【解決手段】撮像レンズ光学系は、被写体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5、および正の屈折力を有する第6レンズ群G6を有する。第2レンズ群G2の最も結像側のレンズ面は結像側に凸で、第3レンズ群G3の最も被写体側のレンズ面は被写体側に凸であり、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とは、フォーカシングに際して、被写体距離が遠側から近側に変化するに従って互いに接近する方向に移動する。
被写体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ群、正の屈折力を有する第2レンズ群、正の屈折力を有する第3レンズ群、負の屈折力を有する第4レンズ群、負の屈折力を有する第5レンズ群、および正の屈折力を有する第6レンズ群を有し、
前記第1レンズ群および前記第6レンズ群は固定群であり、
前記第2レンズ群および前記第3レンズ群はフォーカス群であり、
前記第4レンズ群および前記第5レンズ群は変倍群であり、
前記第2レンズ群の最も結像側のレンズ面は結像側に凸で、前記第3レンズ群の最も被写体側のレンズ面は被写体側に凸であり、
前記第2レンズ群と前記第3レンズ群とは、フォーカシングに際して、被写体距離が遠側から近側に変化するに従って互いに接近する方向に移動する、
ことを特徴とする撮像レンズ光学系。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1の撮像レンズ光学系を、主な光束と共に示す断面図
【
図2】実施例1の撮像レンズ光学系を構成する光学要素の基本データを示す図
【
図3】実施例1の撮像レンズ光学系における各部の焦点距離等のデータを示す図
【
図4】実施例1の撮像レンズ光学系における各部の面間隔等のデータを示す図
【
図5】実施例1の撮像レンズ光学系を構成するレンズの非球面データを示す図
【
図6】実施例1の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の各種収差を示す図
【
図7】実施例1の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図8】実施例1の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図9】実施例1の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図10】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の各種収差を示す図
【
図11】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図12】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図13】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図14】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の各種収差を示す図
【
図15】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図16】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図17】実施例1の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図18】実施例2の撮像レンズ光学系を、主な光束と共に示す断面図
【
図19】実施例2の撮像レンズ光学系を構成する光学要素の基本データを示す図
【
図20】実施例2の撮像レンズ光学系における各部の焦点距離等のデータを示す図
【
図21】実施例2の撮像レンズ光学系における各部の面間隔等のデータを示す図
【
図22】実施例2の撮像レンズ光学系を構成するレンズの非球面データを示す図
【
図23】実施例2の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の各種収差を示す図
【
図24】実施例2の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図25】実施例2の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図26】実施例2の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図27】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の各種収差を示す図
【
図28】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図29】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図30】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図31】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の各種収差を示す図
【
