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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-101005(P2020-101005A)
(43)【公開日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】指挟み防止装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/36 20060101AFI20200605BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
   E06B7/36 D
   E06B3/36
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-239544(P2018-239544)
(22)【出願日】2018年12月21日
(11)【特許番号】特許第6510725号(P6510725)
(45)【特許公報発行日】2019年5月8日
(71)【出願人】
【識別番号】506405655
【氏名又は名称】阿部 春一
(74)【代理人】
【識別番号】110001793
【氏名又は名称】特許業務法人パテントボックス
(72)【発明者】
【氏名】阿部 春一
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014DA04
2E014DB02
(57)【要約】
【課題】ドア本体とドア枠との隙間への幼児等のうっかりした指の挟み込みをよりしっかりと防ぐことを可能にする指挟み防止装置を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る指挟み防止装置10は、4つの帯状体22を備えるシート状部材20であって、該シート状部材において、前記少なくとも4つの帯状体は、それぞれ第1方向D1に延在し、前記第1方向と直交する第2方向D2に並んで接続されていて、前記少なくとも4つの帯状体の接続部で、前記少なくとも4つの帯状体そのものよりも、折り曲げ易い、シート状部材と、前記第2方向における前記シート状部材の第1端部をドア本体12に取り付けるための第1取付部と、前記第2方向における前記シート状部材の前記第1端部と反対側の第2端部をドア枠16に取り付けるための第2取付部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの帯状体を備えるシート状部材であって、該シート状部材において、前記少なくとも4つの帯状体は、それぞれ第1方向に延在するとともに、前記第1方向と直交する第2方向において接続されていて、前記少なくとも4つの帯状体の接続部で、前記少なくとも4つの帯状体そのものよりも、折り曲げ易い、シート状部材と、
前記第2方向における前記シート状部材の第1端部をドア本体に取り付けるための第1取付部と、
前記第2方向における前記シート状部材の前記第1端部と反対側の第2端部をドア枠に取り付けるための第2取付部と
を備えた、指挟み防止装置。
【請求項2】
前記少なくとも4つの帯状体の少なくとも1つは、合成樹脂製である、請求項1に記載の指挟み防止装置。
【請求項3】
前記少なくとも4つの帯状体の少なくとも1つは、帯状とロール状とのいずれにも変形可能である、
請求項1又は2に記載の指挟み防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアを開閉する際に、ドア本体とドア枠との間に生じる隙間を覆うことで、この隙間に指が挟まれることを防止するようにされた指挟み防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドアを開閉する際に、幼児等がドア本体とドア枠(縦枠)との間に生じる空隙つまり隙間に誤って指を挟んでしまう事例が報告されている。ドア本体とドア枠との間に指が挟まれる事故を防止する指挟み防止装置として、様々な構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、ドア本体とドア枠の間にできるV字の隙間に乳幼児が指を挟まれてけがをしないように、ドアを開いたときに、ドア本体とドア枠との間に生じる隙間を安全フィルムによりカバーすることを開示する。特許文献1では、安全フィルムの一端は、ドア枠に両面テープとビス、プラスチック製のプレート板で固定される、とされている。
【0004】
