特開2019-99477(P2019-99477A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鳥居 佳人の特許一覧 ▶ 鳥居 智子の特許一覧

特開2019-99477免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法
<>
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000002
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000003
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000004
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000005
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000006
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000007
  • 特開2019099477-免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2019-99477(P2019-99477A)
(43)【公開日】2019年6月24日
(54)【発明の名称】免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/28 20060101AFI20190603BHJP
   A61K 36/63 20060101ALI20190603BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20190603BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20190603BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20190603BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20190603BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20190603BHJP
   A61K 127/00 20060101ALN20190603BHJP
   A61K 135/00 20060101ALN20190603BHJP
【FI】
   A61K36/28
   A61K36/63
   A61K36/78
   A61P37/04
   A61K45/00
   A23L33/105
   A23L2/00 F
   A61K127:00
   A61K135:00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-230085(P2017-230085)
(22)【出願日】2017年11月30日
(71)【出願人】
【識別番号】517231869
【氏名又は名称】鳥居 佳人
(71)【出願人】
【識別番号】517419272
【氏名又は名称】鳥居 智子
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】団 克昭
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 佳人
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C084
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE03
4B018MD23
4B018MD48
4B018MD61
4B018ME08
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF06
4B018MF07
4B018MF14
4B117LC04
4B117LG24
4B117LK16
4B117LL09
4B117LP01
4B117LP03
4B117LP20
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZC222
4C088AB26
4C088AB47
4C088AB64
4C088AC05
4C088BA07
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA02
4C088MA03
4C088MA07
4C088NA14
4C088ZB09
(57)【要約】
【課題】 天然物由来の新たな免疫活性化剤の製造方法を提供する。
【解決手段】 Gynura procumbensを0℃以上40℃以下で乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥したGynura procumbensを0℃以上40℃以下に保ちながら裁断または粉砕する裁断・粉砕工程とを含む。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Gynura procumbensを0℃以上40℃以下で乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程により乾燥したGynura procumbensを0℃以上40℃以下に保ちながら裁断または粉砕する裁断・粉砕工程と
