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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-101175(P2020-101175A)
(43)【公開日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】排気ガス後処理システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/24 20060101AFI20200605BHJP
   F01N 3/10 20060101ALI20200605BHJP
   F01N 3/20 20060101ALI20200605BHJP
   F01N 3/28 20060101ALI20200605BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20200605BHJP
   B01J 23/30 20060101ALI20200605BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
   F01N3/24 R
   F01N3/10 AZAB
   F01N3/20 J
   F01N3/28 Q
   F01N3/08 H
   B01J23/30 A
   B01D53/94 222
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-184864(P2019-184864)
(22)【出願日】2019年10月8日
(31)【優先権主張番号】18214207.5
(32)【優先日】2018年12月19日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515191442
【氏名又は名称】ヴィンタートゥール ガス アンド ディーゼル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ブルッチェ
【テーマコード(参考)】
3G091
4D148
4G169
【Fターム(参考)】
3G091AA04
3G091AA10
3G091AA15
3G091AA18
3G091AA19
3G091AA20
3G091AB05
3G091BA14
3G091CA17
3G091DC03
3G091EA02
3G091EA17
3G091EA33
3G091FA14
3G091FB03
3G091FB07
3G091GB01W
3G091GB09W
3G091GB10W
3G091HB03
3G091HB06
4D148AA06
4D148AB02
4D148AC04
4D148BA07Y
4D148BA23Y
4D148BA27Y
4D148BA41Y
4D148CC26
4D148DA01
4D148DA02
4D148DA05
4D148DA06
4D148DA08
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA02A
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA05A
4G169BA07A
4G169BB06A
4G169BB06B
4G169BC50A
4G169BC50B
4G169BC54A
4G169BC54B
4G169BC60A
4G169BC60B
4G169CA01
4G169CA02
4G169CA08
4G169CA10
4G169CA13
4G169CB82
4G169DA06
4G169EC28
4G169EE09
4G169FC08
4G169ZA11A
(57)【要約】
【課題】シリンダを有する燃焼機関用の排気ガス後処理システム、内燃機関、及び内燃機関のNOx排出を削減する方法を提供すること。
【解決手段】排気ガス後処理システム10は、加水分解触媒1と、バナジウム及びタングステンをドープしたTiOを含み、加水分解触媒1の下流に配置されるSCR触媒2とを備える。所与の量のNOxを還元するための加水分解触媒1とSCR触媒2の合計体積Vtは、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒2の体積より小さく、加水分解触媒1とSCR触媒2の合計体積Vtは、500l/MW未満である。SCR触媒2のバナジウム含有率は、0.3%以上である。加水分解触媒1及びSCR触媒2は、少なくとも90%のエンジン負荷では、SCR触媒2での排気ガスの滞留時間が0.5秒未満になるように構成される。加水分解触媒1及びSCR触媒2は、同じ触媒担体3に配置される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのシリンダ(21)を有する燃焼機関(20)用、好ましくは内径(27)が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダ(21)をもつ大型船舶エンジン用の排気ガス後処理システム(10)であって、
加水分解触媒(1)と、好ましくはバナジウム及びタングステンをドープしたTiOを含み、前記加水分解触媒(1)の下流に配置されるSCR触媒(2)とを備え、
所与の量のNOxを還元するための前記加水分解触媒(1)と前記SCR触媒(2)との合計体積(Vt)が、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒(2)の体積より小さく、好ましくは、前記加水分解触媒(1)と前記SCR触媒(2)の合計体積(Vt)が、500l/MW未満、好ましくは400l/MW未満であり、且つ/或いは
前記SCR触媒(2)のバナジウム含有率が、0.3%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%以上であり、且つ/或いは
加水分解触媒(1)及びSCR触媒(2)は、好ましくは少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、前記SCR触媒(2)での排気ガスの滞留時間が0.5秒未満、好ましくは0.3秒未満になるように構成され、且つ/或いは