更に、特許文献2は、枠付きドアの指挟み防止装置を開示する。この装置は、鈍角に屈曲した略V字状の断面形状をなすカバープレートをドア枠にスプリング丁番を介して固定することを開示する。スプリング丁番を用いることによって、カバープレートをドア開方向への付勢状態として、その常時の追従回動自在性を確保するようにしている。カバープレートの固定されている側とは反対側の自由端に、摺接部材が配置されている。摺接部材は、摩擦抵抗が可及的に小さく且つ自由端の対接摺接に際して騒音を発しないように、例えば合成樹脂、合成ゴム等の材料を用いて自由端に被嵌固定したもの、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−247231号公報
【特許文献2】特許第5619496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の安全フィルムでは、その一端をドア枠に固定するだけであるので、ドアの開閉時、安全フィルムのドア本体への追従性の点で懸念がある。また、特許文献2に記載の指挟み防止装置でも、スプリング丁番を用いることによって、カバープレートをドア開方向への付勢状態としているだけであり、ドア本体とカバープレートとの間に隙間が生じる懸念がある。
【0007】
また、特許文献1の記載によれば、その安全フィルムの一端は、ドア枠に両面テープとビス、プラスチック製のプレート板で固定され、その安全フィルムは内側に軽く曲がっていて、ドアを開いても閉じてもドアに接している。したがって、安全フィルムからドアに力が作用し、ドアが勝手に開く方向に動いたりする可能性が高い。更に、特許文献2に記載の指挟み防止装置でも、スプリング丁番を用いているので、その指挟み防止装置からドアに力が作用し、ドアが勝手に動く可能性が高い。このようなドアの勝手な動きは、ドアとドア枠との隙間に指等が挟まる危険性を高め得る。
【0008】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、ドア本体とドア枠との間の隙間への幼児等のうっかりした指の挟み込みをよりしっかりと防ぐことを可能にする指挟み防止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、
少なくとも4つの帯状体を備えるシート状部材であって、該シート状部材において、前記少なくとも4つの帯状体は、それぞれ第1方向に延在するとともに、前記第1方向と直交する第2方向において接続されていて、前記少なくとも4つの帯状体の接続部で、前記少なくとも4つの帯状体そのものよりも、折り曲げ易い、シート状部材と、
前記第2方向における前記シート状部材の第1端部をドア本体に取り付けるための第1取付部と、
前記第2方向における前記シート状部材の前記第1端部と反対側の第2端部をドア枠に取り付けるための第2取付部と
を備えた、指挟み防止装置
を提供する。
【0010】
好ましくは、前記少なくとも4つの帯状体の少なくとも1つは、合成樹脂製である。また、前記少なくとも4つの帯状体の少なくとも1つは、帯状とロール状とのいずれにも変形可能であるとよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の上記一態様に係る指挟み防止装置によれば、ドア本体とドア枠との隙間への幼児等のうっかりした指の挟み込みをよりしっかりと防ぐことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る指挟み防止装置が適用されたドアの概略構成図である。
図2図1の指挟み防止装置を図1中上側から見たところを示す概略構成図であり、(a)は図1の状態での指挟み防止装置を、(b)はドア本体が閉まった状態での指挟み防止装置を示す。
図3】(a)は図1の指挟み防止装置の概略構成図であり、それをシート状に平らに延ばした状態での図1の上側に相当する位置からの図であり、(b)はロール状にした帯状体を模式的に示す図である。
図4図1の指挟み防止装置の変形例としての指挟み防止装置の適用例を示す図であり、(a)はドア本体の開角度が0°のときの図であり、(b)はその開角度が約90°のときの図であり、(c)は開角度が約110°のときの図であり、(d)は開角度が約180°のときの図である。
図5図4の指挟み防止装置の概略構成図であり、それをシート状に平らに延ばした状態での図4の上側に相当する位置からの図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る指挟み防止装置の概略構成図であり、(a)はその適用例を示す図であり、(b)はそれをシート状に延ばしたところを示す図である。
