【解決手段】ケラチン及び酸化亜鉛粒子を含み、前記ケラチンが、羊毛由来カチオン化加水分解ケラチン、羊毛由来シリル化加水分解ケラチン、及び羽毛由来加水分解ケラチンからなる群より選択される少なくとも1種であり、且つ数平均分子量が500〜2000である、粒状複合体。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施形態について、さらに詳細に説明する。
【0010】
本発明に包含される粒状複合体は特定のケラチン及び酸化亜鉛粒子を含む。
【0011】
ケラチンは、特に化粧品素材(例えば皮膚コンディショニング剤、ヘアコンディショニング剤等)として、様々な種類のものが知られている。このような公知のケラチンとしては、例えば天然ケラチン、加水分解ケラチン、カチオン化加水分解ケラチン、シリル化加水分解ケラチン等が挙げられる。加水分解ケラチンとしては、ケラチンタンパク質を、酸、アルカリ、又は酵素等により加水分解したものが挙げられる。また、加水分解ケラチンを変性剤等によりカチオン化若しくはシリル化させたり、あるいは予め変性させたカチオン化ケラチンタンパク質若しくはシリル化ケラチンタンパク質を加水分解させて、カチオン化加水分解ケラチン、シリル化加水分解ケラチンを調製することができる。カチオン化加水分解ケラチンとしては、例えばヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解ケラチン、ステアルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン、ラウリルジモニウムヒドロキシプロピル加水分解ケラチン等が知られている。また、シリル化加水分解ケラチンとしては、例えば(ジヒドロキシメチルシリルプロポキシ)ヒドロキシプロピル加水分解ケラチン等が知られている。
【0012】
また、ケラチンの原料としては、主に羊毛及び羽毛が知られている。すなわち、羊毛由来ケラチン及び羽毛由来ケラチンが知られている。
【0013】
本発明に用いられるケラチンは、羊毛由来カチオン化加水分解ケラチン、羊毛由来シリル化加水分解ケラチン、及び羽毛由来加水分解ケラチンである。
【0014】
また、本発明に用いられるケラチンは、平均分子量が500〜2000である。600〜1800がより好ましく、700〜1500がさらに好ましい。当該平均分子量は数平均分子量である。また、各化粧品素材メーカーからの市販品については数平均分子量値が提供されており、本発明におけるケラチンの平均分子量として、当該メーカー提供の数平均分子量値を好ましく用いることができる。
【0015】
ケラチンは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
酸化亜鉛粒子としては、本発明の効果を奏する限り特に制限はされず、球状(真円状、楕円状など)や板状の酸化亜鉛粒子を用いることができる。板状酸化亜鉛粒子が好ましく、例えば円板状、楕円板状、三角板状、四角板状、六角板状等の酸化亜鉛粒子を用いても
よい。特に六角板状酸化亜鉛が好ましい。酸化亜鉛粒子としては、一次粒子径が0.1〜10μmであるものが好ましく、0.1〜5μmであるものがより好ましく、0.2〜4μmであるものがさらに好ましく、0.5〜3μmであるものがよりさらに好ましい。また、アスペクト比が2.5以上であることが好ましい。アスペクト比は、2.7以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。当該一次粒子径及びアスペクト比を求める方法について、以下で、六角板状酸化亜鉛粒子について求める方法を説明するが、その他の形状の酸化亜鉛であっても同様の方法を用いる。
【0017】
六角板状酸化亜鉛粒子としては、一次粒子径が0.1〜10μmであるものが好ましく、0.1〜5μmであるものがより好ましく、0.2〜4μmであるものがさらに好ましく、0.5〜3μmであるものがよりさらに好ましい。このような一次粒子径であると、より高い滑らかさ、低いザラツキ感を有し、かつ、近赤外線遮蔽効果により優れたものとなる。
【0018】
なお、六角板状酸化亜鉛粒子の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えばJSM−6510A:日本電子社製)で撮影した写真の2000〜50000倍の視野での対角線径(六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)(μm)を粒子100個分について計測し、その累積分布の50%から求めた値である。
【0019】
また、六角板状酸化亜鉛粒子は、アスペクト比が2.5以上であることが好ましい。アスペクト比は、2.7以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が2.5以上の板状であることで、形状に由来するより高い滑らかさや低いザラツキ感、より高い近赤外線遮蔽効果を有するものとなる。