前記加水分解触媒(1)及び前記SCR触媒(2)が、同じ触媒担体(3)に配置される、
排気ガス後処理システム(10)。
【請求項2】
前記前記排気ガス後処理システム(10)が、NOxセンサ(4、5、8)、好ましくは2つのNOxセンサ(4、5、8)を備える、請求項1に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項3】
前記排気ガス後処理システム(10)が、測定されたNOx値を基準値と比較するための制御ユニット(6)を備える、請求項2に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項4】
前記排気ガス後処理システム(10)が、前記加水分解触媒(1)の上流に少なくとも1つのバイパス分流装置(17)を備え、
第1のバイパス排気ライン(18)及び第2のバイパス排気ライン(19)が、前記少なくとも1つのバイパス分流装置(17)に連結され、
前記少なくとも1つのバイパス分流装置(17)が、前記加水分解触媒(1)の上流の排気ガスを、前記第1のバイパス排気ライン(18)向けの第1のガス流と前記第2のバイパス排気ライン(19)向けの第2のガス流とに分流するように構成され、
前記加水分解触媒(1)及び前記SCR触媒(2)が、前記分流バイパス装置(17)の下流で、前記第1のバイパス排気ライン(18)に配置される、
請求項1から3までのいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項5】
前記排気ガス後処理システム(10)が、前記第1のバイパス排気ライン(18)及び前記第2のバイパス排気ライン(19)の処理量を設定するためのバイパス調節装置(22)、好ましくは前記第1のバイパス排気ライン(18)及び/又は前記第2のバイパス排気ライン(19)を開閉するための少なくとも1つのバイパス調節弁(23、24)を備える、請求項4に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項6】
前記排気ガス後処理システム(10)が、好ましくはNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて前記第1のバイパス排気ライン(17)及び前記第2のバイパス排気ライン(18)の処理量を制御するための制御ユニット(6)を備える、請求項4又は5に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項7】
前記排気ガス後処理システム(10)が、前記加水分解触媒(1)の下流に少なくとも1つの案内分流装置(11)を備え、
第1の案内排気ライン(12)及び第2の案内排気ライン(13)が、前記少なくとも1つの案内分流装置(11)に連結され、
前記少なくとも1つの案内分流装置(11)が、前記加水分解触媒(1)から出て行く排気ガスを、前記第1の案内排気ライン(12)向けの第1のガス流と前記第2の案内排気ライン(13)向けの第2のガス流とに分流するように構成され、
前記SCR触媒(2)が、前記案内分流装置(11)の下流で、前記第1の案内排気ライン(12)に配置される、
請求項1から6までのいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項8】
前記排気ガス後処理システム(10)が、前記第1の案内排気ライン(12)及び前記第2の案内排気ライン(13)の処理量を設定するための案内調節装置(14)を備え、前記案内調節装置(14)は、好ましくは前記第1の案内排気ライン(12)及び/又は前記第2の案内排気ライン(13)を開閉するための少なくとも1つの案内調節弁(15、16)を備える、請求項7に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項9】
前記排気ガス後処理システム(10)が、好ましくはNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて前記第1の案内排気ライン(12)及び前記第2の案内排気ライン(13)の処理量を制御するための制御ユニット(6)を備える、請求項7又は8に記載の排気ガス後処理システム(10)。
【請求項10】
好ましくは請求項1から9までのいずれか一項に記載の、少なくとも1つのシリンダ(21)を有する燃焼機関(20)用、好ましくは内径(27)が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダ(21)をもつ大型船舶エンジン用の排気ガス後処理システム(10)であって、
加水分解触媒(1)を備え、前記加水分解触媒(1)は、少なくとも420℃の温度、及び/又は少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、前記加水分解触媒(1)においてNOxの濃度を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%低減することができる、
排気ガス後処理システム(10)。
【請求項11】
請求項1から10までのいずれか一項に記載の排気ガス後処理システム(10)を備える、少なくとも1つのシリンダ(21)を有する内燃機関(20)、好ましくは内径(27)が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダ(21)をもつ大型船舶エンジン。
【請求項12】
内燃機関、好ましくは請求項11に記載の燃焼機関のNOx排出を削減する方法であって、
シリンダ(21)の出口(7)から排気ガスを放出するステップと、
排気ガスを加水分解触媒(1)へと案内し、少なくとも420℃の温度、及び/又は少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、前記加水分解触媒(1)においてNOxの濃度を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%低減させるステップと
を含む、方法。
【請求項13】
内燃機関、好ましくは請求項11に記載の燃焼機関のNOx排出を削減する、好ましくは請求項12に記載の方法であって、排気ガスが、シリンダ(21)の出口(7)から放出され、前記方法が、