図32】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図33】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図34】実施例2の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図35】実施例3の撮像レンズ光学系を、主な光束と共に示す断面図
【
図36】実施例3の撮像レンズ光学系を構成する光学要素の基本データを示す図
【
図37】実施例3の撮像レンズ光学系における各部の焦点距離等のデータを示す図
【
図38】実施例3の撮像レンズ光学系における各部の面間隔等のデータを示す図
【
図39】実施例3の撮像レンズ光学系を構成するレンズの非球面データを示す図
【
図40】実施例3の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の各種収差を示す図
【
図41】実施例3の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図42】実施例3の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図43】実施例3の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図44】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の各種収差を示す図
【
図45】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図46】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図47】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図48】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の各種収差を示す図
【
図49】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図50】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図51】実施例3の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図52】実施例4の撮像レンズ光学系を、主な光束と共に示す断面図
【
図53】実施例4の撮像レンズ光学系を構成する光学要素の基本データを示す図
【
図54】実施例4の撮像レンズ光学系における各部の焦点距離等のデータを示す図
【
図55】実施例4の撮像レンズ光学系における各部の面間隔等のデータを示す図
【
図56】実施例4の撮像レンズ光学系を構成するレンズの非球面データを示す図
【
図57】実施例4の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の各種収差を示す図
【
図58】実施例4の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図59】実施例4の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図60】実施例4の撮像レンズ光学系における無限遠撮影時の横収差を示す図
【
図61】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の各種収差を示す図
【
図62】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図63】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図64】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離5m時の横収差を示す図
【
図65】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の各種収差を示す図
【
図66】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図67】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【
図68】実施例4の撮像レンズ光学系における撮影距離1m時の横収差を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。以下では、各構成要素の詳しい数値例を示しながら実施例1〜4について説明する。まず、
図1に示す実施例1について説明する。
【0014】
[実施例1]
図1は本発明の一実施形態に係る撮像レンズ光学系のレンズ構成を、光路と共に示す断面図である。
図1においては、左側が被写体側で右側が結像側であり、図中に示す光路は、無限遠の距離にある物点からの軸上光束10および最大画角の光束11の各光路である。また同図では、上段に「WIDE」の表記を付けて広角端でのレンズ配置を、下段に「TELE」の表記を付けて望遠端でのレンズ配置を、それぞれ無限遠合焦時の状態で示している。以上述べた表示の仕方は、後述する実施例2、3および4をそれぞれ示す
図18、
図35、
図52においても同様である。
【0015】
