【解決手段】キッチン反転化ユニット1は、第1壁面W1に沿って自立する収納ユニット20と、該収納ユニット20とキッチン2とに跨がるように設けられる配管ユニット30と、キッチン2の背面2aに取り付けられる第1壁面W1に平行な化粧パネルからなり、前面に換気フード70が取り付けられる第1背面パネル11と、排気通路40aを内包するダクトユニット40とを備えている。収納ユニット20と配管ユニット30とを、第1壁面W1側からキッチン2へL字状に延びる配管61〜64を覆い隠すように構成する。また、ダクトユニット40を、第1背面パネル11と収納ユニット20とに架け渡されて横架材として機能するように構成する。
第1壁面と第2壁面とで区画される隅角空間に、背面が上記第1壁面に当接する既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置するためのキッチン反転化ユニットであって、
上記第1壁面に沿って自立し、上記第1壁面側から上記キッチンへ上記第1及び第2壁面に沿ってL字状に延びる配管の上記第1壁面側の一端部を含むL字状の第1部分が挿通又は内蔵されて該第1部分を覆い隠す収納ユニットと、
上記収納ユニットと上記キッチンとに跨がるように設けられ、上記配管の上記第1部分に連続する第2部分が挿通又は内蔵されて該第2部分を覆い隠す配管ユニットと、
上記キッチンの背面に取り付けられ、該キッチン側の前面に換気フードが取り付けられる上記第1壁面に平行な化粧パネルからなる第1背面パネルと、
上記換気フードに繋がる排気通路を内包し、上記第1背面パネルと上記収納ユニットとに架け渡されて横架材として機能するように構成されたダクトユニットとを備えている
ことを特徴とするキッチン反転化ユニット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のリフォーム手法では、新たな対面式キッチンに給排水管等の種々の配管を接続するために、床材を取り外し、配管を移設し、再び床材を施工する造作工事が必要になる。また、床上に露出した配管を覆い隠すスペースユニットを製作する造作工事も必要となる。さらに、壁付式キッチンから対面式キッチンへ変更するには、排気ルートも移動させる必要があり、天井材を取り外し、排気ダクトを配設し、再び天井材を施工する造作工事も必要になる。よって、従来のリフォーム手法では、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行うことができなかった。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたもので、その目的は、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを施工するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行えるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明では、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置する際に、既存の壁付式キッチンが設置された隅角空間に、複数のユニットを設置するだけで、床材や天井材を取り外す等の造作工事を行うことなく配管や排気ダクトを覆い隠せるキッチン反転化ユニットを提供することとした。
【0008】
具体的には、第1の発明は、第1壁面と第2壁面とで区画される隅角空間に、背面が上記第1壁面に当接する既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置するためのキッチン反転化ユニットであって、上記第1壁面に沿って自立し、上記第1壁面側から上記キッチンへ上記第1及び第2壁面に沿ってL字状に延びる配管の上記第1壁面側の一端部を含むL字状の第1部分が挿通又は内蔵されて該第1部分を覆い隠す収納ユニットと、上記収納ユニットと上記キッチンとに跨がるように設けられ、上記配管の上記第1部分に連続する第2部分が挿通又は内蔵されて該第2部分を覆い隠す配管ユニットと、上記キッチンの背面に取り付けられ、該キッチン側の前面に換気フードが取り付けられる上記第1壁面に平行な化粧パネルからなる第1背面パネルと、上記換気フードに繋がる排気通路を内包し、上記第1背面パネルと上記収納ユニットとに架け渡されて横架材として機能するように構成されたダクトユニットとを備えていることを特徴とするものである。
【0009】
第1の発明では、キッチン反転化ユニットが、第1壁面に沿って自立する収納ユニットと、収納ユニットとキッチンとに跨がるように設けられる配管ユニットとを備えている。そして、既設の配管と新たなキッチンとを接続するために、第1壁面側から第1及び第2壁面に沿ってL字状に延びる配管が、収納ユニットと配管ユニットとによって覆い隠されるように、収納ユニットと配管ユニットとを構成することとした。そのため、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを施工するリフォームに上記キッチン反転化ユニットを用いることにより、床材を取り外し、新たな配管を配設した後、取り外した床材を取り付ける等の造作工事を行うことなく、第1壁面に沿って自立する収納ユニットと、収納ユニットとキッチンとに跨がる配管ユニットとを設置するだけで新たなキッチンに種々の配管を容易に接続することができる。
【0010】
また、第1の発明では、上記キッチン反転化ユニットが、キッチンの背面に取り付けられる第1壁面に平行な板状部材からなり、キッチン側の前面に換気フードが取り付けられる第1背面パネルと、上記換気フードに繋がる排気通路を内包するダクトユニットとを備えている。そして、上記キッチン反転化ユニットでは、ダクトユニットが、キッチンの背面に取り付けられる第1背面パネルと、壁付式キッチンの設置位置において自立する収納ユニットとに架け渡されて横架材として機能するように構成されている。このように第1背面パネルと収納ユニットとダクトユニットとを接合して門形ラーメン構造とすることにより、換気フードの荷重が、第1背面パネルだけでなく、第1背面パネルと収納ユニットとダクトユニットとで支持されることとなる。そのため、換気フードが取り付けられる第1背面パネルの薄形化を図ることができる。また、第1背面パネルの薄形化により、キッチン空間をコンパクトに形成することができる。
【0011】
また、第1の発明では、第1背面パネルと収納ユニットとにダクトユニットを架け渡して固定するだけで、天井材を取り外し、天井裏に排気ダクトを配設した後、取り外した天井材を取り付ける等の造作工事を行うことなく、容易に新たなキッチンのための排気ルートを確保することができる。
