【実施例】
【0063】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものと解してはならない。
【0064】
(ピリジン化合物の合成)
(合成例1:環化体1の合成)
50mlの三口フラスコに5−ブロモ−2−ピリジンカルボキシアルデヒド(東京化成工業社製)1.00g(5.38mmol)と4’−メトキシアセトフェノン(東京化成工業社製)1.62g(10.8mmol)、酢酸アンモニウム7.17g(93.0mmol)酢酸6gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(7)で表される環化体1として白色固体0.92g(収率38.2%)を得た。
【0065】
【化8】
【0066】
得られた白色固体を元素分析装置(EA:パーキンエルマージャパン社製 2400II 全自動元素分析装置)および1H−核磁気共鳴装置(NMR:日本電子社製 JNM−AL300)、示差熱・熱重量測定(TG/DTA:SIIナノテクノロジーズ社製 TG/DTA6200)の測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体1が前記化学式(7)の構造であることを確認した。
【0067】
【表3】
【0068】
融点:145.3℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,d)、7.35(1H,dd)、7.66(1H,d)、8.03(4H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
【0069】
(合成例2:環化体2の合成)
500mlの三口フラスコに5−ブロモ−2−ピリジンカルボキシアルデヒド(東京化成工業社製)10.0g(53.8mmol)と2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)23.9g(115mmol)、酢酸アンモニウム71.7g(930mmol)、酢酸60gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水150mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液250ml、60℃の熱水250mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール100mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール100mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(8)で表される環化体2として白色固体10.0g(収率32.9%)を得た。
【0070】
【化9】
【0071】
得られた白色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体2が前記化学式(8)の構造であることを確認した。
【0072】
【表4】
【0073】
融点:148.1℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.49(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.75(1H,d)、7.93(1H,d)、8.05(2H,d)、8.43(1H,d)、8.79(1H,d)
【0074】
(合成例3:環化体3の合成)
(1−クロロ−2,4−ジエトキシベンゼンの合成)
300mlフラスコに4−クロロレゾルシノール(東京化成工業社製)12.5g(86.5mmol)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル40gを加え、70℃まで加熱し、4−クロロレゾルシノールが完全に溶解するまで撹拌を行った。4−クロロレゾルシノールが完全に溶解したことを目視にて確認後、これにp−トルエンスルホン酸エチル45.1g(225mmol)を加え、その後20%水酸化ナトリウム水溶液48.5g(242mmol)を1時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、3時間撹拌を行い、さらに80℃まで昇温し、1時間撹拌を行った。室温まで放冷し、イオン交換水100mlを加え、しばらく撹拌を行った。冷蔵庫で一晩静置し、析出物を濾取し、イオン交換水200mlで洗浄し、40℃で乾燥を行い、黄白色固体15.5g(収率89.2%)を得た。
【0075】
(1−クロロ−2,4−ジエトキシアセトフェノンの合成)
前記反応により得られた1−クロロ−2,4−ジエトキシベンゼン、15.5g(77.2mmol)を100mlのフラスコに加え、ジクロロメタン60mlを加え、完溶させた。これに硫酸マグネシウムを加え脱水した後、ろ過した。濾液を100mlのフラスコに加え、撹拌しながら塩化アルミニウム10.4g(78.0mmol)を加え、氷浴下10℃まで冷却後、塩化アセチル6.12g(78.0mmol)を30分かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後1時間半撹拌し、次いで氷水100gへ投入し、これに濃塩酸50.0gを加えた。さらにジクロロメタン100mlを追加し、分液漏斗を用いて、ジクロロメタン相を回収し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液100mlで中和後、硫酸マグネシウムで脱水し、得られたジクロロメタン相をエバポレーターにて溶媒を減圧留去し、淡黄色の固体16.5g(収率88.1%)を得た。
【0076】
(環化体3の合成)
50mlの三口フラスコに5−ブロモ−2−ピリジンカルボキシアルデヒド(東京化成工業社製)1.00g(5.38mmol)と1−クロロ−2,4−ジエトキシアセトフェノン2.62g(10.8mmol)、酢酸アンモニウム7.17g(93mmol)、酢酸6gを加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水15mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液25ml、60℃の熱水25mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール10mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール10mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(9)で表される環化体3として淡黄色固体1.06g(収率29.7%)を得た。
