【解決手段】栽培用プレート1は、斜めに入射する光を遮蔽する遮蔽板4と、浮力を生じさせる浮力発生用板5とを有している。また、養液循環系は養液槽に対して、短手方向に複数の流れを発生させるものである。また、養液循環系は、平面形状が略長方形状の養液槽と、養液槽の略長方形状の一つの長辺側に設けられた複数の送液口と、養液槽の略長方形状の一つの短辺側に設けられた排液管と、排液管に接続された養液タンクと、養液タンクに接続された循環用ポンプと、循環用ポンプに接続され、複数の送液口に分岐した分配用配管とを備えている。
養液槽の短手方向の両側壁を上記一対の遮蔽板で挟むように設置した際に、上記浮力発生板は、上記複数の植物挿入用開口のいずれよりも、養液槽の略長方形状の短手方向のいずれかの側壁に近い位置に設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の水耕栽培用プレート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の
図5に記載されているように、水耕栽培用養液槽の両端壁上部をレールとして、その上に栽培用プレートを載置した場合、水耕栽培用養液槽の両端壁上部と栽培用プレートが接触しているため、大きな摩擦抵抗が生じ、栽培用プレートを動かすために大きな力が必要となる。特に、長大化した水耕栽培用養液槽においては、数多くの栽培用プレートを一列に並べて配置するため、それらを一度に移動させる際には、非常に大きな摩擦抵抗が生じ、移動させることが困難であった。また、機械等を用いて大きな力で移動させることは可能であるが、その場合には、隣り合う栽培用プレート間に大きな力が働くため、栽培用プレートを破損してしまうといった別の問題が生じていた。
【0007】
一方、栽培プレートを養液に浮かべた構成においては、摩擦力の問題は解決できる。しかし、栽培プレート端部の隙間より、光が養液に照射されることで、アオコ等の微細藻類が水耕栽培用養液槽内に繁殖するという大きな問題が生じてしまう。また、栽培プレートと養液が直接に接触しているので空気層がなく、植物の生育不良をもたらすといった、やはり大きな問題が生じていた。
【0008】
なお、長大化した水耕栽培用養液槽においては、養液を養液槽全体において均一化した状態で循環させることが困難であるという課題があり、植物の収量減少や、微細藻類発生の原因ともなっている。
【0009】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、養液に光が照射されることを防止し、養液との間に空気層を確保し、且つ、養液に浮くことで移動の際に大きな接触抵抗が生じない栽培用プレートを提供することを目的としている。
また、簡単な構成でコストの上昇を抑え、水耕栽培用養液槽全体で養液の均一化を図れる養液循環系を提案するものである。
これらの提案により、特に長大化した水耕栽培用養液槽において、植物の健全な生育と、微細藻類の発生の抑制が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る水耕栽培用プレートは、平面形状が略長方形状の養液槽に設置して使用するものであり、
厚み方向に植物を挿入できる貫通孔である複数の植物挿入用開口を有する板状の植物挿入用板と、
当該植物挿入用板をその面に平行な方向の両側より挟みこむように設けられた一対の遮蔽板と、
上記植物挿入用板の一つの面に設けられた浮力発生板と、
を備え、
上記一対の遮蔽板の間隔は、養液槽の略長方形状の短手方向の長さより大きく、
上記浮力発生板の比重は、水の比重よりも小さい
ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る水耕栽培用養液槽の養液循環系は、
平面形状が略長方形状の養液槽と、
当該養液槽の略長方形状の一つの長辺側に設けられた複数の送液口と、
上記養液槽の略長方形状の一つの短辺側に設けられた排液管と、
当該排液管に接続された養液タンクと、
当該養液タンクに接続された循環用ポンプと、
当該循環用ポンプに接続され、上記複数の送液口に分岐した分配用配管と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水耕栽培用プレートは、アスペクト比が大きく、長大化したプランターにおいて、特に効果を発揮するものである。