本実施例の撮像レンズ光学系は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、負の屈折力を有する第1レンズ群G1、正の屈折力を有する第2レンズ群G2、正の屈折力を有する第3レンズ群G3、負の屈折力を有する第4レンズ群G4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5、および正の屈折力を有する第6レンズ群G6を有している。第2レンズ群G2および第3レンズ群G3は、無限遠被写体と最至近被写体との間で合焦させる際に、隣接するレンズ群との間隔が変化するように光軸Z方向に移動するフォーカス群である。第4レンズ群G4および第5レンズ群G5は、変倍の際に、隣接するレンズ群との間隔が変化するように光軸Z方向に移動する変倍群である。第1レンズ群G1および第6レンズ群G6は、合焦の際にも変倍の際にも像面Simとの間の距離が変化することのない固定群とされている。第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、および第3レンズ群G3は全体として正の屈折率を有し、正屈折力レンズ群として構成される。
【0016】
第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との間には、開口絞りStが配置されている。なお、
図1中に示す開口絞りStは必ずしも大きさや形状を表すものではなく、光軸Z上の位置を示すものである。本実施形態の撮像レンズ光学系を撮像装置に適用する際には、レンズを装着するカメラ側の構成に応じて、光学系と像面Simの間にカバーガラス、プリズム、赤外線カットフィルタ、およびローパスフィルタ等の各種フィルタを配置することが多い。
図1は、このような場合を想定して、平行平面板状のカバーガラスCGがレンズ系と像面Simとの間に配置された例を示している。
【0017】
なお、上記の「レンズ群」および後述する「サブレンズ群」とは、必ずしも複数のレンズから構成されるものだけでなく、1枚のレンズのみで構成されるものも含むものとする。また、「正の屈折力を有する」ことについては、以下、単に「正の」あるいは「正」と言うこともある。この点は、「負の屈折力を有する」ことについても同様である。レンズ群の屈折力の符号、レンズの屈折力の符号、およびレンズの面形状は、非球面が含まれているものは近軸領域で考えることとする。また、曲率半径の符号は、面形状が被写体側に凸の場合を正、像側に凸の場合を負としている。
【0018】
第1レンズ群G1は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、負の両凹レンズL1、およびこのレンズL1に接合された正のメニスカスレンズL2から構成されている。第2レンズ群G2は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、負のメニスカスレンズL3、およびこのレンズL3に接合された正の両凸レンズL4から構成されている。第3レンズ群G3は、1枚の正のメニスカスレンズL5から構成されている。第4レンズ群G4は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、両凹レンズL6、負のメニスカスレンズL7、およびこのレンズL7に接合された正のメニスカスレンズL8から構成されている。この第4レンズ群G4の中で、最も被写体側に有るレンズL6の被写体側のレンズ面は凹面であり、最も結像側にあるレンズL8の結像側のレンズ面は凹面である。第5レンズ群G5は、1枚の負のメニスカスレンズL9から構成されている。第6レンズ群G6は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、正のレンズ群G6A、接合レンズ群G6B、および負のレンズ群G6Cの、3つのサブレンズ群から構成されている。
【0019】
上記正のレンズ群G6Aは、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、正の両凸レンズL10、正のメニスカスレンズL11、および正のメニスカスレンズL12からなる。接合レンズ群G6Bは、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、負のメニスカスレンズL13、このレンズL13に接合された正の両凸レンズL14、負の両凹レンズL15、このレンズL15に接合された正のメニスカスレンズL16、負の両凹レンズL17、およびこのレンズL17に接合された正の両凸レンズL18からなる。すなわちこの接合レンズ群6Bは、3つの接合レンズから構成されている。負のレンズ群G6Cは、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された、負のメニスカスレンズL19、および正のメニスカスレンズL20からなる。なお上記負のメニスカスレンズL19は、双方のレンズ面が非球面とされた非球面レンズである。
【0020】
本実施例では、第1レンズ群G1〜第6レンズ群G6を上述のパワー配置とし、第1レンズ群G1および第6レンズ群G6を固定群とし、第2レンズ群G2および第3レンズ群G3をフォーカス群とし、第4レンズ群G4および第5レンズ群G5を変倍群とし、第6レンズ群G6を正のレンズ群G6A、接合レンズ群G6B、および負のレンズ群G6Cのサブレンズ群を有するものとし、第5レンズ群G5と第6レンズ群G6との間に開口絞りStを配置した上で、さらに、第1レンズ群G1から第5レンズ群G5までの合成焦点距離をf(1‐5)、第6レンズ群G6の焦点距離をf6として、下記の条件式(1)
