【解決手段】PTPシート抱き合わせ装置は、2枚のPTPシート1を予め設定された所定の相対位置関係で保持可能かつレーン幅方向へ変位可能に設けられたホルダ(一対の保持片36L,36R)を備えると共に、反転装置とホルダとの間、及び、ホルダとチャック送り機構との間で受け渡されるPTPシート1等に応じて、該PTPシート1等の長手方向中央部がレーン幅方向中央部にあたるセンターラインC0に位置するように、レーン幅方向におけるホルダの位置を調整可能に構成されている。
前記PTPシートは、前記所定方向の両端縁部のうちの一方の端縁部から前記所定方向に最短距離にある前記ポケット部までの距離と、他方の端縁部から前記所定方向に最短距離にある前記ポケット部までの距離とが略同一となっていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に係る従来技術では、例えば耳部を有しない耳なしPTPシートのように、抱き合わせ状態とした際にシート長手方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる製品仕様のPTPシートに対応できないおそれがある。
【0011】
通常、耳ありPTPシートであれば、その長手方向中央部を基準として、該長手方向中央部をシート搬送経路のセンターラインに位置合わせした状態で各機構において把持したり保持すれば、各機構間におけるPTPシートの受渡しを円滑に行うことができる。
【0012】
これに対し、例えば特許文献1に係る反転機構において、耳なしPTPシートの長手方向中央部を把持して1枚おきに表裏反転させたとしても、抱き合わせ状態とする上下2枚の耳なしPTPシートのポケット部の位置をずらすことができない。
【0013】
また、特許文献1に係る保持機構では、PTPシートの長手方向端縁部を支持する上シート保持部(一対のスリット31)と下シート保持部(一対のスリット32)のシート搬送経路幅方向における位置が同一であるため、上下2枚の耳なしPTPシートをシート長手方向に大きくずらした状態で保持することは困難となる。
【0014】
仮に保持機構において、上シート保持部と下シート保持部のシート搬送経路幅方向における位置を異ならせ、上下2枚の耳なしPTPシートをシート長手方向に大きくずらした状態で保持可能な構成を採用したとしても、該保持機構(上下両シート保持部)の幅方向中央部をセンターラインに位置合わせして配置した場合には、該保持機構から抱き合わせ搬送機構へのPTPシート(抱き合わせ状態となった2枚のPTPシート組)の受渡しについては適切に行えるものの、反転機構から保持機構へのPTPシートの受渡しが困難となるおそれがある。
【0015】
逆に、上下両シート保持部のうち、一方のシート保持部の幅方向中央部の位置をセンターラインに合わせるように、保持機構を配置した場合には、反転機構から他方のシート保持部へのPTPシートの受渡しが困難となると共に、保持機構から抱き合わせ搬送機構へのPTPシート(抱き合わせ状態となった2枚のPTPシート組)の受渡しを適切に行えないおそれがある。
【0016】
かかる場合、抱き合わせ搬送機構は、抱き合わせ状態となった2枚のPTPシート組の長手方向中央部から外れた位置を把持することとなるため、搬送途中や下流側の機構への受渡し時においてPTPシート組の姿勢が崩れやすくなり、その後の工程に支障をきたすおそれがある。
【0017】
尚、上記不具合は、耳なしPTPシートを抱き合わせ状態とする場合に限らず、耳ありPTPシートを、耳部の向きがシート長手方向に対し同じ向きとなるように抱き合わせ、シート長手方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる場合等にも生じ得る。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、PTPシートを2枚一組の抱き合わせ状態とするにあたり、PTPシートの受渡しを適切に行うことのできるPTPシート抱き合わせ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
以下、上記課題を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0020】
手段1.内容物を収容するためのポケット部を備えたPTPシートを2枚一組の抱き合わせ状態とするPTPシート抱き合わせ装置であって、
PTPシートの所定方向(例えば長手方向)が所定のシート搬送経路の経路幅方向に沿った状態で、該PTPシートを受け渡し可能な受渡し手段と、
前記ポケット部が上を向いた状態の第1のPTPシートの前記所定方向の端縁部を保持可能に設けられた前記経路幅方向に一対の下シート保持部、
及び、
前記ポケット部が下を向いた状態の第2のPTPシートの前記所定方向の端縁部を保持可能に設けられた前記経路幅方向に一対の上シート保持部を有し、
前記第1のPTPシート及び前記第2のPTPシートを予め設定された所定の相対位置関係で保持可能かつ前記経路幅方向へ変位可能に設けられた保持手段と、
前記保持手段により保持された前記第1のPTPシート及び前記第2のPTPシートを前記2枚1組の抱き合わせ状態で受け取る受取り手段と、
前記受渡し手段と前記保持手段との間、又は、前記保持手段と前記受取り手段との間で受け渡される対象に応じて、前記経路幅方向における前記保持手段の位置を調整可能な位置調整手段とを備えたことを特徴とするPTPシート抱き合わせ装置。
【0021】
ここで「抱き合わせ状態」とは、2枚のPTPシートを、ポケット部を有する面が互いに向き合うように配置し、かつ、互いのポケット部がぶつかり合わない位置関係で(所定寸法だけ互いに位置をずらして)重ね合せた状態をいう。これにより、一方のPTPシートのポケット部間の空間内に、他方のPTPシートのポケット部が入り込んだ状態となる。つまり、2枚のPTPシートを抱き合わせ状態とすることにより、該抱き合わせ状態とした2枚のPTPシート組の高さ、ひいては、これらを所定組数、積み重ねた集積体の高さを低く抑え、コンパクトにまとめることができる。
【0022】
上記手段1によれば、2枚のPTPシートを予め設定された所定の相対位置関係で保持可能かつ経路幅方向へ変位可能に設けられた保持手段を備えると共に、受渡し手段と保持手段との間、又は、保持手段と受取り手段との間で受け渡される対象に応じて、経路幅方向における保持手段の位置を調整可能な位置調整手段を備えた構成となっている。
【0023】
例えば、受渡し手段から保持手段へ「ポケット部が上を向いた状態の第1のPTPシート」が受け渡される際には、該「第1のPTPシート」を下シート保持部へ受け入れ可能な位置へ、保持手段の位置調整が行われる。
【0024】
同様に、受渡し手段から保持手段へ「ポケット部が下を向いた状態の第2のPTPシート」が受け渡される際には、該「第2のPTPシート」を上シート保持部へ受け入れ可能な位置へ、保持手段の位置調整が行われる。
【0025】
また、保持手段から受取り手段へ「抱き合わせ状態となる上下2枚のPTPシート」が受け渡される際には、該「上下2枚のPTPシート」の適切な位置を受取り手段が把持等可能な位置へ、保持手段が位置調整される。
【0026】
これにより、例えば耳なしPTPシートのように、抱き合わせ状態とした際にシート所定方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる製品仕様のPTPシートを保持できるようになると共に、受渡し手段から保持手段へのPTPシートの受渡し、及び、保持手段から受取り手段へのPTPシートの受渡しを適切に行うことができる。
【0027】
手段2.前記受渡し手段は、
PTPシートの前記所定方向の中央部(例えば長手方向中央部)が前記シート搬送経路の経路幅方向の中央部(例えばセンターライン)に位置した状態で、該PTPシートを受け渡し可能に構成され、
前記位置調整手段は、
前記受渡し手段と前記保持手段との間、又は、前記保持手段と前記受取り手段との間で受け渡される対象に応じて、該対象の前記所定方向の中央部が前記シート搬送経路の経路幅方向の中央部に位置するように、前記経路幅方向における前記保持手段の位置を調整可能に構成されていることを特徴とする手段1に記載のPTPシート抱き合わせ装置。
【0028】