図7】本発明の第3実施形態に係る指挟み防止装置の概略構成図であり、(a)〜(c)はその適用例を示す図であり、(d)はそれをシート状に延ばしたところを示す図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る指挟み防止装置の概略構成図であり、それを延ばしたところを示す図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る指挟み防止装置の概略構成図であり、(a)から(c)はその指挟み防止装置の作製過程を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を添付図に基づいて説明する。同一の部品(又は構成)には同一の符号を付してあり、それらの名称及び機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態に係る指挟み防止装置10が適用されたドア11の概略構成図である。ドア11においては、ドア本体12は、蝶番つまりヒンジ14によって、ドア枠16の縦枠16aに取り付けられている。図1では、ドア本体12がドア枠16に対して約80°開いた状態を示す。なお、図1では、1つのヒンジ14のみを示すが、残りのヒンジ(図2参照)は指挟み防止装置10によって隠れている。
【0015】
図1の指挟み防止装置10を、図1中上側から見たところを図2(a)に示す。また、図1においてドア本体12が閉まった状態の指挟み防止装置10を図2(b)に示す。更に、図3は、指挟み防止装置10の概略構成図であり、ドア本体12及びドア枠16に取り付ける前又はそれらから取り外した後、シート状に平らに延ばした状態での、指挟み防止装置10を図1の上側に相当する位置から見た図である。
【0016】
図1から図3に示すように、指挟み防止装置10は、シート状部材20を備えている。シート状部材20は、4つの帯状体22を備えている。4つの帯状体22は、それぞれ細長い部材であり、長手方向D1(図1参照)に延びている。ここでは、4つの帯状体22の長手方向D1の長さは同じである。そして、4つの帯状体22は、図3に示すように長手方向D1に直交する幅方向D2に並べられて、相互に接続されている。なお、長手方向D1は第1方向に対応し、幅方向D2は第2方向に対応する。
【0017】
ここで、4つの帯状体22において、図1及び図2においてドア本体12に最も寄った側の帯状体を第1帯状体22a、その隣の帯状体を第2帯状体22b,更にその隣の帯状体を第3帯状体22c、そしてドア枠16に最も寄った側の帯状体を第4帯状体22dと称する。これら第1から第4帯状体22a、22b、22c、22dは、特に覆われておらず、接続テープ24で接続されている。接続テープ24は、粘着テープである。接続テープ24は繰り返し貼ったり剥がしたりできるとよいが、使い捨ての粘着テープであってもよい。なお、指挟み防止装置10では、接続テープ24の取付箇所は、隣り合う帯状体22の間の接続部26の折り曲げ時、主として内側に位置する側に定められている。
【0018】
第1帯状体22aは、図1に示すように、ドア本体12に取り付けられる。ここでは、両面テープ28aを用いて、第1帯状体22aはドア本体12に貼り付けられている。同様に、第4帯状体22dはドア枠16に取り付けられる。そして、同様に、両面テープ28bを用いて、第4帯状体22dはドア枠16に貼り付けられている。なお、図2では、これら両面テープ28a、28bを省略している。この場合、第1帯状体22aは第2方向におけるシート状部材20の第1端部に相当し、両面テープ28aは第1帯状体22aをドア本体12に取り付けるための第1取付部に相当する。また、第4帯状体22dは第2方向におけるシート状部材20の第1端部と反対側の第2端部に相当し、両面テープ28bは第4帯状体22dをドア枠16に取り付けるための第2取付部に相当する。
【0019】
これら帯状体22は、上で述べたように長手方向D1に同じ長さLを有する。そして、これらの長手方向D1の長さLは、幼児等の指の挟み込みが生じやすい高さ範囲を指挟み防止装置10で覆うことができるように定められている(図1参照)。しかし、長手方向D1の長さLは、これに限定されない。例えば、帯状体22の長手方向D1の長さL、つまり、シート状部材20の長手方向D1の長さLは、ドア本体12の高さ12Hに略等しい長さであってもよい。また、例えば、指挟み防止装置10がドア11のヒンジ14間に適用される場合、帯状体22の長手方向D1の長さLは、ドア11のヒンジ14間の長さ又はそれよりも短い長さとされてもよい。更に、指挟み防止装置10がドア11の下側のヒンジ14と床の間に適用される場合、帯状体22の長手方向D1の長さLは、ドア11の下側のヒンジ14と床の間の長さ又はそれよりも短い長さとされてもよい。なお、第1から第4帯状体22a、22b、22c、22dのそれぞれの長手方向D1の長さは、それぞれ異なってもよく、任意に設計され得る。
【0020】