【0020】
なお、当該アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えばJSM−6510A:日本電子社製)で六角板状酸化亜鉛粒子を撮影した写真の2000〜50000倍の視野において、六角板状表面が手前を向いている粒子についてその対角線径(六角板状酸化亜鉛粒子の場合、六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)(μm)を粒子100個分計測した平均値をL、六角板状酸化亜鉛粒子の側面が手前を向いている粒子(長方形に見える粒子)についてその厚み(μm)(長方形の短い方の辺の長さ)を粒子100個分計測した平均値をTとしたとき、それらの値の比(L/T)として求めた値である。
【0021】
六角板状酸化亜鉛粒子は、例えば国際公開第2012/147886号、2015/118777号等に開示されており、例えば当該文献に記載の方法で製造することができる。より具体的には、例えば、微粒子酸化亜鉛を亜鉛塩水溶液中で熟成する工程を含む製造方法によって、得ることができる。以下、当該製造方法について詳述する。
【0022】
上記微粒子酸化亜鉛は、特に限定されるものではないが、粒子径が0.005μm以上、0.2μm以下である原料酸化亜鉛を使用することが好ましい。上記原料酸化亜鉛の粒子径は、BET法によって求められる比表面積と同一の表面積を有する球の直径に相当する。すなわち、粒子径は、BET法により測定して求めた比表面積:Sgと、酸化亜鉛の真比重:ρから、下記計算式により求めた値である。BET法による測定には、全自動BET比表面積測定装置(例えばMacsorb Model HM−1200(Mountech社製))を用いることができる。
粒子径(μm)=[6/(Sg×ρ)]
(Sg(m
2/g):比表面積、ρ(g/cm
3):粒子の真比重)
【0023】
なお、当該計算において、粒子の真比重:ρは、酸化亜鉛の真比重の値である5.6を用いた。
【0024】
上記原料酸化亜鉛としては特に限定されず、公知の方法によって製造された酸化亜鉛を使用することができる。市販のものとしては、例えば、堺化学工業社製FINEX−75、FINEX−50、FINEX−30、SF−15、微細酸化亜鉛等を挙げることができる。
【0025】
六角板状酸化亜鉛粒子は、上記微粒子酸化亜鉛を亜鉛塩水溶液中で熟成させて得ることができる。すなわち、亜鉛塩水溶液中に上述した微粒子酸化亜鉛を分散させ、その状態で加熱し、結晶成長させることによって得ることができる。
【0026】
上記亜鉛塩水溶液における亜鉛塩は特に限定されず、例えば酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、ぎ酸亜鉛等の亜鉛塩化合物を挙げることができる。亜鉛塩水溶液のなかでも、特に酢酸亜鉛水溶液を使用した場合に好適に本発明の特定の六角板状酸化亜鉛粒子が得られる。
【0027】
また、これらの亜鉛塩水溶液は、酸化亜鉛と酸と水とを混合して酸化亜鉛を酸加水分解することで調製したものであってもよい。亜鉛塩水溶液を酸化亜鉛と酸と水で調製する際に使用する酸化亜鉛の粒子形状、粒子径は特に限定されないが、不純物をなるべく少なくするという観点から、酸化亜鉛のZn純度は95%以上であることが好ましい。また、酸としては、例えば酢酸、硝酸、硫酸、塩酸、ぎ酸、クエン酸、蓚酸、プロピオン酸、マロン酸、乳酸、酒石酸、グルコン酸、コハク酸等が挙げられる。特に酢酸を使用した場合に好適に本発明の特定の六角板状酸化亜鉛粒子が得られる。これらの亜鉛塩水溶液のうち、2種又はそれ以上を併用して使用してもよい。
【0028】
亜鉛塩水溶液中の亜鉛塩濃度は0.1mol/lを超え、4.0mol/l以下であることが好ましく、特に、酢酸亜鉛水溶液を用いる場合、当該水溶液中の酢酸亜鉛濃度は、0.2mol/lを超え、2.0mol/l以下であることが好ましい。
【0029】
上記亜鉛塩水溶液は、本発明の効果を損なわない範囲で、亜鉛塩、水以外の成分を少量含有してもよい。例えば、分散剤等を含有することもできる。
亜鉛塩水溶液中に微粒子酸化亜鉛を添加してスラリーとする場合、スラリー全量に対して微粒子酸化亜鉛の濃度が10〜500g/lであることが好ましい。
【0030】
上記熟成に際しては、本発明の効果を損なわない範囲で、微粒子酸化亜鉛、亜鉛塩、水以外の成分を少量添加してもよい。例えば、分散剤等を添加することもできる。
【0031】
熟成は、45〜110℃において行うことが好ましい。熟成時間は0.5〜24時間を挙げることができる。熟成温度、熟成時間、原料酸化亜鉛濃度、亜鉛塩濃度等の条件によって粒子径の調整を図ることができるため、これらの条件については目的とする六角板状酸化亜鉛粒子に応じて適宜設定して行うことが好ましい。
【0032】