上記手段2によれば、例えば受渡し手段から保持手段へ「ポケット部が上を向いた状態の第1のPTPシート」が受け渡される際には、一対の下シート保持部の経路幅方向の中央部がシート搬送経路の経路幅方向の中央部(受渡し手段から受け渡される「第1のPTPシート」の所定方向の中央部)に位置するように、保持手段の位置調整が行われる。
【0029】
同様に、受渡し手段から保持手段へ「ポケット部が下を向いた状態の第2のPTPシート」が受け渡される際には、一対の上シート保持部の経路幅方向の中央部がシート搬送経路の経路幅方向の中央部(受渡し手段から受け渡される「第2のPTPシート」の所定方向の中央部)に位置するように、保持手段の位置調整が行われる。
【0030】
また、保持手段から受取り手段へ「抱き合わせ状態となる上下2枚のPTPシート」が受け渡される際には、該「上下2枚のPTPシート」の所定方向の中央部を、受取り手段がシート搬送経路の経路幅方向の中央部において受け取り可能な位置へ、保持手段が位置調整される。
【0031】
これにより、例えば耳なしPTPシートのように、抱き合わせ状態とした際にシート所定方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる製品仕様のPTPシートであっても、その所定方向中央部を基準として、該所定方向中央部をシート搬送経路の経路幅方向の中央部(センターライン)に位置合わせした状態で受渡し手段、保持手段及び受取り手段において把持したり保持することができると共に、上記各手段間におけるPTPシートの受渡しを円滑に行うことができる。
【0032】
手段3.内容物を収容するためのポケット部を備えたPTPシートを2枚一組の抱き合わせ状態とするPTPシート抱き合わせ装置であって、
PTPシートの所定方向の中央部(例えばシート長手方向の中央部)が所定のシート搬送経路の経路幅方向の中央部(例えばセンターライン)に位置した状態で、該PTPシートを受け渡し可能な受渡し手段と、
前記ポケット部が上を向いた状態の第1のPTPシートの前記所定方向の端縁部を保持可能に設けられた前記経路幅方向に一対の下シート保持部、
及び、
前記ポケット部が下を向いた状態の第2のPTPシートの前記所定方向の端縁部を保持可能に設けられた前記経路幅方向に一対の上シート保持部を有し、
前記第1のPTPシート及び前記第2のPTPシートを予め設定された所定の相対位置関係で保持可能かつ前記経路幅方向へ変位可能に設けられた保持手段と、
前記保持手段により保持された前記第1のPTPシート及び前記第2のPTPシートを前記2枚1組の抱き合わせ状態で受け取る受取り手段と、
前記経路幅方向における前記保持手段の位置を調整可能な位置調整手段とを備え、
前記位置調整手段は、
前記受渡し手段から前記第1のPTPシートを前記保持手段へ受け渡す際に、前記一対の下シート保持部間の前記経路幅方向の中央部を前記シート搬送経路の経路幅方向の中央部に位置合わせする第1の位置合わせ制御と、
前記受渡し手段から前記第2のPTPシートを前記保持手段へ受け渡す際に、前記一対の上シート保持部間の前記経路幅方向の中央部を前記シート搬送経路の経路幅方向の中央部に位置合わせする第2の位置合わせ制御と、
前記保持手段から前記受取り手段へ前記第1のPTPシート及び前記第2のPTPシートからなる2枚1組のPTPシートが受け取られる際に、該2枚1組のPTPシートの前記所定方向の中央部を前記シート搬送経路の経路幅方向の中央部に位置合わせする第3の位置合わせ制御とを実行可能としたことを特徴とするPTPシート抱き合わせ装置。
【0033】
上記手段3によれば、上記手段1,2と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0034】
手段4.前記経路幅方向に、前記シート搬送経路が複数並設され、
前記複数のシート搬送経路それぞれにおいて、前記受渡し手段、前記保持手段及び前記受取り手段が設けられ、
前記位置調整手段は、
前記複数のシート搬送経路に係る前記複数の保持手段の位置を同時に調整可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ装置。
【0035】
上記手段4によれば、複数の搬送経路を設けることにより、生産性の向上を図ると共に、その制御の簡素化を図ることができる。
【0036】
手段5.前記PTPシートは、前記所定方向の両端縁部のうちの一方の端縁部から前記所定方向に最短距離にある前記ポケット部までの距離と、他方の端縁部から前記所定方向に最短距離にある前記ポケット部までの距離とが略同一となっていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のPTPシート抱き合わせ装置。
【0037】
上記手段5によれば、耳部を有しない耳なしPTPシートが作業対象となるため、手段1乃至4の作用効果がより奏功することとなる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず作業対象となるPTPシートについて詳しく説明する。
【0040】
図1(a),(b)に示すように、本実施形態におけるPTPシート1は、複数のポケット部2を備えた容器フィルム3と、ポケット部2を塞ぐようにして容器フィルム3に取着されたカバーフィルム4とを有している。
【0041】
本実施形態における容器フィルム3は、例えばPP(ポリプロピレン)やPVC(ポリ塩化ビニル)等の透明の熱可塑性樹脂材料により形成されている。一方、カバーフィルム4は、例えばポリプロピレン樹脂等からなるシーラントが表面に設けられた不透明材料(例えばアルミニウム箔等)により構成されている。
【0042】
PTPシート1は、平面視略矩形状に形成されており、その長手方向(長辺方向)に沿って配列された5個のポケット部2からなるポケット列が、その短手方向(短辺方向)に2列形成されている。つまり、計10個のポケット部2が形成されている。各ポケット部2には、内容物として錠剤5が1つずつ収容されている。
【0043】
以下、PTPシート1について説明する際には、便宜上、PTPシート1の短手方向を「x方向」とし、長手方向を「y方向」とし、表裏方向を「z方向」とした座標系を基に説明する(後述するPTPシート組1,1についても同様)。
【0044】
また、本実施形態における容器フィルム3には、PTPシート1を2つのポケット部2が含まれるペア小片に切り離すことができるように、シート短手方向(x方向)に沿った複数の切離用スリット3aが形成されている。
【0045】
尚、本実施形態におけるPTPシート1は、シート長手方向(y方向)の両端縁部のうちの一方の端縁部からシート長手方向(y方向)に最短距離にあるポケット部2までの距離と、他方の端縁部からシート長手方向(y方向)に最短距離にあるポケット部2までの距離とが略同一となった、いわゆる耳部を有しない耳なしPTPシートである。
【0046】
PTPシート1は、従来同様、ブリスター包装機(図示略)において、容器フィルム3にポケット部2を成形するポケット成形工程、ポケット部2に錠剤5を充填する充填工程、ポケット部2を塞ぐように容器フィルム3に対しカバーフィルム4を取着するカバーフィルム取着工程、切離用スリット3aを形成するスリット形成工程、シート状に打ち抜く打抜工程等を経て製造される。
【0047】
そして、このように製造されたPTPシート1は、上記ブリスター包装機の下流側に設けられた集積機構7(
図3参照)において、ポケット部2を有する表面側(容器フィルム3側)が互いに向き合うように2枚一組の抱き合わせ状態〔
図2(a),(b)参照〕とされた上で、所定組数(例えば5組10枚)ずつ積み重ねられた後、ピロー包装やバンド結束等を行う包装工程へと送られることとなる。
【0048】
図2(a),(b)に示すように、抱き合わせ状態とされた2枚のPTPシート1は、互いのポケット部2がぶつかり合わない位置関係、すなわち互いのポケット部2の位置がシート長手方向(y方向)及びシート短手方向(x方向)に対し所定寸法ずつずれた所定の相対位置関係で重ね合わされている。以下、抱き合わせ状態とされた2枚のPTPシート1を「PTPシート組1,1」という。
【0049】
本実施形態に係るPTPシート組1,1は、抱き合わせ状態とされた2枚のPTPシート1の長手方向(y方向)の端縁部の位置が所定寸法Δyずれた状態となると共に、両PTPシート1の短手方向(x方向)の端縁部の位置が所定寸法Δxずれた状態となるように予め設定されている。