を含む免疫活性化剤の製造方法。
【請求項2】
前記Gynura procumbensとして、Gynura procumbensの葉または茎の少なくとも一方を用いる請求項1記載の免疫活性化剤の製造方法。
【請求項3】
さらにビタミン類、オリーブまたはその抽出物およびドクダミまたはその抽出物のうちの少なくとも1つを添加する工程を含む請求項1または2に記載の免疫活性化剤の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の免疫活性化剤の製造方法により得られる免疫活性化剤を食品または飲料に配合させる工程を含む免疫活性化用飲食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
免疫は、細菌やウイルスなどの抗原の体内への侵入による悪影響から身を守るための防御システムである。生体における免疫は、自然免疫と獲得免疫との2つに大きく分けられる。
【0003】
自然免疫は、抗原が体内へ侵入してからすぐに作用すると共に、抗原の情報を獲得免疫に伝達する。ここで、自然免疫には、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞等が関与し、抗原の消化や分解による排除、サイトカインの産生等が行われる。
【0004】
また、獲得免疫は、マクロファージ等の自然免疫にかかわる免疫細胞により情報伝達されたT細胞により行われる。ここで、獲得免疫に関与するT細胞は、未成熟のヘルパーT細胞がサイトカイン等により分化誘導刺激を受けてTh1細胞またはTh2細胞に変化する。Th1細胞は細胞性免疫に関与し、感染防御・抗腫瘍免疫等の生体防御能を増強させる。また、Th2細胞は体液性免疫に関与する。
【0005】
また、感染防御・抗腫瘍免疫等の生体防御能を増強させ、感染症やがんの治療又は予防を目的とした免疫活性化剤についての様々な研究が行われている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0006】
特許文献1では、サラシア属植物またはその抽出物、特許文献2においては茶由来のカテキン類の代謝物についてそれぞれ検討が行われている。また、特許文献2にも「カテキン代謝物のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)活性に対する作用については知られていない」と記載されているように、天然物由来の成分について知られていない作用は数多く存在すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−235544号公報
【特許文献2】特開2016−160238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、天然物由来の新たな免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、鋭意検討の結果、ギヌラ(キク科ギヌラ属)を用いることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明によれば、
(1) Gynura procumbensを0℃以上40℃以下で乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥したGynura procumbensを0℃以上40℃以下に保ちながら裁断または粉砕する裁断・粉砕工程とを含む免疫活性化剤の製造方法、
(2) 前記Gynura procumbensとして、Gynura procumbensの葉または茎の少なくとも一方を用いる(1)記載の免疫活性化剤の製造方法、
(3) さらにビタミン類、オリーブまたはその抽出物およびドクダミまたはその抽出物のうちの少なくとも1つを添加する工程を含む(1)または(2)に記載の免疫活性化剤の製造方法、
(4) (1)〜(3)の何れかに記載の免疫活性化剤の製造方法により得られる免疫活性化剤を食品または飲料に配合させる工程を含む免疫活性化用飲食品の製造方法、
が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天然物由来の新たな免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】免疫誘導反応の検討の結果を示すグラフである。
図2】免疫誘導反応の検討の結果を示すグラフである。
図3】免疫誘導反応の検討の結果を示すグラフである。
図4】自然免疫反応の検討の結果を示すグラフである。
図5】獲得免疫反応の検討の結果を示すグラフである。
図6】がん細胞に対する直接的殺細胞効果の検討の結果を示すグラフである。
図7】キラー細胞、ナチュラルキラー細胞の活性化を介するがん細胞障害活性の検討の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の免疫活性化剤の製造方法および免疫活性化用飲食品の製造方法について説明する。本発明の免疫活性化剤の製造方法は、ギヌラを0℃以上40℃以下で乾燥する乾燥工程と、前記乾燥工程により乾燥したギヌラを0℃以上40℃以下に保ちながら裁断または粉砕する裁断・粉砕工程と、を含む。
【0014】