このようにして得られた六角板状酸化亜鉛粒子は、必要に応じて、濾過、水洗、乾燥等の後処理を行ってもよい。
【0033】
上記方法によって製造された六角板状酸化亜鉛粒子は、必要に応じて分級されてもよい。当該分級としては、例えば篩による分級を挙げることができる。篩による分級方法としては、例えば湿式分級、乾式分級を挙げることができる。また、湿式粉砕、乾式粉砕等の処理を行ってもよい。
【0034】
上述の製造方法は、焼成処理を行わずに六角板状酸化亜鉛粒子を得ることができるもの
であるが、上述した方法によって得られた六角板状酸化亜鉛粒子に焼成処理を施しても差し支えない。焼成に際しては、公知の任意の装置を利用した方法を挙げることができ、処理条件等も特に限定されない。
【0035】
なお、六角板状酸化亜鉛粒子としては、市販品を用いることもできる。例えば、六角板状酸化亜鉛XZシリーズ(堺化学工業社製)を好ましく用いることができ、なかでもXZ−1000F、XZ−2000F、及びXZ−3000F等をより好ましく用いることができる。なお、当該市販品の平均粒子径カタログ値はレーザー回折式粒度分布装置による測定値であるため、本発明における平均粒子径値とは異なる。
【0036】
六角板状酸化亜鉛粒子は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
本発明に係る粒状複合体は、特定のケラチン及び酸化亜鉛粒子(好ましくは板状酸化亜鉛粒子、中でも好ましくは六角板状酸化亜鉛粒子)を含むところ、当該特定のケラチンが酸化亜鉛粒子表面に備えられてることが好ましい。特に、酸化亜鉛粒子が板状酸化亜鉛粒子(特に六角板状酸化亜鉛粒子)である場合、板状粒子の板の表面にケラチンが存在することが好ましい。
【0038】
ケラチンを板状酸化亜鉛粒子(特に六角板状酸化亜鉛粒子)表面に備えさせる方法(換言すれば、板状酸化亜鉛粒子表面のケラチン処理方法)としては、例えば、板状酸化亜鉛粒子及びケラチンを含有するスラリーを乾燥させる工程を有する方法が挙げられる。より詳細には、例えば板状酸化亜鉛及び水を混合してスラリーを調製し、当該スラリーを撹拌しながらケラチンを特定量(例えば、板状酸化亜鉛及びケラチン合計量に対してケラチンの添加量が0.5〜10質量%又は1〜8質量%程度となるよう)添加し、特定時間(例えば30〜120分程度)熟成させ、必要に応じて濾過及び水洗を行い、さらに乾燥(例えば30〜50℃で12〜24時間程度)させることで、ケラチンを板状酸化亜鉛粒子表面に備えた粒状複合体を調製することができる。
【0039】
本発明に係る粒状複合体のケラチン含有量は、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.8〜4質量%であることがより好ましく、0.1〜3質量%であることがさらに好ましい。当該下限は、0.2、0.3、0.4、又は0.5質量%以上であってもよい。また、当該上限は、2.5、2、又は1.5質量%以下であってもよい。このような割合でケラチンを含むことにより、赤外線遮蔽性においてより優れた効果を得ることができる。なお、当該粒状複合体のケラチン含有量は次のようにして求める値である。すなわち、粒状複合体及び、その原料の酸化亜鉛粒子を、それぞれ2gずつ坩堝に入れ、電気炉中500℃で1時間加熱し、加熱後の重量を測定する。そして、粒状複合体に含まれるケラチンは全て消失しており、且つ、原料である酸化亜鉛粒子の減少率はいずれであっても同じであるとして、粒状複合体中のケラチン含有率(質量%)を算出する。
【0040】
なお、本発明に係る粒状複合体は、その表面にケラチンを備えることが好ましい。また、当該粒状複合体は、酸化亜鉛粒子及びケラチンのみからなるものであってもよいし、本発明の効果を損なわない範囲で、これら以外の成分を含むものであってもよい。ただし、複合体の表面の一部又は全部に、ケラチンが存在していることが好ましい。
【0041】
また、用いる酸化亜鉛粒子が六角板状酸化亜鉛である場合、当該粒状複合体自体も六角板状の形状であることが好ましい。また例えば、六角板状酸化亜鉛粒子及びケラチンが積層体を形成しているものが好ましい。また、六角板状酸化亜鉛粒子の板の表面にケラチンが処理されて固定化されたものが好ましい。限定的な解釈を望むものではないが、複合体自体が六角板状である場合、当該複合体が面状に敷き詰められた際には、大きな隙間なく面を敷き詰めることが可能となると考えられる。さらには当該複合体のケラチンが処理さ
れた表面が表になるよう敷き詰めることによって、敷き詰めた面の表にはケラチン処理面が形成されると考えられ、好ましい。
【0042】
なお、当該粒状複合体において、酸化亜鉛粒子及びケラチン以外の成分が含まれる場合には、酸化亜鉛粒子及びケラチンの間に存在することが好ましい。例えば、他成分により表面処理された酸化亜鉛粒子にケラチン処理を施して当該粒状複合体を調製した場合、酸化亜鉛粒子及びケラチンの間にその他成分(予め酸化亜鉛粒子表面になされていた表面処理に用いた成分)が存在することになる。
