御装置でパーク保留されている外線に関する保留表示を行う表示部と、
前記電話制御装置から送信された前記内線着信メッセージから前記パーク保留識別情報を抽出し、当該パーク保留識別情報で取次対象として指定されたパーク保留に関する前記表示部での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替える端末制御部とを備える
ことを特徴とする電話システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電話システムにおいて、
前記端末制御部は、外線通話中におけるパーク保留操作後の取次先端末を呼出先とする内線発信操作に応じて、自端末で行ったパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線発信メッセージを送信し、
前記呼制御部は、前記内線着信メッセージを送信する際、前記内線発信メッセージで通知された前記パーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを前記取次先端末へ送信する
ことを特徴とする電話システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電話システムで用いられる電話制御装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の電話システムで用いられるIP内線端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取次先のIP内線端末で取次対象となるパーク保留を識別表示するための保留制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムでは、外線着信に取次元の内線端末で応答して取次先の内線端末へ取り次ぐ方法の1つとして、パーク保留を利用する方法がある。パーク保留とは、通話中の外線を電話制御装置で保留する際、保留した外線ごとに個別のパーク保留番号を付与しておき、保留した外線を再捕捉して外線通話を再開する際、パーク保留番号を指定して保留解除する外線保留方式である。これにより、外線と保留との対応関係が固定的ではなくなるため、各内線端末にすべての外線キーが設けられていなくても、パーク保留番号を指定すれば任意の内線端末で任意のパーク保留中外線を再捕捉することが可能となる。
【0003】
したがって、パーク保留を利用して外線着信を取り次ぐ場合、具体的には次のような手順となる。まず、取次元利用者が発信者から取次先を確認して、発信者との外線通話を取次元端末でパーク保留した後、取次元端末から取次先端末を内線呼出する。次に、取次元利用者が、取次先利用者との内線通話により発信者からの着信を取り次ぐとともにパーク保留番号を通知する。この後、取次先利用者が、取次元端末でパーク保留中外線のうちからパーク保留番号に対応する外線を保留解除して再捕捉する。これにより、取次先利用者が発信者と通話可能となる。
【0004】
従来、このような複数の外線がパーク保留されている状態で、取次先利用者が保留解除すべき外線を取次先端末で識別表示する技術が提案されている(例えば、特許文献1など参照)。この技術は、取次元端末で外線をパーク保留して取次先端末を内線呼出した際、これら取次対象の外線と取次先端末との対応関係を電話制御装置で記憶しておき、取次先端末での特定操作に応じて、電話制御装置が記憶しておいた取次先端末に関する対応関係に基づいて、取次先端末における取次対象の外線について他の保留とは異なる保留表示を行うようにしたものである。これにより、取次対象となるパーク保留が取次先端末で識別して表示されることになり、取次時における利用者の操作誤りを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−080492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来技術は、内線端末が電話システム専用の内線電話機であって、電話制御装置が専用の制御用プロトコルを用いて各内線端末の動作を制御することを前提としている。このため、電話制御装置から各内線端末に対して、任意のタイミングで任意の保留表示を変更することが可能である。
【0007】
一方、内線端末がIP内線端末である場合、電話制御装置は、SIP(Session Initiation Protocol)などの汎用の呼制御プロトコルを用いて呼制御メッセージをやり取りすることにより、各IP内線端末の動作を制御することになる。
しかしながら、このような呼制御プロトコルには、任意のタイミングで任意の保留表示を変更するための呼制御メッセージは用意されていない。このため、例えばSIPでは、特定の呼制御メッセージ(NOTIFY)を用いて、任意のIP内線端末におけるパーク保留の開始/終了を各IP内線端末に通知することができるものの、他のIP内線端末でパーク保留が開始/終了されたことしか表示することができない。