【0077】
【化10】
【0078】
得られた淡黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体3が前記化学式(9)の構造であることを確認した。
【0079】
【表5】
【0080】
融点:166.3℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.50(12H,t)、4.09(8H,q)、6.59(2H,s)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.00(2H,s)、8.39(2H,s)、8.43(1H,s)
【0081】
(環化体4の合成)
200mlの三口フラスコに5−ブロモ−2−チオフェンカルボキシアルデヒド(東京化成工業社製)5.0g(26.2mmol)と2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)11.9g(57.1mmol)、酢酸アンモニウム34.9g(453mmol)、酢酸30gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水75mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液75ml、60℃の熱水75mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール50mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール50mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(10)で表される環化体4として淡黄色固体5.93g(収率39.8%)を得た。
【0082】
【化11】
【0083】
得られた淡黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体4が前記化学式(10)の構造であることを確認した。
【0084】
【表6】
【0085】
融点:142.0℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.47(12H,t)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.08(1H,d)、7.25(1H,d)、8.01(2H,s)、8.06(2H,d)
【0086】
(環化体5の合成)
200mlの三口フラスコに5−ブロモ−2−フランカルボキシアルデヒド(東京化成工業社製)5.1g(29.1mmol)と2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)13.0g(62.4mmol)、酢酸アンモニウム38.8g(503mmol)、酢酸30gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水75mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液75ml、60℃の熱水75mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール50mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール50mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(11)で表される環化体5として淡黄色固体6.01g(収率37.4%)を得た。
【0087】
【化12】
【0088】
得られた淡黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体5が前記化学式(11)の構造であることを確認した。
【0089】
【表7】
【0090】
融点:134.0℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.33(6H,t)、1.52(6H,t)、4.07(8H,q)、5.83(1H,d)、6.53(2H,d)、6.61(2H,dd)、6.79(1H,d)、8.01(2H,s)、8.38(2H,d)
【0091】
(環化体6の合成)
300mlの三口フラスコに2−ブロモ−5−チアゾールカルボキシアルデヒド(SIGMA−ALDRICH社製)5.63g(29.3mmol)と2’,4’−ジエトキシアセトフェノン(SIGMA−ALDRICH社製)13.0g(62.4mmol)、酢酸アンモニウム39.1g(507mmol)、酢酸30gを加え120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水75mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液75ml、60℃の熱水75mlで順次洗浄を行った。回収したトルエン相にエタノール50mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール50mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(12)で表される環化体6として淡黄色固体5.37g(収率32.2%)を得た。
【0092】
【化13】
【0093】
得られた淡黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、環化体5が前記化学式(12)の構造であることを確認した。
【0094】
【表8】
【0095】
融点:135.2℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.45(12H,t)、4.09(8H,q)、6.54(2H,d)、6.60(2H,dd)、7.67(1H,s)、7.95(2H,s)、8.09(2H,d)
【0096】