【0050】
次に集積機構7について詳しく説明する。
図3は、集積機構7の概略構成を示す側面図である。以下、集積機構7について説明する際には、便宜上、シート搬送方向すなわち集積機構7の前後方向(
図3の紙面左右方向)を「X方向」とし、集積機構7の左右幅方向(
図3の紙面前後方向)を「Y方向」とし、鉛直方向(
図3の紙面上下方向)を「Z方向」とした座標系を基に説明する。勿論、PTPシート1を説明するための座標系(x,y,z)と、集積機構7を説明するための座標系(X,Y,Z)は異なる座標系である。
【0051】
本実施形態に係る上記ブリスター包装機は、完成したPTPシート1を排出する排出部が左右(Y方向)に2つ並設されたものであり、同時に2つのPTPシート1を排出可能に構成されている。
【0052】
これに対応して、集積機構7は、PTPシート1を搬送するシート搬送経路(以下、「搬送レーン」という)が左右(Y方向)に2つ設けられた構成となっている。以下、
図3の紙面奥側の搬送レーンを「搬送レーン8L」とし、紙面手前側の搬送レーンを「搬送レーン8R」とする(
図9等参照)。
【0053】
集積機構7には、各搬送レーン8L,8Rにおいてそれぞれ、反転装置11、抱き合わせ搬送装置12及び積上げ装置13が設けられている(
図3参照)。「反転装置11」及び「抱き合わせ搬送装置12」により本実施形態における「PTPシート抱き合わせ装置」が構成される。
【0054】
また、図示は省略するが、集積機構7には、反転装置11、抱き合わせ搬送装置12及び積上げ装置13等を制御するための制御装置(制御手段)が設けられている。制御装置は、演算手段としてのCPUや、各種プログラムを記憶するROM、演算データや入出力データなどの各種データを一時的に記憶するRAMなどを備えている。
【0055】
上記ブリスター包装機の各排出部から排出されたPTPシート1は、順次一定の方向に向けられた状態(本実施形態ではポケット部2が下を向いた状態)で受渡し位置P1まで搬送される。そして、受渡し位置P1において、爪10a及びロッド10b等よりなるシート送り機構10によって1枚ずつ反転装置11へと送られる。
【0056】
反転装置11は、受渡し位置P1においてPTPシート1を受取り、これらを1枚おきに表裏反転しつつ受渡し位置P2へ旋回搬送する機構である。
【0057】
ここで反転装置11について
図4〜
図6を参照して詳しく説明する。
図4は反転装置11を示す一部破断側面図であり、
図5は反転装置11を示す一部破断平面図であり、
図6は反転装置11の反転機構を説明するための部分斜視図である。
【0058】
尚、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つの反転装置11は同一構造を有しかつ同期して同一動作を行うように構成されている。従って、以下において、特に両者を区別する必要のない場合には、1つの反転装置11として説明する。
【0059】
図4,5に示すように、反転装置11は、回転可能に支持された駆動軸14と、駆動軸14に取付けられ、キー15により駆動軸14とともに回転するよう支持されたハウジング16とを備えている。駆動軸14は間欠駆動機構(図示略)に接続されていて所定の角度(本実施形態では90度)毎に間欠的に駆動されるようになっている。
【0060】
ハウジング16には駆動軸14の直径方向に延びる一対の軸受け孔17が形成されている。軸受け孔17内には回転軸18が挿通されている。回転軸18はハウジング16にベアリング機構を介して回転可能に支持されている。また、ハウジング16には、回転軸18に直交するようにして固定軸19が立設固定されている。
【0061】
固定軸19及び回転軸18の外側端にはPTPシート1を把持するための把持手段としてのクランプ装置21が取り付けられている。つまり、クランプ装置21は、ハウジング16に対し固定された第1把持手段としての固定クランプ装置21Aと、ハウジング16に対し自転可能に設けられた第2把持手段としての可動クランプ装置21Bとからなる。
【0062】
クランプ装置21(21A,21B)は、固定軸19及び回転軸18に固定された本体22と、該本体22に固定された板状の固定爪23と、本体22に対し各軸18,19の軸線と直交する方向に移動可能に設けられた可動爪24と、該可動爪24をスライドさせるためのスライド機構25とを有している。
【0063】
通常、可動爪24は、スライド機構25に設けられたバネ等により固定爪23側に付勢されている。一方、所定のクランプ装置21が受渡し位置P1に向いた状態となり、駆動軸14が間欠停止されると、該クランプ装置21のスライド機構25が作動して、可動爪24はバネ等の付勢力に抗して下方向へスライドし、固定爪23から離間する。
【0064】
これに連動して、シート送り機構10(
図3参照)が作動し、クランプ装置21へPTPシート1が受け渡されると、該PTPシート1はポケット部2を下向きにした状態で両爪23,24間に挿入される。
【0065】
そして、PTPシート1の受渡しが完了すると、スライド機構25の作動が停止し、可動爪24は再びバネ等の付勢力により上方向へスライドする。これにより、PTPシート1は両爪23,24間に把持された状態となる。
【0066】
また、回転軸18のハウジング16側の端部には傘歯車26がそれぞれ取付けられている。傘歯車26は、駆動軸14に対して回転可能に取付けられた傘歯車27と噛み合っている(
図6参照)。傘歯車27には平歯車28が嵌合固定されており、その平歯車28は傘歯車27とともに回転するようになっている。
【0067】
平歯車28は公知のブレーキ機構を有する連結機構(図示略)に接続され、その連結機構を介して停止保持されるか、又は、駆動軸14と同方向に同速度で回転するようになっている。
【0068】
上記構成の下、傘歯車27及び平歯車28を連結機構により停止保持した状態から、駆動軸14を
図4において時計回り方向に90度ずつ間欠回転させると、ハウジング16もそれとともに間欠回転する。従って、クランプ装置21は駆動軸14の軸線回りで間欠的に旋回する。
【0069】
このとき、回転軸18に関しては、傘歯車27,26の作用により駆動軸14の回りで旋回しながら、自身の軸線回りで回転する。これにより、回転軸18に設けられた可動クランプ装置21Bも、回転軸18の軸線回りで回転することとなる。
【0070】
本実施形態では、ハウジング16が駆動軸14の軸線回りに180度回転する間に、可動クランプ装置21Bは回転軸18の軸線回りに180度回転することとなる。
【0071】
より詳しくは、可動クランプ装置21Bが受渡し位置P1から駆動軸14の軸線回りに180度旋回した受渡し位置P2に到達すると、可動クランプ装置21Bは回転軸18の軸線回りに180度回転した状態となる(
図4,5参照)。
【0072】
これにより、可動クランプ装置21BにクランプされたPTPシート1は、表裏面が反転されずにポケット部2が下を向いた状態のままで、かつ、シート長手方向(y方向)の向きが180度反転した状態となる。
【0073】
一方、固定クランプ装置21Aは、固定軸19の軸線回りに回転しないため、受渡し位置P2に到達したとき、それにクランプされたPTPシート1は、シート長手方向(y方向)の向きが変化せず、かつ、表裏面が反転されてポケット部2が上を向いた状態となる。
【0074】
上記構成により、受渡し位置P2では、固定クランプ装置21A及び可動クランプ装置21Bから交互にPTPシート1を受取ることにより、1枚おきに表裏反転したPTPシート1を順次受取ることができる。
【0075】
ここで、固定クランプ装置21Aが受渡し位置P2に停止した際に、該固定クランプ装置21Aに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置と、可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置とが異なるように設定されている。具体的には、固定クランプ装置21Aに把持されたPTPシート1の方がより下方位置に停止し、可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1の方がより上方位置に停止するように設定されている。
【0076】