その優れた効果を以下にまとめる。
【0013】
根の付近に空気層を設けることができるため、、植物の健全な生育を促し、品質や収量の向上につながる。植物によって異なるが、空気層を設けない場合に比べて、収量が1.5倍以上も増加する場合がある。
【0014】
養液への光の入射を防ぐことで、アオコ等の微細藻類の繁殖を抑制できる。一旦繁殖した微細藻類を取り除くことは難しく、微細藻類の繁殖を抑制することは、水耕栽培における最大の課題の一つである。本実施の形態では、遮蔽板という簡単な構成でこの課題を解決することができる。
【0015】
また、この遮蔽板は、水耕栽培用プレートを養液槽の長手方向に移動する際のガイドの役割も有し、安定な移動に貢献する。長大化した養液槽においては、毎日数枚の水耕栽培用プレートを設置する等により、一列に配した水耕栽培用プレートを順に移動させ、数枚ずつ収穫するといった作業が毎日必要である。したがって、水耕栽培用プレートを楽に移動できることは大幅な作業効率の向上をもたらす。
さらに、受流板を設ければ、水耕栽培用プレートを養液槽に投入する作業も非常に容易になる。
【0016】
浮力発生板を設けることで、浮力により水耕栽培用プレートを浮上することができる。これにより、水耕栽培用プレートと養液槽側壁との接触抵抗を無くすことができる。長大化した養液槽においては、数多くの枚数の水耕栽培用プレートを一列に並べて配置するため、それらをまとめて移動させるためには、非常に大きな力が必要となる。しかし、接触抵抗を無くしたことで、比較的小さな力での移動が可能となり、作業性の向上とともに、水耕栽培用プレートの破損を抑制することが可能となる。
【0017】
養液槽は移動用のガイドとなるレール等が不要であり、シンプルな形状である。レール等を設けた場合、そこに植物の葉が挟まったりして、細菌や害虫発生の要因となるため、頻繁な清掃が不可欠となる。したがって、養液槽がシンプルな形状であることは、清掃作業等を簡略化し、作業性の向上に寄与する。
【0018】
また、本発明に係る水耕栽培用養液槽の養液循環系は、実施の形態1と同様に、アスペクト比が大きく、長大化したプランターにおいて、特に効果を発揮するものである。
【0019】
通常の水耕栽培用養液槽においては、養液槽の長手方向の一端から養液を導入し、他端から排出する。しかし、養液導入部付近では養液成分の濃度が濃く、排出部付近に近づくにしたがって、養液成分の濃度が薄くなる。このような濃度の不均一性は、植物が大きく成長した際に顕著となる。植物が成長すると、養液槽の底部まで根が大きく張り詰めるため、養液の流れは著しく低下し、養液槽の長手方向で養液成分の濃度分布が顕著となる。養液成分の濃度分布は、植物の生育や質にばらつきをもたらす。
【0020】
このような不均一性を改善するために、養液槽内の底部に、長手方向に伸びた送液管を配し、その送液管に複数個の穴を開けて、長手方向全体に養液を流すことも考えられる。しかし、その場合には長い送液管が必要となり、圧損が大きくなる。循環ポンプを大型化する等で対応可能であるが、設備コストや電力コストの上昇をもたらすといった別の問題が生じてしまう。
【0021】
以上のような問題は、長大化した養液槽では、特に深刻になる。本実施の形態で示した水耕栽培用養液槽の養液循環系は、このような問題を解決するためになされたものであり、以下に示す優れた特長を有している。
【0022】
配管長さが短くなるため、圧損が小さくなり、設備コストや電力コストを低減できる。また、メンテナンスの観点からも、配管が短くことは有利である。
【0023】
養液槽の短手方向にも流れを生じさせることができる。これまでの構成では、長手方向にしか流れが生じなかったために、側壁付近では淀みが生じ、微細藻類が発生しやすかった。本実施の形態の構成においては、層全体を回転する対流が生じやすく、流れが淀む箇所を少なくすることが可能となり、微細藻類の繁殖を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る水耕栽培用プレート、および、水耕栽培用養液槽の養液循環系の構成や使用方法等に関して、以下において、図面を用いて説明する。なお、以下の説明は本発明に関する良好な一例を開示するものであり、本発明が当該実施の形態に限定されるものではない。
【0026】
実施の形態1.