これら帯状体22は、それぞれの配置に応じた幅方向D2の長さつまり幅を有している。第1帯状体22a及び第4帯状体22dは、それぞれ、ドア本体12及びドア枠16への取付性を十分に確保できる幅W1(図3参照)を有している。一方、第2帯状体22b及び第3帯状体22cは、それぞれ、図1及び図2に示すようなドア本体12の開閉時、3つの接続部26の折り曲げ変形のみで指挟み防止装置10がドア本体12とドア枠16との間の隙間をしっかりと覆うことができように、ドア本体12とドア枠16との相対位置の変化に対して追従可能にする長さの幅W2(図3参照)を有して構成されている。なお、ここでは、第1帯状体22aの幅は第4帯状体22dの幅と略同じであり、第2帯状体22bの幅は第3帯状体22cの幅と略同じであるが、本発明はこれらに限定されない。第1から第4帯状体22a、22b、22c、22dの各幅は任意に設計され得る。
【0021】
第1から第4帯状体22a、22b、22c、22dの厚さt(図3参照)は、ここでは略同じである。厚さtは、1cm以下であるとよく、ここでは1mm以下である。厚さtは、例えば0.2mm以上0.7mm以下の範囲であり得、好ましくは0.3mm以上0.5mm以下であり、更に好ましくは約0.5mmである。
【0022】
第1から第4帯状体22a、22b、22c、22dは合成樹脂で作製されている。そして、それら帯状体22はそれぞれ弾性変形可能であり、図1等に示すように帯状であることも、図3(b)に模式的に示すようにロール状にすることも可能である。このように、各帯状体22は、帯状とロール状とのいずれにも変形可能である。なお、これら帯状体22は、それぞれ合成樹脂で作製可能であるが、他の材料で作製されてもよい。具体的には、帯状体22は、合成樹脂で作製される場合、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタラート(PET)などで作製可能である。そして、帯状体22を合成樹脂で作製する場合、それは硬質の素材で作製されるとよく、これにより帯状体22をより薄い素材で作製可能になる。また、帯状体22は、合成樹脂製スポンジで作製されてもよい。帯状体22は種々の材料で作製可能である。
【0023】
上記構成の指挟み防止装置10は、図1に示すように、シート状部材20の第1端部つまり第1帯状体22aがドア本体12に取り付けられ、シート状部材20の第2端部つまり第4帯状体22dがドア枠16に取り付けられる。そして、隣り合う帯状体の接続部26は図3に示すように接続テープ24で接続されているだけであるので、指挟み防止装置10は、帯状体の接続部26で、帯状体22そのものよりも、折り曲げ易い。それゆえ、図1及び図2に示すように、指挟み防止装置10では、ドアの開閉時、接続部26で優先的に折り曲げが生じ、それによりドア本体12とドア枠16との隙間が好適に覆われる。したがって、ドア本体12とドア枠16との隙間への幼児等のうっかりした指の挟み込みをよりしっかりと防ぐことが可能になる。
【0024】
また、隣り合う帯状体の接続部26は図3に示すように接続テープ24で接続されているだけであるので、接続テープ24の部分で、ドアを動かすほどの真っ直ぐになるような力や更に折れ曲がろうとする力が、接続テープ24自体により生じることはない。つまり、指挟み防止装置10つまりシート状部材20は、屈曲部分となる接続部26において、特別の負荷なく、自在に屈曲することができる。よって、指挟み防止装置10を設けたことにより、ドアが勝手に閉じたり、開いたりすることはないので、指挟み防止装置10はより安全性に優れる。
【0025】
そして、ドア本体12とドア枠16との間の隙間を覆うように設けられた指挟み防止装置10では、第2帯状体22bと第3帯状体22cとの間の接続部26cは、例えば図2に示すように略V字形状を、特に鋭角形状を有する。要するに、指挟み防止装置10は、ドア11に適用したとき、トラス構造になる。したがって、指挟み防止装置10は、構造的に、例えば図2(a)に示すような圧縮力CFが作用した時の耐久性に優れる。よって、指挟み防止装置10のシート状部材20に必要とされる強度、要するに各帯状体22に必要とされる強度を比較的低くすることができる。それゆえ、上で述べたように、ロール状にすることができるほど薄い合成樹脂で帯状体22を構成することができる。
【0026】
また、帯状体22を薄い合成樹脂製部材として構成できるので、帯状体22は鋏等で切ることができる。したがって、使用者の使用目的、使用箇所(例えばドア本体12の寸法)に応じてシート状部材20の寸法を簡単に調節することができる。
【0027】
そして、帯状体22は、上で述べたように、ロール状に丸めることができる(図3(b)参照)。したがって、例えば、幼児等の不在の時、或いは、指挟み防止装置10の配送時や収納時、指挟み防止装置10をコンパクトにすることができる。
【0028】
