【解決手段】実施形態に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、−40℃〜20℃の範囲内のガラス転移温度を有する炭化水素樹脂とを含むものであり、ゴム成分100質量部に対して、カーボンブラックとシリカの含有量の合計が60〜80質量部であり、シリカの含有量が5質量部以上40質量部未満であり、炭化水素樹脂の含有量が0.5〜50質量部である。実施形態に係る空気入りタイヤは、該ゴム組成物からなるトレッドを備えたものである。
天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、−40℃〜20℃の範囲内のガラス転移温度を有する炭化水素樹脂とを含み、
前記ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックと前記シリカの含有量の合計が60〜80質量部であり、前記シリカの含有量が5質量部以上40質量部未満であり、前記炭化水素樹脂の含有量が0.5〜50質量部である、
タイヤトレッド用ゴム組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態に係るタイヤトレッド用ゴム組成物(以下、単にゴム組成物という。)は、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンゴムを含むゴム成分と、カーボンブラックと、シリカと、炭化水素樹脂とを含むものである。
【0011】
上記ゴム成分において、天然ゴム(NR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びポリブタジエンゴム(BR)としては、特に限定されず、一般にタイヤトレッド用ゴム組成物に用いられる各種の天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンゴムを用いることができ、未変性ゴムでも変性ゴムでもよく、また未変性ゴムと変性ゴムを併用してもよい。スチレンブタジエンゴムとしては、溶液重合スチレンブタジエンゴム(SSBR)を用いてもよく、乳化重合スチレンブタジエンゴム(ESBR)を用いてもよく、これらを併用してもよい。
【0012】
変性ゴム、即ち変性SBR、変性BR及び変性NRとしては、シリカ表面のシラノール基と相互作用のある官能基、例えば酸素原子及び/又は窒素原子を含む官能基が導入されたSBR、BR及びNRが挙げられる。好ましくは変性SBRであり、より好ましくは変性SSBRである。変性ゴムの官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、アミノ基、アルコキシ基及びカルボキシ基からなる群から選択された少なくとも1種が挙げられる。官能基は、分子末端に導入されてもよく、あるいはまた分子鎖中に導入されてもよい。
【0013】
スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されず、例えば−60〜−10℃でもよく、−50〜−20℃でもよい。ここで、スチレンブタジエンゴムのガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)法により、昇温速度:20℃/分にて(測定温度範囲:−150℃〜50℃)測定される。
【0014】
上記ゴム成分において、天然ゴムとスチレンブタジエンゴムとポリブタジエンゴムとの比率は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部が、天然ゴム10〜30質量部、スチレンブタジエンゴム30〜70質量部及びポリブタジエンゴム10〜40質量部を含むことが好ましく、より好ましくは、天然ゴム15〜25質量部、スチレンブタジエンゴム40〜60質量部及びポリブタジエンゴム20〜35質量部を含むことである。
【0015】
ゴム成分には、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム及びポリブタジエンゴムの他に、本発明の効果が損なわれない限り、他のジエン系ゴムが含まれてもよい。他のジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、スチレン−イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン−イソプレン共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合体ゴムなどが挙げられる。
【0016】
本実施形態では、補強性充填剤として、カーボンブラック及びシリカが用いられる。カーボンブラックとしては、特に限定されず、公知の種々の品種を用いることができる。例えば、カーボンブラックとしては、窒素吸着比表面積(N
2SA)(JIS K6217−2)が70〜150m
2/gであるものが好ましく用いられる。具体的にはSAF級(N100番台),ISAF級(N200番台),HAF級(N300番台)(ともにASTMグレード)のカーボンブラックが例示される。これら各グレードのカーボンブラックは、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
シリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカを用いてもよい。シリカのBET比表面積(JIS K6430に記載のBET法に準じて測定)は、特に限定されず、例えば90〜250m