【0012】
以上のように、第1の発明によれば、既存の壁付式キッチンが設置された隅角空間に、収納ユニットと配管ユニットと第1背面パネルとダクトユニットとを設置するだけで、床材や天井材を取り外す等の造作工事を行うことなく、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置することができる。従って、上記キッチン反転化ユニットを用いることにより、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを施工するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行うことができる。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1背面パネルよりも高さの低い化粧パネルからなり、上記第1背面パネルに隣接するように上記キッチンの背面に取り付けられる第2背面パネルと、上記第2背面パネルと等しい高さの化粧パネルからなり、上記第2背面パネルに隣接するように上記キッチンの背面に取り付けられる第3背面パネルとを備え、上記キッチンの背面は、上記第1〜第3背面パネルによって覆われていることを特徴とするものである。
【0014】
第2の発明では、第1背面パネルよりも高さの低い化粧パネルからなる第2及び第3背面パネルを、キッチンの背面に取り付け、第1〜第3背面パネルによってキッチンの背面を覆うようにした。これにより、新たなキッチンを対面式キッチンとして用いることができる。つまり、第2の発明によれば、上記キッチン反転化ユニットを用いることにより、容易に且つ短工期で、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たな対面式キッチンを施工することができる。
【0015】
第3の発明は、第2の発明において、上記第2背面パネルは、上記キッチン側の前面において両端が開口する電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルによって構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
ところで、通常、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントがキッチン付近に設けられている。そのため、キッチンを施工する際には、キッチンを組み立てる等の大工工事の他、電気配線を施す電気工事が必要となる。また、電気配線の挿通路を形成する等の大工工事と電気工事とは、作業者が別であるにも拘わらず、連携して行う必要がある。そのため、作業者の都合によって工期が長くなるおそれがあった。
【0017】
そこで、第3の発明では、第2背面パネルを、電気配線の挿通路が内部に形成された機能パネルで構成することとした。そのため、キッチン及び各背面パネルの組み立て時に電気配線用の穴や通路を加工することなく、所定の位置に電気配線の挿通路を確保することができる。また、機能パネルの設置前に挿通路に電気配線又は呼び線を挿通させておけば、機能パネルを設置するだけで電気配線又は呼び線も所定の位置に配することができるため、後に行う配線作業の手間を削減して配線作業を容易に行うことができる。従って、第3の発明によれば、新たなキッチンの施工工期を短縮することができる。
【0018】
第4の発明は、第3の発明において、上記挿通路の一端は、上記キッチンの上面よりも上方に位置し、上記挿通路の他端は、上記キッチンの上面よりも下方に位置していることを特徴とするものである。
【0019】
第4の発明では、挿通路がキッチンの上面の上方から下方に亘って形成されているため、キッチンの内部に配された電気配線をキッチンの上方の位置まで容易に引き出すことができる。そのため、第4の発明によれば、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを容易に機能パネルに取り付けることができる。
【0020】
第5の発明は、第3又は第4の発明において、上記挿通路は、上記機能パネルに複数形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
第5の発明では、複数の電気機器の操作機器や電源コンセントを機能パネルに取り付けることができる。
【0022】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記第1背面パネルは、少なくとも上記キッチン側の前面が不燃材又は難燃材で構成されたパネルであることを特徴とするものである。
【0023】
第6の発明では、コンロの上方に設けられる換気フードが取り付けられた第1背面パネルを、少なくとも前面が不燃材又は難燃材で構成されたパネルで構成することとした。これにより、コンロ周辺の防火性能を高めることができる。
【0024】
第7の発明は、第1乃至第6のいずれか1つの発明において、上記第1背面パネルは、上記第1背面パネルは、上記キッチンに取り付けられる下側パネルと、下端部が該下側パネルの上端部に連結され、上端部が天井に取り付けられる上側パネルとによって構成されていることを特徴とするものである。
【0025】
第7の発明では、天井まで延ばした第1背面パネルを、大きな1枚のパネルで構成するのではなく、2枚のパネルを連結させて用いることとしている。部材が大きすぎると、取り付け時に一人で支持できず、複数人で支持する必要が生じるが、上記構成によれば、搬入作業及び施工作業を一人で容易に行うことができる。
【0026】
第8の発明は、第1乃至第7のいずれか1つの発明において、上記ダクトユニットは、上記換気フードに接続される排気ダクトを覆い隠すと共に支持するダクトカバーであり、上記ダクトカバーには、ダウンライトが内蔵されていることを特徴とするものである。
【0027】
ところで、第1背面パネルと収納ユニットとに亘るダクトユニットを設けると、ダクトユニットの影によって下方での作業がし辛くなるおそれがある。
【0028】
そこで、第8の発明では、第1背面パネルと収納ユニットとに架け渡されたダクトユニットにダウンライトを内蔵させることとした。これにより、ダクトユニットを設けても明るい作業空間を形成することができる。
【0029】
第9の発明は、第1乃至第8のいずれか1つの発明において、上記収納ユニットは、上記第1背面パネルに対応するように設けられ、少なくとも家電を収納可能に構成された上記キッチンよりも幅狭の家電収納ユニットと、上記家電収納ユニットの側方に設けられ、前面が開口して冷蔵庫を収容可能に構成された箱状の冷蔵庫ユニットとを有している