なお、指挟み防止装置10は、ドア本体12の種々の開角度θ(図2(a)参照)に適応するように、種々の形状、寸法及び/又は構成を有するように変形等することができる。図4に、0°(ドアが閉まっているときの角度)から180°までの開角度θに対応できる指挟み防止装置110を模式的に示す。図4(a)はドアが閉まっているとき、つまり開角度が0°のときの図であり、図4(b)は開角度θが約90°のときの図であり、図4(c)は開角度θが約110°のときの図であり、図4(d)は開角度θが約180°のときの図である。これらの開角度に対応できるように、指挟み防止装置110では、上記指挟み防止装置10と異なり、第1帯状体22aと第2帯状体22bとの間の接続部26の両面に接続テープ24が適用されている。更に、指挟み防止装置110では、第1帯状体22aと第2帯状体22bとは、図5に示すように第2方向D2において所定の隙間Sを空けて並べられている。これにより、第1帯状体22aと第2帯状体22bとの間の接続部26はいずれの側にも好適に折り曲げできるようにされている。第3帯状体22cと第4帯状体22dとの間の接続部26についても同様に、両面に接続テープ24が適用されるとともに、それら帯状体間に所定の隙間Sが空けられている。第2帯状体22bと第3帯状体22cとの間の接続部26も同様に両面に接続テープ24が適用可能であるが、片面にのみ接続テープ24が適用されている。なお、指挟み防止装置110において、全ての接続部26ではその両面ではなく、その片面にのみ接続テープ24が適用されてもよい。また、所定の隙間Sは、帯状体22の厚さや接続部26に要求される可動範囲に応じて定められるとよい。
【0029】
次に、本発明の第2実施形態に係る指挟み防止装置210を図6に基づいて説明する。なお、既に説明した構成に対応する構成には、同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0030】
前述の指挟み防止装置10では、第2方向である幅方向D2に並べられる帯状体22の数は4つであったが、図6に示す指挟み防止装置210は、5つの帯状体22を備えて構成されるシート状部材20を備えている。ドア本体12とドア枠16との隙間Gにおいては、ドア本体12が開くに従ってドア本体12がドア枠16から離れるようになる側の隙間G1のみではなく、ヒンジ14の回動軸がある側でも隙間G2が生じる。この隙間G2への幼児等の指の挟み込みを好適に防ぐために、ヒンジ14の配置等に関わらず指挟み防止装置210はドアに適用可能に構成されている。図6(a)、(b)に示すように、指挟み防止装置210は5つの帯状体22を備えているので、ドアに取り付けられるとき、ヒンジ14を取り囲むように四角形に設けられ得る。なお、指挟み防止装置における帯状体の数は、4つや5つに限定されず、6つ以上であってもよい。ドア本体12の可動範囲等に応じて、帯状体の数は定められるとよい。
【0031】
次に、本発明の第3実施形態に係る指挟み防止装置310を図7に基づいて説明する。なお、既に説明した構成に対応する構成には、同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0032】
指挟み防止装置310は、ドア12が閉まっているとき、ドア枠16の一部16bがドア本体12の上に張り出す構成のドアに適用されるものである(図7(a)から(c)参照)。指挟み防止装置310は、5つの帯状体22を備えて構成され、ドア本体12の位置に応じて帯状体22の接続部26でシート状部材20がより柔軟に折れ曲がることができるようにされている。図7(d)に示すように、指挟み防止装置310は、第1実施形態の指挟み防止装置10に対して、第1帯状体22aと第2帯状体22bとの間に第1帯状体22aと略同じ大きさの第5帯状体22eを配置した点で相違する。
【0033】
特に、指挟み防止装置310は、ドア本体12に取り付けられる第1端部側の第1帯状体22aの隣りの第5帯状体22eが、ドアが閉まっているとき(図7(a)参照)及びドア本体の開角度が所定角度未満のとき(図7(b)参照)、ドア本体12に接しないが、ドア本体の開角度が所定角度以上のとき(図7(c)参照)、ドア本体12に接するように構成されている。図7(a)のドアが閉まっている状態のとき、第1帯状体22aと第5帯状体22eとの間の接続部26eは完全に折り畳まれていて、第5帯状体22eは第1帯状体22aに当接する。そして、図7(b)に示すようにドアの開き始めの状態などのとき、第5帯状体22eは第1帯状体22aから離れ、図7(a)の状態のときに比べて、第5帯状体22eの第1帯状体22aとの接続部26eと、それとは反対側である第5帯状体22eの第2帯状体22bとの接続部26fとでは、それぞれ折り曲げ角度が小さい。そして、図7(c)のドア本体の開角度が所定角度以上のとき、第5帯状体22eはドア本体12に当接し、第5帯状体22eの第1帯状体22aとの接続部26eは真っ直ぐになる。なお、ドア本体12の形状やドア枠16の形状、及びそれらの種々の組み合わせに柔軟に適用できるように、帯状体22の各種寸法及び組み合わせを任意に変えることができる。
【0034】
