特開2020-102339(P2020-102339A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2020102339-コンタクトおよびコネクタ 図000003
  • 特開2020102339-コンタクトおよびコネクタ 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2020-102339(P2020-102339A)
(43)【公開日】2020年7月2日
(54)【発明の名称】コンタクトおよびコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20200605BHJP
   H01R 13/42 20060101ALI20200605BHJP
【FI】
   H01R13/11 A
   H01R13/42 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-239179(P2018-239179)
(22)【出願日】2018年12月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀
(74)【代理人】
【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結
(72)【発明者】
【氏名】進藤 昌彦
【テーマコード(参考)】
5E087
【Fターム(参考)】
5E087EE02
5E087EE06
5E087FF08
5E087GG14
5E087GG17
5E087HH01
5E087RR01
5E087RR29
(57)【要約】
【課題】ランスの下への電線等の進入を防止し、さらにコンタクトの材料の歩留りを向上させた構造のコンタクトおよびコネクタを提供する。
【解決手段】コンタクト10は、側壁12A,12Bと、前端側および後端側の上壁13F,13Rと、ランス20と、延長片30とを有する。ランス20は、前端側の上壁13Fから後方に延び、後端部20Aに、コネクタハウジングに係止する係止部21を有する。延長片30は、折返し部31と延長部32とを有する。折返し部31は、ランス20の後端部20Aの側方に連続するように下向きに折り返され、さらに後端部20Aの下に位置するように折り返されている。また、延長部32は、折返し部31に連続してさらに後方に、後端側の上壁13Rの下に入り込むまで延びている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に挿し込まれるコンタクトであって、
側壁と、
前記側壁から連続して延びる、挿し込みの前端側および後端側の上壁と、
前記前端側の上壁の後端に連続して後方に延び、後端部に、ハウジングに挿し込まれた際に該ハウジングに係止して抜け止めされる係止部を有するランスと、
前記後端部に連続してさらに後方に延びて前記後端側の上壁の下に入り込んだ延長片とを有することを特徴とするコンタクト。
【請求項2】
前記延長片が、前記後端部の側方に連続して該後端部から下向きに折り返され、さらに該後端部の下に位置するように折り返されて、該後端部よりもさらに後方に、前記後端側の上壁の下に入り込まで延びていることを特徴とする請求項1に記載のコンタクト。
【請求項3】
前記側壁は左右両側に設けられ、
前記前端側および後端側の上壁が、左右両側の側壁の各々に連続した、互いに重なる一対の上壁であって、
前記ランスが、前記前端側の一対の上壁のうちの上側に位置する上壁から後方に延び、
前記延長片が、前記後端側の一対の上壁のうちの下側に位置する上壁の下に入り込んでいることを特徴とする請求項1または2に記載のコンタクト。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のコンタクトと、該コンタクトが挿し込まれた状態にあるハウジングとを備えたことを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジングに係止して抜け止めされるランスを備えたコンタクト、およびそのコンタクトを備えたコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ランスを備えたコンタクト、およびそのコンタクトを備えたコネクタが知られている。このランスは、コンタクトの、コネクタハウジングに挿し込まれる向きの前方に固定端を有し後方に延びる片持ち梁形状を有する。そして、このランスは、後方の自由端側にコネクタハウジングと係合する係合部を有する。コンタクトには例えば電線が接続されている。この電線に後方への引き抜きの力が加わると、係合部がコネクタハウジングに突き当たって抜け止めとなる。
【0003】
ここで、ランスは片持ち梁形状を有する。このため、電線等が自由端側からランスの下側に入り込みやすく、入り込んだ電線等がランスに引っかかってランスが変形する事故が生じるおそれがある。
【0004】
