【解決手段】空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延びる主溝11,12と、タイヤ幅方向に沿って延びる横溝17とによって形成されたブロック25を備える。ブロック25は、第1側面37aとブロック25の頂面25aとの角部に設けられ、第1側面37aによって画定された主溝又は横溝の溝底に近づくように傾斜する第1傾斜面37bと、第1傾斜面37bに外端48bが位置するように、ブロック25の中央から第1側面37aに向けて延び、主溝及び横溝の溝幅よりも溝幅が狭い第1細溝48とを有する。
タイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝と、タイヤ幅方向に沿って延びてタイヤ周方向に間隔をあけて設けられた一対の横溝とによって形成され、3以上の側面を有する多角形状のブロックを備え、
前記ブロックは、
前記3以上の側面のうちの第1側面と前記ブロックの頂面との角部に設けられ、前記第1側面によって画定された前記主溝又は前記横溝の溝底に近づくように傾斜する第1傾斜面と、
前記第1傾斜面に外端が位置するように、前記ブロックの中央から前記第1側面に向けて延び、前記主溝及び前記横溝の溝幅よりも溝幅が狭い第1細溝と
を有する、空気入りタイヤ。
前記主溝又は前記横溝の前記溝底の前記第1側面に隣接した部分には、タイヤ径方向外向きに隆起した隆起部が形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の空気入りタイヤでは、サイプがブロックの側面にかけて貫通しているため、ブロックの剛性とそれによる操縦安定性が低下する。
【0005】
本発明は、エッジ効果を確保しつつ、陸部の剛性とそれによる操縦安定性を向上できる空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、タイヤ周方向に延びる少なくとも1本の主溝と、タイヤ幅方向に沿って延びてタイヤ周方向に間隔をあけて設けられた一対の横溝とによって形成され、3以上の側面を有する多角形状のブロックを備え、前記ブロックは、前記3以上の側面のうちの第1側面と前記ブロックの頂面との角部に設けられ、前記第1側面によって画定された前記主溝又は前記横溝の溝底に近づくように傾斜する第1傾斜面と、前記第1傾斜面に外端が位置するように、前記ブロックの中央から前記第1側面に向けて延び、前記主溝及び前記横溝の溝幅よりも溝幅が狭い第1細溝とを有する、空気入りタイヤを提供する。
【0007】
この態様によれば、ブロックに形成された第1細溝によって、エッジ効果を確保できる。一般に、側面と頂面で形成されるブロックの角部は、細溝の形成によって分断されるため変形し易くなり、剛性が低下する傾向がある。しかし、この態様では第1側面に第1傾斜面が設けられているため、変形し易い鋭角な部分を無くすことができる。よって、第1細溝によってエッジ効果を確保しつつ、第1傾斜面によってブロックの剛性とそれによる操縦安定性を向上できる。
【0008】
前記ブロックは、基部と、前記基部からタイヤ径方向と交差する向きへ放射状に突出する第1突出部、第2突出部、及び第3突出部とを有し、前記第1細溝は、前記基部から前記第1突出部が備える前記第1側面に向けて形成されている。一般に、ブロックの突出部の側面に向けて細溝が形成される場合、突出部の剛性が著しく低下する傾向がある。しかし、この態様によれば、突出部が備える側面に傾斜面が設けられているため、傾斜面を設けない場合と比較して、ブロックの剛性を効果的に確保でき、操縦安定性を向上できる。
【0009】
前記第1側面と前記第1傾斜面とがなす角は120度以上160度以下である。なす角を過度に小さくすると頂面積が低減する一方、なす角を過度に大きくすると剛性向上の寄与度が低くなる。この態様によれば、ブロックの頂面積を確保しつつ、ブロックの剛性を効果的に向上できる。
【0010】