−3≦f(1−5)/f6≦−0.5 ・・・(1)
が満たされている。なお、これらの焦点距離の具体的な値については、後に
図3を参照して示す。
【0021】
以上の構成とすることにより本実施例では、フォーカス範囲並びに変倍範囲の全域で、球面収差、軸上色収差、倍率色収差および像面湾曲が低減されている。特に、開口絞りStよりも結像側の固定群である第6レンズ群では、開口絞りStの近くに正のレンズ群G6Aを配置したことにより、球面収差およびコマ収差を良好に補正可能となっている。また、第6レンズ群G6の中間付近に接合レンズ群G6Bを配置したことにより、軸上色収差および倍率色収差を良好に補正可能となっている。さらに、第6レンズ群G6の最も結像側に負のレンズ群G6Cを配置したことにより、像面湾曲を良好に補正可能となっている。なお、上記f(1−5)/f6の値が、条件式(1)が規定する下限値、上限値を外れる構成にすると、球面収差、軸上色収差、倍率色収差および像面湾曲をバランス良く補正することができない。以上述べた構成および、それにより得られている効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0022】
なお、上記条件式(1)のf(1−5)/f6の値については、上記効果をより顕著に得るためには、
−2.7≦f(1−5)/f6≦−1 であることがより好ましく、
−2.5≦f(1−5)/f6≦−1.3 であることがさらに好ましい。
それらの好ましい条件は、本実施例1〜実施例4の全てにおいて満たされている。また、
−2.3≦(f1−5)/f6≦−1.3 であることが、よりさらに好ましい。このよりさらに好ましい条件は、後述する実施例4において満たされている。
【0023】
第6レンズ群G6の正のレンズ群G6Aは、被写体側から順に配置された、正の両凸レンズL6、および被写体側に凸面を向けた正のメニスカスレンズを有している。なお、この場合の正のメニスカスレンズとは、本実施例ではメニスカスレンズL11(第1のメニスカスレンズ)およびメニスカスレンズL12(第2のメニスカスレンズ)の2枚となっているが、1枚のメニスカスレンズだけであってもよい。本実施例では上述のように2枚のメニスカスレンズL11、L12を配置していることにより、球面収差を特に良好に補正可能となっている。
【0024】
また第6レンズ群G6の接合レンズ群G6Bは、3つの接合レンズつまり、レンズレンズL13とL14とからなる接合レンズ、レンズL15とL16とからなる接合レンズ、そしてレンズL17とL18とからなる接合レンズを有している。この構成により、軸上色収差および倍率色収差を良好に補正可能となっている。そして本実施例では、3つの接合レンズがそれぞれ、被写体側から順に配置された、負レンズおよび正レンズから構成されているので、軸上色収差および倍率色収差を特に良好に補正可能となっている。
【0025】
また第6レンズ群G6の負のレンズ群G6Cは、被写体側から順に配置された、被写体側に凹面を向けた負のメニスカスレンズL19、および正レンズL20を有している。このように負のメニスカスレンズL19を配置することにより、像面湾曲を良好に補正可能となっている。それに加えて、負のメニスカスレンズL19の結像側に正レンズL20を配置したことにより、テレセントリック性が向上している。正レンズL20は被写体側に凸面を向けるメニスカスレンズである。
【0026】
以上説明した、第6レンズ群G6の正のレンズ群G6A、接合レンズ群G6B、および負のレンズ群G6Cの構成および、それにより得られている効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0027】
また本実施例では、開口絞りStよりも結像側の第6レンズ群G6を固定群としているので、変倍に際して絞りを可変にしなくてもF値を一定にすることができる。
【0028】
また本実施例では、いずれも負の屈折力を有するレンズ群である第4レンズ群G4と第5レンズ群G5だけを組み合わせて変倍群を構成しているので、コマ収差の変化を少なく抑え、また、開口絞りStよりも結像側の光線の光路変化を少なくすることができる。この点の構成および、それにより得られている効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0029】
また本実施例では、負の屈折力を有する第4レンズ群G4の焦点距離をf4、負の屈折力を有する第5レンズ群G5の焦点距離をf5とすると、下記条件式(2)
|f5|<|f4| ・・・(2)
の関係が満たされている。これらの焦点距離f4、f5の具体的な値については、後に
図3を参照して示す。上記条件式(2)の関係を満たすことにより、コマ収差の変化を少なく抑え、また、開口絞りStよりも結像側の光線の光路の変化を少なくすることができる。この点の構成および、それにより得られている効果は、後述する実施例2および実施例3においても当てはまるものである。なお、上記の効果を得る上では、条件式(2)を満たした上で、f4/f5の値を1.5以上3以下とするのが好ましく、1.9以上2.5以下とするとなお好ましい。
【0030】
また本実施例では、撮像レンズ光学系の全系の焦点距離ftと、上記焦点距離f4およびf5について、下記条件式(3)
−3≦f4/ft≦−0.2 かつ −2.5≦f5/ft≦−0.2 ・・・(3)
の関係が満たされている。なお、これらの焦点距離f4、f5およびftの具体的な値については、後に
図3および
図4を参照して示す。