【0043】
なお、本明細書において、酸化亜鉛粒子表面にケラチンを備えた粒状複合体は、酸化亜鉛粒子及びケラチンの間にその他成分が含まれる粒状複合体をも包含する概念である。言い換えれば、酸化亜鉛粒子表面にケラチンを備えた粒状複合体は、粒状複合体の表面にケラチンを備えていれば、ケラチンは酸化亜鉛粒子表面と接して備えられていてもよいし、ケラチンと酸化亜鉛粒子表面との間にその他成分が備えられていてもよい。
この、予め酸化亜鉛粒子表面に施されていてもよい表面処理としては、特に限定されず、例えばケイ素酸化物、ケイ素酸化物の水和物、アルミニウムの酸化物及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物による皮膜を形成させる表面処理、撥水性有機化合物による表面処理、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等のカップリング剤による表面処理等を挙げることができる。これらの2種以上の表面処理を組み合わせて行うものであってもよい。
【0044】
上記ケイ素酸化物、ケイ素酸化物の水和物、アルミニウムの酸化物及びアルミニウムの水酸化物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物による皮膜の形成は、Si源化合物及び/又はAl源化合物を、加水分解や加熱分解などにより粉体表面に析出させる等の方法で行うことができる。上記Si源化合物及び/又はAl源化合物としては、テトラアルコキシシランやその加水分解縮合物、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルミニウムアルコキシドやその加水分解縮合物、アルミン酸ナトリウム等、容易にSiO
2やAl(OH)
3、Al
2O
3に変換する化合物等を使用することができる。
【0045】
上記加水分解としては特に限定されないが、硫酸、塩酸、酢酸、硝酸などの酸を使用した方法が挙げられる。この水分散体を用いたシリカの処理方法における中和方法は、酸化亜鉛粒子を含有する分散体に酸を入れてからSi源化合物及び/又はAl源化合物を添加する方法、分散体にSi源化合物及び/又はAl源化合物を入れてから酸を添加する方法、分散体にSi源化合物及び/又はAl源化合物と酸を同時に添加する方法のいずれでもよい。
【0046】
上記撥水性有機化合物による処理としては、特に限定されるものではないが、例えば、シリコーンオイル、アルキルシラン、アルキルチタネート、アルキルアルミネート、ポリオレフィン、ポリエステル、金属石鹸、アミノ酸、アミノ酸塩などが挙げられる。なかでも、化学的な安定性からシリコーンオイルが好ましい。このシリコーンオイルの具体例としては、ジメチルポリシロキサン(例えば、信越化学工業製KF−96A−100cs、旭化成ワッカーシリコーン製DM10)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(例えば、信越化学工業製KF−99P、東レ・ダウコーニング製SH1107C)、(ジメチコン/メチコン)コポリマー(例えば、信越化学工業製KF−9901)、メチルフェニルシリコーン(例えば、信越化学工業製KF−50−100cs)、アミノ変性シリコーン(例えば、信越化学工業製KF−8015、東レ・ダウコーニング製JP−8500 Conditioning Agent、旭化成ワッカーシリコーン製ADM6060)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルジメチコン(例えば、信越化学工業製KF−9908)、トリエトキシシリルエチルポリジメチルシロキシエチルヘキシルジメチコン(例えば、信越化学工業製KF−9909)による処理等を挙げることが
できる。
【0047】
上記シランカップリング剤による処理としては、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキシルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシランを挙げることができる。
【0048】
上記チタンカップリング剤による処理としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンテトラアセチルアセトネート、チタンエチルアセトアセテート、チタンオクタンジオレート、チタンラクテート、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートを挙げることができる。
【0049】
上記表面処理(ケラチン処理前に、予め酸化亜鉛粒子表面になされる表面処理)を行う場合は、表面処理は、処理後の粉体の全量に対して0.1〜30重量%となる割合で行うことが好ましい。当該範囲内のものとすることで、滑り性が向上し、かつ耐湿性が向上し、樹脂への分散性が向上するという点で好ましい。