【0008】
したがって、このような呼制御プロトコルによれば、パーク保留を利用して外線着信を取り次ぐ際、取次元端末から取次先端末を内線呼出するタイミングなど、パーク保留の開始/終了タイミングとは異なる任意のタイミングで、取次先端末における取次対象の外線に関する保留表示のみを、他とは異なる保留表示に変更することはできない。このため、取次先端末で取次対象となるパーク保留を識別表示できないという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、取次先のIP内線端末で取次対象となるパーク保留を識別表示できる保留制御技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話システムは、複数のIP内線端末と、通信回線を介してこれらIP内線端末を内線収容する電話制御装置とを備え、前記電話制御装置が、呼制御プロトコルに基づいて前記複数のIP内線端末との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、任意のIP内線端末でパーク保留された外線を、IP内線端末間の内線呼出を用いて他のIP内線端末に取り次ぐ電話システムであって、前記電話制御装置は、前記複数のIP内線端末のうち外線通話中にパーク保留操作が行われた取次元端末から送信された、取次先端末を呼出先とする内線発信メッセージに応じて、前記取次元端末で行われたパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを前記取次先端末へ送信する呼制御部を備え、前記複数のIP内線端末は、前記電話制御装置でパーク保留されている外線に関する保留表示を行う表示部と、前記電話制御装置から送信された前記内線着信メッセージから前記パーク保留識別情報を抽出し、当該パーク保留識別情報で取次対象として指定されたパーク保留に関する前記表示部での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替える端末制御部とを備えている。
【0011】
また、本発明にかかる上記電話システムの一構成例は、前記端末制御部が、外線通話中におけるパーク保留操作後の取次先端末を呼出先とする内線発信操作に応じて、自端末で行ったパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線発信メッセージを送信し、前記呼制御部は、前記内線着信メッセージを送信する際、前記内線発信メッセージで通知された前記パーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを前記取次先端末へ送信するようにしたものである。
【0012】
また、本発明にかかる電話制御装置は、前述した電話システムで用いられる電話制御装置である。
また、本発明にかかるIP内線端末は、前述した電話システムで用いられるIP内線端末である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、外線通話を取り次ぐ際、取次元端末から取次先端末を内線呼出するタイミングで、内線着信メッセージに含まれるパーク保留識別情報に基づいて、取次先端末における保留表示のうち、取次対象として指定されたパーク保留に関する保留表示が、取次対象を示す保留表示に切り替えられることになる。
したがって、内線端末が、任意のタイミングで任意の保留表示を変更するための呼制御メッセージは用意されていない呼制御プロトコルを用いるIP内線端末であっても、取次対象となるパーク保留を取次先端末で識別表示することができ、取次時における利用者の操作誤りを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】電話システムの構成を示すブロック図である。
図2】取次動作を示すシーケンス図である。
図3】取次動作(続き)を示すシーケンス図である。
図4】内線発信メッセージに対するパーク保留識別情報の格納例である。
図5】取次先端末でのパーク保留表示の切替例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[電話システム]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話システム1について説明する。図1は、電話システムの構成を示すブロック図である。
この電話システム1は、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムからなり、電話制御装置10と複数のIP内線端末20とを備えている。
【0016】