次に抱き合わせ搬送装置12について詳しく説明する。尚、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つの抱き合わせ搬送装置12は同一構造を有しかつ同期して同一動作を行うように構成されている。従って、以下において、特に両者を区別する必要のない場合には、1つの抱き合わせ搬送装置12として説明する。
【0077】
抱き合わせ搬送装置12は、受渡し位置P2において1枚おきに表裏反転されつつ受け渡されるPTPシート1を受取り、受渡し位置P3において2枚一組の抱き合わせ状態とした上で受渡し位置P4へと旋回搬送する機構である。
【0078】
図3に示すように、抱き合わせ搬送装置12は、PTPシート1を2枚、上下2段にて保持可能な保持用スリット31,32(
図7等参照)を有するホルダ33と、保持用スリット31,32の所定のセット位置(受渡し位置P3)に対しそれぞれPTPシート1をセットするためのシートセット部34と、ホルダ33にて保持セットされている上下2枚のPTPシート1を把持し、所定の抱き合わせ状態とした上で受渡し位置P4へと旋回搬送するためのチャック送り機構35とを備えている。
【0079】
従って、主として「反転装置11」及び「シートセット部34」により本実施形態における「受渡し手段」が構成され、「ホルダ33」により「保持手段」が構成され、「チャック送り機構35」により「受取り手段」が構成されることとなる。
【0080】
ここでホルダ33について
図7〜
図9を参照して詳しく説明する。
図7はホルダ33(一対の保持片36L,36R)を示す部分斜視図である。
図8(a)は、PTPシート1が保持されていない状態の保持片36Lを示す部分内側面図であり、
図8(b)はPTPシート1が保持された状態の保持片36Lを示す部分内側面図である。
図9は、ホルダ33及びこれを駆動するホルダ駆動機構38を示す一部破断正面図である。
【0081】
ホルダ33は、レーン幅方向(Y方向)に相対向するように配置された一対の保持片36L,36Rからなる。一対の保持片36L,36Rの内側面(対向面)には、それぞれ上下方向(Z方向)に所定間隔をあけて上保持用スリット31及び下保持用スリット32が設けられている。本実施形態においては、「上保持用スリット31」が「上シート保持部」相当し、「下保持用スリット32」が「下シート保持部」に相当する。
【0082】
但し、一方の保持片36Lにおいては、その内側面一般部からレーン幅方向(Y方向)内側に向け突出しかつシート搬送方向(X方向)に沿って形成された突条部37Lに前記下保持用スリット32が形成されると共に、内側面一般部に前記上保持用スリット31が形成されている。
【0083】
また、他方の保持片36Rにおいては、その内側面一般部からレーン幅方向(Y方向)内側に向け突出しかつシート搬送方向(X方向)に沿って形成された突条部37Rに前記上保持用スリット31が形成されると共に、内側面一般部に前記下保持用スリット32が形成されている。
【0084】
これにより、各保持片36L,36Rにおける上保持用スリット31及び下保持用スリット32は、それぞれレーン幅方向(Y方向)における位置が異なるように構成されている。具体的には、各保持用スリット31,32にセットされる2枚のPTPシート1の長手方向(y方向)の端縁部の位置が上記所定寸法Δy(PTPシート組1,1の長手方向におけるズレ量Δy)ずれた状態となるように設定されている。
【0085】
保持用スリット31,32は、PTPシート1の長手方向(y方向)の端縁部を挿し込み可能かつPTPシート1をシート搬送方向(X方向)に沿って案内可能に構成されている。具体的には、シート搬送方向に沿って略直線状に形成された断面コ字状の溝状をなす。
【0086】
但し、保持用スリット31,32は、そのスリット長手方向(X方向)中間部分において部分的に湾曲形成されている。これにより、PTPシート1の過移送が規制され、所定のセット位置(受渡し位置P3)に対しPTPシート1が適切にセットされるように構成されている。
【0087】
各保持用スリット31,32に形成された湾曲部は、それぞれスリット長手方向(X方向)における位置が異なるように構成されている。具体的には、各保持用スリット31,32にセットされる2枚のPTPシート1の短手方向(x方向)の端縁部の位置が上記所定寸法Δx(PTPシート組1,1の短手方向におけるズレ量Δx)ずれた状態となるように設定されている。
【0088】
また、保持用スリット31,32の入口側(
図7,8左側)は間口が大きくなるようにテーパ状に開口形成されている。これにより、反転装置11のクランプ装置21(21A,21B)から押し出されるPTPシート1を円滑かつ確実に保持用スリット31,32内に案内することができる。
【0089】
上保持用スリット31は、可動クランプ装置21Bが受渡し位置P2に停止した際に、該可動クランプ装置21Bに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置に合わせて形成されている(
図3参照)。
【0090】
一方、下保持用スリット32は、固定クランプ装置21Aが受渡し位置P2に停止した際に、該固定クランプ装置21Aに把持されたPTPシート1が停止する高さ位置に合わせて形成されている。
【0091】
これにより、上保持用スリット31に対し、ポケット部2を下に向けたPTPシート1が案内され、下保持用スリット32に対し、ポケット部2を上に向けたPTPシート1が案内されることとなる。
【0092】
次にホルダ33(保持片36L,36R)を駆動するホルダ駆動機構38について詳しく説明する。ホルダ駆動機構38は、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つのホルダ33を同時駆動するように構成されている。「ホルダ駆動機構38」が本実施形態における「位置調整手段」を構成する。
【0093】
図9に示すように、ホルダ駆動機構38は、上下方向(Z方向)に立設固定された一対のブラケット41,42と、両ブラケット41,42間を連結する支持プレート43とを備えている。
【0094】
一方のブラケット41には、サーボモータ44Lが装着されている。サーボモータ44Lには、ボールねじ45Lの一端側(
図9のY方向左側)が回転可能に支持されている。ボールねじ45Lの他端側(
図9のY方向右側)には、ねじ部46Lが形成されている。ねじ部46Lにはボールナット48Lが螺合されている。ボールナット48Lには搬送レーン8L側の保持片36Lが連結されると共に、連結バー51Lを介して搬送レーン8R側の保持片36Lが連結されている。連結バー51Lは、レーン幅方向(Y方向)に沿ってスライド可能なように支持されている。
【0095】
他方のブラケット42には、サーボモータ44Rが装着されている。サーボモータ44Rには、ボールねじ45Rの一端側(
図9のY方向右側)が回転可能に支持されている。ボールねじ45Rの他端側(
図9のY方向左側)には、ねじ部46Rが形成されている。ねじ部46Rにはボールナット48Rが螺合されている。ボールナット48Rには搬送レーン8R側の保持片36Rが連結されると共に、連結バー51Rを介して搬送レーン8L側の保持片36Rが連結されている。連結バー51Rは、レーン幅方向(Y方向)に沿ってスライド可能なように支持されている。
【0096】
かかる構成の下、サーボモータ44L,44Rが駆動されてボールねじ45L,45Rが正方向へ回った場合には、一対のボールナット48L,48Rが互いに近接する方向へ移動する。これにより、各搬送レーン8L,8Rにおいて、対となる保持片36L,36Rが互いに閉じる(近接する)方向へと移動し、PTPシート1を保持用スリット31,32にて保持可能となる(
図9参照)。
【0097】
一方、サーボモータ44L,44Rが駆動されてボールねじ45L,45Rが逆方向へ回った場合には、一対のボールナット48L,48Rが互いに離間する方向へ移動する。これにより、各搬送レーン8L,8Rにおいて、対となる保持片36L,36Rが互いに開く(離間する)方向へと移動し、PTPシート1の保持状態を解除可能となる。
【0098】
加えて、本実施形態では、各搬送レーン8L,8Rにおいて、対となる保持片36L,36Rが所定間隔を維持した状態でレーン幅方向(Y方向)に移動する駆動制御を実行可能に構成されている。これにより、各保持用スリット31,32に対しPTPシート1を受け入れる位置を調整可能となる。