【0050】
本発明に係る粒状複合体の一次粒子径としては、上述した酸化亜鉛粒子の一次粒子径
と同等のものが好ましく、なかでも0.1〜5μmであるものが好ましく、0.2〜4μmであるものがより好ましく、0.5〜3μmであるものがさらに好ましい。当該上限は、2.5μm以下、2μm以下、1.5μm以下、又は1μm以下であってもよい。このような一次粒子径であると、より高い滑らかさ、低いザラツキ感を有し、かつ、近赤外線遮蔽効果により優れたものとなる。
【0051】
なお、粒状複合体の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(例えばJSM−6510A:日本電子社製)で撮影した写真の2000〜50000倍の視野での対角線径(特に六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)(μm)を粒子100個分について計測し、その累積分布の50%から求めた値である。
【0052】
また、本発明に係る粒状複合体は、アスペクト比が2.5以上であることが好ましい。アスペクト比は、2.7以上であることがより好ましく、3.0以上であることがさらに好ましい。アスペクト比が2.5以上の板状であることで、形状に由来するより高い滑ら
かさや低いザラツキ感、より高い近赤外線遮蔽効果を有するものとなる。
【0053】
なお、当該アスペクト比は、走査型電子顕微鏡(SEM)で六角板状粒状複合体を撮影した写真の2000〜50000倍の視野において、六角板状の粒状複合体の表面が手前を向いている粒子についてその対角線径(六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)(μm)を粒子100個分計測した平均値をL、六角板状の粒状複合体の側面が手前を向いている粒子(長方形に見える粒子)についてその厚み(μm)(長方形の短い方の辺の長さ)を粒子100個分計測した平均値をTとしたとき、それらの値の比(L/T)として求めた値である。
【0054】
なお、本発明に係る粒状複合体は、優れた近赤外線遮蔽効果に加えて、例えば外用組成物に配合する等して用いた場合、優れた滑らかさ及び低いザラツキ感を奏し得る。具体的には、本発明に係る粒状複合体(粉体)は、小さいMIU(平均摩擦係数)及び小さいMMD(摩擦係数の平均偏差)を示す。MIU(平均摩擦係数)の値が小さい程、滑り性が良く滑り易いことを意味する。また、MMD(摩擦係数の平均偏差)の値が小さい程、ザラツキ感が少ないことを意味する。なお、ここでの比較対象は、粒状複合体の原料として用いた酸化亜鉛粒子そのものである。より具体的に述べれば、本発明に係る粒状複合体(粉体)は、当該粒状複合体の原料として用いた酸化亜鉛粒子(粉体)に比べて、小さいMIU(平均摩擦係数)及びMMD(摩擦係数の平均偏差)を示す、ということである。中でも、粒状複合体に用いる酸化亜鉛粒子が六角板板状酸化亜鉛粒子である場合は、原料として用いた六角板板状酸化亜鉛粒子(粉体)に比べて、特に小さいMIU(平均摩擦係数)及びMMD(摩擦係数の平均偏差)を示す。
【0055】
例えば、特に制限されないが、例えば本発明に係る粒状複合体(粉体)は、MIUが1.15以下であることが好ましく、1.1以下であることがより好ましく、1.05以下であることがさらに好ましい。また、MMDが0.05以下であることが好ましい。MMDは、0.04以下、又は0.03以下であるとより好ましい。これらのMIU値及びMMD値をともに満たすものが中でも好ましい。
【0056】
MIU値及びMMD値は、次のようにして測定した値である。すなわち、摩擦感テスター(例えばKES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製))を用いて、両面テープ上に伸ばした粒状複合体(粉体)に対し、摩擦測定荷重25gf、表面測定試料移動速度1mm/sec、測定距離範囲20mmの条件で、MIU及びMMDを測定して得られた値である。
【0057】
本発明に係る粒状複合体は、その他の成分と混合して、例えば外用組成物(例えば医薬品、医薬部外品、及び化粧品)、インキ、塗料、プラスチック等に配合することもできる。特に、上述の特性を有しているため、滑り性が良くざらつきも少ないという優れた粉体感触を持つ外用組成物を得ることができる点で好ましいものである。中でも、化粧品に配合して用いるのに好適である。
【0058】
上記化粧品としては特に限定されず、このような粉体に、必要に応じて化粧品原料を混合することによって、サンスクリーン剤等の紫外線防御用化粧品;ファンデーション等のベースメイク化粧品;口紅等のポイントメイク化粧品;化粧水、クリーム等のスキンケア化粧品、トリートメント、スタイリング剤等のヘアケア化粧品等を得ることができる。また、酸化亜鉛粒子(特に六角板状酸化亜鉛粒子)は上述した優れた粉体感触に加え、紫外線吸収能も持ち合わせていることから、化粧品に使用した場合に優れた性能を有するものである。