更に、本発明の第4実施形態に係る指挟み防止装置410を図8に基づいて説明する。なお、既に説明した構成に対応する構成には、同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0035】
図8の指挟み防止装置410は、第1実施形態の指挟み防止装置10と、4つの帯状体22がフィルム部材412で両側から覆われてそのフィルム状部材412で一体的に接続されている点で相違する。そして、指挟み防止装置410は、帯状体22間の接続部26で折れ曲がり易いように、好ましくは特別の負荷なく自在に屈曲するように、帯状体22間に所定の隙間Sが空けられている。フィルム状部材412は、合成樹脂製フィルムであり得るが、他の材料で構成されてもよい。そして、指挟み防止装置410では、両面テープの代わりに、第1及び第2取付部として磁石414が利用されている。この磁石414は、ドア本体12やドア枠16が鉄等の材料でできているとき有効である。なお、磁石414に代えて、両面テープが用いられてもよい。
【0036】
更に、本発明の第5実施形態に係る指挟み防止装置510を図9に基づいて説明する。なお、既に説明した構成に対応する構成には、同じ符号を付して、重複説明を省略する。
【0037】
図9(c)の指挟み防止装置510は、図9(a)の一枚のシート体512に、図9(b)に示すように切れ込み514を入れることで構成されたシート状部材516を備える。図9(a)のシート体512には、図9(b)に示すように3か所で切れ込み514が入れられる。したがって、図9(c)に示すように、互いにつながったままの4つの帯状体22a、22b、22c、22dが得られる。これら4つの帯状体22a、22b、22c、22dの接続部26は、切り込み部518である。なお、切り込み514の量つまり深さは、帯状体22間の接続部26で折れ曲がり易いように、好ましくは特別の負荷なく自在に屈曲するように、定められる。
【0038】
図9のシート体512としては、紙製又は合成樹脂製の段ボールシートや、合成樹脂製スポンジなどの種々の発泡シートが例示される。なお、切れ込み部518に、例えば上記接続テープ24が張り付けられてもよい。
【0039】
以上述べたように、本発明に係る指挟み防止装置は、種々の構成を備えることができる。また、例えば、帯状体間の接続はヒンジ等を用いて行われてもよい。この場合、ヒンジは外付けのものであってもよく、又は、帯状体を互いに対して嵌め込む構成を備えてもよい。また、上記実施形態では、第1方向において複数の帯状体を並べて接続することをしなかったが、第1方向において複数の帯状体を並べて接続してもよい。
【0040】
以上、本発明の代表的な実施形態及び変形例について説明したが、本発明は種々の変更が可能である。本願の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、種々の置換、変更が可能である。上記第1から第5実施形態の指挟み防止装置及びそれらの変形例の種々の構成は、矛盾しない範囲で、種々組み合わせることができる。
【0041】
なお、本発明の装置(又は器具)は、「不意に、或いは、不注意により」ドアに指を挟んでしまうことを防止する装置(又は器具)に係り、それを前提とした強度を有して構成されることに向けられている。そのため、本発明は、「意図的に、或いは、いたずらの延長で」ドアに指を挟んでしまうことを防止することに向けられていない。「ドアに指を挟んだらどうなるか」ということについての想像力や子供への指導は、本人や保護者が責を負うべきものである。
【符号の説明】
【0042】
10、110、210、310、410、510 指挟み防止装置
11 ドア
12 ドア本体
14 ヒンジ
16 ドア枠
20 シート状部材
22、22a、22b、22c、22d、22e 帯状体
24 接続テープ
26 接続部
28a、28b 両面テープ
412 フィルム状部材
414 磁石
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2019年3月22日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも4つの帯状体を備えるシート状部材であって、該シート状部材において、前記少なくとも4つの帯状体は、それぞれ第1方向に延在するとともに、前記第1方向と直交する第2方向において接続されていて、前記少なくとも4つの帯状体の接続部で、前記少なくとも4つの帯状体そのものよりも、折り曲げ易い、シート状部材と、
前記第2方向における前記シート状部材の第1端部をドア本体に取り付けるための第1取付部と、
前記第2方向における前記シート状部材の前記第1端部と反対側の第2端部をドア枠に取り付けるための第2取付部とを備え、
前記4つの帯状体のすべてが長手方向にロール状に変形可能である、指挟み防止装置。
【請求項2】
前記少なくとも4つの帯状体の少なくとも1つは、合成樹脂製である、請求項1に記載の指挟み防止装置。