前記主溝又は前記横溝の前記溝底の前記第1側面に隣接した部分には、タイヤ径方向外向きに隆起した隆起部が形成されている。この態様によれば、第1側面の全高が低くなるため、第1側面での変形を抑制でき、第1側面部分のブロックの剛性を効果的に向上できる。
【0011】
前記ブロックは、前記3以上の側面のうちの第2側面と前記頂面との角部に設けられ、前記第2側面によって画定された前記主溝又は前記横溝の溝底に近づくように傾斜する第2傾斜面と、前記第2傾斜面に外端が位置するように、前記ブロックの中央から前記第2側面に向けて延び、前記主溝及び前記横溝の溝幅よりも溝幅が狭く、前記第1細溝の溝幅よりも溝幅が広い第2細溝とを有し、前記第2側面と前記第2傾斜面とがなす角は、前記第1側面と前記第1傾斜面とがなす角よりも小さい。つまり、細溝の溝幅が広くなるに従って、傾斜面の傾斜角を大きくしている。この態様によれば、ブロックの側面での変形を効果的に抑制し、剛性と操縦安定性を確実に向上できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の空気入りタイヤでは、エッジ効果を確保しつつ、ブロックの剛性とそれによる操縦安定性を向上できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という。)1を示す。このタイヤ1は、タイヤ幅方向に延びるトレッド部2と、トレッド部2の両端からタイヤ径方向内側に延びる一対のサイドウォール部(図示せず)と、一対のサイドウォール部のタイヤ径方向内側の端にそれぞれ設けられた一対のビード部(図示せず)とを備える。トレッド部2には、タイヤ周方向に延びる複数の主溝と、タイヤ幅方向に延びる複数の横溝とによって、複数のブロックが形成されている。
【0016】
具体的には、タイヤ1は、車両への装着状態でのアウトサイド(
図1において右側)からインサイド(
図1において左側)に向けて順番に、第1主溝11、第2主溝12、及び第3主溝13を備える。これらはタイヤ径方向内側へ窪んでいる。
【0017】
第1主溝11は、アウトサイドに設けられ、タイヤ周方向にジグザグ状に延びている。具体的には、第1主溝11は、タイヤ周方向(
図1において下側)に向かって、タイヤ幅方向外側に傾斜する第1傾斜部11aと、タイヤ幅方向内側に傾斜する第2傾斜部11bとを備える。
【0018】
第2主溝12は、タイヤ幅方向の中央に配置され、タイヤ周方向に蛇行しながら延びている。第2主溝12は、第1溝部12aと、第1溝部12aに連続した第2溝部12bと、第2溝部12bに連続した第3溝部12cを備え、第3溝部12cに第1溝部12aが連続している。第1溝部12aは、タイヤ幅方向の中心線CLの近傍に位置し、タイヤ周方向に延びている。第2溝部12bは、第1溝部12aの端からタイヤ周方向に向かってタイヤ径方向外側に傾斜して延びている。第3溝部12cは、第2溝部12bの端からタイヤ周方向に向かってタイヤ径方向内側に傾斜して延びている。
【0019】
第3主溝13は、インサイドに設けられ、タイヤ周方向に沿って同一円周上に延びている(
図1おいて上下方向に延びる真っ直ぐな溝となっている。)。
【0020】
第1主溝11によって区画されたタイヤ幅方向の最外側の領域が外側ショルダー部21である。第1主溝11と第2主溝12によって区画された領域が外側センター部24である。第2主溝12と第3主溝13によって区画された領域が内側センター部27である。第3主溝13によって区画されたタイヤ幅方向の最内側の領域が内側ショルダー部30である。つまり、
図1において、タイヤ幅方向の中心線CLの右側に外側ショルダー部21及び外側センター部24が形成され、タイヤ幅方向の中心線CLの左側に内側センター部27及び内側ショルダー部30が形成されている。
【0021】
タイヤ1は、外側ショルダー部21に形成された第1横溝16と、外側センター部24に形成された第2横溝17と、内側センター部27に形成された第3横溝18と、内側ショルダー部30に形成された第4横溝19とを備える。
【0022】
第1横溝16、第2横溝17、第3横溝18及び第4横溝19はいずれも、タイヤ径方向内向きに窪んでいる。また、これらはいずれも、タイヤ幅方向外側に向かって同一タイヤ周方向(