<構成>
図1を用いて、本実施の形態の水耕栽培用プレートの構成を説明する。
図1は、水耕栽培用プレートの斜視図である。水耕栽培用プレート1は、平面形状が略長方形状の養液槽に設置して使用するものであり、厚み方向に植物を挿入できる貫通孔である複数の植物挿入用開口3を有する板状の植物挿入用板2と、植物挿入用板2をその面に平行な方向の両側より挟みこむように設けられた一対の遮蔽板4と、植物挿入用板2の一つの面に設けられた浮力発生板5とを備え、一対の遮蔽板4の間隔は、養液槽の略長方形状の短手方向の長さより大きく、浮力発生板5の比重は水の比重よりも小さいことを特徴とするものである。
【0027】
<使用例>
図2は、水耕栽培用プレート1をプランター100に設置した際の斜視図である。
図2においては、5枚の水耕栽培用プレート1をプランター100に1列に設置している。昨今のプランターは長大化したものが多く使用されており、例えば、横幅が50cm、縦の長さが50mといったアスペクト比が100というものもある。本実施の形態における水耕栽培用プレート1は、特に、長大化したプランターにおいて大きな効果を発揮するものであるが、
図2においては、説明の便宜上、および図の見やすさを考慮して、アスペクト比の小さなプランターを描いている。
【0028】
図2におけるA面の断面図が
図3である。
図3においては、図を見やすくするために植物の記載を省略している。
一方、植物を記載した図が
図4である。植物は、複数の植物挿入用開口3に挿入され、根が養液200に浸漬することで、養液から養分等を吸い上げることができる。
【0029】
図3、
図4から分かるように、養液200の水面と植物挿入用板2の下面には空間があり、根の付近に空気層を設けることができる。空気層を設けることは、植物の健全な生育を促し、品質や収量の向上につながる。
【0030】
一対の遮蔽板4は、養液槽100の側壁101を挟むように位置することで、水耕栽培用プレート1を養液槽100の長手方向に移動させる際に、水耕栽培用プレート1が左右にずれることを防止する役割を持っている。また、側方より光が養液槽内部に入射することも防いでいる。有機成分を豊富に含んだ養液は、アオコ等の微細藻類の最適な繁殖場所である。しかし、光が入射しなければ、微細藻類は光合成を行うことができないため、繁殖を抑制できる。
【0031】
浮力発生板5の比重は水の比重よりも小さく、浮力を発生する。これにより、水耕栽培用プレート1は浮上し、養液槽側壁101の上部と遮蔽板4の下部とは接触しない。したがって、水耕栽培用プレート1を養液槽100の長手方向に移動させる際に、小さな力で移動させることができる。
なお、製造コストや作業性の観点から、浮力発生板5だけではなく、水耕栽培用プレート1全体を低比重の材料で構成することが望ましく、例えば発泡材等が最適である。発泡材は遮光性もあり、光を遮断し、上述した微細藻類の繁殖を防ぐためにも効果的である。
【0032】
浮力発生板5は、植物挿入用板2の一つの面のどの位置に設けても良い。特に好ましくは、
図3に示すように、左右が対象になるような位置に複数配置すると、水耕栽培用プレート1が水面に対して水平に浮上し、移動の際にスムースに移動できる。また、
図3のように、複数の植物挿入用開口のいずれよりも、養液槽の略長方形状の短手方向のいずれかの側壁に近い位置に設けるのが良い。こうすることで、移動の際に、植物の根が側壁に当たったりして破損することを防止できる。
【0033】
<本実施の形態のまとめ>
本実施の形態で示した水耕栽培用プレートは、アスペクト比が大きく、長大化したプランターにおいて、特に効果を発揮するものである。
その優れた効果を以下にまとめる。
【0034】
根の付近に空気層を設けることができるため、、植物の健全な生育を促し、品質や収量の向上につながる。植物によって異なるが、空気層を設けない場合に比べて、収量が1.5倍以上も増加する場合がある。