(実施例1)ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに合成例1で得られた環化体1 3.61g(8.07mmol)、ジエチルアミン(東京化成工業社製)0.59g(8.07mmol)、トルエン17ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.19g(0.94mmol)、酢酸パラジウム(II)0.07g(0.31mmol)、ナトリウム−t−ブトキシド1.09g(11.3mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(13)で表されるピリジン化合物1である黄色固体0.68g(収率19.2%)を得た。
【0097】
【化14】
【0098】
得られた黄色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物1が前記化学式(13)の構造であることを確認した。
【0099】
【表9】
【0100】
融点:148.2℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.12(6H,t)、2.99(4H,q)、3.93(6H,s)、6.55(4H,d)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.03(4H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
【0101】
(極大吸収波長の測定)
得られたピリジン化合物1の吸収スペクトルを紫外可視分光光度計Pharma Spec UV−1700(株式会社島津製作所製)により、以下の測定条件にて測定を行い、極大吸収波長λ
maxを測定した。
【0102】
吸光度の測定条件としては測定対象サンプル10mgをメタノール:80%酢酸=80:20に調整した混合溶液100mlに溶解させ、さらに前記混合溶液で10倍に希釈した後、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過してサンプル溶液とした。
【0103】
ピリジン化合物1の極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。
λ
max=402.4nm
【0104】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物1の耐光性試験を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)により光照射を行い、高速液体クロマトグラフィーProminenceLC−20AT(株式会社島津製作所製)にて、光照射前後のピーク面積より算出した。
【0105】
耐光性試験の測定条件としては、測定対象サンプル10mgをメタノール:80%酢酸=80:20に調整した混合溶液100mlに溶解させ、さらに前記混合溶液で10倍に希釈した後、ポア径が0.5μmの耐溶剤性メンブレンフィルターで濾過してサンプル溶液とした。このサンプル溶液10mlを15mlのスクリュー型サンプル管に加え、キャップにより密栓し、スクリュー型サンプル管を耐光性試験機内で窓越しの光を想定した光強度(照射強度30w/m
2、300−400nm)にて10時間照射した。光照射前のサンプル及び光照射後のサンプルについて高速液体クロマトグラフィーにより測定し、面積値の比較より、ピリジン化合物の残存率を算出した。得られた結果を表18に示す。
【0106】
高速液体クロマトグラフィーは以下の条件で測定を行った。
カラム:化学物質評価機構製 L−COLUMNODS2(4.6×250mm、5μm)
移動相:テトラヒドロフラン(和光純薬製HPLCグレード):25mM酢酸アンモニウム水溶液(pH4)=70:30
流量:1.0ml/min
カラム温度:40℃
測定波長:365nm
【0107】
(実施例2)ピリジン化合物2の合成
50mlの三口フラスコに合成例2で得られた環化体2 4.56g(8.09mmol)、ジエチルアミン(東京化成工業社製)0.59g(8.09mmol)、トルエン17ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.19g(0.94mmol)、酢酸パラジウム(II)0.07g(0.31mmol)、ナトリウム−t−ブトキシド1.09g(11.3mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(14)で表されるピリジン化合物2である黄色固体0.76g(収率21.4%)を得た。
【0108】
【化15】
【0109】
得られた黄色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR,TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物2が前記化学式(14)の構造であることを確認した。
【0110】
【表10】
【0111】
融点:150.9℃
1H NMR(CDCl
3,300MHz)δ(ppm):
1.12(6H,t)、1.40(12H,t)、2.99(4H,q)、4.17(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,s)、8.43(1H,d)
【0112】
得られたピリジン化合物2について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。
λ
max=409.7nm
【0113】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物2について実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0114】
(実施例3)ピリジン化合物3の合成
50mlの三口フラスコに合成例2で得られた環化体2 4.56g(8.09mmol)、p,p’−ジトリルアミン1.60g(8.11mmol)、トルエン17ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.19g(0.94mmol)、酢酸パラジウム(II)0.07g(0.30mmol)、ナトリウム−t−ブトキシド1.09g(11.3mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(15)で表されるピリジン化合物3である黄色固体2.91g(収率52.9%)を得た。
【0115】
【化16】
【0116】
得られた黄色固体を合成例1と同様に元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物3が前記化学式(15)の構造であることを確認した。
【0117】
【表11】
【0118】