電話制御装置10は、全体としてビジネスホンシステムの主装置やPBXシステムのPBX装置からなり、通信回線Lを介して内線収容した複数のIP内線端末20との間で、SIP(Session Initiation Protocol)などの汎用の呼制御プロトコルを用いて呼制御メッセージをやり取りして、各IP内線端末20の動作を制御することにより、電話網NWに交換接続する機能と、任意のIP内線端末20でパーク保留された外線を、IP内線端末20間の内線呼出を用いて他のIP内線端末20に取り次ぐ機能とを有している。
【0017】
IP内線端末20は、ビジネスホンシステムやPBXシステムなどの電話システムで内線電話機として用いられるIP電話端末であり、電話制御装置10でパーク保留されている外線に関する保留表示を行う表示機能を有している。
【0018】
電話網NWは、次世代網(NGN:Next Generation Network)のほか、ISDN(Integrated Services Digital Network)、PSTN(Public Switched Telephone Network)、携帯電話網などの既存の電話網である。本実施の形態では、電話網NWがIP電話網からなり、呼制御プロトコルとしてSIPが用いられる場合を例として説明する。
相手端末30は、電話網NWに接続された一般的な電話機であり、電話網NWを介して電話制御装置10に収容されている任意のIP内線端末20と音声通話を行う機能を有している。
【0019】
[電話制御装置]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかる電話制御装置10について説明する。
電話制御装置10は、主な機能部として、網I/F部11、内線I/F部12、スイッチ部13、記憶部14、および呼制御部15を備えている。これら機能部のうち、呼制御部15は、CPUと記憶部14のプログラム(図示せず)とが協働することにより実現されている。
【0020】
網I/F部11は、電話網NWとの間で呼制御メッセージ(呼制御信号)や音声データ(音声信号)をやり取りする機能を有している。
内線I/F部12は、通信回線Lを介してIP内線端末20との間で、SIPに基づく呼制御メッセージや音声データをやり取りする機能を有している。
【0021】
スイッチ部13は、呼制御部15からの指示に応じて、網I/F部11の通話路と内線I/F部12の通話路とを交換接続する機能を有している。
記憶部14は、ハードディスクや半導体メモリなどの記憶装置からなり、電話制御装置10における各種処理に用いる処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
【0022】
呼制御部15は、SIPに基づいて各IP内線端末20との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより、各IP内線端末20の動作を制御する機能と、取次元となる任意のIP内線端末20でパーク保留された外線を、IP内線端末20間の内線呼出を用いて、取次先となる他のIP内線端末20に取り次ぐ機能とを有している。
【0023】
また、呼制御部15は、取次の際、外線通話中にパーク保留操作が行われた取次元端末から送信された、取次先端末を呼出先とする内線発信メッセージに応じて、取次元端末で行われたパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを取次先端末へ送信する機能と、内線着信メッセージを送信する際、内線発信メッセージで通知されたパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを取次先端末へ送信する機能とを有している。
【0024】
[IP電内線話端末]
次に、図1を参照して、本実施の形態にかかるIP内線端末20について説明する。
IP内線端末20は、主な機能部として、通信I/F部21、操作入力部22、表示部23、音声処理部24、記憶部25、および端末制御部26を備えている。これら機能部のうち、端末制御部26は、CPUと記憶部25のプログラム(図示せず)とが協働することにより実現されている。
【0025】
通信I/F部21は、通信回線Lを介して電話制御装置10との間で、SIPに基づく呼制御メッセージや音声データをやり取りする機能を有している。
操作入力部22は、ダイヤルキーのほか、外線キーやパーク保留キーなどの各種機能キー、スイッチ、タッチパネルなどの操作入力装置からなり、利用者の操作を検出する機能を有している。
【0026】
表示部23は、LEDやLCDなどの表示装置からなり、自端末の端末動作状態や電話システム1のシステム動作状態を表示する機能と、システム動作状態の1つとして、電話制御装置10でパーク保留されている外線に関する保留表示を、パーク保留表示素子で切替表示する機能とを有している。
パーク保留表示素子は、予め電話制御装置10に設けられているパーク保留数分だけ設けられており、個々の保留表示ごとに複数の異なる表示状態を切り替えることができる。例えば、表示状態をLEDの表示色で識別表示する場合、電話制御装置10で最大3つのパーク保留が可能である場合には、各IP内線端末20に設けられている3つのLEDがパーク保留表示素子として用いられる。