【0035】
養液への光の入射を防ぐことで、アオコ等の微細藻類の繁殖を抑制できる。一旦繁殖した微細藻類を取り除くことは難しく、微細藻類の繁殖を抑制することは、水耕栽培における最大の課題の一つである。本実施の形態では、遮蔽板という簡単な構成でこの課題を解決することができる。
【0036】
また、この遮蔽板は、水耕栽培用プレートを養液槽の長手方向に移動する際のガイドの役割も有し、安定な移動に貢献する。長大化した養液槽においては、毎日数枚の水耕栽培用プレートを設置する等により、一列に配した水耕栽培用プレートを順に移動させ、数枚ずつ収穫するといった作業が毎日必要である。したがって、水耕栽培用プレートを楽に移動できることは大幅な作業効率の向上をもたらす。
【0037】
浮力発生板を設けることで、浮力により水耕栽培用プレートを浮上することができる。これにより、水耕栽培用プレートと養液槽側壁との接触抵抗を無くすことができる。長大化した養液槽においては、数多くの枚数の水耕栽培用プレートを一列に並べて配置するため、それらをまとめて移動させるためには、非常に大きな力が必要となる。しかし、接触抵抗を無くしたことで、比較的小さな力での移動が可能となり、作業性の向上とともに、水耕栽培用プレートの破損を抑制することが可能となる。
【0038】
養液槽は移動用のガイドとなるレール等が不要であり、シンプルな形状である。レール等を設けた場合、そこに植物の葉が挟まったりして、細菌や害虫発生の要因となるため、頻繁な清掃が不可欠となる。したがって、養液槽がシンプルな形状であることは、清掃作業等を簡略化し、作業性の向上に寄与する。
【0039】
実施の形態2.
次に、水耕栽培用養液槽に適した養液循環系について説明する。長大化した養液槽においては、養液成分を養液層全体で均一化することが難しく、また、流れが生じない淀みが発生しやすいため、微細藻類が繁殖しやすい。このような課題を解決するために最適な養液循環系について述べる。
【0040】
<構成>
まず、
図5を用いて基本的な構成について説明する。
水耕栽培用養液槽の養液循環系は、平面形状が略長方形状の養液槽100と、養液槽100の略長方形状の一つの長辺側に設けられた複数の送液口15と、養液槽100の略長方形状の一つの短辺側に設けられた排液管16と、排液管16に接続された養液タンク10と、養液タンク10に接続された循環用ポンプ11と、循環用ポンプ11に接続され、複数の送液口15に分岐した分配用配管14とを備えたことを特徴とするものである。
【0041】
本実施の形態における養液循環系も、実施の形態1と同様に、長大化した養液槽において特に効果を発揮するものであるが、
図2と同様に、
図5においては、説明の便宜上、および図の見やすさを考慮して、アスペクト比の小さなプランターを描いている。
【0042】
養液タンク10と、養液タンク10に接続された循環用ポンプ11、あるいはそれらを接続する接続配管12等の配置は、
図5の配置に限るものではない。例えば、それらを、養液槽100を設置している栽培棚300の下部に配置して、省スペース化を図っても良い。基本的には、養液槽100のできるだけ近い場所に配置し、配管長さを短くして圧損を小さくすることが大切である。メンテナンスの観点からも、養液槽100のできるだけ近い場所に配置することが望ましい。
【0043】
接続配管12、送液用配管13、分配用配管14、排液管16といった配管は、金属や樹脂配管であっても良いし、ゴム系素材でできたホースであっても良い。
【0044】
複数の送液口15から養液槽100の槽内に入った養液は、そのまま流しても良いし、槽内の入り口に、養液放出方向を変えるためのエルボー管を配しても良い。養液を抜いた後に、養液を槽内に満たす際には、大流量で短時間に養液を満たすことが必要であるが、そういった場合、送液口15から真っすぐに養液が勢いよく流れ出すと、対向する槽内の側壁に養液がぶつかり、養液が飛び散ることがある。それを防止するため、養液放出方向を変えても良い。