【0059】
上記化粧品は、油性化粧品、水性化粧品、O/W型化粧品、W/O型化粧品等の任意の
形態とすることができる。
【0060】
上記化粧品は、化粧品分野において使用することができる任意の水性成分、油性成分を併用するものであってもよい。上記水性成分及び油性成分としては特に限定されず、例えば、油剤、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然及び合成高分子、水溶性及び油溶性高分子、紫外線遮蔽剤、各種抽出液、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、各種粉体等の成分を含有するものであってもよい。
【0061】
上記油剤は特に限定はないが、例えば、天然動植物油脂(例えば、オリーブ油、ミンク油、ヒマシ油、パーム油、牛脂、月見草油、ヤシ油、ヒマシ油、カカオ油、マカデミアナッツ油等);蝋(例えば、ホホバ油、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等);高級アルコール(例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール等);高級脂肪酸(例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等;高級脂肪族炭化水素(例えば、流動パラフィン、固形パラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等);合成エステル油(例えば、ブチルステアレート、ヘキシルラウレート、ジイソプロピルアジペート、ジイソプロピルセバケート、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテートイソプロピルミリステート、セチルイソオクタノエート、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール);シリコーン誘導体(例えば、メチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン等のシリコーン油)などが例示できる。さらに、油溶性のビタミン、防腐剤、美白剤などを配合することもできる。
【0062】
上記界面活性剤としては、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤等を挙げることができる。上記親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0063】
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラ
ノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等を挙げることができる。
【0064】
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、及び、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤を安定性及び皮膚刺激性に問題のない範囲で配合してもよい。
【0065】
上記保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等を挙げることができる。
【0066】
上記高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等を挙げることができる。
【0067】
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等を挙げることができる。
【0068】
上記天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラアビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高
分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等を挙げることができる。
【0069】
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリグリセリン、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウムメタクリル酸ベヘネス−25)クロスポリマー等を挙げることができる。
【0070】
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸AlMg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等を挙げることができる。