【0031】
f4/ftの値が条件式(3)の規定範囲内にあることで、変倍時の第4レンズ群G4の移動量を減らすことができる。f4/ftの値が条件式(3)の規定範囲外にあると、変倍時の第4レンズ群G4の移動量を減らし難くなる。他方、f5/ftの値が条件式(3)のの規定範囲内にあることで、球面収差を低減可能となる。この効果は、特に撮像レンズ光学系が広角端と望遠端の間の中間位置にある場合に顕著である。f5/ftの値が条件式(3)のの規定範囲外にあると、球面収差の補正を十分に行えなくなる。以上述べた条件式(3)が満たされていること、および、それにより得られている効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0032】
また本実施例においては、第2レンズ群G2の焦点距離f2と、第3レンズ群G3の焦点距離f3と、撮像レンズ光学系の全系の焦点距離ftとについて、下記条件式(4)
0.8≦f2/ft≦2.5 かつ、1≦f3/ft≦3 ・・・(4)
が満たされている。なお、これらの焦点距離f2、f3およびftの具体的な値については、後に
図3および
図4を参照して示す。この条件式(4)を満たすことにより、フォーカスブリージング(フォーカシングに伴う画角変動)の発生を抑えることができる。この条件式(4)を満たす構成および、それにより得られている効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。なお、上記効果をより顕著に得るためには、
1≦f2/ft≦2.2 かつ、1.3≦f3/ft≦2.8
であることがより好ましい。
【0033】
次に、本実施例における各部仕様の数値について、
図2〜
図5を参照して説明する。なお、以下で説明する数値は一つの例であって、本発明においてそれらの数値だけが適用され得るものではないことは勿論である。
【0034】
実施例1の撮像レンズ光学系の基本レンズデータを
図2に示す。各レンズ、接合レンズおよびレンズ群の焦点距離を
図3に示す。なお
図3にはそれらと併せて、各レンズの部分分散比および屈折率の温度係数も示す。各レンズ間の面間隔のうち、フォーカシングあるいは変倍により可変となる面間隔を、撮像レンズ光学系の全系の焦点距離と共に
図4に示す。そして、非球面レンズの非球面係数を
図5に示す。以下、表中の記号の意味について、実施例1のものを例に挙げて説明するが、実施例2〜4についても基本的に同様である。
【0035】
図2の基本レンズデータにおいて、No.の欄には最も被写体側の構成要素の面を1番目として結像側に向かうにつれて順次増加するi番目(i=1、2、3、…)の面番号を示す。なおi=0の面は、「OBJ」として示す被写体の面である。Riの欄にはi番目の面の曲率半径を示し、diの欄にはi番目の面とi+1番目の面との光軸Z上の面間隔を示す。Diの欄にはi番目の面の有効径を示す。以上の長さを示すデータの単位はmmである。またndの欄には、最も被写体側の光学要素を1番目として結像側に向かうにつれて順次増加するj番目(j=1、2、3、…)の光学要素のd線(波長587.6nm)に対する屈折率を示し、νdの欄には同じくj番目の光学要素のd線に対するアッベ数を示す。なお、レンズについてはL1やL2のようにLに数字を付けて特定しているが、その数字が上記のjである。
【0036】
曲率半径の符号は、面形状が被写体側に凸の場合を正、結像側に凸の場合を負としている。基本レンズデータには、開口絞りSt、カバーガラスCGも含めて示している。開口絞りStに相当する面には面番号を記載している。また、フォーカシングあるいは変倍により可変となる面間隔は、d3やd6等、面番号の前に「d」を付して示している。また、diの最下欄の値は、カバーガラスCGの結像側の面と像面Simとの間隔である。
【0037】
図3に示す焦点距離の単位はmmである。また同図の「合成焦点距離」の欄には、互いに接合される2つのレンズを「/」を挟んで前後に示した上で、その下に合成焦点距離を示している。また同図の「レンズ群焦点距離」の欄には、例えば第1レンズ群G1を「1群」とするように、レンズ群の名称を簡略表示している。そして、第1レンズ群G1から第5レンズ群G5までの焦点距離を「1−5群」の焦点距離として、撮像レンズ光学系が広角端にある場合(wideと表記)、望遠端にある場合(teleと表記)、広角端と望遠端との間の中間的状態にある場合(middleと表記)のそれぞれについて示している。また部分分散比θ
g、Fは、j番目の光学要素のg線とF線との間の部分分散比を示す。
【0038】
図4には、上に表記の仕方を説明した可変面間隔のd0、d3、d6、d8、d9、d14およびd16について、最も被写体側のレンズL1の被写体側のレンズ面から被写体までの距離が無限遠(INF)の場合、4740mmの場合、740mmの場合の面間隔(mm)を示している。そしてそれら3つの場合の各々において、撮像レンズ光学系が広角端にある場合(wideと表記)、望遠端にある場合(teleと表記)、広角端と望遠端との間の中間的状態にある場合(middleと表記)の面間隔(mm)を示している。なお以下では
図6〜
図17において、撮影距離を3通りに変えた場合の収差を示すが、上記レンズL1の被写体側のレンズ面から像面Simまでの距離を概略260mmと考えて、上記距離が4740mmの場合を撮影距離5.0m、740mmの場合を撮影距離1.0mと称する。さらに