【0099】
次にシートセット部34及びこれを駆動するセット部駆動機構50について
図10,11を参照して詳しく説明する。
図10は、抱き合わせ搬送装置12の概略構成を示す側面模式図である。
図11は、シートセット部34及びセット部駆動機構50を示す一部破断正面図である。
【0100】
シートセット部34は、受渡し位置P2において反転装置11のクランプ装置21(21A,21B)に保持されているPTPシート1を該クランプ装置21から押し出し、ホルダ33の保持用スリット31,32の所定のセット位置(受渡し位置P3)に対しそれぞれPTPシート1をセットするためのものである。
【0101】
セット部駆動機構50は、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つのシートセット部34を同時駆動するように構成されている。
【0102】
セット部駆動機構50は、一対の壁部53,54にベアリング機構(符号略)を介して回転可能に支持された駆動軸55を備えている。駆動軸55の一端部(
図11のY方向右端部)にはプーリ56が設けられている。そして、該プーリ56が図示しない所定の駆動手段により所定速度(例えば1分間に200回転)で回転することにより、駆動軸55も同速度で回転するようになっている。
【0103】
駆動軸55のうち、壁部53,54にて挟まれた部分には、上部カラー57が回転可能に設けられている。上部カラー57には、一対のブラケット58が垂下されている。ブラケット58の下端には下部カラー59が設けられている。
【0104】
下部カラー59内には従動軸61がベアリング機構(符号略)を介して回転可能に設けられている。従動軸61の一端部(
図11のY方向右端部)にはプーリ62が設けられている。そして、該プーリ62にテンションプーリ60を介して、駆動軸55側のプーリ56の回転が伝達されるようになっている。これにより、従動軸61は駆動軸55と同速度で回転可能となる。
【0105】
駆動軸55の他端部(
図11のY方向左端部)にはブロック63が設けられている。ブロック63の先端側に設けられた挿通孔には、ベアリング機構(符号略)を介してスライド軸64が挿通されている。
【0106】
スライド軸64の先端には、スライドベアリング機構(符号略)を介してロッド65が支持されている。ロッド65は、前記スライドベアリング機構により、スライド軸64に対し上下方向(Z方向)に相対的にスライド可能となっている。
【0107】
スライド軸64の軸心は駆動軸55の軸心に対し偏心している。このため、駆動軸55が回転すると、スライド軸64が駆動軸55の軸心を中心として旋回し、ロッド65が揺動することとなる。
【0108】
一方、従動軸61の他端部(
図11のY方向左端部)には、その軸心とは偏心した位置に偏心軸66が設けられている。該偏心軸66の周囲にはベアリング機構(符号略)を介してブロック67が設けられている。
【0109】
ブロック67には、ロッド65の下端部が固定されている。このため、従動軸61が回転すると、偏心軸66が従動軸61の軸心を中心として旋回し、ロッド65の下端部が動くこととなる。
【0110】
ロッド65の上端には、アーム68が固定されている。アーム68の上面には、PTPシート1をホルダ33へ送るための上記シートセット部34が設けられている。シートセット部34は、並列状態で立設固定された一対の爪部69により構成されている。
【0111】
上記構成の下、シートセット部34(一対の爪部69)が所定の動作を行うことにより、クランプ装置21(21A,21B)に把持されていたPTPシート1がホルダ33の保持用スリット31,32へと移送されることとなる。
【0112】
尚、本実施形態では、駆動軸55とスライド軸64との偏心量に基づいて爪部69の先端の前後方向(X方向)における移動量(前後ストローク)が主として決定され、従動軸61と偏心軸66との偏心量に基づいて爪部69の先端の上下方向(Z方向)における移動量(上下ストローク)が主として決定されるようになっている。
【0113】
さらに、本実施形態では、上保持用スリット31へPTPシート1を案内する場合と、下保持用スリット32へPTPシート1を案内する場合とでは、爪部69の動作が相違するよう構成されている。具体的には、爪部69の先端の前後ストロークが異なるよう構成されている。
【0114】
より詳しくは、
図10に示すように、駆動軸55の半分の速度(例えば1分間に100回転)で回転する回転軸71が別途設けられると共に、該回転軸71の軸心から若干の偏心量Hだけ偏心した位置に基端部が支持されたレバー72が設けられている。さらに、該レバー72の先端が従動軸61側に連結されている。
【0115】
ここで、例えば所定のサイクルにおいて、爪部69が前進端(
図10のX方向右端)にあるとき、レバー72の偏心(回転軸71の軸心に対するレバー72の支持点の位置)が
図10のX方向左側にくるように設定したとする。
【0116】
この場合、爪部69は回転軸71の2倍の速度で回転(揺動)動作するため、次回のサイクルにおいて爪部69が前進端にくるとき、レバー72の偏心は
図10のX方向右側にくることとなる。
【0117】
つまり、所定のサイクルにおける爪部69の前進端位置と、その次のサイクルにおける爪部69の前進端位置とでは、偏心量Hの2倍の差が生じることとなる。
【0118】
これにより、
図8(b)に示すように、上保持用スリット31に案内されるPTPシート1の方が、下保持用スリット32に案内されるPTPシート1よりも前進した位置まで移送されセットされることとなる。具体的には、上述したとおり、各保持用スリット31,32にセットされる2枚のPTPシート1の短手方向(x方向)の端縁部の位置が上記所定寸法Δxずれた状態となるよう構成されている。
【0119】
尚、本実施形態においては、レバー72の偏心を適宜調整可能に構成されている。例えば所定のサイクルにおいて、爪部69が前進端(
図10のX方向右端)にあるとき、レバー72の偏心が
図10の下側にくるように設定したとする。
【0120】
この場合、爪部69は回転軸71の2倍の速度で回転(揺動)動作するため、次回のサイクルにおいて爪部69が前進端にくるとき、レバー72の偏心は
図10の上側にくることとなる。
【0121】
つまり、所定のサイクルにおける爪部69の前進端位置と、その次のサイクルにおける爪部69の前進端位置とがほぼ同じ位置となり、移送量にほとんど差がなくなることとなる。
【0122】
このように、レバー72の偏心を適宜調整することで、PTPシートの種別の違いなど、そのときどきのニーズに応じて、上保持用スリット31に案内されるPTPシート1の上側セット位置と、下保持用スリット32に案内されるPTPシート1の下側セット位置との相対位置関係を適宜調整することが可能となる。
【0123】
次に、チャック送り機構35について
図12〜
図14を参照して詳しく説明する。
図12は、チャック送り機構35を示す側面図である。
図13は、カム81及びカムフォロア84等の構成を説明するための模式図であり、
図14は、カム81のプロフィール及びレバー83,85の動作等を説明するための模式図である。
【0124】
チャック送り機構35は、ホルダ33のセット位置(受渡し位置P3)にセットされた上下2枚のPTPシート1を把持して抱き合わせ状態とすると共に、該抱き合わせ状態となったPTPシート組1,1を受渡し位置P4へ旋回搬送するための機構である。
【0125】
尚、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つのチャック送り機構35は同一構造を有しかつ同期して同一動作を行うように構成されている。従って、以下において、特に両者を区別する必要のない場合には、1つのチャック送り機構35として説明する。
【0126】
チャック送り機構35は、回転可能に支持された駆動軸73と、該駆動軸73の回転に伴って回転するインデックス74とを備えている。駆動軸73は間欠駆動機構(図示略)に接続されており、所定の角度(例えば90度)毎に間欠的に駆動されるように構成されている。
【0127】
インデックス74には、駆動軸73の円周方向に等間隔に形成された4つの固定爪75が固定されている。また、インデックス74にはスライド台76が固定されている。スライド台76には可動爪77がスライド可能に取付けられている。これら固定爪75及び可動爪77により、PTPシート1を把持するチャック装置78が構成される。