ことを特徴とするものである。
【0030】
第9の発明では、収納ユニットを、家電や冷蔵庫を収納可能に構成することにより、キッチンで必要な種々の道具や家電を、キッチン空間にコンパクトに納めることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明した如く、本発明によると、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置する際に、複数のユニットを設置するだけで、床材や天井材を取り外す等の造作工事を行うことなく配管や排気ダクトを覆い隠せるキッチン反転化ユニットを用いることにより、既存の壁付式キッチンとは逆向きに新たなキッチンを設置するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0034】
《実施形態1》
実施形態1では、本発明の実施形態の一例として、
図1に示すように、第1壁面W1と第2壁面W2とで区画された隅角空間Sに、背面Kbが第1壁面W1に当接し、一側面Ksが第2壁面W2に当接するように設置されていた壁付式キッチンKを除去し、この壁付式キッチンKとは逆向きに新たなキッチン2を施工するリフォームに、本発明に係るキッチン反転化ユニット1を適用する例について説明する。
【0035】
〈キッチン〉
図1に示すように、キッチン2は、背面2aが壁付けされずにリビングルームLに対面する対面式キッチンであり、詳細には、側面2bが壁付けされるペニンシュラタイプの対面式キッチンである。
【0036】
図2〜
図4に示すように、キッチン2は、フロアキャビネット3とワークトップ4とを備えている。キッチン2は、壁付式キッチン用に設計されたシステムキッチンである。そのため、キッチン2は、前面は化粧材で構成されるものの、背面2aは化粧材で構成されず、フロアキャビネット3の裏板が露出している。また、キッチン2は、側面2b、2cも化粧材で構成されず、フロアキャビネット3の側板が露出している。ワークトップ4には、コンロ5とシンク6とが設けられている。ワークトップ4のコンロ5とシンク6との間の部分は、作業台7に構成されている。
【0037】
〈キッチン反転化ユニット〉
キッチン反転化ユニット1は、パネルユニット10と、収納ユニット20と、配管ユニット30と、ダクトユニット40とを備えている。パネルユニット10は、新たに設けられるキッチン2側に設置される。収納ユニット20は、壁付式キッチンKが設置されていた第1壁面W1側に設置される。配管ユニット30とダクトユニット40とは、キッチン2側から第1壁面W1側に亘るように設置される。
【0038】
[パネルユニット]
図2〜
図5に示すように、パネルユニット10は、第1背面パネル11と、第2背面パネル12と、第3背面パネル13と、サイドパネル14とを備えている。パネルユニット10の各パネル11〜14は、表面が化粧材で構成された化粧パネルで構成されている。
【0039】
第1〜第3背面パネル11〜13は、キッチン2の背面2a側に設けられている。第1背面パネル11は、キッチン2のコンロ5が設けられる一端部(第2壁面W2側の端部)側に設けられ、キッチン2のシンク6が設けられる他端部に向かって、第2背面パネル12,第3背面パネル13の順に並んでいる。第1〜第3背面パネル11〜13は、キッチン2のワークトップ4の上面から200〜300mm程度上方に突出するように設けられている。
図5に示すように、第1〜第3背面パネル11〜13により、キッチン2の背面2a全面が覆われる。
【0040】
第1背面パネル11は、下側パネル11aと上側パネル11bとで構成されている。下側パネル11aと上側パネル11bとは、大きさが異なるのみで同様に構成されている。下側パネル11aと上側パネル11bとは、化粧材で構成された表面のうち、キッチン2側の前面となる面が、不燃材によって構成されている。このように、キッチン2のコンロ5に対応する位置に設けられる第1背面パネル11は、キッチン2側の前面が不燃材で構成された不燃性を有するパネルで構成されている。
【0041】
下側パネル11a及び上側パネル11bは、900mm幅に形成されている。下側パネル11aの高さは、後述する第2背面パネル12及び第3背面パネル13の高さと同じ高さ(1100mm)である。上側パネル11bは、高さが下側パネル11aより高く、1300mmとなるように形成されている。上側パネル11bは、設置現場の天井高さに応じて、第1背面パネル11が、床Fから天井Cに亘って設けられるように、施工時にカットされる。また、上側パネル11bには、前面側に換気フード70が取り付けられる。
【0042】
下側パネル11aの上端部と上側パネル11bの下端部とは、本実加工が施され、雄実と雌実とを嵌め合わせることによって接合されている。なお、下側パネル11aの上端部と上側パネル11bの下端部との接合構造は、いかなるものであってもよく、例えば、下側パネル11aの上端面及び上側パネル11bの下端面のそれぞれに対応する溝を設け、この両溝に嵌まる実を形成し、実を両溝に嵌め込んで接合する雇い実継ぎ等によって接合されていてもよい。
【0043】
第2背面パネル12は、600mm幅に形成されている。また、第2背面パネル12の高さは、第1背面パネル11の下側パネル11aの高さと同じ高さ(1100mm)である。
【0044】
第2背面パネル12には、内部に電気配線の挿通路15が複数(本実施形態1では、2つ)形成されている。挿通路15は、両端15a,15bが、第2背面パネル12のキッチン2側の前面において開口している。挿通路15の上端15aは、キッチン2の上面(ワークトップ4の上面)よりも上方に位置し、挿通路15の下端15bは、キッチン2の上面よりも下方に位置している。挿通路15は、第2背面パネル12の内部に穴を形成することによって形成されていてもよく、形成した穴に配管部材を埋め込むことによって形成されていてもよい。挿通路15の上端15aの開口は、電源コンセント、給湯器の操作パネル、照明スイッチ等を設置できるように、95mm角に形成されている。このように、キッチン2において作業台7に対応する位置に設けられる第2背面パネル12は、キッチン2側の前面において両端15a,15bが開口する電気配線の挿通路15が内部に形成された機能パネルに構成されている。
【0045】