図4には、撮影距離を無限遠、5.0m、1.0mとした際それぞれについて、撮像レンズ光学系が広角端にある場合、望遠端にある場合、広角端と望遠端との間の中間的状態にある場合における撮像レンズ光学系の全系の焦点距離を示す。
【0039】
以上の
図3および
図4を参照して、先に述べた条件式(1)、(2)、(3)および(4)が規定している値について確認する。まず条件式(1)中のf(1−5)の値は、
図3より、広角端時の−94.46mmから望遠端時の−141.69mmの範囲内にある。一方、条件式(1)中のf6の値は、一例として撮影距離を無限遠とした場合、広角端時は90.00mmで望遠端時は135.01mmである。それらの値から、f(1−5)/f6の値は、広角端時も望遠端時も条件式(1)が規定する範囲内に収まっていることが分かる。
【0040】
また
図3より、f4=−200.44mm、f5=−94.79mmであるので、条件式(2)が規定している通り|f5|<|f4|となる。また上記焦点距離f4およびf5の値と、
図4に示される全系焦点距離のいずれの値を適用しても、条件式(3)が満たされていることが分かる。また
図3より、f2=167.89mm、f3=205.41mmであり、それに対して
図4に示される全系焦点距離のどの値を適用しても、条件式(4)が満たされていることが分かる。
【0041】
本実施例の撮像レンズ光学系は、光軸Zに沿って被写体側から順に配置された正の屈折力を有する第2レンズ群G2、同じく正の屈折力を有する第3レンズ群G3をフォーカス群とするものである。そこで、第1フォーカスレンズ群としての第2レンズ群G2と、第2フォーカスレンズ群としての第3レンズ群G3について、詳しく説明する。
【0042】
第2レンズ群G2は結像側に凸面を向けるものであり、それに対して第3レンズ群G3は結像側に凹面を向け、被写体側に凸面を向けるものである。
図4に示す可変面間隔d0、d3、d6から、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3は、フォーカシングに際して被写体距離(撮影距離)が遠側から近側に変化するに従って互いに接近する方向に移動することが分かる。このように第2レンズ群G2と第3レンズ群G3とを移動させることからも、フォーカスブリージングの発生を抑えることができる。この点の構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0043】
また第2レンズ群G2について、屈折率の温度係数の平均値をAとし、焦点距離をF2とする。一方第3レンズ群G3について、屈折率の温度係数の平均値をBとし、焦点距離をF3とする。
図3よりA=2.7、B=−7.5であり、F2=167.89mm、F3=205.41mmであるので、下記の条件式(5)
0<A かつ B<0 かつ F2<F3 ・・・(5)
が満たされている。
【0044】
以上のように、2つのフォーカスレンズ群のうち、パワーが大きい方の第2レンズ群G2の屈折率の温度係数を正とすることで、フォーカシング時の温度によるピント変動を抑えることができる。加えて、パワーが小さい方の第3レンズ群G3の屈折率の温度係数を負とすることで、フォーカシング時の温度によるピント変動を抑えつつ色収差の低減を図ることができる。以上の条件式(5)を満足させる構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0045】
また本実施例では、下記の条件式(6)
2.0≦A かつ B≦2.0 ・・・(6)
が満たされている。この条件を満たすことにより、フォーカシング時の温度によるピント変動の抑制と、色収差の低減をより顕著にすることができる。以上の条件式(6)を満足させる構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0046】
また本実施例では、第1フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2のアッベ数の平均をνa、第2フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3のアッベ数の平均をνbとすると、
図2よりνa=51.6、νb=81.5であるから、下記の条件式(7)
νa<νb ・・・(7)
が満たされている。このように第2フォーカスレンズ群のアッベ数を高くすることで、色収差をより一層低減することができる。以上の条件式(7)を満足させる構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0047】
また本実施例では、第1レンズ群G1と、第1フォーカスレンズ群である第2レンズ群G2と、第2フォーカスレンズ群である第3レンズ群G3を構成する各レンズの屈折率の温度係数の平均値をTAとし、
第4レンズ群G4と、第5レンズ群G5と、第6レンズ群G6を構成する各レンズの屈折率の温度係数の平均値をTBとし、
撮像レンズ光学系の全系の各レンズの屈折率の温度係数の平均値をTCとすると、
図3からTA=1.38、TB=0.57、TC=0.78であるので、下記条件式(8)
|TA|≦2 かつ |TB|≦2 かつ |TC|≦2 ・・・(8)
が満たされている。この条件式(8)を満たすことで、温度変動によるピントの変動を抑えることができる。以上の条件式(8)を満足させる構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0048】
さらに、上記TA=1.38、TB=0.57、TC=0.78という値は、下記条件式(9)