好ましくは測定されたNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて第1のバイパス排気ライン(18)及び第2のバイパス排気ライン(19)の処理量を制御するステップであって、前記第1のバイパス排気ライン(18)及び前記第2のバイパス排気ライン(19)が、加水分解触媒(1)の上流に配置された少なくとも1つの案内分流装置(17)に連結され、前記加水分解触媒(1)が、前記第1のバイパス排気ライン(18)に配置され、前記第2のバイパス排気ライン(19)が、前記加水分解触媒(1)をバイパスし、特に、SCR触媒(2)が前記加水分解触媒(1)の下流に配置され、前記SCR触媒(2)が、前記第1のバイパス排気ライン(18)に配置され、前記第2のバイパス排気ライン(19)が、前記SCR触媒(2)をバイパスする、ステップ、並びに/或いは
排気ガスの少なくとも一部を加水分解触媒(1)へと案内するステップ、
好ましくは測定されたNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて第1の案内排気ライン(12)及び第2の案内排気ライン(12)の処理量を制御するステップであって、前記第1の案内排気ライン(12)及び前記第2の案内排気ライン(13)が、前記加水分解触媒(11)の下流に配置された少なくとも1つの案内分流装置(11)に連結され、SCR触媒(2)が、前記第1の案内排気ライン(12)に配置され、前記第2の案内排気ライン(12)が、前記SCR触媒(2)をバイパスする、ステップ
を含む、方法。
【請求項14】
内燃機関、好ましくは請求項11に記載の燃焼機関のNOx排出を削減する、好ましくは請求項12から15までのいずれか一項に記載の方法であって、
シリンダ(21)の出口(7)から排気ガスを放出するステップと、
加水分解触媒(1)に排気ガスを案内するステップと、
前記加水分解触媒(1)の下流に配置されたSCR触媒(2)に排気ガスを案内するステップと
を含み、
所与の量のNOxを還元するための前記加水分解触媒(1)と前記SCR触媒(2)の合計体積(Vt)が、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒(2)の体積より小さく、好ましくは前記加水分解触媒(1)と前記SCR触媒(2)の合計体積が、500l/MW未満、好ましくは400l/MW未満であり、且つ/或いは
前記SCR触媒(2)のバナジウム含有率が、0.3%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%以上であり、且つ/或いは
前記加水分解触媒(1)及び前記SCR触媒(2)は、好ましくは少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、前記SCR触媒(2)での排気ガスの滞留時間が0.5秒未満、好ましくは0.3秒未満になるように構成され、且つ/或いは
前記加水分解触媒(1)及び前記SCR触媒(2)が、同じ触媒担体(3)に配置される、方法。
【請求項15】
前記排気ガス中のNOx含有率を測定するステップを含む、請求項12から14までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記測定されたNOx含有率を基準値と比較するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのシリンダを有する燃焼機関用、好ましくは内径が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダをもつ大型船舶エンジン用の排気ガス後処理システム、内燃機関、及び内燃機関のNOx排出を削減する方法を対象とする。
【0002】
本発明は、燃焼機関、及びその排出削減の技術分野に関する。
【0003】
本発明は、好ましくは、大型の船舶用エンジン若しくは船用エンジン、又は定置エンジンのような、そのシリンダの内径が少なくとも200mmである内燃機関に関する。エンジンは、2ストローク・エンジン、又は2ストローク・クロス・ヘッド・エンジンであることが好ましい。エンジンは、ディーゼル・エンジンでもガス・エンジンでもよく、デュアル・フューエル・エンジンでもマルチ・フューエル・エンジンでもよい。こうしたエンジンでの液体燃料及び/又はガス燃料の燃焼は、自己着火でも強制点火でも可能である。
【背景技術】
【0004】
内燃機関は、長手方向掃気式(longitudinally flushed)の2ストローク・エンジンでもよい。
【0005】
内燃機関という用語は、燃料の自己着火によって特徴付けられるディーゼル・モードだけでなく、燃料のポジティブ点火によって特徴付けられるオットー・モードでも運転でき、又はこれら2つの組合せで運転できる、大型エンジンも指す。さらに、内燃機関という用語は、具体的には、燃料の自己着火を使用して別の燃料をポジティブ点火する、デュアル・フューエル・エンジン及び大型エンジンを含む。
【0006】
エンジン速度は、好ましくは800RPM未満(4ストローク)であり、より好ましくは200RPM未満(2ストローク)であり、これは低速エンジンに指定されることを示す。
【0007】
燃料は、液化天然ガス(LNG:liquid natural gas)、液化石油ガス(LPG:liquid petrol gas)などのようなガスだけではなく、ディーゼル油でも船舶用ディーゼル油でもよく、重質燃料油でもよく、エマルジョンでもスラリーでもよく、メタノールでもエタノールでもよい。
【0008】
要求に応じて追加され得る、考えられる別の燃料は、LBG(液化バイオガス:liquefied biogas)、バイオ燃料(たとえば藻類から作られた油)、水素、(たとえばパワー・ツー・ガス又はパワー・ツー・リキッドから作られた)CO2による合成燃料である。
【0009】
大型船、具体的には貨物輸送用の船舶は、一般に、内燃機関、具体的にはディーゼル・エンジン及び/又はガス・エンジン、主に2ストローク・クロス・ヘッド・エンジンによって動力を供給される。重質燃料油、船舶用ディーゼル油、ディーゼル又は他の液体のような液体燃料がエンジンによって燃焼される場合、及びLNG、LPGなどのようなガス燃料がエンジンによって燃焼される場合、IMOの3次規制などの既存の規則に対応するために、この燃焼プロセスからの排気ガスを浄化する必要がある。