ギヌラは、キク科ギヌラ属に属する。ギヌラ属としては、Gynura bicolor、Gynura cusimbua、Gynura divaricata、Ginura eliptica、Gynura formosana、Gynura japonica (Gynura segetum)、Gynura nepalensis、Gynura procumbens、Gynura pseudochina等が挙げられ、Gynura procumbensを好適に用いることができる。
Gynura procumbensとしては、葉、茎、根などのいずれを用いてもよいが、葉または茎を用いることが好ましく、葉を用いることがより好ましい。
【0015】
ギヌラは、採取後に乾燥し、裁断または粉砕したものを用いることが好ましい。乾燥は、0℃以上40℃以下、好ましくは0℃以上36℃以下、より好ましくは0℃以上34℃以下の温度条件で行うことが好ましい。また、低温除湿乾燥を行うことが好ましい。
【0016】
上記温度よりも高い温度で乾燥を行うと、ギヌラに含まれる成分のうち、本発明の効果を奏する成分が変性または分解すると考えられ、本発明の効果を得ることはできない。また、裁断または粉砕の前または後に冷凍保存した場合も、本発明の効果を得ることはできない。
【0017】
また、低温除湿乾燥を行う際の湿度は、好ましくは相対湿度にて10%以下である。また、低温除湿乾燥は数時間〜50時間行うことが好ましく、10時間〜30時間行うことより好ましい。
【0018】
また、ギヌラを裁断または粉砕する際の方法は、公知の裁断または粉砕方法により行うことができるが、ギヌラの葉を上記乾燥条件における温度範囲に保ちながら裁断または粉砕を行うことが好ましい。このような方法を行うために、冷却式粉砕機を用いることが好ましく、たとえば、冷却しながら粉砕を行うビーズミルやホモジナイザー、水冷式の石臼等を用いることができる。
なお、ギヌラの保存状態を良好に保つ観点から、ギヌラをジューサー等にかけて水分を含む状態で保存することは好ましくない。本発明のようにギヌラを乾燥させた状態で保存することが好ましい。
上述のようにして処理されたギヌラは、免疫活性化剤として用いることができる。
【0019】
上述のように処理されたギヌラに、オリーブまたはその抽出物、ドクダミまたはその抽出物を添加してもよい。また、本発明のギヌラまたはその抽出物を含む免疫活性剤にビタミン、アミノ酸、タンパク質、ミネラル分、脂肪酸、ペプチド等の追加成分を添加してもよい。追加成分としては、ビタミンを添加することが好ましく、ビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEまたはこれらのビタミン類の誘導体等が挙げられる。
【0020】
上述のように処理されたギヌラと、オリーブまたはその抽出物、ドクダミまたはその抽出物および追加成分の合計量との重量比率は、好ましくは50:50〜100:0、より好ましくは70:30〜100:0、さらに好ましくは80:20〜100:0である。
【0021】
本発明の免疫活性化剤の製造方法により得られる免疫活性化剤は、食品や飲料等に配合することができる。食品としては、パン類、麺類、菓子類、食肉加工品、魚介加工品、冷凍食品、ゼリー類、アイスクリーム類、乳製品、各種調味料等が挙げられる。また、一般食品の他、特定保健用食品、医薬部外品、健康食品、サプリメントにも配合させることができる。飲料としては、清涼飲料水、乳飲料、酒類、茶、紅茶飲料、コーヒー、果汁飲料、炭酸飲料、ミネラルウォーター類、果実・野菜飲料等が挙げられる。
【0022】
また、本発明の免疫活性化剤の製造方法により得られる免疫活性化剤を配合させた食品や飲料を、錠剤、カプセル剤、シロップ等の経口投与製剤と同様の形態としてもよい。
【0023】
また、本発明の免疫活性化剤の製造方法により得られる免疫活性化剤を配合させた食品や飲料を製造する際に、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定化剤、ゲル化剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、乳化剤、膨張剤、酸味料、光沢剤、香料等の添加剤;溶剤;油を添加してもよい。これらの添加剤は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
上記食品や飲料中に配合される免疫活性化剤の割合は、使用目的に応じて適宜調整することができるが、上記食品や飲料中に配合される免疫活性化剤の割合は、好ましくは0.0001〜80重量%、より好ましくは0.003〜50重量%、さらに好ましくは0.005〜30重量%である。
【0025】
また、本発明の製造方法により得られる免疫活性化剤は、医薬品分野において、感染症やがんの治療又は予防を目的とする用途に有用である。本発明の免疫活性化剤は、単独で用いてもよいし、又は一般に製剤上許容される添加剤と共に混和し、製剤化してもよい。また、投与形態としては、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、エキス剤等の経口剤を用いた投与形態または、注射剤、液剤、坐剤、軟膏剤、貼付剤、パップ剤、ローション剤等の非経口剤を用いた投与形態等が挙げられるが、特に制限はなく、治療目的等に応じて適宜選択することができる。
【0026】
また、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤、散剤の場合には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の添加剤を含有させることができる。賦形剤としては、デンプン、カルボキシメチルセルロース、白糖、デキストリン、コーンスターチ等を挙げることができる。