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等を挙げることができる。
【0071】
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸ア
ミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤やイオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等を挙げることができる。
【0072】
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグルマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等を挙げることができる。
【0073】
上記各種粉体としては、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等を挙げることができる。好ましくは、官能特性向上、化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理して使用される。また、本発明に該当しない他の複合粉体を混合して使用するものであってもよい。
【0074】
本発明に係る粒状複合体をインキへの添加成分として使用する場合は、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、及び、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。さらに有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等の顔料成分;シェラック樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、スチレン−アクリル−マレイン酸樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂等のバインダー樹脂;水混和性有機溶剤等と併用して使用することができる。
【0075】
本発明に係る粒状複合体を塗料組成物への添加成分として使用する場合は、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の塗膜形成樹脂;着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等の各種顔料;硬化触媒、表面調整剤、消泡剤、顔料分散剤、可塑剤、造膜助剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等と併用して使用することができる。また、塗料中の樹脂は、硬化性を有するものであっても、硬化性を有さないものであってもよい。
【0076】
本発明は、上述した本発明に係る粒状複合体を含有する樹脂組成物も包含する。このような樹脂組成物は、当該粒状複合体が放熱性フィラーとして作用することによって、優れた放熱性を有するものとなる。更に、赤外線(特に近赤外線)反射能において優れたものであるから、これらの性能を有する樹脂組成物として使用することもできる。
【0077】
酸化亜鉛粒子(特に六角板状酸化亜鉛粒子)は、赤外線(特に近赤外線)反射性能を好
ましく有するものであるから、種々の分野における赤外線(特に近赤外線)遮蔽材として使用することもできる。
【0078】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。
【実施例】
【0079】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0080】
酸化亜鉛粒子への各種ケラチン処理
【0081】
【表1】
【0082】
表1に記載の各種ケラチンを用いて、六角板状酸化亜鉛粒子の表面を処理した。より詳細には、次のようにして処理を行った。粒子径0.66μmの六角板状酸化亜鉛(XZ−1000F、堺化学工業社製)150gを水750gに添加し、十分に撹拌することにより酸化亜鉛濃度193g/Lの水性スラリーを得た。続いて、スラリーを撹搾しながら、酸化亜鉛95質量%に対してケラチンの添加量が5質量%となるように、表1に記載する各種ケラチンを添加した(各種ケラチンサンプルのケラチン含有量から添加量を算出)。そのまま60分間熟成した後、濾過、水洗を行い、40℃で16時間乾燥させることにより、ケラチン及び酸化亜鉛粒子含有粒状複合体(各実施例及び各比較例:表1)を得た。
【0083】