図1において上側)に傾斜している。第1横溝16に比べて第4横溝19は、タイヤ幅方向に延びる直線に対する傾斜角度が大きくなっている。第4横溝19、第3横溝18、第2横溝17の順で、タイヤ幅方向に延びる直線に対する傾斜角度が大きくなっている。
【0023】
第1横溝16の一端は第1主溝11に連通し、第1横溝16の他端は開放されている。第2横溝17の一端は第1主溝11に連通し、第2横溝17の他端は第2主溝12に連通している。第3横溝18の一端は第2主溝12に連通し、第3横溝18の他端は第3主溝13に連通している。第4横溝19の一端は第3主溝13に連通し、第4横溝19の他端は開放されている。
【0024】
これらの主溝11〜13と横溝16〜19によって、タイヤ幅方向に4列で、タイヤ周方向に並んで複数のブロック22,25,28,31が形成されている。具体的には、第1横溝16及び第1主溝11によって、外側ショルダー部21には、第1外側ショルダーブロック22Aと第2外側ショルダーブロック22Bが、タイヤ周方向に向かって交互に設けられている。第2横溝17、第1主溝11、及び第2主溝12によって、外側センター部24には、外側センターブロック25がタイヤ周方向に並んで設けられている。第3横溝18、第2主溝12、及び第3主溝13によって、内側センター部27には、第1内側センターブロック28Aと第2内側センターブロック28Bが、タイヤ周方向に向かって交互に設けられている。第4横溝19及び第3主溝13によって、内側ショルダー部30には、内側ショルダーブロック31がタイヤ周方向に並んで設けられている。
【0025】
外側センターブロック25、内側センターブロック28、及び内側ショルダーブロック31の数の比率は、1:2:3とされている。これにより、タイヤ幅方向内側に向かってブロック数が増大し、各ブロックのタイヤ周方向のサイズが小さくなっている。なお、外側センターブロック25、及び外側ショルダーブロック22の数の比率は、1:2とされている。
【0026】
複数種のブロック22,25,28,31のうち、外側センターブロック25のサイズが最も大きい。この外側センターブロック(以下、「ブロック」と略す。)25は、タイヤ径方向外側から見て、機能性とデザイン性を兼ね備えた形状とされている。また、ブロック25には、放熱性を向上するための凹部40と、エッジ性能を向上するための3本の細溝47〜49とが設けられている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、ブロック25は、基部35と、基部35から放射状に突出した3個の突出部36〜38を備える。突出部(第2突出部)36は、基部35から概ねタイヤ幅方向に突出し、タイヤ幅方向の剛性を高める働きをする。突出部(第1突出部)37と突出部(第3突出部)38は、基部35からタイヤ周方向に対して斜め逆向きに突出し、斜め方向の剛性を高める働きをする。
【0028】
具体的には、基部35は、第1主溝11、第2主溝12、及び一対の第2横溝17によって区画されたブロック25全体の中央部分である。突出部36は、第2主溝12の第1溝部12a、第2溝部12bにおける第1溝部12aとの合流側の一部、及び第3溝部12cによって区画されている。突出部37は、第1主溝11の第1傾斜部11a、第2傾斜部11b、及び1本の第2横溝17によって区画されている。突出部38は、1本の第2横溝17、第1主溝11の第1傾斜部11aにおける第2傾斜部11bとの合流側の一部、及び第2主溝12の第2溝部12bによって区画されている。
【0029】
基部35からの突出寸法は、突出部36、突出部38、及び突出部37の順で大きくなっている。これらによって構成されたブロック25は、概ねY字形状をなし、デザイン性に優れている。しかも、コーナリング時、異なる方向に突出した突出部36〜38によって、ブロック25に作用する力に対する耐久力が増すため、コーナリング性能(機能性)を向上できる。
【0030】
