(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-100570(P2020-100570A)
(43)【公開日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20200605BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20200605BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20200605BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20200605BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/31
A61K8/92
A61Q19/08
A61Q1/14
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-237880(P2018-237880)
(22)【出願日】2018年12月20日
(11)【特許番号】特許第6586506号(P6586506)
(45)【特許公報発行日】2019年10月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000135324
【氏名又は名称】株式会社ノエビア
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 美和
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AA121
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC021
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC582
4C083AD092
4C083AD282
4C083AD572
4C083CC02
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC22
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD30
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE06
4C083EE12
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】
本発明は、特定の成分を併用することにより、保湿効果が相乗的に向上する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明は、
下記(A)〜(D)の成分を含有する皮膚外用剤
(A)キク科ローマカミツレ属(Anthemis)植物の油溶性抽出物
(B)メドウフォーム油
(C)スクワラン
(D)アルガン油
を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)の成分を含有する皮膚外用剤。
(A)キク科ローマカミツレ属(Anthemis)植物の油溶性抽出物
(B)メドウフォーム油
(C)スクワラン
(D)アルガン油
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の成分を併用することにより高い保湿効果を有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ローマカミツレ(Anthemis nobilis)抽出物を含有する皮膚外用剤は、高い皮膚保湿効果,美肌効果及び肌荒れ改善効果を有し、さらに皮膚とのなじみが良く、安定性及び安全性に優れることが知られている(特許文献1)。メドウフォーム油を含有する皮膚外用剤は、皮膚を柔らかくする効果を有することが知られている(特許文献2)。スクワランは、肌理改善効果,表皮のターンオーバー改善効果及び表皮バリア機能の改善効果を有する皮膚外用剤に含有されることが知られている(特許文献3)。アルガンバターが化粧料に配合されることが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−354537号公報
【特許文献2】特開2009−286770号公報
【特許文献3】特開2016−008188号公報
【特許文献4】特開2016−138238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、特定の成分を併用することにより、保湿効果が相乗的に向上する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
下記(A)〜(D)の成分を含有する皮膚外用剤
(A)キク科ローマカミツレ属(Anthemis)植物の油溶性抽出物
(B)メドウフォーム油
(C)スクワラン
(D)アルガン油
を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の皮膚外用剤は、特定の植物の抽出物を併用して用いることにより、保湿効果が相乗的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、成分(A)〜(D)を併用することにより、経表皮水分蒸散量が相乗的に減少することを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下本発明を実施するための形態を説明する。
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品等のいずれの用途にも用いられ得る。
【0010】
本発明の皮膚外用剤に配合するキク科ローマカミツレ属(Anthemis)の植物の抽出物は、ローマカミツレ(Anthemis nobilis),キゾメカミツレ(A. arvensis),コウヤカミツレ(A. tinctoria)等から得られる抽出物であれば特に限定されないが、本発明の効果の点からローマカミツレを用いることが好ましい。抽出にはすべての部位を用いることができるが、好ましくは花を用いる。
【0011】
抽出方法としては、乾燥させた上述の植物を粉砕し、95容量%エタノールを溶媒として抽出したものを用いる。
【0012】
本発明における上述の植物抽出物の組成物への配合量としては、好ましくは0.00001〜10質量%、特に0.0001〜8質量%の範囲である。この範囲であれば、製剤及び製剤中の植物の経時安定性に影響を及ぼすことが無く、より高い効果を発揮させることができる。
【0013】
本発明の皮膚外用剤に配合するメドウフォーム油はメドウフォーム(L. douglasii)の種子から得られる脂肪油であり、吸着精製処理を行ったものを用いることが、臭い及び酸化安定性の点から好ましい。市販のクロピュア メドフォーム-LQ-(JP)(クローダジャパン株式会社),NIKKOL メドウホーム油(日光ケミカルズ株式会社)等を用いることもできる。
【0014】