特許文献1には、ランスの自由端を延長させてコンタクトの上壁の下に潜らせた構造のコンタクトが開示されている。この構造によれば、電線等がランスの下に進入することが防止され、ランスの変形が抑えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−147282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上掲の特許文献1に開示された構造の場合、ランスの変形は抑えられるものの、このランスは、コンタクトの上壁から前方に延びるビームを後方へ折り返して形成されている。このため、コンタクトの材料の歩留りが低く、材料の板の単位面積当たり少数のコンタクトしか生産できないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑み、ランスの下への電線等の進入を防止し、さらに引用文献1の構造と比べコンタクトの材料の歩留りを向上させた構造のコンタクトおよびコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明のコンタクトは、
ハウジング内に挿し込まれるコンタクトであって、
側壁と、
側壁から連続して延びる、挿し込みの前端側および後端側の上壁と、
前端側の上壁の後端に連続して後方に延び、後端部に、ハウジングに挿し込まれた際にハウジングに係止して抜け止めされる係止部を有するランスと、
上記後端部に連続してさらに後方に延びて後端側の上壁の下に入り込んだ延長片とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明のコンタクトは、側壁から連続する前端側の上壁をそのまま後方に延長させてランスおよび延長片を形成している。このため、コンタクトの上壁から前方に延びるビームを後方へ折り返してランスを形成している引用文献1の構造と比べ、歩留りが向上する。しかも、本発明のコンタクトは、ランスの後端部に連続した延長片を形成して上壁の下に入り込ませている。このため、本発明のコンタクトによれば、ランスの下への電線等の進入が防止される。
【0010】
ここで、本発明のコンタクトにおいて、上記延長片が、ランスの後端部の側方に連続してその後端部から下向きに折り返され、さらにその後端部の下に位置するように折り返されて、ランスの後端部よりもさらに後方に、後端側の上壁の下に入り込まで延びていることが好ましい。
【0011】
ランスは、コネクタハウジングに係止することでコンタクトの抜けを防止している。このため、ランスの、コネクタハウジングとの係止部分には、板材の端面が採用され、その端面のエッジをコネクタハウジングに係止させる構造が採用されている。上記のように、ランスの後端部を側方に折り返して延長片を形成することで、ランスのエッジをコネクタハウジングに係止させる構造が容易に実現する。
【0012】
また、ランスの後端部を側方に折り返して延長片を形成する構造を採用する場合において、
上記側壁は左右両側に設けられ、
上記前端側および後端側の上壁が、左右両側の側壁の各々に連続した、互いに重なる一対の上壁であって、
上記ランスが、前端側の一対の上壁のうちの上側に位置する上壁から後方に延び、
上記延長片が、後端側の一対の上壁のうちの下側に位置する上壁の下に入り込んでいることが好ましい。
【0013】
このように、ランスを前端側の一対の上壁のうちの上側に位置する上壁から後方に延びるランスにすることによって、ランスの下に接点を配置することができる。また、コンタクトをコネクタハウジングに挿入する際、ランスは、そのコネクタハウジングに一旦上から押されて弾性変形する。延長片は、ランスと一体に繋がっている。このため、ランスが弾性変形する際には、延長片も下側に変位する必要がある。ここでは、延長片を後端側の一対の上壁のうちの下側に位置する上壁の下に入り込ませることによって、その変位を可能としている。
【0014】
また、上記目的を達成する本発明のコネクタは、本発明のコンタクトと、そのコンタクトが挿し込まれた状態にあるハウジングとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
以上の本発明によれば、ランスの下への電線等の進入を防止し、さらにコンタクトの材料の歩留りを向上させた構造のコンタクトおよびコネクタが実現する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態としてのコンタクトの斜視図である。
図2図1に示すコンタクトの、図1(A)に示す矢印Z−Zに沿う断面図である。
図3図1に示すコンタクトの、正面図(A)、側面図(B)、および背面図(C)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態としてのコンタクトの斜視図である。ここで、図1(A)と図1(B)は、互いに逆向きの姿勢の斜視図である。図1(A)と図1(B)が互いに逆向きの姿勢の斜視図であることから、図1(A)と図1(B)とでは、矢印F−Rが互いに逆向きに示されている。
【0019】