凹部40は、基部35に形成され、ブロック25の頂面25aからタイヤ径方向内側へ三角錐状に窪んでいる。但し、凹部40は幾何学的な三角錐状に限られず、その辺や面は湾曲していてもよい。
【0031】
具体的には、凹部40は頂面25a上に形成された3つの辺41a〜41cを備える。凹部40には、辺(第1辺)41aと辺(第3辺)41cによって角部(第1角部)42aが形成され、辺41aと辺(第2辺)41bによって角部(第2角部)42bが形成され、辺41bと辺41cによって角部(第3角部)42cが形成されている。角部42aは突出部36に向かい、角部42bは突出部37に向かい、角部42cは突出部38に向かっている。
【0032】
凹部40は、角部42aから底の頂部43に向けて延びる傾斜辺44aと、角部42bから頂部43に向けて延びる傾斜辺44bと、角部42cから頂部43に向けて延びる傾斜辺44cとを備える。タイヤ径方向外側から見て、頂部43は、辺41a〜41cで囲まれた三角形状の内部に位置する。これらの辺により、凹部40には、辺41aからタイヤ径方向内側へ傾斜して延びる三角形状の傾斜面45aと、辺41bからタイヤ径方向内側へ傾斜して延びる三角形状の傾斜面45bと、辺41cからタイヤ径方向内側へ傾斜して延びる三角形状の傾斜面45cとが形成されている。傾斜面45a〜45cは、本実施形態では平坦面である。
【0033】
凹部40の深さ、つまり頂面25aからの頂部43までのタイヤ径方向の寸法は、3mm以上8mm以下(主溝11,12及び第2横溝17の深さの30%以上80%以下)の範囲に設定され、本実施形態では5mmに設定されている。また、頂面25aの投影面積に対する凹部40の投影面積(開口面積)の割合は、5%以上20%以下に設定される。これにより、ブロック25の放熱効果の不足と、ブロック25の剛性低下とを防止している。
【0034】
細溝47〜49は、凹部40(基部35)から放射状に延びるように設けられている。細溝(第2細溝)47は、凹部40から突出部36の先端である側面36aの中央に向けて延びている。細溝(第1細溝)48は、凹部40から突出部37の先端である側面37aの中央に向けて延びている。細溝(第3細溝)49は、凹部40から突出部38の先端である側面38aの中央に向けて延びている。
【0035】
細溝47〜49は、頂面25aからタイヤ径方向内側に窪んでいる。そのうち、細溝47は、凹部40内の水の排出及び走行時のエッジ性能の向上のために設けられている。細溝48,49は、走行時のエッジ性能の向上のために設けられている。個々の細溝47〜49が延びる方向に対して直交する方向の寸法である溝幅は、主溝11〜13及び第2横溝16〜19の溝幅よりも狭い。また、排水溝として機能する細溝47の溝幅は、細溝(サイプ)48,49の溝幅よりも広い。例えば、主溝11〜13及び第2横溝16〜19の溝幅は13mm以上20mm以下であり、細溝47の溝幅は4mm以上8mm以下であり、細溝48,49の溝幅は0.6mm以上1.0mm以下である。また、細溝47の全長は、細溝48,49の全長よりも短い。
【0036】
細溝47〜49は、凹部40を中心として周方向に定められた間隔をあけて配置されている。具体的には、隣接した細溝47〜49間の角度は、60度以上180度以下の範囲に設定されており、本実施形態では、細溝47,48間を148度、細溝48,49間を134度、及び細溝49,47間を78度に設定している。上記範囲外に設定すると、細溝47〜49が延びる向きに偏りが生じるため、頂面25aの全方向にエッジを効かせることができない。頂面25aの全方向に満遍なくエッジを効かせるために、隣接した細溝47〜49間の角度は、上記定められた範囲に設定することが好ましい。なお、本実施形態では、突出部36〜38の突出方向に沿って延びるように細溝47〜49が設けられているため、細溝47〜49を形成する上記角度範囲は突出部36〜38を突設する方向の角度範囲に相当する。
【0037】