【0010】
一般に1次規制基準〜3次規制基準と呼ばれているIMOの排出基準は、とりわけ、既存の船舶エンジン及び新しい船舶エンジンに関するNOx排出基準を定めている。
【0011】
大型船では、特に窒素酸化物の排出に関して排出要件が増えてきている。したがって、これらの船の内燃機関によって排出される排気ガス中の窒素酸化物の量を削減する必要性がある。
【0012】
燃焼機関の排気ガス中の窒素酸化物(NOx)レベルを下げるために、SCR(選択触媒還元:selective catalytic reduction)技術が使用される。SCRは、普通は地上ベースのエンジン、たとえば重量車(heavy duty vehicle)、産業プラント及び他の用途において使用される。SCR技術は、2ストローク・ディーゼル・エンジンと組み合わせて、海上の環境でも使用されてきた。前記船舶用ディーゼル・エンジン及び前記地上ベースのエンジンに対する規制上の要件により、効率的なSCRシステムの必要性が高まっている。
【0013】
SCRは、アンモニア(NH)を用いて排気ガス中の窒素酸化物を還元することに基づくことができる。通常、アンモニアは、尿素水などのアンモニア前駆物質を燃焼機関の排気ガスに注入することによって生成される。たとえば、尿素水をノズルによって高温の排気ガスへと噴霧し、そこで液体尿素水が反応して、アンモニア、二酸化炭素、及び水蒸気になる。次いで、アンモニアは、SCR反応器において、触媒の影響下で窒素酸化物を窒素(N)及び水(HO)へと還元する。液体尿素からのアンモニアの発生は吸熱性である。したがって、排気ガスが十分に高温である場合にのみ、尿素水の分解が完了し、窒素酸化物(NOx)が窒素(N)に還元される。
【0014】
EP3149298B1には、アンモニア前駆物質を加えるための供給装置に加水分解触媒コンバータが付与された後処理システムが開示されている。加水分解触媒コンバータにより、SCR触媒の上流でアンモニア前駆物質をアンモニアに変換するのを改善し、又は促進することができる。
【0015】
燃焼機関における知られているSCR反応器の課題の1つは、NOx含有率を十分に減らすことである。したがって、排気ガスの滞留時間が十分なものになる、容積の大きいSCR反応器が必要とされる。容量の大きいSCR反応器は多くの空間を必要とし、コストがかかる。
【0016】
通常、SCR技術に使用されている触媒は、TiOによって担持されるバナジウム、タングステンを含むか、又はたとえば銅/ゼオライト若しくは鉄/ゼオライトのような金属置換(metal substituted)ゼオライトである。バナジウムは、NOxの酸化を促進する。しかし、バナジウムの含有率は低く保たれなければならない。そうしないと、エンジン負荷が高くそれぞれの温度が高い状態ではSOが酸化してSOになり、一定の濃度を上回ると、SOが煙道及びその下流に硫酸の青いプルームを生じさせるからであり、これは何としても防止されなければならない。バナジウム含有率が多くなると、350℃を上回る温度では、NHがNOxへと酸化することもある。したがって、より多くの還元剤が注入されなければならない。さらに、バナジウム含有率が多くなり、特にバナジウムとタングステンが組み合わさると、350℃を上回る温度では、NOの生成増加が促進される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】EP3149298B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の一目的は、従来技術の欠点を防止すること、並びに運転コストを削減し、後処理システムのサイズを小さくし、NOやSOなどの副反応生成物の排出を最小限に抑え、且つ/又はアンモニア若しくはアンモニア前駆物質などの還元剤の供給を少なくすることを確実とする、排気ガス後処理システム、内燃機関、及び内燃機関のNOx排出を削減する方法を生み出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも1つのシリンダを有する燃焼機関用、好ましくは内径が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダをもつ大型船舶エンジン用の排気ガス後処理システムが提供される。排気ガス後処理システムは、加水分解触媒と、加水分解触媒の下流に配置されるSCR触媒とを備える。
【0020】
所与の量のNOxを還元するための加水分解触媒及びSCR触媒の合計体積は、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒の体積以下である。好ましくは加水分解触媒及びSCR触媒の合計体積は、400l/MW未満である。
【0021】
SCR触媒は、SCR反応器に配置されてもよい。加水分解触媒は、加水分解触媒反応器に配置されてもよい。
【0022】
SCR触媒及び加水分解触媒は、共通の反応器に配置されてもよい。
【0023】
追加的に、又は別法として、SCR触媒のバナジウム含有率は、0.3%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%以上である。
【0024】
パーセンテージは、触媒被覆の総重量を指す。
【0025】
追加的に、又は別法として、加水分解触媒及びSCR触媒は、好ましくは少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、SCR触媒での排気ガスの滞留時間が0.5秒未満、より好ましくは0.3秒未満になるように構成される。
【0026】
特に、加水分解触媒及びSCR触媒の体積は、全負荷において短い滞留時間が実現されるように構成される。
【0027】
追加的に、又は別法として、加水分解触媒及びSCR触媒は同じ触媒担体に配置される。
【0028】
SCR触媒は、好ましくはバナジウム、タングステン及び/又はTiOを含み、好ましくはバナジウム及びタングステンをドープしたTiOを含む。
【0029】
加水分解触媒は、HNCOをNHに加水分解する助けになるだけではなく、尿素分子をHNCO及びNHに分解する助けにもなる。さらに、高負荷時に存在する排気ガス温度では、加水分解触媒において、加水分解だけではなく、SCR反応に類似した副反応も生じ、NOxがかなり還元される。