【0045】
<動作>
循環用ポンプ11により、養液タンク10から汲み上げられた養液は、送液用配管13、分配用配管14を通り、複数の送液口15から槽内に導かれる。そして、排液管16から排水され、その排水は養液タンク10に戻る。このようにして、養液は循環する。
【0046】
<その他の構成>
図6は、複数段の水耕栽培用養液槽の養液循環系を説明するための図である。
図5においては、ひとつの養液槽に養液を循環する場合について説明したが、養液槽を複数段に積層配置した場合も、同様の構成が適用できる。
すなわち、この養液循環系は、多段に形成された複数の平面形状が略長方形状の養液槽と、当該複数の養液槽それぞれの略長方形状の一つの長辺側に設けられた複数の送液口と、
上記複数の養液槽それぞれの略長方形状の一つの短辺側に設けられた排液管と、当該複数の養液槽それぞれの排液管に接続された養液タンクと、当該養液タンクに接続された循環用ポンプと、当該循環用ポンプに接続され、上記複数の養液槽それぞれの複数の送液口に分岐した分配用配管とを備えたことを特徴とするものである。
【0047】
図7は、2列に並べて配置した水耕栽培用養液槽の養液循環系を説明するための図であり、上方より見た上面図である。2列に並べて配置した水耕栽培用養液槽に対しても、同様の養液循環系が適用できる。この場合には、分配用配管14を、2列に並べて配置した水耕栽培用養液槽の中間に配置し、その近くの養液槽側壁に複数の送液口を設けることで、全体の配管長さを小さくできる。
すなわち、この養液循環系は、2列に形成された複数の平面形状が略長方形状の養液槽と、当該2列の養液槽それぞれの略長方形状の一つの長辺側に設けられた複数の送液口と、
上記複数の養液槽それぞれの略長方形状の一つの短辺側に設けられた排液管と、当該複数の養液槽それぞれの排液管に接続された養液タンクと、当該養液タンクに接続された循環用ポンプと、当該循環用ポンプに接続され、上記複数の養液槽それぞれの複数の送液口に分岐した分配用配管とを備え、上記複数の送液口が設けられた2列の養液槽それぞれの略長方形状の一つの長辺は、互いに向かい合う位置関係にあり、上記分配用配管は、当該向かい合う位置関係にある2列の養液槽それぞれの略長方形状の一つの長辺の略中間に配置されたことを特徴とするものである。
【0048】
<養液タンク内の構成>
養液タンク10の内部に関して、最適な構成について、
図8を用いて説明する。
循環した溶液に含まれる微細藻類や小さな塵等を除去するために集塵フィルター17を設けている。集塵フィルター17は、目が細かく、養液は通過できるが、例えば、数ミクロン以上の大きさの塵等は通過できずに捕獲されるものである。この集塵フィルターの面を水の流れに略直交させることで、効率よく集塵が行える。また、比較的広い面積で集塵できるため、養液の流れに対する大きな抵抗にならない。
【0049】
また、底面送液導入部18を設けても良い。底面送液導入部18は、養液タンク10の底面付近に配置する。そして、できるだけ底面広く導入部を持つものが良い。微細藻類は流れが淀みやすい底面付近に繁殖しやすく、それを抑制するためには、底面全体に広く流れを生じさせることが大切である。
【0050】
なお、集塵フィルター17と、底面送液導入部18とは、それぞれ個々別々に設けても効果があり、また、同時に二つを養液タンク10内に設けても良い。
【0051】
<本実施の形態のまとめ>
本実施の形態で示した水耕栽培用養液槽の養液循環系は、実施の形態1と同様に、アスペクト比が大きく、長大化したプランターにおいて、特に効果を発揮するものである。
【0052】