なお、本実施形態では、第2背面パネル12の挿通路15の上端15aの開口部分には、第1パネル81と第2パネル82とが設けられている。第1パネル81には、電源コンセント81aと照明スイッチ81bとが形成され、第2パネル82は、給湯器の操作パネルである。各挿通路15には、第1パネル81と第2パネル82とに接続される電気配線が挿通されている。
【0046】
第2背面パネル12の側方端部は、これに隣り合う第1背面パネル11の下側パネル11aの側方端部に接合されている。第2背面パネル12と下側パネル11aとの接合構造は、いかなるものであってもよい。例えば、第2背面パネル12の側面とこれに当接する下側パネル11aの側面とにそれぞれ対応する上下方向に延びる溝を形成し、両溝に嵌まる実を別材で構成し、実を両溝に嵌め込んで接着する等により、第2背面パネル12の側方端部を第1背面パネルの下側パネル11aの側方端部に接合することができる。
【0047】
第3背面パネル13は、600mm幅に形成されている。また、第3背面パネル13の高さは、第1背面パネル11の下側パネル11aの高さと同じ高さ(1100mm)である。
【0048】
なお、本実施形態では、第3背面パネル13として、600mm幅のパネルを用いているが、第3背面パネル13として、600mm幅、750mm幅及び900mm幅の3種類の幅の化粧パネルを用意し、キッチン2の幅に応じて適した幅の化粧パネルを用いる。このように、第3背面パネル13として3種の幅の化粧パネルを用意することにより、2100mm幅、2250mm幅、2400mm幅のシステムキッチンにパネルユニット10を適用することが可能になる。
【0049】
第3背面パネル13の側方端部は、これに隣り合う第2背面パネル12の側方端部に接合されている。第3背面パネル13と第2背面パネル12との接合構造は、いかなるものであってもよい。例えば、第3背面パネル13の側面とこれに対応する第2背面パネル12の側面とにそれぞれ対応する上下方向に延びる溝を形成し、両溝に嵌まる実を別材で構成し、実を両溝に嵌め込んで接着する等により、第3背面パネル13の側方端部を第2背面パネル12の側方端部に接合することができる。
【0050】
第1背面パネル11の下側パネル11a、第2背面パネル12及び第3背面パネル13は、それぞれフロアキャビネット3にビス等によって固定されると共に、下端部が、キッチン2の背面2a側の床Fに固定された支持部材16に固定されている。支持部材16は、各パネル11a,12,13の下端部を床Fに固定できるものであればいかなるものであってもよく、C型チャンネルやL型アングル等によって構成される。
【0051】
また、第1背面パネル11の上側パネル11bは、上述のように、下端部が下側パネル11aの上端部に接合されると共に、上端部が、キッチン2の背面2a側の天井Cに固定された支持部材17によって固定されている。支持部材17は、上側パネル11bの上端部を天井Cに固定できるものであればいかなるものであってもよく、C型チャンネルやL型アングル等によって構成される。
【0052】
第1背面パネル11の上側パネル11bには、第2壁面W2に当接する側面とは逆側の側面を覆う笠木18が取り付けられている。また、第2及び第3背面パネル12,13には、両パネル12,13の上端面を覆う笠木19が取り付けられている。
【0053】
サイドパネル14は、キッチン2のシンク6側の側面2cに取り付けられている。
図2に示すように、サイドパネル14により、キッチン2のシンク6側の側面2c全面が覆われる。
【0054】
サイドパネル14は、第3背面パネル13の第2背面パネル12に隣接する一端部とは逆側の他端部に、略垂直に接合されている。サイドパネル14と第3背面パネル13との接合構造は、いかなるものであってもよい。例えば、サイドパネル14のキッチン2側の内側面において第3背面パネル13の側面と当接する後端部に溝を形成する一方、第3背面パネル13の側面に上記溝に嵌まる実を形成し、実を溝に嵌め込むことによって接合することによって実現できる。
【0055】
サイドパネル14は、第1〜第3背面パネル11〜13と同様に、キッチン2のワークトップ4の上面から上方に突出するように設けられている。本実施形態では、サイドパネル14は、後端部の高さが第3背面パネル13の高さ(1100mm)に等しく、後端部から前方へ向かう程、高さが低くなるように形成されている。また、サイドパネル14は、キッチン2の奥行き650mmに対し、710mm幅に形成され、キッチン2のシンク6側の側面2cと第3背面パネル13の側面とを一体的に覆う。
【0056】
[収納ユニット]
図2,3,6,7に示すように、収納ユニット20は、壁付式キッチンKの設置位置において第1壁面W1に沿うように設けられている。収納ユニット20は、家電収納ユニット21と、冷蔵庫ユニット22とを備えている。家電収納ユニット21と冷蔵庫ユニット22とは、それぞれ背面21a,22aが第1壁面W1と対面するように設けられている。家電収納ユニット21が、第2壁面W2側に設けられ、冷蔵庫ユニット22は、家電収納ユニット21の側方に、互いの側面が当接するように設けられている。家電収納ユニット21と冷蔵庫ユニット22とは、それぞれ床F上で自立するように構成されている。
【0057】
家電収納ユニット21は、下段収納部23と、中段収納部24と、上段収納部25とを有している。
【0058】
下段収納部23は、幅1200mm、高さ835mm、奥行き450mmの箱体に構成されている。下段収納部23の内部空間は、5つの空間に区切られ、4つの引き出しが設けられ、1つはゴミ箱などを収納可能な収容スペースに構成されている。下段収納部23は、前面が第1壁面W1から650mm離れ、側面が第2壁面W2から150mm離れた位置に設けられている。このように設けられることにより、下段収納部23の背面と第1壁面W1との間には200mm間隔の隙間が形成され、下段収納部23の側面と第2壁面W2との間には150mm間隔の隙間が形成される。
【0059】
中段収納部24は、幅1350mm、高さ465mm、奥行き450mmの前面が開口した箱体に構成されている。中段収納部24は、前面と冷蔵庫ユニット22側の側面の位置が、下段収納部23の前面と冷蔵庫ユニット22側の側面と揃うように下段収納部23上に配置され、該下段収納部23に固定されている。このように設けられることにより、中段収納部24の背面と第1壁面W1との間には、下段収納部23と同様に、200mm間隔の隙間が形成される。一方、中段収納部24は、下段収納部23に比べ、幅が150mm大きい。そのため、中段収納部24の側面と第2壁面W2との間には隙間が形成されない。中段収納部24の背面には、電気コンセント24aが組み込まれている。このように構成することにより、電子レンジ、電気ポット、炊飯器等の電化製品の収納が可能になる。