【0030】
したがって、加水分解触媒において既に還元されたすべてのNOxは、加水分解触媒の下流に配置されるSCR触媒では存在しないことになる。そのために、SCR触媒は、より少ない量のNOxを還元するだけでよい。
【0031】
したがって、同じNOxを還元するために必要とされる、加水分解触媒及びSCR触媒を備えた触媒作用システム全体の体積は、単独のSCR触媒よりも小さくなる。単独のSCR触媒と比較して、触媒の合計体積を少なくとも8〜10%少なくすることができる。
【0032】
本発明では、触媒の体積は、触媒の包絡体積(envelope volume)と理解される。
【0033】
SCR触媒が加水分解触媒と組み合わされたとき、SCR触媒はより少ない量のNOxを還元するだけでよいので、SCR触媒の体積を小さくすることができ、且つ/又はSCR触媒での反応時間を短くすることができ、したがってSCR触媒での滞留時間を短くすることができる。
【0034】
排気ガスは短い時間しかSCR触媒に滞留し得ず、SOを酸化させる反応時間、及びNOを発生させる時間もより短くなるので、より大きい単独のSCR触媒の場合のように、SCR触媒のバナジウム含有率をより多くすることができる。さらに、バナジウム含有率が多い小さなSCR触媒を用いると、バナジウム含有率が少ない大きなSCR触媒と同じNOx酸化速度を実現することができる。
【0035】
SCR触媒では、NHのごく一部のみが酸化し、NHの大部分は効率的に使用される。したがって、提供されるNHの量はより少なくされなければならない。SCR触媒においてNOxへと酸化する恐れがあり、又はアンモニア・スリップとして残る、超過量のNHを提供するリスクを低減することができる。尿素の過剰供給を防止することができる。
【0036】
エンジン負荷が低く、それぞれの温度がより低い場合、「SCR反応」の大部分、したがってNOx還元の大部分はSCR触媒で行われる。しかし、より低負荷の間、加水分解触媒は、少なくともHNCOからNHへの加水分解を可能にし、したがって、この反応がSCR触媒において行われる必要はなく、SCR触媒には加水分解用の空間が提供されなくてもよい。加水分解触媒は尿素を分解する助けにもなるので、したがって、SCR触媒の入口では、注入された尿素のほぼすべてがNHの形をとり、SCR触媒に追加の体積が提供されなくてもよい。
【0037】
特に、負荷がより低い場合、高いバナジウム含有率を含む、すなわち0.3%超、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%以上のバナジウム含有率を含むSCR触媒は非常に活性が高く、したがって、小さいSCR触媒も、バナジウム含有率がより少ないより大きなSCR触媒と同じ性能に達することができる。
【0038】
より高負荷でのエンジン動作時には、加水分解触媒により、依然としてHNCOのNHへの加水分解が可能であるが、NOx還元のうちの大半も実現される。加水分解触媒の内部で還元されなかった少量のNOxのみが、SCR触媒で還元されることになる。
【0039】
加水分解触媒とSCR触媒が、たとえば同じ触媒担体に配置されることによって1つの装置として構成されるとき、より一層小型の機構を実現することができる。排気ガスは、加水分解触媒からSCR触媒へと直接流れることができる。
【0040】
触媒担体は、金属でもよく、セラミックでもよい。担体は、被覆されてもよい。たとえば触媒作用装置の入口はTiOのみで被覆されてもよく、一方、担体の下流部分はバナジウム、タングステン、及びTiOで被覆される。
【0041】
有利な一実施例では、排気ガス後処理システムは、NOxセンサ、好ましくは2つのNOxセンサを備える。
【0042】
具体的には、排気ガス後処理システムは3つのNOxセンサを備え、第1のNOxセンサは加水分解触媒の上流に配置され、第2のNOxセンサは加水分解触媒の下流且つSCR触媒の上流に配置され、第3のNOxセンサはSCR触媒の下流に配置されてもよい。
【0043】
NOxセンサは、加水分解触媒の下流、及び/又はSCR触媒の下流に配置されることが好ましい。NOxセンサは、加水分解触媒の上流にも配置されてもよい。
【0044】
排気ガス後処理システムの様々な段階でNOx含有率を測定することにより、各セクションの効果を監視することができる。
【0045】
NOxセンサの代わりに、NOx含有率についての結果の導出を可能にするデータを収集するセンサが使用されてもよい。
【0046】
排気ガス後処理システムは、測定されたNOx値、又は様々な段階で測定されたNOx値の差を基準値と比較するための制御ユニットを備えることが好ましい。比較結果に応じて対策を講じることができる。たとえば、アンモニア又はアンモニア前駆物質、たとえば尿素などの、注入される還元剤の量が変更されてもよく、又は排気ガス後処理システムの少なくとも一部の温度が変更されてもよく、又は幾らかの燃料ペナルティ(fuel penalty)が与えられなければならない。
【0047】
別法として、加水分解触媒で十分な量のNOxが還元されたことを制御ユニットが信号伝達するとき、SCR触媒はバイパスされてもよく、排気ガスの一部のみがSCR触媒に案内されてもよい。
【0048】
該当する規則、燃料のタイプ、エンジンの出力レベル及び別の要因に応じて、排気ガスを異なるシステムで処理する必要がある。したがって、排気ガスは、船舶エンジンの排気システム内で、異なる方向に分流可能でもよい。
【0049】
本発明の好ましい一実施例では、排気ガス後処理システムは、加水分解触媒の上流に、少なくとも1つのバイパス分流装置を備える。少なくとも1つの第1のバイパス排気ライン及び少なくとも1つの第2のバイパス排気ラインが、少なくとも1つのバイパス分流装置に連結される。少なくとも1つのバイパス分流装置は、加水分解触媒の上流の排気ガスを、第1のバイパス排気ライン向けの第1のガス流と第2のバイパス排気ライン向けの第2のガス流とに分流するように構成される。加水分解触媒及びSCR触媒は、分流バイパス装置の下流で、第1のバイパス排気ラインに配置される。
【0050】