2/gでもよく、150〜220m
2/gでもよい。
【0018】
本実施形態に係るゴム組成物において、カーボンブラックとシリカの含有量の合計は、60〜80質量部であり、より好ましくは65〜80質量部である。
【0019】
シリカの配合量は、ゴム成分100質量部に対して、5質量部以上40質量部未満であり、より好ましくは20〜35質量部である。シリカの配合量が5質量部以上であることにより、ウェットグリップ性能及び転がり抵抗性能を向上することができる。また40質量部未満であることにより、加工性を向上することができる。
【0020】
カーボンブラックの配合量は、特に限定されないが、ゴム成分100質量部に対して、例えば25〜75質量部でもよく、25〜60質量部でもよく、30〜55質量部でもよい。
【0021】
カーボンブラックとシリカの含有量の質量比は、特に限定しないが、シリカ量に対するカーボンブラック量の質量比(カーボンブラック/シリカ)が0.8〜2.5であることが好ましく、より好ましくは0.9〜2.0であり、1.0〜1.5でもよい。
【0022】
本実施形態に係るゴム組成物には、−40℃〜20℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有する炭化水素樹脂(以下、炭化水素樹脂(A)という。)が配合される。このようなガラス転移温度の炭化水素樹脂(A)を配合することにより、上記ゴム成分の組成、並びにカーボンブラック及びシリカの配合量の設定と相俟って、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能と加工性を改善することができる。その理由は、特に限定するものではないが、次のように推測される。すなわち、炭化水素樹脂(A)が軟化剤として作用するとともに、特定のガラス転移温度を持つことにより、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能をバランス良く改善し、また上記特定量のシリカの分散性を極大化して、転がり抵抗性能と加工性を改善できると考えられる。
【0023】
炭化水素樹脂(A)のガラス転移温度が−40℃以上であることにより、ウェットグリップ性能を向上することができ、また20℃以下であることにより、転がり抵抗性能を向上することができる。炭化水素樹脂(A)のガラス転移温度は、−35℃以上であることが好ましく、より好ましくは−30℃以上であり、また0℃以下であることが好ましく、より好ましくは−10℃以下であり、更に好ましくは−15℃以下である。ここで、樹脂のガラス転移温度は、JIS K7121に準拠して示差走査熱量測定(DSC)法により、昇温速度:20℃/分にて測定される(測定温度範囲:−150℃〜50℃)。
【0024】
炭化水素樹脂(A)は、炭素及び水素を基本的にベースとする樹脂である。炭化水素樹脂(A)としては、例えば、石油系炭化水素樹脂、スチレン系炭化水素樹脂などが挙げられ、これらはいずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0025】
石油系炭化水素樹脂は、石油留分を重合して得られる樹脂であり、例えば、C5系の脂肪族系炭化水素樹脂、C9系の芳香族系炭化水素樹脂、C5/C9系の脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂は、炭素数4〜5個相当の石油留分(C5留分)を重合して得られる樹脂であり、水添したものであってもよい。芳香族系炭化水素樹脂は、炭素数8〜10個相当の石油留分(C9留分)を重合して得られる樹脂であり、水添したものであってもよい。脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂は、C5留分とC9留分とを共重合して得られる樹脂であり、水添したものであってもよい。
【0026】
スチレン系炭化水素樹脂は、スチレン及びその誘導体(例えば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、4−tert−ブチルスチレンなど)であるスチレン系モノマーを重合して得られる樹脂であり、スチレン系モノマーと他の芳香族モノマー又は脂肪族モノマーとの共重合体でもよい。スチレン系炭化水素樹脂としては、例えば、スチレン/α−メチルスチレン共重合体、α−メチルスチレン単独重合体、スチレン/脂肪族モノマー共重合体、α−メチルスチレン/脂肪族モノマー共重合体、スチレン/α−メチルスチレン/脂肪族モノマー共重合体などを挙げることができる。
【0027】
以上例示した炭化水素樹脂は、いずれか1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0028】
炭化水素樹脂(A)としては、液状樹脂であることが好ましい。液状樹脂とは、常温(23℃)で流動性を持つ樹脂である。
【0029】
一実施形態において、炭化水素樹脂(A)としては、ガラス転移温度が−40℃〜20℃であるスチレン系液状炭化水素樹脂を用いることが好ましく、より好ましくはガラス転移温度が−40℃〜20℃であるスチレン/α−メチルスチレン共重合体である。そのような市販品としては、例えば、RUTGER社製の「PURE20AS」、「TL10」などが挙げられる。
【0030】