融点:175.6℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
1.44(12H,q)、2.34(6H,s)、4.09(8H,q)、6.55(2H,d)、6.61(2H,dd)、7.09(8H,m)、7.35(1H,d)、7.66(1H,d)、8.01(2H,d)、8.38(2H,S)、8.43(1H,d)
【0119】
得られたピリジン化合物3について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。結果を
図1に示す。
λ
max=410.3nm
【0120】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物3について実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0121】
(実施例4)ピリジン化合物4の合成
環化体2のかわりに環化体4 4.61g(8.10mmol)を用い、メタノール洗浄後の結晶の乾燥温度を30℃とした以外は実施例3と同様の操作を行い、下記式(16)で表されるピリジン化合物4である黄色固体2.71g(収率48.8%)を得た。
【0122】
【化17】
【0123】
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物4が前記化学式(16)の構造であることを確認した。
【0124】
【表12】
【0125】
融点:82.5℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
1.43(12H,q)、2.33(6H,s)、4.08(8H,q)、6.53(2H,d)、6.60(2H,dd)、7.10(8H,m)、7.19(1H,d)、7.27(1H,d)、7.96(2H,S)、8.03(2H,d)
【0126】
得られたピリジン化合物4について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。結果を
図1に示す。
λ
max=482.4nm
【0127】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物4について、実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0128】
(実施例5)ピリジン化合物5の合成
環化体2のかわりに環化体5 4.46g(8.07mmol)を用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、下記式(17)で表されるピリジン化合物5である淡黄色固体2.89g(収率53.5%)を得た。
【0129】
【化18】
【0130】
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物5が前記化学式(17)の構造であることを確認した。
【0131】
【表13】
【0132】
融点:150.5℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
1.29(6H,t)、1.48(6H,t)、2.31(6H,s)、4.05(8H,q)、5.85(1H,d)、6.51(2H,d)、6.59(2H,dd)、6.81(1H,d)、7.04(8H,m)、7.99(2H,s)、8.03(2H,d)
【0133】
得られたピリジン化合物5について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。結果を
図1に示す。
λ
max=479.2nm
【0134】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物5について、実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0135】
(実施例6)ピリジン化合物6の合成
環化体2のかわりに環化体6 4.61g(8.11mmol)を用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、下記式(18)で表されるピリジン化合物6である黄色固体2.55g(収率45.9%)を得た。
【0136】
【化19】
【0137】
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物6が前記化学式(18)の構造であることを確認した。
【0138】
【表14】
【0139】
融点:152.4℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
1.41(12H,q)、2.35(6H,s)、4.06(8H,q)、6.52(2H,d)、6.59(2H,dd)、7.24(8H,m)、7.69(1H,s)、7.89(2H,s)、8.06(2H,d)
【0140】
得られたピリジン化合物6について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。
λ
max=413.3nm
【0141】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物6について,実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0142】
(実施例7)ピリジン化合物7の合成
環化体2のかわりに環化体3 5.14g(8.14mmol)を用いた以外は実施例3と同様の操作を行い、下記式(18)で表されるピリジン化合物7である黄色固体2.49g(収率40.9%)を得た。
【0143】
【化20】
【0144】
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。塩素の含有量については塩素・硫黄分析装置(三菱化学アナリテック社製、製品名TOX−2100H)にて定量を行った。結果を以下に示す。これらの結果から、ピリジン化合物7が前記化学式(19)の構造であることを確認した。
【0145】
【表15】
【0146】
融点:193.0℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
1.41(12H,q)、2.35(6H,s)、4.06(8H,q)、6.52(2H,s)、7.08(8H,m)、7.35(2H,dd)、7.69(1H,d)、8.00(2H,s)、8.39(2H,s)、8.43(1H,s)
【0147】