このようにバイパスが提供され、これにより、排気ガスの少なくとも一部を分岐させることが可能になり、したがって、この一部は、加水分解触媒及びSCR触媒に入らない。
【0051】
第1のバイパス排気ラインと第2のバイパス排気ラインは、SCR触媒の下流で一緒になることができ、それにより、第1のガス流と第2のガス流が1つのラインに合流する。
【0052】
排気ガス後処理システムは、第1のバイパス排気ライン及び第2のバイパス排気ラインの処理量を設定するためのバイパス調節装置を備えることが好ましい。
【0053】
バイパス調節装置は、第1のバイパス排気ライン及び/又は第2のバイパス排気ラインを開閉するための少なくとも1つのバイパス調節弁によって実施されてもよい。第1のバイパス排気ライン及び第2のバイパス排気ラインには、それぞれ1つの弁が存在し得る。したがって、シリンダから出て行く全排気ガスのうちの所望の割合を、第1のバイパス排気ラインに、したがって加水分解触媒及びSCR触媒に案内することができる。
【0054】
たとえば、より高いNOxレベルが許容可能であると考えられ得る状況を定める2次規制モードでは、加水分解触媒及びSCR触媒を備えた触媒作用システム全体が分離されてもよく、したがって、全排気ガスは、加水分解触媒及びSCR触媒を通過しない。
【0055】
排気ガス後処理システムは、好ましくはNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて、第1のバイパス排気ライン及び第2のバイパス排気ラインの処理量を制御するための制御ユニットを備えることが有利である。
【0056】
たとえばSCR触媒の下流、又は第1のガス流と第2のガス流の合流点の下流のNOx値を測定することによって決定され得る、システム全体の性能に応じて、且つ/又は必要とされる性能に応じて、第1のバイパス排気ライン及び/又は第2のバイパス排気ラインに幾らかの排気ガスを案内することができる。
【0057】
本発明の好ましい一実施例では、排気ガス後処理システムは、加水分解触媒の下流に、少なくとも1つの案内分流装置を備える。第1の案内排気ライン及び第2の案内排気ラインが、少なくとも1つの案内分流装置に連結される。少なくとも1つの案内分流装置は、加水分解触媒から出て行く排気ガスを、第1の案内排気ライン向けの第1のガス流と第2の排気ライン向けの第2のガス流とに分流するように構成される。SCR触媒は、案内分流装置の下流で、第1の案内排気ラインに配置される。
【0058】
このようにバイパスが提供され、これにより、加水分解触媒から出て行く排気ガスの少なくとも一部分を分岐させることが可能になり、したがって、この一部はSCR触媒に入らない。
【0059】
第1の案内排気ラインと第2の案内排気ラインは、SCR触媒の下流で一緒になることができ、それにより、第1のガス流と第2のガス流が1つのラインに合流する。
【0060】
加水分解触媒が、エンジンの高負荷時に3次規制レベルまで完全にNOxを還元するのに十分な大きさに寸法設定された場合、SCR触媒は必要とされない。加水分解触媒の下流の案内分流装置により、SCR触媒をバイパスすることが可能になる。
【0061】
排気ガス後処理システムは、第1の案内排気ライン及び第2の排気ラインの処理量を設定するための案内調節装置を備えることが好ましい。具体的には、案内調節装置は、第1の案内排気ライン及び/又は第2の排気ラインを開閉するための少なくとも1つの案内調節弁を備える。第1の案内排気ライン及び第2の排気ラインには、それぞれ1つの弁が存在し得る。
【0062】
したがって、加水分解触媒から出て行く排気ガスのうちの所望の割合を、第1の案内排気ラインに、したがってSCR触媒に案内することができる。
【0063】
加水分解触媒の下流の案内分流装置により、たとえばエンジンの低負荷時にのみ、SCR触媒を使用することが可能になる。
【0064】
排気ガス後処理システムは、好ましくはNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて第1の案内排気ライン及び第2の排気ラインの処理量を制御するための制御ユニットを備えることが有利である。
【0065】
SCR触媒の下流、若しくは第1のガス流と第2のガス流の合流点の下流で測定されたNOx値が所与の値を超える場合、又は加水分解触媒の上流で測定されたNOx値と、SCR触媒の下流、若しくは第1のガス流と第2のガス流の合流点の下流で測定されたNOx値との差が、所定の値を下回る場合、性能が低すぎると考えることができる。この場合、制御ユニットは、第1の案内排気ラインを開くこと、及び/又は第1のガス流を増やすことをトリガできる。
【0066】
排気ガス後処理システムは、バイパス分流装置及び案内分流装置を備えてもよい。第2のバイパス排気ラインは第2の案内排気ラインに合流することができ、第1の案内排気ラインと第2のバイパス排気ラインはSCR触媒の下流で一緒になることができ、それにより、ガス流が合流する。
【0067】
制御ユニットは、第1のバイパス排気ライン、第2のバイパス排気ライン、第1の案内排気ライン、及び第2の排気ラインを通る処理量を制御することができる。
【0068】
本発明の第2の態様によれば、好ましくは先に述べたような、少なくとも1つのシリンダを有する燃焼機関用、好ましくは内径が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダをもつ大型船舶エンジン用の排気ガス後処理システムが提供される。排気ガス後処理システムは加水分解触媒を備え、この加水分解触媒は、少なくとも420℃の温度、及び/又は少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、加水分解触媒においてNOxの濃度を少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%低減することができる。加水分解触媒は、所望のNOx還元性能を実現するように寸法設定されることが好ましい。
【0069】
加水分解触媒は、TiO、及び/又はZrO、及び/又はAl、及び/又はSiO、及び/又はH−ZSM−5を含んでもよい。
【0070】
排気ガス後処理システムは、アンモニア、又はアンモニア前駆物質、たとえば尿素などの還元剤のための供給ユニットを備えてもよい。また、供給ユニットは、排気ガス後処理システムの上流に配置されてもよい。