|TA|≦1.5 かつ |TB|≦1 かつ |TB|≦1 ・・・(9)
も満たしている。この条件式(9)を満たす場合は、温度変動によるピントの変動をより効果的に抑えることができる。以上の条件式(9)を満足させる構成、およびそれによって得られる効果は、後述する実施例2〜実施例4においても当てはまるものである。
【0049】
図5には、レンズL19の2つのレンズ面、つまり面番号33の面と、面番号34の面に関する非球面係数を示す。なお、このように非球面である面については、
図2において面番号に「*」の表記を付して示している。非球面の形状は、Xを光軸方向の座標、Yを光軸に垂直な方向の座標、光の進行方向を正、Rdyを近軸曲率半径として、
図5に示した係数K、A、B、C、およびDを用いて次式で表わされる。なお、「e−n」は、「10のn乗」を意味する。
X=(1/Rdy)Y
2/[1+{1−(1+K)(1/Rdy)
2Y
2}
1/2]
+AY
4+BY
6+CY
8+DY
10
【0050】
この実施例1の撮像レンズ光学系の収差を測定した結果を、
図6〜
図17に示す。
図6は、撮影距離が無限遠(INF)であって、撮像レンズ光学系が広角端にある場合(wideと表記)、望遠端にある場合(teleと表記)、広角端と望遠端との間の中間的状態にある場合(middleと表記)のそれぞれについて、球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。球面収差図の縦軸は相対視野高さ、非点収差図および歪曲収差図の縦軸は像高(mm)である。また、球面収差は撮像レンズ光学系のFNo.=2.6の場合について、C線(波長656.3nm)、d線(波長587.6nm)、e線(波長546.1nm)、F線(波長486.1nm)、g線(波長435.8nm)に対するものである。非点収差は、wide、middle、teleの順に半画角ω=13.6°、11.1°、8.9°の場合の、d線についてのサジタル方向およびタンジェンシャル方向の収差をそれぞれ示す。なおサジタル方向およびタンジェンシャル方向の収差にはそれぞれ(S)、(T)の表示を付けて示している。また歪曲収差は、wide、middle、teleの順に半画角ω=13.6°、11.1°、8.9°の場合のd線に関するものである。
【0051】
次に
図7、
図8、
図9はそれぞれ、撮影距離が無限遠(INF)であって、撮像レンズ光学系が広角端にある場合、上記中間的状態にある場合、望遠端にある場合について、C線、d線、e線、F線、g線に関する横収差(コマ収差)を示している。
【0052】
図10は、撮影距離が5.0mである場合について、
図6と同様にして球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。また
図11、
図12、
図13はそれぞれ、撮影距離が5.0mである場合について、
図7、
図8、
図9と同様にしてC線、d線、e線、F線、g線に関する横収差(コマ収差)を示している。
【0053】
図14は、撮影距離が1.0mである場合について、
図6と同様にして球面収差、非点収差および歪曲収差を示している。また
図15、
図16、
図17はそれぞれ、撮影距離が1.0mである場合について、
図7、
図8、
図9と同様にしてC線、d線、e線、F線、g線に関する横収差(コマ収差)を示している。
【0054】
上記の
図6、
図10および
図14を参照すると、本実施例の撮像レンズ光学系によれば、球面収差、非点収差および歪曲収差のいずれも低く抑えられていることが分かる。また、
図7〜
図9、
図11〜
図13、
図15〜
図17を参照すると、本実施例の撮像レンズ光学系によればコマ収差の変化が少なく抑えられていることが分かる。
【0055】
[実施例2]
次に、本発明の実施例2による撮像レンズ光学系について説明する。なお以下では、実施例1との相違点を主に説明する。
図18に断面図を示す本実施例2の撮像レンズ光学系は、実施例1の撮像レンズ光学系と対比すると、基本的なレンズ群構成は同様に構成されている。なお本実施例2においては、前述した条件式(3)
−3≦f4/ft≦−0.2 かつ −2.5≦f5/ft≦−0.2 ・・・(3)
を満たして前述の効果を得る上で、さらに規定範囲を狭くして、
−2.7≦f4/ft≦−1.0 かつ −1.5≦f5/ft≦−0.5
とすることが好ましい。この点は、後述する実施例3においても同様である。
【0056】
この実施例2の撮像レンズ光学系の基本レンズデータを
図19に示す。各レンズ、接合レンズおよびレンズ群の焦点距離を
図20に示す。各レンズ間の面間隔のうち、フォーカシングあるいは変倍により可変となる面間隔を、撮像レンズ光学系の全系の焦点距離と共に
図21に示す。そして、非球面レンズの非球面係数を
図22に示す。
【0058】
上記の
図23、
図27および
図31を参照すると、本実施例2の撮像レンズ光学系によれば、球面収差、非点収差および歪曲収差のいずれも低く抑えられていることが分かる。また、
図24〜
図26、
図28〜
図30、
図32〜
図34を参照すると、本実施例の撮像レンズ光学系によればコマ収差の変化が少なく抑えられていることが分かる。
【0059】
[実施例3]
次に、本発明の実施例3による撮像レンズ光学系について説明する。なお以下では、実施例1との相違点を主に説明する。