【0060】
上段収納部25は、幅1200mm、高さ700mm、奥行き450mmの箱体に構成されている。上段収納部25の内部空間は、4つの空間に区切られ、4つの戸棚収納部に構成されている。上段収納部25は、前面が第1壁面W1から650mm離れ、側面が第2壁面W2から150mm離れるように中段収納部24上に配置され、該中段収納部24に固定されている。このように設けられることにより、上段収納部25の背面と第1壁面W1との間には200mm間隔の隙間が形成され、上段収納部25の側面と第2壁面W2との間には150mm間隔の隙間が形成される。
【0061】
以上のように、下段収納部23に中段収納部24が固定され、該中段収納部24に上段収納部25が固定されることにより、家電収納ユニット21は、床F上で自立している。なお、家電収納ユニット21は、自立する構成ではあるが、振れ留め金具等を用いて第1壁面W1及び第2壁面W2と連結することとしてもよい。
【0062】
また、下段収納部23,中段収納部24及び上段収納部25は、前面がそれぞれ第1壁面W1から650mm離れた位置に設けられている。そのため、家電収納ユニット21の背面21aと第1壁面W1との間には、200mm幅の第1空間51が形成される。また、下段収納部23は、側面が第2壁面W2から150mm離れた位置に設けられることにより、側面と第2壁面W2との間に150mm幅の第2空間52が形成される。
【0063】
なお、上段収納部25の側面と第2壁面W2との間にも150mm幅の空間が形成されるが、この空間は、板状のカバー部材26によって前面が閉塞されている。
【0064】
また、家電収納ユニット21は、下段収納部23と中段収納部24と上段収納部25とにより、2000mmの高さに構成され、家電収納ユニット21の上面と天井Cとの間には、300mm程度の空間が形成される。この空間には、カバー部材29と後述するダクトユニット40とが設けられる。ダクトユニット40は、第2壁面W2側に設けられている。カバー部材29は、L字状の板状体であり、ダクトユニット40の側方において上記空間の前方及び側方を閉塞する。
【0065】
冷蔵庫ユニット22は、冷蔵庫カバー27と支持台部28とを有している。冷蔵庫カバー27は、冷蔵庫Rの背面、両側面及び上面を覆うものである。支持台部28は、冷蔵庫Rを底上げするためのものであり、冷蔵庫カバー27の内部に設けられている。
【0066】
冷蔵庫カバー27は、幅700mm、高さ2000mm、奥行き600mmの前面及び下面が開口した箱体に構成されている。冷蔵庫カバー27は、一方の側面が家電収納ユニット21の側面に当接し、家電収納ユニット21にビス等で固定される。冷蔵庫カバー27は、背面が第1壁面W1と50mmの間隔を開けて対面するように設置される。また、図示を省略しているが、冷蔵庫カバー27の背面には、冷蔵庫の電源プラグを接続するための電気コンセントが取り付けられている。さらに、冷蔵庫カバー27は、家電収納ユニット21と逆側の側面が、背面から後方に50mm幅で突出するように構成されている。このような側面により、家電収納ユニット21と第1壁面W1との間に形成される後述する第3空間53が覆い隠される。
【0067】
支持台部28は、下面と背面が開口した箱体に構成されている。支持台部28は、冷蔵庫カバー27内に収容され、冷蔵庫カバー27にビス等で固定される。
【0068】
以上のように構成された冷蔵庫ユニット22は、床F上で自立している。また、冷蔵庫ユニット22は、冷蔵庫カバー27の背面が第1壁面W1と50mmの間隔を開けて対面するように設けられている。そのため、冷蔵庫ユニット22の背面22aと第1壁面W1との間には、50mm幅の第3空間53が形成される。
【0069】
以上のような構成により、収納ユニット20が設置されると、該収納ユニット20と第1及び第2壁面W1,W2との間には、上述の第1〜第3空間51〜53が形成される。この第1〜第3空間51〜53により、既存の種々の配管と新たなキッチン2とを接続する各接続管61〜64の一部が挿通される挿通空間50が形成される。
【0070】
ところで、既存の壁付式キッチンKから対面式のキッチン2へのリフォームに際し、壁付式キッチンKに接続されていた既存の給湯管、給水管、ガス管及び排水管等を、新たなキッチン2の設置位置まで延長しなければならない。そこで、本実施形態では、第1壁面W1付近において、壁付式キッチンKに接続されていた既存の種々の配管(給湯管、給水管、ガス管及び排水管)と新たなキッチン2とを、接続管(給湯管61、給水管62、ガス管63及び排水管64)でそれぞれ接続している。各接続管61〜64は、第1壁面W1側から第1及び第2壁面W1,W2に沿ってL字状に延ばされ、キッチン2に接続されている。
【0071】
上記挿通空間50には、上記各接続管61〜64の第1壁面W1側の一端部(既存の配管との接続部)を含むL字状の一部(第1部分)が挿通される。この各接続管61〜64の第1部分は、収納ユニット20と第1及び第2壁面W1,W2との間に形成されたL字状の挿通空間50に挿通されることにより、収納ユニット20によって覆い隠されることとなる。なお、図示を省略しているが、挿通空間50には、第2背面パネル12に取り付けられる第1及び第2パネル81,82に接続される電気配線も挿通されている。
【0072】
[配管ユニット]
図2〜4,6,7に示すように、配管ユニット30は、前面パネル31と上面パネル32とをL字状に接合したカバー部材によって構成されている。
【0073】
前面パネル31は、中央に凹部31aを有する1100mm×820mmの板状部材であり、第2壁面W2に平行に設けられている。凹部31aは、600mm×400mmの矩形状に形成され、深さが130mm程度に形成されている。凹部31aは、壁面収納部となる。
【0074】
上面パネル32は、1100mm×150mmの板状部材であり、前面パネル31の上端部に接合されている。
【0075】
このような前面パネル31と上面パネル32とにより、配管ユニット30は、1100mm×820mm×150mmの大きさに形成されている。
【0076】
配管ユニット30は、収納ユニット20とキッチン2とに跨がるように設けられている。具体的には、配管ユニット30は、一端部が収納ユニット20の第2空間52に挿入され、他端部がキッチン2のコンロ横空間に挿入されることにより、収納ユニット20とキッチン2とに跨がるように設けられている。
【0077】