【0027】
また、これらLEDの表示色を切り替えられる場合、自端末で保留したパーク保留、すなわち自己パーク保留表示については、緑色点滅で識別表示し、他端末で保留したパーク保留、すなわち他者パーク保留表示については、赤色点滅で識別表示すればよい。また、取次対象を示す取次対象パーク保留表示については、自己パーク保留表示を用いてもよく、赤色と緑色を同時点滅させた黄色点滅など、自己パーク保留表示や他者パーク保留表示とは異なる識別表示を用いてもよい。なお、識別表示は、表示色に限定されるものではなく、点灯/点滅や、点滅速度など、各種表示方法で識別表示してもよい。
【0028】
音声処理部24は、コーデックなどの音声処理回路からなり、通信I/F部21から入力された音声データを復号して得られた音声信号をスピーカ(図示せず)から出力する機能と、マイク(図示せず)から入力された音声信号を音声データに符号化して通信I/F部21へ出力する機能とを有している。
記憶部25は、半導体メモリなどの記憶装置からなり、端末制御部26での制御に用いる各種処理データやプログラムを記憶する機能を有している。
【0029】
端末制御部26は、SIPに基づいて電話制御装置10との間で呼制御メッセージをやり取りすることにより自端末の動作を制御する機能と、電話制御装置10から送信された内線着信メッセージからパーク保留識別情報を抽出し、当該パーク保留識別情報で取次対象として指定されたパーク保留に関する表示部23での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替える機能と、外線通話中におけるパーク保留操作後の取次先端末を呼出先とする内線発信操作に応じて、自端末で行ったパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線発信メッセージを送信する機能とを有している。
【0030】
[本実施の形態の動作]
次に、図2および図3を参照して、本実施形態にかかる電話システム1の取次動作について説明する。図2は、取次動作を示すシーケンス図である。図3は、取次動作(続き)を示すシーケンス図である。
ここでは、IP内線端末20のうち、取次元端末であるIP内線端末20Aが電話網NWを介して相手端末30と通話中にパーク保留した外線を、取次先端末であるIP内線端末20Bに取り次ぐ場合を例として説明する。なお、図2に示した、IP内線端末20Aと相手端末30との間でやり取りする呼制御メッセージは、電話網NWを介してやり取りされるものとする。
【0031】
まず、図2に示すように、IP内線端末20Aの端末制御部26は、電話網NWを介して相手端末30と外線通話している際に(ステップ100)、操作入力部22でパーク保留操作が検出された場合(ステップ101)、電話制御装置10に対してパーク保留メッセージ(REFER)をする(ステップ102)。
【0032】
電話制御装置10の呼制御部15は、IP内線端末20Aから上記パーク保留メッセージを受信した場合、受付メッセージを返送する(ステップ103)。
端末制御部26は、電話制御装置10から上記受付メッセージを受信した場合、パーク保留一次受付メッセージ(NOTIFY/100 Trying)を返送する(ステップ104)。
【0033】
この後、呼制御部15は、相手端末30から上記確認メッセージを受信した場合、IP内線端末20Aに対して通話切断メッセージ(BYE)を送信する(ステップ110)。
IP内線端末20Aの端末制御部26は、電話制御装置10からの上記通話切断メッセージに応じて、電話制御装置10を介した相手端末30との外線通話を切断し(ステップ111)、切断完了メッセージを返送する(ステップ112)。
【0034】
呼制御部15は、IP内線端末20Aから上記切断完了メッセージを受信した場合、各IP内線端末20のそれぞれに対して、新たに発生したパーク保留を識別するためのパーク保留識別情報を含むパーク保留通知メッセージ(NOTIFY/confirmed)を送信することにより、新たなパーク保留の発生を通知する。パーク保留識別情報については、電話制御装置10で付与した、各パーク保留に固有のパーク保留番号(スロット番号)や、当該パーク保留の対象となる外線に固有の外線ID(呼ID)を用いればよい。
【0035】
これにより、IP内線端末20Aの端末制御部26は、電話制御装置10からのパーク保留通知メッセージを受信した場合(ステップ120)、当該パーク保留通知メッセージに含まれるパーク保留識別情報が自端末でパーク保留したものを示すかどうか判定する(ステップ122)。
【0036】
ここで、IP内線端末20Aでは、パーク保留通知メッセージに含まれるパーク保留識別情報が自端末でパーク保留したものを示すことになるため、IP内線端末20Aの端末制御部26は、表示部23に設けられている各パーク保留に関する保留表示のうち、対応するパーク保留の保留表示を自己パーク保留表示で識別表示し(ステップ123)、通知受付メッセージを返送する(ステップ124)。