本発明の皮膚外用剤に配合するスクワランは、2,6,10,15,19,23−ヘキサメチルテトラコサンで、深海鮫の肝臓から抽出される動物由来のものとオリーブの果実又は米糠等から抽出される植物由来のものがある。いずれも抽出されたスクワレンに水素添加されたスクワランを用いることが好ましく、特に本発明においては植物由来のスクワランを用いることが好ましい。市販のNIKKOL シュガースクワラン(登録商標)(日本サーファクタント工業株式会社),オリーブスクワラン(高級アルコール工業株式会社),オリザスクワラン(オリザ油化株式会社),植物性スクワラン(株式会社岸本特殊肝油工業所),スーパースクワラン(マルハニチロ株式会社),スクワラン(株式会社岸本特殊肝油工業所),スクワラン(日光ケミカルズ株式会社),スクワラン(マルハニチロ株式会社),精製オリーブスクワラン(日光ケミカルズ株式会社),フィトスクワラン(ソフィーム社),プリピュア 3759-LQ(ユニケマ社)等を用いることもできる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤に配合するアルガン油は、アルガン(Sideroxylon spinosum)の種子から得られる脂肪油である。市販のD-EXTRA アルガンオイル(株式会社ガッスールジャパン・ジャミーラ),アルガンオイル(株式会社ニュートリション・アクト),Lipovol ARGAN(Vantage Specialty Ingredients, Inc.),LIPOFRUCTYL ARGAN LS 9779(BASF Group),Argan Oil Deodorised, Organic (脱臭精製/COSMOSオーガニック対応)(All Organic Treasures GmbH),Argan Oil Cold Pressed, Organic (COSMOSオーガニック対応)(All Organic Treasures GmbH)等を用いることもできる。
【0016】
本発明における上述の植物の組成物への配合量としては、好ましくは0.01〜99.9質量%の範囲である。この範囲であれば、製剤及び製剤中の植物の経時安定性に影響を及ぼすことが無く、より高い効果を発揮させることができる。
【0017】
本発明の皮膚外用剤には上述の必須成分の他に、必要に応じて通常皮膚外用剤に配合される、水性成分、メドウフォーム油,スクワラン及びアルガン油の3種の油以外の油性成分、保湿剤、色素、界面活性剤、紫外線吸収剤、増粘剤、美容成分、香料、高分子物質、防菌防黴剤、アルコール類、粉体、スクラブ剤、生体由来成分等を適宜配合することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤は、例えば、ローション剤、乳剤、軟膏の剤型で用いることができる。また、本発明の皮膚外用剤は、製造方法を問わない。
【実施例】
【0019】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これにより本発明の範囲が限定されるものではない。なお、配合量は特に断りのない限り質量%である。
【0020】
まず、使用した各成分の調製例を示す。
【0021】
[ローマカミツレ抽出物]
ローマカミツレを乾燥後粉砕したものを95容量%エタノールに浸漬し、ろ過後ろ液を採取したものを用いた。
【0022】
[メドウフォーム油]
市販のクローダジャパン株式会社製のクロピュア メドフォーム-LQ-(JP)を用いた。
【0023】
[スクワラン]
植物由来のスクワランを用いた。
【0024】
[アルガン油]
市販の株式会社ガッスールジャパン・ジャミーラ製のD-EXTRA アルガンオイルを用いた。
【0025】
[保湿効果試験方法]
表1に示した試料を調製し、経表皮水分蒸散量の測定を行った。
【0026】
[測定方法]
(1)馴化
被験者は左右前腕内側部を洗浄後、水分をふき取り、温度20±0.5℃、湿度50±5%に調整された室内で15分間安静にし、馴化を行った。
(2)塗布
左右前腕内側部に3cm×3cmの領域を記し、ピペットを用いて9μLを滴下し、指サックをした指で均一に塗布した。
(3)測定
塗布前及び塗布後60分後の経表皮水分蒸散量をVapometerを用いて測定した。経表皮水分蒸散量は塗布前の経表皮水分蒸散量を100とした場合の相対値を算出し、表1に示した。経表皮水分蒸散量は、測定当日の気温、湿度等の影響を受けやすいため、一群の試料は同日に評価し、塗布前の測定も試料を塗布した部位での測定値を相対値の基準とした。
【0027】
【表1】
【0028】
表1に示した通り、試料5を塗布することにより、それぞれ単独で塗布した場合と比較して、経表皮水分蒸散量が相乗的に減少していた。
【0029】
[実施例1]クリーム
(1)スクワラン 4.7(質量%)
(2)ステアリン酸 2.0
(3)ローマカミツレ抽出物 0.5
(4)メドウフォーム油 2.6
(5)セタノール 3.6
(6)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(7)グリセリン 10.0
(8)アルガン油 2.6
(9)アルギニン(20質量%水溶液) 15.0
(10)精製水 全量を100とする量
(11)カルボキシビニルポリマー(1質量%水溶液) 15.0
(12)水素添加大豆リン脂質 0.1
(13)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
【0030】
[実施例2]乳液
(1)スクワラン 2.8(質量%)
(2)ローマカミツレ抽出物 0.2
(3)メドウフォーム油 1.5
(4)水素添加大豆リン脂質 0.1
(5)モノステアリン酸ポリオキシエチレン
ソルビタン(20E.O.) 1.3
(6)モノステアリン酸ソルビタン 1.0
(7)グリセリン 4.0
(8)アルガン油 1.5
(9)カルボキシビニルポリマー 0.15
(10)精製水 全量を100とする量
(11)アルギニン(1質量%水溶液) 20.0
(12)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
【0031】
[実施例3]化粧水
(1)エタノール 15.0(質量%)
(2)ポリオキシエチレン(40E.O.)硬化ヒマシ油 2.0
(3)香料 0.1
(4)精製水 全量を100とする量
(5)クエン酸 0.02
(6)クエン酸ナトリウム 0.1
(7)グリセリン 1.0
(8)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(9)スクワラン 0.25
(10)ローマカミツレ抽出物 0.25
(11)メドウフォーム油 0.25
(12)アルガン油 0.25
【0032】
[実施例4]水性ジェル
(1)(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー
1.0(質量%)
(2)精製水 全量を100とする量
(3)水酸化ナトリウム(10質量%水溶液) 0.5
(4)パラオキシ安息香酸メチル 0.1
(5)ローマカミツレ抽出物 0.3
(6)メドウフォーム油 0.3
(7)スクワラン 0.3
(8)アルガン油 0.3
(9)香料 0.1
(10)ポリオキシエチレン(60E.O.)硬化ヒマシ油 0.1
【0033】
[実施例5]クレンジング料
(1)スクワラン 66.5(質量%)
(2)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 15.0
(3)精製水 全量を100とする量
(4)ローマカミツレ抽出物 0.5
(5)メドウフォーム油 7.0
(6)アルガン油 7.0
【手続補正書】
【提出日】2019年5月29日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(D)の成分を含有する皮膚外用剤。
(A)キク科ローマカミツレ属(Anthemis)植物の花の95容量%エタノール抽出物
(B)メドウフォーム油
(C)スクワラン
(D)アルガン油