【0128】
可動爪77は、自身及び固定爪75間に設けられたコイルバネ79の引張力により、常にはチャック装置78が閉じられる方向(固定爪75に近接する方向)へと引っ張られている。
【0129】
さらに、チャック送り機構35には、可動爪77を適宜開閉方向へスライドさせるためのカム機構が設けられている。以下、このカム機構について詳しく説明する。
【0130】
駆動軸73には、ベアリング機構(図示略)を介してカム81が設けられている。インデックス74には、可動爪77に対応するようにして4カ所に回転軸82が設けられている。各回転軸82は、駆動軸73から離間した位置に設けられている。
【0131】
回転軸82には第1レバー83が取付けられている。第1レバー83の先端にはカム81に当接するカムフォロア84が設けられている。また、回転軸82には第2レバー85が取付けられている。第2レバー85の先端部近傍には、可動爪77から突出する突出部86が当接している。
【0132】
これにより、カムフォロア84がカム81の突出部分(カムノーズ)に乗り上げた場合には、第1レバー83及び回動軸82が回動変位して、第2レバー85が回動することとなる。その結果、第2レバー85によって突出部86が押され、可動爪77がコイルバネ79の引張力に抗して開き方向へとスライドすることとなる。
【0133】
尚、カム81は、駆動軸73に対して相対回転可能に設けられているとともに、
図14に示すようなプロフィールを有している。そして、チャック装置78が受渡し位置P4(
図14の右方位置)を過ぎたあたりから、カムフォロア84がカム81の突出部分に乗り上げはじめる。そして、下端位置を過ぎたあたりから可動爪77の開き量Wが増大しはじめる。
【0134】
その後、チャック装置78が受渡し位置P3(
図14の左方位置)に至る間に、可動爪77の開き量Wが最大となる。さらにその後、可動爪77は急激に閉じはじめ、PTPシート1を把持可能となる。
【0135】
また、
図3に示すように、チャック送り機構35から積上げ装置13へPTPシート1を受け渡す受渡し位置P4においては、シート送り機構92が設けられている。シート送り機構92は、ロッド93及び爪部94等を備えている。
【0136】
そして、チャック送り機構35の動作に連動して、爪部94が所定の動作を行うことにより、チャック装置78に把持されたPTPシート組1,1が積上げ装置13へと移送されることとなる。
【0137】
尚、各搬送レーン8L,8Rに対応して設けられた2つの積上げ装置13は同一構造を有しかつ同期して同一動作を行うように構成されている。従って、以下において、特に両者を区別する必要のない場合には、1つの積上げ装置13として説明する。
【0138】
積上げ装置13は、抱き合わせ状態とされたPTPシート組1、1を所定組数(例えば5組10枚)ずつ積み上げる積み上げ機構(図示略)を備え、順次搬送されてくるPTPシート組1、1を所定組数ずつ集積する機能を有する。
【0139】
次に集積機構7の各搬送レーン8L,8Rにおいて、PTPシート1を2枚一組の抱き合わせ状態とした上で所定組数ずつ積み重ねる手順について詳しく説明する。
【0140】
図3に示すように、ブリスター包装機から受渡し位置P1まで搬送されてきたPTPシート1は、シート送り機構10によって、反転装置11のクランプ装置21(21A,21B)に対しポケット部2が下を向いた状態で1枚ずつ順次受け渡される。そして、反転装置11は、これらを1枚おきに表裏反転しつつ受渡し位置P2へ旋回搬送する。
【0141】
尚、クランプ装置21(21A,21B)は、自身のレーン幅方向中央部が各搬送レーン8L,8Rのレーン幅方向中央部にあたるセンターラインC0に位置するように配置されている(
図5参照)。
【0142】
そして、クランプ装置21(21A,21B)は、自身のレーン幅方向中央部とPTPシート1の長手方向中央部が重なるように、該PTPシート1を把持するように設定されている。
【0143】
従って、受渡し位置P1,P2においては、クランプ装置21に把持されたPTPシート1の長手方向中央部が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置した状態となる(
図5参照)。
【0144】
受渡し位置P2には、まず固定クランプ装置21Aによって、ポケット部2が上を向いた状態のPTPシート1が搬送されてくる。
【0145】
これに合わせて、抱き合わせ搬送装置12においては、ホルダ駆動機構38を駆動制御して、所定の基準位置にて待機しているホルダ33をレーン幅方向の第1位置へ移動させる。尚、ホルダ33(一対の保持片36L,36R)が基準位置にて待機している状態においては、一対の上保持用スリット31,31間及び一対の下保持用スリット32,32間の間隔がそれぞれPTPシート1の長手方向の長さVに対応した所定間隔Vとなっている。
【0146】
そして、ホルダ33(一対の保持片36L,36R)が基準位置から第1位置へ移動する際には、上記所定間隔Vを維持しつつ、両保持片36L,36Rが同一方向へ連動して移動することとなる。かかる動作制御が本実施形態における第1の位置合わせ制御に相当する。
【0147】
かかる制御が完了すると、一対の下保持用スリット32,32間のレーン幅方向中央部C1が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となる。
【0148】
そして、固定クランプ装置21Aによって受渡し位置P2へPTPシート1が搬送されてくると、シートセット部34(一対の爪部69)によって、固定クランプ装置21AからPTPシート1が押し出され、一対の下保持用スリット32,32間へ導かれる。
【0149】
この際、
図15(a),(b)に示すように、固定クランプ装置21Aから移送されるPTPシート1の長手方向中央部D1と、一対の下保持用スリット32,32間のレーン幅方向中央部C1が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となっている。
【0150】
このようにシートセット部34により押されたPTPシート1は、その長手方向(y方向)両端縁部を下保持用スリット32に支持されつつ、所定の下側セット位置(受渡し位置P3)まで移送され、セットされる〔
図8(b)参照〕。
【0151】
続いて、受渡し位置P2には、可動クランプ装置21Bによって、ポケット部2が下を向いた状態のPTPシート1が搬送されてくる。
【0152】
これに合わせて、抱き合わせ搬送装置12においては、ホルダ駆動機構38を駆動制御して、上記第1位置にあるホルダ33をレーン幅方向の第2位置へ所定寸法Δy(PTPシート組1,1の長手方向におけるズレ量Δy)だけ移動させる。尚、ホルダ33(一対の保持片36L,36R)が第1位置から第2位置へ移動する際には、一対の上保持用スリット31,31間及び一対の下保持用スリット32,32間が上記所定間隔Vを維持しつつ、両保持片36L,36Rが同一方向へ連動して移動することとなる。かかる動作制御が本実施形態における第2の位置合わせ制御に相当する。
【0153】
かかる制御が完了すると、一対の上保持用スリット31,31間のレーン幅方向中央部C2が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となる。
【0154】
そして、可動クランプ装置21Bによって受渡し位置P2へPTPシート1が搬送されてくると、シートセット部34(一対の爪部69)によって、可動クランプ装置21BからPTPシート1が押し出され、一対の上保持用スリット31,31間へ導かれる。
【0155】
この際、
図16(a),(b)に示すように、可動クランプ装置21Bから移送されるPTPシート1の長手方向中央部D2と、一対の上保持用スリット31,31間のレーン幅方向中央部C2が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となっている。
【0156】
このようにシートセット部34により押されたPTPシート1は、その長手方向(y方向)両端縁部を上保持用スリット31に支持されつつ、所定の上側セット位置(受渡し位置P3)まで移送され、セットされる〔