【0027】
結合剤としては、結晶セルロース、結晶セルロース・カルメロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルメロースナトリウム、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デキストリン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロW ピルスターチ、プルラン、ポリビニルピロリドン、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE 、アミノアルキルメタクリレートコポリマーRS、メタクリル酸コポリマーL 、メタクリル酸コポリマー、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、アラビアゴム、アラビアゴム末、寒天、ゼラチン、白色セラック、トラガント、精製白糖、マクロゴールが挙げられる。
【0028】
崩壊剤としては、結晶セルロース、メチルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、トラガントが挙げられる。
【0029】
滑沢剤としては、コムギデンプン、コメデンプン、トウモロコシデンプン、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、タルク、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸水素カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ロウ類、水素添加植物油、ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0030】
また、液剤、シロップ剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤の場合には、水や植物油等の一般的に用いられる不活性な希釈剤の他、着色剤、矯味剤、着香剤等を添加剤として含有させてもよい。
【0031】
また、注射剤の場合には、懸濁液、乳濁液、用時溶解剤等の添加剤を含有させることができる。また、軟膏剤、坐剤の場合には、脂肪、脂肪油、ラノリン、ワセリン、パラフィン、ろう、樹脂、プラスチック、基剤、グリコール類、高級アルコール、水、乳化剤、懸濁化剤等を添加剤として含有させることができる。また、パップ剤の場合にはグリセリン、水、水溶性高分子、吸水性高分子等を添加物として含有させることができる。また、ローション剤の場合には、溶剤、乳化剤、懸濁化剤等を添加剤として含有させることができる。
【実施例】
【0032】
以下に、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、本実施例における部および%は、特記しない限り重量基準である。
【0033】
本実施例においては、ギヌラについて、(1)免疫誘導反応の検討、(2)自然免疫反応及び獲得免疫反応の検討、(3)がん細胞への細胞障害活性の検討を行った。
(1) 免疫誘導反応の検討
(検体の調製)
免疫誘導反応の検討に用いるギヌラの葉の検体としては下記の4種類を調製した。
【0034】
検体A.採取されたギヌラ(Gynura procumbens)の葉を20〜30℃、相対湿度10%以下の条件にて低温除湿乾燥させた。低温除湿乾燥後のギヌラの葉を20〜30℃にて粉砕し、超純水に加えて検体を得た。
【0035】
検体B.採取されたギヌラ(Gynura procumbens)の葉を室温(25℃程度)で低速ジューサーにかけ、得られた液体および繊維質の両方を用いて、検体とした。
【0036】
検体C.採取されたギヌラ(Gynura procumbens)の葉を室温(25℃程度)で低速ジューサーにかけ、得られた液体および繊維質のうち、液体のみを用いて、検体とした。
検体D.検体Bを凍結し、その後解凍し、検体とした。
また、ビワの葉、クマ笹の葉、明日葉の葉、ドクダミの葉については、葉のまま検体として用いた。
【0037】
(免疫誘導反応の検討)
検体A〜D、ビワの葉、クマ笹の葉、明日葉の葉及びドクダミの葉の検体をそれぞれ1/10000に希釈し、マウス脾臓細胞に添加し、その際のサイトカイン−mRNA量の変動を定量PCR法により検討した。
【0038】
より具体的には、6種のサイトカイン−mRNAの変動を(i)免疫誘導反応剤なし、(ii)免疫誘導反応剤としてコンカナバリンA(ConA)2μg/mL、(iii)リポポリサッカライド(LPS)1μg/mL用いた場合について、検討を行った。また、これらの(i)〜(iii)を、上記検体を加えずに行った場合(以下、「薬物刺激のみ」という。)についても検討を行った。
【0039】
また、サイトカインとしては、IL1a,IFN,TNF,IL4,IL12,IL2の6種類について検討を行った。結果を図1〜3に示す。なお、細胞内に定常的に発現しているmRNA(GAPDH)を基準にその相対的発現量との差をDelta Ct値(PCRサイクル数の差)として示した。結果を図1〜3に示す。
【0040】
図1〜3より、IL1a,IFN,IL4における上昇度合いから、ギヌラの葉の検体(検体A〜D)においては、低温除湿乾燥後に粉砕を行う検体Aが免疫反応を引き起こす有効成分を効率よく抽出できる、または保持することができるものであると考えられる。また、IL1a,IFN,IL4における上昇度合いから、クマ笹の葉及びドクダミの葉の検体については、その作用が強いことが示唆された。