炭化水素樹脂(A)の配合量としては、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは1〜40質量部、更に好ましくは3〜30質量部であり、3〜20質量部でもよい。炭化水素樹脂(A)は、軟化剤、即ちオイルの代替品として用いてもよく、例えば、基準となる配合においてオイルに置き換えて配合してもよい。
【0031】
本実施形態に係るゴム組成物には、上記炭化水素樹脂(A)とともに、より高いガラス転移温度(即ち、20℃超)を持つ樹脂(以下、高Tg樹脂という。)を配合してもよい。高Tg樹脂のガラス転移温度は、30℃以上であることが好ましく、より好ましくは40〜80℃であり、50〜70℃でもよい。高Tg樹脂としては、例えば、上記と同様の炭化水素樹脂が挙げられ、より具体的には、例えば、石油系炭化水素樹脂、スチレン系炭化水素樹脂などが挙げられる。
【0032】
高Tg樹脂の配合量としては、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して、0.5〜20質量部でもよく、1〜10質量部でもよく、3〜10質量部でもよい。高Tg樹脂の配合量は、上記炭化水素樹脂(A)の配合量以下であることが好ましい。高Tg樹脂は、軟化剤、即ちオイルの代替品として用いてもよく、例えば、炭化水素樹脂(A)とともに、基準となる配合においてオイルに置き換えて配合してもよい。
【0033】
本実施形態に係るゴム組成物には、上記成分の他に、シランカップリング剤、オイル、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス、老化防止剤、加工助剤、加硫剤、加硫促進剤など、タイヤトレッド用ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
【0034】
シランカップリング剤としては、スルフィドシランやメルカプトシラン等の公知のシランカップリング剤を用いることができる。シランカップリング剤の配合量は、特に限定されないが、シリカの配合量の2〜20質量%であることが好ましく(すなわち、シリカ100質量部に対してシランカップリング剤2〜20質量部)、より好ましくは5〜15質量%である。
【0035】
オイルとしては、一般にゴム組成物に配合される各種オイルを用いることができる。例えば、鉱物油、即ちパラフィンオイル、ナフテンオイル、及びアロマオイルからなる群から選択される少なくとも1種の鉱物油を用いてもよい。オイルの含有量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して0〜40質量部でもよく、0〜30質量部でもよい。
【0036】
加硫剤としては、硫黄が好ましく用いられる。加硫剤の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部でもよく、0.5〜3質量部でもよい。
【0037】
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤が挙げられ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の配合量は、特に限定されず、例えば、ゴム成分100質量部に対して0.1〜5質量部でもよく、0.5〜3質量部でもよい。
【0038】
本実施形態に係るゴム組成物は、通常に用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、例えば、第一混合段階(ノンプロ練り工程)で、ゴム成分に対し、カーボンブラック、シリカ及び炭化水素樹脂(A)とともに、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階(プロ練り工程)で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合して未加硫のゴム組成物を調製することができる。
【0039】
このようにして得られるゴム組成物は、空気入りタイヤの接地面を構成するトレッドゴムに用いられる。空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤでもよく、トラックやバスなどの重荷重用タイヤでもよい。一実施形態として、サマータイヤのトレッドに用いてもよい。ここで、サマータイヤとは、一般的に車に使われるタイヤで、冬用に特化したタイヤであるスタッドレスタイヤやスノータイヤなどのウインタータイヤ以外のタイヤのことを指す。
【0040】
空気入りタイヤのトレッドゴムには、キャップゴムとベースゴムとの2層構造からなるものと、両者が一体の単層構造のものがあるが、接地面を構成するゴムに好ましく用いられる。すなわち、単層構造のものであれば当該トレッドゴムが上記ゴム組成物からなり、2層構造のものであればキャップゴムが上記ゴム組成物からなることが好ましい。
【0041】
空気入りタイヤの製造方法は、特に限定されない。例えば、上記ゴム組成物を、常法に従い、押出加工によって所定の形状に成形して未加硫のトレッドゴム部材を作製し、該トレッドゴム部材を他の部材と組み合わせて未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)を作製した後、例えば140〜180℃で加硫成型することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0043】