図8(b)参照〕。
【0157】
尚、上保持用スリット31へPTPシート1を案内する場合と、下保持用スリット32へPTPシート1を案内する場合とでは、シートセット部34の前後ストロークが異なっているため、上保持用スリット31に案内されるPTPシート1の方が、下保持用スリット32に案内されるPTPシート1よりも前進した位置まで送られる。
【0158】
さらに、保持用スリット31,32の中間部分は、PTPシート1のカール方向とは逆向きの湾曲状に形成されているため、該湾曲部分が抵抗となって、PTPシート1の行き過ぎが抑制される。これにより、当初予定された位置にて適切にPTPシート1を停止、保持することができる。
【0159】
これにより、上下2枚のPTPシート1は、互いにポケット部2を向き合せた状態となると共に、シート長手方向(y方向)の端縁部の位置が所定寸法Δyずれ、かつ、シート短手方向(x方向)の端縁部の位置が所定寸法Δxずれた位置にセットされた状態となる。
【0160】
上下2枚のPTPシート1のセットが完了すると、該セット位置に向けチャック送り機構35のチャック装置78が移動してくる。
【0161】
これに合わせて、抱き合わせ搬送装置12においては、ホルダ駆動機構38を駆動制御して、上記第2位置にあるホルダ33をレーン幅方向の第3位置へ所定寸法Δy/2(PTPシート組1,1の長手方向におけるズレ量Δyの半分)だけ移動させる。
【0162】
そして、ホルダ33(一対の保持片36L,36R)が第2位置から第3位置へ移動する際には、一対の上保持用スリット31,31間及び一対の下保持用スリット32,32間が上記所定間隔Vを維持しつつ、両保持片36L,36Rが同一方向へ連動して移動することとなる。かかる動作制御が本実施形態における第3の位置合わせ制御に相当する。また、本実施形態では、上記「第3位置」が上記「基準位置」に設定されている。
【0163】
かかる制御が完了すると、一対の保持片36L,36R間のレーン幅方向中央部C3が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となる。つまり、一対の保持片36L,36Rのうちの一方に設けられた上保持用スリット31と、他方に設けられた下保持用スリット32との間のレーン幅方向中央部C3がセンターラインC0に位置合わせされた状態となる。
【0164】
この際、
図17(a),(b)に示すように、チャック装置78(可動爪77及び固定爪75)によって抱き合わせ状態とされる上下2枚のPTPシート1(PTPシート組1,1)の長手方向中央部D3と、一対の保持片36L,36R間のレーン幅方向中央部C3が、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせされた状態となっている。
【0165】
そして、チャック装置78が受渡し位置P3に到達すると、上下2枚のPTPシート1は、該チャック装置78によって把持され、抱き合わせ状態とされていく(
図18参照)。このとき、カム81が
図14の反時計回り方向に若干回動する。これにより、カムノーズに乗り上げていたカムフォロア84が降りるよう制御されることから、可動爪77が固定爪75に対し近接する方向へ相対移動する。
【0166】
同時に、一対の保持片36L,36Rが互いに開く方向へと移動していき、PTPシート1の長手方向端縁部の保持状態が解除されることで、2枚のPTPシート1が予め設定された抱き合わせ状態となる(
図19参照)。
【0167】
尚、チャック装置78(固定爪75及び可動爪77)は、自身のレーン幅方向中央部が各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置するように配置されている(
図18等参照)。
【0168】
そして、チャック装置78は、自身のレーン幅方向中央部とPTPシート組1,1(上下2枚のPTPシート1)の長手方向中央部D3が重なるように、該PTPシート組1,1を把持するように設定されている。従って、チャック装置78に把持されたPTPシート組1,1の長手方向中央部D3は、各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置した状態となる。
【0169】
その後、チャック装置78によって把持されたPTPシート組1,1は、インデックス74の回転に伴って上昇し、受渡し位置P4へと搬送されていく(
図20参照)。同時に、一対の保持片36L,36Rが互いに閉じる方向へと移動していき、一対の保持片36L,36Rが基準位置(第3位置)へ戻り、待機状態となる。
【0170】
同時に、インデックス74の動きに追従して、カム81も前記回動量だけ時計回り方向に回動する。これにより、カム81も元の位置に復帰する。
【0171】
尚、上記「第1位置」が「基準位置」となるような構成としてもよい。かかる場合、ホルダ33が「第3位置」から「基準位置(第1位置)」へ戻り、待機状態となる動作制御により、本実施形態における「第1の位置合わせ制御」が構成されることとなる。
【0172】
そして、PTPシート組1,1が受渡し位置4に到達すると、シート送り機構92の爪部94によって、該PTPシート組1,1が積上げ装置13へ抱き合わせ状態のまま搬送される。
【0173】
以降、上記一連の動作が繰り返し行われることにより、積上げ装置13においては、抱き合わせ状態とされたPTPシート組1,1が順次、積み上げられていく。そして、積上げ装置13の内部に所定組数のPTPシート組1,1が積み上げられると、該集積体(例えば5組10枚のPTPシート1の束)は、積上げ装置13から次の包装工程へと送り出される。そして、包装工程においては、集積体がピロー包装されたり、バンド結束されたりすることとなる。
【0174】
以上詳述したように、本実施形態によれば、2枚のPTPシート1を予め設定された所定の相対位置関係で保持可能かつレーン幅方向へ変位可能に設けられたホルダ33(一対の保持片36L,36R)を備えると共に、反転装置11とホルダ33との間、又は、ホルダ33とチャック送り機構35との間で受け渡される対象に応じて、レーン幅方向におけるホルダ33の位置を調整可能に構成されている。
【0175】
例えば、反転装置11からホルダ33へ「ポケット部2が上を向いた状態の第1のPTPシート1」が受け渡される際には、該「第1のPTPシート1」を一対の下保持用スリット32,32間へ受け入れ可能とするべく、該一対の下保持用スリット32,32間のレーン幅方向中央部C1が各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0(反転装置11から受け渡される「第1のPTPシート1」の長手方向中央部D1)に位置するように、ホルダ33の位置調整が行われる。
【0176】
同様に、反転装置11からホルダ33へ「ポケット部2が下を向いた状態の第2のPTPシート1」が受け渡される際には、該「第2のPTPシート1」を一対の上保持用スリット31,31間へ受け入れ可能とするべく、該一対の上保持用スリット31,31間のレーン幅方向中央部C2が各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0(反転装置11から受け渡される「第2のPTPシート1」の長手方向中央部D2)に位置するように、ホルダ33の位置調整が行われる。
【0177】
また、ホルダ33からチャック送り機構35へ「抱き合わせ状態となる上下2枚のPTPシート1」が受け渡される際には、該「上下2枚のPTPシート1(PTPシート組1,1)」の長手方向中央部D3をチャック送り機構35が各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0において把持可能とするべく、一対の保持片36L,36R間のレーン幅方向中央部C3が各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置するように、ホルダ33の位置調整が行われる。
【0178】