【0041】
(2) 自然免疫反応及び獲得免疫反応の検討
(検体の調製)
自然免疫反応及び獲得免疫反応の検討に用いるギヌラの葉の検体は、上記免疫誘導反応の検討に用いる検体Aを用いた(以下、この項においては、「ギヌラの葉の検体」という)。
【0042】
また、ドクダミの葉、オリーブの葉についても検体として用いた。また、フコイダンについても、ギヌラの葉の検体の濃度と同等の濃度となるように検体を調製した。
【0043】
(自然免疫反応の検討)
マウスからマクロファージを単離し、各検体をそれぞれ1/100、1/1000、1/10000および1/100000に希釈し添加した後、一定量の蛍光ビーズを添加し8時間培養した。そして、培養したマクロファージを蛍光顕微鏡で観察し、取り込まれた蛍光ビーズ量を蛍光量として数値化した。
【0044】
検体としては、ギヌラの葉、ドクダミの葉、オリーブの葉およびフコイダンの検体、さらに前記4種の混合検体を用いた。また、これらの検体を用いないControlについても検討を行った。
【0045】
また、数値化としては、蛍光顕微鏡を用いて蛍光ビーズの取り込みの状態を示す画像を取得し、画像中、一定の蛍光輝度以上の総面積に基づいて数値化処理を行った。結果を図4に示す。図4においては、各検体について添加量(希釈倍率)ごとに数値化した取り込み蛍光量をヒストグラムにて示した。
【0046】
(獲得免疫反応の検討)
マウス脾臓リンパ球(CD4+T細胞)を単離し、各検体をそれぞれ1/100、1/1000および1/10000に希釈し添加した後、1週間培養した。T細胞がIFN−γを産生するようになるとTh1細胞に、T細胞がIL−4を産生するようになるとTh2細胞に分化したことがそれぞれ示される。
【0047】
従って、培養後、IFN−γを産生するリンパ球をTh1、IL−4を産生するリンパ球をTh2とし、それぞれの存在を、蛍光標識抗体を用いて測定した。測定結果から各検体について、希釈倍率毎にTh1/Th2の比率を求めた。結果を図5に示す。なお、図5の混合検体の希釈倍率10000倍のデータについては、Th1/Th2が94.5であったが、図5の見易さの観点から表示を省略した。
【0048】
図4および図5からギヌラの葉の検体は、自然免疫反応よりも獲得免疫反応に強く働きかけることが明らかになった。このことから、キラーT細胞、ナチュラルキラー細胞等を活性化している、または腫瘍細胞への殺細胞効果などが認められれば、抗腫瘍効果が認められると考えられる。
【0049】
(3) がん細胞への細胞障害活性の検討
(検体の調製)
がん細胞への細胞障害活性の検討に用いるギヌラの葉の検体は、上記免疫誘導反応の検討における検体Aを用いた。(以下、この項においては、「ギヌラの葉の検体」という)
【0050】
また、ドクダミの葉、オリーブの葉についても検体として用いた。また、フコイダンについても、ギヌラの葉の検体の濃度と同等の濃度となるように検体を調製した。
【0051】
(がん細胞に対する直接的殺細胞効果の検討)
がん細胞を培養し、直接それぞれの検体を添加した際の細胞を死滅させる殺細胞効果を検討した。がん細胞としては3種類について検討を行い、固形がん、血液系がん、表皮がんの代表的なマウスがん細胞株を用いた(CT−26;大腸がん、EL−4;リンパ腫、B16 mel;メラノーマ)。なお、検体としては、ギヌラの葉、ドクダミの葉、オリーブの葉およびフコイダンの検体、さらに前記4種の混合検体を用いた。結果を図6に示す。
【0052】
各検体ともEL−4、B16 melに対しては効果を示さなかったが、CT−26に対して若干の効果が認められた。特にオリーブの葉およびドクダミの葉の検体においてその効果は強かった。
【0053】
(キラー細胞、ナチュラルキラー細胞の活性化を介するがん細胞障害活性の検討)
マウス脾臓から単離したリンパ球に各種検体を添加し、1週間培養した。その後、別途培養した3種のがん細胞をそれぞれ培養したリンパ球と併せて培養を継続した。ここで、キラー活性が誘導されると、リンパ球はがん細胞を障害する。このことを測定するために、細胞障害活性測定キット(Takara製 LDH Cytoxicity Detection Kit)を用いて測定した。
【0054】
なお、検体としては、ギヌラの葉、ドクダミの葉、オリーブの葉およびフコイダンの検体、さらに前記4種の混合検体を用いた。また、検体として、Controlについても用いた。がん細胞としては、CT−26、EL−4およびB16 melを用いた。
【0055】
また、リンパ球としては、3種がん細胞に適応する種と不適応な種からそれぞれ単離した。適応リンパ球によってがん細胞が障害され、かつ不適応リンパ球ではがん細胞が障害されないことが、がん特異的キラー活性の誘導と考えることができる。結果をControlに対する割合として図7に示す。
【0056】
図7に示すように適応リンパ球におけるキラー活性が認められ、不適応リンパ球におけるキラー活性が認められないものとは、ギヌラの葉、ドクダミの葉およびオリーブの葉(実)の検体であり、その作用は共通してCT−26に対して強く、また、B16 melではギヌラの葉の検体にのみ効果が認められた。また、全体的に作用が最も強かったのは、ギヌラの葉の検体であった。
なお、4種の混合検体では、フコイダンが他検体の効果を阻害するような結果となった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7