なお、第2空間52は、収納ユニット20の下段収納部23と第2壁面W2との間に形成され、幅が150mmで高さと奥行きが下段収納部23に等しい(高さ835mm、奥行き450mm)空間である。また、コンロ横空間は、消防法でコンロ5を第2壁面W2から150mm以上離して設置することが定められているために形成され、幅150mm、高さ820mm、奥行き450mmの空間である。
【0078】
以上のように構成された配管ユニット30は、第2壁面W2との間に第4空間54を形成する。第4空間54には、各接続管61〜64のうち収納ユニット20とキッチン2との間に設けられる一部であって上記第1部分に連続する第2部分が挿通される。このような構成により、各接続管61〜64の第1部分に連続する第2部分は、配管ユニット30によって覆い隠されることとなる。つまり、各接続管61〜64は、収納ユニット20と配管ユニット30とによって覆い隠されることとなる。なお、図示を省略しているが、第4空間54には、第2背面パネル12に取り付けられる第1及び第2パネル81,82に接続される電気配線の一部分も挿通されている。
【0079】
[ダクトユニット]
本実施形態では、既存の壁付式キッチンKから対面式のキッチン2へのリフォームに際し、第1壁面W1に形成された既存の排気口と、第1背面パネル11の上部(上側パネル11b)に取り付けられた換気フード70とを接続する排気ダクト65を設けることにより、新たな排気経路を確保している。
【0080】
図2〜4,6,7に示すように、ダクトユニット40は、この排気ダクト65を覆うダクトカバー41によって構成されている。ダクトカバー41は、断面矩形の筒状に形成されている。ダクトカバー41の下面には、排気ダクト65と換気フード70との接続部分を挿通させるための挿通穴41aが形成されている。
【0081】
ダクトカバー41は、第1背面パネル11と収納ユニット20とに架け渡されて横架材として機能するように構成されている。ダクトカバー41は、第1背面パネル11から収納ユニット20に達する長さに形成されている。ダクトカバー41は、一端部が収納ユニット20の家電収納ユニット21の上面に固定され、他端部が第1背面パネル11の上側パネル11bに固定されている。このようにダクトカバー41が、第1背面パネル11と家電収納ユニット21とに接合されることにより、ダクトカバー41と第1背面パネル11と家電収納ユニット21とが門形ラーメン構造となる。このような構成により、ダクトユニット40は、換気フード70に繋がる排気通路40a(排気ダクト65内の通路)を内包し、第1背面パネル11と収納ユニット20とに架け渡されて横架材として機能するものとなる。
【0082】
また、ダクトカバー41には、ダウンライト42が内蔵されている。ダウンライト42は、ダクトカバー41の長手方向の中程(一端部と他端部との間)に取り付けられている。ダウンライト42は、第2背面パネル12に取り付けられた照明スイッチ81bに接続され、該照明スイッチ81bに入力される操作に基づき、点灯及び消灯するように構成されている。なお、図示を省略しているが、ダウンライト42と照明スイッチ81bとは、ダクトカバー41、第1空間51、第2空間52、第4空間54、フロアキャビネット3の内部、第2背面パネル12の挿通路15を順に通過する電気配線によって接続される。
【0083】
−リフォーム手順の一例−
以下、キッチン反転化ユニット1を用いた壁付式キッチンKから対面式のキッチン2へのリフォーム手順の一例を説明する。
【0084】
まず、壁付式キッチンKを除去する。その後、壁付式キッチンKに接続されていた既存の種々の配管(給湯管、給水管、ガス管及び排水管)に接続管(給湯管61、給水管62、ガス管63及び排水管64)を接続する。そして、各接続管61〜64を、第1壁面W1側から第1及び第2壁面W1,W2に沿ってキッチン2の設置位置までL字状に延ばす。
【0085】
次に、パネルユニット10及びキッチン2を組み立てる。まず、キッチン2の背面2a側の床Fに支持部材16を固定し、キッチン2の背面2a側の天井Cに支持部材17を固定する。そして、第1〜第3背面パネル11〜13を組み立てる。
【0086】
第1背面パネル11から組み立てる。まず、第1背面パネル11の下側パネル11aを設置位置に配置し、下端部を支持部材17に固定する。次に、第1背面パネル11の上側パネル11bを取り付ける。上側パネル11bは、下端部を下側パネル11aの上端部に接合し、上端部を支持部材17に固定する。
【0087】
第1背面パネル11の設置後、第2背面パネル12、第3背面パネル13の順に設置する。第2背面パネル12は、下端部を支持部材16に固定し、側方端部を第1背面パネル11の下側パネル11aの側方端部に接合する。第3背面パネル13は、下端部を支持部材16に固定し、側方端部を第2背面パネル12の側方端部に接合する。
【0088】
ここで、第2背面パネル12を設置する際には、第1及び第2パネル81,82を取り付け、各挿通路15に第1及び第2パネル81,82にそれぞれ接続される電気配線を挿通させておく。なお、第1及び第2パネル81,82を取り付けずに、各挿通路15に呼び線を挿通させておいてもよい。この場合、第2背面パネル12の設置後に呼び線を用いて電気配線を各挿通路15に挿通させ、第1及び第2パネル81,82と接続し、該第1及び第2パネル81,82を第2背面パネル12に取り付けることとなる。
【0089】
各挿通路15に電気配線を挿通させた後、該電気配線を第1壁面W1側に設けられた既存の電源や各種電気機器に接続できるように、第1壁面W1付近まで延ばしておく。このとき、これらの電気配線が、後に設置される収納ユニット20及び配管ユニット30で覆い隠されるように、上記電気配線が第1及び第2壁面W1,W2に沿わせておく。
【0090】
第1〜第3背面パネル11〜13の組立後、キッチン2のフロアキャビネット3を組み立てる。そして、フロアキャビネット3と第1背面パネル11の下側パネル11a、第2背面パネル12、第3背面パネル13をそれぞれビス等で固定する。なお、フロアキャビネット3の組立時に、各接続管61〜64にさらに配管を接続して延長し、各配管の端部が接続先(給水栓、ガス栓、排水管)に配置されるようにする。
【0091】
フロアキャビネット3の組立後、サイドパネル14を組み立てる。サイドパネル14は、後端部を第3背面パネル13の側方端部に接合し、ビス等でフロアキャビネット3に固定する。
【0092】
サイドパネル14の組立後、ワークトップ4をフロアキャビネット3の上部に取り付ける。そして、上述の各接続管61〜64に接続された配管を、キッチン2の給水栓、ガス栓、排水管に接続する。
【0093】