これにより、例えばPTPシート1(耳なしPTPシート)のように、抱き合わせ状態とした際にシート長手方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる製品仕様のPTPシート1であっても、その長手方向中央部を基準として、該長手方向中央部を各搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置合わせした状態で反転装置11、ホルダ33及びチャック送り機構35において把持したり保持することができると共に、反転装置11からホルダ33へのPTPシート1の受渡し、及び、ホルダ33からチャック送り機構35へのPTPシート1の受渡しを適切に行うことができる。
【0179】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0180】
(a)上記実施形態では、内容物が錠剤5である場合について具体化しているが、内容物の種別、形状等については特に限定されるものではなく、例えばサプリメントや食品、電子部品等が内容物として充填される構成であってもよい。勿論、これらの内容物に対応して形成されるポケット部2の形状や大きさ等に関しても上記実施形態に限定されるものではない。
【0181】
(b)容器フィルム3及びカバーフィルム4の素材、ポケット部2の数や配列、形状など、PTPシート1の構成は上記実施形態(2列10個のポケット部)に限定されるものではない。
【0182】
例えば容器フィルム3が、アルミラミネートフィルムなど、アルミニウムを主材料とした金属材料により形成された構成としてもよい。また、例えば3列12個のポケット部2を有するタイプをはじめ、様々な配列、個数からなるPTPシート1を採用することができる。勿論、シート短手方向に沿った横スリット(切離用スリット3a)が省略された構成としてもよいし、横スリット(切離用スリット3a)に代えて又は加えて縦スリット(シート長手方向に沿った切離用スリット)が形成された構成としてもよい。
【0183】
また、上記実施形態では、耳部を有しない耳なしPTPシート1を作業対象としているが、これに限らず、耳部を有する耳ありPTPシートを作業対象としてもよい。
【0184】
2枚の耳ありPTPシートを、耳部の向きがシート長手方向に対し同じ向きとなるように抱き合わせる場合は勿論のこと、2枚の耳ありPTPシートを、従来同様、耳部の向きがシート長手方向に対し異なる向きとなるように抱き合わせる場合であっても、抱き合わせ状態において2枚の耳ありPTPシートのシート長手方向端縁部のズレ量が比較的大きくなる場合には、上記実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
【0185】
(c)2枚のPTPシート1の抱き合わせ形態は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0186】
例えば上記実施形態に係るPTPシート組1,1は、抱き合わせ状態とされた2枚のPTPシート1の長手方向(y方向)の端縁部の位置が所定寸法Δyずれた状態となると共に、両PTPシート1の短手方向(x方向)の端縁部の位置が所定寸法Δxずれた状態となるように予め設定されている。
【0187】
これに限らず、例えば抱き合わせ状態となる2枚のPTPシート1の短手方向(x方向)の端縁部にズレ寸法が予め設定されていない構成としてもよい。
【0188】
(d)上記実施形態に係る集積機構7には、PTPシート1を搬送する2つの搬送レーン8L,8Rが並設されると共に、各搬送レーン8L,8Rに係る抱き合わせ搬送装置12等が同期して動く構成となっている。
【0189】
これに限らず、PTPシート1を搬送する搬送レーンが1つだけ設けられた構成としてもよいし、3つ以上設けられた構成としてもよい。また、各搬送レーン8L,8Rに係る抱き合わせ搬送装置12等がそれぞれ独立して動く構成としてもよい。
【0190】
(e)受渡し手段や受取り手段の構成は、上記実施形態に係る反転装置11やチャック送り機構35等に限定されるものではない。
【0191】
例えば上記実施形態に係る反転装置11は、受渡し位置P1において受け取ったPTPシート1を把持して、1枚おきに表裏反転しつつ受渡し位置P2へ旋回搬送する構成となっている。これに限らず、例えばPTPシート1を吸着搬送してホルダ33へ受け渡す構成の受渡し手段を採用してもよい。
【0192】
また、「ポケット部2が上を向いた状態の第1のPTPシート1」をホルダ33へ受け渡す機構と、「ポケット部2が下を向いた状態の第2のPTPシート1」をホルダ33へ受け渡す機構を別々に備えた受渡し手段を採用してもよい。
【0193】
かかる構成によれば、例えば耳ありPTPシートを、耳部の向きがシート長手方向に対し同じ向きとなるように抱き合わせ状態とする場合において、より奏効することとなる。
【0194】
但し、ブリスター包装機の各排出部から順次一定の方向に向けられた状態(上記実施形態ではポケット部2が下を向いた状態)で受渡し位置P1まで搬送されてくるPTPシート1を1枚おきに表裏反転し、上記「第1のPTPシート1」と上記「第2のPTPシート1」を交互にホルダ33へ受渡し可能とした点においては、上記実施形態に係る反転装置11のような反転手段を受渡し手段として備えることが好ましい。
【0195】
(f)保持手段の構成は、上記実施形態に係るホルダ33(一対の保持片36L,36R)に限定されるものではない。
【0196】
例えば各保持片36L,36Rにおける上保持用スリット31及び下保持用スリット32のレーン幅方向(Y方向)における位置ズレ量Δyを可変とした構成としてもよい。
【0197】
かかる構成によれば、種別の異なるPTPシートに対応することが可能となり、汎用性を高めることができる。
【0198】
上記実施形態に係る構成によれば、種別の異なるPTPシートであっても、常に搬送レーン8L,8RのセンターラインC0にPTPシートの長手方向中央部を位置合わせすることが可能となるため、反転装置11からホルダ33へのPTPシート1の受渡しや、ホルダ33からチャック送り機構35へのPTPシート1の受渡しを円滑に行うことができる。換言すれば、搬送レーン8L,8RのセンターラインC0を基準にして種々のPTPシートに対応することができる。
【0199】
尚、抱き合わせ状態においてシート長手方向端縁部のズレ量Δyが上記実施形態と同一となるPTPシートであれば、一対の保持片36L,36Rの間隔を変更するだけで、PTPシートの種別に関係なく、ホルダ33(一対の保持片36L,36R)をそのまま用いて対応することができる。
【0200】
(g)上下2枚のPTPシート1を予め設定された所定の相対位置関係で保持可能な構成としては、上保持用スリット31を有したレーン幅方向一対の上保持片と、下保持用スリット32を有したレーン幅方向一対の下保持片とを別々に備えると共に、これらを個別に制御する構成なども考えられる。
【0201】
しかしながら、かかる構成とした場合には、構造や制御が複雑化するのは勿論のこと、上下で別々に駆動制御されるため、その誤差等により、抱き合わせ状態となったPTPシート組1,1に抱き合わせ誤差(予め設定されたズレ寸法以上のズレ)が生じるおそれがある。
【0202】
抱き合わせ状態とした際の2枚のPTPシート1のズレ寸法は予め製品仕様により定められているため、PTPシート組1,1の相対位置関係にズレが生じると、例えばピロー包装を適正に行うことができないなど、その後の工程に支障をきたすおそれがある。
【0203】
この点においては、保持片36L,36Rのように、上保持用スリット31及び下保持用スリット32を一体に備えたものを上記実施形態のように動作制御することが好ましい。
【0204】
(h)上記実施形態では、反転装置11とホルダ33との間、及び、ホルダ33とチャック送り機構35との間で受け渡される対象(「ポケット部2が上を向いた状態の第1のPTPシート1」、「ポケット部2が下を向いた状態の第2のPTPシート1」又は「抱き合わせ状態となる上下2枚のPTPシート1」)に応じて、該対象の長手方向中央部が搬送レーン8L,8RのセンターラインC0に位置するように、ホルダ33の位置調整が行われる構成となっている。
【0205】
これに限らず、少なくとも反転装置11とホルダ33との間、又は、ホルダ33とチャック送り機構35との間で対象を受渡し可能なように、ホルダ33が位置調整される構成となっていればよい。
【0206】
但し、各種対象の長手方向中央部が常にセンターラインC0を維持するように、各種対象の受渡しが行われていく構成とした方が、一連の抱き合わせ作業を円滑に進めることができる。結果として、生産性を高めることができる。