【0071】
本発明の目標は、先に述べたような排気ガス後処理システムを備える、少なくとも1つのシリンダを有する内燃機関、好ましくは内径が少なくとも200mmである少なくとも1つのシリンダをもつ大型船舶エンジンによっても達成される。
【0072】
本発明の目標は、内燃機関、好ましくは先に述べたような燃焼機関のNOx排出を削減する方法によっても達成される。方法は、以下のステップを含む。排気ガスが、シリンダの出口から放出される。好ましくは、アンモニア、又はアンモニア前駆物質、たとえば尿素などの還元剤が、排気ガスへと供給される。別法として、アンモニア水溶液、尿素水、炭酸アンモニウム溶液、カルバミン酸アンモニウム、又は尿素粉末も供給されてもよい。
【0073】
排気ガスは加水分解触媒へと案内され、少なくとも420℃の温度、及び/又は少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、加水分解触媒において、NOxの濃度は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%低減される。
【0074】
本発明の目的は、内燃機関、好ましくは先に述べたような燃焼機関のNOx排出を削減する方法、好ましくは先に述べたような方法によっても達成される。方法は、以下のステップを含む。
【0075】
排気ガスは、シリンダの出口から放出される。好ましくは、物質還元剤が、排気ガスへと供給される。
【0076】
第1のバイパス排気ライン及び第2のバイパス排気ラインの処理量が、好ましくは測定されたNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて制御される。第1のバイパス排気ライン及び第2のバイパス排気ラインは、加水分解触媒の上流に配置された少なくとも1つの案内分流装置に連結される。加水分解触媒は第1のバイパス排気ラインに配置され、第2のバイパス排気ラインは、加水分解触媒をバイパスする。
【0077】
具体的には、SCR触媒は加水分解触媒の下流に配置され、SCR触媒は、第1のバイパス排気ラインに配置され、したがって、第2のバイパス排気ラインは、SCR触媒もバイパスする。
【0078】
本発明の目標は、内燃機関、好ましくは先に述べたような燃焼機関のNOx排出を削減する方法、好ましくは先に述べたような方法によっても達成される。方法は、以下のステップを含む。
【0079】
排気ガスは、シリンダの出口から放出される。好ましくは、物質還元剤が、排気ガスへと供給される。
【0080】
排気ガスの少なくとも一部は、加水分解触媒へと導かれる。
【0081】
第1の案内排気ライン及び第2の案内排気ラインの処理量が、好ましくは測定されたNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて制御される。
【0082】
第1の案内排気ライン及び第2の案内排気ラインは、加水分解触媒の下流に配置された少なくとも1つの案内分流装置に連結される。SCR触媒が第1の案内排気ラインに配置され、第2の案内排気ラインはSCR触媒をバイパスする。
【0083】
本発明の目標は、内燃機関、好ましくは先に述べたような燃焼機関のNOx排出を削減する方法、好ましくは先に述べたような方法によっても達成される。方法は、以下のステップを含む。
【0084】
排気ガスは、シリンダの出口から放出される。好ましくは、物質還元剤が排気ガスへと供給される。排気ガスは、加水分解触媒へと導かれる。排気ガスは、加水分解触媒の下流に配置されたSCR触媒へと導かれる。
【0085】
排気ガス後処理システムが使用され、所与の量のNOxを還元するための加水分解触媒とSCR触媒の合計体積は、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒の体積より小さく、好ましくは、加水分解触媒とSCR触媒の合計体積は、500l/MW未満、好ましくは400l/MW未満である。
【0086】
追加的に、又は別法として、SCR触媒のバナジウム含有率は、0.3%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは0.7%以上である。
【0087】
追加的に、又は別法として、加水分解触媒及びSCR触媒は、好ましくは少なくとも90%のエンジン負荷、及び/又は2〜20kg/kWh、好ましくは7〜11kg/kWhの排気ガス流量では、SCR触媒での排気ガスの滞留時間が0.5秒未満、好ましくは0.3秒未満になるように構成される。
【0088】
追加的に、又は別法として、加水分解触媒及びSCR触媒は、同じ触媒担体に配置される。
【0089】
方法の好ましい一実施例では、排気ガス中のNOx含有率が測定される。
【0090】
NOx含有率は、加水分解触媒の上流、及び/又は加水分解触媒の下流、及び/又はSCR触媒の下流で測定され得る。
【0091】
測定されたNOx含有率は、基準値と比較されることが有利である。基準値は、所与の値、たとえば該当する規則によるNOx排出値でもよい。
【0092】
また、基準値は、測定された値でもよい。たとえば、加水分解触媒の下流で測定されたNOx値が、加水分解触媒の上流で測定されたNOx値と比較されてもよい。
【0093】
比較に応じて、幾らかのガスを加水分解触媒及び/又はSCR触媒に案内することができる。
【0094】
以下では、図を用いて、実施例において本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】燃焼機関の第1の実例の概略図である。
図2】燃焼機関の第2の実例の概略図である。
図3】燃焼機関の第3の実例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図1には、燃焼機関10の第1の実例の概略図が示してある。
【0097】
燃焼機関20は4つのシリンダ21を有することができ、各シリンダ21の内径27は、少なくとも200mmである。
【0098】
排気ガスは、出口7から放出される。
【0099】
燃焼機関20は、加水分解触媒1と、加水分解触媒1の下流に配置されたSCR触媒2とを有する、排気ガス後処理システム10を備える。