パネルユニット10及びキッチン2の組立後、収納ユニット20を設置する。まず、家電収納ユニット21を、背面と第1壁面W1との間に第1空間51が形成され、側面と第2壁面W2との間に第2空間52が形成されるように設置する。その後、冷蔵庫ユニット22を、側面が家電収納ユニット21の側面に当接し、背面と第1壁面W1との間に第3空間53が形成されるように設置する。収納ユニット20を設置する際には、先に配設した各接続管61〜64及び電気配線が、第1〜第3空間51〜53によって形成されるL字状の挿通空間50に収容されるようにする。
【0094】
収納ユニット20の設置後、配管ユニット30を設置する。配管ユニット30は、一端部を収納ユニット20の第2空間52に挿入し、他端部をキッチン2のコンロ横空間に挿入することにより、収納ユニット20とキッチン2とに跨がるように設けられる。配管ユニット30を設置する際には、先に配設した各接続管61〜64及び電気配線の収納ユニット20とキッチン2との間に設けられる一部分が、配管ユニット30と第2壁面W2との間に形成される第4空間54に収容されるようにする。
【0095】
配管ユニット30の設置後、第1背面パネル11に換気フード70を取り付ける。その後、ダクトユニット40を設置する。排気ダクト65を内部に挿通させた状態で、ダクトカバー41を、第1背面パネル11と収納ユニット20とに固定する。具体的には、ダクトカバー41の一端部を、第1背面パネル11の換気フード70の直上に取り付け、排気ダクト65の一端を換気フード70に接続する。また、ダクトカバー41の他端部を、家電収納ユニット21の上面に固定し、排気ダクト65の他端を、第1空間51の上部において開口する排気口に接続する。そして、第1パネル81の電源コンセント81aに接続されて第1空間51まで延長された電気配線を、ダクトカバー41内に引き込み、ダウンライト42に接続する。
【0096】
以上の手順により、既存の壁付式キッチンKが設置されていた第1壁面W1と第2壁面W2とで区画された隅角空間Sに、キッチン反転化ユニット1と対面式のキッチン2とが設置される。
【0097】
−実施形態1の効果−
本実施形態1では、キッチン反転化ユニット1が、第1壁面W1に沿って自立する収納ユニット20と、収納ユニット20とキッチン2とに跨がるように設けられる配管ユニット30とを備えている。そして、既設の配管(給湯管、給水管、ガス管及び排水管)と新たなキッチン2とを接続するために、第1壁面W1側から第1及び第2壁面W1,W2に沿ってL字状に延びる接続管(給湯管61、給水管62、ガス管63及び排水管64)が、収納ユニット20と配管ユニット30とによって覆い隠されるように、収納ユニット20と配管ユニット30とを構成することとした。そのため、既存の壁付式キッチンKとは逆向きに新たなキッチン2を施工するリフォームに上記キッチン反転化ユニット1を用いることにより、床材を取り外し、新たな配管を配設した後、取り外した床材を取り付ける等の造作工事を行うことなく、自立する収納ユニット20と第2壁面W2に沿って収納ユニット20からキッチン2へ延びる配管ユニット30とを設置するだけで新たなキッチン2に種々の配管を容易に接続することができる。
【0098】
また、本実施形態1では、キッチン反転化ユニット1が、キッチン2の背面2aに取り付けられる第1壁面W1に平行な板状部材からなり、キッチン2側の前面に換気フード70が取り付けられる第1背面パネル11と、上記換気フード70に繋がる排気通路40aを内包するダクトユニット40とを備えている。そして、上記キッチン反転化ユニット1では、ダクトユニット40が、キッチン2の背面2aに取り付けられる第1背面パネル11と、壁付式キッチンKの設置位置において自立する収納ユニット20とに架け渡されて横架材として機能するように構成されている。このように第1背面パネル11と収納ユニット20とダクトユニット40とを接合して門形ラーメン構造とすることにより、換気フード70の荷重が、第1背面パネル11だけでなく、第1背面パネル11と収納ユニット20とダクトユニット40とで支持されることとなる。そのため、換気フード70が取り付けられる第1背面パネル11の薄形化を図ることができる。また、第1背面パネル11の薄形化により、キッチン空間をコンパクトに形成することができる。
【0099】
また、本実施形態1では、第1背面パネル11と収納ユニット20とにダクトユニット40を架け渡して固定するだけで、天井材を取り外し、天井裏に排気ダクトを配設した後、取り外した天井材を取り付ける等の造作工事を行うことなく、容易に新たなキッチン2のための排気ルートを確保することができる。
【0100】
以上のように、本実施形態1によれば、既存の壁付式キッチンKが設置された隅角空間Sに、収納ユニット20と配管ユニット30と第1背面パネル11とダクトユニット40とを設置するだけで、床材や天井材を取り外す等の造作工事を行うことなく、既存の壁付式キッチンKとは逆向きに新たなキッチン2を設置することができる。従って、上記キッチン反転化ユニット1を用いることにより、既存の壁付式キッチンKとは逆向きに新たなキッチン2を施工するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行うことができる。
【0101】
また、本実施形態1では、第1背面パネル11よりも高さの低い化粧パネルからなる第2及び第3背面パネル12,13をキッチン2の背面2aに取り付け、第1〜第3背面パネル11〜13によってキッチン2の背面2aを覆うようにした。これにより、新たなキッチン2を対面式キッチンとして用いることができる。つまり、本実施形態1によれば、上記キッチン反転化ユニット1を用いることにより、容易に且つ短工期で、既存の壁付式キッチンKとは逆向きに新たな対面式キッチン2を施工することができる。
【0102】
ところで、通常、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントがキッチン付近に設けられている。そのため、キッチン2を施工する際には、キッチン2を組み立てる等の大工工事の他、電気配線を施す電気工事が必要となる。また、電気配線の挿通路を形成する等の大工工事と電気工事とは、作業者が別であるにも拘わらず、連携して行う必要がある。そのため、作業者の都合によって工期が長くなるおそれがあった。
【0103】