【0037】
また、IP内線端末20Bの端末制御部26は、電話制御装置10からのパーク保留通知メッセージを受信した場合(ステップ121)、当該パーク保留通知メッセージに含まれるパーク保留識別情報が自端末でパーク保留したものを示すかどうか判定する(ステップ125)。
【0038】
ここで、IP内線端末20Bでは、パーク保留を行っていないため、パーク保留通知メッセージに含まれるパーク保留識別情報が自端末でパーク保留したものを示すことにはならない。このため、IP内線端末20Bの端末制御部26は、表示部23に設けられている各パーク保留に関する保留表示のうち、対応するパーク保留の保留表示を他者パーク保留表示で識別表示し(ステップ126)、通知受付メッセージを返送する(ステップ127)。
【0039】
この後、図3に示すように、取次元となるIP内線端末20Aの端末制御部26が、操作入力部22で内線発信操作を検出した場合(ステップ140)、内線発信操作で指定されたIP内線端末20Bを呼出先(取次先)とする内線発信メッセージに、自端末で保留したパーク保留に関するパーク保留識別情報を格納した後(ステップ141)、電話制御装置10へ送信する(ステップ142)。
なお、自端末で保留したパーク保留が存在しない場合には、通常の内線発信と同様に、パーク保留識別情報が格納されていない内線発信メッセージが電話制御装置10へ送信される。
【0040】
電話制御装置10の呼制御部15は、IP内線端末20Aから内線発信メッセージ(INVITE)を受信した場合、一次応答(100 Trying)を返送する(ステップ143)。
また、呼制御部15は、受信した内線発信メッセージに基づいて、当該内線発信メッセージで通知されたパーク保留識別情報を含み、IP内線端末20Bを呼出先とする内線着信メッセージ(INVITE)を生成し(ステップ144)、IP内線端末20Bへ送信する(ステップ145)。
【0041】
図4は、内線発信メッセージに対するパーク保留識別情報の格納例である。ここでは、SIPのINVITEメッセージからなる内線発信メッセージが示されている。内線発信メッセージのうち、ボディ部(Message Body)には、情報要素の1つであるセッション名(Session Name)として、取次元端末で保留したパーク保留に関するパーク保留識別情報が格納されている。格納先となる情報要素については、セッション名に限定されるものではなく、ユーザが利用可能な他の情報要素を格納先としてもよい。なお、内線着信メッセージに対するパーク保留識別情報の格納も、内線発信メッセージと同様にして格納すればよい。
【0042】
取次先となるIP内線端末20Bの端末制御部26は、電話制御装置10から上記内線着信メッセージを受信した場合、一次応答(100 Trying)を返送し(ステップ146)、内線着信表示を開始する(ステップ147)。
また、端末制御部26は、受信した内線着信メッセージに含まれるパーク保留識別情報に基づいて、取次対象として指定されたパーク保留に関する表示部23での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替えて(ステップ148)、呼出中(Ringing)を返送する(ステップ149)。
【0043】
図5は、取次先端末でのパーク保留表示の切替例である。ここでは、3つのパーク保留が利用可能であり、取次先端末には、赤色と緑色とを切替表示可能な3つのLEDが、これらパーク保留に対応するパーク保留表示素子PH1,PH2,PH3として、設けられているものとする。
また、自己パーク保留表示については緑色点滅で識別表示し、他者パーク保留表示については赤色点滅で識別表示し、取次対象を示す取次対象パーク保留表示については自己パーク保留表示を用いるものとする。
【0044】
時刻T1に、取次元端末であるIP内線端末20Aが、相手端末30との間で外線通話中である場合(図2のステップ100に対応)、取次先端末であるIP内線端末20Bにおいて、パーク保留表示素子PH1が赤色点滅で保留表示されており、他のパーク保留表示素子PH2,PH3が消灯しているものとする。これにより、他のIP内線端末20でのパーク保留が1つ存在していることがわかる。
【0045】
続いて、時刻T2において、取次元端末であるIP内線端末20Aでのパーク保留操作により、相手端末30との外線通話がパーク保留された場合(図2のステップ126に対応)、取次先端末であるIP内線端末20Bにおいて、パーク保留表示素子PH2が赤色点滅に切り替えられる。
【0046】
その後、時刻T3において、取次元端末であるIP内線端末20Aでの内線発信操作に応じて、取次先端末であるIP内線端末20Bが内線呼出された場合(図3のステップ148に対応)、取次先端末であるIP内線端末20Bにおいて、パーク保留表示素子PH2が、取次対象を示す緑色点滅に切り替えられる。