細溝47は、突出部36をほぼ均等に2分するように、凹部40の辺41aに沿って延びている。細溝47は、凹部40と第2主溝12とを連通させるために、凹部40から第2主溝12を画定する突出部36の側面36aにかけて設けられている。細溝47の内端47aは、凹部40内を臨むように角部42aに連続(傾斜面45cで開口)し、細溝47の外端47bは、第2主溝12内を臨むように側面36aで開口している。細溝47のタイヤ径方向の深さは、凹部40の深さよりも深く、頂面25aから後述する隆起部51までの深さD2と同一寸法に設定されている。これにより、細溝47の内端47aは、角部42aから頂部43にかけてスリット状に延びている。
【0038】
細溝48は、突出部37をほぼ均等に2分するように、凹部40の辺41bに沿って延びている。細溝48は、凹部40の近傍から第1主溝11を画定する突出部37の側面37aにかけて設けられている。細溝48の内端48aは、角部42bと隣接して位置し、細溝48の外端48bは、第1主溝11内を臨むように側面37aで開口している。細溝48のタイヤ径方向の深さは、凹部40の深さよりも深く、頂面25aから隆起部51までの深さよりも浅くなる寸法に設定されている。
【0039】
細溝49は、突出部38をほぼ均等に2分するように、凹部40の辺41cに沿って延びている。細溝49は、凹部40の近傍から第2横溝17を画定する突出部38の側面38aにかけて設けられている。細溝49の内端49aは、角部42cと隣接して位置し、細溝49の外端49bは、第2横溝17内を臨むように側面38aで開口している。細溝49のタイヤ径方向の深さは、凹部40の深さよりも深く、頂面25aから隆起部51までの深さよりも浅くなる寸法に設定されている。
【0040】
前述のように、細溝48,49は、凹部40に対して不連続であり、凹部40(角部42b,42c)と間隔をあけて位置している。この間隔、つまり細溝48,49の内端48a,49aから凹部40までの最短距離は、2mm以上10mm以下の範囲に設定され、好ましくは3mm以上6mm以下に設定されている。この間隔を過度に小さくすると、走行時の負荷によって細溝48,49の内端48a,49aが裂けて凹部40に連続し、ブロック25の剛性が低下する虞がある。間隔を過度に大きくすると、細溝48,49の全長が短くなるため、エッジ効果を得るための寄与度が低くなる。これらの不都合を防止するために、細溝48,49と凹部40の間隔は、上記定められた範囲に設定することが好ましい。
【0041】
図3から
図5に示すように、細溝47〜49が形成された突出部36〜38には、ブロック25の剛性を向上するための傾斜面36b〜38bが形成されている。傾斜面(第2傾斜面)36bは、頂面25aと側面36aとの角部に設けられ、頂面25aから側面36aに向けて、第2主溝12の溝底に近づくようにタイヤ径方向内向きに傾斜している。傾斜面(第1傾斜面)37bは、頂面25aと側面37aとの角部に設けられ、頂面25aから側面37aに向けて、第1主溝11の溝底に近づくようにタイヤ径方向内向きに傾斜している。傾斜面(第3傾斜面)38bは、頂面25aと側面38aとの角部に設けられ、頂面25aから側面38aに向けて、第2横溝17の溝底に近づくようにタイヤ径方向内向きに傾斜している。傾斜面36b〜38bは、細溝47〜49の外端47b〜49bが含まれる範囲に設けられている。
【0042】
側面36aと傾斜面36bとがなす角θ1、及び側面37a,38aと傾斜面37b,38bとがなす角θ2とは、120度以上160度以下の範囲に設定されている。なす角θ1,θ2を過度に小さくすると、頂面25aの面積が少なくなるため制動性が低下する。なす角θ1,θ2を過度に大きくすると、側面36b〜38bと頂面25aとの間の角部の変形し易くなるため、剛性向上の寄与度が低くなる。これらの不都合を防止するために、なす角θ1,θ2は、上記定められた範囲に設定することが好ましい。
【0043】