そこで、本実施形態1では、第2背面パネル12を、電気配線の挿通路15が内部に形成された機能パネルで構成することとした。そのため、キッチン2及び各背面パネル11〜13の組み立て時に電気配線用の穴や通路を加工することなく、所定の位置に電気配線の挿通路15を確保することができる。また、第2背面パネル12の設置前に挿通路15に電気配線又は呼び線を挿通させておけば、第2背面パネル12を設置するだけで電気配線又は呼び線も所定の位置に配することができるため、後に行う配線作業の手間を削減して配線作業を容易に行うことができる。従って、本実施形態1によれば、新たなキッチン2の施工工期を短縮することができる。
【0104】
また、本実施形態1では、第2背面パネル12に設けられた挿通路15が、キッチン2の上面の上方から下方に亘って形成されている。そのため、キッチン2の内部に配された電気配線をキッチン2の上方の位置まで容易に引き出すことができる。よって、本実施形態1によれば、給湯器の操作パネル、照明のスイッチ、キッチン備え付けの食洗機の操作パネル等の操作機器や電源コンセントを容易に機能パネルに取り付けることができる。
【0105】
また、本実施形態1では、第2背面パネル12に電気配線の挿通路15が複数形成されている。そのため、複数の電気機器の操作機器(照明スイッチ81b、給湯器の操作パネル82)や電源コンセント81aを機能パネルに取り付けることができる。
【0106】
また、本実施形態1では、コンロ5の上方に設けられる換気フード70が取り付けられた第1背面パネル11を、キッチン2側の前面が不燃材で構成された不燃性を有するパネルで構成することとした。これにより、コンロ5周辺の防火性能を高めることができる。
【0107】
また、本実施形態1では、天井Cまで延ばした第1背面パネル11を、大きな1枚のパネルで構成するのではなく、2枚のパネル(下側パネル11aと上側パネル11b)を連結させて用いることとしている。部材が大きすぎると、取り付け時に一人で支持できず、複数人で支持する必要が生じるが、上記構成によれば、搬入作業及び施工作業を一人で容易に行うことができる。
【0108】
ところで、第1背面パネル11と収納ユニット20とに亘るダクトユニット40を設けると、ダクトユニット40の影によって下方での作業がし辛くなるおそれがある。
【0109】
そこで、本実施形態1では、第1背面パネル11と収納ユニット20とに架け渡されたダクトユニット40にダウンライト42を内蔵させることとした。これにより、ダクトユニット40を設けても明るい作業空間を形成することができる。
【0110】
また、本実施形態1では、収納ユニット20を、キッチン2よりも幅狭の家電収納ユニット21と、該家電収納ユニット21の側方に設けられて前面が開口して冷蔵庫Rを収容可能に構成された箱状の冷蔵庫ユニット22とで構成することとした。このように、収納ユニット20を、家電や冷蔵庫を収納可能に構成することにより、キッチン2で必要な種々の道具や家電を、キッチン空間にコンパクトに納めることができる。
【0111】
《その他の実施形態》
上記実施形態1では、収納ユニット20と配管ユニット30とは、既設の配管と新たなキッチン2とを接続する接続管61〜64の一部をそれぞれ挿通させることにより、上記接続管61〜64を覆い隠すように構成されていた。しかしながら、収納ユニット20と配管ユニット30とは、接続管61〜64を挿通させるのではなく、内蔵することによって接続管61〜64を覆い隠すように構成されていてもよい。例えば、接続管61〜64を、連結可能な第1部分と第2部分とで構成し、収納ユニット20に第1部分を内蔵させ、配管ユニット30に第2部分を内蔵させ、収納ユニット20の設置後、第1部分と第2部分とが連結されるように配管ユニット30を設置するようにしてもよい。
【0112】
また、上記実施形態1では、キッチン反転化ユニット1は、第1〜第3背面パネル11〜13と、サイドパネル14とを有するパネルユニット10を備えていたが、キッチン反転化ユニット1は、第1背面パネル11を備えるものであればよく、第2及び第3背面パネル12,13とサイドパネル14を備えないものであってもよい。
【0113】
また、上記実施形態1では、キッチン反転化ユニット1を用いて、壁付式キッチンKを対面式のキッチン2にリフォームする例について説明したが、キッチン反転化ユニット1の用途はこれに限られない。背面Kbが第1壁面W1に当接する壁付式キッチンKを除去し、第1壁面W1に対向する第3壁面W3に背面2aが当接するように新たなキッチン2を設置する場合にも、キッチン反転化ユニット1を適用可能である。このような場合にも、床材や天井材を取り外す等の造作工事を行うことなく、既存の壁付式キッチンKとは逆向きに新たなキッチン2を施工するリフォーム工事を容易に且つ短工期で行うことができる。
【0114】
また、上記実施形態1では、第1背面パネル11は、前面が不燃材で構成されていたが、前面だけでなく、基材が不燃材で構成されたものであってもよい。また、第1背面パネル11は、前面が難燃材で構成された難燃性を有するパネルであってもよい。さらに、第1背面パネル11は、前面だけでなく、基材も難燃材で構成されたものであってもよい。
【0115】
また、上記実施形態1では、第1背面パネル11を、下側パネル11aと上側パネル11bの2枚のパネルで構成していたが、第1背面パネル11は、1枚のパネルで構成されていてもよい。
【0116】
また、上記実施形態1では、第2背面パネル12に、2つの挿通路15が形成されていたが、挿通路15の数はこれに限定されない。第2背面パネル12に形成する挿通路15の数は、1つでも3つ以上であってもよい。
【0117】
また、上記実施形態1では、収納ユニット20を、家電収納ユニット21と冷蔵庫ユニット22とで構成していた。しかしながら、収納ユニット20の構成は、これに限られない。収納ユニット20は、自立する構成であり、第1及び第2壁面W1,W2との間に各接続管61〜64の第1部分を挿通させる挿通空間50を確保できる収納家具であればいかなるものであってもよい。収納ユニット20は、1つの収納家具で構成してもよく、第1壁面W1に沿って並ぶ複数の収納家具で構成してもよい。
【0118】
また、上記実施形態1では、ダクトユニット40は、排気ダクト65を覆い隠すと共に支持するダクトカバー41で構成されていたが、ダクトユニット40は、排気通路40aを内包し、第1背面パネル11と収納ユニット20とに架け渡されて横架材として機能するものであればいかなるものであってもよい。ダクトユニット40を、排気ダクト65が内蔵された構造体で構成してもよい。この場合、例えば、収納ユニット20を設置する際に、第1壁面W1に設けられた既存の排気口に、排気ダクト65と排気口とを繋ぐ連結用ダクトを取り付けておき、ダクトユニット40の設置時に上記連結用ダクトにダクトユニット40に内蔵された排気ダクト65を連結することにより、排気口との連結が可能になる。