これにより、取次先端末であるIP内線端末20Bの利用者は、取次元端末であるIP内線端末20Aから取り次がれた取次対象を示すパーク保留、すなわち保留解除すべきパーク保留を極めて容易に識別することができる。
【0047】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電話制御装置10の呼制御部15が、外線通話中にパーク保留操作が行われた取次元端末から送信された、取次先端末を呼出先とする内線発信メッセージに応じて、取次元端末で行われたパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを取次先端末へ送信し、IP内線端末20の端末制御部26が、電話制御装置10から送信された内線着信メッセージからパーク保留識別情報を抽出し、当該パーク保留識別情報で取次対象として指定されたパーク保留に関する表示部23での保留表示を、取次対象を示す保留表示に切り替えるようにしたものである。
【0048】
これにより、外線通話を取り次ぐ際、取次元端末から取次先端末を内線呼出するタイミングで、内線着信メッセージに含まれるパーク保留識別情報に基づいて、取次先端末における保留表示のうち、取次対象として指定されたパーク保留に関する保留表示が、取次対象を示す保留表示に切り替えられることになる。
したがって、内線端末が、任意のタイミングで任意の保留表示を変更するための呼制御メッセージは用意されていない呼制御プロトコルを用いるIP内線端末20であっても、取次対象となるパーク保留を取次先端末で識別表示することができ、取次時における利用者の操作誤りを低減することが可能となる。
【0049】
また、本実施の形態において、IP内線端末20の端末制御部26が、外線通話中におけるパーク保留操作後の取次先端末を呼出先とする内線発信操作に応じて、自端末で行ったパーク保留を取次対象として指定したパーク保留識別情報を含む内線発信メッセージを送信し、電話制御装置10の呼制御部15が、内線着信メッセージを送信する際、内線発信メッセージで通知されたパーク保留識別情報を含む内線着信メッセージを取次先端末へ送信するようにしてもよい。
【0050】
一般に、SIPなどの呼制御プロトコルに基づいて内線呼出処理を行う場合、発側のIP内線端末20からの内線発信メッセージに付加した情報要素は、電話制御装置10において、内線着信メッセージに書き写されて着側のIP内線端末20へ通知される。
このため、取次先端末でパーク保留識別情報を生成し情報要素として内線発信メッセージに付加すれば、電話制御装置10側で一般的な内線呼出処理を実行するだけで、取次先端末への内線着信メッセージによりパーク保留識別情報を通知することができる。
【0051】
これにより、IP内線端末20の端末制御部26における、内線発信メッセージへ付加する情報要素の変更や、内線着信メッセージに付加されている情報要素を用いたパーク保留表示の切替処理など、IP内線端末20に関する比較的規模の小さいソフトウェア変更だけで、本実施の形態を実施することができる。このため、本実施の形態によれば、電話制御装置10については従前のものを流用でき、高い汎用性を得ることができる。また、IP内線端末20に搭載されている基本的な呼制御プロトコルを変更する必要がなくなり、少ない開発負担で本実施の形態を実施することが可能となる。
【0052】
なお、電話システム1を新規開発するなど、電話制御装置10で用いる呼制御プログラムを変更可能であれば、電話制御装置10が自装置で管理しているパーク保留管理情報に基づいてパーク保留識別情報を生成し、内線着信メッセージにより取次先端末へ通知するようにしてもよい。
【0053】
通常、電話制御装置10の呼制御部15は、各パーク保留に固有のパーク保留番号(スロット番号)ごとに、当該パーク保留の対象となる外線に固有の外線ID(呼ID)と、当該パーク保留を行ったIP内線端末20に固有の内線番号とを対応付けたパーク保留管理情報を、記憶部14に保存している。
【0054】
したがって、取次元端末からの内線発信メッセージに応じて、パーク保留管理情報に登録されている、当該取次元端末が保留したパーク保留に関するパーク保留番号や外線IDをパーク保留識別情報として取得し、取次先端末への内線着信メッセージに付加して送信すればよい。これにより、IP内線端末20におけるソフトウェア変更の規模を最低限まで削減することができる。
【0055】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0056】
1…電話システム、10…電話制御装置、11…網I/F部、12…内線I/F部、13…スイッチ部、14…記憶部、15…呼制御部、20…IP内線端末、21…通信I/F部、22…操作入力部、23…表示部、24…音声処理部、25…記憶部、26…端末制御部、30…相手端末、NW…電話網、L…通信回線。
図1
図2
図3
図4
図5