得られた各粒状複合体について、次のようにして塗膜透過率を測定した。シリコーンゴム4.27g(KE−1300T 信越化学社製)、硬化剤0.47g(CAT−1300 信越化学社製)を混ぜ合わせ、そこに各粒状複合体の粉体0.25gを投入し、フーバーマーラーで混練した。それをTACフィルム上に1miL(25.4μm)アプリケーターで引き、一晩静置乾燥させた。乾燥後得られた塗膜について、分光光度計で透過率を測定した。
【0084】
結果を
図1に示す。なお、透過率が低いほど、遮蔽効果が高いといえる。また、
図1に示した各粒状複合体のうち、特に透過率が低いもの(すなわち、酸化亜鉛粒子XZ−1000Fそのものより顕著に塗膜透過率が低いもの)について選抜して、
図2に示す。
【0085】
表1、
図1、及び
図2から、酸化亜鉛粒子を処理するケラチンとして、羊毛由来カチオン化加水分解ケラチン、羊毛由来シリル化加水分解ケラチン、又は羽毛由来加水分解ケラチンであって、且つ数平均分子量が500〜2000程度であるケラチンを用いた場合に、特に優れた近赤外線遮蔽効果を奏する粒状複合体が得られることが分かった。
【0086】
各粒状複合体の特性の検討
実施例1〜4の粒状複合体について、サイズ及び形態を走査型電子顕微鏡JSM−6510A(日本電子社製)で観察した。また、次のようにして、MIU、MMD、一次粒子径、及び粒状複合体中のケラチン含有率を測定した。各測定結果を表2に示す。
【0087】
<MIU(平均摩擦係数)の測定>
MIU(平均摩擦係数)は、ケラチン及び六角状酸化亜鉛粒子を含む粒状複合体を、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)で測定した。具体的には、スライドガラスに25mm幅の両面テープを貼り、当該粒状複合体(粉体)を載せ、化粧用パフで伸ばし、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)によりMIU(平均摩擦係数)を測定した。摩擦測定荷重25gf、表面測定試料移動速度1mm/sec、測定距離範囲20mmの条件で測定を行った。センサーとしては、シリコーン接触子(人間の指を想定した凹凸が施されたシリコーンゴム製の摩擦子)を用いた。
【0088】
<MMD(摩擦係数の平均偏差)の測定>
MMD(摩擦係数の平均偏差)は、ケラチン及び六角状酸化亜鉛粒子を含む粒状複合体を、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)で測定した。具体的には、スライドガラスに25mm幅の両面テープを貼り、当該粒状複合体(粉体)を載せ、化粧用パフで伸ばし、KES−SE摩擦感テスター(カトーテック社製)によりMMD(摩擦係数の平均偏差)を測定した。摩擦測定荷重25gf、表面測定試料移動速度1mm/sec、測定距離範囲20mmの条件で測定を行った。センサーとしては、シリコーン接触子(人間の指を想定した凹凸が施されたシリコーンゴム製の摩擦子)を用いた。
【0089】
<一次粒子径の測定>
六角状酸化亜鉛粒子及び粒状複合体の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−6510A:日本電子社製)で撮影した写真の2000〜50000倍の視野での対角線径(六角状酸化亜鉛粒子又は粒状複合体が六角板状の形状である場合、六角板状面の3本の対角線のうちの任意の1本の対角線の長さ)(μm)を粒子100個分について計測し、その累積分布の50%から求めた値である。
【0090】
不定形粒子の一次粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)(JSM−6510A:日本電子社製)で当該粒子を撮影した写真の2000〜50000倍の視野におけるXY軸平均径(粒子を挟むX軸方向及びY軸方向、それぞれ二本の平行線の間隔を平均した長さ)で定義される粒子径(μm)を粒子100個分について測定し、その累積分布の50%から求めた値である。
【0091】
<粒状複合体中のケラチン含有率の測定>
粒状複合体及び、その原料の六角状酸化亜鉛粒子を、それぞれ2gずつ坩堝に入れ、電気炉中500℃で1時間加熱した。それぞれ、加熱後の重量を測定した。粒状複合体に含まれるケラチンは全て消失しており、且つ、原料である六角状酸化亜鉛粒子の減少率はいずれであっても同じであるとして、粒状複合体中のケラチン含有率(質量%)を算出した。
【0092】
【表2】
【0093】
酸化亜鉛粒子への特定ケラチン処理
ケラチンとして実施例2の粒状複合体調製に用いたケラチンを用い、また酸化亜鉛粒子として粒子径1.52μmの六角板状酸化亜鉛(XZ−2000F、堺化学工業社製)を用いた以外は、上記と同様にして、粒状複合体を調製した(実施例A)。得られた粒状複合体について、上記と同様にして、塗膜透過率を測定した。結果を
図3に示す。またさらに、上記と同様にして、得られた粒状複合物のMIU、MMD、一次粒子径、及び粒状複合体中のケラチン含有率を測定した。各測定結果を表3に示す。
【0094】
【表3】