通常の水耕栽培用養液槽においては、養液槽の長手方向の一端から養液を導入し、他端から排出する。しかし、養液導入部付近では養液成分の濃度が濃く、排出部付近に近づくにしたがって、養液成分の濃度が薄くなる。このような濃度の不均一性は、植物が大きく成長した際に顕著となる。例えば、
図4に示したような状態では、養液導入部から排出部への養液の流れは比較的スムースである。しかし、植物がさらに成長すると、養液槽の底部まで根が大きく張り詰めるため、養液の流れは著しく低下し、養液槽の長手方向で養液成分の濃度分布が顕著となる。養液成分の濃度分布は、植物の生育や質にばらつきをもたらす。
【0053】
このような不均一性を改善するために、養液槽内の底部に、長手方向に伸びた送液管を配し、その送液管に複数個の穴を開けて、長手方向全体に養液を流すことも考えられる。しかし、その場合には長い送液管が必要となり、圧損が大きくなる。循環ポンプを大型化する等で対応可能であるが、設備コストや電力コストの上昇をもたらすといった別の問題が生じてしまう。
【0054】
以上のような問題は、長大化した養液槽では、特に深刻になる。本実施の形態で示した水耕栽培用養液槽の養液循環系は、このような問題を解決するためになされたものであり、以下に示す優れた特長を有している。
【0055】
配管長さが短くなるため、圧損が小さくなり、設備コストや電力コストを低減できる。また、メンテナンスの観点からも、配管が短くことは有利である。
【0056】
養液槽の短手方向にも流れを生じさせることができる。これまでの構成では、長手方向にしか流れが生じなかったために、側壁付近では淀みが生じ、微細藻類が発生しやすかった。本実施の形態の構成においては、層全体を回転する対流が生じやすく、流れが淀む箇所を少なくすることが可能となり、微細藻類の繁殖を抑制できる。
【0057】
さらに、養液タンク内に水の流れに略直交した面を持つ集塵フィルターを備えることによって、微細藻類や細かな塵を集めて除去することができる。広い面積で集塵できるため、水の流れに対する抵抗を小さくできることも大きな特長である。
【0058】
また、養液タンク内の底面に底面略全体に広がる送液導入部を設けることで、淀みが生じやすいタンク底面に流れを生じさせ、タンク内での微細藻類の発生を抑制できる。
【0059】
実施の形態3.
養液槽に水耕栽培用プレートを投入する際には、養液の流れの上流側から投入するのが普通である。これを利用し、養液槽への水耕栽培用プレートの投入を容易にする水耕栽培用プレートについて、
図9を用いて説明する。
【0060】
図1等に示した実施の形態1で説明した水耕栽培用プレート1と異なる点は、本実施の形態に係る水耕栽培用プレート1aが受流板19を有している点である。一対の遮蔽板4間であって、植物挿入用板2の下方に、受流板が設けられる。
水耕栽培用プレート1aを養液槽の長手方向の端部から投入する際には、受流板19が設けられている側から養液槽に投入する。投入された水耕栽培用プレート1aは、養液の流れを受流板19が受けけることで、プランター内を進む推進力を得る。したがって、水耕栽培用プレート1aを養液槽内に入れれば、自然に養液槽内を進むため、養液槽への投入作業が極めて容易になる。
<本実施の形態のまとめ>
本実施の形態で示した水耕栽培用プレートは、実施の形態1で示した水耕栽培用プレートと同様に、アスペクト比が大きく、長大化したプランターにおいて、特に効果を発揮するものである。
【0061】
長大化したプランターにおいては、多数枚の水耕栽培用プレートを養液槽内に投入する必要がある。先に何枚かの水耕栽培用プレートを投入している場合、それらを押しながら、次の水耕栽培用プレートを投入する必要があり、強い力が必要な大変な作業である。しかし、受流板を有する水耕栽培用プレートであれば、先に投入した水耕栽培用プレートは、養液の流れによって、養液槽内を進んでいるため、次の水耕栽培用プレートの投入は、最初の一枚と同様に投入できるため、非力な作業者であっても、容易に投入作業を行うことが可能となる。