バンバリーミキサーを使用し、下記表1に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練し(排出温度=160℃)、次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。表1中の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0044】
・NR:RSS#3
・SBR:JSR製「SBR1502」(ガラス転移温度:−51℃)
・変性SBR:ヒドロキシ基末端変性SSBR、旭化成(株)製「タフデンE580」(ガラス転移温度:−31℃、油展ゴム:ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シーストKH(N339)」(N
2SA:93m
2/g)
・シリカ:東ソー・シリカ(株)製「ニップシールAQ」(BET:205m
2/g)
・オイル:アロマオイル、JX日鉱日石エネルギー(株)製「プロセスNC140」
・シランカップリング剤:スルフィドシラン、エボニック社製「Si69」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS−20」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・ワックス:日本精鑞(株)製「OZOACE0355」
・老化防止剤:大内新興化学工業(株)製「ノクラック6C」
・樹脂1:スチレン系液状炭化水素樹脂(スチレン/α−メチルスチレン共重合体)、RUTGER社製「PURE20AS」(ガラス転移温度:−20℃)
・樹脂2:スチレン系液状炭化水素樹脂(スチレン/α−メチルスチレン共重合体)、RUTGER社製「TL10」(ガラス転移温度:−30℃)
・樹脂3:C5/C9系の脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂、東ソー(株)製「ペトロタック90」(ガラス転移温度:65℃、軟化点:95℃)
・樹脂4:クマロン・インデン系樹脂、日塗化学(株)製「エスクロンG90」(ガラス転移温度:64℃、軟化点:90℃)
・加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製「ノクセラーD」
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」。
【0045】
得られた各ゴム組成物について、加工性を評価した。また、各ゴム組成物をトレッドゴムに用いて、常法に従い加硫成型することにより空気入りタイヤ(タイヤサイズ:195/65R15)を作製した。得られたタイヤについて、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能を評価した。各測定・評価方法は以下の通りである。
【0046】
・転がり抵抗性能:転がり抵抗測定ドラム試験機を用いて、空気圧230kPa、荷重4410N、温度23℃、80km/hの条件で各タイヤの転がり抵抗を測定し、転がり抵抗の逆数について比較例1の値を100として指数で示した。指数が大きいほど、転がり抵抗が小さく、転がり抵抗性能(即ち、低燃費性)に優れることを示す。
【0047】
・ウェットグリップ性能:試験タイヤ4本を乗用車に装着し、2〜3mmの水深で水をまいた路面上を走行した。時速100kmにて摩擦係数を測定し、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほど摩擦係数が大きく、ウェットグリップ性能に優れることを示す。
【0048】
・加工性:JIS K6300に準拠して東洋精機(株)製ロータレスムーニー測定機を用い、未加硫ゴムを100℃で1分間予熱後、4分後のトルク値をムーニー単位で測定し、測定値の逆数について、比較例1の値を100とした指数で表示した。指数が大きいほどムーニー粘度が低く、加工性に優れることを意味する。
【0049】
【表1】
【0050】
結果は表1に示す通りである。コントロールである比較例1に対し、オイルの一部を置換して高Tg樹脂(樹脂3,4)を配合した比較例2,3では、転がり抵抗性能が悪化した。
【0051】
これに対し、オイルの一部を置換してガラス転移温度が−40〜20℃の範囲内の炭化水素樹脂(A)を用いた実施例1〜7では、比較例1に対し、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能と加工性の全てにおいて改善効果がみられた。炭化水素樹脂(A)と高Tg樹脂を併用した実施例8〜10についても、比較例1に対し、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能と加工性の全てにおいて改善効果がみられた。
【0052】
比較例5では、ガラス転移温度が−40〜20℃の範囲内の炭化水素樹脂(A)を配合したものの、シリカの配合量が45質量部と多すぎたため、比較例1に対して、転がり抵抗性能及び加工性に劣っており、実施例1〜10でみられたような、転がり抵抗性能とウェットグリップ性能と加工性との三性能の全てにおける改善効果は得られなかった。
【0053】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその省略、置き換え、変更などは、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。