このコンタクト10には、図示の部分のほか、矢印Rで示す後方に、電線(不図示)と接続される電線接続部が存在する。但し、本実施形態の場合、電線接続部には特徴はなく、したがって、ここでは図示を省略している。また、このコンタクト10は矢印Fの向きにコネクタハウジング内に挿入されるが、本実施形態の場合、コネクタハウジングにも特徴はなく、したがって、ここでは、コネクタハウジングについても図示を省略している。
【0020】
また、図2は、図1に示すコンタクトの、図1(A)に示す矢印Z−Zに沿う断面図である。
【0021】
さらに、図3は、図1に示すコンタクトの、正面図(A)、側面図(B)、および背面図(C)である。
【0022】
このコンタクト10は、底壁11と、一対の側壁12A,12Bと、互いに重なった一対の上壁13A,13Bとを有する。一対の側壁12A,12Bは、右側の側壁12Aと左側の側壁12Bとからなる。また、一対の上壁13A,13Bのうちの上側の上壁13Aは、右側の側壁12Aに連続している。また、一対の上壁13A,13Bのうちの下側の上壁13Bは左側の側壁12Bに連続している。ここで上壁13A,13Bは、前端側の上壁13Fと、後端側の上壁13Rとに分かれている。前端側の上壁13Fでは、上壁13Bが下側に位置し、上壁13Aが上側に位置する。一方、後端側の上壁13Rでは、前端側の上壁13Fとは逆に、上壁13A’が下側に位置し、上壁13B’が上側に位置する。
【0023】
また、このコンタクト10には、ランス20が設けられている。このランス20は、片持ち梁形状を有し、前端側の上壁13Fから矢印Rで示す後方に延びている。そして、このランス20は、後端部20Aに、コネクタハウジングに挿し込まれた際にそのコネクタハウジングに係止して抜け止めされる係止部21を有する。
【0024】
上述のとおり、前端側の上壁13Fは互いに重ねられた一対の上壁13A,13Bで構成されている。ランス20は、それら一対の上壁13A,13Bのうちの上側に位置する上壁13Aに繋がり、その上側に位置する上壁13Aから延びている。一対の上壁13A,13Bのうちの下側に位置する上壁13Bからは、図2に示すように、相手コネクタ(不図示)のコンタクトに接する接触ビーム14が延びている。ランス20を、上側に位置する上壁13Aから延ばすことにより、そのランス20の下に接触ビーム14を配置するスペースを確保している。
【0025】
ここで、本実施形態では、側壁12Aを折り返して上壁13Aを形成し、その上壁13Aの延長上にランス20を形成している。これにより、本実施形態のコンタクト10は、上壁から前方に延びるビームを後方へ180°折り返してランスを形成している上掲の特許文献1のコンタクトと比べ、歩留まりを向上させる構造となっている。
【0026】
ランス20の後端部20Aのさらに後方には、延長片30が設けられている。この延長片30は、ランス20の後端部20Aの側方に連続して後端部20Aから下向きに折り返され、さらに後端部20Aの下に位置するように折り返された折返し部31を有する。この折返し部31の配置スペースを確保するために、左側の側壁12Bの内壁面に窪み部121が形成されている。さらに、この延長片30は、この折返し部31に連続してさらに後方に、後端側の上壁13Rの下に入り込まで延びる延長部32を有する。ここで、折返し部31が形成されていることで、ランス20の後端部20Aと延長片30の後方に延びる延長部32との間に段差が生まれている。そして、この段差により、係止部21がコネクタハウジングに係止する際の余裕分として必要となる空間が確保されている。また、このコンタクト10の場合、ランス20を延長させた延長片30が形成され、その延長片30の延長部32を後端側の上壁13Rの下に入り込ませている。このことによって、ランス20の下に電線が入り込みにくくなっている。また、ランス20の後端部20Aに下の空間に電線が入り込んでも、その電線によりランス20が持ち上げられて変形する事故が抑えられる。
【0027】
ここで、後端側の上壁13Rも、互いに重ねられた一対の上壁13A’,13B’で構成されている。延長部32は、それら一対の上壁13A’,13B’のうちの下側に位置する上壁13A’の下に入り込んでいる。このコンタクト10をコネクタハウジングに挿入する際、ランス20は、そのコネクタハウジングに一旦上から押されて弾性変形する。延長片30は、ランス20と一体に繋がっている。このため、ランス20が弾性変形する際には、延長片30も下側に変位する必要がある。ここでは、延長片30の延長部32を後端側の一対の上壁13A’,13B’のうちの下側に位置する上壁13A’の下に入り込ませている。このことによって、延長片30の変位を可能としている。
【符号の説明】
【0028】
10 コンタクト
11 下壁
12A,12B 横壁
13A, 13A’,13B,13B’ 上壁
13F 前端側の上壁
13R 後端側の上壁
14 接触ビーム
20 ランス
20A ランスの後端部
21 係止部
30 延長片
31 折返し部
32 延長部
121 窪み部
図1
図2
図3