【0100】
SCR触媒2のバナジウム含有率は、0.3%以上でもよい。
【0101】
排気ガス後処理システム10は、2つのNOxセンサ4、5を備える。第1のNOxセンサ4は、SCR触媒2の下流に配置される。第2のNOxセンサ5は、加水分解触媒1の上流に配置される。加水分解触媒1とSCR触媒2の間に、図には明確に示していない別のNOxセンサが配置されてもよい。
【0102】
排気ガス後処理システム10は、第1のNOxセンサ4で測定されたNOx値を第2のNOxセンサ5で測定されたNOx値、又は別のNOxセンサで測定されたNOx値と比較して加水分解触媒1及びSCR触媒2の性能を検査する、制御ユニット6を備える。
【0103】
また、制御ユニット6は、速度及び燃料コマンド(fuel command)に基づいて、エンジンの負荷を決定するように構成されてもよい。
【0104】
排気ガス後処理システム10は、加水分解触媒1の上流にバイパス分流装置17を備える。第1のバイパス排気ライン18及び第2のバイパス排気ライン19は、バイパス分流装置17に連結される。
【0105】
バイパス分流装置17は、加水分解触媒1の上流の排気ガスを、第1のバイパス排気ライン18向けの第1のガス流と第2のバイパス排気ライン19向けの第2のガス流とに分流するように構成される。
【0106】
第1のバイパス排気ライン18と第2のバイパス排気ライン19は合流することができ、排気ガスは、ターボ過給機26へと案内され得る。SCR触媒の下流に配置された追加の弁25が第1のバイパス排気ライン18を閉じて、第2のバイパス排気ライン19からSCR触媒へと排気ガスが流れるのを防止することができる。
【0107】
加水分解触媒1及びSCR触媒2は、分流バイパス装置17の下流で、第1のバイパス排気ライン18に配置される。
【0108】
排気ガス後処理システム10は、第1のバイパス排気ライン18及び第2のバイパス排気ライン19の処理量を設定するための、バイパス調節装置22を備える。
【0109】
バイパス調節装置22は、第1のバイパス排気ライン18を開閉するための第1のバイパス調節弁23と、第2のバイパス排気ライン19を開閉するための第2のバイパス調節弁24とを備える。
【0110】
燃焼機関20は、図には明確に示していない温度センサを備えてもよい。
【0111】
制御ユニット6は、NOx還元性能、測定されたNOx値、温度、及び/又はエンジン負荷に応じて、第1のバイパス調節弁23及び第2のバイパス調節弁24を開き且つ/又は閉じるための信号を送ることにより、第1のバイパス排気ライン18及び第2のバイパス排気ライン19の処理量を制御することができる。
【0112】
図2には、燃焼機関10の第2の実例の概略図が示してある。燃焼機関20は、4つのシリンダ21を有することができる。
【0113】
燃焼機関20は、加水分解触媒1と、加水分解触媒1の下流に配置されたSCR触媒2とを有する、排気ガス後処理システム10を備える。
【0114】
排気ガス後処理システム10は、加水分解触媒1の下流に案内分流装置11を備え、第1の案内排気ライン12及び第2の案内排気ライン13が、少なくとも1つの案内分流装置11に連結される。
【0115】
案内分流装置11は、加水分解触媒1から出て行く排気ガスを、第1の案内排気ライン12向けの第1のガス流と第2の案内排気ライン13向けの第2のガス流とに分流するように構成される。SCR触媒2は、案内分流装置11の下流で、第1の案内排気ライン12に配置される。
【0116】
排気ガス後処理システム10は、第1の案内排気ライン12及び第2の案内排気ライン13の処理量を設定するための調節装置14を備える。調節装置14は、第1の案内排気ライン12を開閉するための第1の案内調節弁15と、第2の案内排気ライン13を開閉するための第2の案内調節弁16とを備える。
【0117】
排気ガス後処理システム10は、2つのNOxセンサ4、8を備えることができる。第1のNOxセンサ4は、SCR触媒2の下流に配置される。第2のNOxセンサ8は、加水分解触媒1の下流に配置される。
【0118】
加水分解触媒1の上流に、図には明確に示していない別のセンサが配置されてもよい。
【0119】
排気ガス後処理システム10は、第1の案内排気ライン12及び第2の案内排気ライン13の処理量を制御するための制御ユニット6を備える。制御ユニットは、たとえば、加水分解触媒1のNOx還元性能の判断基準である、第2のNOxセンサ8において測定されたNOx値に応じて、第1の案内調節弁15及び第2の案内調節弁16を開閉するための信号を送ることができる。
【0120】
制御ユニットは、排気ガスの少なくとも一部が加水分解触媒1及びSCR触媒2をバイパスすることができるように、第1のバイパス調節弁23及び第2のバイパス調節弁24を開き且つ/又は閉じるための信号を送ることもできる。
【0121】
図3には、燃焼機関20の第3の実例の概略図が示してある。燃焼機関20は、4つのシリンダ21を有することができる。
【0122】
燃焼機関20は、加水分解触媒1と、加水分解触媒1の下流に配置されたSCR触媒2とを有する、排気ガス後処理システム10を備える。
【0123】
加水分解触媒1及びSCR触媒2は、同じ触媒担体3に配置される。
【0124】
所与の量のNOxを還元するための加水分解触媒1とSCR触媒2の合計体積Vtは、同じ量のNOxを還元するための単独のSCR触媒の体積以下になる。加水分解触媒1とSCR触媒2の合計体積Vtは、500l/MW以下、好ましくは400l/MW以下である。
【符号の説明】
【0125】
1 加水分解触媒
2 SCR触媒
3 触媒担体
4 第1のNOxセンサ
5 第2のNOxセンサ
6 制御ユニット
7 出口
8 第2のNOxセンサ
10 排気ガス後処理システム
11 案内分流装置
12 第1の案内排気ライン
13 第2の案内排気ライン
14 調節装置
15 第1の案内調節弁
16 第2の案内調節弁
17 バイパス分流装置
18 第1のバイパス排気ライン
19 第2のバイパス排気ライン
20 燃焼機関
21 シリンダ
22 バイパス調節装置
23 第1のバイパス調節弁
24 第2のバイパス調節弁
25 追加の弁
26 ターボ過給機
27 内径
図1
図2
図3
【外国語明細書】
2020101175000001.pdf