また、排水溝として機能する細溝47が形成された突出部36のなす角θ1は、細溝(サイプ)48,49が形成された突出部37,38のなす角θ2よりも小さい。つまり、細溝47〜49の溝幅が広くなるに従って、傾斜面36b〜38bの傾斜角を大きくしている。この構成により、ブロック25の変形を効果的に抑制し、剛性と操縦安定性を向上できるようにしている。なお、突出部37の側面37aと傾斜面37bとがなす角と、突出部38の側面38aと傾斜面38bとがなす角とは、異なっていてもよい。
【0044】
ブロック25を区画する溝11,12,17には、突出部36〜38の側面36a〜38aと隣接する部分に、径方向外向きに隆起した隆起部51が形成されている。具体的には、突出部36の側面36aと隣接した第2主溝12の第1溝部12a、突出部37の側面37aと隣接した第1主溝11の第1傾斜部11a、及び突出部38の側面38aと隣接した第2横溝17には、隆起部51が設けられている。
【0045】
溝11,12,17において、細溝47,48,49が形成されていないブロック25の側面25bに隣接した部分には、隆起部51は設けられていない。
図4及び
図5に示すように、隆起部51が設けられていない部分の溝11,12,17の深さD1は、隆起部51が設けられた部分の溝の深さD2よりも深い。深さD1は頂面25aから溝底までのタイヤ径方向の寸法であり、深さD2は頂面25aから隆起部51までタイヤ径方向の寸法である。例えば、深さD1は6.0mm以上14.0mm以下であり、深さD2は5.0mm以上12.0mm以下である。
【0046】
次に、本実施形態の空気入りタイヤ1の特徴を説明する。
【0047】
一般に、側面36a〜38aと頂面25aで形成されるブロック25の角部は、細溝47〜49の形成によって分断されるため変形し易くなり、剛性が低下する傾向がある。しかし、ブロック25の側面36a〜38aには傾斜面36b〜38bを設けているため、変形し易い鋭角な角部を無くすことができる。よって、細溝47〜49によってエッジ効果を確保しつつ、傾斜面36b〜38bによってブロック25の剛性とそれによる操縦安定性を向上できる。
【0048】
特に、ブロック25が備える突出部36〜38の側面36a〜38aに向けて細溝47〜49が形成されている場合、突出部36〜38の剛性が著しく低下する傾向がある。しかし、突出部36〜38が備える側面36a〜38aに傾斜面36b〜38bが設けられているため、傾斜面36b〜38bを設けない場合と比較して、ブロック25の剛性を効果的に確保でき、操縦安定性を向上できる。
【0049】
前述のように、側面36a〜38aと傾斜面36b〜38bとがなす角θ1,θ2は120度以上160度以下である。この構成により、頂面25aの面積が少なくなって制動性が低下することを防止できるとともに、ブロック25の剛性を効果的に向上できる。
【0050】
前述のように、主溝11,12及び横溝17の溝底には、側面36a〜38aに隣接した部分に隆起部51が形成されている。この構成により、側面36a〜38aの全高が低くなるため、側面36a〜38aでのブロック25の変形を抑制でき、ブロック25の剛性を効果的に向上できる。
【0051】
前述のように、排水溝として機能する細溝47が形成された突出部36のなす角θ1は、細溝(サイプ)48,49が形成された突出部37,38のなす角θ2よりも小さい。この構成により、ブロック25の変形を効果的に抑制し、剛性と操縦安定性を向上できるようにしている。
【0052】
なお、本発明の空気入りタイヤ1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、凹部40及び細溝47〜49を形成するブロックは、外側センターブロック25に限られず、第1外側ショルダーブロック22A、内側センターブロック28、又は内側ショルダーブロック31であってもよい。
【0054】
凹部40に不連続とした細溝48,49は、主溝又は横溝に貫通しなくてもよい。つまり、細溝48,49の外端48b,49bは、側面37a,37bに対して間隔をあけて設けられてもよい。
【0055】
ブロック25は、細溝47〜49と同じ向きに突出する突出部36〜38を備える形状としたが、突出部36〜38が無い形状であってもよい。