図35に断面図を示す本実施例3の撮像レンズ光学系は、実施例1の撮像レンズ光学系と対比すると、負の屈折力を有する第4レンズ群G4のパワー配置が、被写体側から負、負、正とした実施例1とは異なって、負、正、負とされている。すなわち、第4レンズ群G4を構成するレンズL6、L7、L8にはそれぞれ、両凹レンズ、両凸レンズ、両凹レンズが用いられている。第4レンズ群G4のパワー配置を実施例1のようにしても、撮像レンズ光学系の広角端と望遠端の間の中間位置から広角端にかけての領域で、球面収差および軸上色収差を良好に補正できるが、この実施例3のようなパワー配置とすることで、球面収差および軸上色収差をさらに良好に補正可能となっている。
【0060】
以上の通り、本実施例3において第4レンズ群G4は、被写体側から順に配置された負の第1レンズL6、正の第2レンズL7、および負の第3レンズL8を有するが、最も結像側のレンズL8の屈折率na、アッベ数νaおよび部分分散比θaは、それぞれ次の条件式(10)
1.5≦na≦2 かつ 30≦νa≦70 かつ 0.4≦θa≦0.7・・・(10)
を満たしていることが望ましい。この点は、後述する実施例4においても同様である。さらに本実施例3では、この条件式(10)が規定する各条件の範囲をより狭くして、
1.5≦na≦1.8 かつ 55≦νa≦65 かつ 0.5≦θa≦0.6
を満足させることがより望ましい。
【0061】
また本実施例3においては、前述した条件式(9)
|TA|≦1.5 かつ |TB|≦1 かつ |TB|≦1 ・・・(9)
に関して、より条件を厳しくして、
|TA|≦0.3 かつ |TB|≦0.3 かつ |TB|≦0.5
を満足させることが望ましい。この点は、後述する実施例4においても同様である。
【0062】
この実施例3の撮像レンズ光学系の基本レンズデータを
図36に示す。各レンズ、接合レンズおよびレンズ群の焦点距離を
図37に示す。各レンズ間の面間隔のうち、フォーカシングあるいは変倍により可変となる面間隔を、撮像レンズ光学系の全系の焦点距離と共に
図38に示す。そして、非球面レンズの非球面係数を
図39に示す。
【0064】
[実施例4]
次に、本発明の実施例4による撮像レンズ光学系について説明する。なお以下では、実施例1との相違点を主に説明する。
図52に断面図を示す本実施例4の撮像レンズ光学系は、実施例1の撮像レンズ光学系と対比すると、負の屈折力を有する第4レンズ群G4のパワー配置が、被写体側から負、負、正とした実施例1とは異なって、実施例3と同様に負、正、負とされている。
【0065】
また第6レンズ群G6の正のレンズ群G6Aにおいて、被写体側から順に配置されたメニスカスレンズL12(第1の正のメニスカスレンズ)およびメニスカスレンズL13(第2の正のメニスカスレンズ)の配置は、実施例1〜実施例4における配置と異なっている。すなわちメニスカスレンズL13は、メニスカスレンズL12との間隔よりも接合レンズ群G6Bとの間隔の方が短い位置に配置されている。このようなレンズ配置とすることにより、球面収差が改善される。
【0066】
また第3レンズ群G3は、実施例1〜実施例3では1枚の正のメニスカスレンズL5から構成されているのに対し、本実施例4では、被写体側から順に配置された正の両凸レンズL5、および被写体側に凹である負のメニスカスレンズL6から構成されている。このような構成とすることにより、フォーカシング時の軸上色収差と倍率色収差を好適な値とすることができる。
【0067】
上記両凸レンズL5と負のメニスカスレンズL6とは、互いに対向するレンズ面が少なくとも光軸Z上で離間する状態に配置されている。そして両凸レンズL5の上記対向するレンズ面の曲率半径Raと、負のメニスカスレンズL6の上記対向するレンズ面の曲率半径Rbとは、下記条件式(11)
0.95≦Ra/Rb≦1.15 ・・・(11)
を満たしている。このような構成とすることにより、軸上色収差を好適な値とすることができる。なお、この効果を得る上では、上記条件式(11)が規定する範囲をより狭くして、
1.0≦Ra/Rb≦1.1
とすることが望ましい。
【0068】
また本実施例4では、第4レンズ群G4の焦点距離f4と、第5レンズ群G5の焦点距離f5に関して、下記条件式(12)
0.5≦f4/f5≦1.2 ・・・(12)
が満たされている。それにより、コマ収差の変化を少なくでき、また、開口絞りよりも結像側の光線の光路の変化を少なくすることができる。なお、この効果をより顕著に得る上では、条件式(12)が規定する範囲をより狭くして、
0.6≦f4/f5≦1.0
の関係を満足させることが望ましい。
【0069】
また本実施例4では、条件式(3)
−3≦f4/ft≦−0.2 かつ −2.5≦f5/ft≦−0.2 ・・・(3)
を満たして前述の効果を得る上で、さらに規定範囲を狭くして、
−2≦f4/ft≦−0.5 かつ −2≦f5/ft≦−1
とすることが好ましい。
【0070】
また本実施例4では、第2フォーカスレンズ群としての第3レンズ群G3は、被写体側から順に配置された、屈折率の温度係数が負の正レンズL5、および屈折率の温度係数が正の負レンズL6を有している。なお、レンズL5とレンズL6の屈折率の温度係数は、
図52に示すようにそれぞれ−7.5、2.6である。
【0072】
以上、複数の実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施例に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、各レンズ成分の曲率半径、面間隔、屈折率、アッベ数等の値は、上記各実施例で示した値に限定されず、他の値をとり得るものである。