得られたピリジン化合物7について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。
λ
max=416.8nm
【0148】
(耐光性試験)
得られたピリジン化合物7について,実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0149】
(比較合成例1:比較環化体1)
100mlの三口フラスコにp−ブロモベンズアルデヒド2.00g(10.80mmol)、4’−メトキシアセトフェノン3.24g(21.6mmol)、酢酸アンモニウム14.4g(186mmol)を酢酸12gに加え、120℃で6時間撹拌した。室温まで放冷し、60℃の熱水30mlを加え、トルエンで抽出した。トルエン相を6%水酸化ナトリウム水溶液50ml、60℃の熱水50mlで順次洗浄した。回収したトルエン相にエタノール20mlを加え、一晩放冷し析出物を濾取した。析出物をエタノール20mlで洗浄後、60℃で乾燥して下記式(20)で表される比較環化体1として白色固体1.75g(収率36.4%)を得た。
【0150】
【化21】
【0151】
得られた白色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、比較環化体1が前記化学式(20)の構造であることを確認した。
【0152】
【表16】
【0153】
融点:133.9℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.59(4H,q)、8.03(2H,s)、8.06(4H,d)
【0154】
(比較例1)比較ピリジン化合物1の合成
50mlの三口フラスコに比較合成例1で得られた比較環化体1 1.75g(3.92mmol)、ジフェニルアミン0.66g(3.92mmol)、トルエン10ml、トリ−t−ブチルホスフィン0.09g(0.45mmol)、酢酸パラジウム(II)0.03g(0.14mmol)、ナトリウム−t−ブトキシド0.52g(5.42mmol)を秤取り、窒素を充填した。100℃に加熱し、5時間撹拌したのち、室温まで放冷した。ジクロロメタン50mlを加え、濾過した。溶媒を減圧留去し、フラスコ内の残留物にメタノール10mlを加えてスラリー化した。濾過後、メタノール20mlで洗浄した。ウェットケーキにトルエン20mlを加え、100℃に加熱して完溶させ、熱時濾過した。濾液を冷蔵庫で一晩静置し、結晶を濾取した。メタノール10mlで洗浄し、60℃で一晩乾燥し、下記式(21)で表される比較ピリジン化合物1である黄色固体1.21g(収率57.5%)を得た。
【0155】
【化22】
【0156】
得られた黄色固体を合成例1と同様にし、元素分析および1H−NMR、TG/DTAの測定を行なった。結果を以下に示す。これらの結果から、比較ピリジン化合物1が前記化学式(21)の構造であることを確認した。
【0157】
【表17】
【0158】
融点:143.9℃
1H NMR(CDCl
3、300MHz)δ(ppm):
3.93(6H,s)、6.55(4H,dd)、7.26(12H,m)、7.57(2H,d)、8.01(2H,s)、8.06(4H,d)
【0159】
得られた比較ピリジン化合物1について、実施例1と同様に極大吸収波長を測定した。
極大吸収波長λ
maxは以下の通りであった。
λ
max=420.9nm
【0160】
(耐光性試験)
得られた比較ピリジン化合物1について実施例1と同様に、耐光性試験を行った。結果を表18に示す。
【0161】
実施例1〜7で得られたピリジン化合物1〜7および比較例1で得られた比較ピリジン化合物1の耐光性試験結果を表18にまとめる。なお、表18において耐光性の評価結果はピリジン化合物の照射後の残存率が50%未満の場合は×、51〜80%の場合は△、81〜90%の場合は〇、91〜100%の場合を◎と記載した。
【0162】
【表18】
【0163】
(実施例8)
実施例1〜7のピリジン誘導体を用いて筆記具用インキ組成物1〜7を、比較例1の比較ピリジン化合物1を用いて比較筆記具用インキ組成物1を、それぞれ調製した。各インキ組成物の組成を表19に示す。表19中、組成物番号の欄以外の数字は、質量%を示す。
【0164】
【表19】
【0165】
表19におけるポリビニルブチラールBL−1は積水化学工業株式会社製のポリビニルブチラール樹脂であり、ハイラック111は日立化成工業社製シクロヘキサノン系ケトン樹脂である。また顕色剤として使用したサリチル酸及び4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホンは東京化成工業社製の試薬である。
【0166】
表19記載の筆記具用インキ組成物を、ディゾルバーによって撹拌し、分散させた後、フェルト製のペン芯を有するマーキングペン(株式会社パイロットコーポレーション製)に適量充填し、ペン芯を覆うようにキャップを嵌め、評価用マーキングペンを作製した。マーキングペンを用いて、ドライアップ性および耐光性を以下の評価し、表20に示した。表20には、各インキの色相も記載した。
【0167】
(筆記具用インキ組成物のドライアップ性評価)
作製したマーキングペンのキャップを取り、25℃湿度65%下にて1分間放置した後、PPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。その筆跡のカスレについて下記の四段階で評価した。
カスレが生じ難かった:○
カスレがやや生じた:△
カスレが生じ易かった:×
マーキングペンインキ配合着色剤が溶解しなかったため評価できなかった:―
【0168】
(筆記具用インキ組成物の耐光性評価)
作製したマーキングペンでPPC用紙にフリーハンドで丸を筆記した。このPPC用紙を耐光性試験機サンテストCPS+(アトラス・エレクトリック・デバイス社製)内にて窓越しの光を想定した光強度(照射強度30w/m
2、300−400nm)にて1時間照射した。目視により筆記の変化を評価した。
筆記された丸の変化がない:◎
筆記された丸の変化がほぼない:〇
筆記された丸の色がわずかに薄くなった:△
筆記された丸の色が薄くなったまたは部分的に消失している:▲
筆記された丸の色が変化し、丸が部分的に消失している:×
【0169】
【表20】
【0170】
表20から明らかなように、本発明を適用した筆記具用インキ組成物1〜7は、本発明の適用外の比較筆記具用インキ組成物1に比べて耐光性の点において非常に優れていることが確認された。また本発明を適用した筆記具用インキ組成物4及び5は赤色の発色、蛍光発色を示した。